説明

シートトレイおよび画像形成装置

【課題】 コネクタやハーネスを用いることなく用紙の残量を検出することができるシートトレイ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 用紙トレイ31a(31b、31c)の側面部314に圧力センサ200を設け、発信部111から圧力センサ200に電波を発信する。発信部111から送信される電波は、圧力センサ200において電気信号に代えて受信され、弾性表面波に変換される。この弾性表面波は圧力センサ200に加わった圧力の変化によって、振幅、位相差、周波数等が変化する。この弾性表面波の変化を電気信号として受信部112で受信し、制御部70は電気信号の変化を解析する。そして解析した情報を元に制御部70は用紙トレイ31a内の用紙残量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等に用いるシートトレイおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては通常、給紙トレイが備えられている。画像形成装置は給紙トレイに載置された用紙を搬送路上に搬送し、各機器において画像形成を行う。その際、給紙トレイに載置されている用紙がなくなってしまうとユーザは作業を中断しなくてはならず、作業の効率を低下させるという問題があった。そこで、特許文献1には給紙トレイの底部に感圧センサを設け、給紙トレイに載置された用紙の給紙トレイ底部にかかる圧力を検知することにより、給紙トレイ内の用紙の残量を把握するという技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−323839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では感圧センサは着脱可能なコネクタを介して画像形成装置本体と電気的接続されているため、画像形成装置の使用を重ねる程、コネクタ部の腐食や摩耗による接触不良が起こり、給紙トレイ内の用紙の残量を検知することが難しくなるという虞があった。また、センサ部までハーネスを引き回す必要があり、センサを設置することはコストアップの原因となっていた。また、複数のセンサを設けようとした場合、ハーネスも複数になるため、ハーネスを収納するスペースを必要とし、設計の自由度が制限されるという問題があった。特に、給紙トレイは本体から引き出された状態で用紙の補給が行われるため、コネクタやハーネスが本体とつながっている場合は、断線等の問題も発生した。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタやハーネスを用いることなく用紙の残量を検出することができるシートトレイ及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、本発明は、シートを積層して収容するとともに、積層される前記シート端部の位置を規制する側壁を有するシート収容部と、前記側壁に前記シートの積層方向に沿って所定位置に設けられ、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として近傍の物理量を反映した属性を持つ電波を生成して出力する1または複数のワイヤレス測定手段とを具備するシートトレイを提供する。
【0006】
このシートトレイによれば、ワイヤレス測定手段が近傍の物理量を反映した属性を持つ電波を生成し出力するため、シートトレイを目視することなく、ユーザはシートトレイ内の情報を把握することができる。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、前記ワイヤレス測定手段は、電波信号が供給されると、それをエネルギー源として前記シートトレイにおける紙の状態を反映した情報と識別情報とを持った電波信号を生成して出力するものが好ましい。このような構成の検出手段としては、例えば、公知のRFID(Radio Frequency Identification)等を備えたパッシブ型ワイヤレスセンサなどがある。また、電波を受信して機械振動を発生させる励振部と、前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が変化する振動媒体部と、前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部とを備えるようにすることが、さらに好ましい。このようにすれば、ワイヤレス測定手段は、外部からの電波信号を元に機械振動を発生させるため、バッテリは不要である。従って、ワイヤレス測定手段にケーブルやハーネスを引き回す必要がない。また、振動媒体部によって発生された弾性表面波は物理量によって属性が変化するため、その弾性表面波が変換された電波信号を検知することで、シートトレイ内の物理量の変化を検出することができる。
【0008】
また、前記ワイヤレス測定手段は、前記物理量として前記シート端部から受ける圧力を検出する。このようにすれば、前記ワイヤレス測定手段がシート端部から圧力を受けるか否かによってシートトレイ内のシート残量を検出することができる。
【0009】
また、本発明は、シートを積層して収容するとともに、積層される前記シート端部の位置を規制する側壁を有するシート収容部と、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として音波を生成して近傍に出力する電波/音波変換手段、および前記電波/音波変換手段が出力した音波の反射波を受信し、これをエネルギー源として電波信号を生成して出力する音波/電波変換手段を有し、前記側壁に前記シートの積層方向に沿って所定位置に設けられる1または複数の送受信部とを具備するするシートトレイを提供する。このシートトレイによれば、電波/音波変換手段が出力した音波が音波/電波変換手段に到達したか否かによって電波/音波変換手段、音波/電波変換手段の間にシートが有るか否かを検出することができる。
【0010】
また、本発明は、シートを積層して収容するとともに、積層される前記シート端部の位置を規制する側壁を有するシート収容部と、前記側壁の所定位置に設けられ、所定の電波信号が供給されるとそれをエネルギー源として音波を生成して近傍に出力するとともに、前記音波の反射音波を受信するとそれをエネルギー源として電波信号を生成して出力する変換手段を有し、前記側壁に前記シートの積層方向に沿って所定位置に設けられる1または複数の送受信部とを具備するシートトレイを提供する。このシートトレイによれば、生成した音波を近傍に出力するとともに、シートまたは側壁によって反射した音波をエネルギー源として電波信号を生成して出力する。
