説明

シート収納装置及び画像形成装置

【課題】取り出し性、視認性を向上させることのできるシート収納装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】収納ガイド304及び搬送ガイド303の間の幅方向に複数設けられた保持部材305a〜305eにより、シートPを収納ガイド304と共に挟持して保持する。そして、トレイ330にシートP2を収納する際、シートシフト部320を順次、少なくとも一つの保持部材305の幅方向長さ分だけ、シートPを保持する保持部材305の数が減少する方向にずらした状態でシートP2をトレイ330に搬送することにより、先に収納されているシートPを少なくとも一つの保持部材305により保持するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納装置及び画像形成装置に関し、特にシート収納装置を画像形成装置本体の上面に配置するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、画像が形成された後、画像形成装置本体から排出されるシートを収納するシート収納装置を備え、このシート収納装置に、画像形成されたシートを順次排出するようにしたものがある。そして、このようなシート収納装置としては、画像が形成された後に排出されるシートを収容するビンを複数、上下方向に移動可能に設けたビン移動型のソータがある(特許文献1参照)。
【0003】
図22は、このような従来のビン移動型のソータを説明する図であり、このソータ1002は、図22の(a)に示すように、上下方向に移動可能な複数のビントレイBnを備えている。なお、この複数のビントレイBnは、両側部に設けられた不図示の螺旋カムの1回転により1段ずつ上昇または下降するようになっている。
【0004】
そして、画像形成装置本体1000においてトナーにより画像が形成されたシートは、排紙ローラ対1001を経てソータ1002へ送られ、不図示の切換部材の切換により、ソートパスまたはノンソートパスの方向へ選択して送られる。ノンソートパスを通過したシートはノンソートトレイ1003上へ排出され、ソートパスを通過したシートは排紙ローラ1004により排出され、その排出と同期して昇降する各ビントレイBn上に収納される。ビントレイBn上に格納されたシートは各ビントレイBnに開設された不図示の切り欠きを貫通する整合棒1005の排出方向と直交する幅方向の移動によって整合され、更に必要に応じて不図示の電動ステイプラによってステイプル処理が施される。
【0005】
ここで、画像形成装置本体1000には、不図示の電位センサが設けられており、この電位センサにより、画像濃度に対応する露光後の感光体ドラム上の電位を検出する。一般的に、シートに形成された画像濃度(トナー濃度)が高い程、シートカールが大きくなる。このことから、検出電位に基づいてシートカールが大きくなると予想される場合には、図22の(b)に示すように、ビントレイBnをシフトアップさせるようにしている。これにより、収納されたシートPを一段上のノンソートトレイ1003かビントレイBnの下部に押圧させてシートPのカールを潰すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−48458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような従来のシート収納装置は、略水平、又は緩傾斜状に配置されたビントレイ上にシートを順次平積み状に収納していくものである。また、排出シートの識別性を向上させるために、複数のビントレイを積層構造にし、排出シートのジョブごとにビントレイを変える構成である。したがって、ビントレイの位置には高低差があり、特に低いビントレイに収納されたシートの視認性・取り出し性が良好ではなかった。
【0008】
また、ビントレイ上に排出されたシート束は、ステイプル綴じ等を施した場合を除いては、シート束状態で拘束されていない。このため、ビントレイからの取り出し時、誤って他のシート束に触れたり、排出時のシートの状態(カール・表面摩擦等)によってビントレイ上でシートが乱れてしまったりする場合がある。このような場合、結果的に取り出し性の低下や、装置の排出エラー等の装置トラブルを発生させる可能性がある。また、従来のシート収納装置は、画像形成装置の側方に配置されるため、画像形成装置とシート収納装置を合わせたシステム全体の水平方向の長さが長くなる。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、取り出し性、視認性を向上させることのできるシート収納装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、画像形成装置本体の上方に設けられ、前記画像形成装置本体から順次排出されるシートを搬送するシート搬送部及び前記シート搬送部の上方に位置し、前記シート搬送部により搬送されたシートを下方から受け入れて立てた状態で収納するシート収納部を備えたシート収納装置であって、前記シート収納部を、前記シート収納部に収納されるシートを保持する保持面を形成すると共に、下方から搬送されるシートをガイドする第1ガイド部材と、前記第1ガイド部材と対向して設けられ、下方から搬送されるシートを前記第1ガイド部材と共にガイドする下部ガイド部及び前記下部ガイド部の上方に位置し、シート搬送方向下流にいくに従って前記第1ガイド部材から離れる方向に傾斜した傾斜部を有する第2ガイド部材と、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の間のシート搬送方向と直交する幅方向に複数設けられ、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の傾斜部に当接した状態でシートを前記第1ガイド部材と共に挟持して保持する保持部材と、から構成し、かつ、前記シート収納部にシートを収納する際には、先に収納されているシートを少なくとも一つの前記保持部材により保持するよう、前記シート収納部と前記シート搬送部との相対位置を順次、少なくとも一つの前記保持部材の幅方向長さ分だけ、シートを保持する前記保持部材の数が減少する方向にずらした状態でシートを搬送することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように、シート収納の際、シート収納部とシート搬送部の相対位置を順次、ずらしてシートをシート収納部に搬送し、先に収納されているシートを少なくとも一つの保持部材によって保持することにより、取り出し性、視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート収納装置を備えた画像形成装置の構成を示す図。
