説明

シートパイルを支持要素に接続するための独特な断面輪郭の連結要素と、そのような連結要素を使用した連結シートパイル壁

本発明は、シートパイルを支持要素に接続するための独特な断面輪郭の連結要素(10)に関する。その連結要素(10)は、それぞれ開口(24、42)を有する2つの独特な断面輪郭の接続要素(16、18)を背中合わせに分けている中央ビーム部分(12)を具備しており、中央ビーム部分(12)は、2つの独特な断面輪郭の接続要素(16、18)それぞれの一部をなしている。一方の独特な断面輪郭の接続要素(16)は、支持要素のための独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素16として形成されており、他方の独特な断面輪郭の接続要素(18)は、接続したいシートパイルとの噛み合いのための独特な断面輪郭の受入式接続要素として構成されている。中央ビーム部分(12)は、その独特な断面輪郭の受入式接続要素(18)側には、真直ぐで平らな内壁(26)を有する中央部分(14)を具備しており、その一方の側に、短い第1の端部(32)が接続している。その第1の端部(32)は、ほぼ90°の角度で中央部分(14)から延伸しており、移行部分(36)を介して中央部分(14)に接続していおり、その移行部分(36)は、四分円弧状の横断面形状の内壁を有している。フック状部分(34)が、平らな中央部分(14)の他方の側に、第1の端部(32)と同じ方向に向いた第2の端部として構成されており、そのフック状ストリップは、ほぼ半円形状の横断面形状を有している第1の部分(38)と、その第1の部分(38)に続いた、中央ビーム部分(12)の中央部分(14)に向いた実質的に真直ぐな第2の部分(40)とによって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持要素、特にI型鋼(Iビーム)にシートパイル(鋼矢板)を取り付けるための、請求項1の前提項に記載されるような独特な断面輪郭の連結要素に関する。更に、本発明は、請求項13の前提項に記載されるような、そのような連結要素を使用した連結シートパイル壁に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる「連結シートパイル壁」は、支持要素と、シートパイルと、上記した独特な断面輪郭の連結要素とから構築され、1つ以上のシートパイルが2つの支持要素の間に使用される。支持要素をシートパイルに接続するためには、中央ビーム部分を有する独特な断面輪郭の連結要素が使用され、その中央ビーム部分は、各々噛み合せを利用する2つの独特な断面輪郭の接続要素を背中合わせに分けると共にそれら2つの接続要素の各々の一部を構成している。一方の接続要素は、支持要素のためのプラグイン式構造に断面が構成されることが一般であり、他方の接続要素は、接続したいシートパイルとの噛み合いのために受入式構造に断面が構成されている。その受入式接続要素は、中央ビーム部分から延びる2つの端部を有しており、その内の少なくとも一方の端部は、フック状に構成されている。
【0003】
このような連結要素は、例えば下記の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】DE−U1−201 21 712
【0004】
この既知の連結シートパイル壁では、互に連結しているシートパイルと、シートパイルの噛み合い連結機構と係合している独特な断面輪郭の連結要素の受入式接続要素との相互噛み合い部分が、壁の長手方向で見たとき、シートパイルの噛み合い連結機構と受入式接続要素のそれぞれの構成のために、非常に制限された態様でしか相対的に枢軸回転することができない問題がある。この問題は、いわゆる「LARSSEN」型噛み合い連結機構を有するシートパイルの場合に特にある。その理由は、「LARSSEN」型噛み合い連結機構の構成のために、シートパイルと連結要素の相互の枢軸回転がほとんど不可能であるか又は可能であっても非常に制限された態様でしか可能でないためである。しかし、地面の構造が様々であるために、地面に打ち込むときにシートパイル及び支持要素が壁の長手方向において逸れたり捩れたりする傾向があるために、連結シートパイル壁の個々の構成要素の相互の枢軸回転は非常に重要である。もし係合している相互噛み合い部分の間に十分な枢軸回転余裕がないならば、噛み合い連結機構が受入式接続要素から外れたり、連結シートパイル壁が適切に構築できない恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、公知の連結シートパイル壁と比較して連結シートパイル壁を容易に構築できる独特な断面輪郭の連結要素、並びに公知の連結シートパイル壁と比較して容易に構築できる、そのような独特な断面輪郭の連結要素を使用した連結シートパイル壁を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した本発明の目的は、請求項1に記載の特徴を有する独特な断面輪郭の連結要素によって達成される。更に、上記した本発明の目的は、請求項13に記載される特徴を有する連結シートパイル壁によって達成される。
