説明

シート状パック化粧料及びパック化粧料用キット

【課題】 ゲルでパックをするための化粧料であって、発熱剤組成物の層を有し、当該発熱剤組成物が空気中の酸素に接触することによって短時間の中に肌への適用に適する温度まで昇温し、且つ、パック化粧料の使用時間中、肌への適用に適する温度が持続されるものを提供すること。
【解決手段】 通気性面と非通気性面とを有する袋状部分と、当該非通気性面の外表面上に形成されたゲル用基材層及び当該ゲル用基材層上に形成されたゲル層とを備え、前記袋状部分内には発熱剤組成物が封入されてなるシート状パック化粧料であって、通気性面の透湿度は、リッシー法(40℃、90%RH)で測定して300〜2,300g/m・24時間であり、且つ、JIS S 4100に基づく温度測定法で測定して、ゲル層の温度が10分以内に38℃以上となり且つその後38〜45℃の温度が20分間以上持続されるものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の発熱構造物とパック剤との組合せからなるパック化粧料及びパック化粧料用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
パック化粧料は、皮膚を健やかに保つために有効な成分、例えば保湿成分、を皮膚に吸収・保持させることや、過剰な皮脂を除去すること等を目的として使用されている。
【0003】
パック化粧料を、特に有効成分の皮膚への吸収・保持を目的として使用する場合には、加温がその効果を高めると考えられるため、加温状態でパックを行うための提案が種々なされてきている。
【0004】
特許文献1には、発熱剤組成物からなるパック化粧料が記載されている。この発熱剤組成物は、ゼオライトの水和熱を利用して発熱するものである。
【0005】
特許文献2にも、発熱成分を含有し、パック剤組成物自体が発熱する温感パックが開示されている。
【0006】
特許文献3には、発熱性パック化粧料であって、この化粧料を構成する組成物中において用いられる発熱物質は、その周囲が常温で半固体から固体の被覆剤で被覆されていることを特徴とするものが開示されている。発熱物質の周囲を被覆剤で被覆するのは、温度等のコントロールのためである。
【0007】
特許文献4には、化粧液を含有させてなる基材シートに蓄熱層が積層されてなるパック用シートが記載されている。この蓄熱層は、多価アルコール又は水と、増粘剤又はゲル化剤とを含むものであり、湯や電子レンジを使用して加温される。
【0008】
特許文献5及び6には、温度の調整手段を備えてなるシート状パック化粧料が記載されている。その温度調整手段は、蒸しタオル、赤外線ランプ、スチーム、温度調整用組成物等である。温度調整用組成物は、A)アルギン酸の固化剤の溶液と、B)アルギン酸及び/又は水溶性のアルギン酸の塩と金属酸化物を含む組成物と、C)酸の溶液とを必須成分として含むものである。特許文献5及び6に記載されたシート状パック化粧料は、加温によってポリノルボルネン支持体が柔軟となり、パックを皮膚に密着させ易くなり、その後、温度が低下することによってポリノルボルネン支持体がシート状に戻ることにより、パックを皮膚表面から容易に剥離できるようになるという特徴を有する。
【0009】
特許文献7には、不織布製袋体に発熱体組成物が内包されてなる温熱鼻パックが開示されている。特許文献7には、この鼻パックの袋体部分には、薬剤が含浸されていもよいし、あるいは、袋体の外面に薬剤が貼着されていてもよい旨の記載がある。
【0010】
また、特許文献8には、パックではないが、凸部を有するように立体成型した不織布の凸部に液状化粧料を含浸させ、且つ、成型体内部には発熱部材を内包させた身体ケア用成型体が開示されている。
【0011】
ここで、身体に適用される構造物において使用される化学発熱剤組成物の配合処方は、種々の特許文献等において開示されているが、特許文献9には、熱セルを有する使い捨て式温熱首包装体の熱セルに充填される化学発熱剤組成物として、鉄粉を30〜80重量%、活性炭等の炭素性材料を3〜25重量%、金属塩を0.5〜10重量%、そして水を1〜40重量%含有するものが開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開2004−2223号公報
【特許文献2】特開2003−81765号公報
【特許文献3】特開平5−9109号公報
【特許文献4】特開2003−321342号公報
【特許文献5】特開2002−322027号公報
【特許文献6】特開2002−322028号公報
【特許文献7】特開平11−347059号公報
【特許文献8】特開2003−164501号公報
【特許文献9】特表2002−512539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、発熱剤組成物の層を有するシート状パック化粧料であって、発熱剤組成物が空気中の酸素と接触することにより、短時間の中に肌への適用に適する温度まで昇温し、且つ、パック化粧料の使用時間中、肌への適用に適する温度が持続されるものを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、袋状の発熱構造物であって、その中に層状の発熱剤組成物が封入されている発熱構造物と、ゲルとを含むパック化粧料用キットであって、発熱構造物の外表面上にゲルを付与して上記のシート状パック化粧料を形成した後に使用されるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意努力し、その結果として本発明をなした。
【0016】
即ち、本願第一の発明は、通気性面と非通気性面とを有する袋状部分と、当該非通気性面の外表面上に形成されたゲル用基材層及び当該ゲル用基材層上に形成されたゲル層とを備え、前記袋状部分内には発熱剤組成物が封入されてなるシート状パック化粧料であって、通気性面の透湿度は、リッシー法(40℃、90%RH)で測定して300〜2,300g/m・24時間であり、且つ、JIS S 4100に基づく温度測定法で測定して、ゲル層の温度が10分以内に38℃以上となり且つその後38〜45℃の温度が20分間以上持続されることを特徴とするシート状パック化粧料に関する。
【0017】
本発明のシート状パック化粧料は、以下の要素(A)乃至(F)の中の一つ又は二つ以上を有する態様を包含する。
【0018】
(A)ゲル用基材層が、不織布、織布、紙又は編物で構成されている、
(B)通気性面が外側の保湿材層と内側の通気性ポリマーシート層とが部分接着されてなる複合体からなり、且つ、非通気性面が非通気性ポリマーシートからなる、
(C)発熱剤組成物が封入されてなる袋状部分が二つ以上存在する、
(D)発熱剤組成物が、その全重量を基準として、金属粉を35.0〜55.0重量%、反応助剤を1.0〜10.0重量%、炭素粉を1.0〜10.0重量%、水を20.0〜40.0重量%含有する、
(E)ゲル層が、その全重量を基準として、水溶性高分子化合物を5〜15重量%、架橋剤を0.05〜1.00重量%、多価アルコールを10〜30重量%、水を40〜80重量%含有するゲル組成物から調製されたものである、及び
(F)ゲル層が、その全重量を基準として、水溶性高分子化合物を5〜15重量%、架橋剤を0.05〜1.00重量%、多価アルコールを10〜30重量%、皮膚を健やかにする又は保つのに有効な成分を0.01〜10.00重量%、水を40〜80重量%含有するゲル組成物から調製されたものである。
【0019】