【0011】
また、本発明の好ましい態様においては、請求項1から4いずれかに記載のシートトレイから搬送されたシートに画像形成を行う画像形成装置であって、前記ワイヤレス測定手段から出力される無線信号を受信し、この受信した無線信号に基づいてシートトレイ内のシートの量を検出するシート量検出手段を具備する画像形成装置を提供する。この画像形成装置によれば、受信した電波信号に基づいて、シート量検出手段がシートトレイ内のシート量を検出するため、その検出結果を元にユーザにシート残量を報知することができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様においては、請求項5に記載のシートトレイから搬送されたシートに画像形成を行う画像形成装置であって、前記電波/音波変換手段に前記所定の電波信号を出力するとともに、前記音波/電波変換手段から出力される電波信号を受信し、この受信した電波信号に基づいてシートトレイ内のシートの量を検出するシート検出手段を具備する画像形成装置を提供する。
【0013】
また、本発明の好ましい態様においては、請求項6に記載のシートトレイから搬送されたシートに画像形成を行う画像形成装置であって、前記変換手段に前記所定の電波信号を出力した後の所定のタイミングにおいて前記変換手段から電波信号を受信し、この受信した電波信号に基づいてシートトレイ内のシートの量を検出するシート検出手段を具備する画像形成装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
(1:装置構成)
図1は、実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示した図である。この画像形成装置1は、例えばカラープリンタやカラー複写機、或いはこれらの複数の機能を兼ね備えた複合機等である。図1に示すように、画像形成装置1の構成は、画像形成ユニット10と、画像読取ユニット20と、用紙供給ユニット30とに大別される。さらに、画像形成装置1は、ユーザが各種の操作を行うためのユーザインタフェース装置50を備えている。このユーザインタフェース装置50は、タッチパネルとして機能する液晶ディスプレイを備えており、ユーザはこの液晶ディスプレイに触れることで各種操作を行うことができる。また、画像形成装置1は各部を制御する制御部70を備えている。
【0015】
用紙供給ユニット30は、用紙トレイ31a,31b,31cといった用紙供給源と、この用紙供給源から図中の点線Sによって示される搬送路を経由して画像形成ユニット10へ用紙を搬送するための搬送ロール34a〜34cやレジストロール34dとを備えている。より具体的には、用紙トレイ31a,31b,31cにそれぞれ収容された用紙P1,P2,P3は、各用紙トレイ31a,31b,31cに設けられた給紙ロール311a,311b,311cによって1枚ずつ搬送路Sに送り出され、さらに、搬送ロール34a〜34cやレジストロール34dによって画像形成ユニット10へと搬送される。
【0016】
用紙トレイ31aの斜視図を図2に示す。
図2(a)に示すように、用紙トレイ31aは用紙ガイド312と、用紙ガイド313と、側面部(側壁)314と、側面部315とで構成されている。また、用紙ガイド312、用紙ガイド313そして側面部314によって囲まれた用紙配置部316に用紙を配置するようになっている。用紙配置部316に用紙を配置した様子を図2(b)に示す。この図に示すように、用紙P1の端部は側面部314と用紙ガイド312、313によってその位置が規定されている。また、側面部314には、ワイヤレスの圧力センサ200が設けられている。圧力センサ200は図1に示した発信部111から電波の供給を受けると、用紙P1から受ける圧力に対応する電波信号を受信部112に出力する。なお、用紙トレイ31b、31cは用紙トレイ31aと同様の構成を呈しているため、以下の説明においては用紙トレイ31aについてのみ行う。
【0017】
画像読取ユニット20は、原稿送り装置21と、CCD(Charge Coupled Device)等により構成される光学系部材22とを備えている。画像読取ユニット20は、原稿送り装置21によって図示せぬプラテンガラスに順番に載置される原稿の画像を光学系部材22によって読み取り、読み取った画像を表す画像データを生成する。また、画像形成装置1は図示しない通信インタフェースを介してLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されており、パーソナルコンピュータやサーバマシンなどのホスト装置からLANを経由して送信されてくる画像データを受信する。画像形成ユニット10は、画像読取ユニット20によって生成された画像データや、通信インタフェースを介して受信した画像データに基づいて画像形成処理を行う。
【0018】
次に、画像形成ユニット10は、感光体ドラム11と、帯電装置12と、露光装置13とを備えている。感光体ドラム11の外周面(ドラム表面)には感光層が形成されており、この感光体ドラム11は図示せぬ駆動機構によって図中矢印a方向に回転させられる。帯電装置12は、例えばロール型帯電装置やコロトロン型帯電装置であり、感光体ドラム11の表面を所定の電位に一様に帯電させる。露光装置13は、一様に帯電した感光体ドラム11に対し、画像データに応じて変調されたレーザ光を照射し、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
【0019】
また、画像形成ユニット10はロータリー現像装置14と、クリーニング装置15と、中間転写ベルト16とを備えている。ロータリー現像装置14は、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー(現像剤)をそれぞれ収容する現像器14Y,14M,14C,14Kを備えている。このロータリー現像装置14が図示せぬ駆動機構によって図中矢印b方向に回転させられることにより、これら4つの現像器14Y,14M,14C,14Kは順番に感光体ドラム11と近接した位置に移動させられる。そして、各現像器14Y,14M,14C,14Kに収容された各トナーが、それぞれの色に対応する静電潜像に電気的に転移させられることによって、感光体ドラム11の表面にトナー像が形成される。感光体ドラム11近傍に設けられたクリーニングブレード15は、一次転写後の感光体ドラム11表面に残ったトナーを除去する。
