シートスライドロック装置
【課題】本発明は、常時、複数のロック片が複数のロック片受容部に同時に入り込むことができるようにしてロック片あるいはロック片受容部が破損するおそれの少ないシートスライドロック装置の提供を目的とする。
【解決手段】アッパーレールに保持された幅狭なロック爪部を有する第1ロック片、幅広なロック爪部を有する第3ロック片、中間幅のロック爪部を有する第2ロック片と、ロアレール1に設けられ上記第1ロック片〜第3ロック片の夫々のロック爪部の幅に対応した幅を有する第1ロック片受容孔14〜第3ロック片受容孔16a、16bとを備えている。第1ロック片受容孔14は最前端側に、第2ロック片受容孔15はその第1ロック片受容孔14の前方側に、第3ロック片受容孔16a、16bは、第2ロック片受容孔15の後方側に配設されている。
【解決手段】アッパーレールに保持された幅狭なロック爪部を有する第1ロック片、幅広なロック爪部を有する第3ロック片、中間幅のロック爪部を有する第2ロック片と、ロアレール1に設けられ上記第1ロック片〜第3ロック片の夫々のロック爪部の幅に対応した幅を有する第1ロック片受容孔14〜第3ロック片受容孔16a、16bとを備えている。第1ロック片受容孔14は最前端側に、第2ロック片受容孔15はその第1ロック片受容孔14の前方側に、第3ロック片受容孔16a、16bは、第2ロック片受容孔15の後方側に配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のシートスライドロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シートスライドロック装置は知られており、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された装置は、床側に固定されるロアレールに、その長手方向に沿う前後方向に複数個のロック片受容部(凹所)を並設するとともに、シートに固定状に取り付けられたアッパーレールに、ロック片受容部と嵌合して受容するロック
爪を有するロック片を1つ、設けたものである。そして、ロック片をロック片受容部の適宜な1つに入りこませることによりロック状態にして、シートを、前後位置に応じて固定できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭47−39764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のもののように、一つのロック片を1つのロック片受容部に嵌合させてロックさせたのでは、シートに大きな力がかかったような場合に、その力がロック片とロック片受容部の内壁との当接部の1箇所にかかり、ロック片が折れ損し或いはロック片受容部が破損するおそれがある。
【0005】
そこで、このような課題を解決するものとして、例えばシート側に、前後方向に複数個のロック片を並設し、複数個のロック片を、同時に複数のロック片受容部に入れるようにしたものも実施されている。
【0006】
ところが、例えばウォークイン機構を備えたものとした場合、例えば図14に示すようにシートを前方側(図示のX1方向)に移動させてロック片100a〜100eにおける最後方側の最後方ロック片100aがロアレール101に設けられたロック片受容部102における最前方側のロック片受容部102aに入り込むと、最後方ロック片100aの1つだけが最前方側のロック片受容部102aのみに入り込むことになる。このような場合には、ロック片100aとロック片受容部102aの内壁との当接部の1箇所にシートからの力がかかることになってしまう。その結果、上述の一つのロック片を設けたものと同様に、シートからかかる力によってロック片が折損し、或いは、ロック片受容部が破損するおそれがある。
【0007】
本発明は、常時、複数のロック片が複数のロック片受容部に同時に入り込むことができるようにしてロック片あるいはロック片受容部が破損するおそれの少ないシートスライドロック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、ロアレールとそのロアレールの長手方向に沿って移動可能なアッパーレールとのいずれか一方に設けられ厚さ方向を前記一方の長手方向に沿わせるようにして1列状に並列されたロック爪部を有する複数のロック片と、前記いずれか他方に設けられ前記ロック片夫々のロック爪部を受容する複数のロック片受容部とを備えたシートスライドロック装置であって、前記ロック片は、前記ロック爪部の幅が異なる複数の種類のものから構成され、前記ロック片受容部は、前記ロック爪部夫々の幅に対応するように形成された幅の異なる複数の種類のものから構成されていることを特徴とするシートスライドロック装置を提供する。
【0009】
又、他の一態様では、上述のシートスライドロック装置において、前記ロック片は、前記ロック爪部の幅が狭いものから順次、前記一方の長手方向に沿って配設され、前記ロック片受容部は、前記ロック爪部の幅が狭いものから順次並んだロック片に対応して前記他方の長手方向の一端側から他端側に、又は、他端側から一端側に、幅の狭いもの順に並ぶようにして、最も幅が狭い最幅狭ロック片受容部に、当該最幅狭ロック片受容部と対応したロック爪部を有するロック片が入り込む際に同時にその最幅狭ロック片受容部に隣接したロック片受容部に当該ロック片受容部と対応したロック爪部を有するロック片が入り込み得るように配設されている構成にできる。
【0010】
このように構成された本発明によれば、全部のロック片がロック片受容部から外れてロック解除した状態で、例えば最後方側に配設した最も幅の広いロック爪部を有するロック片が最前方側に配設した最も幅の狭い最幅狭ロック片受容部よりも前方側になるまで、シートを前方側に移動させた後、シートを後方側に移動させると、最後方側の最も幅の広いロック片が最前方側の最幅狭ロック片受容部に入り込まずに通過する。そして、最幅狭ロック片受容部と対応した幅のロック爪部を有するロック片が最幅狭ロック片受容部に合致すると入り込む。また、それと略同時にその最幅狭ロック片受容部に隣接するロック片受容部に、そのロック片受容部に対応した幅のロック爪部を有するロック片を入り込ませることができる。
【0011】
これにより、最前方側の最幅狭ロック片受容部にロック片が入り込んでロックする場合には、少なくともその最前方側の最幅狭ロック片受容部に隣接したロック片受容部にも、そのロック片受容部に対応したロック片が入り込んでロックした状態にでき、従来のように最前方側のロック片受容部にのみ、いずれかのロック片がロックすることのないものにできる。
【0012】
従って、ロック状態において、シートからかかる力によってロック片或いはロック片受容部が破損するおそれの少ないものにでき、常時十分な強度を有する状態にできる。
【0013】
他の一態様では、上述のシートスライドロック装置において、前記ロック片は、幅狭ロック爪部を有する第1ロック片と、前記幅狭ロック爪部よりも幅広な幅広ロック爪部を有する第3ロック片と、前記第1ロック片と第3ロック片との間に配設され前記幅狭ロック爪部よりも幅広で、且つ、前記幅広ロック爪部よりも幅狭な中間幅ロック爪部を有する第2ロック片とを備え、前記ロック片受容部は、前記幅狭ロック爪部に対応し前記幅狭ロック爪部を受容可能、且つ、前記中間幅ロック爪部及び幅広ロック爪部を受容不能な第1ロック片受容部と、前記中間幅ロック爪部に対応し前記中間幅ロック爪部及び幅狭ロック爪部を受容可能、且つ幅広ロック爪部を受容不能な第2ロック片受容部と、前記幅広ロック爪部に対応し前記幅広ロック爪部、幅狭ロック爪部及び中間幅ロック爪部を受容可能な第3ロック片受容部とを備え、前記第1ロック片受容部は、第2ロック片受容部及び第3ロック片受容部よりも前記他方の長手方向の一端側又は他端側になるように配設され、前記第2ロック片受容部は、前記他方の長手方向における前記第1ロック片受容部と第3ロック片受容部との間に配設されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、ロック解除した状態で、例えば最後方側に配設した第3ロック片が最前方側に配設した第1ロック片受容部よりも前方側になるまでシートを前方側に移動させた後、シートを後方側に移動させると、第3ロック片が最前方側の第1ロック片受容部に入り込まずに通過し、そして、その第1ロック片受容部に第3ロック片よりも前方側の第1ロック片が合致すると入り込む。又、略同時にその第1ロック片受容部に隣接する第2ロック片受容部に第2ロック片が合致して入り込む。
【0015】