【0007】
本発明によれば、独特な断面輪郭の連結要素の中央ビーム部分は、独特な断面輪郭の受入式接続要素側に、真直ぐで平らな内壁を有する中央部を有しており、その中央部の一方の端には、その中央部から90°の角度で延伸する短い第1の端部が移行部分を介して続いており、その移行部分は、内壁の横断面でみたとき四分円を描いている。真直ぐで平らな中央部の反対側には、第1の端部と同じ方向に向いて、第2の端部として設けられたフック状部分が設けられている。フック状部分は、横断面がほぼ半円形をしている第1の部分と、第1の部分に続いていてほぼ真直ぐな第2の部分とか形成されており、フック状部分の第2の部分は、中央ビーム部分の中心部に向かうようにフック状部分の第1の部分から曲がっている。
【0008】
接続したいシートパイルの、特に「LARSSEN」型噛み合い連結機構を使用した接続したいシートパイルの噛み合い連結機構のための本発明による独特な断面輪郭の受入式接続要素の構成によって、受入式接続要素内において広い範囲で噛み合い連結機構が枢軸回転できる。その枢軸回転の可能範囲は、60°以上の範囲である。このような大きな枢軸回転角度により、連結シートパイル壁を構築するときに、シートパイルを地面に打ち込むときに連結シートパイル壁に張力が生じることがなく、隣接する支持要素、例えば、I型鋼が互いに大きな角度捩れることが可能である。支持要素とシートパイルとの間で大きな角度の枢軸回転が可能なことにより更に、シートパイル壁を構築する際に他の独特な断面輪郭の連結要素を必要とすることなく、隣接する壁部分の間に大きな枢軸回転角度を持たせたシートパイル壁も構築することもできる。
【0009】
独特な断面輪郭の連結要素と支持要素とシートパイルとの間で大きな角度枢軸回転できることにより、地面に個々の要素を打ち込むことにより大きな張力が生じ、そのために、連結要素と支持要素とシートパイルとの間の噛み合い係合が外れ、連結シートパイル壁の安定性及び漏れ防止構造が構築場所で危険に晒される恐れを防止することができる。
【0010】
本発明の独特な断面輪郭の連結要素では、独特な断面輪郭の接続要素は、連結シートパイル壁の個々の要素を地面にしっかりと打ち込むことができ、それにより、シートパイル壁の目標寸法からのずれを広範囲に補償できるように構成されている。
【0011】
本発明の独特な断面輪郭の連結要素では、シートパイルのために使用されている隣り合う支持要素、特にI型鋼の間の連結シートパイル壁に大きな枢軸回転角度を持たせることができる。岩盤累層、迷子石ほかにより地面がばらばらな土質の場合に例えば支持要素を地面に打ち込むときに、支持要素間で又はシートパイルとそのシートパイルとフック式に連結されている支持要素との間で大きな枢軸回転が可能である。このために、地面に打ち込んだときに、支持要素及びシートパイルはそれぞれの長手方向軸を中心にして捩れても大丈夫である。このような捩れは、本発明の独特な断面輪郭の連結要素の構成によって補償される。本発明とは異なり、従来の独特な断面輪郭の連結要素では多くの場合非常に限られた角度の枢軸回転しか許されていないので、シートパイルを地面に打ち込んだときに、シートパイルは連結要素から外れて、それぞれの構築場所でシートパイル壁が漏れ防止構造にならない。更に、打ち込み過程でシートパイルと連結要素との相互噛み合い係合が外れるならば、連結シートパイル壁はもはや計算された通りにはならない。
【0012】
本発明の独特な断面輪郭の連結要素により支持要素とそれに取り付けられたシートパイルとの間で大きな角度の枢軸回転が可能であるので、円形及びそのほかの形状の閉じた形の連結シートパイル壁や、角のはっきりした連結シートパイル壁を、追加要素の必要なく、意図して構築することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のその他の利点は、以下の説明、図面及び従属クレームから明らかになる。
例えば、1つの本発明の好ましい実施例によれば、フック状部分のほぼ真直ぐな第2の部分は、中央ビーム部分が第1の端部への移行部分へ移る領域に向けて、中央ビーム部分の方向に向くように曲げられている。
【0014】
シートパイル、特に「LARSSEN」型噛み合い連結機構を有するシートパイルを取り付けるために、独特な断面輪郭の接続要素にシートパイルを容易に挿入することができ、且つ打ち込み過程の間に噛み合い連結機構が接続要素から外れないように、独特な断面輪郭の連結要素に十分大きな顎部を設けねばならない。これは、独特な断面輪郭の連結要素が、取り付けたいシートパイルの噛み合い連結機構を以下のように余裕を持って大きく囲むことによって実質的に実現される。それにより、独特な断面輪郭の接続要素とそれに取り付けられるシートパイルとの間の大きな枢軸回転角度のために、それら接続要素とシートパイルとの間に常時3点接触の接続が形成されることが確保される。このような3点接触接続により、打ち込み過程の間に、相互に係合している噛み合い連結機構が外れることが防止され、連結シートパイル壁の安定性並びにその漏れ防止特性が確保される。
