説明

シート材貼り合わせ装置およびシート材の製造方法

【課題】高精度に位置合わせて貼り合わせることができる、シート材貼り合わせ装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シート材(複層のシート材、例えばセラミックシート、プリント基板等)を貼り合わせるためのもので、上下に対峙するように近接させて、例えばX,Y,Z、θ方向に移動可能な構成の第1のユニット11と第2のユニット12とを備える。
これら第1ユニット11における第1ケース15、並びに第2ユニット12における第2ケース28に、互いに貼り合わせるべきシート材をそれぞれ搭載して、第1、第2ケース15、28を、互いに位置決め調整して押圧当接させて密閉空間を作り、減圧して、加熱状態でシート材を貼り合わせる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシートを貼り合わせる際に用いられる、シート材貼り合わせ装置およびシート材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のシートを貼り合わせて、貼り合わせシートを形成する際に、それぞれのシートがずれないように貼り合わせるための手段が、従来から種々、提案されている。
ここで、貼り合わせシートとしては、適宜な素材のシート材を複数貼り合わせて複層のシート材、例えばセラミックシート、プリント基板等を挙げることができる。
【0003】
それぞれのシートがずれないように貼り合わせるための手段としては、例えば、特許文献1では、多層積層時の層間ずれ(横ずれ)を防止するために、絶縁性基材と接着層を貫通する複数個の穴のうちの一部の穴に接着剤を充填し、接着層による層間接着に先立って、接着剤によって仮接着を行うようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−26587号公報
【0005】
また、異なる素材構成のシートを、高精度に位置合わせて貼り合わせるには、例えば図12に示すように、真空容器1の下半部を形成する第1ケース2内に、第1保持具3を配置すると共に、第1保持具3に設けた基準ピン4にシート材Aの基準穴5を嵌め込んで、シート材Aを位置決め保持し、一方、真空容器1の上半部を形成する第2ケース6内に、第2保持具7を配置すると共に、第2保持具7に設けた基準ピン8にシート材Bの基準穴9を嵌め込んで、シート材Bを位置決め保持し、次いで、これら第1、第2ケース2,6を互いに密接させ(図13参照)、これら第1、第2ケース2,6内を減圧し、そして、第1、第2ケース2,6を互いに位置決めして加圧、加熱し、シート材Aとシート材Bを貼り合わせるようにしている(図14参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような手段では、シート材Aとシート材Bを、高精度に位置合わせて貼り合わせるには、基準ピン4、8と、基準穴5、9のクリアランスによる位置ずれ、第1保持具3と第2保持具7の位置合わせ時の誤差が累積され、大きなばらつきが生ずるということが判明した。
本発明は、上述の如き課題を克服するために提案されたものであって、貼り合わせるべきシート材を貼り合わせる前に先立って、シート材の位置ずれを検出して位置ずれを修正後、貼り合わせるようにした、シート材貼り合わせ装置およびシート材の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、互いに貼り合わせるべき第1シート材(13)を第1保持具(14)を介して収容する第1ケース(15)と、第2シート材(25)を第2保持具(26)を介して収容する第2ケース(27)とを備え、第1ケース(15)は、支持プレート(17)を介し、第1軸方向に移動調節するための第1駆動手段(18)と、第2軸方向に移動調節するための第2駆動手段(19)と、これら第1駆動手段(18)、第2駆動手段(19)の動きを伝達する伝達体(21)と、この伝達体(21)上に配置した可撓体(22)と、第3軸方向に移動調節する第3駆動手段(20)とにより支持する構成とし、第2ケース(27)は、第1ケース(15)に当接離隔可能に設けて、第2シート材(25)を搭載する第2保持具(26)を回転駆動する回転駆動手段(28)を備え、第1シート材(13)および第2シート材(25)の位置ずれを検出して、これら検出信号に基づいて第1、第2駆動手段(18、19)を制御して第1シート材(13)の位置合わせを行う一方、回転駆動手段(28)を制御して第2シート材(25)の位置合わせを行い、これら第1、第2ケース(15、28)を、互いに当接させて密閉空間を形成すると共に、この密閉空間内において、減圧下、加熱下において第1、第2シート材(15、26)を貼り合わせる構成としたことを特徴とする。
