説明

シートラッピング製品、その製造方法及び装置

【課題】側面に雄サネ及び雌サネを備えた板状の基材の天面及び4側面を1枚のシートで、見栄えよく覆った構成のシートラッピング製品並びにその製造技術を提供する。
【解決手段】長辺側の1側面及び短辺側の1側面に雄サネを有し、他の側面に雌サネを有する基材2の天面にシート3を貼り付け、そのシート3の4つの角部に切り欠きを形成してシートの4辺に切り欠きで分離された側面貼付片3b〜3eを形成し、基材2を長辺方向に搬送しながら進行方向に関して両側に位置する側面貼付片を基材側面に貼り付け、次いで基材2を長辺に直角方向に搬送しながら進行方向に関して両側に位置する側面貼付片を基材側面に貼り付け、基材の天面及び4側面を1枚のシート3でラッピングしたラッピング製品1を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材などに用いられる板状の基材に表面材を貼り付けたシートラッピング製品並びにその製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建材などに板状の製品が多用されており、その製品の一つとして、板状の基材の天面と両側面に表面材としてシートを貼り付け、残りの面については塗装や別工程でシートを貼り付けたシートラッピング製品が知られている。従来、この種のシートラッピング製品を製造するには、ラッピングマシンと呼ばれる装置にて、板状の基材をその長手方向に搬送しながら、基材天面に、基材幅よりも広い幅のシートを、該シートに接着剤を塗布して貼り付け、そのシートの両側縁をコロを用いて基材側面に徐々に巻き込み貼り付けていた(特許第2736232号公報参照)。ところが、従来のラッピングマシンでは、走行中の基材の前後の側面にシートを貼り付ける技術が確立されていないので、基材の前後の側面にシートを貼り付けることができず、このため、別工程にて基材前後の側面に別のシートを貼り付けるか、塗装を施していた。しかしながら、この製造方法では生産性が悪く、また、別装置分の作業者を必要とするため、人件費がかかっていた。
【0003】
【特許文献1】特許第2736232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、板状の基材の天面と4側面の各々の少なくとも天面に隣接した領域を1枚のシートで覆った構成のシートラッピング製品を提供することを課題とする。また、本発明は、そのシートラッピング製品の製造方法及び装置を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシートラッピング製品は、矩形状の板状の基材であって、長辺側の1側面若しくはその1側面と短辺側の1側面とに雄サネを有し、他の側面に雌サネを有する基材と、その基材の天面全域と4側面の各々の少なくとも天面に隣接した領域に貼り付けられた1枚のシートを備え、該シートが、該シートを前記基材の天面に貼り付けてはいるが前記4側面には貼り付ける前の平面状の状態において、前記基材の4側面に対応して、その4側面に貼り付けるための側面貼付片を備えると共に、隣接した側面貼付片は基材天面の角を頂点とする切り欠きによって互いに切り離されており、更に隣接した側面貼付片の端縁形状は、その側面貼付片を対応する側面に貼り付けた時に互いに重なることなく端縁同士がほぼ接するように、定められていることを特徴とするものである。
【0006】
ここで、前記雌サネを有する側面に貼り付けた側面貼付片の貼り付け領域としては、基材天面から雌サネに到る領域のみとしてもよいし、更に、雌サネの上側の内面領域まで、或いは雌サネの内面全域までとしてもよいし、更には、雌サネ内面を含む側面全域、或いは雌サネ内面を含む側面全域及び裏面の周縁領域までとしてもよく、必要に応じて定めればよい。また、前記雄サネを有する側面に貼り付けた側面貼付片の貼り付け領域としては、基材天面から雄サネに到る領域のみとしてもよいし、更に、雄サネの上側の表面領域まで、或いは雄サネの表面全域までとしてもよいし、更には、雄サネ表面を含む側面全域、或いは雄サネ表面を含む側面全域及び裏面の周縁領域までとしてもよく、必要に応じて定めればよい。
【0007】
また、前記基材の雄サネを有する側面の断面形状、雌サネを有する側面の断面形状は、基材天面に直角な側面の中央領域に雄サネ或いは雌サネを形成したものでもよいが、これに限らず、前記基材の雄サネを有する側面の断面形状が、前記雄サネに関して天面側の側面よりも反対側の側面が引っ込んだ形状であり、前記雄サネを有する側面とは反対側の、雌サネを有する側面の断面形状が、前記雌サネに関して天面側の側面よりも反対側の側面が突出した形状である構造としたものでもよい。
【0008】
本発明のシートラッピング製品の製造方法は、矩形状の板状の基材であって、長辺側の1側面若しくはその1側面と短辺側の1側面とに雄サネを有し、他の側面に雌サネを有する基材と、その基材の天面全域と4側面の各々の少なくとも天面に隣接した領域に貼り付けられた1枚のシートを備えたシートラッピング製品を製造する方法であって、
一定間隔で搬送される基材の天面に、シート供給部から引き出された、前記天面よりも幅の広い連続したシートを、前記天面の平行な一対の辺が前記連続したシートの長手方向に平行となる関係で且つ前記連続したシートの両側縁が前記基材天面の両側に延び出した状態となるように貼り付けてゆくシート貼り付け工程と、
前記シートを、前記基材と基材の中間位置において切断して切り離す切断工程と、
前記基材の天面に貼り付けたシートの前記天面よりも外側の領域を、前記基材の4側面に貼り付けるための互いに分離した側面貼付片とするように、前記シートに、天面の4つの角をそれぞれ頂点とする4つの切り欠きを形成する打ち抜き工程であって、少なくとも前記基材の雄サネが存在する角部には、天面と同一表面を持った受け板を前記シートの下側となるように装着し、前記シート上方から刃を前記受け板に押し当てて打ち抜きを行う打ち抜き工程と、
前記基材を、前記基材天面の一対の辺に平行方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆく第一ラッピング工程と、
前記基材を、前記第一ラッピング工程における搬送方向とは直角方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆく第二ラッピング工程を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、上記したシートラッピング製品の製造方法において、上記のすべての工程をインラインで実施する構成としてもよいし、一部の工程をオフラインで実施するようにしてもよい。例えば、シート貼り付け工程と切断工程を一つの連続ラインで実施し、打ち抜き工程と第一ラッピング工程と第二ラッピング工程を別のラインで実施するようにしても良いし、更には、打ち抜き工程、第一ラッピング工程、第二ラッピング工程をそれぞれ単独のラインで実施するように変更してもよい。