【0020】
中間転写ベルト16は、無端のベルト部材であり、その内周面を複数の支持ロール17(図1では2つ)と一次転写ロール18と二次転写ロール19とによって張架された状態で、矢印c方向に循環走行させられる。一次転写ロール18は、感光体ドラム11との間で中間転写ベルト16を挟持しつつ、感光体ドラム11表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト16の外周面に転写(一次転写)する。二次転写ロール19は、対向ロール40との間に形成されるニップ領域において、中間転写ベルト16の外周面に転写されているトナー像を用紙へ転写(二次転写)する。また、画像形成ユニット10はベルトクリーナ23を保持しており、二次転写後の中間転写ベルト16の表面に残留しているトナーを除去する。
【0021】
定着装置53は、搬送路Sを挟んで互いに対向する定着ロール51及び加圧ロール52を備えている。定着ロール51の内部には例えばハロゲンランプ等の熱源が設けられており、定着ロール51の表面温度が所定の温度となるようにロールの内部から加熱する。加圧ロール52は、図示せぬ加圧バネ等によって定着ロール51の方向に付勢されている。定着装置53は、トナー像が二次転写された用紙に対し、定着ロール51及び加圧ロール52によって圧力を加えながら急速に加熱することによってトナー像を用紙に定着させる。この定着処理がなされた後に、用紙はガイド44に搬送され、排紙ロール43a,43bによって排紙トレイ46に排出される。
【0022】
図3は制御部70の構成を示すブロック図である。制御部70は通信インタフェース74を介して発信部111、受信部112と接続されている。発信部111は制御部70の制御の下に電波を送信する。受信部112は圧力センサ200から電波が送信されると、通信インタフェース74に電波受信信号を出力する。ここで、制御部70は受信した信号をデジタル信号化する信号変換部と、信号変換部から出力されるデジタル信号に基づき、解析・演算を行う機能を備えている。また、制御部70はCPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72、RAM(Random Access Memory)73等を具備して構成される。ROM72には、画像形成ユニット10、画像読取ユニット20および用紙供給ユニット30を制御する制御プログラムと、圧力センサ200が検出した結果に基づいて圧力を算出する演算機能等を実行するためのプログラムが格納されている。RAM73はCPU71が前記プログラムを実行する際のワークエリアとして利用される。また、記憶部75には受信した電波信号の周波数の変化分から用紙トレイ31aの圧力センサ200部分に用紙が有るか否かを算出するためのテーブル(または換算式)が記憶されている。
【0023】
(2:圧力センサ)
次に圧力センサ200について説明する。
(2−1:圧力センサの構造)
図4は圧力センサ200の構成を示している。圧力センサ200は、基台となるSi基板201と、該Si基板201上に酸化膜21Aを介して形成され、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)が伝播する誘電体薄膜202と、一対の櫛型電極(IDT:Inter-digital Transducer)23A,23Bと、この一対の櫛型電極23A,23Bの一方にインピーダンスマッチング部25A,25Bを介して接続され、発信部111、受信部112との間で電波の授受を行う送受信部としてのアンテナ24A,24Bと、一対の櫛型電極23A,23Bの他方に接続されたグランド26A,26Bと、Si基板201の裏面に形成され、グランド26A,26Bにスルーホール(図示しない)を介して接続されたグランド電極7とを具備して構成されている。また、圧力センサ200は誘電体薄膜上に重圧部27を有している。
【0024】
また、Si基板201の裏面側には異方性エッチングにより54.75度のテーパ面をなして凹部が形成されており、この底の部分が脆弱部となって重圧部27を介して加えられる外部からの圧力に反応するダイヤフラム21Bとなる。図面では、酸化膜21Aは便宜上厚く描写しているが、実際にはSi基板201と誘電体薄膜202との間での絶縁を確保できる厚さであればよい。
【0025】
ここで、圧力センサ200では、図4に示した誘電体薄膜202の材料にLiTaO3を使用する。このLiTaO3の結晶は、弾性表面波の伝搬速度が温度変化に対して変化が少ない材質で、その温度係数は約18.0×10-6/℃となる。LiNbO3の結晶に対して温度係数は約1/4と小さく10℃の温度変化に対してSAWの変化率は0.005%程度となる。
【0026】
ダイヤフラム21B上には酸化膜21Aを介して誘電体薄膜202が配置されるため、このダイヤフラム21Bに外部から重圧部27を介して例えば2barの圧力が加わると、ダイヤフラム21Bが変形し、櫛型電極23A,23Bの電極間の幅を変えると共に、SAWの速度が変化して中心周波数f0に対して周波数を0.2%程度変化させる。また、測定対象物の温度変化が著しい場合、温度センサとの併用で補正することも可能となる。
以上のように、この圧力センサ200は、中心周波数f0に対して約0.2%程度周波数が変化することが検知されている。
【0027】
また、櫛型電極23A,23Bの形状及び大きさは、外部の発信部111から送信される電波の中心周波数f0に合わしたBPF(バンドパスフィルタ)として機能させるため、受信部112により受信した電波の強度は、周波数の変化によりシフトされることになる。このワイヤレスセンサでは、圧力変化に応じて受信部112における受信信号の強度が線形的に変化する圧力センサを実現する。
なお、この圧力センサ200では、基板に凹部を形成して底部をダイヤフラムとしているが、酸化膜21Aのみでダイヤフラム21Bとしてもよく。外部から加わる圧力が誘電体薄膜202に直接的或いは間接的に作用する形状であればよい。
【0028】
(2−2:圧力センサの測定動作)