上記要素(F)において、皮膚を健やかにする又は保つのに有効な成分は、プラセンタエキス、コラーゲン、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、アミノ酸類、ビタミン類、ステアリン酸、オリブ油、カロット油、精油類、植物エキス類、海草エキス類及び果実エキス類からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
【0020】
本願第一の発明のシート状パック化粧料は、JIS S 4100に基づく温度測定法で測定して、ゲル層の温度が、10分以内に39℃以上となり且つその後39〜45℃の温度が20分間以上持続されるものであることが好ましい。
【0021】
また、本願第二の発明は、通気性面と非通気性面とを有する袋状部分と、当該非通気性面の外表面上に形成されたゲル用基材層とを備え、当該袋状部分内には発熱剤組成物が封入されてなる発熱構造物と、当該発熱構造物とは別体のゲルとを含むパック化粧料用キットであって、発熱構造物の通気性面の透湿度は、リッシー法(40℃、90%RH)で測定して300〜2,300g/m・24時間であり、且つ、前記ゲル用基材層の外表面上に前記ゲルを用いて層を形成し当該ゲルの層の温度をJIS S 4100に基づく温度測定法で測定すると、10分以内に38℃以上となり且つその後38〜45℃の温度が20分間以上持続されることを特徴とするパック化粧料用キット、そして、本願第三の発明は、通気性面と非通気性面とを有する袋状部分を備え、当該袋状部分内には発熱剤組成物が封入されてなる発熱構造物と、当該発熱構造物とは別体のゲルとを含むパック化粧料用キットであって、発熱構造物の通気性面の透湿度は、リッシー法(40℃、90%RH)で測定して300〜2,300g/m・24時間であり、且つ、前記非通気性面の外表面上に前記ゲルを用いて層を形成し当該ゲルの層の温度をJIS S 4100に基づく温度測定法で測定すると、10分以内に38℃以上となり且つその後38〜45℃の温度が20分間以上持続されることを特徴とするパック化粧料用キットに関する。
【0022】
本願第二の発明のパック化粧料用キットは、以下の要素(a)乃至(h)の中の一つ又は二つ以上を有する態様を包含する。
【0023】
(a)ゲル用基材層が、不織布、織布、紙又は編物製である、
(b)発熱構造物が非通気性袋体Aに内包されており、且つ、ゲルは、シート形状を有して耐水性袋体Bに内包されている、
(c)ゲルが、その全重量を基準として、水溶性高分子化合物を5〜15重量%、架橋剤を0.05〜1.00重量%、多価アルコールを10〜30重量%、水を40〜80重量%含有するゲル組成物から調製されたものである、
(d)発熱構造物が非通気性袋体Aに内包されており、且つ、ゲルは、チューブC又は耐水性袋体Dに内包されている、
(e)通気性面が外側の保湿材層と内側の通気性ポリマーシート層とが部分接着されてなる複合体からなり、且つ、非通気性面が非通気性ポリマーシートからなる、
(f)発熱構造物には発熱剤組成物が封入されてなる袋状部分が二つ以上存在する、
(g)発熱剤組成物が、その全重量を基準として、金属粉を35.0〜55.0重量%、反応助剤を1.0〜10.0重量%、炭素粉を1.0〜10.0重量%、水を20.0〜40.0重量%含有する、及び
(h)ゲルが、その全重量を基準として、水溶性高分子化合物を5〜15重量%、多価アルコールを10〜30重量%、水を40〜80重量%含有するゲル組成物から調製されたものである。
【0024】
上記要素(h)において、ゲル組成物は、さらに、その全重量を基準として0.5〜10.0重量%の無機顔料を含有していてもよい。
【0025】
上記要素(c)及び(h)において、ゲル組成物は、さらに、その全重量を基準として0.001〜10.000重量%の香料を含有していてもよい。
【0026】
上記要素(c)及び(h)において、ゲル組成物は、さらに、その全重量を基準として0.01〜10.00重量%の皮膚を健やかにする又は保つのに有効な成分を含有していてもよい。
【0027】
ここで、皮膚を健やかにする又は保つのに有効な成分は、プラセンタエキス、コラーゲン、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、アミノ酸類、ビタミン類、ステアリン酸、オリブ油、カロット油、精油類、植物エキス類、海草エキス類及び果実エキス類からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
【0028】
本願第三の発明のパック化粧料用キットは、上記の要素(d)乃至(h)の中の一つ又は二つ以上を有する態様を包含する。
【0029】
本願第二の発明のパック化粧料用キット及び本願第三の発明のパック化粧料用キットにおいて、発熱構造物は、その外表面上にゲルの層が形成され且つ当該ゲルの層の温度がJIS S 4100に基づく温度測定法で測定されたときに、ゲル層の温度が10分以内に39℃以上となり且つその後39〜45℃の温度が20分間以上持続されるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明のシート状パック化粧料及びパック化粧料用キットでは、発熱剤組成物が空気中の酸素に接触することにより、短時間の中に肌への適用に適する温度まで昇温し、且つ、パック化粧料の使用時間中、肌への適用に適する温度が持続されるという効果を示す。
【0031】
本発明のシート状パック化粧料及びパック化粧料用キットでは、ゲルが加温されるために、常温でパックを行う場合に比べて、皮膚を健やかにする又は保つという点でより高い効果が得られる。
【0032】
本発明のパック化粧料用キットでは、ゲルに付香することができるという効果が得られる。従って、パック化粧料の施用中に、香りによるリラクリゼーション効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明を、その好適実施例を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
はじめに、図面を参照しつつ、本発明のシート状パック化粧料の物理的構成について説明する。
【0035】
図1は、本願第一の発明のシート状パック化粧料の好適実施例を示す断面模式図である。このシート状パック化粧料100は、通気性ポリマーシート2からなる通気性面1と非通気性ポリマーシート9からなる非通気性面8とを有する袋状部分10、袋状部分10の中に封入されてなる発熱剤組成物6、袋状部分10の非通気性面8の外表面上に形成された不織布製ゲル用基材層14、及びゲル用基材層14上に形成されたゲル層18とを備える。
【0036】
図2は、本願第一の発明のシート状パック化粧料の他の好適実施例を示す断面模式図である。このシート状パック化粧料200は、通気性ポリマーシート2と不織布4とが接着剤3で部分的に接着されてなる複合体製の通気性面1と非通気性ポリマーシート9からなる非通気性面8とを有する袋状部分20、袋状部分20の中に封入されてなる発熱剤組成物6、袋状部分20の非通気性面8の外表面上に形成された不織布製ゲル用基材層14、及びゲル用基材層14上に形成されたゲル層18とを備える。
【0037】
図3は、本願第二の発明のパック化粧料用キットにおける発熱構造物60の好適実施例を示す断面模式図である。この発熱構造物60は、通気性ポリマーシート2からなる通気性面1と非通気性ポリマーシート9からなる非通気性面8とを有する袋状部分10、袋状部分10の中に封入されてなる発熱剤組成物6、及び袋状部分10の非通気性面8の外表面上に形成された不織布製ゲル用基材層14とを備える。
【0038】