これにより、第1ロック片受容部に第1ロック片が入り込んでロックする場合には、第1ロック片受容部に隣接した第2ロック片受容部にも第2ロック片を入り込ませてロック状態にできる。
【0016】
従って、ロック状態において、ロック片が折損し、或いは、ロック片受容部が破損するおそれの少ないものにでき、常時十分な強度を有する状態にできる。
【0017】
他の一態様では、上述のシートスライドロック装置において、前記第2ロック片受容部には、前記幅狭ロック爪部、中間幅ロック爪部及び幅広ロック爪部を受容可能に、当該第2ロック片受容部の幅よりも広く形成された連通孔が設けられ、前記連通孔は、前記第2ロック片受容部と連通するようにして前記第2ロック片受容部と第3ロック片受容部との間に配設されていることを特徴とする。
【0018】
これによれば、第1ロック片受容部に第1ロック片を入り込ませると、略同時に第2ロック片受容部に第2ロック片を入り込ませるとともに、連通孔に第3ロック片を入り込ませることができる。これにより、ロック状態において、より強度を高めた状態にできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、常時、複数のロック片が複数のロック片受容部に同時に入り込むことができるようにしてロック片あるいはロック片受容部が破損するおそれの少ないシートスライドロック装置を提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の自動車用シートスライドロック装置の右部の斜視図である。
【図2】図1の自動車用シートスライドロック装置の平面図である。
【図3】図1の自動車用シートスライドロック装置の正面図である。
【図4】図1の自動車用シートスライドロック装置の底面図である。
【図5】ロアレールの要部の拡大底面図である。
【図6】(a)は、第1ロック片の正面図、(b)は、第2ロック片の正面図、(c)は、第3ロック片の正面図である。
【図7】図2のVII−VII線拡大断面図である。
【図8】最前方側に移動したシートを後方側に移動する際におけるロック片とロック片受容孔とを示す断面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】ロック片受容孔の他の実施形態の説明図である。
【図12】ロック片受容孔の更に他の実施形態の説明図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】従来例の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の自動車用シートスライドロック装置の右部の斜視図、図2は、図1の自動車用シートスライドロック装置の平面図、図3は、図1の自動車用シートスライドロック装置の正面図、図4は、図1の自動車用シートスライドロック装置の底面図である。尚、図のX1方向を前方側、X2方向を後方側とし、又、図のY1方向を左方側、Y2方向を右方側として説明する。
【0022】
本発明のシートスライドロック装置10は、アッパーレール2がロアレール1に対してスライドするのを適宜ロック・ロック解除するもので、この実施形態では、自動車用のものとされている。
【0023】
この実施形態の自動車用のシートスライドロック装置10は、図1〜図4に示すように、シート、例えば運転者用シートの右下方側に配設される右スライド部10aと、運転者用シートの左下方側に配設される図示しない左スライド部と、複数のロック片3a〜3c(図7参照)と、ロック解除操作部材40〜42とを備えている。
【0024】
これらの右スライド部10aと左スライド部とは、左右対称をなすように配設される。以下、右スライド部10aについて説明し、左スライド部の説明を省略する。
【0025】
右スライド部10aは、図1〜図7に示すように、ロアレール1と、アッパーレール2とを備えている。
【0026】
ロアレール1は、長尺状のものから構成されており、その長手方向を自動車の前後方向に沿わすようにして自動車のフロアに固定される。このロアレール1は、図3に示すように互いに左右方向に距離を持って対向配置された左右一対の両側壁11と、それらの両側壁の下端側(基端側)を連結した底壁13とを備えている。
【0027】
又、底壁13には、図4、図5に示すように、ロック片3a〜3cを入り込ませるための複数のロック片受容部としてのロック片受容孔14〜16bが設けられている。また、この実施形態のロック片受容孔は、1つの第1ロック片受容孔14と、1つの第2ロック片受容孔15と、複数の第3ロック片受容孔16a、16bとの左右の幅(長手方向と直交する方向の長さ)の異なる3種類のものから構成されている。
【0028】
これらの第1ロック片受容孔14〜第3ロック片受容孔16a、16bは、この実施形態では、底壁13の上面から下面に貫通するようにあけられた孔から構成されている。
【0029】
第3ロック片受容孔は、第3短ロック片受容孔16aと、第3長ロック片受容孔16bとから構成されている。
【0030】
第3短ロック片受容孔16aは、図5に示すように、その前後の長さL4が上記第1ロック片受容孔14のその長さL1と同じに設定され、その幅W4が上記第1ロック片受容孔14の幅W1よりも広く設定されている。
【0031】
第3長ロック片受容孔16bは、その前後の長さL5が上記第3短ロック片受容孔16aのその長さL4の2倍に設定され、又、幅W5(長手方向に直交する方向の長さ)が上記第3短ロック片受容孔16aの幅W4と同じに設定されている。
【0032】
そして、第3短ロック片受容孔16aと第3長ロック片受容孔16bとは、図4に示すようにロアレール1の後端側(他端側)から前方側にかけて長手方向に沿って交互に配設されている。
【0033】
又、第3短ロック片受容孔16aと第3長ロック片受容孔16bとの長手方向の距離L6は、第3短ロック片受容孔16aの長さL4と同じに設定されている。
【0034】
第1ロック片受容孔14は、全部のロック片受容孔14〜16bの内で、最も幅の狭い最幅狭ロック片受容孔をなすもので、この実施形態では、第2ロック片受容孔15及び第3ロック片受容孔16a、16bよりも前方側になるようにしてロアレール1の前端側(一端側)に配設されており、第1ロック片受容孔14は、全部のロック片受容孔14〜16bの内で、最前方に配設されている。
【0035】
第2ロック片受容孔15は、その幅W2が上記第1ロック片受容孔14の幅W1よりも広く、且つ、第3短ロック片受容孔16aの幅W4よりも狭くなるように設定されている。
【0036】
又、この実施形態では、第2ロック片受容孔15の後方側に、第2ロック片受容孔15と連通するように形成された連通孔17が設けられている。この連通孔17は、その前後の長さL3及び幅W3が上記第3短ロック片受容孔16aの長さL4、幅W4夫々と同じに設定されている。従って、この連通孔17と第2ロック片受容孔15との全体としての前後の長さは、第3長ロック片受容孔16bの長さL5と同じである。
【0037】
そして、この連通孔17と第2ロック片受容孔15とは、第1ロック片受容孔14と第3短ロック片受容孔16aとの間に、第2ロック片受容孔15と第1ロック片受容孔14との距離L7及び連通孔17と第3短ロック片受容孔16aとの距離L8が上記距離L6と同じだけ隔てるようにして配設されている。
【0038】
アッパーレール2は、図1〜図4に示すように、ロアレール1とほぼ同じ長さの長尺状のものから構成されており、自動車のシート(図示せず)に固定的に取り付けられてロアレール1の長手方向に沿ってスライド可能に配置される。そして、アッパーレール2がロアレール1をスライドすることにより、自動車のシートが前後方向に移動可能とされる。
【0039】
このアッパーレール2は、図3に示すように左右方向に距離を持って対向配置された左右の両側壁21と、それらの上端側(基端側)を連結した上壁23とを備えている。
【0040】
尚、この実施形態では、左右の両側壁21は、上壁23の左右両端から下方に折り曲げ成形されているとともに、その下先端側から外側上方に折り曲げられた折り返し片26を備えたものとされている。
【0041】
また、上壁23には、図7に示すようにロック片3a〜3cを上下方向移動可能に通したロック片挿通孔23aが設けられている。
【0042】
次に、ロック片3a〜3cについて説明する。この実施形態では、同一構成を採る2つの第1ロック片3aと、同一構成を採る2つの第2ロック片3bと、1つの第3ロック片3cとの合計5つのロック片から構成されている。
【0043】
第1ロック片3aは、夫々、図6(a)に示すように、下部側に、ロアレール1のロック片受容孔14〜16bを出入りする幅狭ロック爪部31aを備え、上部側に、後述のロック解除操作部材のロック片操作部材41に押し上げ操作される被操作部32を備えている。