【0010】
本発明のシートラッピング製品の製造装置は、矩形状の板状の基材であって、長辺側の1側面若しくはその1側面と短辺側の1側面とに雄サネを有し、他の側面に雌サネを有する基材と、その基材の天面全域と4側面の各々の少なくとも天面に隣接した領域に貼り付けられた1枚のシートを備えたシートラッピング製品を製造する装置であって、
基材を一定間隔で搬送すると共に、それに並行して、シート供給部から前記天面よりも幅の広い連続したシートを引き出し、前記基材の天面に、該天面の平行な一対の辺が前記連続したシートの長手方向に平行となる関係で且つ前記連続したシートの両側縁が前記基材天面の両側に延び出した状態となるように貼り付けてゆくシート貼り付け手段と、
前記シートを、前記基材と基材の中間位置において切断して切り離す切断手段と、
前記シートを貼り付けた基材を打ち抜き位置に停止させ、前記基材の天面に貼り付けたシートの前記天面よりも外側の領域を、前記基材の4側面に貼り付けるための互いに分離した側面貼付片とするように、前記シートに、天面の4つの角をそれぞれ頂点とする4つの切り欠きを形成する打ち抜き手段であって、少なくとも前記基材の雄サネが存在する角部に対応して設けられ、表面が前記天面と同一表面となるように前記シートの下側に装着可能な受け板と、該受け板の上に位置するシートを打ち抜くための刃を備えた打ち抜き型を有する打ち抜き手段と、
前記基材を、前記基材天面の一対の辺に平行方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆく第一ラッピング手段と、
前記基材を、前記第一ラッピング手段における搬送方向とは直角方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆく第二ラッピング手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシートラッピング製品は、1枚のシートで基材天面全域及び4側面の各々の少なくとも天面に隣接した領域を覆っているので、きわめて見栄えがよく、見た目が本物の板に近く、側面からの吸水も抑えられるため、高品質、高機能な製品となる。しかも、基材側面に貼り付けた側面貼付片は重なっていないので、シートの貼り付けによって段差が生じることはなく、床面や壁面を形成するためにこのシートラッピング製品を並べて施工する際、両者を良好に密着させることができ、見栄えのよい床面や壁面を形成できる、更に、基材の側面には雄サネ或いは雌サネを形成しているので、シートラッピング製品を並べて施工する際、一方の雄サネと他方の雌サネを嵌合させて取り付けることができ、施工が容易で且つ各シートラッピング製品の天面を揃えて施工でき、見栄えのよい且つはがれにくい床面や壁面を形成できるといった効果も有している。
【0012】
本発明の製造方法及び装置によれば、基材の天面に連続したシートを貼り付け、そのシートを切断することで、各基材の天面に所定サイズの枚葉のシートを貼り付けた形態の中間製品を製造し、そのシートの4つの角部に切り欠きを形成して、天面の4辺に沿って、互いに切り離された側面貼付片を形成し、その基材を、前記基材天面の一対の辺に平行方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆき、次いで、その基材を、先に搬送方向とは直角方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆくという操作を実施でき、これによって、前記した本発明のシートラッピング製品を生産性良く製造できると共に人件費を抑えることが可能となるといった効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係るシートラッピング製品を示すもので、(a)はその概略平面図及び4側面図、(b)、(c)はそれぞれ(a)のA−A矢視、B−B矢視概略断面図、図2(a)は、基材天面にラッピングのためのシートを貼り付けた状態を示す概略平面図、(b)はシートの角部に切り欠きを形成した状態を示す概略平面図、図3(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、シートの角部に形成した切り欠きの形状を示す概略平面図である。図1〜図3において、全体を参照符号1で示すシートラッピング製品は、矩形状の板状の基材2と、その基材2の天面、4側面及び下面の周縁領域に貼り付けられた1枚のシート3で構成されている。基材2としては、木材、合板、樹脂板、パーティクルボードなどを例示できる。シート3は、基材を装飾或いは保護するための表面材として作用するもので、突板、プリント紙、各種プラスチックフィルム、積層シート等を例示できる。
【0014】
基材2は、天面2aと、4側面2b、2c、2d、2eを備えている。以下、説明の便宜上、天面2aの4つの角を符号2aa、2ab、2ac、2adで示す。長辺側の一方の側面2bには厚さ方向の中央領域に雄サネ4bが形成されており、その側面2bとは反対側の側面2dには厚さ方向の中央領域に雌サネ5dが形成されている。また、短辺側の一方の側面2eには厚さ方向の中央領域に雄サネ4eが形成されており、その側面2eとは反対側の側面2cには厚さ方向の中央領域に雌サネ5cが形成されている。
【0015】
シート3は、図2(b)に示すように、シート3を基材2の天面2aに貼り付けてはいるが4側面2b〜2eには貼り付ける前の平面状の状態において、基材の天面に貼り付けた天面貼付部3aと、その天面貼付部3aに連設され、基材の4側面に貼り付けるための4個の側面貼付片3b、3c、3d、3eを備えている。互いに隣接する側面貼付片は、両者の間に位置する天面の角を頂点とするようにシート3に形成された切り欠き6a、6b、6c、6dによって切り離されており、各側面貼付片3b、3c、3d、3eは互いに干渉することなく、対応する基材側面2b、2c、2d、2eに貼り付け可能となっている。更に、各切り欠きを挟んで位置する隣接した側面貼付片の端縁形状は、その側面貼付片を対応する側面に貼り付けた時に互いに重なることなく端縁同士がほぼ接する位置となるように、定められている。例えば、図3(c)に示すように、雄サネ4b、4eを備えた側面2b、2eに貼り付けるための側面貼付片3b、3eの互いに隣接した端縁形状は、雄サネ4b、4eに貼り付ける領域に台形状に突出した部分3ba、3eaを有する形状となっており、この台形状の領域を雄サネ4b、4eに貼り付けることで、両雄サネ4b、4eの交差する領域にまで、側面貼付片3b、3eの端縁同士を重ね合わせることなく、互いに突き合わせたような状態に貼り付けることができる。図1において、側縁2b、2eの交差する角部の符号7で示す実線は、側面貼付片3b、3eの端縁同士の突き合わせ位置を示すものである。