また、図4は、本願第二の発明のパック化粧料用キットにおける発熱構造物70の他の好適実施例を示す断面模式図である。この発熱構造物70は、通気性ポリマーシート2と不織布4とが接着剤3で部分的に接着されてなる複合体製の通気性面1と非通気性ポリマーシート9からなる非通気性面8とを有する袋状部分20、袋状部分20の中に封入されてなる発熱剤組成物6、及び袋状部分20の非通気性面8の外表面上に形成された不織布製ゲル用基材層14とを備える。
【0039】
図5は、本願第三の発明のパック化粧料用キットにおける発熱構造物80の好適実施例を示す断面模式図である。この発熱構造物80は、通気性ポリマーシート2からなる通気性面1と非通気性ポリマーシート9からなる非通気性面8とを有する袋状部分10と、袋状部分10の中に封入されてなる発熱剤組成物6とを備える。
【0040】
図1乃至図5に示された例において、通気性ポリマーシート2と非通気性ポリマーシート9とは、その外周部がヒートシールによって接着されている。なお、通気性ポリマーシート2と非通気性ポリマーシート9とは、接着剤によって接着されていてもよい。その場合には、袋状部分の外周部において、通気性ポリマーシート2と非通気性ポリマーシート9との間に接着剤層が存在する。
【0041】
図2及び図4に示された実施例において、通気性ポリマーシート2と不織布4とは、通気性を保持するように、部分的にのみ接着剤3で接着されている。接着剤を使用する代わりに、通気性ポリマーシート2と不織布4とを部分的に融着させてもよい。また、通気性ポリマーシート2と不織布4とをその外周部においてのみ接着又は融着させ、内部(通気性ポリマーシート2に発熱剤組成物6が接触する部分)は、全く接着も融着もされていないという態様であってもよい。
【0042】
また、図1乃至図4に示された例において、非通気性ポリマーシート9と不織布製ゲル用基材層14とは、その全体又は外周部のみが、ヒートシールされているか、又は、接着剤で接着されている。
【0043】
図6は、本願第二の発明のパック化粧料用キットにおけるゲルの形態の一例を示す断面模式図である。この例において、ゲル18は、シート形状を有し、2枚の保護シート31,33の間に挟まれている。
【0044】
図7は、本願第二の発明及び本願第三の発明のパック化粧料用キットにおけるゲル18が収納されてなるチューブCの模式図である。
【0045】
図8は、本願第二の発明及び本願第三の発明のパック化粧料用キットにおけるゲル18が収納されてなる耐水性袋体Dの模式図である。
【0046】
また、図9は、本願第一の発明のシート状パック化粧料300であって、袋状部分10が4個所存在する例を示す平面模式図である。ゲル層18は、図9において円形で記載されているシート状パック化粧料300の一方の面上(非通気性の側、ゲル用基材層上)に、全体に存在する。
【0047】
この図9に示されたシート状パック化粧料の適切な個所(例えば、目、鼻の穴又は口に対応する個所、あるいは外周のヒートシールされている個所)に切込みを入れたり、全体の形状を縦長の楕円形とする等して、立体的な顔によりフィットするものとしてもよい。
【0048】
次に、本願第一の発明のシート状パック化粧料及び本願第二の発明及び本願第三の発明のパック化粧料用キットの各部分を構成する材料等について、具体的に説明する。
【0049】
発熱剤組成物が封入されてなる袋状部分は、通気性面と非通気性面とを有する。即ち、その一方の面が、通気性面であり、他方の面が、非通気性面である。通気性面は、通常は、通気性ポリマーシート単独で、又は、通気性ポリマーシート(内側)と保湿材層(外側)とで構成されている。また、非通気性面は、好ましくは非通気性ポリマーシートで構成されている。
【0050】
発熱剤組成物が封入されてなる袋状部分を構成する通気性ポリマーシート、非通気性ポリマーシートの素材としてのポリマーの例として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ナイロン等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその鹸化物、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等のエチレン共重合体類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート等が挙げられる。また、天然ゴム、再生ゴム、合成ゴムも用いることが出来る。
【0051】
通気性ポリマーシートの代表例として、非通気性ポリマーフィルムに通気孔を設けたもの(例えば透湿性多孔質フィルム)が挙げられる。なお、本明細書においては、「透湿性」という用語が使用される場合があるが、湿分が通過できるということは、気体が通過できるということ、即ち、「透湿性」があるということは通気性もあるということになる。
【0052】
通気性ポリマーシートとして、透湿性多孔質フィルムを用いる場合、その厚さは、通常は100μm以下、好ましくは20〜80μm、更に好ましくは40〜60μmである。
【0053】
発熱剤組成物が封入されてなる袋状部分の他方の面(非通気性面)を構成する非通気性ポリマーシートの例としては、非通気性ポリエチレン・フィルムが挙げられる。非通気性ポリマーシートの厚さは、通常は100μm以下、好ましくは10〜70μm、更に好ましくは20〜60μm、特に好ましくは30〜50μmである。
【0054】
通気性ポリマーシート、非通気性ポリマーシートは、単層フィルムに限定されず、複層フィルムであってもよい。
【0055】
発熱剤組成物が封入されてなる袋状部分を構成する通気性面の最内層と非通気性面の最内層の中の少なくとも一方が、ヒートシール性を有するポリマー・フィルム、例えばメタロセン・ポリエチレン・フィルムであることが好ましい。
【0056】
通気性面は、通気性ポリマーシート単独で構成されていてもよいが、図2及び図4に示す例のように、通気性ポリマーシート2よりも外側に、保湿材層(図2及び図4の例では不織布4)が存在していてもよい。但し、保湿材層は、通気性を有するものでなくてはならない。本発明において用いられる保湿材層を構成する材料の例として、織布、不織布、編物、紙が挙げられる。
【0057】
保湿材層を織布、不織布又は紙で構成する場合は、その層の厚さは、坪量で表して、通常は200g/m以下、好ましくは30〜120g/m、更に好ましくは40〜100g/mである。なお、不織布を用いる場合には、スパンレース又はスパンボンド不織布であることが好ましい。また、不織布の素材の例としては、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ビニロン、ポリエチレン、ウレタン、木綿、セルロース等を挙げることができる。
【0058】
通気性面の通気度は、後述する発熱剤組成物の発熱特性に影響を与える。本発明においては、通気性面が、リッシー法で測定した透湿度[JIS K 7129(1992)、測定条件:40℃、90%RH]で表して、300〜2,300g/m・24時間(好ましくは400〜1,500g/m・24時間、より好ましくは500〜1,000g/m・24時間)の透湿度を有するように、通気性面を構成する材料を選定・加工する。
【0059】
通気性面が複数の層から構成されている場合には、透湿度の測定は、通気性面の最外層から最内層(発熱材組成物と接触する側)に向かって通気させて行う。
【0060】
なお、通気性面が所望の通気度を有するように、通気性面を構成する材料を加工する方法、例えば図2及び図4に示した通気性ポリマーシート2と不織布4との複合体を用いる場合の接着による通気度の調整方法や、所望の通気度を有する多孔質フィルムの調製方法は、公知である。
