シート折り装置、画像形成装置、及びシート折り方法
【課題】複数枚重ねて折る重ね折りの場合も、用紙厚さやカールに影響を受けずに揃え精度の良い用紙折りを可能とする。
【解決手段】単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り装置であって、シートを搬送する搬送ローラと、シート先端を停止させる第1のストッパ23と、シートに折りを行う折りローラ対21a,21bと、シートの撓み部を折りローラ対21a,21のニップ25へ導く可動ガイド板60と、この可動ガイド板60を折りローラ対21a,21bに対し進出後退させる押し込み部材27とを備え、第2のモータで押し込み部材27を進出後退させ、可動ガイド板60を押し込み部材27の進出後退動作に合わせて移動させ、可動ガイド板60の折りローラ21a,21b外周との距離を折り枚数が多いほど、又は折り厚さが大きいほど大きくする。
【解決手段】単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り装置であって、シートを搬送する搬送ローラと、シート先端を停止させる第1のストッパ23と、シートに折りを行う折りローラ対21a,21bと、シートの撓み部を折りローラ対21a,21のニップ25へ導く可動ガイド板60と、この可動ガイド板60を折りローラ対21a,21bに対し進出後退させる押し込み部材27とを備え、第2のモータで押し込み部材27を進出後退させ、可動ガイド板60を押し込み部材27の進出後退動作に合わせて移動させ、可動ガイド板60の折りローラ21a,21b外周との距離を折り枚数が多いほど、又は折り厚さが大きいほど大きくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬入されたシート状記録媒体(用紙、OHPシートなどのシート状記録媒体全てを意味する。本明細書ではこれらを全て「シート」と総称して説明する。)に対して折り処理を行うシート折り装置、このシート折り装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を複合して有するデジタル複合機などの画像形成装置、及びこれらの各装置で実行されるシート折り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置によって画像形成された用紙に対して、折り処理を行った後に穿孔処理やスティプル処理のような後処理を行う用紙処理装置が各種提案されている。このような装置として例えば特許文献1に記載された発明が公知である。このうち特許文献1(特開2002−284443号公報)には、帳票等のシートを所定の位置で正確に折り目を形成するため、互いに平行に隣接して配置されるとともに反対方向に回転する2本の折りローラを備え、1枚のシートもしくは複数枚重ねられたシートを湾曲させ、該シートの湾曲した部分を回転させた状態の2本の前記折りローラ間に引き込ませて前記シートに折り目を形成するシート折り装置であって、前記シートが2本の前記折りローラの隣接部分の近傍を通過するように搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートが前記折りローラの隣接部分の近傍で、該隣接部分に向って湾曲するように、シートの先端部の進路を変更するガイド部と、該ガイド部に進行方向を変更されたシートの先端部の移動を停止させて、シートの湾曲した部分を前記折りローラの隣接部分に向わせるストッパと、前記ガイド部によりシートに湾曲が生じた際に、シートの湾曲した部分の内側に当接して、シートの先端部が前記ストッパに当接する前のシートの湾曲した部分の曲率を大きくするとともに、この湾曲した部分を前記折りローラの隣接部分に近づけることにより、シートの折り位置を規制する折り位置規制部材と、を備えた発明が記載されている。
【0003】
また、特許文献2(特開2001−206629号公報)及び特許文献3(特開2007−320665号公報)にも関連する発明が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の発明では、1枚折りあるいは重ね折りに拘わらずガイド部材を駆動手段で移動させ、折りローラニップに近づけることによって折り位置不良を防止していた。この方式では、用紙1枚を搬送し、折り込む1枚折りでは位置規制部材まで用紙は確実に落下し、問題とならないが、用紙を複数枚プレスタックする重ね折りの場合、用紙の厚みやカールによりガイド部材と用紙の隙間が少なくなり、搬送抵抗が大きくなって位置規制部材まで用紙が落下しない場合があった。また、特許文献2及び3においても前記落下を確実にすることについては特に配慮されていない。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、複数枚重ねて折る重ね折りの場合も、用紙厚さやカールに影響を受けずに揃え精度の良い用紙折りを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、第1の手段は、単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り装置であって、シートを搬送する搬送手段と、シート先端を停止させる規制手段と、シートに折りを行う折りローラ対と、シートの撓み部を折りローラ対にニップへ導くガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は1枚折りと重ね折りでシートをガイドする位置が異なることを特徴とする。
【0007】
この場合、前記ガイド部材は、重ね折りのとき折りローラ外周と隙間が広がる方向に移動し、また、前記ガイド部材が重ね折りの位置に移動するとき、1枚折りの位置から平行移動する。さらに、前記隙間は折り枚数又は折り厚さにより変化する。その際、前記隙間は折り枚数が多い方が、折り厚さが厚い方が広くなる。
【0008】
また、これらの動作は、前記ガイド部材を前記折りローラ対に対し進出後退させる駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、を設けることにより、制御手段の制御下で駆動手段を駆動することにより行われる。なお、前記ガイド部材は、シート搬送隙間を保つ位置決めの突起部材と、前記突起部材を対向のガイド板に突き当て保持する弾性体と、を有し、前記ガイド部材は1枚折りのとき弾性体で保持され、重ね折りのとき弾性体の弾性力に抗して前記駆動手段で移動させる。また、前記ガイド部材は前記シートを前記折りローラ対に押し込んでシート折りさせる押し込み部材の進出動作に連動して動作し、前記押し込み部材は単一の駆動源によって駆動される。
【0009】
第2の手段は、第1の手段に係るシート折り装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り方法であって、搬送手段によりシートを搬送し、搬送されたシートの先端を規制手段によって規制し、規制された状態でシートの撓み部をガイド部材によりシートに折りを行う折りローラ対のニップに導き、シートに対して折りを施す際、前記ガイド部材は1枚折りと重ね折りでシートをガイドする位置が異なることを特徴とする。
【0011】
なお、後述の実施形態では、単一搬送経路は第2の搬送路17に、搬送手段は搬送ローラに、規制手段は第1のストッパ23に、ガイド部材は可動ガイド板60に、シート折り装置は符号5に、駆動手段は押し込み部材27、第2のモータ57及び引張りスプリング61に、制御手段は制御部56に、弾性体は引張りスプリング61、押し込み部材は符号27に、単一の駆動源は第2のモータ57に、画像形成装置はシステムとしての画像形成装置1に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数枚重ねて折る重ね折りの場合も、用紙厚さやカールに影響を受けずに揃え精度の良い用紙折りが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示す図である。
【図2】図1のシステム構成におけるシート折り装置の折り動作を説明する動作説明図で、シート束を第2の搬送路に滞留させた状態を示す。
【図3】図1のシステム構成におけるシート折り装置の折り動作を説明する動作説明図で、シート束後端を押圧し、撓みを形成して押し込み部材で第1折りニップに導く状態を示す。