【0016】
また、図3(c)において、側面貼付片3b、3eの端縁の先端領域(基材裏面に貼り付ける領域)には面取りを施して傾斜3bb、3ebを設けている。この傾斜3bb、3ebを設けたことで、側面貼付片3b、3eの先端領域を基材裏面に貼り付けた際に端縁同士を重ね合わせることなく、互いに突き合わせたような状態に貼り付けることができる。なお、側面貼付片3b、3eの先端領域を基材裏面に貼り付ける場合、基材裏面側ではシートの重なりがあってもさほど問題とはならないので、傾斜3bb、3ebの形成を省略し、端縁と側縁とが直交するようにしてもよい。また、図3(b)において、雌サネ5c、5dを備えた側面2c、2dに貼り付けるための側面貼付片3c、3dの互いに隣接した端縁形状は、雌サネ5c、5dの内面に貼り付ける領域に台形状の凹部3ca、3daを有する形状となっており、この領域を雌サネ5c、5dの交差する領域の内面に貼り付けることで、側面貼付片3c、3dの端縁同士を重ね合わせることなく、互いに突き合わせたような状態に貼り付けることができる。また、側面貼付片3c、3dの端縁の先端領域に傾斜3cb、3dbを設けており、この傾斜3cb、3dbを設けたことで、側面貼付片3c、3dの先端領域を基材裏面に貼り付けた際に端縁同士を重ね合わせることなく、互いに突き合わせたような状態に貼り付けることができる。なお、この傾斜3cb、3dbの形成も省略してよい。
【0017】
図3(a)において、側面貼付片3d、3eの互いに隣接した端縁形状は、これらの側面貼付片3d、3eを対応する側面に貼り付けた時、側面2d、2eの角をはさんで端縁同士が隣接した状態となるように定められている。なお、この側面貼付片3d、3eの端縁の先端領域(基材裏面に貼り付ける領域)にも傾斜3dc、3ecを設け、この領域を基材裏面に貼り付けた際に端縁同士を重ね合わせることなく、互いに突き合わせたような状態に貼り付けることができる構成としているが、この傾斜の形成は省略してもよい。図3(d)において、側面貼付片3b、3cの互いに隣接した端縁形状は、これらの側面貼付片3b、3cを対応する側面に貼り付けた時、側面2b、2cの角をはさんで端縁同士が隣接した状態となるように定められている。なお、この側面貼付片3b、3cの端縁の先端領域(基材裏面に貼り付ける領域)にも傾斜3bc、3ccを設け、この領域を基材裏面に貼り付けた際に端縁同士を重ね合わせることなく、互いに突き合わせたような状態に貼り付けることができる構成としているが、この傾斜の形成は省略してもよい。
【0018】
この形状のシート3は、図1に示すように、4つの側面貼付片3b、3c、3d、3eを天面の各辺に沿って折り曲げ、対応する側面2b、2c、2d、2eの全域及び裏面の周縁領域に貼り付けることで、基材2をラッピッグしている。この構成のシートラッピング製品1は、基材2の天面2aのみならず、4側面及び裏面の周縁部分を1枚のシート3で覆っているので、きわめて見栄えが良く、しかも側面からの吸水も抑えられるため、高品質、高機能の製品となっている。更に、基材側面に貼り付けているシートの側面貼付片の端縁は互いに近接してはいるが、重なっていないので段差は生じていない。このため、このシートラッピング製品1を並べて床面或いは壁面を形成する際、側面同士を良好に密着させて取り付けることができ、きわめて見栄えの良い床面或いは壁面を形成でき、しかも、雌サネ、雄サネを備えているので、これらを嵌合させて取り付けることができ、容易に見栄え良く施工できるといった利点を有している。
【0019】
なお、上記の実施の形態では、4個の側面貼付片3b〜3eの端縁形状として図3に示すものを用いているが、この端縁形状はこれに限らず、隣接した側面貼付片を対応する側面に貼り付けた時に互いに重なることなく端縁同士がほぼ接する位置となるように、貼り付けることの可能な形状であれば、他の形状を用いてもよい。図4は端縁形状の他の例を示すものである。この例では、例えば、図4(c)に示す角部においては、雄サネ4b、4eを備えた側面2b、2eに貼り付けるための側面貼付片3b、3eの互いに隣接した端縁形状は、一方の側面貼付片3bの雄サネ4bの上面、前面及び下面に貼り付ける領域に、矩形状に突出した部分3bdを有し、他方の側面貼付片3eの雄サネ4eの前面に貼り付ける領域に、細く突出した部分3edを有する形状としている。この形状の側面貼付片3b、3eを対応する側面に貼り付けることで、雄サネ4b、4eの交差領域において、側面貼付片3b、3eの端縁同士を重ね合わせることなく、互いに突き合わせたような状態に貼り付けることができる。また、図4(b)に示す角部においては、雌サネ5c、5dを備えた側面2c、2dに貼り付けるための側面貼付片3c、3dの互いに隣接した端縁形状は、一方の側面貼付片3cの、雌サネ5dに面する領域に小さい凹部3cdを有し、他方の側面貼付片3dの、雌サネ5cの内面に貼り付ける領域に矩形状の凹部3ddを有する形状としている。この形状の側面貼付片3c、3dを対応する側面に貼り付けることで、雌サネ5c、5dの交差領域の内面において、側面貼付片3c、3dの端縁同士を重ね合わせることなく、互いに突き合わせたような状態に貼り付けることができる。なお、図4に示す例では、各側面貼付片の端縁の先端領域(基材裏面に貼り付ける領域)には面取りを施していない。このため、これらの側面貼付片の先端領域を基材裏面に貼り付けた時には、角部において側面貼付片が重なることとなるが、基材裏面側であるので、特に支障はない。
【0020】
なお、上記した実施の形態に係るシートラッピング製品1は、側面貼付片3b、3c、3d、3eを対応する側面の、雄サネの表面、雌サネの内面を含む全域及び基材裏面の周縁領域に貼り付けているが、側面貼付片の貼り付け領域はこれに限らず、適宜変更可能である。図4は側面貼付片の貼り付け領域の変形例を示すものである。雌サネ5dを有する側面2dに対する側面貼付片3dの貼り付け領域は、図4(a)に示すように、雌サネの内面を含む側面全域(但し、基材裏面には貼り付けない)としても良いし、図4(b)に示すように、側面2dの、基材天面から雌サネに到る領域及び雌サネ内面全域としても良いし、図4(c)に示すように、側面2dの、基材天面から雌サネに到る領域及び雌サネの上側の内面及び底面領域としても良いし、図4(d)、(e)に示すように、側面2dの、基材天面から雌サネに到る領域及び雌サネの上側の内面領域としても良いし、図4(f)に示すように、側面2dの、基材天面から雌サネに到る領域のみとしてもよい。