説明

シート搬送装置及び情報読取装置

【課題】シートの搬送効率を高めること。
【解決手段】シート搬送路にシートを1枚ずつ順次給送する給送手段と、給送手段よりも下流側に設けられ、給送手段により給送されるシートをその下流側に向けて搬送する搬送手段と、給送手段と搬送手段との間に設けられて給送手段から給送されるシートを検出する検出手段と、給送手段と搬送手段との間に設けられて給送手段から給送されるシートの厚みを検出する厚み検出手段と、給送手段及び搬送手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、検出手段がシートを検出すると、給送手段での給送動作の停止又は減速制御を実行して、厚み検出手段によるシートの厚みを検出し、検出した厚みから搬送手段による搬送速度を決定後、給送手段の給送動作の開始又は加速制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複写機、スキャナ、プリンタなどに適用されるシートの搬送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、原稿を1枚ずつ分離して搬送しながら、原稿の画像を読み取る画像読取装置を開示している。この様に、複写機、スキャナ、プリンタ等において、積層された複数のシートを1枚ずつ搬送する給紙機構を備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−270954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿束を連続して読み込むような装置では、単位時間当たりの原稿処理枚数が多いこと、即ち、高速搬送・高速読取が要求されている。このため、一般的には、上記特許文献1に開示の画像読取装置のように、原稿を1枚ずつ分離しながら連続的に搬送する方式が広く採用されている。しかしながら、このような画像読取装置の搬送系は、原稿を1枚ずつ一律に分離して搬送する方式であることから、異なる厚さの原稿毎に搬送条件を変更するのが難しいという問題がある。
【0005】
なお、上述した問題は、画像読取装置に限って発生するものではなく、例えば、シート搬送路内にシートを1枚ずつ順次給送しながら搬送するシート搬送装置においても同様に発生する。
【0006】
本発明は、シートの搬送性能を向上する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるシート搬送装置は、シート搬送路にシートを1枚ずつ順次給送する給送手段と、給送手段よりも下流側に設けられ、給送手段により給送されるシートをその下流側に向けて搬送する搬送手段と、給送手段と搬送手段との間に設けられて給送手段から給送されるシートを検出する検出手段と、給送手段と搬送手段との間に設けられて給送手段から給送されるシートの厚みを検出する厚み検出手段と、給送手段及び搬送手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、検出手段がシートを検出すると、給送手段での給送動作の停止又は減速制御を実行して、厚み検出手段によるシートの厚みを検出し、検出した厚みから搬送手段による搬送速度を決定後、給送手段の給送動作の開始又は加速制御を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明による情報読取装置は、シート搬送路にシートを1枚ずつ順次給送する給送手段と、給送手段よりも下流側に設けられ、給送手段により給送されるシートをその下流側に向けて搬送する搬送手段と、給送手段と搬送手段との間に設けられて給送手段から給送されるシートを検出する検出手段と、給送手段と搬送手段との間に設けられて給送手段から給送されるシートの厚みを検出する厚み検出手段と、搬送手段の下流に設けられて搬送されるシートの情報を読み取る情報読取手段と、給送手段及び搬送手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、検出手段がシートを検出すると、給送手段での給送動作の停止又は減速制御を実行して、厚み検出手段によるシートの厚みを検出し、検出した厚みから搬送手段による搬送速度を決定後、給送手段の給送動作の開始又は加速制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートの搬送性能を向上することができる。特に、シートの厚みに応じた最適な搬送条件に適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略図。
【図2】厚み検出センサの構成図。
【図3】第1搬送部の搬送制御に関わる処理のフローチャート。
【図4】搬送例を示す図。
【図5】従来の搬送例を示す図。
【図6】上流側の位置検出センサの他の例を示す図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る画像読取装置の概略図。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係る画像読取装置での搬送例を示す図。