【0015】
もう1つの本発明の好ましい実施例によれば、フック状部分の短い第1の端部の先端とほぼ真っ直ぐな第2の部分の先端とは、中央ビーム部分の真っ直ぐで平らな中央部分からほぼ同じ距離を有している。好ましくは、中央ビーム部分の真っ直ぐで平らな中央部分からフック状部分の先端までの距離が、中央ビーム部分から短い第1の端部の先端までの距離より僅かに大きい。
【0016】
フック状部分の第2の部分の先端は、中央ビーム部分の中央部分の中心のほぼ高さにあることが好ましく、特に「LARSSEN」型噛み合い連結機構を有するシートパイルに対してフック式に連結する十分に大きな顎部が形成されている。
【0017】
独特な断面輪郭の連結要素に設けられている独特な断面輪郭のプラグイン式の接続要素は、使用される支持要素の応じて様々な態様に構成することができる。例えば、楔型ビームのように断面形状が楔型の固定構造を有する固定部分を有する支持要素に対して独特な断面輪郭の連結要素を使用する場合には、本発明の特に好ましい実施例では、プラグイン式の接続要素は、中央ビーム部分と、その中央ビーム部分の一端から約90°の角度で延伸する真っ直ぐな第1の顎部分と、その真っ直ぐな第1の顎部分の方向に、前記中央ビーム部分の他端から角度を付けて延伸する第2の顎部分とによって形成されている。
【0018】
本発明による独特な断面輪郭の連結要素の別の実施例においては、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素は、中央ビーム部分の両端から角度を付けて延伸して鏡面対称に互いに近づいている2つの顎部分と中央ビーム部分とによって形成される蟻溝型の内面横断面形状にほぼ類似した断面形状を有している。この蟻溝型の内面横断面形状によって、外面断面形状が楔型である固定部分を有する支持要素に連結要素を取り付けることができる。更に蟻溝型の内面横断面形状によって、異なる構成のプラグイン式接続要素を有する連結要素を準備する必要なく、受入型の接続要素の顎部分が支持要素から離れる方向に延伸すると共に支持要素の方向に延伸するように、連結要素を楔型固定部に取り付けることも可能である。2つの顎部分は、中央ビーム部分の平らな側に対して約30°から50°の範囲内の傾斜角で延伸していることが好ましい。より好ましい傾斜角は35°である。
【0019】
固定部分がほぼ長方形の横断面形状を有する支持要素が使用される場合には、本発明の独特な断面輪郭の連結要素の更に別の実施例として、横断面で見たとき、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素は、前記中央ビーム部分から互いに少なくともほぼ平行に延伸している2つの顎部分を有しており、それら2つの顎部分の間に支持要素の固定部分が挿入されるようになされている。
【0020】
本発明の独特な断面輪郭の連結要素の更に別の好ましい実施例においては、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素と独特な断面輪郭の受入式接続要素とは、中央ビーム部分に関して相互に対してずれている。このような構成により、支持要素とシートパイルとを互いにずれて連結することができ、連結シートパイル壁の輪郭を特定の方向に可能な限り滑らかにすることができる。
【0021】
本発明の別の特徴によるならば、本発明の独特な断面輪郭の連結要素が使われる請求項13に記載の連結シートパイル壁が提供される。
【実施例】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施例及びその実施例のいくつかの変形例を使用して本発明を詳細に説明する。
【0023】
図1及び図2は、本発明の独特な断面輪郭の連結要素10の実施例を示す。この独特な断面輪郭の連結要素10は、真っ直ぐで平らな中央部分14を有する中央ビーム部分12を具備しており、その中央部14は、2つの独特な断面輪郭の接続要素、すなわち、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素16と、独特な断面輪郭の受入式接続要素18とを互いに分けている。
【0024】
独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素16は、中央ビーム部分12と、その中央ビーム部分12の下端部から90°の角度で真っ直ぐに延伸する第1の顎部分20と、中央ビーム部分12の上端部から第1の顎部分20の方向に曲がって延伸する第2の顎部分22とによって形成されている。2つの顎部分20及び22は、中央ビーム部分12に対してほぼ平行な面内で終端しており、中央ビーム部分12と協働してほぼ台形の横断面を有する顎部24を形成している。この台形横断面形状は、I形鋼28の固定部分26の横断面に対応しており、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素16が、図2に示すように、僅かな隙間でI形鋼28上に嵌合できるようになされている。