次に、基本的な測定動作について説明する。なお、図4(a)に示す圧力センサ200の平面図において、便宜上、信号が図面向かって左側から右側に移動するものとするが、実際には信号の流れには方向性がある訳ではない。
【0029】
この圧力センサ200は、発信部111との間、受信部112との間で電波信号の授受を行う。発信部111から送信される電波信号はアンテナ24Aで受信され、この信号により櫛型電極23Aが誘電体薄膜202を励振して機械振動を発生させる。この機械振動は、誘電体薄膜202表面に弾性表面波を発生させる。この弾性表面波は、櫛型電極23Aから櫛型電極23Bに向けて移動し、櫛型電極23Bに到達した弾性表面波は、櫛型電極23Bで電気信号に変換されてアンテナ24Bを経由して送信される。受信部112は、圧力センサ200からの電波信号を受信する。
【0030】
誘電体薄膜202の表面に発生する弾性表面波は、この誘電体薄膜202に加わった圧力の変化によって、振幅、位相差、周波数等(属性)が変化する。この弾性表面波を受信した受信部112は、この電波信号を電気信号に変換して制御部70に伝送する。制御部70では、この電気信号を解析することにより、圧力センサ200が受ける圧力を計測することが可能となる。なお、本実施形態においては、周波数の変化分から圧力センサ200が受ける圧力を計測する場合を示す。
【0031】
なお、用紙配置部316は本発明のシート収容部に相当し、圧力センサ200はワイヤレス測定手段に相当し、用紙トレイ31a〜31cはシートトレイに相当する。アンテナ24A及び櫛型電極23Aは本発明の励振部に相当し、誘電体薄膜202は振動媒体部に相当し、櫛型電極23B及びアンテナ24Bは送信部に相当する。また、制御部70は本発明のシート量検出手段に相当する。
【0032】
(3:第1実施形態の動作)
次に第1実施形態の動作について図5,図6を用いて説明する。ここで図5は圧力センサ200と用紙トレイ31aの側面部314との位置関係を示す側面図である。また、図6は制御部70が行う動作を示したフローチャートである。
図6に示すようにまず、制御部70は発信部111から電波を送信する(ステップSA2)。圧力センサ200は電波を受信すると、用紙P1から受ける圧力に対応した周波数を有する電波を生成して出力する。そして圧力センサ200から送信された電波を受信部112が受信すると(ステップSA4;YES)、制御部70は記憶部75に記憶されたテーブルから圧力センサ200によって計測された圧力を求める(ステップSA6)。さらに、この結果をRAM73に記憶する(ステップSA8)。ここで、図5(a)に示したように、用紙P1が圧力センサ200を覆う状態にあれば、用紙P1から受ける圧力により、圧力センサ200の出力信号値は高くなる。一方、図5(b)に示したように、用紙P1が圧力センサ200を覆う状態になければ圧力センサ200の出力信号値はほとんど0になる。制御部70は圧力値に基づき、圧力センサ200が設けられている部分に用紙P1が有るか否かを判断し、その結果をユーザインタフェース装置50に表示する(ステップSA10)。
【0033】
以上説明したように、本実施形態においては、圧力センサ200が用紙P1から受ける圧力を検知することにより、用紙トレイ31a内の用紙残量を検知することができる。従って、ユーザは画像形成を行う前に、用紙の残量を把握することができるので、作業途中で、用紙補充のために作業を中断しなくてはならない等の作業効率の低下を防ぐことができる。また、圧力センサ200はワイヤレスであるため、従来のようにケーブルを配設する必要がない。そのため、圧力センサ200を配置する場所を特定の場所にとどめることなく、自由に配置することができる。また、ケーブルの収納場所を設ける必要がないため、設計の自由度が上がる。
【0034】
なお、前述の実施形態においては、側面部314に圧力センサ200を設ける場合を示したが、図7に示すように、用紙ガイド312に設けてもよい。また、圧力センサ200を設ける高さ(用紙積載方向の高さ)は、用紙補充をすべきと考えられる任意の位置に設定することができる。
【0035】
また、圧力センサ200によって用紙の有無を検知するだけでなく、用紙の大きさを検知するようにしてもよい。つまり、A4の用紙と、B5の用紙を縦方向に揃え、端部を揃えて重ねた場合、A4の用紙とB5の用紙の幅には違いがある。その違いが生じる部分に前述の圧力センサ200を設けることにより、圧力センサが圧力を検知するか否かで用紙の大きさを判断するようにしてもよい。
【0036】
また、前述の実施形態においては、受信部112において受信した電波信号の周波数の変化分から、制御部70は、圧力センサ200が設置してある高さ以上に用紙P1があるか否かを判断する場合を示したが、電波信号の位相差または振幅から判断するようにしてもよい。
【0037】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、用紙トレイ31aの側面部314に1つの圧力センサ200(1つの周波数に対応した圧力センサ)を配置した場合を示したが、複数の圧力センサを設けるようにしてもよい。なお第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
(1:複数の圧力センサ)
複数の圧力センサについて図8を用いて説明する。
図8に示すように、圧力センサ200’は、形状の異なる櫛型電極23A−1,23B−1…23A−4,23B−4が形成されている。この圧力センサ200’においては、外部から送信される電波信号の周波数により複数の周波数に対応した弾性表面波が誘電体薄膜202上に発生する。
【0038】
例えば、櫛型電極23A−1,23B−1およびインピーダンスマッチング部25A,25Bで設定される弾性表面波の周波数をf1、櫛型電極23A−2,23B−2およびインピーダンスマッチング部25A,25Bで設定される弾性表面波の周波数をf2、櫛型電極23A−3,23B−3およびインピーダンスマッチング部25A,25Bで設定される弾性表面波の周波数をf3、櫛型電極23A−4,23B−4およびインピーダンスマッチング部25A,25Bで設定される弾性表面波の周波数をf4とする。
なお、この図8では、グランドおよびグランド電極の図示は省略して描いている。
【0039】