【図2】上記シート収納装置の構成を説明する第1の図。
【図3】上記シート収納装置の構成を説明する第2の図。
【図4】上記シート収納装置の構成を説明する第3の図。
【図5】上記シート収納装置に設けられたトレイの収納保持部の構成を示す図。
【図6】上記トレイに保持されたシートの状態を示す斜視図。
【図7】上記収納保持部にシートを収納保持する動作を説明する第1の図。
【図8】上記収納保持部にシートを収納保持する動作を説明する第2の図。
【図9】画像形成装置本体及び上記シート収納装置を制御する制御ブロック図。
【図10】上記シート収納装置を制御するシート収納装置制御部の制御ブロック図。
【図11】上記シート収納装置のシート収納動作制御を示すフローチャート。
【図12】上記シート収納装置の収納対象トレイ番号確定処理を示すフローチャート。
【図13】上記シート収納装置の収納部移動処理を示すフローチャート。
【図14】上記シート収納装置のシートシフト処理を示すフローチャート。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する第1の図。
【図16】上記シート収納装置の構成を説明する第2の図。
【図17】上記シート収納装置の構成を説明する第3の図。
【図18】上記シート収納装置に設けられたトレイの収納保持部にシートを収納保持する動作を説明する第1の図。
【図19】上記収納保持部にシートを収納保持する動作を説明する第2の図。
【図20】上記シート収納装置のシート収納動作制御を示すフローチャート。
【図21】上記シート収納装置のシート保持部シフト処理を示すフローチャート。
【図22】従来のシート収納装置の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート収納装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。100は画像形成装置、100Aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)、100Bはシートに画像を形成する画像形成部、300は装置本体100Aの上面(上方)に配置されたシート収納装置である。
【0014】
ここで、画像形成部100Bは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成する感光体ドラムa〜dと、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置106等を備えている。なお、この感光体ドラムa〜dは不図示のモータにより駆動されると共に、周囲には、それぞれ不図示の一次帯電器、現像器、転写帯電器が配置されており、これらはプロセスカートリッジ101a〜101dとしてユニット化されている。
【0015】
102は、矢印方向に回転駆動される中間転写ベルトであり、この中間転写ベルト102に転写帯電器102a〜102dによって転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト102に多重転写される。これにより、中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
【0016】
103は順次中間転写ベルト102に形成されたフルカラー画像をシートPに転写する2次転写部である。この2次転写部103は、中間転写ベルト102を支持する2次転写対向ローラ103b及び中間転写ベルト102を介して2次転写対向ローラ103bと当接する2次転写ローラ103aとから構成される。109はレジストローラ、104は給紙カセット、108は給紙カセット104に収容されたシートPを給送するピックアップローラである。630は装置本体100A及びシート収納装置300の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
【0017】
次に、このように構成された画像形成装置100の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づき露光装置106はレーザ光を照射し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラムa〜dの表面を順次露光して感光体ドラムa〜dに静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
【0018】
例えば、まず感光体ドラムaに、原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を露光装置106のポリゴンミラー等を介して照射し、感光体ドラムa上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像器からのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。この後、このトナー像が感光体ドラムaの回転に伴って感光体ドラムaと中間転写ベルト102とが当接する1次転写部に到来する。ここで、このようにトナー像が1次転写部に到来すると、転写帯電器102aに印加した1次転写バイアスにより、感光体ドラムa上のイエロートナー像が中間転写ベルト102に転写される(1次転写)。
【0019】
次に、中間転写ベルト102のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラムb上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト102に転写される。同様に、中間転写ベルト102が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト102上にフルカラートナー画像が形成される。
【0020】
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット104に収容されたシートPは、ピックアップローラ108により1枚ずつ送り出される。そして、シートPは、レジストローラ109に達し、レジストローラ109によりタイミングを合わされた後、2次転写部103に搬送される。この後、この2次転写部103において、転写手段である2次転写ローラ103aに印加される2次転写バイアスによって中間転写ベルト102上の4色のトナー像がシートP上に一括して転写される(2次転写)。