【0025】
独特な断面輪郭の受入式接続要素18は、中央ビーム部分12の中央部分14の真っ直ぐで平らな内壁30と、図1において中央部分14の上端部から延伸する短い端部32と、中央部分14の下端部から延伸するフック状部分34とによって形成されている。真っ直ぐで平らな内壁30は、短い端部32の側において、横断面がほぼ四分円弧を描いている移行部分36に変わっている。短い端部32は、中央部分14の仮想中心面に対してほぼ直角にある。
【0026】
第1の端部32と同じ方向を向いている第2の端部を実質的に形成している反対側のフック状部分34は、横断面がほぼ半円形の第1の部分38を有しており、その第1の部分38から、中央ビーム部分12の平らな中央部分14に向かって大きく曲がったほぼ真っ直ぐな第2の部分40が続いている。この中央部分14に向うとは、真っ直ぐな第2の部分40の中心線を伸ばして行くと、中央部分14が短い端部32への移行部分36に移り変わって行くほぼ領域内において中央部分14の平らな内壁30に当たるような関係である。
【0027】
短い端部32の先端は、平らな内壁30に平行で、真っ直ぐな第2の部分40の先端が位置する面内にほぼ位置している。真っ直ぐな第2の部分40の先端から中央ビーム部分12の中央部分14の内壁30までの距離は、短い端部32の先端から平らな内壁30までの距離より僅かに大きくできる。
【0028】
図2に示すように、独特な断面輪郭の受入式接続要素18の形状は、第1の端部32と第2の部分40のそれぞれの先端の間に顎開口44を有する顎部42を形成しており、「LARSSEN」型噛み合い連結機構48を有するZ型シートパイル46が十分余裕を持って受け入れられるようになされている。
【0029】
Z型シートパイル46の「LARSSEN」型噛み合い連結機構48を点線及び鎖線でも示しているように、独特な断面輪郭の受入式接続要素18内において最大70°の角度の枢軸回転が可能である。Z型シートパイル46の「LARSSEN」型噛み合い連結機構48は、独特な断面輪郭の受入式接続要素18の内壁に常時3点接触して連結しており、信頼性ある保持が実現され、打ち込み作業中に受入式接続要素18から「LARSSEN」型噛み合い連結機構48が外れることが防止できる。
【0030】
上述したように、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素16は、台形の横断面形状を有している。当然、支持要素28に対応する横断面形状を有する他の形状の断面輪郭のプラグイン式接続要素を使用することも可能である。
【0031】
例えば、図3は、独特な断面輪郭の連結要素10の変形例を示す。この独特な断面輪郭の連結要素50では、独特な断面輪郭の受入式接続要素52は、独特な断面輪郭の連結要素10の独特な断面輪郭の受入式接続要素18と構成が一致している。独特な断面輪郭の連結要素10との重大な相違点は、独特な断面輪郭の連結要素50をI型鋼28に取り付けるために用いる独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素54の構成である。
【0032】
ここでは、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素54の2つの顎部分56及び58は、互いに約35°の角度で収斂して近づき合っており、プラグイン式接続要素54が、ほぼ蟻溝状の横断面形状60を有している。このプラグイン式接続要素54の蟻溝形状により、プラグイン式接続要素54の顎開口62にI型鋼28の固定部分26を嵌合させて、図示のように内向きにして、又は点線で示すように外向きにして、固定することができる。
【0033】
図4は、図1及び図2に示した独特な断面輪郭の連結要素10の第2の変形例を示す。この変形例の独特な断面輪郭の連結要素70において、独特な断面輪郭の受入式接続要素72は、独特な断面輪郭の受入式接続要素18に対応する。
【0034】
しかし、独特な断面輪郭の連結要素70の独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素74は、2つの顎部分78及び80を有しており、それらは互いに鏡面対称にあり、中央ビーム部分76から延伸している。その結果、顎部82は、普通のI型鋼のように、実質的に長方形の横断面形状を有する図示していない支持要素の固定部分にプラグイン式に結合される実質的に矩形の横断面形状を有している。
【0035】
図5は、図1及び図2に示した独特な断面輪郭の連結要素10の第3の変形例を示す。この変形例の独特な断面輪郭の連結要素90において、独特な断面輪郭の受入式接続要素92は、独特な断面輪郭の受入式接続要素18の構成に対応する。更に、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素94の内面の横断面形状は、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素16の内面の横断面形状に対応する。しかし、2つの顎部分96及び98は、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素16の顎部分20及び22とは対照的に、独特な断面輪郭の受入式接続要素18に関して鏡面反転した関係に構成されている。
