説明

シート保持装置及びシート貼付装置

【課題】剥離シートを用いずに、シートの皺の発生を防止でき、適切な位置でシートを容易に保持できるようにすること。
【解決手段】保持装置10は、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADを有するシートSを保持可能に設けられる。保持装置10は、積層された複数枚のシートSが配置されるベース11と、基材シートの他方の面側からシートSを保持可能な第1保持手段13と、シートSの端縁側を保持可能な第2保持手段14と、第1保持手段13及び第2保持手段14をベース11に対して相対移動することにより、他のシートSから、第2保持手段14で保持されたシートSを剥離する剥離手段16とを備えている。剥離手段16によりシートSを剥離することで、剥離された領域から順次、シートSが第1保持手段13に保持可能に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート保持装置及びシート貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザーに納車する前の自動車を輸送や保管する際、ホイール表面にシートが貼付されている。かかるシートの貼付により、ホイールの表面に傷が付いたり汚れ等が付着したりすることを防止でき、また、タイヤのホイールの表面に貼着することによって、ホイールの穴を塞いで外部から水滴や砂等といった異物の付着に起因するブレーキディスク等の錆の発生を防止可能となる。ホイールにシートを貼付すべく当該シートを保持する装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された装置は、シートの接着剤層の反対側の面を吸着保持する吸着部材を備え、この吸着部材を介してシートを保持し、当該シートの接着剤層をホイールに押し付けることでシートの貼付が行われる。ここで、吸着部材にシートを保持させる際、シートの接着剤層には剥離シートが仮着されており、吸着部材へのシートの保持を完了した後、シートから剥離シートを剥離して接着剤層を露出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−66964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、各シートを貼付する度に、当該シートに仮着された剥離シートを剥離しなければならない。このため、剥離に要する作業の負担が大きくなる他、剥離作業を行うために作業時間全体が長くなる、という不都合がある。しかも、剥離シートを回収、廃棄する作業が煩雑で手間になり、剥離シートを廃棄処分するためのコストも発生する、という不都合を招来する。
ところで、剥離シートが剥離されたシートのみを吸着部材に保持させようとすると、当該シートは薄く、剛性も低いため、定形性を維持できず保持させる前に多数の皺が生じることとなる。このため、シートの皺をなくしながら吸着部材の適切な位置にシートを保持させることは極めて困難であり現実的ではなかった。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、剥離シートを用いずに、シートの皺の発生を防止でき、適切な位置でシートを容易に保持することができるシート保持装置及びシート貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、基材シートの一方の面に接着剤層を有するシートを保持するための保持装置であって、
隣接する他のシートの接着剤層に、基材シートの他方の面を直接接着することで積層された複数枚のシートが配置されるベースと、基材シートの他方の面側からシートを保持可能な第1保持手段と、シートの端縁側を保持可能な第2保持手段と、第1保持手段及び第2保持手段をベースに対して相対移動することにより、他のシートから、第2保持手段で保持されたシートを剥離する剥離手段とを備え、
前記剥離手段によりシートを剥離することで、剥離された領域から順次、シートが第1保持手段に保持可能に設けられる、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記シートには保持孔が形成され、
前記第2保持手段は、前記保持孔を介してシートを保持可能に設けられる、という構成を採ることが好ましい。
【0008】
また、前記剥離手段は、シートの反転位置で当該シートを反転させながら剥離可能に設けられ、
前記反転位置におけるシートの内側に沿って、剥離補助部材を設けた、という構成も好ましくは採用される。
【0009】
また、本発明は、請求項1、2又は3記載のシート保持装置と、当該シート保持装置の第1保持手段を移動して被着体にシートを貼付可能な貼付手段とを備える、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、第2保持手段でシートを保持した後、剥離手段によって第1保持手段及び第2保持手段とベースとを相対移動する。この移動により、剥離シートを用いずに積層された複数枚のシートから1枚のシートを剥離し、その剥離された領域から順次第1保持手段に保持させることができる。しかも、剥離シートを使用する必要がなくなり、剥離シートの剥離、回収、廃棄の負担をなくして作業労力の軽減を図ることができる他、作業時間を短縮でき、廃棄コストを削減することが可能となる。
