説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】構造の簡略化および小型化を図りつつ複数の接着シートを1つの被着体に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】シート搬送手段4におけるサクションベルト45の速度と、押圧手段5における押圧ベルト54の回転速度と、押圧ベルト54の回転方向との少なくとも1つを制御してワークWの回転速度を調節するとともに、繰出手段3による接着シートSの繰り出しタイミングを制御してシート搬送手段4に受け渡すことで、1つのワークWに対して複数の接着シートSを所定の貼付間隔で貼付することができる。従って、接着シートSの貼付枚数ごとの繰出手段3を準備しなくても複数の接着シートSの貼付に容易に対応することができ、シート貼付装置1全体の構造を簡略化かつ小型化して装置コストや設置コストの低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビン等の被着体の外周面にラベルを貼付する自動ラベル貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このラベル貼付装置は、被着体を搬送する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤの両側に設けられた一対のラベル供給装置と、これらのラベル供給装置から供給されたラベルを支持して被着体に貼付する一対のラベル支持装置とを有して構成されている。一対のラベル支持装置のうち一方は、一方のラベル供給装置から供給されたラベルを吸着保持する吸引装置で構成され、他方のラベル支持装置は、他方のラベル供給装置から供給されたラベルを吸引する吸引装置と、吸引したラベルを保持しつつ搬送コンベヤに沿って回転する可撓性ベルトとを有して構成されている。そして、他方のラベル支持装置の可撓性ベルトによって被着体を回転させつつ搬送コンベヤによって被着体を搬送することで、被着体の表面における対向位置に一方および他方の2枚のラベルが同時に貼付されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭61−12815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のラベル貼付装置のように、2枚のラベルを1つの被着体に貼付する場合、ラベル供給装置およびラベル支持装置をそれぞれ一対ずつ準備すると、貼付装置が大型化かつ複雑化して装置コストや設置コストのみならず、メンテナンスの手間やコストも増大してしまうという不都合が生じる。さらに、従来のラベル貼付装置では、1つの被着体に2枚のラベルを貼付することはできるものの、3枚以上のラベルを貼付するためには、ラベル供給装置やラベル支持装置などを追加で設置する必要があり、ラベル貼付装置全体がさらに大型化してしまうことから、3枚以上のラベルを貼付するための改良が困難であるという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、構造の簡略化および小型化を図りつつ複数の接着シートを1つの被着体に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付装置であって、前記接着シートを繰り出す単数または複数の繰出手段と、繰り出された接着シートを基材シートの他方の面側から支持して搬送するとともに、前記被着体の外周面に当接して当該被着体を回転させるシート搬送手段と、前記シート搬送手段に対向配置されて当該シート搬送手段との間に前記被着体を挟むとともに、前記接着シートに当該被着体を押圧して当該接着シートを貼付する押圧手段と、前記シート搬送手段による前記接着シートの搬送速度と前記押圧手段の回転速度と前記押圧手段の回転方向との少なくとも1つを制御する制御手段とを備え、前記制御手段によって前記被着体の回転を調節することで当該1つの被着体に対して複数の前記接着シートを所定の貼付位置に貼付する、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記接着シートの搬送方向長さを前記制御手段に入力するシート長入力手段と、前記被着体の外周長さを前記制御手段に入力する外周長入力手段とを備えることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置では、前記接着シートの搬送方向長さを検出して前記シート長入力手段に出力するシート長検出手段と、前記被着体の外周長さを検出して前記外周長入力手段に出力する外周長検出手段とを備えることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記繰出手段は、単数で構成されるとともに、前記シート搬送手段における前記接着シートの支持面に平行で、かつ当該繰出手段における前記接着シートの繰り出し方向に直交する方向に移動可能に支持されていてもよい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記繰出手段は、複数で構成されるとともに、前記シート搬送手段における前記接着シートの支持面に平行で、かつ当該繰出手段における前記接着シートの繰り出し方向に直交する方向に並設されていてもよい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付方法であって、前記接着シートを繰り出し、繰り出された接着シートを基材シートの他方の面側からシート搬送手段で支持して搬送するとともに、当該シート搬送手段を前記被着体の外周面に当接させて当該被着体を回転させ、前記シート搬送手段に対向配置された押圧手段で当該シート搬送手段との間に前記被着体を挟んで押圧するとともに、前記シート搬送手段による前記接着シートの搬送速度と、前記押圧手段の回転速度と、前記押圧手段の回転方向との少なくとも1つを制御し、前記被着体の回転を調節することで当該1つの被着体に対して複数の前記接着シートを所定の貼付位置に貼付することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、シート搬送手段と押圧手段とで被着体を挟んで回転させつつ、当該被着体に接着シートを貼付する際に、シート搬送手段による接着シートの搬送速度と、押圧手段の回転速度と、押圧手段の回転方向との少なくとも1つを制御して被着体の回転を調節することで、当該1つの被着体に対して複数の接着シートを所定の貼付位置に貼付することができる。従って、例えば、1つの被着体の外周面の全周に亘って複数の接着シートを貼付する場合には、接着シートの搬送速度のみ、または、押圧手段の回転速度のみ、または、接着シートの搬送速度と押圧手段の回転速度との両方を制御してそれらの速度差を大きくすればよい。また、1つの被着体の外周面の一部分に複数の接着シートを貼付する場合には、接着シートの搬送速度のみ、または、押圧手段の回転速度のみ、または、接着シートの搬送速度と押圧手段の回転速度との両方を制御してそれらの速度差を小さくすればよい。さらに、押圧手段の回転方向を制御して接着シートの搬送方向と同速で反対方向にした場合、接着シートの重なりや、その重なり貼付による外径の増加や、接着シートの供給量等を無視した場合、無限の接着シートを被着体に貼付することができる。このようにシート搬送手段による接着シートの搬送速度と、押圧部材の回転速度と、前記押圧手段の回転方向とを適宜に制御することで、被着体への接着シートの貼付枚数や貼付間隔が任意に変更でき、貼付枚数ごとの供給装置や支持装置を準備しなくても複数の接着シートの貼付に容易に対応することができる。従って、シート貼付装置全体の構造を簡略化かつ小型化して装置コストや設置コストの低減を図ることができる。
【0010】
また、シート貼付装置がシート長入力手段と外周長入力手段とを備えていれば、入力された接着シートの搬送方向長さや被着体の外周長さに応じて、制御手段はシート搬送手段による接着シートの搬送速度や押圧手段の回転速度、押圧手段の回転方向を適宜に制御して最適な貼付間隔で接着シートを貼付することができる。さらに、シート長検出手段と外周長検出手段とを備えていれば、接着シートや被着体の長さ(搬送方向長さ、外周長さ)が変更された場合にも、その長さを検出してシート長入力手段および外周長入力手段に出力することで、長さの変更に即座に対応して最適な貼付間隔で接着シートを貼付することができる。
また、単数の繰出手段を移動可能に設けるか、または複数の繰出手段を並設することで、複数の接着シートごとに貼付位置を適宜に変更して被着体に貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシート貼付装置の平面図。
【図2】図1のシート貼付装置のA矢視部分断面図。
【図3】図1のシート貼付装置のB矢視部分断面図。
【図4】図1のシート貼付装置の動作説明図。
【図5】図1のシート貼付装置を用いた接着シートの貼付状態を説明する図。
【図6】本発明の第2実施形態に係るシート貼付装置の部分側面図。
【図7】図6のシート貼付装置を用いた接着シートの貼付状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0013】
〔第1実施形態〕