【0008】
これにより、第1シート材(13)と第2シート材(25)とを貼り合わせる前に、それぞれのシート材の位置ずれを検出して、第1シート材(13)は、第1、第2駆動手段(18、19)を制御して位置合わせを行い、第2シート材(25)は、回転駆動手段(28)を制御して位置合わせを行い、第1シート材(13)と第2シート材(25)とを貼り合わせるようにしたので、互いにずれなく、第1シート材(13)と第2シート材(25)とを好適に貼り合わせることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、第1シート材(13)、第2シート材(25)の基準点の位置をそれぞれ計測する計測器(23、30)を備え、計測器(23)による計測値に基づいて移動量を算出して、第1、第2駆動手段(18、19)を制御して第1シート材(13)の位置合わせを行う一方、計測器(29)による計測値に基づいて移動量を算出して、回転駆動手段(28)を制御して第2シート材(25)の位置合わせを行う処理制御部(25)を備えたことを特徴とする。
【0010】
第1シート材(13)と第2シート材(25)とを貼り合わせる前に、それぞれのシート材の基準点の位置をそれぞれ計測器(23、30)により計測し、処理制御部(25)において、計測器(23、30)による計測値に基づいて移動量を算出して、第1、第2駆動手段(18、19)に第1シート材(13)の位置合わせを行うべく制御指令を送出し、回転駆動手段(28)に第2シート材(25)の位置合わせを行うべく制御指令を送出する。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、第3駆動手段(20)は、非圧縮性流体圧駆動シリンダ(20a)と、先端側を、第1軸−第2軸を含む面方向に撓み可能な支持ロッド(20b)とにより構成したことを特徴とする。
【0012】
これにより、第1、第2駆動手段(18、19)が伝達体(21)と、この伝達体(21)上に配置した可撓体(22)を介し、第1ケース(15)を支える支持プレート(17)を第1軸方向、第2軸方向に追従させて移動調節することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、可撓体(22)内には、第1ケース(15)内に連通する吸引パイプ(24)を配設したことを特徴とする。
【0014】
これにより、第1ケース(15)と第2ケース(27)とを当接させて形成した密閉空間を好適に減圧することができる。
【0015】
さらに、請求項5に記載の発明では、貼り合わせすべき第1シート材(13)、第2シート材(25)をそれぞれ第1ケース(15)、第2ケース(27)内に収容すると共に、第1ケース(15)と第2ケース(27)とを当接させて密閉空間を作り、この密閉空間内の空気を排出して減圧し、第1シート材(13)と第2シート材(25)とを、第1軸−第2軸方向に移動して、一方の基準点を撮像して基準点の位置を計測し、次いで、第1シート材(13)と第2シート材(25)とを逆方向に移動して、他方の基準点を撮像して基準点の位置を計測し、求めた基準点の位置から、基準点が一致するための移動量を計算し、求めた移動量を基に第1シート材(13)の第1軸−第2軸方向の移動と、第2シート材(25)の回転移動を行い、しかるのち、加熱下において第1シート材(13)に第2シート材(25)を押圧して貼り合わせるようにしたことを特徴とする。
【0016】
これにより、第1シート材(13)と第2シート材(25)とを貼り合わせるに先立ち、一方、他方の基準点の位置から、移動量を求めて、第1シート材(13)の第1軸−第2軸方向の移動と、第2シート材(25)の回転移動を行って、第1シート材(13)と第2シート材(25)との位置を修正するようにしたので、第1シート材(13)と第2シート材(25)とを、ずれることなく貼り合わせることができる。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1、図2に本発明にかかるシート材貼り合わせ装置10を模式的に示す。