【0036】
ここで、独特な断面輪郭の受入式接続要素92の端部100は、中央ビーム部分102からほぼ直角に延伸する顎部分96に続いている。一方、フック状部分104は、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素94の角度が付けられた顎部分98に続いている。この構成により、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素94の顎106を有する独特な断面輪郭の連結要素90をI型鋼28に内向きに取り付けることができる。
【0037】
図6は、図5に示す独特な断面輪郭の連結要素90の構造にほぼ対応する構造を有する、独特な断面輪郭の連結要素10の第4の変形例を示す。この独特な断面輪郭の連結要素110では、独特な断面輪郭の受入式接続要素112は、独特な断面輪郭の受入式接続要素92に対応する。独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素114の全体的な構成は、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素94の構成に対応するが、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素114が、独特な断面輪郭の受入式接続要素112に対して中央ビーム部分116に沿って上方にずれて位置するように構成されており、図6に示すように、顎部分118が、独特な断面輪郭の受入式接続要素112の端部120に対して、中央ビーム部分116の長手方向において上方にずれており、顎部分122がフック状部分124に対して上方にずれている。受入式接続要素112に対するプラグイン式接続要素114のずれの量は用途に応じて変化することは理解されたい。
【0038】
図7は連結シートパイル壁の断面図である。その連結シートパイル壁は、2つのI型鋼28と、「LARSSEN」型噛み合い連結機構48を有する2つのZ型シートパイル46とから構成されており、2つのZ型シートパイル46の隣接する「LARSSEN」型噛み合い連結機構48同士は直接、フック式に連結されている。
【0039】
図7の左側に示すシートパイル46を固定するために、独特な断面輪郭の連結要素90(図5参照)が図示の実施例において使われて、I型鋼28の固定部分26にフック式に結合され、Z型シートパイル46の左側の「LARSSEN」型噛み合い連結機構48と嵌合している。
【0040】
図7の右側に示されるZ型シートパイル46は、図1に示される独特な断面輪郭の連結要素10と嵌合しており、その独特な断面輪郭の連結要素10は、右側に示すI型鋼28にフック式に結合されている。
【0041】
本発明の独特な断面輪郭の連結要素10、50、70、90及び/又は110を使用することによって、Z型シートパイル46の「LARSSEN」型噛み合い連結機構とI型鋼28との間に、最大限の枢軸回転を可能にすることができる。この方法によれば、閉じた形、湾曲した形、又は鋭い角を持った形でも連結シートパイル壁を構築することが可能である、地面に個々のI型鋼28を打ち込んだときに、隣接するI型鋼28同士の間隔が変動しても、又は、I型鋼28が互いに捩れても、本発明の独特な断面輪郭の連結要素10、50、70、90及び/又は110を使用することで、そのようなずれは補償できる。
【0042】
当然、上述したZ型シートパイル46の代わりにU型シートパイルも使用可能であり、連結シートパイル壁を構築するために、U型シートパイルに「LARSSEN」型噛み合い連結機構又は同様な構成の噛み合い連結機構を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の独特な断面輪郭の連結要素の第1の実施例の平面図である。
【図2】I型鋼とシートパイルの「LARSSEN」型噛み合い連結機構とに結合された状態の、図1に示す独特な断面輪郭の連結要素の平面図である。
【図3】内面の横断面形状が蟻溝形式の独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素を有する本発明の独特な断面輪郭の連結要素の第1に変形例の平面図である。
【図4】内面の横断面形状が蟻溝形式の独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素を有する本発明の独特な断面輪郭の連結要素の第2に変形例の平面図である。
【図5】図1に示す独特な断面輪郭の連結要素と比較して、独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素が互いに鏡面反転関係に中央ビーム部分に設けられている、本発明の独特な断面輪郭の連結要素の第3に変形例の平面図である。