【0021】
次に、トナー像が転写されたシートPは、2次転写部103から定着部105に搬送される。そして、この定着部105に設けられた加熱ローラ105a及び加圧ローラ105bにより、熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートPにフルカラーの画像として定着される。この後、このように画像が定着されたシートPは、定着部105の下流に設けられた排紙ローラ対110によって排紙され、湾曲形状を有する搬送ガイド313を通って装置本体100Aの上面に配置されたシート収納装置300に搬送される。
【0022】
ここで、このシート収納装置300は、装置本体100Aから順次搬送されるシートを下方から受け入れて立てた状態で収納するものである。そして、このシート収納装置300は、図2に示すように、横方向に並べて配置され、シートを立てた状態で収納する複数の、本実施の形態においては、5つのシート収納部であるトレイ330(330a〜330e)を備えている。なお、このように装置本体100Aの上部に5つのトレイ330を複数並列配置することにより、設置スペースを広くすることなく、収納量を増加することができる。また、シートを立てた状態で収納するようにすることにより、ラージサイズのシートを収納した場合においても、装置の設置スペースを広くすることがない。
【0023】
また、シート収納装置300は、装置本体100Aから順次排出されたシートを、搬送ガイド313を介してトレイ330に搬送すると共に、必要に応じてトレイ330のシート搬送方向と直交する幅方向にシフトするシートシフト部320を備えている。ここで、このようにシートシフト部320をシフトさせることにより、シートを収納する際、シートの、トレイ330における幅方向(図3の矢印Y)の収納位置をずらすことができる。
【0024】
なお、シートシフト部320は、正逆端可能なシートシフトモータM3と、その駆動を伝達する、図3に示すシートシフト駆動プーリ321a,321b及びシートシフトベルト322とを備えている。そして、シートシフトモータM3の駆動によりシートシフト駆動プーリ321aが回転し、シートシフトベルト322が矢印Yで示す幅方向に移動すると、シートシフト部320は、このシートシフトベルト322と一体で幅方向に移動する。
【0025】
なお、図2において、S4は、このシートシフト部320のホームポジションを検出するシートシフト部移動検知センサである。そして、このシートシフト部移動検知センサS4によって検知されたホームポジションからのシートシフトモータM3の駆動パルス数により、シートシフト部320の幅方向のシートシフト量が決定する。また、シートシフト部320の入口部には、入口センサS1が設けられており、この入口センサS1により、装置本体100AからのシートPの搬送タイミングをモニターしている。
【0026】
さらに、シートシフト部320には、図2及び図4に示すように、シート搬送モータM4、シート搬送駆動プーリ324(324a,324b)、シート搬送駆動ベルト323、連結ベルト325、連結プーリ326a,326bを備えている。また、シートシフト部320には、これらシート搬送モータM4、シート搬送駆動プーリ324等により、回転駆動される第1シフト搬送ローラ対327及び第2シフト搬送ローラ対328が設けられている。そして、シートシフト部320は、シートを収納する際、シート搬送モータM4を回転することにより、シートをトレイ330に向けて搬送する。
【0027】
また、搬送ガイド313のシート搬送方向下流部には、搬送ローラ301及び搬送ローラ301に圧接する搬送従動コロ302が設けられており、この搬送ローラ301及び搬送従動コロ302によってシートPを5つのトレイ330の一つに選択的に搬送する。なお、搬送ローラ301は、搬送モータM1により駆動される搬送ローラ駆動ギア307と搬送ローラ駆動ベルト306によって回転駆動が付与される。このように、本実施の形態においては、シート搬送部シフト部であるシートシフト部320は、装置本体100Aから順次排出されたシートを上方に、複数設けられたトレイ330に搬送するシート搬送部を兼ねている。
【0028】
トレイ330(330a〜330e)は、図4に示すように連結軸308により連結されると共に、保持板309によって保持されている。ここで、保持板309には、移動モータM2の同軸上に設けた移動プーリ311bと対向側に設けられた移動プーリ311aに掛けられているタイミングベルト312に固定された移動連結部材310が固定されている。なお、本実施の形態において、これら保持板309、移動モータM2等によりトレイ330を、シートを立てた状態で収納保持する収納ガイド304の略垂直な保持面と交差する横方向に移動させる移動部が構成される。
【0029】
これにより、タイミングベルト312が回転すると、移動連結部材310と共に保持板309が移動し、これに伴いトレイ330も一体的に図2に示す矢印X方向(横方向)へと移動するようになっている。そして、このようにトレイ330が横方向に移動することにより、搬送ローラ301から搬送されるシートを受け入れるトレイ330を変更することができる。これにより、5つのトレイ330の各々、又は所定のトレイ330に搬送ローラ301から搬送されるシートPを仕分けながら収納することができる。
【0030】
なお、このシート収納装置300には、図2に示すように、移動連結部材310のホームポジションを検知する移動検知センサS3が設けられている。そして、この移動検知センサS3により、トレイ330の図2に示すX方向(横方向)中央のホームポジションと、ホームポジションからの移動モータM2の駆動パルス数によって、トレイ330の受け渡し位置を決定している。
【0031】
また、トレイ330には、図2に示すように、それぞれ紙有り無し検知センサS2(S2a〜S2e)が設けられている。そして、この紙有り無し検知センサS2により、トレイ330の各々にシートが収納されているかを検知し、未収納のトレイに次の排出シートPを収納するように、後述する図10に示すシート収納装置制御部636のCPU701はトレイ330の位置を制御する。
【0032】
図5は、トレイ330のシートを下方から受け入れて立てた状態で収納保持する収納保持部200の構成を示す図である。収納保持部200は、略垂直な収納ガイド304と、収納ガイド304に対向して設けられた搬送ガイド303と、収納ガイド304及び搬送ガイド303の間に収納され、収納ガイド304と共にシートを挟持保持する円柱形状の保持部材305とを備えている。ここで、本実施の形態では、保持部材305として円柱形状のものを使用しているが、球体形状、円筒形状、紡錘形状のものを用いても良い。