雄サネ4bを有する側面2bに対する側面貼付片3bの貼り付け領域は、図4(a)に示すように、雄サネの表面を含む側面全域(但し、基材裏面には貼り付けない)としても良いし、図4(b)に示すように、側面2bの、基材天面から雄サネに到る領域及び雄サネの表面全域としても良いし、図4(c)に示すように、側面2bの、基材天面から雄サネに到る領域及び雄サネの上側の表面及び先端面領域としても良いし、図4(d)に示すように、側面2bの、基材天面から雄サネに到る領域及び雄サネの上側の表面領域としても良いし、図4(e)、(f)に示すように、側面2bの、基材天面から雄サネに到る領域のみとしてもよい。また、短辺側の側面2c、2eについても、側面貼付片3c、3eの貼り付け領域は、図4に示す長辺側の側面2b、2dに対する側面貼付片の貼り付け領域と同様に、種々変更可能である。更に、4側面2b、2c、2d、2eに対する側面貼付片の貼り付け領域は、全側面について同一としてもよいし、側面によって異なるようにしてもよい。例えば、長辺側の側面については、側面貼付片を側面全域及び裏面周縁領域まで貼り付けるが、短辺側の側面については、裏面には貼り付けず、側面全域のみに貼り付ける構成としてもよい。いずれにしても、シートラッピング製品1を床面や壁面に貼り付けて使用する際の見栄えを良好とする上から、側面貼付片は少なくとも側面の基材天面に隣接する領域に貼り付けておけばよい。
【0021】
図1〜図5に示す実施の形態に係るシートラッピング製品1は、基材2の雄サネを有する側面の断面形状、雌サネを有する側面の断面形状を、基材天面に直角な側面の中央領域に雄サネ或いは雌サネを形成した単純な形状としているが、これに限らず、変更可能である。図6は側面の断面形状を変更した他の実施の形態に係るシートラッピング製品1Aを示すものである。この実施の形態に係るシートラッピング製品1Aも、基材2Aと、その基材2Aの天面、4側面及び下面の周縁領域に貼り付けられた1枚のシート3で構成されている。ここで用いている基材2Aも、長辺側の側面2bと短辺側の側面2eに雄サネ4b、4eを備え、他の側面2c、2dに雌サネ5c、5dを備えているが、雄サネ4b、4eを有する側面2b、2eの断面形状を、雄サネに関して天面側の側面よりも反対側の側面が引っ込んだ形状としており、且つ、雄サネを有する側面とは反対側の、雌サネ5c、5dを有する側面2c、2dの断面形状を、雌サネに関して天面側の側面よりも反対側の側面が突出した形状としたものである。このような断面形状の側面2b、2eと側面2c、2dを用いた場合でも、雄サネを有する側面と雌サネを有する側面を嵌合させて床面或いは壁面に取り付けることができる。
【0022】
図6に示すシートラッピング製品1Aに用いているシート3も、シート3を基材天面に貼り付けてはいるが4側面には貼り付ける前の平面状の状態において、基材の天面よりも外側に位置する4個の側面貼付片3b、3c、3d、3eを備えており、互いに隣接する側面貼付片は、両者の間に位置する天面の角を頂点とするようにシート3に形成された切り欠きによって切り離されており、各側面貼付片3b、3c、3d、3eは互いに干渉することなく、対応する基材側面2b、2c、2d、2eに貼り付け可能となっている。更に、各切り欠きを挟んで位置する隣接した側面貼付片の端縁形状は、その側面貼付片を対応する側面に貼り付けた時に互いに重なることなく端縁同士がほぼ接するように、定められている。これにより、シート3で基材2Aの天面及び4側面の全域をシートの重なりによる段差を生じることなく、覆うことができ、このシートラッピング製品1Aも、図1〜図5に示す実施の形態に係るシートラッピング製品1と同様な利点を有している。
【0023】
なお、図6に示すシートラッピング製品1Aにおいても、側面貼付片の貼り付け領域は変更可能であり、例えば、図7(a)〜(f)に示すように変更可能である。
【0024】
図8は更に他の実施の形態に係るシートラッピング製品1Bを示すものである。この実施の形態に係るシートラッピング製品1Bも、基材2Bと、その基材2Bの天面、4側面及び下面の周縁領域に貼り付けられた1枚のシート3で構成されている。ここで用いている基材2Bは、長辺側の一側面2bのみに雄サネ4bを備え、他の側面2c、2d、2eには雌サネ5c、5d、5eを備えている。シートラッピング製品1Bの、基材以外の構成は図1に示すシートラッピング製品1と同様であり、同様な利点を有している。なお、このシートラッピング製品1Bを用いて床面や壁面を形成する場合、一方の短辺側の側面の雌サネに雇いサネを挿入しておくことで雄サネと同様な機能を発揮させることができ、図1に示すシートラッピング製品1と同様に施工できる。図8に示すシートラッピング製品1Bにおいても、側面貼付片の貼り付け領域は、図5に示すものと同様に適宜変更可能である。
【0025】
次に、上記構成のシートラッピング製品を製造する製造方法及び装置を説明する。図9は図1に示すシートラッピング製品1を製造するシートラッピング製品製造装置を示す概略平面図である。このシートラッピング製品製造装置は、大別すると、基材2の天面にシート3を貼り付けるシート貼り付け手段11と、シート3を切断して切り離す切断手段12と、基材2を打ち抜き位置Pで停止させ、基材2の天面に貼り付けているシート3の4つの角部に切り欠き6a、6b、6c、6d(図3参照)を形成する打ち抜き手段14と、基材2を搬送しながら、その進行方向に関して両側に位置する一対の側面貼付片を基材側面に巻き込んで貼り付けてゆく第一ラッピング手段15と、基材2を、第一ラッピング手段15における搬送方向とは直角方向にに搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する一対の側面貼付片を基材側面に巻き込んで貼り付けてゆく第二ラッピング手段18等を備えている。以下、各部を説明する。
【0026】
シート貼り付け手段11は、図10(a)、(b)に示すように、連続したシート3を供給するシート供給部21と、シート供給部21から引き出されたシート3を搬送するローラ22と、シート3に接着剤を塗布するのり塗布部23と、基材2を一定間隔で連続的に搬送する複数のローラ24を備えた搬送手段25と、接着剤を塗布したシート3を基材2の天面に押し付けて貼り付ける貼り付けローラ26等を備えている。ここで、搬送手段25は基材2を、その天面2aの長辺に平行方向に且つシート供給部21から引き出されるシート3の長手方向に平行に搬送する構成となっている。以下、基材2の長辺に平行な進行方向をY方向と称し、それに直角な進行方向をX方向と称する。シート供給部21から引き出されるシート3の幅は、そのシート3を基材2の天面に貼り付けた時、基材2の両側に、基材側面に貼り付けるのに適した大きさの領域が存在するように、基材2の幅よりも広く設定されている。搬送手段25によって搬送される基材2の、進行方向に関して前後方向の間隔は、前後の基材2、2に貼り付けられているシート3を、前後の基材2、2の中間位置で切り離した時に、前側の基材2の後ろ側及び後ろ側の基材2の前側にそれぞれ、基材前後の側面に貼り付けるのに適した大きさの領域が存在するように、定められている。かくして、シート貼り付け手段11で、一定間隔で搬送されている基材2の天面に連続したシート3を貼り付け、前後の基材2、2の中間位置でそのシート3を切り離すことで、図2(a)に示すように、基材2の天面にシート3を、天面の4辺の外側に、基材側面の所望領域に貼り付けるに適した大きさの領域が存在する形態で貼り付けた中間製品を形成できる。