【図4】図1のシステム構成におけるシート折り装置の折り動作を説明する動作説明図で、シート束の撓み部分が第1の折りニップに挟持された後、移動ローラユニットを、シートを受け入れる位置へ移動させる状態を示す。
【図5】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート先端が押さえ部材の先端側に当接したときの状態を示す。
【図6】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート先端が押さえ部材の先端を押しのけて通過しているときの状態を示す。
【図7】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート後端が押さえ部材の先端を押しのけて通過しているときの最終段階の状態を示す。
【図8】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート先端が押さえ部材の先端を押しのけて通過した後の状態を示す。
【図9】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート先端が押さえ部材の先端を押しのけて通過した後、所定量戻されたときの状態を示す。
【図10】シート折り装置における可動ガイド板の動作を示す動作説明図で、可動ガイド板が折りローラ側から離間する方向に移動するときの状態を示す。
【図11】シート折り装置における可動ガイド板の動作を示す動作説明図で、可動ガイド板が折りローラ側から離間し、待機しているときの状態を示す。
【図12】画像形成装置の操作パネルからシート折り装置への指示構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、重ね折りのときの搬送隙間を確保するためにガイド板を移動可能とし、シート束の厚さが増加した場合に搬送抵抗とならないように搬送隙間を広げ、シート束の厚さやカールに影響を受けず揃え精度の良いシート折りを可能としたものである。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置1は、画像形成装置本体3、シート折り装置5及びシート後処理装置7からなる。画像形成装置本体3は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらのうち少なくとも2つの機能を複合して有するデジタル複合機のいずれかからなる。本実施形態では、画像形成装置本体3は複写機からなり、原稿の画像を読み取る画像読取部と、画像読取部により読み取られた原稿の画像をシート(用紙)に形成する画像形成部と、画像形成部に供給するシートを収容する給紙部と、画像形成部により画像形成されたシートが排出される排紙部と、装置本体内の各部を制御する制御部56と、制御部56に操作信号を送信する操作パネル4(図12参照)とを備えている。
【0016】
シート、ここでは画像形成装置本体3から搬送される画像形成済みのシートは、折り処理が必要であればシート折り装置5で必要な折り処理が施され、シート折り装置5での折り処理が不要であれば、シート折り装置をバイパスしてシート後処理装置7に搬送される。シート後処理装置7は、公知の機能及び機構を備えたもので、例えば、パンチ処理、整合処理、端綴じ処理、中折り処理、中綴じ処理、仕分け処理などの処理が可能である。
【0017】
図2は本実施形態に係るシート折り装置の内部構成を詳細に示す縦断面図であり、図1の要部を拡大して示している。図2において、シート折り装置5にはシート受入口9からシート排出口45にストレートに排紙するストレート搬送路10が設けられ、シートに折りを施す場合には、このストレート搬送路10から第1の切換爪13で折り処理部側に搬送方向を変え、折り処理されたシートは第1の切換爪13設置個所より下流側で第7の搬送路43からストレート搬送路10に戻って排出口45からシート後処理装置7側に搬出される。
【0018】
第1の切換爪13で分岐した搬送路は、第1の搬送路15、第2の搬送路17、第3の搬送路29、第4の搬送路33、第5の搬送路39、第6の搬送路41、及び第7の搬送路43からなる。第1の切換爪13のシート折り部11方向下流側には、シートの搬送先を第1の搬送路15又は第2の搬送路(滞留部)17に切換える第2の切換爪19が設けられている。第1の搬送路15の下流端は第2の搬送路17に合流しており、その合流部付近には第1の折りローラ対21a,21bが設けられている。第2の搬送路17の下流側には、シート搬送方向に移動可能であり、かつシート先端を規制する第1のストッパ(受け部材)23が設けられている。シートはシート先端が第1のストッパ23に当接した状態で、この第2の搬送路17に滞留できるようになっている。
【0019】
第1の折りローラ対21a,21bの第1折りニップ25に対向する位置には、第1の搬送路15に沿って搬送されてきたシートの先端を第1の折りニップ25に案内し、又は第2の搬送路17に滞留したシートを第1の折りニップ25に押し込む押し込み部材27が設けられている。第2の搬送路17における第2の切換爪19と第1の折りニップ25との間には、シートを搬送する移動ローラユニット26が設けられている。
【0020】
一方、第1の折りニップ25の下流側には、第3の搬送路29及び第2の折りローラ対21a,21cが設けられている。第2の折りローラ対21a,21cの第2の折りニップ31の下流側には、第4の搬送路33及び第3の折りローラ対21c,21dが設けられている。第1の折りローラ21aの軸には、シートの搬送先を第4の搬送路33又は第3の折りローラ対21c,21dの第3の折りニップ35に切換える第3の切換爪36が設けられている。
【0021】
第3の折りニップ35の下流側には、シートの搬送先を第5の搬送路39又は第6の搬送路41に切換える切換爪37が設けられている。また、第5の搬送路39の下流端はスタッカ43に接続され、折られたシート束を排紙することができるようになっている。第6の搬送路41は第3の搬送路29の下流端と合流して、第7の搬送路43に連通している。
【0022】
なお、第1の搬送路15、第2の搬送路17、第3の搬送路29、第5の搬送路39、第6の搬送路41及び第7の搬送路43には、シートを搬送する搬送ローラ対が設けられている。また、第3及び第4の搬送路29,33には第1のストッパ23と同様の第2及び第3のストッパ24,36がそれぞれ前記搬送路に出没可能、かつシート搬送方向に移動可能に設けられている。
【0023】
前記移動ローラユニット26は、図2に拡大して示すように互いに圧接する一対の搬送ローラ47a,47b、第2の搬送路17に滞留したシートの後端を押圧する押さえ部材49、及びこれらを保持するフレーム48と、を備えている。前記一対の搬送ローラ47a,47bの軸の両端部はそれぞれフレーム48の前側板及び後側板に回転自在に支持され、搬送ローラ47a,47b対はそれぞれ前記軸の同軸上であってシート幅方向に所定の間隔を空けて配置された複数のローラを有する。
【0024】
押さえ部材49は、前記搬送ローラ47a,47b対の軸と平行に配置された支持部材に、隣り合うローラ間に入り込むように所定の間隔を空けて複数突設されている。
【0025】
図5ないし図9は押さえ部材49の動作を示す動作説明図、図10及び図11は可動ガイド板の動作を示す動作説明図である。押さえ部材49は、図5に示すように、軸部材からなる基端部49aがフレーム48の前側板及び後側板側に揺動自在に軸支されている。基端部49aは第2の搬送路17を挟んで一方の搬送ローラ47b側に位置しており、押さえ部材49は、フレーム48に固定された引張りコイルスプリング51により他方の搬送ローラ47a側に弾性付勢されている。押さえ部材49はストッパ部材(不図示)により一方の搬送ローラ47a側への回動が規制され、図5において2点鎖線で示すように、第2の搬送路17を塞ぐように揺動端(先端)側の位置が保持されている。引張りコイルスプリング51の付勢力(ばね定数)は、第2の搬送路17に搬送されてくるシートにより押さえ部材49が押されたときに、押さえ部材49が引張りコイルスプリング51の付勢方向と反対方向に回動する(第2搬送路17を開放する)程度に設定されている。また、押さえ部材49の揺動端側であって他方の搬送ローラ47aに近い側には、第2の搬送路17に搬送されてくるシートを滞留シートの側方に案内するガイド面(案内部)49bが形成されている。押さえ部材49の先端側かつ一方の搬送ローラ47aから遠い側には、第2搬送路17に滞留したシート束の後端を押圧する押圧面49cが形成されている。