【図9】図8の画像読取装置の搬送制御に関わる処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの概略図である。なお、本実施形態では本発明のシート搬送装置を画像読取装置に適用した例を示すが、読み取る情報は画像に限られず、各種の情報を読み取る情報読取装置に適用可能である。また、本発明のシート搬送装置はプリンタ等、他の種類の装置にも適用可能である。なお、以下の説明においてシート搬送路における上流側または下流側とはシートの搬送方向を基準としたものである。
【0012】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、原稿台1に積載された複数枚のシートSを1枚ずつ装置内の経路(シート搬送路)RTに沿って搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。読み取り原稿としてのシートSは、例えば、OA紙、チェック、小切手等である。
【0013】
経路RTにシートを給送する給送手段としての第1搬送部10は、送りローラ11と、分離ローラ12と、を備え、原稿台1上のシートSを一枚ずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、送りローラ11は実線の矢印方向に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0014】
伝達部5は、通常時において駆動力が伝達される状態とし、後述するシートSの逆送の場合に駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。
【0015】
分離ローラ12は、シートSを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成されることが望ましい。分離ローラ12には、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向に回転駆動される。分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数枚のシートSが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一枚を残して2枚以上のシートSが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0016】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTにシートSを1枚ずつ順次給送する給送機構であればよい。
【0017】
搬送手段としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、従動ローラ22とを備え、第1搬送部10よりも下流側に設けられると共に第1搬送部10から搬送されてきたシートSをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。
【0018】
第3搬送部30は、駆動ローラ31と、従動ローラ32とを備え、第2搬送部20よりも下流側に設けられると共に第2搬送部20から搬送されてきたシートSを排出トレイ2へ搬送する。駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れまわる。
【0019】
本実施形態では、画像読取ユニット70による読み取りのため、第2搬送部20及び第3搬送部30はシートSを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行シートに後続シートが追いついてしまう事態を確実に回避できる。そこで、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30によるシートSの搬送速度を、第1搬送部10によるシートSの搬送速度よりも速くなるように速度制御する。
【0020】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30によるシートSの搬送速度と、第1搬送部10によるシートSの搬送速度とを同一条件とした場合でも、後続シートSの給送開始タイミングを間欠的にずらすことで、最低限のシート間隔を形成することも可能である。
【0021】
厚み検出センサ40は、第1搬送部10と第2搬送部20との間に設けられ、搬送されてくるシートの厚み量を検出するための検出センサ(厚み検出部)の一例である。厚み検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には図2に示す様にエンコーダを用いたセンサを使用する。具体的には、経路RT内に一部を突出させて対向圧接されている一対の厚み検知ローラ41、42を備えており、厚み検知ローラ42は、搬送されるシートの厚みに応じて図の矢印の方向に変位する。スリット入りブレード45は、厚み検知ローラ42の変位に伴い、軸451を中心に揺動する。エンコーダ46は、例えば、所定の位置を通過するスリット数に基づきシートの厚みを検出する。