【0027】
図10において、切断手段12は、搬送中の基材2の天面に貼り付けられた連続したシート3を切り離すためのものである。この切断手段12は搬送中のシート3を中心軸線に直角に切断可能なものであれば、その構造は任意であるが、この実施の形態では、切断刃をシートの進行方向に直角方向に走行させるように保持した横移動装置27と、その横移動装置27をシートの進行方向に走行させる縦移動装置28を備えており、縦移動装置28で横移動装置27をシート3と同一速度で走行させながら、横移動装置27で切断刃をシート進行方向に直角に走行させることで、シート3を中心軸線に直角方向に切断することができる。ここで、切断手段12によるシート3の切断位置は、一定間隔で搬送されている前後の基材2、2の天面の前後に所望サイズの側面貼付片を形成しうるように定められている。
【0028】
打ち抜き位置Pは、切断手段12による切断位置よりもY方向の下流に設定されている。その打ち抜き位置Pに設けられている打ち抜き手段14は、図11〜図13に示すように、搬送されてくる基材2の前側に設けられる受け板31と、その受け板31の上に位置するシートを所望形状に打ち抜くための刃32aを備えた打ち抜き型32と、受け板31で位置決めされた基材2の後ろ側になるように配置された受け板33と、その受け板33の上に位置するシートを所望形状に打ち抜くための刃34aを備えた打ち抜き型34を備えている。受け板31、33の基材に面する側にはそれぞれ、基材2の前側の両端の角部及び後ろ側の両端の角部を嵌合させることができるよう凹部35を形成している。更に、受け板31、33の基材に面する部分の厚さは、図12からよく分かるように、基材側面の天面と雄サネとの間の距離よりも小さく選定されており、受け板31、33の上面を基材2の天面2aと同じ高さとした状態で、基材側面に雄サネが存在していても、その雄サネに干渉することなく、受け板31、33の先端を基材2の天面に隣接した側面に押し付けることが可能である。この構成としたことにより、受け板31、33の上面を基材2の天面2aと同じ高さとした状態で、基材2を受け板31、33の凹部に嵌合させることで、基材2の天面2aの角2aa、2ab、2ac、2adの外側に、天面2aと同じ高さに延びるように受け板31、33の上面が存在することとなり、その受け板31、33で天面2aに貼り付けられているシート3を支持することができる。受け板31、33は、基材2の搬送に干渉しない下方の待機位置と上面が基材2の天面2aと一致する高さとなる作動位置に移動可能であり、且つそれぞれを昇降させる昇降機構(図示せず)に連結されている。更に、後ろ側の受け板33は、基材2を前側の受け板31に押し付けて位置決めできるよう水平にも移動可能に設けられ、且つ水平に往復移動させる移動機構(図示せず)に連結されている。
【0029】
打ち抜き型32、34は、受け板31、33で位置決めされた基材2の天面に貼り付けているシート3の角部に所望形状の切り欠きを打ち抜くことができる形状の刃32a、34aを備えている。なお、図13では、シート3に形成する切り欠き6a、6b、6c、6dの形状及びそれを打ち抜くための刃32aの形状を簡略化して示している。一方の打ち抜き型32は、受け板31に対応した定位置で昇降するように設けられ、昇降機構(図示せず)に連結されている。他方の打ち抜き型34は、水平方向には対応する受け板33と一体となって移動するように設けられており、上下方向には単独で昇降可能に設けられ、昇降機構(図示せず)に連結されている。
【0030】
上記構成の打ち抜き手段14による打ち抜き動作は次のように行われる。図12(a)に示すように、前側の受け板31が作動位置に上昇した状態で基材2が基材搬送用のローラ36によって搬送されてきて、受け板31の凹部35(図11参照)に嵌合して停止する。後ろ側の受け板33は基材2が通過した後、図12(b)に示すように作動位置に上昇し、次いで水平に基材2に向かって移動し、図12(c)に示すように基材2の先端を前側の受け板31に押し付ける。これにより、基材2の前後端に受け板31、33が確実に嵌合すると共に、基材2を位置決めして停止させることができる。この際、図11(b)にも示すように、受け板31、33は、基材2の天面に貼り付けられているシート3の天面よりも外側の領域の下に入り込み、シート3を支持することとなる。その後、打ち抜き型32、34が下降し、刃32a、34aでシート3を所望形状に打ち抜く。その後、打ち抜き型32、34が上昇し、受け板31、33が下方の待機位置に下降し、基材2が次の工程に送り出される。以上のようにして、図2(b)、図13(a)に示すように、シート3に切り欠き6a、6b、6c、6d(図13参照)が形成される。
【0031】
なお、図11〜図13に示す実施の形態では、受け板31、33がそれぞれ、基材2の二つの角部を嵌合させる形状であるが、各角部をそれぞれ別の部材に嵌合させる構造とすることも可能である。図14はその場合の実施の形態を示すもので、受け板31Aは定位置に設けられる固定受け板部分31aと、その固定受け板部分31aに対して接近及び離間方向に移動可能な可動受け板部分31bと、その可動受け板部分31bを往復移動させる移動機構(図示せず)を備えており、各固定受け板部分31a、可動受け板部分31bはそれぞれ、基材2の対応する角部を嵌合可能な凹部35a、35bを備えている。この構成の受け板31Aを用いる場合には、図14(a)に示すように、可動受け板部分31bを固定受け板部分31aから大きく離した状態で基材2を受け入れ、基材2の先端が可動受け板部分31bと固定受け板部分31aに突き当たって停止した状態で、可動受け板部分31bを固定受け板部分31aに向かって移動させ、基材2を固定受け板部分31aに押し付けて、所定位置に位置決め可能である。この構成の受け板31Aを用いた場合には、可動受け板部分31bが移動可能であるので、基材2の幅にばらつきがあっても確実に各角部に固定受け板部分31aと可動受け板部分31bを押し付けることができ、また、異なる幅の基材2に対応することも可能である。この受け板31Aに対して用いる打ち抜き型としては、可動受け板部分31bに対応した打ち抜き用の刃を、可動受け板部分31bと一緒に水平方向に移動させることの可能なものを用いる。なお、基材2の後ろ側に配置する受け板にも、受け板31Aと同様な構造のものが用いられる。
【0032】