このシート材貼り合わせ装置10は、適宜な素材のシート材を複数貼り合わせて複層のシート材、例えばセラミックシート、プリント基板等を製造するためのもので、このシート材貼り合わせ装置10は、上下に対峙するように配置して、複軸(例えばX,Y,Z、θ)方向に作動させる構成の第1のユニット11と第2のユニット12とを備えている。
すなわち、これら第1ユニット11、第2ユニット12には、互いに貼り合わせるべきシート材(後述)をそれぞれ第1、第2ケース(後述)に搭載して、これら第1、第2ケースを、互いに位置決め調整して押圧当接させて密閉空間を形成し、減圧して、加熱状態でシート材を貼り合わせる構成としている。
なお、ここでのシート材は、上述のように、電子部品を実装するプリント基板、パッケージ基板として用いられるシート材用基材、あるいは複層のセラミックシートを対象としており、熱可塑性樹脂素材から構成されている。
【0019】
第1ユニット11は、第1のシート材13を保持する第1の保持具14を収容した、真空容器の下半部を構成する第1のケース15を備えている。
すなわち第1ユニット11は、第1ケース15を、基台16上に支持プレート17を介し、第1軸としてX軸方向に作動させる第1駆動手段18と、第2軸としてY軸方向に作動させる第2駆動手段19と、第3軸としてZ軸方向に作動させる第3駆動手段20とによって、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に制御可能に支持する構成としている。
【0020】
第1駆動手段18は、伝達体21のうちのX伝達体21Xと接続して、X伝達体21XをX軸方向に往復動する構成とし、第2駆動手段19は、X伝達体21X上にあって、Y伝達体21Yと接続して、Y伝達体21YをY軸方向に往復動する構成としている。
Y伝達体21Y上には可撓体22を配置して、可撓体22を支持プレート17に接続すると共に、可撓体22内に、支持手段を兼ねた吸引パイプ(後述)を、第1ケース15内空間と連通すると共に、第1シート材13を搭載する第1保持具14に接続している。
なお、第3駆動手段20は、基台16上に支持プレート17に向かって鉛直状に配置した油圧駆動シリンダ20aを備えている。そして、この油圧駆動シリンダ20aのロッド先端側は、ある程度X軸Y軸を含む面方向に撓み可能な支持ロッド20bとして支持プレート17に接続している。
また、第1駆動手段18、第2駆動手段19には、直動駆動機構を採用することができる。
さらに、可撓体22に近接した位置には、第1ケース15内の第1保持具14に搭載される第1シート材13の基準点の位置を計測する2つの計測器23を備えている。
【0021】
可撓体22は、いわゆる蛇腹状部材であり、上下方向に伸縮可能に構成されると共に、側方に撓み変位可能に構成されている。
また可撓体22内には、図示は省略するが、第1ケース15内に連通する支柱部材を兼ねた吸引パイプ24が配設されている。この吸引パイプ24には、真空吸引手段(図示省略)につながっている。
【0022】
計測器23は撮像手段(カメラ)であり、第1ケース15内の第1保持具14に載置される第1シート材13の基準点の位置を計測するもので、可撓体22の側面近傍に配設されている。すなわち、例えば第1シート材13の基準穴の位置に対応する基準マーカー(図示省略)を支持プレート17に設けて、この基準マーカーを、計測器23の光軸により読み取ることで、第1保持具14に載置される第1シート材13の位置を計測している(図3参照)。
すなわち、計測器23の光軸が第1シート材13に設けられた基準点からずれるのを検出することで、第1、第2駆動手段18、19により、X軸、Y軸方向に適宜調整移動して、第1シート材13を所定の位置に修正するようにしている。
そして、これら計測器23によるずれに係る検出信号は、処理制御部25に送出して、この検出信号に基づいて、移動量(ずれ量)を算出し、移動量に基づく制御信号をX軸方向、Y軸方向の動作信号(アライメント信号)として、第1、第2駆動手段18、19に送出される構成である。
【0023】
次に、第2ユニット12について説明する。
第2ユニット12は、第1ユニット11の上方に、図示しない周知の駆動機構(例えばロボット搬送機構等)により、昇降可能に設けられている。
すなわち、第2ユニット12は、第2のシート材26を搭載する第2の保持具27と、真空容器の上半部を形成する第2のケース28と、第2保持具27を回転駆動する回転駆動手段29と、第2シート材26の基準点の位置を計測する2つの計測器30とを備えている。