【0061】
本発明のシート状パック化粧料及びパック化粧料用キットにおいて使用される発熱剤組成物は、通気発熱剤組成物である。この通気発熱剤組成物に配合される成分は、従来より通気発熱剤組成物に用いられている成分であれば特に限定されないが、例を挙げると以下の通りである。
【0062】
化学発熱剤の例として、鉄粉(還元鉄粉、アトマイズ鉄粉など)等の金属粉が挙げられる。反応助剤の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の金属ハロゲン化物、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の金属硫酸塩が挙げられる。発熱助剤としては、通常は活性炭等の炭素粉が用いられる。活性炭には、ヤシガラ炭、コーヒー抽出殻、木粉炭、石炭、瀝青炭、泥炭等に由来する活性炭がある。通気発熱剤組成物には、もちろん、水も含有されている。さらに、保水剤の例としては、アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、カルボキシメチルセルロースやアクリル酸デンプン等の吸水性高分子化合物が挙げられる。その他の添加剤の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の高分子化合物や、木粉、木炭、ベントナイト、バーミキュライト、パーライト等の充填材が挙げられる。
【0063】
発熱剤組成物として、その全重量を基準として、金属粉を35.0〜55.0重量%、反応助剤を1.0〜10.0重量%(より好ましくは2.0〜10.0重量%)、炭素粉を1.0〜10.0重量%、水を20.0〜40.0重量%含有するものを用いることが好ましい。
【0064】
発熱剤組成物として、鉄粉等の金属粉が偏り難い処方のものを使用することが好ましい。
【0065】
発熱剤組成物は、シート状に加工されることが好ましい。また、その場合、厚さは5mm以下であることが好ましく、0.5〜4.0mmであることが更に好ましく、1〜2mmであることが特に好ましい。
【0066】
発熱剤組成物の製造方法やシート状への加工方法としては、従来から行われている方法を採用すればよい。
【0067】
なお、発熱剤組成物の製造方法の一例について、その概略を記載すると、次の通りである。
【0068】
鉄粉、木粉及び活性炭を混合する。これにカルボキシメチルセルロース及びアクリル酸デンプンを加えて攪拌する。さらに塩水を加え、攪拌する。
【0069】
本発明の特徴の一つは、シート状パック化粧料を気密性袋から取り出した後、あるいはパック化粧料用キットの発熱構造物を気密性袋から取り出してそのゲル用基材層上(本願第二の発明の場合)又は非通気性面上(本願第三の発明の場合)にゲルの層を素早く形成した後、JIS S 4100に基づく温度測定法で測定して、ゲル層の温度が10分以内(好ましくは8分以内)に38℃以上となり且つその後38〜45℃の温度が20分間以上(好ましくは30分から2時間、さらにより好ましくは40分から1.5時間)持続される点にある。この温度及び持続時間は、主として袋状部分の通気性面の透湿度と発熱剤組成物の量によって調整する。
【0070】
なお、ゲル層の温度は、10分以内(より好ましくは8分以内)に39℃以上となり且つその後39〜45℃の温度が20分間以上(より好ましくは30分から2時間、さらにより好ましくは40分から1.5時間)持続されることが好ましい。
【0071】
本願第一の発明及び本願第二の発明の構成要素であるゲル用基材層は、非通気性面の外側に位置する。ゲル用基材層は、非通気性面の全体又は一部に接着、融着等され、発熱剤組成物が封入されてなる袋状部分と一体化される。ゲル用基材層上にはゲル層が形成されるが、その際、ゲルの一部がゲル用基材層に含浸されてもよい。
【0072】
ゲル用基材層を構成する材料は、ゲルに親和性を示すものであれば、いずれでもよい。その例として、不織布、織布、紙、編物が挙げられ、不織布が好ましい。不織布の種類については、特に限定されないが、スパンレース又はスパンボンド不織布であることが好ましい。また、不織布は、坪量が200g/m以下のものが好ましく、30〜120g/mのものが更に好ましく、40〜100g/mのものが特に好ましい。
【0073】
不織布の素材として、親水性繊維又は親水性繊維と疎水性繊維との混合物を用いることが好ましい。親水性繊維は、ゲルに親和性を示すからである。なお、混合物を用いる場合には、親水性繊維の割合が10重量%以上であることが好ましい。
【0074】
親水性繊維の例として、木綿、羊毛、絹、麻、木材パルプ等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等のセルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維、セルロースアセテート繊維、高吸水繊維(例えば架橋アクリル酸塩系繊維、アクリル繊維を後加工によりその表面を加水分解させて得られた繊維、ポリエステル等の繊維にアクリル酸やメタクリル酸をグラフト重合した繊維等)等が挙げられ、又、疎水性繊維の例として、ポリエステル、ナイロン、アクリル等よりなる繊維が挙げられる。
【0075】
本願第一の発明のシート状パック化粧料において、ゲル用基材層上に形成されるゲル層を構成するゲル、また、本願第二の発明及び本願第三の発明のパック化粧料用キットにおけるゲルは、ゲル組成物を用いて調製される。
【0076】
ゲル組成物に配合される成分は、従来よりゲル状のパック剤に用いられている成分であれば特に限定されないが、例を挙げると以下の通りである。
【0077】
水溶性高分子化合物としては、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成水溶性高分子のいずれを用いてもよい。
【0078】
天然水溶性高分子化合物の例としては、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、スクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン及びコラーゲンが挙げられる。
【0079】
半合成水溶性高分子化合物の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩類(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、メチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子化合物;可溶性デンプン、アクリル酸デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等のデンプン系高分子化合物;アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等のアルギン酸系高分子化合物;及び多糖類系誘導体が挙げられる。
【0080】
合成水溶性高分子化合物の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル、アクリル酸メタクリル酸長鎖アルキル(炭素数10〜30)共重合体及びエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体が挙げられる。
【0081】