【0033】
第1ガイド部材である収納ガイド304は、収納保持部200に収納されるシートを保持する保持面を形成し、下方から搬送されるシートを上方にガイドするものである。また、第2ガイド部材である搬送ガイド303は、上部に設けられた対向壁部303αと、下部に設けられ、収納ガイド304と共にシートを上方にガイドする下部ガイド部303γを備えている。さらに、搬送ガイド303は、下部ガイド部303γの上方、すなわち対向壁部303α及び下部ガイド部303γの間に設けられ、シート搬送方向下流にいくに従って収納ガイド304から離れる方向に傾斜した傾斜部303βを有している。
【0034】
保持部材305は、収納ガイド304の保持面と、搬送ガイド303の対向壁部303α及び傾斜部303βとの間で移動自在に設けられている。この保持部材305は、シートが収納保持部200に搬送されるまでは、自重により収納ガイド304と、搬送ガイド303の傾斜部303βに当接した状態となっている。
【0035】
これにより、保持部材305はガイド間距離が大きくなる方向、すなわち上方向には自由に移動できるが、ガイド間距離が小さくなる方向、すなわち下方向には移動できない。また、搬送ガイド303又は収納ガイド304には、保持部材305がシート搬送方向と直交する幅方向に移動して脱落することがないように、シートPの搬入を阻害しない範囲で不図示の係止部が設けられている。
【0036】
次に、シートPをトレイ330の収納保持部200に収納保持する動作について説明する。搬送ローラ301よりシートPがトレイ330に搬送されると、それまで図5の(a)に示す位置にある保持部材305は、図5の(b)に示すように、収納ガイド304とのニップ部を通過するシートPにより押圧される。これにより、保持部材305は、シートPに沿って矢印B方向にシートPの厚さ分移動する。なお、本実施の形態において、保持部材305は、シートPが収納ガイド304と保持部材305とのニップ部を通過する際、搬送されるシートPにより、矢印B方向へ移動自在となるような軽い材質で形成されている。これにより、シートPを弱い力で保持部材305を矢印B方向へ上昇させながら収納保持部200に収納することができる。
【0037】
そして、シートPの後端が搬送従動コロ302から抜けると、図5の(c)に示すように、傾斜部303βに位置している保持部材305に作用する重力Mにより、シートPには、収納ガイド304の方向への当接力F(=M/tanθ)が加わる。つまり、シートPの後端が搬送従動コロ302から抜け、シートによる押圧が解除されると、保持部材305はシートPに対して楔効果を発生する。そして、この楔効果として作用する当接力FによりシートPは、収納保持部200に保持される。
【0038】
以後、後続のシートは、収納ガイド304と保持部材305とにより保持されている先行シートPと同様に、収納ガイド304と搬送ガイド303の間を搬送される。そして、この後、保持部材305と先行シートPのニップ部へ突入することにより、先行シートPを収納ガイド304内に保持しながら、後続のシートも当接力Fにより収納ガイド304と保持部材305とにより保持することができる。この一連の動作を順次搬送されてくるシートPに対して繰り返し行なうことで、トレイ330に複数のシートを収納することができる。
【0039】
図6は、トレイ330に保持されたシートPの状態を示す斜視図であり、図6に示すように、収納保持部200は、搬送されてくるシートPに対してシート取り出し方向である搬送ガイド313の幅方向に配置されている。これにより、収納保持部200によってシートを保持した際、シートPの幅方向の一端部がトレイ330から取り出す方向の手前側、すなわち装置本体手前側に突出した状態になる。ここで、ユーザーが画像形成装置100を操作するために操作部601(図1)に臨む装置正面側を装置本体手前側、装置背面側を装置本体奥側とする。本実施形態において、装置本体手前奥方向は、トレイ330の幅方向と一致する。
【0040】
また、トレイ330(の収納保持部200)の高さ方向の長さは、収納したシートPの上部が突出するような長さに設定されている。つまり、本実施の形態においては、トレイ330の高さ及び幅を、収納されたシートのシート搬送方向下流側端部及び幅方向の一端部がトレイ330から突出するように設定している。これにより、トレイ330に収納されたシートPは、図6の角度θ(=90°)で示す装置本体手前側方向U、装置本体手前側斜め上方方向V、上方向Wの範囲で取り出しが可能となる。
【0041】
また、このようにトレイ330に収納された際、シートPはトレイ330の上方及び手前に突出しているため、この突出部分がシートPを取り出す時の掴み代として有効となっている。そして、シートPを装置本体手前側、装置本体手前側斜め上方及び図5の(b)の矢印Aで示す上方向にシート束を引き抜くようにすれば、保持部材305による楔効果が作用しない。したがって、片手で容易にトレイ330からシートP、あるいはシートの束を取り出すことができる。
【0042】
ところで、このような構成のトレイ330において、複数枚のシートを順次、収納する場合、シートを保持した状態の保持部材305は、搬送されるシートPにより、矢印Bで示す斜め上方へ移動する。ここで、このように保持部材305が斜め上方へ移動すると、保持部材305の自重によるシートの保持力が低下し、シートのサイズや坪量によっては、今まで保持していたシートを保持できなくなる場合がある。
【0043】
そこで、本実施の形態においては、保持部材305を、図7に示すように、収納保持部200を、収納ガイド304と搬送ガイド303の間の幅方向に複数(5つ)設けている。そして、連続してシートを収納する際は、シートシフト部320を、例えば保持部材305(305a〜305e)一個の幅方向長さ分、矢印Aに示す幅方向手前側にシフトさせるようにしている。
【0044】
ここで、このようにシートシフト部320をシフトさせると、この後、シートをトレイ330に搬送する際、搬送されたシートにより4つの保持部材305は斜め上方へ移動するが、1つの保持部材305は、シートにより押圧されないので上方に移動しない。つまり、シートをトレイ330に搬送する際、シートシフト部320を、シートを保持する保持部材305の数が減少する方向にずらすようにすれば、先に収納されているシートを少なくとも一つの保持部材305により保持することができる。この結果、シートは、この上方に移動しない少なくとも1つの保持部材305により保持されるので落下することはない。