【図6】図1に示す独特な断面輪郭の連結要素と比較して、プラグイン式断面構造部分が、互いに鏡面反転関係にあると共に、独特な断面輪郭の受入式接続要素に対して中央ビーム部分の長手方向にずれて中央ビーム部分に設けられている、本発明の独特な断面輪郭の連結要素の第4に変形例の平面図である。
【図7】図1及び図5に示される2つの独特な断面輪郭の連結要素を使用して、2つの支持要素と、それら支持要素の間に挿入した「LARSSEN」型噛み合い連結機構を有する2つのZ型シートパイルとから構築されている連結シートパイル壁の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持要素と、隣り合う支持要素の間に挿入された複数のシートパイルとから構成される連結シートパイル壁を構築するために、支持要素、特にI型鋼にシートパイルを取り付けるための、相補的な横断面形状を有する独特な断面輪郭の連結要素であって、当該独特な断面輪郭の連結要素(18;52;72;92;112)が中央ビーム部分(12;76;102;116)を有しており、当該中央ビーム部分(12;76;102;116)が、2つの独特な断面輪郭の接続要素(16,18;52,54;72,74;92,94;112,114)を背中合わせに分けており、それら接続要素は各々顎部(24,42;82;106)を有しており、前記中央ビーム部分(12;76;102;116)は、前記2つの接続要素(16,18;52,54;72,74;92,94;112,114)の各々の一部を形成しており、前記2つの接続要素の一方は、前記支持要素(28)のための独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素(16;54;74;94;114)として構成されており、前記2つの接続要素の他方は、取り付けたいシートパイル(46)の噛み合い連結機構(48)のための独特な断面輪郭の受入式接続要素(18;52;72;92;112)として構成されており、当該受入式接続要素(18;52;72;92;112)は、前記中央ビーム部分(12;76;102;116)の両端に端部を有しており、それら端部の少なくとも一方の端部は、フック状部分(34;104;124)として構成されており、
前記中央ビーム部分(12;76;102;116)は、前記独特な断面輪郭の受入式接続要素(18;52;72;92;112)側に、真っ直ぐで平らな内壁(30)を有する中央部分(14)を有しており、その中央部分(14)の一方の端から移行部分(36)を介して短い第1の端部(32;100;120)が、当該中央部分(14)に対して約90°の角度で延伸しており、前記移行部分(36)の内面は、断面形状が四分円弧を描いており、平らな前記中央部分(14)の反対側には、前記短い第1の端部(32;100;120)と同じ方向に向いた第2の端部としてフック状部分(34;104;124)が形成されており、前記フック状部分(34;104;124)は、断面がほぼ半円形の第1の部分(38)と、それに続くほぼ真っ直ぐな第2の部分(40)とから形成されており、前記第2の部分(40)は、前記中央ビーム部分(12;76;102;116)の前記中央部分(14)に向くように第1の部分(38)から曲がっていることを特徴とする独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項2】
前記フック状部分(34)の前記第2の部分(40)は、前記中央ビーム部分(12;76;102;116)の、前記短い第1の端部(32)への前記移行部分(36)に変わる領域に向いていることを特徴とする請求項1に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項3】
前記短い第1の端部(32;100;120)の先端と、前記フック状部分(34;104;124)のほぼ真っ直ぐな前記第2の部分(40)の先端とは、前記中央ビーム部分(12;76;102;116)の前記中央部分(14)の真っ直ぐで平らな前記内壁(30)からほぼ同じ距離を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項4】
前記中央ビーム部分(12;76;102;116)の前記中央部分(14)の真っ直ぐで平らな前記内壁(30)から前記フック状部分(34;104;124)のほぼ真っ直ぐな前記第2の部分(40)の先端までの距離は、前記中央ビーム部分(12;76;102;116)の前記中央部分(14)の真っ直ぐで平らな前記内壁(30)から前記短い第1の端部(32;100;120)の先端までの距離より僅かに大きいことを特徴とする請求項3に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項5】