ここで、外部の発信部111から周波数f1の電波信号が送信されると、櫛型電極23Aでは、この周波数f1に対応した電極23A−1が機械振動を発生し、この機械振動によって誘電体薄膜202上に弾性表面波が発生する。この弾性表面波が電極23B−1に伝達される。電極23B−1に伝達される弾性表面波は、圧力の影響を受けてその属性が変化する。一方、他の櫛型電極23A−2,23B−2〜23A−4,23B−4においては、周波数f1に同調していないので、弾性表面波の発生やこれに基づく電波信号の送信は行われない。即ち、これらの櫛型電極23A−2,23B−2〜23A−4,23B−4は、各々周波数f2,f3,f4に同調するように設定されており、このため、周波数f2の電波を圧力センサ200’に送信した場合には、櫛型電極23A−2→23B−2という経路で弾性表面波が伝達され、この弾性表面波に対応した電波信号がアンテナ24Bを経由して出力される。
【0040】
同様に、周波数f3の電波信号を圧力センサ200’に送信した場合には、櫛型電極23A−3→23B−3という経路で弾性表面波が伝達されてアンテナ24Bを経由して出力され、周波数f4の電波信号を圧力センサ200’に送信した場合には、櫛型電極23A−4→23B−4という経路で弾性表面波が伝達されてアンテナ24Bを経由して出力される。
従って、周波数f1,f2,f3,f4の順で圧力センサ200’に電波を送信すれば、これらに対応する応答信号を得ることができる。またこの場合、櫛型電極23B−1,23B−2,23B−3,23B−4(出力側)から出力される信号の変化帯域(圧力による変化の幅)を重複しないように設定しておけば、周波数f1〜f4を同時に圧力センサ200’に出力しても、その応答信号として出力される4つの信号を分離して解析することができる。
【0041】
ここで、4カ所の測定対象a〜dに個々に配置された圧力センサ200−1,200−2,200−3,200−4とする。具体的には、圧力センサ200は、弾性表面波の周波数が、櫛型電極23A,23Bの形状で設定されるため、圧力センサ200−1には、図8に示した圧力センサ200’の櫛型電極23A−1,23B−1が形成され、圧力センサ200−2には圧力センサ200’の櫛型電極23A−2,23B−2が形成され、圧力センサ200−3には圧力センサ200’の櫛型電極23A−3,23B−3が形成され、圧力センサ200−4には圧力センサ200’の櫛型電極23A−4,23B−4が形成されるものとする。これにより、圧力センサ200の誘電体薄膜に発生する弾性表面波の周波数が、圧力センサ200−1がf1、圧力センサ200−2がf2、圧力センサ200−3がf3、圧力センサ200−4がf4となる。即ち、受信する電波信号の周波数f1〜f4によって圧力センサ200−1〜200−4が特定されることになる。
【0042】
そして、周波数f1の電波信号では測定位置aに配置された圧力センサ200−1による測定が、周波数f2の電波信号では測定位置bに配置された圧力センサ200−2による測定が、周波数f3の電波信号では測定位置cに配置された圧力センサ200−3による測定が、周波数f4の電波信号では測定位置dに配置された圧力センサ200−4による測定が可能となる。
このような圧力センサ200−1〜200−4を用紙トレイ31aの側面部314に設けることで、用紙トレイ31a内にある用紙の残量を段階的に検知することができる。
【0043】
(2:第2実施形態の動作)
次に図9〜図11を用いて、第2実施形態の動作について説明する。
図9は圧力センサ200−1〜200−4、発信部111、受信部112の位置関係を示す側面図である。
ここで制御部70内には、前述した機能に加え、複数の圧力センサ200−1〜200−4を認識するために、設定周波数f1〜f4近傍を抽出するBPF(バンドパスフィルタ)機能72aが格納されている。
【0044】
制御部70の動作を図10に示す。図10に示すように、制御部70は発信部111から電波を送信する(ステップSB2)。このとき発信部111は前述のように、圧力センサ200−1〜200−4に周波数f1、f2、f3およびf4の矩形状波を混合した電波を発信する。そして圧力センサ200−1〜200−4から送信された電波を受信部112が受信すると(ステップSB4;YES)、制御部70は圧力測定処理を行う(ステップSB6)。この圧力測定処理により、制御部70は側面部314の4箇所の圧力を検知する。そしてそれぞれの圧力センサが受ける圧力の値により、用紙の残量を検出する。図9においては、圧力センサ200―1、200−2は用紙P1から圧力を受けており、圧力センサ200−3、200−4は圧力を受けていない状態を示している。従って、制御部70は用紙P1の残量は圧力センサ200−2と圧力センサ200−3の中間地点までであると判断し、その旨をユーザインタフェース装置50に表示する(ステップSB8)。
【0045】
ここで、図11を用いて圧力測定処理の動作を詳細に説明する。
図10に示したステップSB4において、制御部70が受信部112から受信する信号は、圧力センサ200−1〜200−4から送信された異なる周波数が混合した電波信号である。まず、制御部70は図11において図示しないカウンタを「n=0」に設定する(ステップSC2)。そして制御部70は、周波数f1近傍を抽出するBPF処理を行い(ステップSC4)、予め記憶部75に記憶されたテーブルから圧力センサ200−1によって計測された圧力を算出する(ステップSC6)。さらに、この結果をRAM73に記憶する(ステップSC8)。
【0046】
制御部70はカウンタを歩進して「n=n+1」とする(ステップSC10)。このnが4以上になったか否かを判定する(ステップSC12)。この判定で、カウンタ値「4」未満の場合には各センサからの測定が終了していないために、ステップSC4以降の処理を続行する。
以上のような操作を行い、カウンタ値が「4」に達した場合には、4個のセンサに対しての測定結果が算出されたものとして、図10のルーチンにリターンする(ステップSC14)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、圧力センサを1つ設けた場合に比べ、ユーザはより詳細な用紙残量を把握することができる。また、本実施形態で用いる圧力センサはワイヤレスであるため、ケーブルを一切用いることなく圧力センサを増やすことができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、4つの圧力センサを用いる場合を示したが、4つに限らず、図12(a)に示すように、さらに多数の圧力センサを設けるようにしてもよい。図12(a)の領域aを拡大した図を図12(b)に示す。図12(b)は、用紙P1の残量が圧力センサ200fの高さまでである状態を示している。従って、圧力センサ200a〜200fにおいては、圧力を検知し、圧力センサ200g〜200iにおいては、圧力を検知しない。制御部70はこれらの圧力センサの検知結果を元に、用紙P1の残量は圧力センサ200fと圧力センサ200gの中間地点までであることを検出する。このように多数の圧力センサを設けることにより、用紙P1の残量を検知する分解能を高めることができる。そしてユーザはその情報を元にさらに細かく用紙を供給するタイミングを図ることができる。