【0045】
次に、シートPがトレイ330に保持されている状態で、シートP2がトレイ330に搬入され、保持されるまでの動作を説明する。シートPがトレイ330に既に保持されている場合、シートシフト部320は図7において矢印Aで示す幅方向に移動する。そして、これに伴い排紙ローラ対110によって搬送されたシートP2は、シートシフト部320と共に保持部材305一個の幅方向長さ分だけ幅方向にシフトされる。
【0046】
次に、シフトされたシートP2は、図8の(a)に示すように、第1シフト搬送ローラ対327、第2シフト搬送ローラ対328、搬送ローラ301及び搬送従動コロ302によってトレイ330に搬送される。この時、シートP2は、保持部材305一個分だけ幅方向にシフトされていることから、4つの保持部材305a〜305dはシートP2により押圧されて斜面部303βに沿って移動する。
【0047】
ここで、4つの保持部材305a〜305dが移動すると、保持部材305a〜305dによる当接力Fが解除される。しかし、シートP2は、図8の(b)に示すように、保持部材一個分Lだけ幅方向にずれているため、残りの保持部材305eとは接触せず、このため、残りの保持部材305eの当接力Fは維持される。この結果、先に保持されていたシートPは保持部材305eの当接力Fによって保持され、シート落下等の不良現象が発生することは無い。
【0048】
なお、この状態で更にシートをトレイ330に保持させる場合は、シートシフト部320を、順次矢印A方向へ保持部材305一個分だけシフトすることで、既に保持しているシートに影響を与えること無く、複数枚のシートを保持することができる。このように、本実施の形態においては、シートを保持している状態で、次のシートをトレイ330に搬送する場合、シートシフト部320をシフトさせることによりトレイ330に複数枚のシートを収納するようにしている。
【0049】
図9は画像形成装置本体100A及びシート収納装置300を制御する制御ブロック図である。図9に示すように、CPU回路部630は、CPU629、ROM631、RAM650を有している。CPU回路部630は、画像信号制御部634、プリンタ制御部635、シート収納装置制御部636、外部のPC(パソコン)620とのインターフェイスである外部インターフェイス637を制御している。なお、CPU回路部630は、ROM631に格納されているプログラム及び図1に示すようにシート収納装置300の上面に設けられた操作部601の設定に従ってシート収納装置制御部636等を制御する。
【0050】
ここで、画像信号制御部634は外部のPC620から外部インターフェイス637を介して入力される画像データをプリンタ制御部635に入力し、プリンタ制御部635は、この画像データに基づき画像形成装置本体100Aを制御する。また、シート収納装置制御部636はシート収納装置300に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってシート収納装置全体の駆動制御を行う。なお、本実施の形態において、シート収納装置制御部636をシート収納装置300に搭載しているが、本発明はこれに限定されるものではない。シート収納装置制御部636を、CPU回路部630と一体的に画像形成装置本体100Aに設け、画像形成装置本体100A側からシート収納装置300を制御するようにしてもよい。
【0051】
また、シート収納装置制御部636は、図10に示すように、CPU701、RAM702、ROM703と、収納部制御部708等で構成されている。このシート収納装置制御部636は、通信インターフェイス706を介して画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630と通信してデータ交換を行う。そして、このシート収納装置制御部636は、CPU回路部630からの指示に基づきROM703に格納されている各種プログラムを実行し、収納部制御部708を介してシート収納装置300の制御を行う。
【0052】
ここで、シート収納処理制御を行う際には、CPU701に、収納部制御部708からI/O705を介してシート収納装置300を制御するための各種センサからの検出信号が取り込まれる。なお、このような各種センサとしては、既述した入口センサS1、紙有り無し検知センサS2、移動検知センサS3、シートシフト部移動検知センサS4がある。また、CPU701は、収納部制御部708を介して既述した搬送モータM1、移動モータM2、シートシフトモータM3、シート搬送モータM4を駆動する。
【0053】
次に、本実施の形態に係るシート収納装置300のシート収納動作制御について図11に示すフローチャートを用いて説明する。画像形成装置100にプリントJobが送られると、プリントJobがスタートされ、これに伴いシート収納装置制御部636は、まず収納対象トレイ番号確定処理を行う(S801)。
【0054】
そして、この収納対象トレイ番号確定処理として、図12に示すように、まずシートを収納するトレイを設定するためのトレイモニター番号iを0にリセットし(i=0)(S820)、次にトレイモニター番号iに1を加える処理を行なう(S821)。次に、i(=i+1)番目のトレイをモニター(監視)し(S822)、紙有り無し検知センサS2によりi(=i+1)番目のトレイに保持シートが存在するかを判別する(S823)。
【0055】
ここで、i(=i+1)番目のトレイに保持シートがある場合は(S823のN)、iが5、すなわち最後のトレイであるかを判断する(S826)。そして、i=5でない場合には(S826のN)、トレイモニター番号iに1を加え(S821)、i(=i+2)番目のトレイに保持シートが存在するかを判別する(S823)。
【0056】
このように、トレイに保持シートがある場合は(S823のN)、5番目のトレイの監視が終了するまで、すなわちi=5となるまで繰り返し行なう。そして、5番目のトレイに保持シートが存在する場合、すなわち全てのトレイに保持シートが存在する場合であるi=5の場合は(S826のY)、CPU701からCPU回路部630に“スタックFULL”信号を発信する(S827)。なお、この“スタックFULL”信号を受信すると、CPU回路部630は、操作部601に設けられた不図示の表示部に収納不能を表示する。
【0057】
一方、i番目のトレイで保持シートが存在しない(無し)場合(S823のY)、収納対象トレイ番号をi番目に確定する(S824)。そして、このように収納対象トレイ番号を確定することにより、収納対象トレイ番号がi番目のトレイへの排出指令を出し、収納対象トレイ番号確定処理を完了する(S825)。