【0022】
位置検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された上流側の検出センサとしての一例である。位置検出センサ50は第1搬送部10により搬送されるシートSの位置、詳細には、位置検出センサ50の検出位置にシートの端部が到達又は通過したか否かを検出する。位置検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51と受光部52とを備え、シートSの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理としてシートSを検出する。
【0023】
本実施形態の場合、位置検出センサ50は、シートSの先端が位置検出センサ50で検出されると、シートSが厚み検出センサ40によりシートの厚さを検出可能な位置に到達しているように、厚み検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この位置検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、シートSの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよい。
【0024】
位置検出センサ60は画像読取ユニット70よりも上流側で、第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送されるシートSの位置を検出する。位置検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、位置検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、シートSの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理としてシートSを検出する。
【0025】
画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、シートSの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、シートSの片面のみを読み取る構成としてもよい。
【0026】
制御部6は、例えば、CPU等の処理部、ROM、RAM等の記憶部、処理部と外部デバイスとをインターフェースするインターフェース部を備えた電気回路である。制御部6は、厚み検出センサ40並びに位置検出センサ50及び60それぞれの検出結果、画像読取ユニット70が読み取った画像データを取得する。また、駆動部3及び4並びに伝達部5を制御する。
【0027】
<制御例>
画像読取装置Aの基本的な動作について説明する。制御部6は、例えば画像読取装置Aが接続された外部パソコンから原稿読み取りの開始指示を受信すると、第1乃至第3搬送部10乃至30の駆動を開始する。原稿台1に積載された複数枚のシートSはその最も下に位置するシートSから1枚ずつ搬送される。
【0028】
厚み検出センサ40によりシートSの厚みが、その搬送途中で検出され、シートSの厚みに応じて制御部6により第2搬送部20及び第3搬送部30の搬送速度を設定し、搬送動作が継続される。制御部6は、位置検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきたシートSの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。画像が読み取られたシートSは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてそのシートSの画像読取処理が終了する。
【0029】
次に、制御部6による第1搬送部10によるシートSの搬送に関わる具体的な処理について図3を参照して説明する。図3は第1搬送部10の搬送制御に関わる処理のフローチャートである。
【0030】
制御部6は、外部パソコンからの原稿読み取りの開始指示を受信すると図3の処理を開始する。なお、画像読取装置Aと外部パソコンとの接続はUSB接続方式でもよいし、ネットワークを経由した接続方式でもよい。また、本実施形態のように外部パソコンからの画像読取装置Aの遠隔制御に本発明は限定されない。例えば、画像読取装置Aにサーバ機能等を設けて、画像読取装置Aでの直接操作に基づいて画像読取装置Aの動作制御を行って、読み取った画像データを所定の宛先(パソコン等)に出力するようにしてもよい。
【0031】