また、圧力センサの数をさらに増やすことにより、分解能を用紙一枚単位まで高めることができる。
【0049】
また、用紙トレイ31aに収納されている用紙は、湿度変化、温度変化の影響を受け、波状になることもある。そこで、図12(c)に示すように、基準位置に対し、上下オフセットを持たせて複数の圧力センサを配置してもよい。そして、これらの圧力センサの出力信号を判定することで用紙P1の残量検知を行う。例えば、所定数が用紙圧を検知しなくなったときに、用紙残量が基準値を下回ったと判定したり、各圧力センサの出力信号の平均値や合計値から、残量検知を行うようにしてもよい。このようにすることで、用紙P1の残量をより正確に把握することができる。
【0050】
また、前述した圧力センサの各部の材質は、以下の材質であっても良い。
Si基板201の材料としては、Si,Ge,ダイヤモンド等の単体半導体、ガラス、AlAs,AlSb,AIP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSb,AlGaP,AlLnP,AlGaAs,AlInAs,AlAsSb,GaInAs,GaInSb,GaAsSb,InAsSb等のIII-V系の化合物半導体、ZnS,ZnSe,ZnTe,CaSe,CdTe,HgSe,HgTe,CdS等のII−VI系の化合物半導体、導電性或いは半導電性の単結晶基板としてはNb,La等をドープしたSrTiO3,AlをドープしたZnO,In23,RuO2,BaPbO3,SrRuO3,YBa2Cu27-X,SrVO3,LaNiO3,La0.5Sr0.5CoO3,ZnGa24,CdGa24,MgTiO4.MgTi24等の酸化物、またはPb,Pt,Al,Au,Ag等の金属等が挙げられるが、既存の半導体プロセスとの適合性やコスト面から、Si,GaAs、ガラス等の材料を用いることが好ましい。
【0051】
誘電体薄膜202の材料としては、SiO2,SrTiO3,BaTiO3,BaZrO2,LaAlO3,ZrO2,Y238%−ZrO2,MGO,MgAl24,LiNbO3,LiTaO3,AlVO3,ZnO等の酸化物、ABO3型のペロブスカイト型としてBaTiO3,PbTiO3,Pb1-XLaX(ZryTi1-y1-X/43(x,yの値によりPZT,PLT,PLZT),Pb(Mg0-3Nb2/3)O3,KNbO3等の正方系、斜方系或いは疑立方晶系材料、疑イルメナイト構造体としてLiNbo3,LiTaO3等に代表される強誘電体等、またはタングステンブロンズ型として、SrXBa1-XNb26,PbXBaXNb26等が挙げられる。この他に、Bi4Ti312,Pb2KNb515,K3Li2Nb515、さらに以上列挙した強誘電体の置換誘電体等から選択される。さらに、鉛を含むABO3型のペロブスカイト型酸化物が好適に用いられる。特に、これらの材料のうちLiNbO3,LiTaO3,ZnO等の材料は、弾性表面波の表面速度、圧電定数等の変化が顕著でより好ましい。誘電体薄膜202の膜厚は、目的に応じて適宜選択されるが、通常は0.1μmから10μmの間に設定される。
【0052】
また、この誘電体薄膜202は、櫛型電極23における電気機械結合係数/圧電係数、或いはアンテナ24の誘電損失等の観点から、エピタキシャルまたは単一配向性を有することが好ましい。また、誘電体薄膜202上にGaAS等のIII−V族半導体或いはダイヤモンド等の炭素を含有する薄膜を形成してもよい。これにより、弾性表面波の表面速度、結合係数、圧電定数等が向上できる。
【0053】
また、前述の実施形態において、複数の圧力センサを用いた場合、各圧力センサを識別する手段として、櫛型電極23A,23Bの形状及び大きさ異ならせて、誘電体薄膜202に発生する表面弾性波の周波数を個々に設定し、この周波数で識別させるようにしている。センサを識別する手段はこれに限らず、櫛型電極の形状及び大きさを同形状にして櫛型電極間の離間距離d(図4参照)を異ならせることによっても実現することができる。
具体的には、櫛型電極間の離間距離を異ならせることで、誘電体薄膜202上に発生する表面弾性波の時間が異なる。この点に着目して発信部の信号発信から受信部での信号受信までの時間を計測することによりセンサの識別化をはかっても良い。
【0054】
[その他の実施形態]
前述の実施形態においては、圧力センサ200を用いて用紙の残量を検知したが、圧力センサに代えて超音波センサを用いてもよい。
この場合には、図13(a)に示す超音波送信センサ210と超音波受信センサ220を用いる。
【0055】
超音波送信センサ210は、受信部RXと電気/音波変換部EPCとを有している。受信部RXは、フェライト磁石の上に、所望の周波数範囲において同調するようにコイルを複数巻き付けた構成となっている。電気/音波変換部EPCは、特定の共振周波数を有する圧電素子によって構成され、受信部RXから供給される電気信号を音波に変換する。
【0056】
次に、超音波受信センサ220は、音波/電気変換部PECと送信部TXを有している。音波/電気変換部PECは、超音波送信センサ210が送信した音波を受信し、これを電気信号に変換するものであり、特定の共振周波数を有する圧電素子によって構成され、共振周波数に対応する音波を受信すると、それを電気信号に変換する。送信部TXは、フェライト磁石の上に、所望の周波数範囲において同調するようにコイルを複数巻き付けた構成となっており、音波/電気変換部PECから供給された電気信号を電波に変換して出力する。
図13(b)、(c)は超音波送信センサ210を側面部314に、超音波受信センサ220を用紙ガイド312にそれぞれ設けた状態を示す。
【0057】