【0058】
次に、収納対象トレイ番号確定処理が完了すると、図11に示す収納部移動処理に移行する(S802)。そして、この収納部移動処理として、図13に示すように、まず、移動モータM2を駆動させ(S830)、移動連結部材310を、図2に示すホームポジションに向かわせると共に、移動検知センサS3の信号を監視する(S831)。次に、移動検知センサS3の信号により移動連結部材310が、すなわちトレイ330がホームポジションに到達したことを検知すると(S832のY)、一旦、移動モータM2を停止させる(S833)。
【0059】
次に、このようにトレイ330がホームポジションに到達した後、移動モータM2を駆動し(S835)、移動モータM2のクロック数をカウント(監視)する(S836)。そして、移動モータM2のクロック数が、トレイ330が、既述した収納対象トレイ番号確定処理(S801)によって決定されたi番目のトレイが搬送ローラ301に一致する位置となるまでカウントする。そして、移動モータM2のクロック数がi番目のトレイが搬送ローラ301に一致する位置となる所定数(i×20)となると(S837のY)、移動モータM2を停止し(S838)、収納部移動処理を完了する(S839)。
【0060】
次に、このような収納部移動処理が完了すると、画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630に、図11に示すようにシートの排出が可能なことを示すプリント排出可能信号を出力する(S803)。また、搬送モータM1及びシート搬送モータM4を駆動させ(S804)、さらに画像形成装置100からのシート搬送に備え、入口センサS1の監視を行ない(S805)、シートの到達を監視する。なお、シート先端が所定時間を過ぎても入口センサS1まで到達しない場合はジャム信号を出す。
【0061】
次に、シート先端が入口センサS1に到達し、入口センサS1がシート先端を検知すると(S806のY)、搬送モータM1及びシート搬送モータM4のクロック監視を行う(S807)。そして、シートがシートシフト部320に搬送されると共に、シート搬送モータM4のクロックが所定値pに達し(S808のY)、シートシフト部320が収納対象トレイにシートを搬送する位置に達すると、この後、シートシフト処理に移行する(S809)。
【0062】
そして、このシートシフト処理として、図14に示すように、まず搬送されているシートのシート番号j、すなわち搬送されているシートはプリントJobの何枚目のシートなのかを確認する(S840)。ここで、j≧2でなく、すなわちj−2≧0でなく(S841のN)、j=1の場合、つまり搬送されているシートがプリントJobの1枚目のシートの場合は、シートシフト部320のシフト処理は行なわない。
【0063】
また、j−2≧0の場合は(S841のY)、シートシフト処理を行なうよう、シートシフトモータM3を駆動し(S842)、また駆動と同時にシートシフトモータM3のクロックを監視する(S843)。そして、クロック数が(j−1)×q(定数)に到達すると(S844のY)、シートシフトモータM3の駆動を停止させる(S845)。ここで、このようにクロック数が(j−1)×q(定数)に到達したとき、シートシフト部320は、保持部材305一個分だけ幅方向にシフトする。
【0064】
この後、入口センサS1によってシート後端が検知されると(S847のY)、シート搬送モータM4を駆動すると共にシート搬送モータM4のクロック監視を行う(S848)。そして、シート搬送モータM4のクロックが所定値rに達すると(S849のY)、すなわちシート後端がシートシフト部320を抜けると、シートシフトモータM3を逆に駆動する(S850)。これにより、シートシフト部320はホームポジションに向かって移動を開始する。なお、シート先端が入口センサS1を通過してから、所定のモータクロック数が経過しても入口センサS1がシート後端を検知しない場合は(S847のN)、ジャム信号を出す。
【0065】
この後、シートシフト部移動検知センサS4を監視し(S851)、シートシフト部移動検知センサS4によりシートシフト部320がホームポジションに到達したことを検知すると(S852のY)、シートシフトモータM3の駆動を停止する(S853)。これにより、シートシフト処理が終了する(S854)。
【0066】
次に、このようなシートシフト処理が終了した後、紙有り無し検知センサS2を監視する(S810)。そして、紙有り無し検知センサS2が搬送モータM1のクロックが所定値に達する前にシートの先端を検知した場合は(S811のY)、正常にトレイ330にシートが保持されたと判断し、プリントJobを終了する(S812)。なお、搬送モータM1のクロックが所定値に達しても紙有り無し検知センサS2がシートの先端を検知しない場合には(S811のN)、ジャム信号を出力する。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態においては、シート収納の際、既述した図6に示すように、シートシフト部320を一つの保持部材305の幅方向長さ分だけずらした状態でシートをトレイ330に搬送するようにしている。これにより、次のシートがトレイ330に搬送される際、先に収納されているシートを少なくとも一つの保持部材305によって保持することができるので、トレイ330に複数枚のシートを収納することができる。
【0068】
つまり、本実施の形態においては、シート収納の際、シートを一つの保持部材305の幅方向長さ分だけずらしてトレイ330に搬送し、先に収納されているシートを少なくとも一つの保持部材305によって保持するようにしている。これにより、シートを収納する際、先に収納されているシートが落下するのを防ぐことができ、シートが取り出し性、視認性を向上させることができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、シートシフト部320のシフト量を保持部材305一個分としたが、シフト量が少なくとも保持部材305一個分であれば同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態ではシートのシフト方向が一定(装置正面方向)であるが、装置奥側に保持部材305を更に設けることにより、シートのシフト方向を装置背面方向にすることも可能になる。
【0070】