図15は受け板の更に他の変形例を示すものである。ここに示す受け板31Bは互いに接近及び離間可能な一対の可動受け板部分31b、31cと、それらを互いに対称に往復移動させる駆動機構(図示せず)を備えており、各可動受け板部分31b、31cはそれぞれ、基材2の対応する角部を嵌合可能な凹部35b、35cを備えている。この構成の受け板31Bを用いる場合には、図15(a)に示すように、一対の可動受け板部分31b、31cを大きく離した状態で基材2を受け入れ、基材2の先端が可動受け板部分31b、31cに突き当たって停止した状態で、一対の可動受け板部分31b、31cを間隔が狭まるように移動させることで、基材2を所定位置に位置決めできる。この構成の受け板31Bを用いた場合には、一対の可動受け板部分31b、31cの間隔を変更可能であるので、基材2の幅にばらつきがあっても確実に各角部に可動受け板部分31b、31cを押し付けることができ、また、異なる幅の基材2に対応することも可能である。この受け板31Bに対して用いる打ち抜き型としては、各可動受け板部分31b、31cに対応した打ち抜き用の刃を、各可動受け板部分31b、31cと一緒に水平方向に移動させることの可能なものを用いる。なお、基材2の後ろ側に配置する受け板にも、受け板31Bと同様な構造のものが用いられる。
【0033】
更に、上記した実施の形態では打ち抜き手段14として、シート3を支持する受け板と、打ち抜き用の刃を備えた打ち抜き型を有する押し切り方式のものを用いている。このような受け板を用いると雄サネの上方に位置しているシートに対しても雄サネに干渉することなく所望形状の切り欠きを形成することができる。なお、雄サネのない角部に対しては、受け板を用いた押し切り方式の打ち抜き手段に限らず、他の形式の打ち抜き手段を用いてもよい。図16は、基材2の後端側の打ち抜きに雄型と雌型を用いた例を示すものである。この実施の形態では、基材2の後端側の角部の上方に、形成すべき切り欠きに対応した断面形状の穴37を備えた雌型38と、その穴に嵌合する雄型39と、その雄型39を昇降させる昇降機構を設けている。この構成により、基材2が前側の受け板31に突き当たって位置決めされた後、雌型38がシート3の上面に接する位置に下降し、次いで雄型39が上昇して雌型38の穴37に嵌合することで、シート3に切り欠きを形成できる。
【0034】
更に、上記した実施の形態における打ち抜き手段は、打ち抜き位置Pに停止した基材2に貼り付けているシート3の4つの角部に切り欠きを形成する構成であるが、本発明はこの構成に限らず、異なる位置で打ち抜きを行う構成としてもよい。例えば、打ち抜き位置Pでシート前側の両端の角部に打ち抜きを行い、その後、その下流に設けた第二の打ち抜き位置で後側の両端の角部に打ち抜きを行う構成としてもよい。
【0035】
図9において第一ラッピング手段15は、打ち抜き位置PよりもY方向の下流に配置されており、基材2を、基材天面の長辺に平行方向にすなわちY方向に搬送しながら、基材2の進行方向に関して両側にある一対の側面貼付片を基材2の両側の側面に巻き込んで貼り付けてゆくものである。この第一ラッピング手段15は、基材2をY方向に搬送する多数のローラ40を備えた搬送手段と、基材の進行方向に沿って配置され、Y方向に進行している基材の両側面に側面貼付片を徐々に巻き込んで貼り付けて行く多数のコロ41、42を有している。図17(a)〜(l)は、雄サネ4bを備えた側面2bが通過する経路に沿って配置されているコロ41の形状や傾き等を示すものであり、基材2の進行に伴い側面貼付片3bが図17(a)〜(l)に示す手順で徐々に、雄サネ4bの全表面を含む側面2b全域並びに基材裏面の周縁領域に巻き込まれ貼り付けられてゆく。また、図18(a)〜(k)は、雌サネ5dを備えた側面2dが通過する経路に沿って配置されているコロ42の形状や傾き等を示すものであり、基材2の進行に伴い側面貼付片3dが図18(a)〜(k)に示す手順で徐々に、雌サネ5dの全内面を含む側面2d全域並びに基材裏面の周縁領域に巻き込まれ貼り付けられてゆく。かくして、基材が第一ラッピング手段15を通過することで、両側の側面貼付片が両側の側面に貼り付けられる。なお、第一ラッピング手段15の直ぐ上流には、シート3の両側の側面貼付片3bに塗布している接着剤を活性化させるためのヒーター43が設けられているが、接着剤が加熱しなくても接着性を発揮する場合には、このヒーターは省略してもよい。
【0036】
第一ラッピング手段15のY方向の下流には方向転換部Qが設けられており、送られてきた基材2を、送られてきた方向に直角なX方向に送り出す構成となっている。第二ラッピング手段18は方向変換部Qの下流に配置されており、基材2を基材の長辺に直角方向であるX方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する一対の側面貼付片を基材側面に巻き込んで貼り付けてゆくものである。この第二ラッピング手段18も、第一ラッピング手段15と同様に、基材2をX方向に搬送する多数のローラ40を備えた搬送手段と、基材の進行方向に沿って配置され、X方向に進行している基材の両側面に側面貼付片を徐々に巻き込んで貼り付けて行く多数のコロ41、42を有している。なお、第二ラッピング手段18の直ぐ上流にも、シート3の両側の側面貼付片に塗布している接着剤を活性化させるためのヒーター59が設けられているが、接着剤が加熱しなくても接着性を発揮する場合には、このヒーターは省略してもよい。
【0037】
次に、上記構成のシートラッピング製品製造装置による製造方法を説明する。図9及び図10において、まず、シート供給部21から連続したシート3が引き出され、そのシート3にのり塗布部23で接着剤が塗布される。一方、基材2が一定間隔で、基材天面の第一辺2abに平行なY方向に搬送され、その基材2の天面に連続したシート3が中心軸線を合わせる形態で貼り付けられる。次いで、切断手段12が先行する基材2とそれに続く基材2の間の中間位置でシート3を切り離す。これにより、図2(a)に示すように、基材2の天面にシート3を、天面の4辺の外側に、基材側面の所望領域に貼り付けるに適した大きさの領域が存在する形態で貼り付けた中間製品が形成される。
【0038】
次に、図9及び図10において、シート3を貼り付けた基材2がY方向に搬送され、打ち抜き位置Pに達すると、その位置で位置決めして停止させられ、打ち抜き手段14によってシート3の4つの角部に切り欠きが形成される。これにより、図2(b)に示すように、シート3の4つの角部に切り欠き6a、6b、6c、6dが形成され、シート3の基材天面の4辺の外側に、切り欠き6a、6b、6c、6dで切り離された側面貼付片3b、3c、3d、3eが形成される。
【0039】