S1において、制御部6は、駆動部3を駆動して送りローラ11と、分離ローラ12とを回転駆動する。伝達部5は駆動力の伝達状態とする。これにより原稿台1上のシートSが装置(経路RT)内に取り込まれて搬送される。S2において、制御部6は、経路RTの上流側の位置検出センサ50がシートSの先端を検出するまで(検出結果が非検出→検出に変化するまで)待機する。位置検出センサ50がシートSの先端を検出すると、制御部6は、S3において、厚み測定完了まで第2搬送部20にシートが到達しないように、第1搬送部10によるシートの搬送を一時的に遅延させる。本実施形態において、制御部6は、駆動部3を駆動停止として搬送を一時停止するが、減速制御により遅延させてもよい。ここで、複数のシートSを連続して読み込むような装置では、単位時間当たりのシート処理枚数が多いこと、即ち、高速搬送・高速読取が要求されている。このため、シートを1枚ずつ自動的に分離しながら連続して搬送する分離方式を採用しているが、この分離方式の場合、次々とシートを分離して搬送するため、先行シートと後続シートとのシート間隔を短く制御することが難しい。しかし、本実施形態では、位置検出センサ50がシートSの先端を検知してシートSの搬送を一時的に停止し、その後、読み取りのために再開する制御により、比較的容易にシートSの間隔を短くすることができる。
【0032】
制御部6は、S4において、厚み検出センサ40の検出結果を取得して搬送されているシートSの厚みを測定する。測定した厚みに応じて、制御部6は、S5において、第2搬送部20及び第3搬送部30を動作させる際の搬送速度値を設定する。なお、厚みと、搬送速度の関係は、あらかじめ制御部6に設定されている。
【0033】
搬送速度の決定後、制御部6は、S6において、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送速度がS5にて設定した搬送速度値となる様に駆動部4を駆動する。制御部6は、S7において、S3で遅延状態とした第1搬送部10による搬送を元に戻す。つまり、本実施形態においては、一時停止していたシートSの給送を再開する。なお、制御部6が、S3において第1搬送部10での給送速度を減速していた場合には、給送動作が所定の速度となる様に加速制御を実行する。
【0034】
なお、本実施形態では、送りローラ11と分離ローラ12とで駆動部3を共用したが、それぞれ個別に設けてもよい。この場合、伝達部5は不要となる。
【0035】
制御部6は、S8において、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件としては、外部パソコンから読み取り終了指示を受信した場合や、原稿台1上のシートSを全て読み取った場合(例えば位置検出センサ50が一定期間検出状態とならない場合)等が挙げられる。終了条件が成立していない場合はS2へ戻り、成立している場合は搬送を停止して一単位の処理を終了する。
【0036】
本実施形態では、シートSの厚みを検出した後、シートSに対して最適な搬送速度で第2搬送部20を駆動する。また、第1搬送部10の制御にあたり、下流側の位置検出センサ60の検出結果により搬送停止・再開の制御を行わないので、連続的にシートSを読み取る場合に、搬送効率を向上できる。この点を図4、図5を参照して説明する。まず、比較例として図5の従来方式について説明する。従来方式の場合、上流側の位置検出センサ50に相当する構成を持たず、下流側の位置検出センサ60で先行シートSの通過が確認されてから後続シートSの搬送を開始する。
【0037】
図5の状態ST11は、第1搬送部10により原稿台1からシートSを搬送している状態を示し、この搬送は状態ST12に示すようにシートSの先端が位置検出センサ60で検出されるまで継続し、検出されると第1搬送部10の搬送が停止される。
【0038】
状態ST13に示すように、第2及び第3搬送部20、30によるシートSの搬送によりシートSの後端が検出されると、状態ST14に示すように、第1搬送部10により原稿台1から次のシートSの搬送を開始する。先行するシートSと後続のシートSとの間の搬送間隔は、第1搬送部10と位置検出センサ60との距離に対応した間隔dとなる。
【0039】
図4を参照して本実施形態の場合について説明する。なお、図4の例では図3のフローチャートと同様、第1搬送部10による搬送の一時遅延は、搬送の一時停止とした。
【0040】
状態ST1は、第1搬送部10により原稿台1からシートSを搬送している状態を示し、この搬送は状態ST2に示すようにシートSの先端が位置検出センサ50で検出されるまで継続し、検出されると第1搬送部10の搬送が一時停止されて厚み測定がなされる。厚み測定の結果を基に、シートSの厚みに適した搬送速度が制御部6により設定され、制御部6により第2搬送部20、第3搬送部30の駆動が開始される。その後、第1搬送部10による搬送(給送)が再開され、後続シートSの先端が位置検出センサ50で検出されるまで継続する。
【0041】
このため、状態ST3に示すように先行するシートSと搬送間隔をほとんど置かずに後続シートSを搬送することができる。状態ST4は後続シートSの先端が位置検出センサ50で検出されて、第1搬送部10による搬送動作が一時停止された状態を示す。このときに先行シートSと後続シートSとの間の間隔が増加する。状態ST5は、後続シートSの厚み測定が完了となり、後続シートSに適した搬送速度が制御部6により算出され、先行するシートSのシートの後端が第3搬送部30を通過するまで、第1搬送部10による搬送を停止している状態を示している。
【0042】