【0011】
また、シートに形成された保持孔を介して第2保持手段がシートを保持するので、当該第2保持手段でのシート保持作業の簡略化を図ることができる。
【0012】
更に、剥離手段によりシートを反転させながら剥離し、反転位置におけるシートの内側に沿って、剥離補助部材を設けた場合、当該反転位置周りのシートに皺が生じないように押さえる力を付与可能となり、シートの皺の発生をより良く防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る保持装置の概略平面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】(A)〜(C)は、シートを保持する要領を示す説明図。
【図4】シートを貼付する要領を示す説明図。
【図5】変形例に係る保持装置の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書の方向若しくは位置を示す用語は、特に明示しない限り、「前」は図1中下側、「後」は同図中上側について用いる。また、「左」、「右」は、図1を基準とし、「上」、「下」は、図2を基準として用いる。
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「反転位置」とは、図3(B)に示されるように、他のシートから剥離された直後に捲り上げられるようにシートが反転した位置を意味する。
【0015】
図1〜図4において、保持装置10は、ベース11と、このベース11の上方に設けられた第1保持手段13と、この第1保持手段13に設けられた第2保持手段14と、ベース11と第1保持手段13との間に設けられた剥離手段16とを備えて構成されている。
【0016】
前記ベース11は、左右に長い形状とされ、その上面に複数枚のシートSが配置されている。各シートSは、基材シートBSの一方の面(図2中上面)に接着剤層ADを有し、自動車のホイールへ貼付するために、当該ホイールの形状に応じて略円形に形成され、中央部分に軸通口SCが設けられている。各シートSは、下方に隣接する他のシートSの接着剤層に、基材シートBSの他方の面(図2中下面)が直接接着されて積層されている。これにより、シートSが薄く低剛性であった場合、従来のように剥離シートを接着剤層に仮着しなければ単体のシートSとして定形性を維持できなかったのに対し、複数枚のシートSを直接接着して積層することで、剥離シートを接着剤層に仮着せずに一つのユニットとして複数枚のシートSを取り扱い可能となっている。図1に示されるように、シートSは、円形の外周からはみ出るように形成される被保持領域SAを右端縁側に備え、当該被保持領域SAの中央に保持孔SHが形成されている。なお、被保持領域SAには、接着剤層を有してもよいし有さなくてもよい。ここで、最上位のシートSの上面には、ローラからなる剥離補助手段18が設けられている。この剥離補助手段18は、前後方向に軸線が延び、その表面には接着剤層が接着しないようにフッ素樹脂やシリコーン樹脂(珪素樹脂)等で不接着処理が施されている。剥離補助手段18の両端がフレーム37に設けられている図示しない溝に係合するように設けられている。また、ベース11上であって、シートSの右側には、止め具19が設けられている。この止め具19は、図1に示されるように、シートSの右端側上に位置する剥離補助手段18に当接可能に設けられ、当該位置を初期位置として剥離補助手段18を位置決め可能となっている。
【0017】
前記第1保持手段13は、下面を吸着面20とし、シートSにおける基材シートBSの他方の面すなわち接着剤層ADの反対面を吸着して保持可能な吸着パッド21と、この吸着パッド21を上方から支持する支持板22と、この支持板22の上面側における面内中央部に設けられた把手24と、この把手24の下方に設けられた位置決め手段25とを備えている。
【0018】
前記吸着パッド21は、シートSと同様に略円形に形成されている。吸着パッド21は、吸着面20に図示しない多数の穴を備え、当該穴はホース27を介して図示しない吸引ポンプ等に接続されている。
【0019】
前記位置決め手段25は、把手24を貫通して指先で操作可能な操作部30と、吸着面20から出没可能な軸状部材31と、操作部30の操作により軸状部材31を出没動作させる動作機構32とを備えている。軸状部材31は、ホイールに形成された凹状のハブ内に嵌入可能に設けられ、当該嵌入によってシートS貼付時の第1保持手段13の位置決めを行えるようになっている。動作機構32は、図示しない磁石及び付勢手段としての圧縮コイルばねを用いることで操作部30と軸状部材31が動作機構32内部で接近し、軸状部材31が出没動作を可能とする構造が採用されている。動作機構32内部において、軸状部材31は、摺動可能に設けられるとともに、自重で落下するように設けられる。軸状部材31が埋没する際は、自重と圧縮コイルばねの力とで落下しないように磁石で磁着する一方、操作部30を押すと、その押す力と圧縮コイルばねの力との和が磁石の磁力より大きくなって軸状部材31が下方に突出するようになっている。なお、軸状部材31には圧縮コイルばねが設けられているため、仮に軸状部材31が突出した状態において、軸状部材31を上向きに使用する場合であっても、軸状部材31の自重で埋没しない程度の弾性的な付勢力が作用するので、埋没しない。よって、軸状部材31を上向きに使用しても何ら不都合は招来しない。