以上のような構成において、制御部70は発信部111から超音波送信センサ210に電波を発信する。超音波送信センサ210は発信部111から送信される電波を受けて超音波受信センサ220に音波を発信する。超音波受信センサ220においては、音波を受信すると、それを電波に代えて出力する。受信部112は受信した電気信号を制御部70に出力する。そして制御部70は受信した電波の状況により、用紙P1の残量を検出する。
すなわち、音波の伝搬に対しては、障害物となる用紙P1によって音波の伝搬が完全に遮断されている状態では、超音波受信センサ220は音波/電気変換部PECが励振されないから電波を出力することができない。そこで、電波の受信がなかった場合には、超音波受信センサ220の高さ以上に用紙P1があり、電波の受信があった場合には、用紙P1は超音波受信センサ220の高さに満たない残量であることが判る。
【0058】
具体的には、図13(b)においては、用紙P1の残量は超音波受信センサ220を覆う高さまであるので、受信部112は電波を受信することができない。一方、図13(c)においては、用紙P1の残量は超音波受信センサ220の下方までであるので、受信部112は電波を受信する。その結果、制御部70は用紙P1の残量が図13(b)においては、超音波受信センサ220の上方まであり、図13(c)においては、超音波受信センサ220の下方までであることを検出する。
【0059】
また、前述の超音波受信センサ220を複数箇所に設置し用紙P1の残量をより詳細に検知するようにしてもよい。図14に超音波受信センサ220−1〜220−4を用紙ガイド312に設けた状態を示す。ここで、図13(a)に示した受信部RXと電気/音波変換部EPCにおいて、周波数f1、f2、f3およびf4に同調した4組の受信部RXと電気/音波変換部EPCを設ける。また、超音波受信センサ220−1〜220−4は各々周波数f1〜f4に同調するように構成されている。これらの周波数f1〜f4は、数10〜数100KHz程度の長波が設定される。また、制御部70のROM72には、複数の超音波受信センサ220−1〜220−4を認識するために、設定周波数f1〜f4近傍を抽出するBPF機能72bが格納されている。
【0060】
以上のような構成において、制御部70は、周波数f1〜f4の矩形状波を混合した電波を発信する。超音波送信センサ210では、発信部111から送信される電波を受けて周波数f1〜f4の音波を用紙ガイド312に向けて放出する。
超音波受信センサ220−1〜220−4では、それぞれ対応する周波数の音波を受信し、それを電波に変えて出力する。そして受信部112は受信した電波信号を制御部70に出力する。
【0061】
制御部70はそれぞれの周波数近傍を抽出するBPF処理を行い、対応するセンサ毎に信号の変化を得る。そしてその変化から前述のように用紙P1の残量を検出する。
すなわち、図14においては、用紙P1は超音波受信センサ220−2、220−3の中間地点まであるので、超音波受信センサ220−1、220―2においては、超音波送信センサ210から放出された音波が用紙P1で完全に遮断される。そのため、音波/電気変換部PECが励振されず、超音波受信センサ220−1、220―2は電波を出力することができない。従って、受信部112は超音波受信センサ220−3,220−4からの電波のみを受信することにより、制御部70は用紙P1の残量が220−2、220−3の中間地点までであることを検出する。
【0062】
なお、前述の実施形態においては、用紙ガイド312に設けたセンサからの電波を受信することにより、用紙の残量を検知したが、用紙ガイド312または用紙P1からの反射波を元に用紙の残量を検知するようにしてもよい。
この場合には図15(a)に示す構成を有した超音波センサ210’を用いる。なお、前述の超音波センサ210と同一の構成に関してはその説明を省略する。
ここで、記憶部75には、反射波が用紙ガイド312において反射したものであるか、用紙P1で反射したものであるかを発信部111、受信部112による電波の送受信の時間差から算出するプログラムが格納されている。
【0063】
制御部70は発信部111から超音波センサ210’に電波を発信する。このとき制御部70は、発信部111から一旦電波を送信すると、受信部112が電波を受信するまで、電波送信を停止する。超音波センサ210’は発信部111から送信される電波を送受信部RTXで受信すると、変換部Cによって電波を音波に変換する。そして、変換した音波を放出する。次に、用紙ガイド312または用紙P1によって反射された音波を受信すると、変換部Cにおいて、受信した音波から電波信号を生成する。そして送受信部RTXによって電波信号を受信部112に送信する。受信部112は受信した電波信号を制御部70に出力する。制御部70は前述のプログラムにより、用紙P1の残量を検出する。
【0064】
なお、超音波センサは側面部314に複数設けるようにしてもよい。この場合制御部70は、前述のように、発信部111から設置した超音波センサ210’と同数の異なった周波数の矩形状波を混合した電波を発信する。そしてBPF機能により、対応するセンサ毎に信号の変化を得る。
【0065】
また、超音波センサ210’に代えて図15(b)に示すような超音波センサ210’’を用いてもよい。具体的には、超音波センサ210’’は受信部210’’aによって発信部111から電波を受信すると、駆動回路210’’bによって超音波振動子210’’cを振動させ、超音波を発信する。そして、用紙ガイド312または用紙P1から反射した音波を超音波振動子210’’cが受信すると、受信した音波に対応する電気信号が生成される。この電気信号が増幅部210’’dによって増幅され送信部210’’eから電波として送信される。このような超音波センサ210’’を前述のように側面部314に複数設けてもよい。
【0066】
また、前述のワイヤレスセンサ(圧力センサ、超音波センサ)を用紙トレイ31aの側面全体に設けるようにしてもよい。その際のワイヤレスセンサの設置例を図16に示す。なお、図16に示した用紙トレイ31aは便宜上、簡略化して図示している。このようにワイヤレスセンサを設置することにより、用紙P1の残量検知の精度を上げることができる。
【0067】
また、前述の実施形態においては、圧力センサ、超音波センサを用い、用紙P1の残量を検知する例を示したが、これらのワイヤレスセンサに限らず、例えば湿度センサ、温度センサ等を用い、用紙トレイ31aに収納されている用紙P1の状態を検知するようにしてもよい。その際、誘電体薄膜202(図4参照)に用いる材料は、湿度検知、温度検知のそれぞれに最適な材質のものを使用する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態における画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における用紙トレイの斜視図である。