なお、後続シートSの厚みから算出した搬送速度が、先行シートSの搬送速度と同じ場合、ST5に示す様に、後続シートSの搬送を停止する必要はなく、厚み測定後、直ちに、第1搬送部10による搬送を開始できる。
【0043】
いずれにしても、シート受け渡しのタイミング制御によってシートSを連続的にその下流側に効率よく、最適な搬送速度で搬送することができる。このようなシート間隔及び搬送速度は、制御部6によって、第1搬送部10による給送動作の停止又は減速と、その後の再加速とを繰り返し制御すること、また、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送動作で再現性良く作ることができる。
【0044】
なお、例えば、先行シートSと後続シートSとのシート間隔を十分に確保したい場合等においては、本実施形態のように、制御部6が、第2搬送部20によるシート搬送速度を第1搬送部10による給送速度(搬送速度)よりも速く制御することが望ましい。先行シートSと後続シートSとの搬送速度差によって、連続する2枚のシートの対向する端部同士を分離することにより、位置検出センサ50によって後続シートSの端部の到達を確実且つ高精度に検出できる。よって、その後に必要なシート間隔(例えば、画像読取に必要な最小間隔等)を第1搬送部10による給送動作の再開タイミングによって制御性良く、効率的に形成できる。
【0045】
このように本実施形態では、先行するシートSと後続のシートSとの間の搬送間隔は、第1搬送部10と位置検出センサ60との距離に対応した間隔dよりも短い間隔となり、シートの搬送効率を高められる。
【0046】
また、本実施形態では、第1搬送部10による搬送動作を一時停止した状態で、シートSの厚み測定を行うようにしている。エンコーダを含む厚み検出センサ40による厚み測定は、シートが停止した状態が好ましいとされる。一方、シートの処理枚数を増加するため、シート間隔の狭小化や搬送速度の増加を行うと、厚み測定の精度が低下するおそれがある。このため、第1搬送部10での給送動作(搬送動作)を一時停止した状態でシートSの厚み測定を行うことにより、シートの搬送効率を高めつつ厚み測定の検出精度を確保できる。なお、第1搬送部10での給送動作を減速した状態で厚み測定することも可能である。
【0047】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、位置検出センサ50を厚み検出センサ40よりも下流側に配置したが、その位置は第1搬送部10と第2搬送部20との間であればどの位置でもよい。図6(A)は一例として、位置検出センサ50を厚み検出センサ40よりも上流側に配置した例を示す。この例の場合、位置検出センサ50でシートSが検出(検出結果が非検出→検出に変化)された後、一定量の搬送の後、第1搬送部10の搬送を遅延することで、シートSが厚み検出センサ40による厚み測定が可能な位置に到達してから搬送遅延を行うことができる。一定量の搬送の判断は、時間を基準としてもよいし、駆動部3をステッピングモータとした場合は駆動パルス数を基準としてもよい。
【0048】
また、上記第1実施形態では、位置検出センサ50として、光センサを例示したが他の種類のセンサを利用してもよい。図6(B)は位置検出センサ50に代わる位置検出センサ50'としてエンコーダ53を採用した例を示す。エンコーダ53に対峙して搬送ガイド54が配置され、シートSはエンコーダ53と搬送ガイド54との間を通過する。エンコーダ53はシートSに当接してその移動によって回転し、回転量に比例した信号を出力する。この信号によりシートSが厚み検出センサ40による厚みの検出が可能な位置に到達したか否かを検出できる。
【0049】
また、厚み検出センサ40としてエンコーダを採用した場合、これを位置検出センサ50として兼用してもよい。図6(C)はエンコーダを採用した厚み検出センサ40を位置検出センサ50としても兼用した例を示す。エンコーダの変化量により、シートSがシート厚測定可能な位置に到達したことを検出できる。
【0050】
<第3実施形態>
また、上記第1実施形態では、厚み検出センサ40、位置検出センサ50及び60を配置した構成となっているが、この構成に、シートの重送状態を検出する重送検知センサ80を配置した構成としても良い。
【0051】
上記構成について、図8を参照して説明する。なお、図8の例では第1搬送部10による搬送の一時遅延は、搬送の一時停止とした。
【0052】
状態ST21は、第1搬送部10により原稿台1からシートSを搬送している状態を示し、この搬送は状態ST22に示すようにシートSの先端が位置検出センサ50で検出されるまで継続する。シーとSの先端が検出されると第1搬送部10の搬送が一時停止されて、重送検知センサ80による重送判定がなされる。重送判定の結果、シートSが重送していた場合、状態ST23に示すように分離ローラ12を実線矢印方向に回転させ、シートSを原稿台1の方向へ戻す。そして、再度、第1搬送部10を駆動して、シートSの先端が位置検出センサ50で検出されるまでシートSの搬送を継続する。
【0053】