【0020】
前記第2保持手段14は、軸状体により形成され、支持板22の左端側下面から垂下するブラケット34に設けられている。第2保持手段14は、ブラケット34から左方向に突設されており、保持孔SHに挿通可能に設けられている。なお、第2保持手段14、ベース11上のシートSの保持孔SH、同シートSの中心及び、吸着パッド21の中心は、前後方向の位置が一致し、左右方向に一直線上に設けられている。
【0021】
前記剥離手段16は、ベース11上におけるシートSの前後両側にそれぞれ設けられた移動手段36からなる。各移動手段36は、左右に延び、上下方向に向けられた一対のフレーム37と、これらフレーム37間で左右に複数個並設されて回転可能なローラ38とをそれぞれ備えている。各移動手段36の上方には、支持板22下面が載置され、ローラ38の転動により、ベースと第1保持手段13との相対移動が促され、第1保持手段13が左右方向に直線的に移動することとなる。なお、支持板22の下面にはフレーム37に沿って平行に位置するガイド板40が設けられ、第1保持手段13の前後方向の移動を規制するようになっている。
【0022】
次に、保持装置10へのシートSの保持方法及びホイールへのシートSの貼付方法について説明する。
【0023】
先ず、図1及び図2に示されるように、シートSの右側に第1保持手段13を配置し、積層されたシートSの接着剤層を天面に設置する。また、最上位のシートSの右端側上面に剥離補助手段18を載置する。この状態から、図3(A)に示されるように、最上位のシートSの被保持領域SAを上向きとしつつ、移動手段36を介して第1保持手段13を作業者が手動で左方向に移動し、保持孔SHに第2保持手段14を挿入する。これにより、シートSの右端縁側が第2保持手段14に保持された状態となる。
【0024】
その後、作業者が手動で第1保持手段13を左方向に移動することにより、最上位のシートSが第2保持手段14で保持された状態で反転しながら、その下方の他のシートSから剥離される。このとき、図3(B)に示されるように、反転したシートSの内側における反転位置に沿って、剥離補助部材18が位置することとなる。これにより、シートSが反転位置で剥離補助部材18により押さえ付けられ、剥離直後におけるシートSの皺の発生を抑制するようになる。
【0025】
第1保持手段13の移動により剥離されたシートSは、剥離されて反転した領域から順次、吸着パッド21に吸着保持される。このとき、吸着保持されるシートSは反転するので、シートSの接着剤層ADが下向きとなり、接着剤層ADではない反対側の面が吸着パッド21に面接触して保持される。これにより、シートSの剥離と保持とが略同じタイミングで行われ、また、シートSがその下方の他のシートSと部分的に接着した状態を維持しながら、吸着パッド21に保持される領域を次第に拡大することとなる。ここで、剥離補助部材18は、フレーム37に設けられている図示しない溝に剥離補助部材18の両端が係合されており、シートSの反転位置の左方向への進行に応じ、当該反転位置に沿う状態を保ちながら左方向に転動する。これにより、シートSの保持が完了するまで、剥離補助部材18によるシートSの押さえ付けを維持するようになっている。
【0026】
図3(C)に示されるように、ベース11上のシートSを吸着パッド21が通過すると、シートSの全ての領域が他のシートSから剥離され、シートSが吸着パッド21からずれた位置に保持されたりすることなく、吸着パッド21への保持が完了する。シートSの全ての領域が他のシートSから剥離される位置まで剥離補助部材18が転動すると、係合している剥離補助手段18がフレーム37に設けられている図示しない溝よりも更に窪んだ状態に設けられた深溝に掛止する。シートSの保持完了後、当該シートSを被着体となるホイールに貼付すべく、各移動手段36上から第1保持手段13を持ち上げ、作業者が操作部30を操作して軸状部材31を吸着面20から突出させる。次いで、突出させた軸状部材31をホイールのハブに嵌入して第1保持手段13の左右前後方向の位置決めをし、吸着パッド21に保持されたシートSの接着剤層をホイールに押し付けてシートSを貼付する(図4参照)。
【0027】
なお、吸着パッド21での吸着の解除は、シートSの貼付を完了した後とする他、吸着パッド21の自粘性やシートSの静電気等により、前記吸着と同様の保持力を発揮して吸着パッド21でシートSを保持できる限りにおいて、シートSの貼付前としてもよい。
【0028】