本実施形態のシート貼付装置1は、被着体としてのワークWの外周面W1に接着シートSを貼付するものである。ここで、ワークWは、ビン、缶、ペットボトルなどの容器のように円筒状の胴を有したものが例示できる。また、接着シートSは、基材シートの一方の面に接着剤層が積層されるとともに、所定サイズの外形に予め切断されており、剥離シートRLに仮着された原反Rとして予め準備されている。
【0014】
図1〜図3において、シート貼付装置1は、接着シートSを繰り出す繰出手段3と、繰り出された接着シートSを基材シートの他方の面側から支持して搬送するシート搬送手段4と、シート搬送手段4に対向して当該シート搬送手段4との間にワークWを挟みこんで押圧する押圧手段5と、繰出手段3を図1中紙面直交方向に移動自在に支持する変位手段6とを備えて構成され、ワークWを搬送する搬送手段としてのベルトコンベア2を囲むように配置されるとともに、繰出手段3に対向する位置には、接着シートSの搬送方向長さDaを検出するシート長検出手段7が設けられている。さらに、シート貼付装置1は、コンピュータやシーケンサ等からなる制御装置8によって各部の動作が制御されるようになっている。
【0015】
ベルトコンベア2は、図1、2中左右に延びて設けられるとともに、駆動プーリ22によって回転駆動される無端ベルト21を有して構成され、ワークWを前工程(図1中右側)からシート貼付装置1側に搬送するとともに、接着シートSを貼付したワークWを後工程(図1中左側)に搬送するようになっている。
【0016】
繰出手段3は、変位手段6に支持されるフレーム31と、このフレーム31からシート搬送手段4側に延びるピールプレート32とを有し、フレーム31には、原反Rをロール状に巻回して支持する支持ローラ33と、剥離シートRLおよび接着シートSを案内する2個のガイドローラ34,35と、モータ36Aによって駆動する駆動ローラ36と、駆動ローラ36との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ37と、モータ38Aの駆動によって剥離シートRLを回収する回収ローラ38とが設けられている。ピールプレート32は、ガイドローラ35に掛け回された剥離シートRLを駆動ローラ36に向かって折り返すことで、接着シートSを剥離シートRLから剥離してシート搬送手段4に向かって繰り出すようになっている。
【0017】
シート搬送手段4は、上下のフレーム41と、これらのフレーム41間に支持される3本のプーリ42,43,44と、これらのプーリ42,43,44に巻回された無端のサクションベルト45と、サクションベルト45の内側にてプーリ42,43間に位置する吸引チャンバ46と、上側のフレーム41に固定されてプーリ44を回転駆動する駆動モータ47とを有して構成されている。サクションベルト45は、多孔性かつ弾性を有した帯状部材で構成されるとともに、駆動モータ47に駆動されたプーリ44の回転によって図1中時計回りに回転駆動される。また、吸引チャンバ46がサクションベルト45を介して空気を吸引することで、吸引チャンバ46と反対側のサクションベルト45表面に吸引力が生じ、接着シートSを吸引支持する支持面45Aが形成されるようになっている。これにより、繰出手段3から繰り出された接着シートSが支持面45Aに支持され、サクションベルト45の回転に伴ってプーリ42側からプーリ43側に向かって搬送されるようになっている。
【0018】
押圧手段5は、フレーム51と、このフレーム51に支持される2本のプーリ52,53と、これらのプーリ52,53に巻回された無端の押圧ベルト(押圧部材)54と、フレーム51に固定されてプーリ53を回転駆動する駆動モータ55と、フレーム51が固定されたスライダ56を図3中左右方向に移動させる位置制御可能な直動モータ57とを備えて構成されている。なお、図3中二点鎖線で示される部分は、図解し易くするために上方向にずらして描かれているが、実際には上下方向にずれることはない。押圧ベルト54は、弾性を有した帯状部材で構成され、駆動モータ55に駆動されたプーリ53の回転によって図1中反時計回りまたは時計回りに回転駆動可能に設けられている。また、プーリ52,53間の押圧ベルト54は、シート搬送手段4におけるプーリ43,44間のサクションベルト45に対向して平行に配置されるとともに、サクションベルト45との間に挟み込んだワークWをサクションベルト45に向かって押圧するようになっている。
【0019】
変位手段6は、フレーム31が固定されたスライダ61を図1中紙面直交方向に移動可能な直動モータ62を備えて構成されている。これにより、繰出手段3がシート搬送手段4における接着シートSの支持面に平行で、かつ当該繰出手段3における接着シートSの繰り出し方向に直交する方向に移動可能に設けられている。
【0020】