シートSが重送していない場合、厚み検出センサ40により厚み測定がなされる。厚み測定の結果を基に、シートSの厚みに適した搬送速度が制御部6により設定され、制御部6により第2搬送部20、第3搬送部30の駆動が開始される。その後、第1搬送部10による搬送(給送)が再開され、後続シートSの先端が位置検出センサ50で検出されるまで継続する。
【0054】
このため、状態ST24に示すように先行するシートSと搬送間隔をほとんど置かずに後続シートSを搬送することができる。状態ST25は後続シートSの先端が位置検出センサ50で検出されて、第1搬送部10による搬送動作が一時停止された状態を示す。このときに先行シートSと後続シートSとの間の間隔が増加する。状態ST26は、後続シートSの重送判定および厚み測定が完了となり、後続シートSに適した搬送速度が制御部6により算出され、先行するシートSのシートの後端が第3搬送部30を通過するまで、第1搬送部10による搬送を停止している状態を示している。
【0055】
なお、後続シートSの厚みから算出した搬送速度が、先行シートSの搬送速度と同じ場合、状態ST26に示す様に、後続シートSの搬送を停止する必要はなく、厚み測定後、直ちに、第1搬送部10による搬送を開始できる。
【0056】
いずれにしても、シート受け渡しのタイミング制御によってシートSを連続的にその下流側に効率よく、最適な搬送速度で搬送することができる。このようなシート間隔及び搬送速度は、制御部6によって、第1搬送部10による給送動作の停止又は減速と、その後の再加速とを繰り返し制御すること、また、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送動作で再現性良く作ることができる。
【0057】
図9は図8の構成における第1搬送部10によるシートSの搬送に関わる具体的な処理について説明しているフローチャートである。
【0058】
S10において、制御部6は、駆動部3を駆動して送りローラ11と、分離ローラ12とを回転駆動する。伝達部5は駆動力の伝達状態とする。これにより原稿台1上のシートSが装置(経路RT)内に取り込まれて搬送される。S11において、制御部6は、経路RTの上流側の位置検出センサ50がシートSの先端を検出するまで(検出結果が非検出→検出に変化するまで)待機する。位置検出センサ50がシートSの先端を検出すると、制御部6は、S12において、重送判定完了まで第2搬送部20にシートが到達しないように、第1搬送部10によるシートの搬送を一時的に遅延させる。本実施形態において、制御部6は、駆動部3を駆動停止として搬送を一時停止するが、減速制御により遅延させてもよい。ここで、複数のシートSを連続して読み込むような装置では、単位時間当たりのシート処理枚数が多いこと、即ち、高速搬送・高速読取が要求されている。このため、シートを1枚ずつ自動的に分離しながら連続して搬送する分離方式を採用しているが、この分離方式の場合、次々とシートを分離して搬送するため、先行シートと後続シートとのシート間隔を短く制御することが難しい。しかし、本実施形態では、位置検出センサ50がシートSの先端を検知してシートSの搬送を一時的に停止し、その後、読み取りのために再開する制御により、比較的容易にシートSの間隔を短くすることができる。
【0059】
制御部6は、S13において、重送検知センサ80の判定結果を取得して搬送されているシートSの重送状態を検出する。S14において、シートSが重送状態であった場合、S16へ進み、重送状態で無い場合にはS15へ進む。
【0060】
S15では、厚み検出センサ40により重送していないシートSの厚さを測定する。測定した厚みに応じて、制御部6は、S17において、第2搬送部20及び第3搬送部30を動作させる際の搬送速度値を設定する。なお、厚みと、搬送速度の関係はあらかじめ制御部6に設定されている。搬送速度の決定後、制御部6は、S18において、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送速度がS17にて設定した搬送速度値となる様に駆動部4を駆動する。制御部6は、S19において、S12で遅延状態とした第1搬送部10による搬送を元に戻す。つまり、本実施形態においては、一時停止していたシートSの給送を再開する。なお、制御部6が、S12において第1搬送部10での給送速度を減速していた場合には、給送動作が所定の速度となる様に加速制御を実行する。
【0061】
S16では、重送が生じているので、シートSを原稿台1へ逆送する処理を行う。ここでは、伝達部5により駆動部3から送りローラ11への動力伝達を遮断した上で、駆動部3を駆動する。すると、分離ローラ12は図1の実線矢印方向に回転し、送りローラ11は分離ローラ12に連れまわる状態となり、シートSが原稿台1へ戻される。
【0062】
制御部6は、S20において、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件としては、外部パソコンから読み取り終了指示を受信した場合や、原稿台1上のシートSを全て読み取った場合(例えば位置検出センサ50が一定期間検出状態とならない場合)等が挙げられる。終了条件が成立していない場合はS11へ戻り、成立している場合は搬送を停止して一単位の処理を終了する。