前記フック状部分(34;104;124)の前記第2の部分(40)の先端は、前記中央ビーム部分(12;76;102;116)の前記中央部分(14)の中心の高さにほぼあることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項6】
前記独特な断面輪郭の受入式接続要素(18;52;72;92;112)は、取り付けたいシートパイル(46)の「LARSSEN」型噛み合い連結機構(48)と噛み合う寸法に構成されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項7】
前記独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素(16;94;114)は、前記中央ビーム部分(12;102;116)と、その中央ビーム部分(12;102;116)の一端から約90°の角度で延伸する第1の真っ直ぐな顎部分(20;96;118)と、その第1の真っ直ぐな顎部分(20;96;118)の方向に、前記中央ビーム部分(12)の他端から延伸する曲がった第2の顎部分(22;98;122)とによって形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項8】
前記第2の顎部分(22)と前記短い第1の端部(32)とは、互いに直接接していることを特徴とする請求項7に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項9】
前記中央ビーム部分(102;116)から約90°の角度で延伸する前記第1の真っ直ぐな顎部分(96;118)と、前記短い第1の端部(100;120)とは、互いに直接接していることを特徴とする請求項7に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項10】
前記独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素(54)は、前記中央ビーム部分の両端から延伸して鏡面対称に互いに近づいている2つの曲がった顎部分(56、58)と前記中央ビーム部分とによって形成されるほぼ蟻溝型の内面横断面形状(60)を有することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項11】
独特な断面輪郭の連結要素(70)の横断面で見た前記独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素(74)は、前記中央ビーム部分(76)から互いにほぼ平行に延伸している2つの顎部分(78、80)を有しており、それら2つの顎部分(78、80)の間に前記支持要素(28)の固定部分が挿入されるようになされていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項12】
前記独特な断面輪郭のプラグイン式接続要素(114)と前記独特な断面輪郭の受入式接続要素(112)とは、前記中央ビーム部分(116)に関して相互に対してずれていることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の独特な断面輪郭の連結要素。
【請求項13】
支持要素(28)、特にI型鋼と、2つの支持要素(28)の間に配置された少なくとも1つのシートパイル(46)とから構成される連結シートパイル壁であって、前記支持要素(28)の間に配置された前記シートパイル(46)に前記支持要素(28)を連結するために独特な断面輪郭の連結要素(10;50;70;90;120)が使用され、当該連結要素には、前記シートパイル(46)に形成されている噛み合い連結機構(48)と係合する独特な断面輪郭の受入式接続要素(18;52;72;92;112)が形成されており、前記独特な断面輪郭の連結要素(10;50;70;90;120)が請求項1から12の何れか1項に従って構成されていることを特徴とする連結シートパイル壁。
【請求項14】
前記独特な断面輪郭の連結要素(10;50;70;90;120)と係合する前記シートパイル(46)の前記噛み合い連結機構が「LARSSEN」型噛み合い連結機構(48)であることを特徴とする請求項13に記載の連結シートパイル壁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−537373(P2007−537373A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511993(P2007−511993)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004757
【国際公開番号】WO2005/111315
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(504455230)パイルプロ リミテッド ライアビリティー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】