シート長検出手段7は、繰出手段3のピールプレート32に沿って案内されて繰り出される途中の接着シートSを撮像するCCDカメラ71を有して構成され、このCCDカメラ71で撮像した撮像画像データを制御装置8に出力するようになっている。
制御装置8は、CPUなどの演算手段やメモリなどの記憶手段を内蔵した制御手段81と、CCDカメラ71で撮像した撮像画像データを受信して制御手段81に入力するシート長入力手段82と、押圧手段5の直動モータ57からの位置情報データを受信して制御手段81に入力する外周長入力手段83とを備えて構成されている。そして、制御手段81は、シート長入力手段82から入力された接着シートSの撮像画像データに対して画像処理を実施することで、接着シートSの搬送方向長さDaを算出する。さらに、制御手段81は、オペレータがワークWの直径Dに合わせて図示しない押し釦等を介して直動モータ57を進退させたとき、直動モータ57が発信するパルス信号を外周長入力手段83で直径長さに換算し、そのデータに基づいてワークWの外周長φ(πD)を算出する。
なお、接着シートSの搬送方向長さDaやワークWの外周長φは、適宜な入力手段を介してオペレータが直接数値を入力してもよい。
【0021】
また、制御手段81は、算出した(または直接入力された)接着シートSの搬送方向長さDaおよびワークWの外周長φに基づき、シート搬送手段4の駆動モータ47の回転速度を決定してサクションベルト45による接着シートSの搬送速度(以下単に「搬送速度V1」という場合がある)と、押圧手段5の駆動モータ55の回転速度を決定して押圧ベルト54の回転速度(以下単に「回転速度V2」という場合がある)と、押圧手段5の駆動モータ55の回転方向を決定して押圧ベルト54の回転方向とを設定し、設定した指令データを各駆動モータ47,55に出力する。また、制御手段81は、算出した(または直接入力された)接着シートSの搬送方向長さDaに基づき、変位手段6の直動モータ62の駆動タイミングおよび駆動量を設定し、設定した指令データを直動モータ62に出力する。
【0022】
以上のシート搬送手段4および押圧手段5において、サクションベルト45および押圧ベルト54は、互いに平行に設けられてワークWを挟む各々の対向部分に速度差や移動方向が設定可能とされている。具体的には、図4に示すように、サクションベルト45における対向部分は、図中左向きのワークWの搬送方向に向かって搬送速度V1で駆動されている。これに対して、押圧ベルト54は、図4(A)に示すように停止する(回転速度V2=0)か、図4(B)に示すように、押圧ベルト54の対向部分がサクションベルト45と同一方向に搬送速度V1以下の回転速度V2で移動するか(搬送速度V1≧回転速度V2)、図4(C)に示すように、サクションベルト45と反対方向に搬送速度V1以下の回転速度V2で移動するか(搬送速度V1≧−回転速度V2)、のいずれかの状態で駆動可能となっている。このように搬送速度V1と回転速度V2との速度差(ΔV)により、ワークWは反時計回りに回転して接着シートSがその外周面W1に貼付されつつ、図中左方向に向かって移動することとなる。
図4(A)に示すように、回転速度V2=0の場合、ワークWの周長がプーリ42,43およびプーリ52,53の中心間距離Lと等しく、ワークを1周させて接着シートSを複数貼付する場合に適応可能である。
図4(B)に示すように、搬送速度V1≧回転速度V2の場合、ワークWの周長が中心間距離L以下の場合や、ワークWを1回転させなくても接着シートSが複数貼付可能な場合に適応可能である。
図4(C)に示すように、搬送速度V1≧−回転速度V2の場合、ワークWの周長が中心間距離L以上の場合や、ワークWを1回転以上させて接着シートSを複数貼付する場合に適応可能である。
【0023】
以上のシート貼付装置1において、ワークWの外周面W1に接着シートSを貼付する手順としては、先ず、制御手段81がCCDカメラ71で撮像した撮像画像データから接着シートSの搬送方向長さDaを算出し、直動モータ57が発信するパルス信号からワークWの外周長φを算出する。また、ワークWの外周長φに応じて制御手段81で設定した回転速度で駆動モータ47,55を回転させ、サクションベルト45を搬送速度V1で駆動し、押圧ベルト54を回転速度V2で駆動する。また、ベルトコンベア2は、図示しないワーク供給手段などによって所定間隔で送り出されたワークWを所定の搬送速度で搬送する。
そして、ベルトコンベア2によってワークWが搬送されて来ると、図示しないセンサによってワークWが検出され、繰出手段3が制御手段81で設定した所定の繰り出しタイミングで駆動ローラ36およびモータ38Aを駆動して1枚目の接着シートSをシート搬送手段4に向かって繰り出し、所定の貼付間隔を隔てて2枚目以降の接着シートSもシート搬送手段4に受け渡す。この際、繰出手段3は、搬送速度V1で接着シートSを繰り出す。さらに、変位手段6によって、図2に示すように、直動モータ62を駆動して繰出手段3を上下に移動させ、予め設定した高さで接着シートSをシート搬送手段4に受け渡すようにしてもよい。