【0026】
図2に示すように、フレーム48の側部には移動ローラユニット26の移動機構が設けられている。移動機構はピニオン52とラック53からなり、ピニオン52は押さえ部材49の側面に被駆動可能に設置され、第2の搬送路17に沿って配置されたラック53と噛合する。ピニオン52は第1モータ(第1の駆動部)55から駆動力を得ており、第1モータ55の駆動制御は制御部56によって行われる。これにより、制御部56によって第1モータ55を駆動し、第1モータ55の駆動方向に応じて移動ローラユニット26は第2の搬送路17に沿って図示上下方向(シート搬送方向に)移動する。
【0027】
第2の搬送路17の第1の折りローラ対21a,21b近傍には、図2に拡大して示すように第1のストッパ23へ用紙を導く可動式のガイド板(以下、可動ガイド板と称す)60が設けられている。可動ガイド板60の上端と下端にはそれぞれ突起60aが設けられ、図10及び図11に示すように第2の搬送路17の第1折りローラ対21a,21b配設側の面に折りローラ21bのローラ面を挟むように設けられた上下のガイド板17a側に引張りスプリング61によって弾性付勢されている。1枚折りのとき可動ガイド板60は、図10に示すように突起60aを前記ガイド板17aに当接させた位置で位置が決まるが、重ね折りのときは、押し込み部材27が図11に示すように矢印D1方向に移動することにより、可動ガイド板60の係合部材60bを矢印D1’方向に引張り、可動ガイド板60は係合部材60bと一体的に1枚折りの位置から平行移動し、前記ガイド板17aから離間する。この可動ガイド板60の後退動作は後述の押し込み部材27を駆動するステッピングモータを使用する。すなわち、このステッピングモータを第2モータ57(図3参照)として可動ガイド板60と押し込み部材27の駆動に兼用する。
【0028】
なお、可動ガイド板60の係合部材60bは可動ガイド板60の移動方向に沿って設置されたガイド軸受60cにスライド可能に支持された一対のガイド軸60dに固定され、押し込み部材27が矢印D1方向に移動するときに、押し込み部材27から立設された突起27cが前記係合部材60bに係合し、前記動作が行われる。1枚折りの場合には、押し込み部材27が矢印D2方向に戻ると、突起27cの係合部材60bへの係合状態が解除され、可動ガイド板60は引張りスプリング61によって矢印D2’方向に移動し、図10に示す位置に戻る。
【0029】
このように可動ガイド板60の平行移動による離間動作により折りローラ21bの外周と可動ガイド板60間の隙間を、シート束を搬送するに適した間隔、若しくはシート束を折るために適した間隔にしている。本実施形態では可動ガイド板60の移動を平行移動させているが、上流側に回転支点を持ち下流側の搬送経路隙間を広がるようにしても良い。さらに、本実施形態では、図10及び図11にも示すように可動ガイド板60の離間動作を、シート束の厚さのみならず、シート束の搬送位置に応じて実行する。なお、図10は1枚折りの場合の可動ガイド板60と押し込み部材27との位置関係、図11は重ね折り(複数枚折り)の場合の可動ガイド板60と押し込み部材27との位置関係もそれぞれ図示している。
【0030】
押し込み部材27は、停止位置が任意に設定可能なステッピングモータを使用しているため、前記制御部56により第2モータ57の駆動ステップを変更することにより、折りローラ21bとの外周隙間(搬送隙間)を任意に変更可能である。そのため、搬送隙間は重ね折り枚数(又は折り厚さ)により適正な間隔に任意に設定できる。この搬送隙間としては、例えば、重ね折り5枚以下のとき隙間3mm、重ね折り10枚以下のとき4mm、重ね折り10枚〜20枚のとき6mmというように、枚数の増加に伴い隙間を広くなるようにする。
【0031】
なお、シート折り装置5における各折り種における1枚折り又は重ね折りは画像形成装置本体3の操作パネルからの選択入力によって設定することができ、重ね折り枚数もこの操作パネルから設定可能である。図12は、操作パネル4からのシートの折り重ね枚数の選択画面4aを示す図である。
【0032】
シート折り装置5では、以下のようにしてシートに対して折り処理が行われる。前にも少し触れたが、図2ないし図4はシート束の折り動作を説明するためのもので、図2はシート束を第2の搬送路17に滞留させた状態を、図3はシート束後端を押圧し、撓みを形成して押し込み部材で第1折りニップに導く状態を、図4はシート束の撓み部分が第1の折りニップ25に挟持された後、移動ローラユニット26を、シートを受け入れる位置へ移動させる状態を、それぞれ示す。
【0033】
本実施形態におけるシート折り動作では、まず、ユーザが画像形成装置本体3の操作パネル4から重ね折りを選択し、その後、2つ折りを選択する。制御部56は、第1のストッパ23のシート受入位置を第1の折りニップ25からシートの搬送方向長さの1/2の位置に設定し、第1のストッパ23から押さえ部材49の押面49cまでの距離をシートの搬送方向長さより若干長く設定する。これにより、シート滞留後シート束を搬送することなく折りが可能である。なお、重ね折りを選択して、内3つ折り又は外3つ折りを選択する場合でも、2つ折り同様折り位置へ第1のストッパ23を移動させ、第1のストッパ23から押圧面49cまでの距離をシートの搬送方向長さよりも若干長くする。また、押し込み部材27がHP位置(図2の実線位置)に移動することにより、可動ガイド板60も搬送隙間を狭くする方向(1枚折り位置)へ移動し(図2の実線位置)、あるいは、押し込み部材27が退避位置(図2の破線位置:図10に示す位置)BL1に移動することにより、可動ガイド板60も搬送隙間を広くする方向へ移動する(図2の破線位置BL2:図11に示す位置)。押し込み部材27は前述のように第2モータ56によって駆動され、制御部56によって駆動制御される。
【0034】
押し込み部材27も図3内で要部を拡大して示すように後端(図示左端)側に設けられたピニオン27aを押し込み部材27と一体に移動する第2モータ57によって回転駆動することにより、ラック27bに沿って進出後退し、進出位置及び後退位置、進出速度などは制御部56によって制御される(図10及び図11参照)。
【0035】
このような設定が完了した後、画像形成装置本体3から画像形成された1枚目のシートがシート受入口9に搬入される。搬入されたシートは第1の切換爪13及び第の2切換爪19により第2の搬送路17に案内されて、シート先端が搬送ローラ47a,47b対の搬送ニップ50に進入する。シート先端は図5に示すように押さえ部材49のガイド面49bに突き当たり、図6に示すように押さえ部材49を押しのけながら下流側に進んでいく。制御部56はシート先端が押さえ部材49の先端位置に到達するタイミングで第1のモータ55を正回転させ、移動ローラユニット26を上方(シート搬送方向上流側)に距離M(15mm)移動させる。
【0036】
シート先端が可動ガイド板60を通過し、第2の搬送路17の下半部上端の受入ガイド板17bを経て上半部側から下半部側へのシートの受け渡しが完了すると、第2モータ57を駆動し、図11に示すように、押し込み部材27を初期位置から搬送隙間を広がる方向(矢印D1方向:図2破線位置−搬送隙間L2)に移動させ、可動ガイド60の搬送隙間をL1(初期位置)からL2(待機位置)に広げる(L1<L2)。これは、1枚目のシートが搬送されてくる前に折りローラ21a,bとの間の搬送隙間L1を広げる方向(矢印D1方向)に可動ガイド板60が移動していると、可動ガイド板60の折りローラ21bとの搬送隙間L2と受入ガイド板17bの最上流側の端部の搬送隙間との間の段差が小さくなり、シートが受入ガイド板17bの内側の搬送経路に案内されず、シート先端部が受入ガイド板17bの最上流側の端部に引っ掛かりジャムとなることが多いからである。
【0037】
このようにして1枚目のシートの先端が可動ガイド板60部を通過し、図7及び図8に示すようにシート後端が搬送ローラ47a,47bの搬送ニップ50を通過すると、シートは自重により可動ガイド板60を通過し、第1のストッパ23にその先端が突き当たるまで滑落する。制御部56は、シート先端が第の1ストッパ23に到達したときに、第1のモータ55を逆回転させて移動ローラユニット26を下方(シート搬送方向下流側)に移動させ、図9に示すように押さえ部材49の先端がシート後端よりも距離L(10mm)だけ下方に進んだ位置で、移動ローラユニット26の移動を停止させる。
【0038】