次に、図9及び図10において、基材2が更にY方向に搬送され、第一ラッピング手段15を通過し、その通過中に、進行方向に関して両側に位置する側面貼付片3b、3d(図2参照)が、図17、図18に示して手順で、基材両側の側面2b、2d及び裏面の周縁領域に巻き込まれて貼り付けられる。次に、この基材2が方向転換部Qで基材2の長辺に直角なX方向に送り出され、第二ラッピング手段18を通過し、その通過中に、進行方向に関して両側に位置する側面貼付片3c、3e(図2参照)が基材両側の側面2c、2e及び裏面の周縁領域に巻き込まれて貼り付けられる。以上のようにして、図1に示すように、基材2の天面及び4側面に1枚のシート3を貼り付けたシートラッピング製品1が、インラインで生産性よく製造される。製造されたシートラッピング製品1は、その後、集積部に送られ、集積される。
【0040】
なお、以上に説明した実施の形態に係る方法及び装置は、図1に示すように、側面貼付片を基材側面全域及び裏面の周縁部分にまで貼り付けた形態のシートラッピング製品の製造に用いたものであるが、この方法及び装置は、図5に示すような、側面貼付片の貼り付け領域を少なくしたシートラッピング製品の製造にも使用可能である。その場合には、基材2に貼り付ける連続したシート3の幅を小さくするとか、一定間隔を開けて搬送する基材の間隔を小さくし、その基材に貼り付けた連続したシート3を切り離した後の基材天面に貼り付けられたシート3のサイズを小さくし、更に、第一ラッピング手段15、第二ラッピング手段18に用いるコロ41、42を適宜少なくすることで、側面貼付片の貼り付け領域を少なくしたシートラッピング製品の製造に対応できる。また、連続したシート3の幅を変えるとか、基材間隔を変更することで、連続したシート3を切り離した後の基材天面に貼り付けられたシート3のサイズを変更し、そのシート3の4つの角部に形成する切り欠きを形状を変え、且つ第一ラッピング手段15、第二ラッピング手段18のコロ41、42の配列を適宜変更することで、図6、図7に示すシートラッピング製品1Aや、図8に示すシートラッピング製品1Bの製造にも対応可能である。
【0041】
更に、上記の実施の形態では、打ち抜き位置Pで基材2の天面に貼り付けているシート3に切り欠きを形成した後、その基材2を基材の長辺に平行なY方向に搬送しながら、進行方向に関して両側の側面貼付片を対応する側面に貼り付け、その後、X方向に搬送しながら進行方向に関して両側の側面貼付片を対応する側面に貼り付けているが、この代わりに、シート3に切り欠きを形成した後、基材を長辺に直角なX方向に搬送しながら進行方向に関して両側の側面貼付片を対応する側面に貼り付け、その後、長辺に平行なY方向に搬送しながら、進行方向に関して両側の側面貼付片を対応する側面に貼り付ける構成としてもよい。また、以上に説明した実施の形態では、連続したシート3を基材2に貼り付ける際の基材2の進行方向を、基材2の長辺に平行方向としているが、本発明はこれに限らず、基材2の進行方向を、基材2の長辺に直角方向としてもよい。
【0042】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係るシートラッピング製品を示すもので、(a)はその概略平面図及び4側面図、(b)、(c)はそれぞれ(a)のA−A矢視、B−B矢視概略断面図
【図2】(a)は基材天面にシートを貼り付けた状態で示す概略平面図、(b)はシートの角部に切り欠きを形成した状態を示す概略平面図
【図3】(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、シートの角部に形成した切り欠きの形状を示す概略平面図
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、シートの角部に形成した切り欠きの変形例を示す、図3と同一部分の概略平面図
【図5】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)はそれぞれ、側面貼付片の貼り付け領域を変更した実施の形態を示すもので、図1(b)と同一部分の概略断面図
【図6】本発明の他の実施の形態に係るシートラッピング製品を示すもので、(a)はその概略平面図及び4側面図、(b)、(c)はそれぞれ(a)のC−C矢視、D−D矢視概略断面図
【図7】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)はそれぞれ、側面貼付片の貼り付け領域を変更した実施の形態を示すもので、図6(b)と同一部分の概略断面図
【図8】本発明の更に他の実施の形態に係るシートラッピング製品を示すもので、(a)はその概略平面図及び4側面図、(b)、(c)はそれぞれ(a)のE−E矢視、F−F矢視概略断面図
【図9】本発明の実施の形態に係るシートラッピング製品製造装置の概略平面図
【図10】図9に示す製造装置の一部領域を示すもので、(a)は概略平面図、(b)は概略側面図
【図11】(a)は図9に示す製造装置の打ち抜き位置に到達したシート付の基材と、その前後に配置している受け板を示す概略平面図、(b)は前後の受け板でシート付の基材を位置決めして停止させた状態を示す概略平面図
【図12】(a)は図9に示す製造装置の打ち抜き位置に到達したシート付の基材と、その前後に配置している受け板及び打ち抜き型を示す概略断面図、(b)は前側の受け板でシート付の基材を停止させた状態を示す概略断面図、(c)は前後の受け板でシート付の基材を位置決めして停止させ、打ち抜き型でシートを打ち抜く状態を示す概略断面図
【図13】(a)は打ち抜き後のシート及び基材を示す概略平面図、(b)は打ち抜き型の概略下面図
【図14】(a)は受け板の変形例とシート付の基材を、両者を離した状態で示す概略平面図、(b)はその受け板でシート付の基材を位置決めした状態を示す概略平面図
【図15】(a)は受け板の更に他の変形例とシート付の基材を、両者を離した状態で示す概略平面図、(b)はその受け板でシート付の基材を位置決めした状態を示す概略平面図
【図16】(a)は打ち抜き手段の変形例を、打ち抜き前の状態で示す概略断面図、(b)は打ち抜き中の状態で示す概略断面図
【図17】(a)〜(l)は、第一ラッピング手段において雄サネを有する側面が通過する経路に沿って配置されたコロ及びそのコロによる側面貼付片の折り曲げ手順を示す概略側面図
【図18】(a)〜(k)は、第一ラッピング手段において雌サネを有する側面が通過する経路に沿って配置されたコロ及びそのコロによる側面貼付片の折り曲げ手順を示す概略側面図
【符号の説明】
【0044】
1、1A、1B シートラッピング製品
2 基材
2a 天面
2aa、2ab、2ac、2ad 角
2b、2c、2d、2e 側面
3 シート
3b、3c、3d、3e 側面貼付片
4b、4e 雄サネ
5c、5d 雌サネ
6a、6b、6c、6d 切り欠き
11 シート貼り付け手段
12 切断手段
14 打ち抜き手段
15 第一ラッピング手段
18 第二ラッピング手段
21 シート供給部
23 のり塗布部
24 ローラ
25 搬送手段
31、33 受け板