【0044】
幅狭ロック爪部31aは、上記第1ロック片受容孔14の幅に対応して形成されており、その幅W6が上記第1ロック片受容孔14の幅W1と略同じで、又、図7に示すようにその厚さt1が上記第1ロック片受容孔14の前後の長さL1と略同じとされている。
【0045】
これにより、上記第1ロック片受容孔14に入り込み得るようになっているとともに、第2ロック片受容孔15、連通孔17、第3ロック片受容孔の第3短ロック片受容孔16a及び第3長ロック片受容孔16bの夫々に入り込み得るようになっている。
【0046】
第2ロック片3bは、夫々、図6(b)に示すように、下部側に、ロアレール1のロック片受容孔15〜16bを出入りする中間幅ロック爪部31bを備えている。
【0047】
この中間幅ロック爪部31bは、上記第2ロック片受容孔15の幅に対応して形成されており、その幅W7が上記第2ロック片受容孔15の幅W2と略同じとされている。
【0048】
従って、この中間幅ロック爪部31bは、上記第2ロック片受容孔15、連通孔17、第3ロック片受容孔の第3短ロック片受容孔16a及び第3長ロック片受容孔16bの夫々に入り込み得るようになっている。第2ロック片3bのその他は、第1ロック片3aと同じ構成を採っている。
【0049】
第3ロック片3cは、夫々、図6(c)に示すように、下部側に、ロアレール1のロック片受容孔の第3短ロック片受容孔16a及び第3長ロック片受容孔16bを出入りする幅広ロック爪部31cを備えている。
【0050】
この幅広ロック爪部31cは、上記第3ロック片受容孔16a、16bの幅に対応して形成されており、その幅W8が上記第3ロック片受容孔16a、16bの幅W4、W5と同じとされている。
【0051】
従って、この幅広ロック爪部31cは、上記第3ロック片受容孔の第3短ロック片受容孔16a及び第3長ロック片受容孔16bの夫々に入り込み得るようになっている。幅広ロック爪部31cのその他は、第1ロック片3aと同じ構成を採っている。
【0052】
このように構成されたロック片3a〜3cは、図7に示すようにその厚さ方向をアッパーレール2の長手方向に沿って、ロック爪部31a、31b、31cの幅が最も狭い第1ロック片3aから順次、後方側に並べられるように配設され、保持部材7を介してアッパーレール2に上下方向移動可能に保持されている。
【0053】
詳しくは、第1ロック片3a〜第3ロック片3cは、互いにほとんど間隔を隔てないで前後方向に1列に並べられるようにして、保持部材7に上下方向移動可能に保持されている。又、保持部材7に保持された第1ロック片3a〜第3ロック片3cは、夫々、図3、図9に示すようにロック片付勢部材としてのコイルスプリング33によって保持部材7に対して下方側に付勢されている。
【0054】
そして、このようにして第1ロック片3a〜第3ロック片3cを保持した保持部材7は、アッパーレール2に固定的に取り付けられている。又、この状態で、第1ロック片3a〜第3ロック片3cは、夫々、アッパーレール2のロック片挿通孔23aに通されて被操作部32がアッパーレール2の上壁23の上方側に突出されているとともに、ロック爪部31a〜31cがロアレール1のロック片受容孔14〜15bに出入り可能とされている。
【0055】
次に、ロック解除操作部材40、41、42について説明する。ロック解除操作部材40、41、42は、ロック片3a〜3cをロック解除操作するためのもので、図1〜図5に示すように、ロック片3a〜3cを上記コイルスプリング33の付勢力に抗して押圧して押し上げるロック片操作部材41と、ロック片操作部材41を付勢する操作部材用付勢バネ40と、ロック片操作部材41を可動操作する操作体42とを備えている。
【0056】
ロック片操作部材41は、図9に示すようにその右端側(一端側、図の左端側)に、ロック片3a〜3cの被操作部32を押圧操作するロック片押圧部41aを備えている。
【0057】
このロック片押圧部41aは、図2に示すようにその前後方向の長さが5つのロック片3a〜3cの全体の前後方向の長さよりもやや長く設定されており、5つのロック片3a〜3cの被操作部32を同時に押圧できるようになっている。
【0058】
又、ロック片操作部材41は、その左端側(図で右端側)に、操作体42に押圧操作される被押圧操作部41bを備えている。このロック片操作部材41は、操作部材用支持部材20を介してアッパーレール2の上壁23に回動自在に取り付けられている。
【0059】
詳しくは、アッパーレール2の上壁23には、ロック片3a〜3cを上方側から覆うようにして配設された操作部材用支持部材20が固定的に設けられている。そして、ロック片操作部材41は、図9に示すように、ロック片押圧部41aと被押圧操作部41b及び係止片41cとの間に設けられた孔からなる軸支部41dが操作部材用支持部材20に軸支されるようにして、アッパーレール2の上壁23に回動自在に取り付けられ、これにより、ロック片押圧部41a、被押圧操作部41bが夫々、上下方向に回動できるようになっている。
【0060】
そして、被押圧操作部41bが下方側に押し下げられるとロック片押圧部41aが上方側に回動するようになっている。又、この上方側への回動に際してロック片押圧部41aがロック片3a〜3e夫々の被操作部32を押圧してロック片3a〜3c夫々を上方に押し上げる。
【0061】
操作部材用付勢バネ40は、一端側が操作部材用支持部材20に係止され、他端側がロック片押圧部41における軸支部41dよりも被押圧操作部41b側の部分に取り付けられている。
【0062】
これにより、操作部材用付勢バネ40の付勢力によって、ロック片操作部材41は、図9の反時計方向に付勢され、被押圧操作部41bが常時上方側に、ロック片押圧部41aが常時下方側に、夫々、付勢されている。
【0063】
操作体42は、この実施形態では、図1、図2に示すように、丸棒体をほぼU字状に折り曲げ成形したものから構成されている(図1、図2では、左半分だけがL字状に表されている)。
【0064】
そして、この操作体42は、その前端に操作把持部42aを備え、操作体42の左右の後端に、夫々、右スライド部10a、左スライド部のロック片操作部材41の被押圧操作部41bを押圧する押圧部42bを備えている。
【0065】
操作把持部42aは、図示しないシートの前端側の下方側に配置されるようになっており、シートに座った着座者が座った状態で操作把持部42aを把持操作できるようになっている。また、押圧部42bは、図1、図9に示すように被押圧操作部41bの上方側に、略当接状態に配置されている。
【0066】
そして、この操作体42は、この実施形態では、軸43を介して回動自在に配置されている。詳しくは、シートに軸43が固定されている。そして、操作体42は、操作把持部42aと押圧部42bとの中間部がその軸43を支点に回動できるようになっている。
【0067】
これにより、着座者によって操作把持部42aが上方側に押し上げ操作されると、押圧部42bが下方側に移動して被押圧操作部41bを下方側に押圧するようになっている。
【0068】
尚、この実施形態の操作体42は、図示しない操作体用付勢バネによって操作把持部42aが下方側に付勢されるようになっており、操作把持部42aが手で上方側に引き上げられた後、その手が放されると、その操作体用付勢バネの付勢力によって、操作把持部42aが元の図9の状態にまで戻されるようになっている。
【0069】
次に、この実施形態の自動用シートスライドロック装置の動作について説明する。尚
、説明の都合上、第1ロック片3aが第1ロック片受容孔14に、第2ロック片3bが第2ロック片受容孔15に、第3ロック片3cが連通孔17に、夫々、入った図7に示すロック状態から説明する。
【0070】
ロック状態から、着座者によって、操作体42の操作把持部42aが引き上げ操作されると、図3に示すように押圧部42bによって、被押圧操作部41bが下方側に押圧される。
【0071】
これにより、ロック片押圧部41aが全部のロック片3a〜3cの被操作部32と当接して全てのロック片3a〜3cをコイルスプリング33の付勢力に抗して上方に押し上げる。この状態で、例えば図8に示すように全てのロック片3a〜3cのロック爪部31a〜31cがロック片受容孔14〜16bから出てロック片3a〜3cの下端がロアレール1の底壁13から上がった状態になり、ロック解除状態になる。
【0072】
そして、この状態で、アッパーレール2は、ロアレール1に対してスライド可能状態になり、例えばシートが着座者によって前方側に押圧されるとアッパーレール2がロアレール1に対して前方側にスライドしてシートが前方側に移動する。