前記水溶性高分子化合物と架橋反応を生じる架橋剤の例としては、エデト酸塩、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化アルミニウム、カリウムミョウバン、硫酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物類及び多官能性エポキシ化合物が挙げられる。なお、本願発明のパック化粧料用キットであって、ゲルが、シート形状ではなくチューブや耐水性袋体に封入して提供されるものの場合には、ゲル組成物は、架橋剤を含まないか、含むとしてもごく少量である。
【0082】
保湿成分である多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、ダイナマイトグリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール及びマビットが挙げられる。
【0083】
皮膚を健やかにする又は保つのに有効な成分(美肌成分)の例としては、プラセンタエキス、コラーゲン、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、アミノ酸類、ビタミン類、ステアリン酸、オリブ油、カロット油、精油類、植物エキス類、海草エキス類及び果実エキス類を挙げることができる。アミノ酸類の具体例としては、アラニン、アルギニンが、ビタミン類の具体例としては、ビタミンA、C、Eが、植物エキス類の具体例としては、カミツレエキスが挙げられる。
【0084】
ゲル組成物には、これらの成分に加え、水が含有されている。また、ゲル組成物には、微量成分として、色素、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等が含有されていてもよい。さらに、本願発明のパック化粧料用キットでは、使用直前までゲルが発熱剤組成物と接触しないので、ゲル組成物に香料が含まれていてもよい。
【0085】
本発明において用いられるゲル組成物は、透明乃至半透明のものに限定されない。二酸化チタン等の酸化チタン類、酸化亜鉛、酸化鉄、カオリン、ベントナイト等の無機顔料、又はクレイ等を含有する不透明なものであってもよい。
【0086】
シート状ゲルの製造に用いるゲル組成物として、その全重量を基準として、水溶性高分子化合物を5〜15重量%、架橋剤を0.05〜1.00重量%、多価アルコールを10〜30重量%、水を40〜80重量%含有するものを用いることが好ましい。なお、架橋剤の量は、水溶性高分子化合物の量との関係においては、水溶性高分子化合物の架橋点に対して0.1〜5当量が好ましく、0.2〜2当量が特に好ましい。
【0087】
水溶性高分子化合物のさらに好ましい割合は、6〜13重量%であり、特に好ましい割合は、7〜12重量%である。また、架橋剤のさらに好ましい割合は、0.06〜0.80重量%であり、特に好ましい割合は、0.10〜0.50重量%である。多価アルコールのさらに好ましい割合は、12〜25重量%であり、特に好ましい割合は、13〜20重量%である。水のさらに好ましい割合は、50〜75重量%であり、特に好ましい割合は、60〜70重量%である。
【0088】
シート状ゲルは、例えば以下のようにして製造する。架橋剤及びその溶媒を除く材料の中、ポリマー類、着色剤、防腐剤等を、それぞれ、予め水等の溶媒に溶解しておく。このとき、必要であれば加温する。混合槽に、攪拌下に材料を順次加える。最後に、別途溶媒に加温溶解しておいた架橋剤を加え、攪拌した後、得られたゲル組成物を、所定形状の容器に流し込んで、又は、保護シート等の上に展膏して、架橋、硬化させる。
【0089】
チューブ等に封入されるゲルは、例えば以下のようにして製造する。ゲル組成物の材料を、それぞれ、予め水等の溶媒に溶解しておく。このとき、必要であれば加温する。混合層に、攪拌下に材料を順次加え、均一になるまで攪拌する。
【0090】
本願第一の発明のシート状パック化粧料において、及び、本願第二の発明のパック化粧料用キットのゲルがシート状である場合において、その固さは、シート形状が保持できる程度である。
【0091】
また、その厚さは、特に限定されないが、例えば、200〜3,000μmであることができ、500〜2,000μmであることが好ましく、800〜1,500μmであることが特に好ましい。
【0092】
本願第二の発明及び本願第三の発明のパック化粧料用キットにおいて、ゲルがチューブや耐水性袋体に内包されて提供される場合には、ゲルの粘度は、塗工し易さと液だれをしないという観点から、30℃において、100〜1,200cpsであるのが好ましく、200〜800cpsであるのがより好ましい。
【0093】
本願第二の発明のパック化粧料用キットにおいては、ゲルは、例えば、1)シート形状で直接耐水性袋体Bに封入されて、2)図6に示すように、シート形状で2枚の保護シート31,33の間に挟まれた状態で、耐水性袋体Bに封入されて、3)例えば図7に示されるチューブCに封入されて、4)図8に示すように、耐水性袋体Dに内包されて、又はその他の手段で包装されて提供され、使用直前にゲル用基材層に付与される。
【0094】
耐水性袋体Bは、耐水性且つ非通気性材料製で、シート形状のゲルをゲル状態のままで内包できる形状及び大きさであれば、いずれであってもよい。また、チューブCや耐水性袋体Dは、耐水性且つ非通気性材料製で、ゲルをゲル状態のままで内包できるものであれば、いずれであってもよい。
【0095】
耐水性袋体B及び耐水性袋体Dは、例えば、ポリ塩化ビニリデンコート二軸延伸ポリプロピレン(KOP)フィルムとポリエチレン(PE)フィルムとの複層シート、ナイロンフィルムとPEフィルムとの複層シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとPEフィルムとの複層シート、薄層アルミニウムとPEフィルムとの複層シート、紙と薄層アルミニウムとPEフィルムとの複層シートで作られる。また、チューブCは、例えば、ポリカーボネート等の合成ポリマー製チューブ、外側に塗料処理された薄層アルミニウム製チューブ、ポリエチレン、紙、アルミニウム箔等の薄層5乃至10層からなるラミネートチューブである。
【0096】
本願第二の発明のパック化粧料用キットにおいて、ゲルがシート形状である場合には、使用直前に、発熱構造物のゲル用基材層にゲルシートを積層させる。また、ゲルがチューブ等に入れられている場合には、使用直前に、発熱構造物のゲル用基材層又は非通気性面上にゲルを絞り出し、指やへらで均一にのばす。
【0097】
本願第三の発明のパック化粧料用キットにおいては、ゲルは、例えば、チューブCに封入されて、耐水性袋体Dに内包されて、又はその他の手段で包装されて提供され、使用直前に非通気性面上に付与される。
【0098】
本願第一の発明のシート状パック化粧料は、未使用時には、通常は、そのゲル層の表面が剥離シートで覆われている。この剥離シートの材料は、従来よりゲル表面を被覆するために使用されているものであれば、いずれであってもよい。例えば、各種プラスチック・フィルムや薄層金属、プラスチック・フィルムと紙との積層体が、剥離シートとして用いられる。プラスチック・フィルムを構成する高分子化合物の例としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アルキルベンゼンスルホン酸及びポリ塩化ビニルが挙げられる。また、剥離シートには、シリコーン系、アルキルアクリレート系、フッ素系などの剥離コート剤が塗布されていてもよい。
【0099】