【0024】
シート搬送手段4は、繰出手段3から繰り出された2枚の接着シートSをサクションベルト45の裏側から吸引チャンバ46で吸引し、支持面45Aにこれら接着シートSを支持するとともに、支持したサクションベルト45の回転によってこれら接着シートSを搬送する。ワークWは、サクションベルト45によって搬送される1枚目の接着シートSよりも若干早くサクションベルト45と押圧ベルト54の間に挟み込まれており、そこに1枚目の接着シートSが搬送されて来ると、ワークWの外周面W1に1枚目の接着シートSの先端部が貼付される。これに続いて、サクションベルト45と押圧ベルト54との速度差(ΔV)によってワークWが回転され、回転するワークWの外周面W1に1枚目の接着シートS全体を順次貼付する。1枚目の接着シートSの貼付後もシート搬送手段4および押圧手段5は、ワークWの回転、搬送を継続し、ワークWが所定角度だけ回転したタイミングで、サクションベルト45で支持した2枚目以降の接着シートSも外周面W1に貼付する。全ての接着シートSが貼付されたワークWは、サクションベルト45と押圧ベルト54の間を抜け出し、ベルトコンベア2によって後工程に搬送されるようになっている。
【0025】
ここで、複数の接着シートSを直径Dの円柱状断面を有した1つのワークWに貼付する場合の接着シートSの搬送方向長さDaと貼付間隔の設定について、図5に基づいて説明する。先ず、図5(A)に示すように、同一の搬送方向長さDaを有した2枚の接着シートSを等間隔(貼付間隔Db)でワークWに貼付する場合、そのような貼付パターンで貼付するという命令を制御手段81に入力することで、制御手段81は、貼付間隔Dbを次式(1)に基づいて算出する。
Db=(πD−2Da)/2 …(1)
そして、制御手段81は、1枚目の接着シートSをシートサクションベルト45に受け渡した後、貼付間隔Dbを隔てて2枚目の接着シートSをサクションベルト45に受け渡たすように繰出手段3のモータ36A,38Aを駆動制御する。このような接着シートSの貼付パターンの場合、ワークWは、速度差(ΔV)によって1回転未満でサクションベルト45と押圧ベルト54の間を抜け出し、ベルトコンベア2によって後工程に搬送されるように、搬送速度V1と回転速度V2との少なくとも一方を制御すればよい。
【0026】
また、図5(B)に示すように、同一の搬送方向長さDaを有した3枚の接着シートSを等間隔(貼付間隔Dc)でワークWに貼付する場合は、次式(2)に基づいて算出する。
Dc=(πD−3Da)/3 …(2)
この場合、図5(A)に示す接着シートSの貼付パターンに比べて速度差(ΔV)を大きくしなければ、プーリ52,53の中心間距離L内でワークWが回転しきれないので、搬送速度V1と回転速度V2との少なくとも一方を制御して速度差(ΔV)を大きくする。ちなみに、4枚以上の接着シートSを等間隔(貼付間隔Dx)でワークWに貼付する場合も、次式(3)に基づいて算出すればよい。
Dx=(πD−nDa)/n …(3) (nは、接着シートSの貼付枚数)
【0027】
さらに、図5(C)に示すように、同一の搬送方向長さDaを有した3枚の接着シートSを不等間隔(貼付間隔Dd,De)でワークWに貼付する場合、そのような貼付パターンで貼付するという命令と一方の貼付間隔Ddとを制御手段81に入力することで、制御手段81は、貼付間隔Deを次式(4)に基づいて算出する。
De=(πD−3Da−Dd)/2 …(4)
この場合の、速度差(ΔV)は、図5(A)の場合と図5(B)の場合の中間でよい。
また、ワークWのW1に対して複数段に亘って接着シートSを貼付する場合、速度差(ΔV)によってワークWを1回転以上回転させる必要がある。このような場合、搬送速度V1と回転速度V2とを制御しても、プーリ52,53の中心間距離L内でワークW回転しきれない場合がある。このような場合は、押圧ベルト54の回転方向をサクションベルト45の回転方向と反対になるように制御すればよい。このとき、押圧ベルト54の回転速度V2をサクションベルト45の搬送速度V1と同速(V1=−V2)とした場合、接着シートSの重なりや、その重なり貼付による外径の増加や、接着シートSの供給量等を無視した場合、無限の接着シートSをワークWに貼付することができる。このようにして所定枚数の接着シートSが貼付されたワークWは、例えば、押圧ベルト54の回転方向をサクションベルト45の回転方向と同じになるように制御し、搬送速度V1と回転速度V2とを同速(V1=V2)としてワークWを後工程に搬送するようにすればよい。