回転駆動手段29は、駆動機構(図示省略)により昇降可能に取付けられた上部基台31に搭載され、中間基台32を貫通して、第2ケース28内の第2保持具27と動力伝達機構33を介して、回転変位可能に連結している。
そして、中間基台32には、計測器30が配設されている。
【0024】
以上のように構成されたシート材貼り合わせ装置10においては、操作指令により、上下に対峙する第1、第2ユニット11、12における第1、第2ケース15、28に対し、貼り合わせるべきシート材をそれぞれ搭載して、第1、第2ケース15、28を、互いに位置決め調整して押圧当接させて密閉空間を画成し、双方のシート材を位置ずれなく貼り合わせるために、第1ユニット11側に配設した計測器23により第1シート材13の基準点を計測する一方、第2ユニット12側に配設した計測器30により、第2シート材26の基準点を計測して処理制御部25に送出し、これら検出信号に基づいて移動量を算出して、この算出した信号に基づき,適宜制御されたX軸方向、Y軸方向、θ方向(Z軸回り)の制御信号を動作信号(アライメント信号)として、第1、第2駆動手段18、19、および回転駆動手段29に送出する構成である。
【0025】
次に本発明にかかるシート材貼り合わせ装置10を用いたシート材の製造方法を説明する。
先ず、貼り合わせすべき第1、第2シート材15、26を、それぞれ、第1ユニット11における第1ケース15内の第1保持具14、第2ユニット12における第2ケース28内の第2保持具27に搭載する(図2参照)。
このとき、第1、第2シート材15、26には、基準点の位置を計測するために供する例えば基準マーカー(他基準穴)の位置が所定の位置にもたらされるようになる(図3参照)。
これにより、第1シート材13は、可撓体22の側面近傍に配設されている計測器23、第2シート材26は、上部基台31の中間基台32に配設した計測器30により、基準点を計測するための基準マーカーを撮像することができる状態となる。
【0026】
次いで、第1ケース15と第2ケース28とを一体的に密接させて密閉空間を形成するために、第1ケース15を上昇させる一方(図4参照)、第2ケース28を下降させて、互いに当接結合させる(図5参照)。
この際、第1ケース15は、支持プレート17に向かって第3駆動手段20である油圧駆動シリンダ20aを駆動して支持ロッド20bを伸長させることで、支持プレート17は、中央に配置した可撓体22の伸長を伴って上昇する。この際、支持プレート17、すなわち第1ケース15のみZ方向に上昇することで、第1保持具14に搭載される第1シート材13の位置は第1ケース15の周縁部の位置より低くなる。
【0027】
一方、第2ケース28を下降させるには、ロボット搬送機構により上部基台31を介して下降させ、これによって、第2ケース28が下降して第1ケース15に当接して、第1ケース15と第2ケース28との周縁部が当接し、第1ケース15と第2ケース28とにより密閉空間が画成される。そして、ロボット搬送機構により第1ケース15と第2ケース28との周縁部がずれないように調整して(図6、図7参照)当接させることができる。
この状態においては、第1ユニット11側では、第1ケース15のみが第3駆動手段20により上昇して、第2ケース28との周縁部と当接して密閉空間を形成するため、これら第1、第2ケース15、28内の第1、第2シート材15、26は、密閉空間内で互いに離隔した状態となる。
【0028】
ここで、第1シート材13は、可撓体22の側面近傍の計測器23、第2シート材26は、上部基台31の中間基台32に配設した計測器30により、基準点を計測するための基準マーカーを撮像する。
第1シート材13は、可撓体22の側面近傍の計測器23により、支持プレート17側に設けた第1シート材13の基準穴の位置に対応する基準マーカーを撮像する。
一方、第2シート材26は、上部基台31の中間基台32に配設した計測器30により、第2ケース28側の基準マーカーを撮像する。
これら計測器23、30で計測された計測にかかる信号は、それぞれ、処理制御部25に送出され、この検出信号に基づいて移動量を算出され、この算出された信号に基づき,適宜制御された制御信号が動作信号(アライメント信号)として、第1、第2駆動手段18、19及び回転駆動手段29に送出される。
【0029】
これにより、第1、第2駆動手段18、19を制御動作させ、X伝達体21X、Y伝達体21Yを通じて、可撓体22から第1保持具14に伝達され、第1保持具14をX軸−Y軸方向に微調整することができる。この場合、支持プレート17は、可撓体22からX軸−Y軸を含む面内で変動するが、支持プレート17は、油圧駆動シリンダ20aの支持ロッド20bによって、ある程度ぶれ移動可能に支持されているため、第1保持具14の微調整が妨げられるようなことはない。