【0073】
そして、図示しないが、第3ロック片3cが第1ロック片受容孔14の前方位置に来るまでシートが前方側に移動すると、その位置で、ロック片3a〜3cが入り込むためのロック片受容孔が配設されていないため、ロック解除状態を維持する。
【0074】
一方、この状態からシートを後方側に戻す場合は、シートを後方側に押圧する。これにより、シートを後方側に移動させることができる。そして、第3ロック片3cが第1ロック片受容孔14の上方位置にきても、第3ロック片3cのロック爪部31cの幅W8が第1ロック片受容孔14の幅W1よりも広いため、第1ロック片受容孔14に入り込むことなくその上方位置を通過する。
【0075】
更に、シートが後方側に移動して、第3ロック片3cが第2ロック片受容孔15の上方位置にくるとともに、第2ロック片3bが第1ロック片受容孔14の上方位置にきた場合、この場合も、図10に示すように第3ロック片3cのロック爪部31cの幅W8が第2ロック片受容孔15の幅W2よりも広く、又、図9に示すように第2ロック片3bのロック爪部31b幅W7が第1ロック片受容孔14の幅W1よりも広いため、第3ロック片3c及び第2ロック片3bは夫々、それらに入り込むことなくその上方位置を通過する。
【0076】
更に、シートが後方側に移動して、図7に示すように、第3ロック片3cが連通孔17に合致すると第3ロック片3cが連通孔17に入り込む。また、それと同時に、第2ロック片3bが第2ロック片受容孔15に合致して第2ロック片受容孔15に入り込むとともに、第1ロック片3aが第1ロック片受容孔14に合致して第1ロック片受容孔14に入り込んでロック状態になる。
【0077】
従って、第3ロック片3cが第1ロック片受容孔14の前方位置にきた状態からのシートの後方側への移動に際し、常時3つのロック片3a〜3cがロック片受容孔14〜16bのいずれかに入り込んでロック状態にでき、従来のように、1つのロック片だけがロック片受容孔に入り込んでロック状態になるようなことを防止できる。
【0078】
よって、1つのロック片だけがロック片受容孔に入り込んでロック状態した場合のようにロック片が折損し、或いはロック片受容孔が破壊するようなことを確実に防止できる。
【0079】
尚、上記実施形態では、第2ロック片受容孔15に連通孔17を設けたものとしているが、この形態のものに限らず、第2ロック片受容孔15に連通孔17を設けないものとしてもよく、適宜変更できる。
【0080】
例えば図11に示すように、第2ロック片受容孔150を、第1ロック片受容孔140よりも幅広に、第3ロック片受容孔160よりも幅狭に形成するとともに、第3ロック片受容孔160を、全て第1ロック片受容孔140と同幅に形成する。このようにしても、第3ロック片3cが第1ロック片受容孔140の前方位置にきた状態からのシートの後方側への移動に際し、常時2つ以上のロック片3a〜3cがロック片受容孔140〜160のいずれかに入り込んでロック状態にできる。
【0081】
又、上記実施形態では、幅の異なる3種類からなる5つのロック片から構成したが、この形態のものに限らず、幅の異なる2種類のものからなる4つ以上のロック片から構成でき、適宜変更できる。
【0082】
例えば図12、図13に示すように、ロック片を、同一構成の2つの第1ロック片230aと、同一構成の2つの第2ロック片230bから構成するとともに、ロック片受容孔を、1つの第1ロック片受容孔214と、第1ロック片受容孔214よりも幅広な複数の第2ロック片受容孔215とから構成する。
【0083】
各第2ロック片230bは、その中間幅ロック爪部231bの幅が第1ロック片230aの幅狭ロック爪部230aの幅よりも広く設定されている。
【0084】
第1ロック片受容孔214は、その幅が幅狭ロック爪部231aの幅よりも広く、且つ中間幅ロック爪部231bの幅よりも狭く設定され、第1ロック片230aの幅狭ロック爪部231aを受容可能且つ第2ロック片230bの中間幅ロック爪部231bを受容不能になっている。
【0085】
このようにしても、常時2つ以上のロック片230a、230bがロック片受容孔214,215のいずれかに入り込んだロック状態にできる。
【0086】
又、上記実施形態では、第1ロック片をアッパーレールの前端側に、第2ロック片を、その第1ロック片の後方側に、第3ロック片を、その第2ロック片の後方側に、夫々設け、それらのロック片の並びに対応させて第1ロック片受容孔を、ロアレールの前端側に、第2ロック片受容孔を、その第1ロック片受容孔の後方側に、第3ロック片受容孔を、その第2ロック片受容孔の後方側に、夫々設けたが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0087】
例えば第1ロック片をアッパーレールの後端側に、第2ロック片を、その第1ロック片の前方側に、第3ロック片を、その第2ロック片の前方側に、夫々設け、それらのロック片の並びに対応させて第1ロック片受容孔を、ロアレールの後端側に、第2ロック片受容孔を、その第1ロック片受容孔の前方側に、第3ロック片受容孔を、その第2ロック片受容孔の前方側に、夫々設ける。
【0088】
又、上記実施形態では、ロック片受容孔をロアレールに設け、ロック片をアッパーレールに保持させているが、ロック片受容孔をアッパーレールに設け、ロック片をロアレールに保持させるようにしても良く、適宜変更できる。
【符号の説明】
【0089】
1 ロアレール
2 アッパーレール
3a 第1ロック片
3b 第2ロック片
3c 第3ロック片
14 第1ロック片受容孔(第1ロック片受容部)
15 第2ロック片受容孔(第2ロック片受容部)
16a 第3短ロック片受容孔(第3ロック片受容部)
16b 第3長ロック片受容孔(第3ロック片受容部)
17 連通孔
31a 幅狭ロック爪部
31b 中間幅ロック爪部
31c 幅広ロック爪部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のシートスライドロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シートスライドロック装置は知られており、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された装置は、床側に固定されるロアレールに、その長手方向に沿う前後方向に複数個のロック片受容部(凹所)を並設するとともに、シートに固定状に取り付けられたアッパーレールに、ロック片受容部と嵌合して受容するロック
爪を有するロック片を1つ、設けたものである。そして、ロック片をロック片受容部の適宜な1つに入りこませることによりロック状態にして、シートを、前後位置に応じて固定できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭47−39764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のもののように、一つのロック片を1つのロック片受容部に嵌合させてロックさせたのでは、シートに大きな力がかかったような場合に、その力がロック片とロック片受容部の内壁との当接部の1箇所にかかり、ロック片が折れ損し或いはロック片受容部が破損するおそれがある。
【0005】
そこで、このような課題を解決するものとして、例えばシート側に、前後方向に複数個のロック片を並設し、複数個のロック片を、同時に複数のロック片受容部に入れるようにしたものも実施されている。
【0006】
ところが、例えばウォークイン機構を備えたものとした場合、例えば図14に示すようにシートを前方側(図示のX1方向)に移動させてロック片100a〜100eにおける最後方側の最後方ロック片100aがロアレール101に設けられたロック片受容部102における最前方側のロック片受容部102aに入り込むと、最後方ロック片100aの1つだけが最前方側のロック片受容部102aのみに入り込むことになる。このような場合には、ロック片100aとロック片受容部102aの内壁との当接部の1箇所にシートからの力がかかることになってしまう。その結果、上述の一つのロック片を設けたものと同様に、シートからかかる力によってロック片が折損し、或いは、ロック片受容部が破損するおそれがある。
【0007】