次に2枚目のシートが移動ローラユニット26に送られてくると、1枚目同様、図5に示すようにシート先端が押さえ部材49のガイド面49bに突き当たり、押さえ部材49を押しのけて進んでいく。制御部56は、シート先端が押さえ部材49の先端位置に到達するタイミングで、第1のモータ55を正回転させて移動ローラユニット26を上方(シート搬送方向上流側)に前記距離M移動させる。このとき、1枚目のシートの後端は、押さえ部材49の先端部によって覆われているので、2枚目のシート先端がガイド面49bに案内されて1枚目のシート(滞留シート)の後端に突き当たることなく1枚目のシートの側方に搬送される。
【0039】
2枚目のシートが搬送されてきたとき可動ガイド板60は、図11に示す搬送経路隙間を広げた位置(搬送隙間L2の位置)で待機しているが、1枚目のシートが受入ガイド板17bの上端部に当たらないようガイドしているため、引っ掛かり等によるジャムは発生しない。また、搬送抵抗となる2枚目以降のシートで可動ガイド板60の搬送隙間が広がっているため、搬送抵抗となることがない。
【0040】
シート後端が搬送ニップ50を通過するとシートは自重によりその先端が第1のストッパ23に突き当たるまで滑落する。制御部56は、シート先端が第1のストッパ23に到達したときに第1モータ55を逆回転させて移動ローラユニット26を下方(シート搬送方向下流側)に移動させて、押さえ部材49の先端がシート後端よりも距離L(10mm)だけ下方に進んだ位置で移動ローラユニット26の移動を停止させる。3枚目以降のシートも同様のタイミングで移動ローラユニット26を動作させてシートを第2の搬送路17に滞留させる。なお、重ね折りの場合、図2に示すように、第2の搬送路17に設けられた搬送ローラ対の従動ローラは、シートに搬送力を与えないように搬送ローラから離れた位置で待機している。
【0041】
第2の搬送路17に所望枚数のシートを滞留させた後、押さえ部材49を下方に移動させて押圧面49cで滞留したシート束のシート搬送方向の整合を行い、図示しないジョガーフェンスによってシート幅方向(シート搬送方向に対して直交する方向)の整合を行う。さらに、図3に示すように、押さえ部材49を(移動ローラユニット26を)下方に所定距離(5mm)移動させてシート束に所定量の撓みを形成する。その後、押し込み部材27を駆動して可動ガイド板60を矢印D2方向に移動させてシート束の撓み部分を第1の折りニップ25側に移動させ、その後、押し込み部材2によってシート束の撓み部分を第1の折りニップ25に押し込み、第1の折りローラ対21a,21bによって用紙束を折る。押し込み部材27が第1折りニップ25へ向けて動作するとき、可動ガイド板60はスプリング力により矢印D2’方向に移動し、1枚折りの位置(図2の実線位置)へ戻る。
【0042】
このとき押さえ部材49と押し込み部材27の移動速度を、第1の折ローラ対21a,21bの線速よりも速い速度に設定している。この速度は、本実施形態では、第1の折りローラ対21a,21bの線速の1.1倍〜1.5倍の範囲の所定速度である。すなわち、シートの搬送速度より1.1倍〜1.5倍の速度で押し込むことになる。これにより、押さえ部材49と押し込み部材27とをシート束に確実に圧接させることができる。なお、前記速い速度として例示した1.1倍〜1.5倍の範囲の速度は、本実施形態に対応するものであり、この速度範囲を限定するものではなく、装置に応じて適宜設定される。
【0043】
その後、図4に示すように、シート束の撓み部分が第1折りニップ25に挟持されたときに、押さえ部材49を上方に移動させてシート束後端から離してシートを受け入れる位置(初期位置)まで退避させ、これと同時に押し込み部材27も退避位置へ移動させる。2つ折りされたシート束は、第4の切換爪37の切換動作により、シート綴じ装置7へ搬送される場合は第6の搬送路41へ、スタッカ43へ排出される場合は第5の搬送路39へ、それぞれ導かれる。
【0044】
なお、図2ないし図4に示したシート折り装置5の折り動作は2つ折り時の動作であり、内3つ折り、外3つ折り、Z折り、単純4つ折り、観音折り等の各種の折りについても同様に対応することができることは言うまでもない。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、
1)重ね折りの場合において、搬送隙間を確保するためにガイド板60を可動式にし、搬送抵抗とならないように搬送隙間を広げるようにしたので、シート束の厚さやカールに影響を受けず揃え精度の良いシート折りが可能となる。
2)折り枚数の増加に伴いガイド板60の隙間を広げるようにしたので、折り枚数によらず揃え精度の良いシート折りが可能となる。
3)ガイド板60の移動を1枚折りの位置から平行移動するようにしたので、折りローラ21a,21bの外周とガイド板60の隙間をどの位置でも一定にすることができ、揃え精度の良いシート折りが可能となる。
4)ガイド板60の位置が重要な1枚折り位置については突き当てによって位置決めし、重ね折りの位置については第2モータ(ステッピングモータ)57によるモータ駆動で行うようにしたので、1枚折りのとき安定して撓みを形成することができる。
5)ガイド板60は、重ね折りのとき動作する押し込み部材26の駆動により移動するようになっているので、1つのモータで2つの部材の駆動が可能となり、安価で小型に構成することができる。
などの効果を奏する。
【0046】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【符号の説明】
【0047】
1 画像形成装置
3 画像形成装置本体(複写機)
5 シート折り装置
17 第2の搬送路
23 第1のストッパ
27 押し込み部材
56 制御部
57 第2のモータ
60 可動ガイド板
61 引張りスプリング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2002−284443号公報
【特許文献2】特開2001−206629号公報
【特許文献3】特開2007−320665号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬入されたシート状記録媒体(用紙、OHPシートなどのシート状記録媒体全てを意味する。本明細書ではこれらを全て「シート」と総称して説明する。)に対して折り処理を行うシート折り装置、このシート折り装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を複合して有するデジタル複合機などの画像形成装置、及びこれらの各装置で実行されるシート折り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置によって画像形成された用紙に対して、折り処理を行った後に穿孔処理やスティプル処理のような後処理を行う用紙処理装置が各種提案されている。このような装置として例えば特許文献1に記載された発明が公知である。このうち特許文献1(特開2002−284443号公報)には、帳票等のシートを所定の位置で正確に折り目を形成するため、互いに平行に隣接して配置されるとともに反対方向に回転する2本の折りローラを備え、1枚のシートもしくは複数枚重ねられたシートを湾曲させ、該シートの湾曲した部分を回転させた状態の2本の前記折りローラ間に引き込ませて前記シートに折り目を形成するシート折り装置であって、前記シートが2本の前記折りローラの隣接部分の近傍を通過するように搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートが前記折りローラの隣接部分の近傍で、該隣接部分に向って湾曲するように、シートの先端部の進路を変更するガイド部と、該ガイド部に進行方向を変更されたシートの先端部の移動を停止させて、シートの湾曲した部分を前記折りローラの隣接部分に向わせるストッパと、前記ガイド部によりシートに湾曲が生じた際に、シートの湾曲した部分の内側に当接して、シートの先端部が前記ストッパに当接する前のシートの湾曲した部分の曲率を大きくするとともに、この湾曲した部分を前記折りローラの隣接部分に近づけることにより、シートの折り位置を規制する折り位置規制部材と、を備えた発明が記載されている。
【0003】