また、ホイールにシートSを貼付する作業が完了した後、突出した状態のままとなっている軸状部材31を、作業者が手動により埋没させてから初期位置となる図1におけるシートSの右側に第1保持手段13を配置することで、作業工程の1周期が完了する。その後、前述した保持方法と貼付方法が順次繰り返される。
【0029】
従って、このような実施形態によれば、シートSが薄くて無負荷状態で定形性を維持しない場合でも、シートSに皺が生じた状態で吸着パッド21に保持されたり、シートSが吸着パッド21からずれた位置に保持されたりすることを防止でき、シートSの保持を簡単且つスムースに行うことができる。また、シートSが薄く且つ、剥離シートが剥離されたシートSのみである状態でも吸着パッド21に対するシートSの位置決めが簡単且つスムースに行うことができる。しかも、剥離シートを使用しなくてよいので、当該使用に伴う作業負担やコスト的な負担の軽減を図ることができ、作業時間を短縮することも可能となる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、第2保持手段14は、保持孔SHの形成数に応じて増設したり、被保持領域SAを挟み込んで保持可能な挟持手段にしたりする等、種々の変更が可能である。前記挟持手段を用いると、シートSの形状において被保持領域SAが存在しない真円でも保持可能となる。その際、被保持領域SAが存在しないシートSには保持孔SHがあっても無くてもよい。また、第2保持手段14は第1保持手段13に設けられずに、別に設けてもよい。
【0032】
また、作業者がシートSをホイールに貼付完了後、被保持領域SAを第2保持手段14から取り除く手間を省くために、駆動手段により第2保持手段14がブラケットから出没可能に設けられていてもよい。
【0033】
また、剥離補助手段18は、前記実施形態と同様の作用を奏する限りにおいて、プレート状に形成してもよい。
【0034】
更に、剥離手段16は、第1保持手段13を移動することなく手動でベース11を移動したり、ベース11及び第1保持手段13の両方を手動で移動したりして、それらを相対移動してもよい。要するに、剥離手段16は、前記実施形態のようにシートSを剥離可能に設けられていれば足りる。例えば、剥離手段16は、第1保持手段13を移動することなく、ベース11だけを移動したり、ベース11及び第1保持手段13の両方を移動したりして、それらを相対移動してもよい。第1保持手段13及び第2保持手段14をベース11に対して相対移動させる方法は、手動以外にモータやシリンダ等の駆動手段を介して自動で行うようにしてもよい。
【0035】
また、作業者がシートSをホイールに貼付する際、ホイールに形成された凹状のハブ内に対する軸状部材31の嵌入を目視で確認する目的で、覗き込むような手間を省くために、支持板22は透明なアクリル材料等で形成するほか、支持板22に空洞部分が施されていてもよい。
【0036】
また、シートSの剥離と貼付をより確実に行うため、本装置に切換え手段を設置することにより、吸着パッド21での吸引と送風を切り換え可能としてもよい。その際に送風手段のエアー源としてファンモーター等を用いることで、シートSの貼付時は送風可能とする。
【0037】
また、作業者がシートSをホイールに貼付するため、吸着パッド21の吸着を開始した後、吸着パッド21の吸引を停止するための停止手段が本装置へ接続されていてもよい。例として、シートSをホイールに貼付する際、作業者が手に第1保持手段13を持っていることから手を使った作業が困難である場合は、作業の利便性を図るために、停止手段を足踏み釦にしてもよい。
【0038】
また、シートSの剥離工程後に剥離補助部材18が図1で示される初期位置、すなわち積層されたシートSの右側へ手動で戻される他、自動的に戻るためのエアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等やコイルばね及びばね部材等が接続されていてもよい。
【0039】
また、積層されたシートSの保持孔と第2保持手段14を接近させることで保持を容易にするため、水平に積層されたシートSを傾ける、もしくはシートSを水平に保ったまま昇降可能な調整ネジ等の調整手段がベース11へ接続されていてもよい。
【0040】
また、被着体に貼付するシートSは、実施形態のようなホイール用シートのみと特に限定しなくともよい。すなわち、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、被着体に貼付する任意の用途、形状のシートが適用できる。例えば、シートSの形状は実施形態のようにシートSの中央部分へ軸通口があけられていなくともよい。その場合、本装置がシートSを位置決めする際に軸状部材31は吸着面20から突出した状態でなくともよい。
【0041】
また、相対移動方向は実施形態に示す、第1保持手段13及び第2保持手段14とシートSとのように水平方向に限らなくともよい。例えば垂直移動となる上下方向でもよいものとする。
【0042】