ところで、これまではトレイに複数枚のシートを、シートが落下することなく収納することができるよう、シートシフト部320によりシートを幅方向にシフトさせる場合について説明したが、本発明は、これに限らない。即ち、トレイとシート搬送部の相対位置を順次、少なくとも一つの保持部材の幅方向長さ分だけ、シートを保持する保持部材の数が減少する方向にずらしてシートをトレイに搬送することができれば良い。このため、例えば、トレイに複数枚のシートを、シートが落下することなく収納することができるようトレイを幅方向にシフトさせるようにしても良い。
【0071】
次に、このようなトレイをシフトさせるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。図15〜図17は、本実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図であり、図15〜図17において、既述した図2〜図4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0072】
ここで、本実施の形態のシート収納装置300は、3つのシート収納部であるトレイ330(330a〜330c)を並列状に配置している。また、搬送ガイド303は収納ガイド304に固定され、収納ガイド304は、図16の矢印Yで示す幅方向に移動可能な収納ガイドシフト板340に取り付けられている。なお、本実施の形態においては、収納ガイドシフト板340を介してトレイ330が保持板309と一体に、図15に示す矢印X方向に移動する。
【0073】
さらに、この収納ガイド304の上部にはラッチ部304Ωが形成されており、このラッチ部304Ωには、シート保持部シフトモータM5(M5a〜M5c)により回転するシート保持部シフトギア341(341a〜341c)が噛合している。これにより、シート保持部シフトモータM5が回転すると、シート保持部シフトモータM5の回転駆動がシート保持部シフトギア341を介してラッチ部304Ωに伝わり、収納ガイド304がY方向にシフトする。つまり、シート保持部シフトモータM5が回転すると、トレイ330がY方向に示す幅方向にシフトする。
【0074】
このように、本実施の形態においては、シート保持部シフトモータM5、シート保持部シフトギア341、ラッチ部304Ωにより構成されるシート収納部シフト部であるトレイシフト部350により、トレイ330を幅方向に移動させるようにしている。そして、このようなトレイシフト部350によってトレイ330をシフトさせることにより、シートを保持している状態のトレイ330に複数枚のシートを収納するようにしている。ここで、このようなトレイ330のシフトが可能となるよう収納ガイド304の奥側には切り欠き部304aが形成されており、この切り欠き部304aにより、収納ガイド304は連結軸308に邪魔されることなく幅方向に移動可能となる。
【0075】
なお、図15において、S5(S5a〜S5c)は、トレイ330の位置を検知するシート保持部移動検知センサであり、このシート保持部移動検知センサS5により、トレイ330の幅方向であるY方向のホームポジションを検知する。そして、このシート保持部移動検知センサS5からの信号に基づき、ホームポジションからのシート保持部シフトモータM5の駆動パルス数によってトレイ330のシフト量(シフト位置)を決定している。
【0076】
次に、シートPがトレイ330に保持されている状態で、シートP2がトレイ330に搬入され、保持されるまでの動作を説明する。シートPがトレイ330に既に保持されている場合、まずシート保持部シフトモータM5を駆動することにより、搬送ガイド303、収納ガイド304及び保持部材305が図18の(a)に示す矢印B方向に保持部材305一個分だけ幅方向にシフトする。次に、シートP2が、図18の(b)に示すように、搬送ローラ301と搬送従動コロ302よりトレイ330に搬送される。
【0077】
この時、トレイ330は、保持部材305一個分だけB方向にシフトされていることから、トレイ330に搬送されたシートP2により4つの保持部材305a〜305dは斜め上方へ移動する。ここで、このように4つの保持部材305a〜305dが移動すると、この保持部材305a〜305dによる当接力Fが解除される。しかし、トレイ330は、図19の(a)及び図19の(a)のC方向矢視図である図19の(b)に示すように、保持部材一個分Lだけ幅方向にずれている。このため、シートP2は、残りの保持部材305eとは接触せず、保持部材305eの当接力Fは維持される。この結果、先に保持されていたシートPは保持部材305eの当接力Fによって保持され、シート落下等の不良現象が発生することは無い。
【0078】
なお、この状態で更にシートをトレイ330に保持させる場合は、トレイ330を順次矢印B方向へ保持部材305一個分だけシフトさせることにより、既に保持しているシートに影響を与えること無く、複数枚のシートを保持することができる。このようにシートを保持している状態で、次のシートがトレイ330に搬送される場合でも、トレイ330をシフトすることによりトレイ330に複数枚のシートを収納することが可能となる。
【0079】
次に、本実施の形態に係るシート収納装置300のシート収納動作制御について図20を用いて説明する。画像形成装置100にプリントJobが送られると、プリントJobがスタートされ、これに伴いシート収納装置制御部636は、まず既述した図12に示す収納対象トレイ番号確定処理を行う(S901)。次に、収納対象トレイ番号確定処理が完了すると、既述した図13に示す収納部移動処理に移行する(S902)。
【0080】
次に、このような収納部移動処理が完了すると、画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630に、図20に示すようにプリント排出可能信号を出力する(S903)。また、搬送モータM1を駆動し(S904)、この後、シート保持部シフト処理に移行する(S905)。そして、このシート保持部シフト処理として、図21に示すように、まず搬送されているシートのシート番号j、すなわち搬送されているシートはプリントJobの何枚目のシートなのかを確認する(S940)。ここで、j≧2でなく、すなわちj−2≧0でなく(S941のN)、j=1の場合、つまり搬送されているシートがプリントJobの1枚目のシートの場合は、シフト処理は行なわない。
【0081】