また、特許文献2(特開2001−206629号公報)及び特許文献3(特開2007−320665号公報)にも関連する発明が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の発明では、1枚折りあるいは重ね折りに拘わらずガイド部材を駆動手段で移動させ、折りローラニップに近づけることによって折り位置不良を防止していた。この方式では、用紙1枚を搬送し、折り込む1枚折りでは位置規制部材まで用紙は確実に落下し、問題とならないが、用紙を複数枚プレスタックする重ね折りの場合、用紙の厚みやカールによりガイド部材と用紙の隙間が少なくなり、搬送抵抗が大きくなって位置規制部材まで用紙が落下しない場合があった。また、特許文献2及び3においても前記落下を確実にすることについては特に配慮されていない。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、複数枚重ねて折る重ね折りの場合も、用紙厚さやカールに影響を受けずに揃え精度の良い用紙折りを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、第1の手段は、単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り装置であって、シートを搬送する搬送手段と、シート先端を停止させる規制手段と、シートに折りを行う折りローラ対と、シートの撓み部を折りローラ対にニップへ導くガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は1枚折りと重ね折りでシートをガイドする位置が異なることを特徴とする。
【0007】
この場合、前記ガイド部材は、重ね折りのとき折りローラ外周と隙間が広がる方向に移動し、また、前記ガイド部材が重ね折りの位置に移動するとき、1枚折りの位置から平行移動する。さらに、前記隙間は折り枚数又は折り厚さにより変化する。その際、前記隙間は折り枚数が多い方が、折り厚さが厚い方が広くなる。
【0008】
また、これらの動作は、前記ガイド部材を前記折りローラ対に対し進出後退させる駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、を設けることにより、制御手段の制御下で駆動手段を駆動することにより行われる。なお、前記ガイド部材は、シート搬送隙間を保つ位置決めの突起部材と、前記突起部材を対向のガイド板に突き当て保持する弾性体と、を有し、前記ガイド部材は1枚折りのとき弾性体で保持され、重ね折りのとき弾性体の弾性力に抗して前記駆動手段で移動させる。また、前記ガイド部材は前記シートを前記折りローラ対に押し込んでシート折りさせる押し込み部材の進出動作に連動して動作し、前記押し込み部材は単一の駆動源によって駆動される。
【0009】
第2の手段は、第1の手段に係るシート折り装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り方法であって、搬送手段によりシートを搬送し、搬送されたシートの先端を規制手段によって規制し、規制された状態でシートの撓み部をガイド部材によりシートに折りを行う折りローラ対のニップに導き、シートに対して折りを施す際、前記ガイド部材は1枚折りと重ね折りでシートをガイドする位置が異なることを特徴とする。
【0011】
なお、後述の実施形態では、単一搬送経路は第2の搬送路17に、搬送手段は搬送ローラに、規制手段は第1のストッパ23に、ガイド部材は可動ガイド板60に、シート折り装置は符号5に、駆動手段は押し込み部材27、第2のモータ57及び引張りスプリング61に、制御手段は制御部56に、弾性体は引張りスプリング61、押し込み部材は符号27に、単一の駆動源は第2のモータ57に、画像形成装置はシステムとしての画像形成装置1に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数枚重ねて折る重ね折りの場合も、用紙厚さやカールに影響を受けずに揃え精度の良い用紙折りが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示す図である。
【図2】図1のシステム構成におけるシート折り装置の折り動作を説明する動作説明図で、シート束を第2の搬送路に滞留させた状態を示す。
【図3】図1のシステム構成におけるシート折り装置の折り動作を説明する動作説明図で、シート束後端を押圧し、撓みを形成して押し込み部材で第1折りニップに導く状態を示す。
【図4】図1のシステム構成におけるシート折り装置の折り動作を説明する動作説明図で、シート束の撓み部分が第1の折りニップに挟持された後、移動ローラユニットを、シートを受け入れる位置へ移動させる状態を示す。
【図5】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート先端が押さえ部材の先端側に当接したときの状態を示す。
【図6】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート先端が押さえ部材の先端を押しのけて通過しているときの状態を示す。
【図7】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート後端が押さえ部材の先端を押しのけて通過しているときの最終段階の状態を示す。
【図8】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート先端が押さえ部材の先端を押しのけて通過した後の状態を示す。
【図9】シート折り装置における押さえ部材の動作を示す動作説明図で、シート先端が押さえ部材の先端を押しのけて通過した後、所定量戻されたときの状態を示す。
【図10】シート折り装置における可動ガイド板の動作を示す動作説明図で、可動ガイド板が折りローラ側から離間する方向に移動するときの状態を示す。
【図11】シート折り装置における可動ガイド板の動作を示す動作説明図で、可動ガイド板が折りローラ側から離間し、待機しているときの状態を示す。
【図12】画像形成装置の操作パネルからシート折り装置への指示構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、重ね折りのときの搬送隙間を確保するためにガイド板を移動可能とし、シート束の厚さが増加した場合に搬送抵抗とならないように搬送隙間を広げ、シート束の厚さやカールに影響を受けず揃え精度の良いシート折りを可能としたものである。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置1は、画像形成装置本体3、シート折り装置5及びシート後処理装置7からなる。画像形成装置本体3は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらのうち少なくとも2つの機能を複合して有するデジタル複合機のいずれかからなる。本実施形態では、画像形成装置本体3は複写機からなり、原稿の画像を読み取る画像読取部と、画像読取部により読み取られた原稿の画像をシート(用紙)に形成する画像形成部と、画像形成部に供給するシートを収容する給紙部と、画像形成部により画像形成されたシートが排出される排紙部と、装置本体内の各部を制御する制御部56と、制御部56に操作信号を送信する操作パネル4(図12参照)とを備えている。
【0016】
シート、ここでは画像形成装置本体3から搬送される画像形成済みのシートは、折り処理が必要であればシート折り装置5で必要な折り処理が施され、シート折り装置5での折り処理が不要であれば、シート折り装置をバイパスしてシート後処理装置7に搬送される。シート後処理装置7は、公知の機能及び機構を備えたもので、例えば、パンチ処理、整合処理、端綴じ処理、中折り処理、中綴じ処理、仕分け処理などの処理が可能である。
【0017】
図2は本実施形態に係るシート折り装置の内部構成を詳細に示す縦断面図であり、図1の要部を拡大して示している。図2において、シート折り装置5にはシート受入口9からシート排出口45にストレートに排紙するストレート搬送路10が設けられ、シートに折りを施す場合には、このストレート搬送路10から第1の切換爪13で折り処理部側に搬送方向を変え、折り処理されたシートは第1の切換爪13設置個所より下流側で第7の搬送路43からストレート搬送路10に戻って排出口45からシート後処理装置7側に搬出される。
【0018】