本願第二の発明のパック化粧料用キットにおいて、ゲルがシート形状であり且つ2枚の保護シートの間に挟まれている場合、ゲルを挟む保護シートの材料は、従来よりゲル表面を被覆するために使用されているものであれば、いずれであってもよい。また、この2枚のシートには、剥離コート剤が塗布されていてもよい。
【0100】
本願第一の発明のシート状化粧料(但し、ゲル層の表面は剥離シートで被覆されている)、及び、本願第二の発明や本願第三の発明のパック化粧料用キットにおける発熱構造物は、外袋に入れて保存される。外袋は、耐湿非通気性(気密性)材料で構成されている。外袋が非通気性であるので、発熱剤組成物中の発熱剤は化学反応をせず、よって発熱することなく保存されるのである。外袋を開封すると、空気(酸素)が袋状部分の通気性面を通って発熱剤に到達し、それによって化学反応が開始され、反応熱が放出される。
【0101】
外袋用材料の代表例として、アルミニウム薄層とポリマー・フィルムとが積層されてなるものが挙げられる。
【0102】
次に、本願第一の発明のシート状パック化粧料(但し、ゲル層の表面は剥離シートで被覆されている)の製造方法の例を説明する。
【0103】
ここでは、図2に示されたシート状パック化粧料200を製造する方法について説明する。
【0104】
1)不織布(ゲル用基材層14となる)の一方の面に非通気性ポリマーシート(非通気性面8となる)が接着されてなる複合シートAを用意する。
【0105】
2)複合シートAの不織布上にゲル組成物を塗工し、その表面を剥離シートで被覆する。これを放置して、ゲル組成物をゲル層18となす。
【0106】
3)通気性ポリマーシート(通気性ポリマーシート2の層となる)の一方の表面上に、接着剤3を部分的に塗工する。形成された接着層は、例えば、格子状、水玉状、縞状であるのがよい。この接着層の面積割合(接着剤の存在する部分の面積/通気性面の面積;但し、発熱剤組成物が存在しない外周部を除く)で、通気性面1の通気性(透湿度)を調整する。
【0107】
4)上記通気性ポリマーシート上に形成された接着層に不織布を貼りつけ、複合シートB(通気性面1となる)とする。
【0108】
5)発熱剤組成物を調製する。
【0109】
6)複合シートAの非通気性ポリマーシート上に、所定量の発熱剤組成物6を所望の形状となるように載せる。
【0110】
7)上からホットメルト接着剤を噴霧する。
【0111】
8)発熱剤組成物6の上を、複合シートBで被覆する。この際、通気性ポリマーシートを発熱剤組成物6の方に向ける。発熱剤組成物6のない個所については、噴霧されたホットメルト接着剤により、複合シートAと複合シートBとを接着する。
【0112】
9)製品一つ分を切り離し、非通気性外袋に封入する。
【0113】
上記工程7及び8に代わり、以下の工程10を行ってもよい。
【0114】
10)発熱剤組成物6の上を、複合シートBで被覆する。この際、通気性ポリマーシートを発熱剤組成物6の方に向ける。発熱剤組成物6のない個所については、ヒートシールにより、複合シートAと複合シートBとを接着させる。
【0115】
図1に示されたシート状パック化粧料100の製造方法も、通気性面の構成部材として、複合シートBの代わりに通気性ポリマーシートを単独で使用すること以外は、シート状パック化粧料200の製造方法と同様である。
【0116】
次に、本願第二の発明のパック化粧料用キットの発熱構造物の製造方法の例を説明する。
【0117】
[図3に示された発熱構造物60を製造する場合]
1)不織布(ゲル用基材層14となる)の一方の面に非通気性ポリマーシート(非通気性面8となる)が接着されてなる複合シートAを用意する。
【0118】
2)発熱剤組成物を調製する。
【0119】
3)複合シートAの非通気性ポリマーシート上に、所定量の発熱剤組成物6を所望の形状となるように載せる。
【0120】
4)上からホットメルト接着剤を噴霧する。
【0121】
5)発熱剤組成物6の上を、通気性ポリマーシートで被覆する。発熱剤組成物6のない個所については、噴霧されたホットメルト接着剤により、複合シートAと通気性ポリマーシートとを接着する。
【0122】
6)製品一つ分を切り離し、非通気性外袋に封入する。
【0123】
[図4に示された発熱構造物70を製造する場合]
1)不織布(ゲル用基材層14となる)の一方の面に非通気性ポリマーシート(非通気性面8となる)が接着されてなる複合シートAを用意する。
【0124】
2)通気性ポリマーシート(通気性ポリマーシート2の層となる)の一方の表面上に、接着剤3を部分的に塗工する。
【0125】
3)上記通気性ポリマーシート上に形成された接着層に不織布を貼りつけ、複合シートB(通気性面1となる)とする。
【0126】
4)発熱剤組成物を調製する。
【0127】
5)複合シートAの非通気性ポリマーシート上に、所定量の発熱剤組成物6を所望の形状となるように載せる。
【0128】
6)上からホットメルト接着剤を噴霧する。
【0129】
7)発熱剤組成物6の上を、複合シートBで被覆する。この際、通気性ポリマーシートを発熱剤組成物6の方に向ける。発熱剤組成物6のない個所については、噴霧されたホットメルト接着剤により、複合シートAと複合シートBとを接着する。
【0130】
8)製品一つ分を切り離し、非通気性外袋に封入する。
【0131】
なお、上記発熱構造物は、通気性面1となる通気性ポリマーシート又は複合シートBの長尺物と複合シートAの長尺物とを、ヒートシーラー内を走行させることによって袋状部分を形成しつつ、形成された袋状部分に発熱剤組成物を封入するという、従来公知の方法によって製造してもよい。
【0132】
本願第三の発明のパック化粧料用キットの発熱構造物の製造方法は、複合シートAの代わりに非通気性ポリマーシートを単独で使用すること以外は、本願第二の発明のパック化粧料用キットの発熱構造物の製造方法と同様である。
【0133】
本願第一の発明のシート状パック化粧料及び本願第二の発明又は本願第三の発明のパック化粧料用キットの使用方法は、次の通りである。
【0134】
本願第一の発明のシート状パック化粧料は、外袋から取り出し、剥離シートを剥がし、ゲル層を顔面にあてて使用する。
【0135】
本願第二の発明のパック化粧料用キットにおいては、発熱構造物を外袋から取り出し、発熱構造物のゲル用基材層上にゲルを付与してシート状パック化粧料を形成した後、ゲル層を顔面にあてて使用する。
【0136】
本願第三の発明のパック化粧料用キットにおいては、発熱構造物を外袋から取り出し、発熱構造物の非通気性面上にゲルを付与した後、ゲル層を顔面にあてて使用する。
【0137】
所定時間経過後、シート状パック化粧料を顔から剥がす。このままでもよいが、ゲルが顔面に残っている場合には、洗顔又は化粧水での拭き取りを行う。
【0138】
以下に、実施例により、本発明をより具体的に説明する。
【実施例1】
【0139】
シート状パック化粧料の製造及び試験
(発熱剤組成物の調製)
表1に示す処方A乃至Fで、発熱剤組成物を調製した。具体的には、1)鉄粉、活性炭及び木粉を充分にミキシングして混合物Aを調製し、2)カルボキシメチルセルロース粉末とアクリル酸デンプンを充分にミキシングして混合物Bを調製し、3)塩化ナトリウムを常水に溶かして塩水を調製し、4)混合物Aに混合物Bを加えて充分にミキシングし、次いで塩水を加えて充分にミキシングした。
【0140】
【表1】

【0141】
(ゲル組成物の製造)