本発明は、常時、複数のロック片が複数のロック片受容部に同時に入り込むことができるようにしてロック片あるいはロック片受容部が破損するおそれの少ないシートスライドロック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、ロアレールとそのロアレールの長手方向に沿って移動可能なアッパーレールとのいずれか一方に設けられ厚さ方向を前記一方の長手方向に沿わせるようにして1列状に並列されたロック爪部を有する複数のロック片と、前記いずれか他方に設けられ前記ロック片夫々のロック爪部を受容する複数のロック片受容部とを備えたシートスライドロック装置であって、前記ロック片は、前記ロック爪部の幅が異なる複数の種類のものから構成され、前記ロック片受容部は、前記ロック爪部夫々の幅に対応するように形成された幅の異なる複数の種類のものから構成されていることを特徴とするシートスライドロック装置を提供する。
【0009】
又、他の一態様では、上述のシートスライドロック装置において、前記ロック片は、前記ロック爪部の幅が狭いものから順次、前記一方の長手方向に沿って配設され、前記ロック片受容部は、前記ロック爪部の幅が狭いものから順次並んだロック片に対応して前記他方の長手方向の一端側から他端側に、又は、他端側から一端側に、幅の狭いもの順に並ぶようにして、最も幅が狭い最幅狭ロック片受容部に、当該最幅狭ロック片受容部と対応したロック爪部を有するロック片が入り込む際に同時にその最幅狭ロック片受容部に隣接したロック片受容部に当該ロック片受容部と対応したロック爪部を有するロック片が入り込み得るように配設されている構成にできる。
【0010】
このように構成された本発明によれば、全部のロック片がロック片受容部から外れてロック解除した状態で、例えば最後方側に配設した最も幅の広いロック爪部を有するロック片が最前方側に配設した最も幅の狭い最幅狭ロック片受容部よりも前方側になるまで、シートを前方側に移動させた後、シートを後方側に移動させると、最後方側の最も幅の広いロック片が最前方側の最幅狭ロック片受容部に入り込まずに通過する。そして、最幅狭ロック片受容部と対応した幅のロック爪部を有するロック片が最幅狭ロック片受容部に合致すると入り込む。また、それと略同時にその最幅狭ロック片受容部に隣接するロック片受容部に、そのロック片受容部に対応した幅のロック爪部を有するロック片を入り込ませることができる。
【0011】
これにより、最前方側の最幅狭ロック片受容部にロック片が入り込んでロックする場合には、少なくともその最前方側の最幅狭ロック片受容部に隣接したロック片受容部にも、そのロック片受容部に対応したロック片が入り込んでロックした状態にでき、従来のように最前方側のロック片受容部にのみ、いずれかのロック片がロックすることのないものにできる。
【0012】
従って、ロック状態において、シートからかかる力によってロック片或いはロック片受容部が破損するおそれの少ないものにでき、常時十分な強度を有する状態にできる。
【0013】
他の一態様では、上述のシートスライドロック装置において、前記ロック片は、幅狭ロック爪部を有する第1ロック片と、前記幅狭ロック爪部よりも幅広な幅広ロック爪部を有する第3ロック片と、前記第1ロック片と第3ロック片との間に配設され前記幅狭ロック爪部よりも幅広で、且つ、前記幅広ロック爪部よりも幅狭な中間幅ロック爪部を有する第2ロック片とを備え、前記ロック片受容部は、前記幅狭ロック爪部に対応し前記幅狭ロック爪部を受容可能、且つ、前記中間幅ロック爪部及び幅広ロック爪部を受容不能な第1ロック片受容部と、前記中間幅ロック爪部に対応し前記中間幅ロック爪部及び幅狭ロック爪部を受容可能、且つ幅広ロック爪部を受容不能な第2ロック片受容部と、前記幅広ロック爪部に対応し前記幅広ロック爪部、幅狭ロック爪部及び中間幅ロック爪部を受容可能な第3ロック片受容部とを備え、前記第1ロック片受容部は、第2ロック片受容部及び第3ロック片受容部よりも前記他方の長手方向の一端側又は他端側になるように配設され、前記第2ロック片受容部は、前記他方の長手方向における前記第1ロック片受容部と第3ロック片受容部との間に配設されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、ロック解除した状態で、例えば最後方側に配設した第3ロック片が最前方側に配設した第1ロック片受容部よりも前方側になるまでシートを前方側に移動させた後、シートを後方側に移動させると、第3ロック片が最前方側の第1ロック片受容部に入り込まずに通過し、そして、その第1ロック片受容部に第3ロック片よりも前方側の第1ロック片が合致すると入り込む。又、略同時にその第1ロック片受容部に隣接する第2ロック片受容部に第2ロック片が合致して入り込む。
【0015】
これにより、第1ロック片受容部に第1ロック片が入り込んでロックする場合には、第1ロック片受容部に隣接した第2ロック片受容部にも第2ロック片を入り込ませてロック状態にできる。
【0016】
従って、ロック状態において、ロック片が折損し、或いは、ロック片受容部が破損するおそれの少ないものにでき、常時十分な強度を有する状態にできる。
【0017】
他の一態様では、上述のシートスライドロック装置において、前記第2ロック片受容部には、前記幅狭ロック爪部、中間幅ロック爪部及び幅広ロック爪部を受容可能に、当該第2ロック片受容部の幅よりも広く形成された連通孔が設けられ、前記連通孔は、前記第2ロック片受容部と連通するようにして前記第2ロック片受容部と第3ロック片受容部との間に配設されていることを特徴とする。
【0018】
これによれば、第1ロック片受容部に第1ロック片を入り込ませると、略同時に第2ロック片受容部に第2ロック片を入り込ませるとともに、連通孔に第3ロック片を入り込ませることができる。これにより、ロック状態において、より強度を高めた状態にできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、常時、複数のロック片が複数のロック片受容部に同時に入り込むことができるようにしてロック片あるいはロック片受容部が破損するおそれの少ないシートスライドロック装置を提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の自動車用シートスライドロック装置の右部の斜視図である。
【図2】図1の自動車用シートスライドロック装置の平面図である。
【図3】図1の自動車用シートスライドロック装置の正面図である。
【図4】図1の自動車用シートスライドロック装置の底面図である。
【図5】ロアレールの要部の拡大底面図である。
【図6】(a)は、第1ロック片の正面図、(b)は、第2ロック片の正面図、(c)は、第3ロック片の正面図である。
【図7】図2のVII−VII線拡大断面図である。
【図8】最前方側に移動したシートを後方側に移動する際におけるロック片とロック片受容孔とを示す断面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】ロック片受容孔の他の実施形態の説明図である。
【図12】ロック片受容孔の更に他の実施形態の説明図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】従来例の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の自動車用シートスライドロック装置の右部の斜視図、図2は、図1の自動車用シートスライドロック装置の平面図、図3は、図1の自動車用シートスライドロック装置の正面図、図4は、図1の自動車用シートスライドロック装置の底面図である。尚、図のX1方向を前方側、X2方向を後方側とし、又、図のY1方向を左方側、Y2方向を右方側として説明する。
【0022】
本発明のシートスライドロック装置10は、アッパーレール2がロアレール1に対してスライドするのを適宜ロック・ロック解除するもので、この実施形態では、自動車用のものとされている。
【0023】
この実施形態の自動車用のシートスライドロック装置10は、図1〜図4に示すように、シート、例えば運転者用シートの右下方側に配設される右スライド部10aと、運転者用シートの左下方側に配設される図示しない左スライド部と、複数のロック片3a〜3c(図7参照)と、ロック解除操作部材40〜42とを備えている。
【0024】
これらの右スライド部10aと左スライド部とは、左右対称をなすように配設される。以下、右スライド部10aについて説明し、左スライド部の説明を省略する。
【0025】
右スライド部10aは、図1〜図7に示すように、ロアレール1と、アッパーレール2とを備えている。
【0026】
ロアレール1は、長尺状のものから構成されており、その長手方向を自動車の前後方向に沿わすようにして自動車のフロアに固定される。このロアレール1は、図3に示すように互いに左右方向に距離を持って対向配置された左右一対の両側壁11と、それらの両側壁の下端側(基端側)を連結した底壁13とを備えている。