第1の切換爪13で分岐した搬送路は、第1の搬送路15、第2の搬送路17、第3の搬送路29、第4の搬送路33、第5の搬送路39、第6の搬送路41、及び第7の搬送路43からなる。第1の切換爪13のシート折り部11方向下流側には、シートの搬送先を第1の搬送路15又は第2の搬送路(滞留部)17に切換える第2の切換爪19が設けられている。第1の搬送路15の下流端は第2の搬送路17に合流しており、その合流部付近には第1の折りローラ対21a,21bが設けられている。第2の搬送路17の下流側には、シート搬送方向に移動可能であり、かつシート先端を規制する第1のストッパ(受け部材)23が設けられている。シートはシート先端が第1のストッパ23に当接した状態で、この第2の搬送路17に滞留できるようになっている。
【0019】
第1の折りローラ対21a,21bの第1折りニップ25に対向する位置には、第1の搬送路15に沿って搬送されてきたシートの先端を第1の折りニップ25に案内し、又は第2の搬送路17に滞留したシートを第1の折りニップ25に押し込む押し込み部材27が設けられている。第2の搬送路17における第2の切換爪19と第1の折りニップ25との間には、シートを搬送する移動ローラユニット26が設けられている。
【0020】
一方、第1の折りニップ25の下流側には、第3の搬送路29及び第2の折りローラ対21a,21cが設けられている。第2の折りローラ対21a,21cの第2の折りニップ31の下流側には、第4の搬送路33及び第3の折りローラ対21c,21dが設けられている。第1の折りローラ21aの軸には、シートの搬送先を第4の搬送路33又は第3の折りローラ対21c,21dの第3の折りニップ35に切換える第3の切換爪36が設けられている。
【0021】
第3の折りニップ35の下流側には、シートの搬送先を第5の搬送路39又は第6の搬送路41に切換える切換爪37が設けられている。また、第5の搬送路39の下流端はスタッカ43に接続され、折られたシート束を排紙することができるようになっている。第6の搬送路41は第3の搬送路29の下流端と合流して、第7の搬送路43に連通している。
【0022】
なお、第1の搬送路15、第2の搬送路17、第3の搬送路29、第5の搬送路39、第6の搬送路41及び第7の搬送路43には、シートを搬送する搬送ローラ対が設けられている。また、第3及び第4の搬送路29,33には第1のストッパ23と同様の第2及び第3のストッパ24,36がそれぞれ前記搬送路に出没可能、かつシート搬送方向に移動可能に設けられている。
【0023】
前記移動ローラユニット26は、図2に拡大して示すように互いに圧接する一対の搬送ローラ47a,47b、第2の搬送路17に滞留したシートの後端を押圧する押さえ部材49、及びこれらを保持するフレーム48と、を備えている。前記一対の搬送ローラ47a,47bの軸の両端部はそれぞれフレーム48の前側板及び後側板に回転自在に支持され、搬送ローラ47a,47b対はそれぞれ前記軸の同軸上であってシート幅方向に所定の間隔を空けて配置された複数のローラを有する。
【0024】
押さえ部材49は、前記搬送ローラ47a,47b対の軸と平行に配置された支持部材に、隣り合うローラ間に入り込むように所定の間隔を空けて複数突設されている。
【0025】
図5ないし図9は押さえ部材49の動作を示す動作説明図、図10及び図11は可動ガイド板の動作を示す動作説明図である。押さえ部材49は、図5に示すように、軸部材からなる基端部49aがフレーム48の前側板及び後側板側に揺動自在に軸支されている。基端部49aは第2の搬送路17を挟んで一方の搬送ローラ47b側に位置しており、押さえ部材49は、フレーム48に固定された引張りコイルスプリング51により他方の搬送ローラ47a側に弾性付勢されている。押さえ部材49はストッパ部材(不図示)により一方の搬送ローラ47a側への回動が規制され、図5において2点鎖線で示すように、第2の搬送路17を塞ぐように揺動端(先端)側の位置が保持されている。引張りコイルスプリング51の付勢力(ばね定数)は、第2の搬送路17に搬送されてくるシートにより押さえ部材49が押されたときに、押さえ部材49が引張りコイルスプリング51の付勢方向と反対方向に回動する(第2搬送路17を開放する)程度に設定されている。また、押さえ部材49の揺動端側であって他方の搬送ローラ47aに近い側には、第2の搬送路17に搬送されてくるシートを滞留シートの側方に案内するガイド面(案内部)49bが形成されている。押さえ部材49の先端側かつ一方の搬送ローラ47aから遠い側には、第2搬送路17に滞留したシート束の後端を押圧する押圧面49cが形成されている。
【0026】
図2に示すように、フレーム48の側部には移動ローラユニット26の移動機構が設けられている。移動機構はピニオン52とラック53からなり、ピニオン52は押さえ部材49の側面に被駆動可能に設置され、第2の搬送路17に沿って配置されたラック53と噛合する。ピニオン52は第1モータ(第1の駆動部)55から駆動力を得ており、第1モータ55の駆動制御は制御部56によって行われる。これにより、制御部56によって第1モータ55を駆動し、第1モータ55の駆動方向に応じて移動ローラユニット26は第2の搬送路17に沿って図示上下方向(シート搬送方向に)移動する。
【0027】
第2の搬送路17の第1の折りローラ対21a,21b近傍には、図2に拡大して示すように第1のストッパ23へ用紙を導く可動式のガイド板(以下、可動ガイド板と称す)60が設けられている。可動ガイド板60の上端と下端にはそれぞれ突起60aが設けられ、図10及び図11に示すように第2の搬送路17の第1折りローラ対21a,21b配設側の面に折りローラ21bのローラ面を挟むように設けられた上下のガイド板17a側に引張りスプリング61によって弾性付勢されている。1枚折りのとき可動ガイド板60は、図10に示すように突起60aを前記ガイド板17aに当接させた位置で位置が決まるが、重ね折りのときは、押し込み部材27が図11に示すように矢印D1方向に移動することにより、可動ガイド板60の係合部材60bを矢印D1’方向に引張り、可動ガイド板60は係合部材60bと一体的に1枚折りの位置から平行移動し、前記ガイド板17aから離間する。この可動ガイド板60の後退動作は後述の押し込み部材27を駆動するステッピングモータを使用する。すなわち、このステッピングモータを第2モータ57(図3参照)として可動ガイド板60と押し込み部材27の駆動に兼用する。
【0028】
なお、可動ガイド板60の係合部材60bは可動ガイド板60の移動方向に沿って設置されたガイド軸受60cにスライド可能に支持された一対のガイド軸60dに固定され、押し込み部材27が矢印D1方向に移動するときに、押し込み部材27から立設された突起27cが前記係合部材60bに係合し、前記動作が行われる。1枚折りの場合には、押し込み部材27が矢印D2方向に戻ると、突起27cの係合部材60bへの係合状態が解除され、可動ガイド板60は引張りスプリング61によって矢印D2’方向に移動し、図10に示す位置に戻る。
【0029】
このように可動ガイド板60の平行移動による離間動作により折りローラ21bの外周と可動ガイド板60間の隙間を、シート束を搬送するに適した間隔、若しくはシート束を折るために適した間隔にしている。本実施形態では可動ガイド板60の移動を平行移動させているが、上流側に回転支点を持ち下流側の搬送経路隙間を広がるようにしても良い。さらに、本実施形態では、図10及び図11にも示すように可動ガイド板60の離間動作を、シート束の厚さのみならず、シート束の搬送位置に応じて実行する。なお、図10は1枚折りの場合の可動ガイド板60と押し込み部材27との位置関係、図11は重ね折り(複数枚折り)の場合の可動ガイド板60と押し込み部材27との位置関係もそれぞれ図示している。
【0030】
押し込み部材27は、停止位置が任意に設定可能なステッピングモータを使用しているため、前記制御部56により第2モータ57の駆動ステップを変更することにより、折りローラ21bとの外周隙間(搬送隙間)を任意に変更可能である。そのため、搬送隙間は重ね折り枚数(又は折り厚さ)により適正な間隔に任意に設定できる。この搬送隙間としては、例えば、重ね折り5枚以下のとき隙間3mm、重ね折り10枚以下のとき4mm、重ね折り10枚〜20枚のとき6mmというように、枚数の増加に伴い隙間を広くなるようにする。
【0031】
なお、シート折り装置5における各折り種における1枚折り又は重ね折りは画像形成装置本体3の操作パネルからの選択入力によって設定することができ、重ね折り枚数もこの操作パネルから設定可能である。図12は、操作パネル4からのシートの折り重ね枚数の選択画面4aを示す図である。
【0032】