また、j−2≧0の場合は(S941のY)、トレイ330を幅方向にシフトさせるようにシート保持部シフトモータM5を駆動し(S942)、また駆動と同時にシート保持部シフトモータM5のクロックを監視する(S943)。そして、クロック数が(j−1)×q(定数)に到達すると(S944のY)、シート保持部シフトモータM5の駆動を停止させる(S945)。ここで、このようにクロック数が(j−1)×q(定数)に到達したとき、トレイ330は保持部材305一個分だけ幅方向にシフトする。これにより、シート保持部シフト処理が終了する(S946)。
【0082】
次に、このようなシート保持部シフト処理が終了した後、画像形成装置100からのシート搬送に備え、図20に示すように入口センサS1の監視を行ない(S906)、シートの到達を監視する。なお、シート先端が所定時間を過ぎても入口センサS1まで到達しない場合はジャム信号を出す。
【0083】
次に、シート先端が入口センサに到達し、入口センサS1がシート先端を検知すると(S907のY)、搬送モータM1のクロック監視を行う(S908)。そして、この後、入口センサS1によってシート後端が検知されると(S909のY)、紙有り無し検知センサS2を監視する(S910)。そして、紙有り無し検知センサS2が搬送モータM1のクロックが所定値に達する前にシートの先端を検知した場合は(S911のY)、正常にトレイ330にシートが保持されたと判断し、プリントJobを終了する(S912)。なお、搬送モータM1のクロックが所定値に達しても紙有り無し検知センサS2がシートの先端を検知しない場合には(S911のN)、ジャム信号を出力する。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態においては、シート収納の際、トレイ330を、一つの保持部材305の幅方向長さ分だけずらした状態で、シートをトレイ330に搬送するようにしている。これにより、次のシートがトレイ330に搬送される際、先に収納されているシートを少なくとも一つの保持部材305によって保持することができるので、トレイ330に複数枚のシートを収納することができる。
【0085】
つまり、本実施の形態では、シート収納の際、トレイ330を一つの保持部材305の幅方向長さ分だけずらした状態でシートを搬送することにより、先に収納されているシートを少なくとも一つの保持部材305によって保持するようにしている。これにより、シートを収納する際、先に収納されているシートが落下するのを防ぐことができ、シートが取り出し性、視認性を向上させることができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、トレイ330のシフト量を保持部材305一個分としたが、シフト量が少なくとも保持部材305一個分であれば同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態ではトレイ330のシフト方向が一定(装置背面方向)であるが、装置奥側に保持部材305を更に設けることにより、シートのシフト方向を装置正面方向にすることも可能になる。
【符号の説明】
【0087】
100…画像形成装置、100A…画像形成装置本体、100B…画像形成部、200…収納保持部、300…シート収納装置、303…搬送ガイド、303α…対向壁部、303β…傾斜部、303γ…下部ガイド部、304…収納ガイド、305a〜305e…保持部材、320…シートシフト部、330…トレイ、350…トレイシフト部、636…シート収納装置制御部、P…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の上方に設けられ、前記画像形成装置本体から順次排出されるシートを搬送するシート搬送部及び前記シート搬送部の上方に位置し、前記シート搬送部により搬送されたシートを下方から受け入れて立てた状態で収納するシート収納部を備えたシート収納装置であって、
前記シート収納部を、前記シート収納部に収納されるシートを保持する保持面を形成すると共に、下方から搬送されるシートをガイドする第1ガイド部材と、前記第1ガイド部材と対向して設けられ、下方から搬送されるシートを前記第1ガイド部材と共にガイドする下部ガイド部及び前記下部ガイド部の上方に位置し、シート搬送方向下流にいくに従って前記第1ガイド部材から離れる方向に傾斜した傾斜部を有する第2ガイド部材と、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の間のシート搬送方向と直交する幅方向に複数設けられ、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の傾斜部に当接した状態でシートを前記第1ガイド部材と共に挟持して保持する保持部材と、から構成し、
かつ、前記シート収納部にシートを収納する際には、先に収納されているシートを少なくとも一つの前記保持部材により保持するよう、前記シート収納部と前記シート搬送部との相対位置を順次、少なくとも一つの前記保持部材の幅方向長さ分だけ、シートを保持する前記保持部材の数が減少する方向にずらした状態でシートを搬送することを特徴とするシート収納装置。
【請求項2】
前記シート収納部にシートを収納する際、前記シート搬送部を順次、少なくとも一つの前記保持部材の幅方向長さ分だけ、シートを保持する前記保持部材の数が減少する方向にシフトさせるシート搬送部シフト部を備えたことを特徴とする請求項1記載のシート収納装置。
【請求項3】
前記シート収納部にシートを収納する際、前記シート収納部を順次、少なくとも一つの前記保持部材の幅方向長さ分だけ、シートを保持する前記保持部材の数が減少する方向にシフトさせるシート収納部シフト部を備えたことを特徴とする請求項1記載のシート収納装置。
【請求項4】
前記シート収納部を複数設け、
複数の前記シート収納部を一体的に前記保持面と交差する横方向に移動させ、所定の前記シート収納部を、前記シート搬送部から搬送されるシートを受け入れる位置に移動させる移動部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項5】
画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体の上方に設けられた請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート収納装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−100144(P2013−100144A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243445(P2011−243445)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】