【0027】
又、底壁13には、図4、図5に示すように、ロック片3a〜3cを入り込ませるための複数のロック片受容部としてのロック片受容孔14〜16bが設けられている。また、この実施形態のロック片受容孔は、1つの第1ロック片受容孔14と、1つの第2ロック片受容孔15と、複数の第3ロック片受容孔16a、16bとの左右の幅(長手方向と直交する方向の長さ)の異なる3種類のものから構成されている。
【0028】
これらの第1ロック片受容孔14〜第3ロック片受容孔16a、16bは、この実施形態では、底壁13の上面から下面に貫通するようにあけられた孔から構成されている。
【0029】
第3ロック片受容孔は、第3短ロック片受容孔16aと、第3長ロック片受容孔16bとから構成されている。
【0030】
第3短ロック片受容孔16aは、図5に示すように、その前後の長さL4が上記第1ロック片受容孔14のその長さL1と同じに設定され、その幅W4が上記第1ロック片受容孔14の幅W1よりも広く設定されている。
【0031】
第3長ロック片受容孔16bは、その前後の長さL5が上記第3短ロック片受容孔16aのその長さL4の2倍に設定され、又、幅W5(長手方向に直交する方向の長さ)が上記第3短ロック片受容孔16aの幅W4と同じに設定されている。
【0032】
そして、第3短ロック片受容孔16aと第3長ロック片受容孔16bとは、図4に示すようにロアレール1の後端側(他端側)から前方側にかけて長手方向に沿って交互に配設されている。
【0033】
又、第3短ロック片受容孔16aと第3長ロック片受容孔16bとの長手方向の距離L6は、第3短ロック片受容孔16aの長さL4と同じに設定されている。
【0034】
第1ロック片受容孔14は、全部のロック片受容孔14〜16bの内で、最も幅の狭い最幅狭ロック片受容孔をなすもので、この実施形態では、第2ロック片受容孔15及び第3ロック片受容孔16a、16bよりも前方側になるようにしてロアレール1の前端側(一端側)に配設されており、第1ロック片受容孔14は、全部のロック片受容孔14〜16bの内で、最前方に配設されている。
【0035】
第2ロック片受容孔15は、その幅W2が上記第1ロック片受容孔14の幅W1よりも広く、且つ、第3短ロック片受容孔16aの幅W4よりも狭くなるように設定されている。
【0036】
又、この実施形態では、第2ロック片受容孔15の後方側に、第2ロック片受容孔15と連通するように形成された連通孔17が設けられている。この連通孔17は、その前後の長さL3及び幅W3が上記第3短ロック片受容孔16aの長さL4、幅W4夫々と同じに設定されている。従って、この連通孔17と第2ロック片受容孔15との全体としての前後の長さは、第3長ロック片受容孔16bの長さL5と同じである。
【0037】
そして、この連通孔17と第2ロック片受容孔15とは、第1ロック片受容孔14と第3短ロック片受容孔16aとの間に、第2ロック片受容孔15と第1ロック片受容孔14との距離L7及び連通孔17と第3短ロック片受容孔16aとの距離L8が上記距離L6と同じだけ隔てるようにして配設されている。
【0038】
アッパーレール2は、図1〜図4に示すように、ロアレール1とほぼ同じ長さの長尺状のものから構成されており、自動車のシート(図示せず)に固定的に取り付けられてロアレール1の長手方向に沿ってスライド可能に配置される。そして、アッパーレール2がロアレール1をスライドすることにより、自動車のシートが前後方向に移動可能とされる。
【0039】
このアッパーレール2は、図3に示すように左右方向に距離を持って対向配置された左右の両側壁21と、それらの上端側(基端側)を連結した上壁23とを備えている。
【0040】
尚、この実施形態では、左右の両側壁21は、上壁23の左右両端から下方に折り曲げ成形されているとともに、その下先端側から外側上方に折り曲げられた折り返し片26を備えたものとされている。
【0041】
また、上壁23には、図7に示すようにロック片3a〜3cを上下方向移動可能に通したロック片挿通孔23aが設けられている。
【0042】
次に、ロック片3a〜3cについて説明する。この実施形態では、同一構成を採る2つの第1ロック片3aと、同一構成を採る2つの第2ロック片3bと、1つの第3ロック片3cとの合計5つのロック片から構成されている。
【0043】
第1ロック片3aは、夫々、図6(a)に示すように、下部側に、ロアレール1のロック片受容孔14〜16bを出入りする幅狭ロック爪部31aを備え、上部側に、後述のロック解除操作部材のロック片操作部材41に押し上げ操作される被操作部32を備えている。
【0044】
幅狭ロック爪部31aは、上記第1ロック片受容孔14の幅に対応して形成されており、その幅W6が上記第1ロック片受容孔14の幅W1と略同じで、又、図7に示すようにその厚さt1が上記第1ロック片受容孔14の前後の長さL1と略同じとされている。
【0045】
これにより、上記第1ロック片受容孔14に入り込み得るようになっているとともに、第2ロック片受容孔15、連通孔17、第3ロック片受容孔の第3短ロック片受容孔16a及び第3長ロック片受容孔16bの夫々に入り込み得るようになっている。
【0046】
第2ロック片3bは、夫々、図6(b)に示すように、下部側に、ロアレール1のロック片受容孔15〜16bを出入りする中間幅ロック爪部31bを備えている。
【0047】
この中間幅ロック爪部31bは、上記第2ロック片受容孔15の幅に対応して形成されており、その幅W7が上記第2ロック片受容孔15の幅W2と略同じとされている。
【0048】
従って、この中間幅ロック爪部31bは、上記第2ロック片受容孔15、連通孔17、第3ロック片受容孔の第3短ロック片受容孔16a及び第3長ロック片受容孔16bの夫々に入り込み得るようになっている。第2ロック片3bのその他は、第1ロック片3aと同じ構成を採っている。
【0049】
第3ロック片3cは、夫々、図6(c)に示すように、下部側に、ロアレール1のロック片受容孔の第3短ロック片受容孔16a及び第3長ロック片受容孔16bを出入りする幅広ロック爪部31cを備えている。
【0050】
この幅広ロック爪部31cは、上記第3ロック片受容孔16a、16bの幅に対応して形成されており、その幅W8が上記第3ロック片受容孔16a、16bの幅W4、W5と同じとされている。
【0051】
従って、この幅広ロック爪部31cは、上記第3ロック片受容孔の第3短ロック片受容孔16a及び第3長ロック片受容孔16bの夫々に入り込み得るようになっている。幅広ロック爪部31cのその他は、第1ロック片3aと同じ構成を採っている。
【0052】
このように構成されたロック片3a〜3cは、図7に示すようにその厚さ方向をアッパーレール2の長手方向に沿って、ロック爪部31a、31b、31cの幅が最も狭い第1ロック片3aから順次、後方側に並べられるように配設され、保持部材7を介してアッパーレール2に上下方向移動可能に保持されている。
【0053】
詳しくは、第1ロック片3a〜第3ロック片3cは、互いにほとんど間隔を隔てないで前後方向に1列に並べられるようにして、保持部材7に上下方向移動可能に保持されている。又、保持部材7に保持された第1ロック片3a〜第3ロック片3cは、夫々、図3、図9に示すようにロック片付勢部材としてのコイルスプリング33によって保持部材7に対して下方側に付勢されている。
【0054】
そして、このようにして第1ロック片3a〜第3ロック片3cを保持した保持部材7は、アッパーレール2に固定的に取り付けられている。又、この状態で、第1ロック片3a〜第3ロック片3cは、夫々、アッパーレール2のロック片挿通孔23aに通されて被操作部32がアッパーレール2の上壁23の上方側に突出されているとともに、ロック爪部31a〜31cがロアレール1のロック片受容孔14〜15bに出入り可能とされている。
【0055】
次に、ロック解除操作部材40、41、42について説明する。ロック解除操作部材40、41、42は、ロック片3a〜3cをロック解除操作するためのもので、図1〜図5に示すように、ロック片3a〜3cを上記コイルスプリング33の付勢力に抗して押圧して押し上げるロック片操作部材41と、ロック片操作部材41を付勢する操作部材用付勢バネ40と、ロック片操作部材41を可動操作する操作体42とを備えている。
【0056】
ロック片操作部材41は、図9に示すようにその右端側(一端側、図の左端側)に、ロック片3a〜3cの被操作部32を押圧操作するロック片押圧部41aを備えている。
【0057】
このロック片押圧部41aは、図2に示すようにその前後方向の長さが5つのロック片3a〜3cの全体の前後方向の長さよりもやや長く設定されており、5つのロック片3a〜3cの被操作部32を同時に押圧できるようになっている。