表2に示す処方で、常法により、ゲル組成物を調製した。具体的には、1)常水にポリビニルアルコールを加えてAとし、2)常水に着色剤と酒石酸とを加えてBとし、3)AにBを加えてCとし、4)Cにカルボキシメチルセルロースナトリウムを加えてDとし、5)グリセロール3%分にアクリル酸デンプンを加えてEとし、6)DにE及びソルビトールを加えてFとし、7)プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸ブチル及びパラオキシ安息香酸メチルを加えてGとし、8)FにGを加えてHとし、9)エッセンシャルオイルにモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンを加えてIとし、10)HにIを加えてJとし、11)グリセロールの残部(9%分)に、ポリアクリル酸ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びエデト酸ナトリウムを加えてKとし、そして、12)JにKを加えた。
【0142】
【表2】

【0143】
(通気性面の透湿度の測定)
各シート状パック化粧料の袋状部分の通気性面の透湿度を、リッシー法[JIS K 7129]で測定した。測定温度は40℃、湿度は90%RHとした。なお、湿分は、袋状部分の外側となる層の側から内側となる層の側に向かって通気させた。
【0144】
(シート状パック化粧料の製造)
市販の非通気性ポリエチレンフィルム(ミナセル社製;厚さ40μm)の一方の面に、ロータリー・スクリーン・プリント(上野山機工社製)を用いて、アクリル共重合体エマルジョン接着剤(コニシ社製CE310H)を全面に塗工し、この接着剤を介して、前記非通気性ポリエチレンフィルムにポリエステル(100%)製スパンレース不織布(中国浙江省航民非織造有限公司製、坪量:60g/m)を貼り合わせ、複合シートAを得た。次いで、複合シートAの不織布上に、展膏機を用いて先に製造したゲル用組成物(処方:表2)を1,200g/mとなるように塗工し、その表面を剥離シートであるポリプロピレン製エンボスフィルム(新関西フィルム社製;厚さ30μm)で被覆した。このようにして、ゲル層付き複合シートAを製造した。
【0145】
別に、ポリエチレン多孔質フィルム(大和川ポリマー社製;厚さ:50μm)に、ロータリー・スクリーン・プリント(上野山機工社製)を用いて、アクリル共重合体エマルジョン接着剤(コニシ社製CE310H)を部分的に塗工し、この接着剤を介して、前記ポリエチレン多孔質フィルムにポリエステル(100%)製スパンレース不織布(中国浙江省航民非織造有限公司製、坪量:50g/m)を貼り合わせ、複合シートBを得た。
【0146】
なお、接着剤は、接着剤が塗布されていない個所が例えば10mm×10mmのダイヤ格子状となるように、幅2mmで塗工した。このダイヤ格子の大きさを調整することにより、表1に示すような種々の透湿度を実現した。
【0147】
ゲル層付き複合シートAの非通気性ポリエチレンフィルム上に、4個所(図9において破線で区画されている1/4円形状部分の各々に類似の部分)に分けて各々に発熱剤組成物10gを敷き詰め、その厚さが等しくなる(約1.0mm)ようにならした。
【0148】
次いで、多孔質フィルムの側を発熱剤組成物に向けて、複合シートBで発熱剤組成物の表面を覆い、外周部(約15mm幅)及び約12mm幅の互いに直交する2本の直径部分(図9を参照のこと、但し、この実施例で製造したものは、図9のように円形ではなく、縦長の楕円形であった)をヒートシールした。
【0149】
このようにして製造されたシート状パック化粧料は、長径25cm、短径22cmの楕円形であった。
【0150】
このシート状パック化粧料を、アルミニウム薄層とポリマー・フィルムとが積層されてなるもので製造された外袋に封入した。
【0151】
(シート状パック化粧料の昇温及び温度維持特性の測定)
JIS S 4100に基づき、外袋から取り出されたシート状パック化粧料のゲル層の温度を測定した。具体的には、以下の方法で温度測定を行った。
【0152】
試験器: 温熱器と循環式恒温水槽とを備える。
【0153】
[温熱器] JIS G 4303のSUS304製であり、厚さ3mm、縦300mm、横600mm、幅100mmの箱形である。
【0154】
温熱部表面は、厚さ6mm、縦300mm、横600mmのポリアクリル板で被覆されている。表面以外の部分は、厚さ30mmの発泡スチロール断熱材で被覆されている。
【0155】
[循環式恒温水槽] 温熱器に12±1リットル/分の流量で温水を循環させることができるものである。水温は、ポリアクリル板上の温度が33±2℃に維持されるように調節する。
【0156】
試験方法: 周囲の温度を20±2℃に維持する。試料を外袋より取り出し、剥離シートを剥がし、直ちにゲル層をポリアクリル板上に貼付し、温度センサーによってゲル層の中央の温度を測定する。
【0157】
結果は、表1に示した通りである。
【実施例2】
【0158】
パック化粧料用キット(その1)の製造
(発熱構造物の製造)
実施例1で製造した複合シートA及び複合シートBとを用意した。
【0159】
複合シートAの非通気性ポリエチレンフィルム上に、4個所(図9において破線で区画されている1/4円形状部分の各々に類似の部分)に分けて各々に発熱剤組成物10gを敷き詰め、その厚さが等しくなる(約1.0mm)ようにならした。
【0160】
次いで、多孔質フィルムの側を発熱剤組成物に向けて、複合シートBで発熱剤組成物の表面を覆い、外周部(約15mm幅)及び約12mm幅の互いに直交する2本の直径部分(図9を参照のこと、但し、この実施例で製造したものは、図9のように円形ではなく、縦長の楕円形であった)をヒートシールした。
【0161】
このようにして製造された発熱構造物は、長径25cm、短径22cmの楕円形であった。
【0162】
この発熱構造物を、アルミニウム薄層とポリマー・フィルムとが積層されてなるもので製造された外袋に封入した。
【0163】
(シート状ゲルの製造)
先に表2に示した処方で、実施例1に記載の方法で、ゲル組成物を調製した。このゲル組成物を、ポリプロピレン製エンボスフィルム(新関西フィルム社製;厚さ30μm)上に、展膏機を用いて1,200g/mとなるように塗工し、その表面を、同じくポリプロピレン製エンボスフィルム(新関西フィルム社製;厚さ30μm)で被覆した。
【0164】
ゲルが硬化した後、KOPフィルムとPEフィルムとの複層シート製の袋に封入した。
【0165】
(パック化粧料用キットの使用)
外袋から発熱構造物を取り出し、そのゲル用基材層(不織布)上に、袋から取り出し、一方のポリプロピレン製エンボスフィルムを剥離したシート状ゲルを載せた。他方のポリプロピレン製エンボスフィルムも剥離し、ゲルを顔に当てて使用した。
【実施例3】
【0166】
パック化粧料用キット(その2)の製造
(発熱構造物の製造)
市販の非通気性ポリエチレンフィルム(ミナセル社製;厚さ40μm)と、実施例1で製造した複合シートBとを用意した。
【0167】
非通気性ポリエチレンフィルム上に、4個所(図9において破線で区画されている1/4円形状部分の各々に類似の部分)に分けて各々に発熱剤組成物10gを敷き詰め、その厚さが等しくなる(約1.0mm)ようにならした。
【0168】
次いで、多孔質フィルムの側を発熱剤組成物に向けて、複合シートBで発熱剤組成物の表面を覆い、外周部(約15mm幅)及び約12mm幅の互いに直交する2本の直径部分(図9を参照のこと、但し、この実施例で製造したものは、図9のように円形ではなく、縦長の楕円形であった)をヒートシールした。
【0169】
このようにして製造された発熱構造物は、長径25cm、短径22cmの楕円形であった。
【0170】
この発熱構造物を、アルミニウム薄層とポリマー・フィルムとが積層されてなるもので製造された外袋に封入した。
【0171】
(ゲルの製造)