【0030】
一方、第2ケース28内の第2保持具27上の第2シート材26は、アライメント信号により、回転駆動手段29を駆動させることで、動力伝達機構33を介して、第2保持具27を回転変位させて、Z軸回り(θ)に回転微調整することで、第1シート材13と第2シート材26との位置合わせを完了することができる(図8、図9参照)。
【0031】
そして、第1ケース15と第2ケース28とにより画成された密閉空間に対し、真空吸引手段を作動して吸引を行う。この際、真空吸引手段の吸引パイプ24は、蛇腹状可撓体22内を通過し、第1ケース15内に連通しているので、密閉空間内は容易に吸引され、減圧状態とすることができる(図10参照)。
【0032】
そして、第1シート材13と第2シート材26との位置合わせが完了したところで、密閉空間内の第1、第2シート材15、26を、相互に貼り合わせるべく第3駆動手段20および回転駆動手段29を作動し、第1シート材13、第2シート材26を支持する第1保持具14、第2保持具27近傍に配置されたヒータHにより加熱して、加熱状態で加圧を行い、位置ずれなく貼り合わせた複合シートが得られる(図11参照)。
このようにして得られたシートは、この場合、2層ということになるが、さらに複層のシートを得るためには、さらに一連の貼り合わせ工程を繰り返し実行すればよい。
【0033】
以上のように、本発明では、貼り合わせるべきシート材をそれぞれ搭載して、第1、第2ユニット11、12における第1、第2ケース15、28を、互いに位置決め調整して押圧当接させて、第1、第2ケース15、28により密閉空間を画成し、双方のシート材を位置ずれなく貼り合わせるために、第1ユニット11側に配設した計測器23により第1シート材13の基準点を計測する一方、第2ユニット12側に配設した計測器30により、第2シート材26の基準点を計測して処理制御部25に送出し、この検出信号に基づいて移動量を算出し、この算出した信号に基づき,適宜制御された制御信号を動作信号(アライメント信号)として、第1、第2駆動手段18、19、及び回転駆動手段29に送出して、X−Y方向に移動すると共にZ軸回りに回転調整し、第1シート材13に、第2シート材26を押圧して貼り合わせるようにしたので、第1シート材13と第2シート材26との高精度な位置決め、貼り合わせが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかるシート材貼り合わせ装置の一例を示す、模式的な斜視説明図である。
【図2】図1に示すシート材貼り合わせ装置の一側面図である。
【図3】貼り合わせるべきシート材を、第1ケース、第2ケースにセットしたところを示す、模式的な断面説明図である。
【図4】図1に示すシート材貼り合わせ装置において、第1ユニットの第1ケースを持ち上げ上昇させたところを示す、側面図である。
【図5】図1に示すシート材貼り合わせ装置において、第2ユニットの第2ケースを下降させて第1ケースと第2ケースとを当接したところを示す、側面図である。
【図6】第1ケースと第2ケースとを当接した状態において、第1ケース側を位置合わせをする際の、模式的な断面説明図である。
【図7】第1ケースと第2ケースとを当接した状態において、第2ケース側を位置合わせをする際の、模式的な断面説明図である。
【図8】第1ケースと第2ケースとを当接した状態において、第1シート材と、第2シート材とを位置合わせする際の、模式的な断面説明図である。
【図9】位置合わせ後の、シート材貼り合わせ装置の一側面図である。
【図10】第1ケースと第2ケースとによって形成される密閉空間を吸引して減圧する際の、模式的な断面説明図である。
【図11】密閉空間内において、加熱下において、第1シート材に第2シート材を押圧して貼り合わせた状態を示す、模式的な断面説明図である。
【図12】従来のシート貼り合わせ工程の一例を示した、模式的な断面説明図である。
【図13】従来のシート貼り合わせ工程の一例を示した、模式的な断面説明図である。
【図14】従来のシート貼り合わせ工程の一例を示した、模式的な断面説明図である。
【符号の説明】
【0035】
10 シート材貼り合わせ装置
11 第1ユニット
12 第2ユニット
13 第1シート材
14 第1保持具
15 第1ケース
16 基台