【0063】
なお、本実施形態では、送りローラ11と分離ローラ12とで駆動部3を共用したが、それぞれ個別に設けてもよい。この場合、伝達部5は不要となる。また、位置検出センサ50と重送検知センサ80を個別に設ける構成としたが、位置検出センサ50と重送検知センサ80を一つのセンサとする構成であっても良い。つまり、位置検出センサ50が、シートSの重送を検知する機能を兼ね備える構成であっても良い。
【0064】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、原稿台1上のシートSを下側から順次搬送する構成としたが、上側から順次搬送する構成としてもよい。図7は本発明の他の実施形態に係る画像読取装置Bの概略図である。図1の画像読取装置Aと同様の構成については同じ符号を付して説明を割愛し、以下、異なる構成について説明する。なお、図7においては駆動部3、4、伝達部5、制御部6は図示を省略している。
【0065】
画像読取装置Bでは、第1搬送部10がピックアップローラ13を備える。ピックアップローラ13は、原稿台1上に積載されたシートSの上に当接状態とされ、実線の矢印方向に回転駆動されてシートSを上側から順次送りローラ11と分離ローラ12との間に導く。ピックアップローラ13は、破線矢印方向に回動自在に駆動されるアーム部14に支持され、通常時は原稿台1上に積載されたシートSの上に当接状態とされる。しかしながら、シートSの逆送時には、アーム部14の回動により、シートSから上方に離間した位置に移動し、分離ローラ12によるシートSの逆送を妨げないようにされる。
【0066】
画像読取装置Bでは、第3搬送部30が3つ設けられ、半円状に湾曲した経路RTにてシートSを搬送し、排出トレイ2に導くようにしている。
【0067】
このような画像読取装置Bについても、画像読取装置Aと同様の制御が可能である。また、上記第2実施形態と本実施形態の組み合わせも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搬送路にシートを1枚ずつ順次給送する給送手段と、
前記給送手段よりも下流側に設けられ、前記給送手段により給送されるシートをその下流側に向けて搬送する搬送手段と、
前記給送手段と前記搬送手段との間に設けられて前記給送手段から給送されるシートを検出する検出手段と、
前記給送手段と前記搬送手段との間に設けられて前記給送手段から給送されるシートの厚みを検出する厚み検出手段と、
前記給送手段および前記搬送手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検出手段が前記シートを検出すると、前記給送手段での給送動作の停止又は減速制御を実行して、前記厚み検出手段による前記シートの厚みを検出し、検出した厚みから前記搬送手段による搬送速度を決定後、前記給送手段の給送動作の開始又は加速制御を行うことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記搬送手段による搬送速度を前記給送手段による給送速度よりも速くなるように前記給送速度を制御することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記厚み検出手段が、前記検出手段を兼ねることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記検出手段および前記厚み検出手段はシートの搬送方向に並べて配置されており、
前記検出手段は、前記シートの重送を検知する重送検知手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
シート搬送路にシートを1枚ずつ順次給送する給送手段と、
前記給送手段よりも下流側に設けられ、前記給送手段により給送されるシートをその下流側に向けて搬送する搬送手段と、
前記給送手段と前記搬送手段との間に設けられて前記給送手段から給送されるシートを検出する検出手段と、
前記給送手段と前記搬送手段との間に設けられて前記給送手段から給送されるシートの厚みを検出する厚み検出手段と、
前記搬送手段の下流に設けられて搬送されるシートの情報を読み取る情報読取手段と、
前記給送手段および前記搬送手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検出手段が前記シートを検出すると、前記給送手段での給送動作の停止又は減速制御を実行して、前記厚み検出手段による前記シートの厚みを検出し、検出した厚みから前記搬送手段による搬送速度を決定後、前記給送手段の給送動作の開始又は加速制御を行うことを特徴とする情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−224405(P2012−224405A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90385(P2011−90385)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】