【0058】
又、ロック片操作部材41は、その左端側(図で右端側)に、操作体42に押圧操作される被押圧操作部41bを備えている。このロック片操作部材41は、操作部材用支持部材20を介してアッパーレール2の上壁23に回動自在に取り付けられている。
【0059】
詳しくは、アッパーレール2の上壁23には、ロック片3a〜3cを上方側から覆うようにして配設された操作部材用支持部材20が固定的に設けられている。そして、ロック片操作部材41は、図9に示すように、ロック片押圧部41aと被押圧操作部41b及び係止片41cとの間に設けられた孔からなる軸支部41dが操作部材用支持部材20に軸支されるようにして、アッパーレール2の上壁23に回動自在に取り付けられ、これにより、ロック片押圧部41a、被押圧操作部41bが夫々、上下方向に回動できるようになっている。
【0060】
そして、被押圧操作部41bが下方側に押し下げられるとロック片押圧部41aが上方側に回動するようになっている。又、この上方側への回動に際してロック片押圧部41aがロック片3a〜3e夫々の被操作部32を押圧してロック片3a〜3c夫々を上方に押し上げる。
【0061】
操作部材用付勢バネ40は、一端側が操作部材用支持部材20に係止され、他端側がロック片押圧部41における軸支部41dよりも被押圧操作部41b側の部分に取り付けられている。
【0062】
これにより、操作部材用付勢バネ40の付勢力によって、ロック片操作部材41は、図9の反時計方向に付勢され、被押圧操作部41bが常時上方側に、ロック片押圧部41aが常時下方側に、夫々、付勢されている。
【0063】
操作体42は、この実施形態では、図1、図2に示すように、丸棒体をほぼU字状に折り曲げ成形したものから構成されている(図1、図2では、左半分だけがL字状に表されている)。
【0064】
そして、この操作体42は、その前端に操作把持部42aを備え、操作体42の左右の後端に、夫々、右スライド部10a、左スライド部のロック片操作部材41の被押圧操作部41bを押圧する押圧部42bを備えている。
【0065】
操作把持部42aは、図示しないシートの前端側の下方側に配置されるようになっており、シートに座った着座者が座った状態で操作把持部42aを把持操作できるようになっている。また、押圧部42bは、図1、図9に示すように被押圧操作部41bの上方側に、略当接状態に配置されている。
【0066】
そして、この操作体42は、この実施形態では、軸43を介して回動自在に配置されている。詳しくは、シートに軸43が固定されている。そして、操作体42は、操作把持部42aと押圧部42bとの中間部がその軸43を支点に回動できるようになっている。
【0067】
これにより、着座者によって操作把持部42aが上方側に押し上げ操作されると、押圧部42bが下方側に移動して被押圧操作部41bを下方側に押圧するようになっている。
【0068】
尚、この実施形態の操作体42は、図示しない操作体用付勢バネによって操作把持部42aが下方側に付勢されるようになっており、操作把持部42aが手で上方側に引き上げられた後、その手が放されると、その操作体用付勢バネの付勢力によって、操作把持部42aが元の図9の状態にまで戻されるようになっている。
【0069】
次に、この実施形態の自動用シートスライドロック装置の動作について説明する。尚
、説明の都合上、第1ロック片3aが第1ロック片受容孔14に、第2ロック片3bが第2ロック片受容孔15に、第3ロック片3cが連通孔17に、夫々、入った図7に示すロック状態から説明する。
【0070】
ロック状態から、着座者によって、操作体42の操作把持部42aが引き上げ操作されると、図3に示すように押圧部42bによって、被押圧操作部41bが下方側に押圧される。
【0071】
これにより、ロック片押圧部41aが全部のロック片3a〜3cの被操作部32と当接して全てのロック片3a〜3cをコイルスプリング33の付勢力に抗して上方に押し上げる。この状態で、例えば図8に示すように全てのロック片3a〜3cのロック爪部31a〜31cがロック片受容孔14〜16bから出てロック片3a〜3cの下端がロアレール1の底壁13から上がった状態になり、ロック解除状態になる。
【0072】
そして、この状態で、アッパーレール2は、ロアレール1に対してスライド可能状態になり、例えばシートが着座者によって前方側に押圧されるとアッパーレール2がロアレール1に対して前方側にスライドしてシートが前方側に移動する。
【0073】
そして、図示しないが、第3ロック片3cが第1ロック片受容孔14の前方位置に来るまでシートが前方側に移動すると、その位置で、ロック片3a〜3cが入り込むためのロック片受容孔が配設されていないため、ロック解除状態を維持する。
【0074】
一方、この状態からシートを後方側に戻す場合は、シートを後方側に押圧する。これにより、シートを後方側に移動させることができる。そして、第3ロック片3cが第1ロック片受容孔14の上方位置にきても、第3ロック片3cのロック爪部31cの幅W8が第1ロック片受容孔14の幅W1よりも広いため、第1ロック片受容孔14に入り込むことなくその上方位置を通過する。
【0075】
更に、シートが後方側に移動して、第3ロック片3cが第2ロック片受容孔15の上方位置にくるとともに、第2ロック片3bが第1ロック片受容孔14の上方位置にきた場合、この場合も、図10に示すように第3ロック片3cのロック爪部31cの幅W8が第2ロック片受容孔15の幅W2よりも広く、又、図9に示すように第2ロック片3bのロック爪部31b幅W7が第1ロック片受容孔14の幅W1よりも広いため、第3ロック片3c及び第2ロック片3bは夫々、それらに入り込むことなくその上方位置を通過する。
【0076】
更に、シートが後方側に移動して、図7に示すように、第3ロック片3cが連通孔17に合致すると第3ロック片3cが連通孔17に入り込む。また、それと同時に、第2ロック片3bが第2ロック片受容孔15に合致して第2ロック片受容孔15に入り込むとともに、第1ロック片3aが第1ロック片受容孔14に合致して第1ロック片受容孔14に入り込んでロック状態になる。
【0077】
従って、第3ロック片3cが第1ロック片受容孔14の前方位置にきた状態からのシートの後方側への移動に際し、常時3つのロック片3a〜3cがロック片受容孔14〜16bのいずれかに入り込んでロック状態にでき、従来のように、1つのロック片だけがロック片受容孔に入り込んでロック状態になるようなことを防止できる。
【0078】
よって、1つのロック片だけがロック片受容孔に入り込んでロック状態した場合のようにロック片が折損し、或いはロック片受容孔が破壊するようなことを確実に防止できる。
【0079】
尚、上記実施形態では、第2ロック片受容孔15に連通孔17を設けたものとしているが、この形態のものに限らず、第2ロック片受容孔15に連通孔17を設けないものとしてもよく、適宜変更できる。
【0080】
例えば図11に示すように、第2ロック片受容孔150を、第1ロック片受容孔140よりも幅広に、第3ロック片受容孔160よりも幅狭に形成するとともに、第3ロック片受容孔160を、全て第1ロック片受容孔140と同幅に形成する。このようにしても、第3ロック片3cが第1ロック片受容孔140の前方位置にきた状態からのシートの後方側への移動に際し、常時2つ以上のロック片3a〜3cがロック片受容孔140〜160のいずれかに入り込んでロック状態にできる。
【0081】
又、上記実施形態では、幅の異なる3種類からなる5つのロック片から構成したが、この形態のものに限らず、幅の異なる2種類のものからなる4つ以上のロック片から構成でき、適宜変更できる。
【0082】
例えば図12、図13に示すように、ロック片を、同一構成の2つの第1ロック片230aと、同一構成の2つの第2ロック片230bから構成するとともに、ロック片受容孔を、1つの第1ロック片受容孔214と、第1ロック片受容孔214よりも幅広な複数の第2ロック片受容孔215とから構成する。
【0083】
各第2ロック片230bは、その中間幅ロック爪部231bの幅が第1ロック片230aの幅狭ロック爪部230aの幅よりも広く設定されている。
【0084】
第1ロック片受容孔214は、その幅が幅狭ロック爪部231aの幅よりも広く、且つ中間幅ロック爪部231bの幅よりも狭く設定され、第1ロック片230aの幅狭ロック爪部231aを受容可能且つ第2ロック片230bの中間幅ロック爪部231bを受容不能になっている。
【0085】
このようにしても、常時2つ以上のロック片230a、230bがロック片受容孔214,215のいずれかに入り込んだロック状態にできる。