ゲル組成物の処方として、先に表2に示した処方中、乾燥水酸化アルミニウムゲル及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除く処方を用いた以外は、実施例1に記載の方法で、ゲル組成物を調製した。
【0172】
このゲル組成物を、チューブに封入した。
【0173】
(パック化粧料用キットの使用)
外袋から発熱構造物を取り出し、その非通気性ポリエチレンフィルム上に、チューブから絞り出したゲル組成物を、厚さが約1mmとなるように指で塗工し、すぐに顔に当てて使用した。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明のシート状パック化粧料の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明のシート状パック化粧料の他の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明のパック化粧料用キットにおける発熱構造物の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明のパック化粧料用キットにおける発熱構造物の他の一例を示す断面模式図である。
【図5】本発明のパック化粧料用キットにおける発熱構造物のさらに他の一例を示す断面模式図である。
【図6】本発明のパック化粧料用キットにおけるゲルの形態の一例を示す断面模式図である。
【図7】本発明のパック化粧料用キットにおいて、ゲルを収納してなるチューブを示す模式図である。
【図8】本発明のパック化粧料用キットにおいて、ゲルを収納してなる耐水性袋体を示す模式図である。
【図9】本発明のシート状パック化粧料であって、袋状部分を4個所有するものの一例を示す平面模式図である。
【符号の説明】
【0175】
1 通気性面
2 通気性ポリマーシート
3 接着剤
4 不織布
6 発熱剤組成物
8 非通気性面
9 非通気性ポリマーシート,
10,20 袋状部分
14 ゲル用基材層
18 ゲル層又はゲル
31,33 保護シート
60,70,80 発熱構造物
100,200,300 シート状パック化粧料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性面と非通気性面とを有する袋状部分と、当該非通気性面の外表面上に形成されたゲル用基材層及び当該ゲル用基材層上に形成されたゲル層とを備え、前記袋状部分内には発熱剤組成物が封入されてなるシート状パック化粧料であって、通気性面の透湿度は、リッシー法(40℃、90%RH)で測定して300〜2,300g/m・24時間であり、且つ、JIS S 4100に基づく温度測定法で測定して、ゲル層の温度が10分以内に38℃以上となり且つその後38〜45℃の温度が20分間以上持続されることを特徴とするシート状パック化粧料。
【請求項2】
ゲル用基材層が、不織布、織布、紙又は編物で構成されている、請求項1に記載のシート状パック化粧料。
【請求項3】
通気性面が外側の保湿材層と内側の通気性ポリマーシート層とが部分接着されてなる複合体からなり、且つ、非通気性面が非通気性ポリマーシートからなる、請求項1又は2に記載のシート状パック化粧料。
【請求項4】
発熱剤組成物が封入されてなる袋状部分が二つ以上存在する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート状パック化粧料。
【請求項5】
発熱剤組成物が、その全重量を基準として、金属粉を35.0〜55.0重量%、反応助剤を1.0〜10.0重量%、炭素粉を1.0〜10.0重量%、水を20.0〜40.0重量%含有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート状パック化粧料。
【請求項6】
ゲル層が、その全重量を基準として、水溶性高分子化合物を5〜15重量%、架橋剤を0.05〜1.00重量%、多価アルコールを10〜30重量%、水を40〜80重量%含有するゲル組成物から調製されたものである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート状パック化粧料。
【請求項7】
ゲル組成物が、さらに、その全重量を基準として0.01〜10.00重量%の皮膚を健やかにする又は保つのに有効な成分を含有する、請求項6に記載のシート状パック化粧料。
【請求項8】
皮膚を健やかにする又は保つのに有効な成分が、プラセンタエキス、コラーゲン、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、アミノ酸類、ビタミン類、ステアリン酸、オリブ油、カロット油、精油類、植物エキス類、海草エキス類及び果実エキス類からなる群から選択される一種以上である、請求項7に記載のシート状パック化粧料。
【請求項9】
通気性面と非通気性面とを有する袋状部分と、当該非通気性面の外表面上に形成されたゲル用基材層とを備え、当該袋状部分内には発熱剤組成物が封入されてなる発熱構造物と、当該発熱構造物とは別体のゲルとを含むパック化粧料用キットであって、発熱構造物の通気性面の透湿度は、リッシー法(40℃、90%RH)で測定して300〜2,300g/m・24時間であり、且つ、前記ゲル用基材層の外表面上に前記ゲルを用いて層を形成し当該ゲルの層の温度をJIS S 4100に基づく温度測定法で測定すると、10分以内に38℃以上となり且つその後38〜45℃の温度が20分間以上持続されることを特徴とするパック化粧料用キット。
【請求項10】
発熱構造物が非通気性袋体Aに内包されており、且つ、ゲルは、シート形状を有して耐水性袋体Bに内包されている、請求項9に記載のパック化粧料用キット。
【請求項11】
ゲルが、その全重量を基準として、水溶性高分子化合物を5〜15重量%、架橋剤を0.05〜1.00重量%、多価アルコールを10〜30重量%、水を40〜80重量%含有するゲル組成物から調製されたものである、請求項10に記載のパック化粧料用キット。
【請求項12】
通気性面と非通気性面とを有する袋状部分を備え、当該袋状部分内には発熱剤組成物が封入されてなる発熱構造物と、当該発熱構造物とは別体のゲルとを含むパック化粧料用キットであって、発熱構造物の通気性面の透湿度は、リッシー法(40℃、90%RH)で測定して300〜2,300g/m・24時間であり、且つ、前記非通気性面の外表面上に前記ゲルを用いて層を形成し当該ゲルの層の温度をJIS S 4100に基づく温度測定法で測定すると、10分以内に38℃以上となり且つその後38〜45℃の温度が20分間以上持続されることを特徴とするパック化粧料用キット。
【請求項13】
発熱構造物が非通気性袋体Aに内包されており、且つ、ゲルは、チューブC又は耐水性袋体Dに内包されている、請求項9又は12に記載のパック化粧料用キット。
【請求項14】
ゲルが、その全重量を基準として、水溶性高分子化合物を5〜15重量%、多価アルコールを10〜30重量%、水を40〜80重量%含有するゲル組成物から調製されたものである、請求項13に記載のパック化粧料用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−306828(P2006−306828A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204234(P2005−204234)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(397007011)株式会社オーシンエムエルピー (12)
【Fターム(参考)】