シート折り装置5では、以下のようにしてシートに対して折り処理が行われる。前にも少し触れたが、図2ないし図4はシート束の折り動作を説明するためのもので、図2はシート束を第2の搬送路17に滞留させた状態を、図3はシート束後端を押圧し、撓みを形成して押し込み部材で第1折りニップに導く状態を、図4はシート束の撓み部分が第1の折りニップ25に挟持された後、移動ローラユニット26を、シートを受け入れる位置へ移動させる状態を、それぞれ示す。
【0033】
本実施形態におけるシート折り動作では、まず、ユーザが画像形成装置本体3の操作パネル4から重ね折りを選択し、その後、2つ折りを選択する。制御部56は、第1のストッパ23のシート受入位置を第1の折りニップ25からシートの搬送方向長さの1/2の位置に設定し、第1のストッパ23から押さえ部材49の押面49cまでの距離をシートの搬送方向長さより若干長く設定する。これにより、シート滞留後シート束を搬送することなく折りが可能である。なお、重ね折りを選択して、内3つ折り又は外3つ折りを選択する場合でも、2つ折り同様折り位置へ第1のストッパ23を移動させ、第1のストッパ23から押圧面49cまでの距離をシートの搬送方向長さよりも若干長くする。また、押し込み部材27がHP位置(図2の実線位置)に移動することにより、可動ガイド板60も搬送隙間を狭くする方向(1枚折り位置)へ移動し(図2の実線位置)、あるいは、押し込み部材27が退避位置(図2の破線位置:図10に示す位置)BL1に移動することにより、可動ガイド板60も搬送隙間を広くする方向へ移動する(図2の破線位置BL2:図11に示す位置)。押し込み部材27は前述のように第2モータ56によって駆動され、制御部56によって駆動制御される。
【0034】
押し込み部材27も図3内で要部を拡大して示すように後端(図示左端)側に設けられたピニオン27aを押し込み部材27と一体に移動する第2モータ57によって回転駆動することにより、ラック27bに沿って進出後退し、進出位置及び後退位置、進出速度などは制御部56によって制御される(図10及び図11参照)。
【0035】
このような設定が完了した後、画像形成装置本体3から画像形成された1枚目のシートがシート受入口9に搬入される。搬入されたシートは第1の切換爪13及び第の2切換爪19により第2の搬送路17に案内されて、シート先端が搬送ローラ47a,47b対の搬送ニップ50に進入する。シート先端は図5に示すように押さえ部材49のガイド面49bに突き当たり、図6に示すように押さえ部材49を押しのけながら下流側に進んでいく。制御部56はシート先端が押さえ部材49の先端位置に到達するタイミングで第1のモータ55を正回転させ、移動ローラユニット26を上方(シート搬送方向上流側)に距離M(15mm)移動させる。
【0036】
シート先端が可動ガイド板60を通過し、第2の搬送路17の下半部上端の受入ガイド板17bを経て上半部側から下半部側へのシートの受け渡しが完了すると、第2モータ57を駆動し、図11に示すように、押し込み部材27を初期位置から搬送隙間を広がる方向(矢印D1方向:図2破線位置−搬送隙間L2)に移動させ、可動ガイド60の搬送隙間をL1(初期位置)からL2(待機位置)に広げる(L1<L2)。これは、1枚目のシートが搬送されてくる前に折りローラ21a,bとの間の搬送隙間L1を広げる方向(矢印D1方向)に可動ガイド板60が移動していると、可動ガイド板60の折りローラ21bとの搬送隙間L2と受入ガイド板17bの最上流側の端部の搬送隙間との間の段差が小さくなり、シートが受入ガイド板17bの内側の搬送経路に案内されず、シート先端部が受入ガイド板17bの最上流側の端部に引っ掛かりジャムとなることが多いからである。
【0037】
このようにして1枚目のシートの先端が可動ガイド板60部を通過し、図7及び図8に示すようにシート後端が搬送ローラ47a,47bの搬送ニップ50を通過すると、シートは自重により可動ガイド板60を通過し、第1のストッパ23にその先端が突き当たるまで滑落する。制御部56は、シート先端が第の1ストッパ23に到達したときに、第1のモータ55を逆回転させて移動ローラユニット26を下方(シート搬送方向下流側)に移動させ、図9に示すように押さえ部材49の先端がシート後端よりも距離L(10mm)だけ下方に進んだ位置で、移動ローラユニット26の移動を停止させる。
【0038】
次に2枚目のシートが移動ローラユニット26に送られてくると、1枚目同様、図5に示すようにシート先端が押さえ部材49のガイド面49bに突き当たり、押さえ部材49を押しのけて進んでいく。制御部56は、シート先端が押さえ部材49の先端位置に到達するタイミングで、第1のモータ55を正回転させて移動ローラユニット26を上方(シート搬送方向上流側)に前記距離M移動させる。このとき、1枚目のシートの後端は、押さえ部材49の先端部によって覆われているので、2枚目のシート先端がガイド面49bに案内されて1枚目のシート(滞留シート)の後端に突き当たることなく1枚目のシートの側方に搬送される。
【0039】
2枚目のシートが搬送されてきたとき可動ガイド板60は、図11に示す搬送経路隙間を広げた位置(搬送隙間L2の位置)で待機しているが、1枚目のシートが受入ガイド板17bの上端部に当たらないようガイドしているため、引っ掛かり等によるジャムは発生しない。また、搬送抵抗となる2枚目以降のシートで可動ガイド板60の搬送隙間が広がっているため、搬送抵抗となることがない。
【0040】
シート後端が搬送ニップ50を通過するとシートは自重によりその先端が第1のストッパ23に突き当たるまで滑落する。制御部56は、シート先端が第1のストッパ23に到達したときに第1モータ55を逆回転させて移動ローラユニット26を下方(シート搬送方向下流側)に移動させて、押さえ部材49の先端がシート後端よりも距離L(10mm)だけ下方に進んだ位置で移動ローラユニット26の移動を停止させる。3枚目以降のシートも同様のタイミングで移動ローラユニット26を動作させてシートを第2の搬送路17に滞留させる。なお、重ね折りの場合、図2に示すように、第2の搬送路17に設けられた搬送ローラ対の従動ローラは、シートに搬送力を与えないように搬送ローラから離れた位置で待機している。
【0041】
第2の搬送路17に所望枚数のシートを滞留させた後、押さえ部材49を下方に移動させて押圧面49cで滞留したシート束のシート搬送方向の整合を行い、図示しないジョガーフェンスによってシート幅方向(シート搬送方向に対して直交する方向)の整合を行う。さらに、図3に示すように、押さえ部材49を(移動ローラユニット26を)下方に所定距離(5mm)移動させてシート束に所定量の撓みを形成する。その後、押し込み部材27を駆動して可動ガイド板60を矢印D2方向に移動させてシート束の撓み部分を第1の折りニップ25側に移動させ、その後、押し込み部材2によってシート束の撓み部分を第1の折りニップ25に押し込み、第1の折りローラ対21a,21bによって用紙束を折る。押し込み部材27が第1折りニップ25へ向けて動作するとき、可動ガイド板60はスプリング力により矢印D2’方向に移動し、1枚折りの位置(図2の実線位置)へ戻る。
【0042】
このとき押さえ部材49と押し込み部材27の移動速度を、第1の折ローラ対21a,21bの線速よりも速い速度に設定している。この速度は、本実施形態では、第1の折りローラ対21a,21bの線速の1.1倍〜1.5倍の範囲の所定速度である。すなわち、シートの搬送速度より1.1倍〜1.5倍の速度で押し込むことになる。これにより、押さえ部材49と押し込み部材27とをシート束に確実に圧接させることができる。なお、前記速い速度として例示した1.1倍〜1.5倍の範囲の速度は、本実施形態に対応するものであり、この速度範囲を限定するものではなく、装置に応じて適宜設定される。
【0043】
その後、図4に示すように、シート束の撓み部分が第1折りニップ25に挟持されたときに、押さえ部材49を上方に移動させてシート束後端から離してシートを受け入れる位置(初期位置)まで退避させ、これと同時に押し込み部材27も退避位置へ移動させる。2つ折りされたシート束は、第4の切換爪37の切換動作により、シート綴じ装置7へ搬送される場合は第6の搬送路41へ、スタッカ43へ排出される場合は第5の搬送路39へ、それぞれ導かれる。
【0044】
なお、図2ないし図4に示したシート折り装置5の折り動作は2つ折り時の動作であり、内3つ折り、外3つ折り、Z折り、単純4つ折り、観音折り等の各種の折りについても同様に対応することができることは言うまでもない。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、