【0086】
又、上記実施形態では、第1ロック片をアッパーレールの前端側に、第2ロック片を、その第1ロック片の後方側に、第3ロック片を、その第2ロック片の後方側に、夫々設け、それらのロック片の並びに対応させて第1ロック片受容孔を、ロアレールの前端側に、第2ロック片受容孔を、その第1ロック片受容孔の後方側に、第3ロック片受容孔を、その第2ロック片受容孔の後方側に、夫々設けたが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0087】
例えば第1ロック片をアッパーレールの後端側に、第2ロック片を、その第1ロック片の前方側に、第3ロック片を、その第2ロック片の前方側に、夫々設け、それらのロック片の並びに対応させて第1ロック片受容孔を、ロアレールの後端側に、第2ロック片受容孔を、その第1ロック片受容孔の前方側に、第3ロック片受容孔を、その第2ロック片受容孔の前方側に、夫々設ける。
【0088】
又、上記実施形態では、ロック片受容孔をロアレールに設け、ロック片をアッパーレールに保持させているが、ロック片受容孔をアッパーレールに設け、ロック片をロアレールに保持させるようにしても良く、適宜変更できる。
【符号の説明】
【0089】
1 ロアレール
2 アッパーレール
3a 第1ロック片
3b 第2ロック片
3c 第3ロック片
14 第1ロック片受容孔(第1ロック片受容部)
15 第2ロック片受容孔(第2ロック片受容部)
16a 第3短ロック片受容孔(第3ロック片受容部)
16b 第3長ロック片受容孔(第3ロック片受容部)
17 連通孔
31a 幅狭ロック爪部
31b 中間幅ロック爪部
31c 幅広ロック爪部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロアレールとそのロアレールの長手方向に沿って移動可能なアッパーレールとのいずれか一方に設けられ厚さ方向を前記一方の長手方向に沿わせるようにして1列状に並列されたロック爪部を有する複数のロック片と、前記いずれか他方に設けられ前記ロック片夫々のロック爪部を受容する複数のロック片受容部とを備えたシートスライドロック装置であって、
前記ロック片は、前記ロック爪部の幅が異なる複数の種類のものから構成され、
前記ロック片受容部は、前記ロック爪部夫々の幅に対応するように形成された幅の異なる複数の種類のものから構成されていることを特徴とするシートスライドロック装置。
【請求項2】
前記ロック片は、前記ロック爪部の幅が狭いものから順次、前記一方の長手方向に沿って配設され、
前記ロック片受容部は、前記ロック爪部の幅が狭いものから順次並んだロック片に対応して前記他方の長手方向の一端側から他端側に、又は、他端側から一端側に、幅の狭いもの順に並ぶようにして、最も幅が狭い最幅狭ロック片受容部に、当該最幅狭ロック片受容部と対応したロック爪部を有するロック片が入り込む際に同時にその最幅狭ロック片受容部に隣接したロック片受容部に当該ロック片受容部と対応したロック爪部を有するロック片が入り込み得るように配設されていることを特徴とする請求項1記載のシートスライドロック装置。
【請求項3】
前記ロック片は、幅狭ロック爪部を有する第1ロック片と、前記幅狭ロック爪部よりも幅広な幅広ロック爪部を有する第3ロック片と、前記第1ロック片と第3ロック片との間に配設され前記幅狭ロック爪部よりも幅広で、且つ、前記幅広ロック爪部よりも幅狭な中間幅ロック爪部を有する第2ロック片とを備え、
前記ロック片受容部は、前記幅狭ロック爪部に対応し前記幅狭ロック爪部を受容可能、且つ、前記中間幅ロック爪部及び幅広ロック爪部を受容不能な第1ロック片受容部と、前記中間幅ロック爪部に対応し前記中間幅ロック爪部及び幅狭ロック爪部を受容可能、且つ幅広ロック爪部を受容不能な第2ロック片受容部と、前記幅広ロック爪部に対応し前記幅広ロック爪部、幅狭ロック爪部及び中間幅ロック爪部を受容可能な第3ロック片受容部とを備え、
前記第1ロック片受容部は、第2ロック片受容部及び第3ロック片受容部よりも前記他方の長手方向の一端側又は他端側になるように配設され、
前記第2ロック片受容部は、前記他方の長手方向における前記第1ロック片受容部と第3ロック片受容部との間に配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のシートスライドロック装置。
【請求項4】
前記第2ロック片受容部には、前記幅狭ロック爪部、中間幅ロック爪部及び幅広ロック爪部を受容可能に、当該第2ロック片受容部の幅よりも広く形成された連通孔が設けられ、
前記連通孔は、前記第2ロック片受容部と連通するようにして前記第2ロック片受容部と第3ロック片受容部との間に配設されていることを特徴とする請求項3記載のシートスライドロック装置。
【請求項1】
ロアレールとそのロアレールの長手方向に沿って移動可能なアッパーレールとのいずれか一方に設けられ厚さ方向を前記一方の長手方向に沿わせるようにして1列状に並列されたロック爪部を有する複数のロック片と、前記いずれか他方に設けられ前記ロック片夫々のロック爪部を受容する複数のロック片受容部とを備えたシートスライドロック装置であって、
前記ロック片は、前記ロック爪部の幅が異なる複数の種類のものから構成され、
前記ロック片受容部は、前記ロック爪部夫々の幅に対応するように形成された幅の異なる複数の種類のものから構成されていることを特徴とするシートスライドロック装置。
【請求項2】
前記ロック片は、前記ロック爪部の幅が狭いものから順次、前記一方の長手方向に沿って配設され、
前記ロック片受容部は、前記ロック爪部の幅が狭いものから順次並んだロック片に対応して前記他方の長手方向の一端側から他端側に、又は、他端側から一端側に、幅の狭いもの順に並ぶようにして、最も幅が狭い最幅狭ロック片受容部に、当該最幅狭ロック片受容部と対応したロック爪部を有するロック片が入り込む際に同時にその最幅狭ロック片受容部に隣接したロック片受容部に当該ロック片受容部と対応したロック爪部を有するロック片が入り込み得るように配設されていることを特徴とする請求項1記載のシートスライドロック装置。
【請求項3】
前記ロック片は、幅狭ロック爪部を有する第1ロック片と、前記幅狭ロック爪部よりも幅広な幅広ロック爪部を有する第3ロック片と、前記第1ロック片と第3ロック片との間に配設され前記幅狭ロック爪部よりも幅広で、且つ、前記幅広ロック爪部よりも幅狭な中間幅ロック爪部を有する第2ロック片とを備え、
前記ロック片受容部は、前記幅狭ロック爪部に対応し前記幅狭ロック爪部を受容可能、且つ、前記中間幅ロック爪部及び幅広ロック爪部を受容不能な第1ロック片受容部と、前記中間幅ロック爪部に対応し前記中間幅ロック爪部及び幅狭ロック爪部を受容可能、且つ幅広ロック爪部を受容不能な第2ロック片受容部と、前記幅広ロック爪部に対応し前記幅広ロック爪部、幅狭ロック爪部及び中間幅ロック爪部を受容可能な第3ロック片受容部とを備え、
前記第1ロック片受容部は、第2ロック片受容部及び第3ロック片受容部よりも前記他方の長手方向の一端側又は他端側になるように配設され、
前記第2ロック片受容部は、前記他方の長手方向における前記第1ロック片受容部と第3ロック片受容部との間に配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のシートスライドロック装置。
【請求項4】
前記第2ロック片受容部には、前記幅狭ロック爪部、中間幅ロック爪部及び幅広ロック爪部を受容可能に、当該第2ロック片受容部の幅よりも広く形成された連通孔が設けられ、
前記連通孔は、前記第2ロック片受容部と連通するようにして前記第2ロック片受容部と第3ロック片受容部との間に配設されていることを特徴とする請求項3記載のシートスライドロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−245875(P2012−245875A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118947(P2011−118947)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000109738)デルタ工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000109738)デルタ工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
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