32、34 打ち抜き型
32a、34a 刃
40 ローラ
41、42 コロ
43 ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の板状の基材であって、長辺側の1側面若しくはその1側面と短辺側の1側面とに雄サネを有し、他の側面に雌サネを有する基材と、その基材の天面全域と4側面の各々の少なくとも天面に隣接した領域に貼り付けられた1枚のシートを備え、該シートが、該シートを前記基材の天面に貼り付けてはいるが前記4側面には貼り付ける前の平面状の状態において、前記基材の4側面に対応して、その4側面に貼り付けるための側面貼付片を備えると共に、隣接した側面貼付片は基材天面の角を頂点とする切り欠きによって互いに切り離されており、更に隣接した側面貼付片の端縁形状は、その側面貼付片を対応する側面に貼り付けた時に互いに重なることなく端縁同士がほぼ接するように、定められていることを特徴とするシートラッピング製品。
【請求項2】
前記雌サネを有する側面に貼り付けた側面貼付片が、少なくとも基材天面から雌サネに到る領域並びに前記雌サネの上側の内面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1記載のシートラッピング製品。
【請求項3】
前記雄サネを有する側面に貼り付けた側面貼付片が、少なくとも基材天面から雄サネに到る領域並びに前記雄サネの上側の表面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のシートラッピング製品。
【請求項4】
前記雌サネを有する側面に貼り付けた側面貼付片が、少なくとも基材天面から雌サネに到る領域並びに前記雌サネの内面全域に貼り付けられていることを特徴とする請求項1記載のシートラッピング製品。
【請求項5】
前記雄サネを有する側面に貼り付けた側面貼付片が、少なくとも基材天面から雄サネに到る領域並びに前記雄サネの表面全域に貼り付けられていることを特徴とする請求項1、2又は4記載のシートラッピング製品。
【請求項6】
前記雌サネを有する側面に貼り付けた側面貼付片が、前記雌サネの内面全域を含む側面全域に貼り付けられていることを特徴とする請求項1記載のシートラッピング製品。
【請求項7】
前記雄サネを有する側面に貼り付けた側面貼付片が、前記雄サネの表面全域を含む側面全域に貼り付けられていることを特徴とする請求項1、2、4又は6記載のシートラッピング製品。
【請求項8】
前記基材の雄サネを有する側面の断面形状が、前記雄サネに関して天面側の側面よりも反対側の側面が引っ込んだ形状であり、前記雄サネを有する側面とは反対側の、雌サネを有する側面の断面形状が、前記雌サネに関して天面側の側面よりも反対側の側面が突出した形状であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のシートラッピング製品。
【請求項9】
矩形状の板状の基材であって、長辺側の1側面若しくはその1側面と短辺側の1側面とに雄サネを有し、他の側面に雌サネを有する基材と、その基材の天面全域と4側面の各々の少なくとも天面に隣接した領域に貼り付けられた1枚のシートを備えたシートラッピング製品を製造する方法であって、
一定間隔で搬送される基材の天面に、シート供給部から引き出された、前記天面よりも幅の広い連続したシートを、前記天面の平行な一対の辺が前記連続したシートの長手方向に平行となる関係で且つ前記連続したシートの両側縁が前記基材天面の両側に延び出した状態となるように貼り付けてゆくシート貼り付け工程と、
前記シートを、前記基材と基材の中間位置において切断して切り離す切断工程と、
前記基材の天面に貼り付けたシートの前記天面よりも外側の領域を、前記基材の4側面に貼り付けるための互いに分離した側面貼付片とするように、前記シートに、天面の4つの角をそれぞれ頂点とする4つの切り欠きを形成する打ち抜き工程であって、少なくとも前記基材の雄サネが存在する角部には、天面と同一表面を持った受け板を前記シートの下側となるように装着し、前記シート上方から刃を前記受け板に押し当てて打ち抜きを行う打ち抜き工程と、
前記基材を、前記基材天面の一対の辺に平行方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆく第一ラッピング工程と、
前記基材を、前記第一ラッピング工程における搬送方向とは直角方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆく第二ラッピング工程を有することを特徴とするシートラッピング製品の製造方法。
【請求項10】
矩形状の板状の基材であって、長辺側の1側面若しくはその1側面と短辺側の1側面とに雄サネを有し、他の側面に雌サネを有する基材と、その基材の天面全域と4側面の各々の少なくとも天面に隣接した領域に貼り付けられた1枚のシートを備えたシートラッピング製品を製造する装置であって、
基材を一定間隔で搬送すると共に、それに並行して、シート供給部から前記天面よりも幅の広い連続したシートを引き出し、前記基材の天面に、該天面の平行な一対の辺が前記連続したシートの長手方向に平行となる関係で且つ前記連続したシートの両側縁が前記基材天面の両側に延び出した状態となるように貼り付けてゆくシート貼り付け手段と、
前記シートを、前記基材と基材の中間位置において切断して切り離す切断手段と、
前記シートを貼り付けた基材を打ち抜き位置に停止させ、前記基材の天面に貼り付けたシートの前記天面よりも外側の領域を、前記基材の4側面に貼り付けるための互いに分離した側面貼付片とするように、前記シートに、天面の4つの角をそれぞれ頂点とする4つの切り欠きを形成する打ち抜き手段であって、少なくとも前記基材の雄サネが存在する角部に対応して設けられ、表面が前記天面と同一表面となるように前記シートの下側に装着可能な受け板と、該受け板の上に位置するシートを打ち抜くための刃を備えた打ち抜き型を有する打ち抜き手段と、
前記基材を、前記基材天面の一対の辺に平行方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆく第一ラッピング手段と、
前記基材を、前記第一ラッピング手段における搬送方向とは直角方向に搬送しながら、進行方向に関して両側に位置する側面に前記シートの側面貼付片を巻き込んで貼り付けてゆく第二ラッピング手段を有することを特徴とするシートラッピング製品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−142976(P2008−142976A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331216(P2006−331216)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】