【図3】同実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態における圧力センサの構成図である。
【図5】同実施形態における制御部、圧力センサの構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態における制御部が行う手順を示したフローチャートである。
【図7】同実施形態における圧力センサの設置例である。
【図8】本発明の第2実施形態における圧力センサの構成図である。
【図9】同実施形態における制御部、圧力センサの構成を示すブロック図である。
【図10】同実施形態における制御部が行う手順を示したフローチャートである。
【図11】同実施形態における制御部が圧力測定処理を行う手順を示したフローチャートである。
【図12】同実施形態における圧力センサの設置例を示した図である。
【図13】本発明の他の実施形態における制御部、超音波センサの構成を示すブロック図および設置例である。
【図14】同実施形態における超音波センサの設置例である。
【図15】同実施形態における超音波センサの構成を示すブロック図である。
【図16】本発明におけるワイヤレスセンサの設置例である。
【符号の説明】
【0069】
23A,23B・・・櫛形電極、24A,24B・・・アンテナ、25A,25B・・・インピーダンスマッチング部、26A,26B・・・グランド、31a〜31c・・・用紙トレイ、70・・・制御部、111・・・発信部、112・・・受信部、200・・・圧力センサ、210・・・超音波送信センサ、220・・・超音波受信センサ、316・・・用紙配置部、P1・・・用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積層して収容するとともに、積層される前記シート端部の位置を規制する側壁を有するシート収容部と、
前記側壁に前記シートの積層方向に沿って所定位置に設けられ、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として近傍の物理量を反映した属性を持つ電波を生成して出力する1または複数のワイヤレス測定手段と
を具備することを特徴とするシートトレイ。
【請求項2】
請求項1記載のシートトレイにおいて、
前記ワイヤレス測定手段は、電波信号が供給されると、それをエネルギー源として前記物理量を反映した情報と識別情報とをもった電波信号を生成して出力することを特徴とするシートトレイ。
【請求項3】
請求項1または2記載のシートトレイにおいて、
前記各ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、
前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が物理量によって変化する振動媒体部と、
前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部と
を具備することを特徴とするシートトレイ。
【請求項4】
前記ワイヤレス測定手段は、前記物理量として前記シート端部から受ける圧力を検出することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のシートトレイ。
【請求項5】
シートを積層して収容するとともに、積層される前記シート端部の位置を規制する側壁を有するシート収容部と、
所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として音波を生成して近傍に出力する電波/音波変換手段、および前記電波/音波変換手段が出力した音波の反射波を受信し、これをエネルギー源として電波信号を生成して出力する音波/電波変換手段を有し、前記側壁に前記シートの積層方向に沿って所定位置に設けられる1または複数の送受信部と
を具備することを特徴とするシートトレイ。
【請求項6】
シートを積層して収容するとともに、積層される前記シート端部の位置を規制する側壁を有するシート収容部と、
前記側壁の所定位置に設けられ、所定の電波信号が供給されるとそれをエネルギー源として音波を生成して近傍に出力するとともに、前記音波の反射音波を受信するとそれをエネルギー源として電波信号を生成して出力する変換手段を有し、前記側壁に前記シートの積層方向に沿って所定位置に設けられる1または複数の送受信部と
を具備することを特徴とするシートトレイ。
【請求項7】
請求項1から4いずれかに記載のシートトレイから搬送されたシートに画像形成を行う画像形成装置であって、
前記ワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信し、この受信した電波信号に基づいてシートトレイ内のシートの量を検出するシート量検出手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5に記載のシートトレイから搬送されたシートに画像形成を行う画像形成装置であって、
前記電波/音波変換手段に前記所定の電波信号を出力するとともに、前記音波/電波変換手段から出力される電波信号を受信し、この受信した電波信号に基づいてシートトレイ内のシートの量を検出するシート検出手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6に記載のシートトレイから搬送されたシートに画像形成を行う画像形成装置であって、
前記変換手段に前記所定の電波信号を出力した後の所定のタイミングにおいて前記変換手段から電波信号を受信し、この受信した電波信号に基づいてシートトレイ内のシートの量を検出するシート検出手段を具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−264808(P2006−264808A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82046(P2005−82046)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】