17 支持プレート
18 第1駆動手段
19 第2駆動手段
20 第3駆動手段
21X X伝達体
21Y Y伝達体
22 可撓体
23 計測器
24 吸引パイプ
25 処理制御部
26 第2シート材
27 第2保持具
28 第2ケース
29 回転駆動手段
30 計測器
31 上部基台
32 中間基台
33 動力伝達機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を複数貼り合わせて複層のシート材を製造するシート材貼り合わせ装置(10)において、
互いに貼り合わせるべき第1のシート材(13)を第1保持具(14)を介して収容する第1のケース(15)と、第2のシート材(25)を第2の保持具(26)を介して収容する第2のケース(27)とを備え、
前記第1ケース(15)は、支持プレート(17)を介し、第1の軸方向に移動調節するための第1駆動手段(18)と、第2の軸方向に移動調節するための第2駆動手段(19)と、これら第1駆動手段(18)、第2駆動手段(19)の動きを伝達する伝達体(21)と、この伝達体(21)上に配置した可撓体(22)と、第3の軸方向に移動調節する第3の駆動手段(20)とにより支持する構成とし、
前記第2ケース(27)は、前記第1ケース(15)に当接離隔可能に設けて、前記第2シート材(25)を搭載する第2保持具(26)を回転駆動する回転駆動手段(28)を備え、
前記第1シート材(13)および第2シート材(25)の位置ずれを検出して、これら検出信号に基づいて前記第1、第2駆動手段(18、19)を制御して第1シート材(13)の位置合わせを行う一方、前記回転駆動手段(28)を制御して第2シート材(25)の位置合わせを行い、これら第1、第2ケース(15、28)を、互いに当接させて密閉空間を形成すると共に、この密閉空間内において、減圧下、加熱下において前記第1、第2シート材(15、26)を貼り合わせる構成としたことを特徴とするシート材貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記第1シート材(13)、第2シート材(25)の基準点の位置をそれぞれ計測する計測器(23、30)を備え、
前記計測器(23)による計測値に基づいて移動量を算出して、前記第1、第2駆動手段(18、19)を制御して第1シート材(13)の位置合わせを行う一方、
前記計測器(29)による計測値に基づいて移動量を算出して、前記回転駆動手段(28)を制御して第2シート材(25)の位置合わせを行う処理制御部(25)を備えたことを特徴とする請求項1記載のシート材貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記第3駆動手段(20)は、非圧縮性流体圧駆動シリンダ(20a)と、先端側を、第1軸第2軸を含む面方向に撓み可能な支持ロッド(20b)とにより構成したことを特徴とする請求項1記載のシート材貼り合わせ装置。
【請求項4】
前記可撓体(22)内には、前記第1ケース(15)内に連通する吸引パイプ(24)を配設したことを特徴とする請求項1記載のシート材貼り合わせ装置。
【請求項5】
貼り合わせすべき第1シート材(13)、第2シート材(25)をそれぞれ第1ケース(15)、第2ケース(27)内に収容すると共に、前記第1ケース(15)と第2ケース(27)とを当接させて密閉空間を作り、この密閉空間内の空気を排出して減圧し、
前記第1シート材(13)と第2シート材(25)とを、第1軸−第2軸方向に移動して、一方の基準点を撮像して基準点の位置を計測し、
次いで、前記第1シート材(13)と第2シート材(25)とを逆方向に移動して、他方の基準点を撮像して基準点の位置を計測し、求めた基準点の位置から、基準点が一致するための移動量を計算し、
求めた移動量を基に第1シート材(13)のX軸−Y軸方向の移動と、第2シート材(25)の回転移動を行い、
しかるのち、加熱下において前記第1シート材(13)に前記第2シート材(25)を押圧して貼り合わせるようにしたことを特徴とするシート材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−296396(P2008−296396A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141935(P2007−141935)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】