また、シートSをベース11上に設置する際、積層されたシートSの接着剤層ADを下向きにしてもよい。この場合、第1保持手段13に保持された時のシートSの接着剤層ADが下向きに保持されるよう、反転手段45が用いられる(図5参照)。反転手段45は、剥離補助手段18とシートSを挟みつつ当該シートSに巻回されてシートSの表裏を反転させるローラからなる。反転手段45がシートSを捲り上げてシートSの表裏を反転させ、その後シートSが剥離補助部材18により押さえ付けられ、吸着パッド21に吸着保持される。
【0043】
また、実施形態において、吸着パッド21の形状が円形である場合を示したが、シートSを吸着保持可能であれば、特に円形でなくともよい。例えば円形以外の形状として、正方形等の正多角形、その他に多角形や曲線を含む形状としてもよい。
【0044】
また、軸状部材31に設けられている図示しない付勢手段としては、圧縮コイルばねに限らず他の付勢手段を用いてもよい。例えば、ねじりコイルばね、板ばね、皿ばね、輪ばね及び引張コイルばね等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せてもよい。
【0045】
更に、前記実施形態の保持装置10と、前記第1保持手段13を移動可能な貼付手段とを含んでシート貼付装置を構成し、貼付手段の作動により吸着パッド21に保持されたシートSをホイールに押さえ付けて貼付してもよい。貼付手段を構成する駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものからなる。
【0046】
また、剥離補助部材18は、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等に接続されることより左右に移動してもよい。更に、中空モータ等から抜け出た出力軸へ剥離補助部材18が直接接続される他、ギア等を介して接続されることにより、シートSの剥離を促すように剥離補助部材18が回転駆動してもよい。
【0047】
また、実施形態において、剥離補助部材18が用いられる場合を示したが、特に剥離補助部材18を用いなくともよい。例えば、第1保持手段13の吸着面20と積層されたシートSとの隙間を限りなく小さくすることで、第1保持手段13で保持されるシートの領域と、第1保持手段13の下面である吸着面20とが平行になれば保持できる。前記隙間はシートSの剛性に対応して適宜、調節することで保持が可能となる。
【0048】
また、シートSの被着体は実施形態において、自動車用のホイールである場合を示したが、特に被着体を自動車用のホイールに限定しなくともよい。例えば自動車用のホイール以外にガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の板状部材などや、板状部材以外のものも対象とすることができる。そして、自動車用のホイールはアルミホイール等が例示できる。
【符号の説明】
【0049】
10 保持装置
11 ベース
13 第1保持手段
14 第2保持手段
16 剥離手段
18 剥離補助手段
S シート
SH 保持孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層を有するシートを保持するための保持装置であって、
隣接する他のシートの接着剤層に、基材シートの他方の面を直接接着することで積層された複数枚のシートが配置されるベースと、基材シートの他方の面側からシートを保持可能な第1保持手段と、シートの端縁側を保持可能な第2保持手段と、第1保持手段及び第2保持手段をベースに対して相対移動することにより、他のシートから、第2保持手段で保持されたシートを剥離する剥離手段とを備え、
前記剥離手段によりシートを剥離することで、剥離された領域から順次、シートが第1保持手段に保持可能に設けられていることを特徴とするシート保持装置。
【請求項2】
前記シートには保持孔が形成され、
前記第2保持手段は、前記保持孔を介してシートを保持可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のシート保持装置。
【請求項3】
前記剥離手段は、シートの反転位置で当該シートを反転させながら剥離可能に設けられ、
前記反転位置におけるシートの内側に沿って、剥離補助部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のシート保持装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のシート保持装置と、当該シート保持装置の第1保持手段を移動して被着体にシートを貼付可能な貼付手段とを備えていることを特徴とするシート貼付装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−171731(P2012−171731A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34416(P2011−34416)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】