1)重ね折りの場合において、搬送隙間を確保するためにガイド板60を可動式にし、搬送抵抗とならないように搬送隙間を広げるようにしたので、シート束の厚さやカールに影響を受けず揃え精度の良いシート折りが可能となる。
2)折り枚数の増加に伴いガイド板60の隙間を広げるようにしたので、折り枚数によらず揃え精度の良いシート折りが可能となる。
3)ガイド板60の移動を1枚折りの位置から平行移動するようにしたので、折りローラ21a,21bの外周とガイド板60の隙間をどの位置でも一定にすることができ、揃え精度の良いシート折りが可能となる。
4)ガイド板60の位置が重要な1枚折り位置については突き当てによって位置決めし、重ね折りの位置については第2モータ(ステッピングモータ)57によるモータ駆動で行うようにしたので、1枚折りのとき安定して撓みを形成することができる。
5)ガイド板60は、重ね折りのとき動作する押し込み部材26の駆動により移動するようになっているので、1つのモータで2つの部材の駆動が可能となり、安価で小型に構成することができる。
などの効果を奏する。
【0046】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【符号の説明】
【0047】
1 画像形成装置
3 画像形成装置本体(複写機)
5 シート折り装置
17 第2の搬送路
23 第1のストッパ
27 押し込み部材
56 制御部
57 第2のモータ
60 可動ガイド板
61 引張りスプリング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2002−284443号公報
【特許文献2】特開2001−206629号公報
【特許文献3】特開2007−320665号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
シート先端を停止させる規制手段と、
シートに折りを行う折りローラ対と、
シートの撓み部を折りローラ対にニップへ導くガイド部材と、
を備え、
前記ガイド部材は1枚折りと重ね折りでシートをガイドする位置が異なることを特徴とするシート折り装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材は、重ね折りのとき折りローラ外周と隙間が広がる方向に移動することを特徴とするシート折り装置。
【請求項3】
請求項2記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材が重ね折りの位置に移動させるとき、1枚折りの位置から平行移動することを特徴とするシート折り装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のシート折り装置であって、
前記隙間は折り枚数又は折り厚さにより変化することを特徴とするシート折り装置。
【請求項5】
請求項4記載のシート折り装置であって、
前記隙間は折り枚数が多いほど、又は折り厚さが厚いほど広くなることを特徴とするシート折り装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材を前記折りローラ対に対し進出後退させる駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とするシート折り装置。
【請求項7】
請求項6記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材は、
シート搬送隙間を保つ位置決めの突起部材と、
前記突起部材を対向のガイド板に突き当て保持する弾性体と、
を有し、
前記ガイド部材は1枚折りのとき弾性体で保持され、重ね折りのとき弾性体の弾性力に抗して前記駆動手段で移動させること
を特徴とするシート折り装置。
【請求項8】
請求項7記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材は前記シートを前記折りローラ対に押し込んでシート折りさせる押し込み部材の進出動作に連動して動作し、
前記押し込み部材は単一の駆動源によって駆動されること
を特徴とするシート折り装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシート折り装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り方法であって、
搬送手段によりシートを搬送し、搬送されたシートの先端を規制手段によって規制し、規制された状態でシートの撓み部をガイド部材によりシートに折りを行う折りローラ対のニップに導き、シートに対して折りを施す際、前記ガイド部材は1枚折りと重ね折りでシートをガイドする位置が異なること
を特徴とするシート折り方法。
【請求項1】
単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
シート先端を停止させる規制手段と、
シートに折りを行う折りローラ対と、
シートの撓み部を折りローラ対にニップへ導くガイド部材と、
を備え、
前記ガイド部材は1枚折りと重ね折りでシートをガイドする位置が異なることを特徴とするシート折り装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材は、重ね折りのとき折りローラ外周と隙間が広がる方向に移動することを特徴とするシート折り装置。
【請求項3】
請求項2記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材が重ね折りの位置に移動させるとき、1枚折りの位置から平行移動することを特徴とするシート折り装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のシート折り装置であって、
前記隙間は折り枚数又は折り厚さにより変化することを特徴とするシート折り装置。
【請求項5】
請求項4記載のシート折り装置であって、
前記隙間は折り枚数が多いほど、又は折り厚さが厚いほど広くなることを特徴とするシート折り装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材を前記折りローラ対に対し進出後退させる駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とするシート折り装置。
【請求項7】
請求項6記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材は、
シート搬送隙間を保つ位置決めの突起部材と、
前記突起部材を対向のガイド板に突き当て保持する弾性体と、
を有し、
前記ガイド部材は1枚折りのとき弾性体で保持され、重ね折りのとき弾性体の弾性力に抗して前記駆動手段で移動させること
を特徴とするシート折り装置。
【請求項8】
請求項7記載のシート折り装置であって、
前記ガイド部材は前記シートを前記折りローラ対に押し込んでシート折りさせる押し込み部材の進出動作に連動して動作し、
前記押し込み部材は単一の駆動源によって駆動されること
を特徴とするシート折り装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシート折り装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
単一搬送経路で1枚折りと重ね折りを行うシート折り方法であって、
搬送手段によりシートを搬送し、搬送されたシートの先端を規制手段によって規制し、規制された状態でシートの撓み部をガイド部材によりシートに折りを行う折りローラ対のニップに導き、シートに対して折りを施す際、前記ガイド部材は1枚折りと重ね折りでシートをガイドする位置が異なること
を特徴とするシート折り方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−178561(P2011−178561A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232758(P2010−232758)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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