【0028】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、シート搬送手段4におけるサクションベルト45の速度V1と、押圧手段5における押圧ベルト54の速度V2と、押圧ベルト54の回転方向との少なくとも1つを制御して、1つのワークWに対して複数の接着シートSを所定の貼付間隔で貼付することができる。従って、接着シートSの貼付枚数ごとの繰出手段3を準備しなくても複数の接着シートSの貼付に容易に対応することができ、シート貼付装置1全体の構造を簡略化かつ小型化して装置コストや設置コストの低減を図ることができる。
【0029】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図6および図7に基づいて説明する。
本実施形態のシート貼付装置1は、繰出手段3が複数で構成される点で前記第1実施形態と相違する。すなわち、本実施形態の繰出手段3は、複数(2つ)で構成されるとともに、シート搬送手段4における接着シートSの支持面45Aに平行で、かつ当該繰出手段3における接着シートSの繰り出し方向に直交する方向に並設されている。従って、繰出手段3から繰り出された接着シートSは、サクションベルト45の異なる高さ位置に支持されて搬送され、ワークWの所定高さ位置に貼付されるようになっている。また、各繰出手段3では、図7にも示すように、それぞれ搬送方向長さDa,Dfが異なる接着シートSを繰り出すように設定されており、これらの接着シートSを貼付間隔Db,Dc,Dd,Deでシート搬送手段4に受け渡すように制御装置8が制御する。
【0030】
具体的には、図7(A)に示すように、搬送方向長さDaを有した1枚の接着シートSと搬送方向長さDfを有した1枚の接着シートSとを等間隔(貼付間隔Db)でワークWに貼付する場合、そのような貼付パターンで貼付するという命令を制御手段81に入力することで、制御手段81は、貼付間隔Dbを次式(5)に基づいて算出する。
Db=(πD−Da−Df)/2 …(5)
そして、制御手段81は、算出した貼付間隔Dbに基づいて設定した繰り出しタイミングで各繰出手段3のモータ36A,38Aを駆動制御し、貼付間隔Dbで接着シートSがシート搬送手段4に受け渡されるようにする。
【0031】
次に、図7(B)に示すように、搬送方向長さDaを有した1枚の接着シートSと搬送方向長さDfを有した2枚の接着シートSとを等間隔(貼付間隔Dc)でワークWに貼付する場合、そのような貼付パターンで貼付するという命令を制御手段81に入力することで、制御手段81は、貼付間隔Dcを次式(6)に基づいて算出する。
Dc=(πD−Da−2Df)/3 …(6)
そして、制御手段81は、算出した貼付間隔Dcに基づいて設定した繰り出しタイミングで各繰出手段3のモータ36A,38Aを駆動制御し、貼付間隔Dcで接着シートSがシート搬送手段4に受け渡されるようにする。
【0032】
次に、図7(C)に示すように、搬送方向長さDaを有した1枚の接着シートSと搬送方向長さDfを有した2枚の接着シートSとを不等間隔(貼付間隔Dd,De)でワークWに貼付する場合、そのような貼付パターンで貼付するという命令を制御手段81に入力するとともに、一方の貼付間隔Ddを入力することで、制御手段81は、貼付間隔Deを次式(7)に基づいて算出する。
De=(πD−Da−2Df−Dd)/2 …(7)
そして、制御手段81は、入力された貼付間隔Ddと算出した貼付間隔Deとに基づいて設定した繰り出しタイミングで各繰出手段3のモータ36A,38Aを駆動制御し、貼付間隔Dd,Deで接着シートSがシート搬送手段4に受け渡されるようにする。
【0033】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0034】
例えば、前記実施形態では、被着体であるワークWとして、円筒状の胴を有したものを例示したが、被着体としては、中空または中実の略同一断面が軸方向に連続するものであって、軸方向の細長比が大きい柱状のものや、細長比が小さい板状のもの、細長比が略1のものなど、所定の形状を保持可能な適宜な物体であればよい。また、被着体の外周面を形成する断面形状としては、円形や楕円形、多角形の他に、直線と曲線とを組み合わせたものや断面多角形の柱(三角柱や四角柱、五角柱…)状のものでもよく、つまり径方向外側に凸となる断面形状であって、極端に鋭角となるような角がなく、接着シートSの略全面を連続して貼付可能な断面形状であればよい。すなわち、極端な鋭角を有して外周面が形成されていると、被着体を回転させた場合に、鋭角部分で滑ったり跳ねたりするために接着シートSが適切に貼付されない貼付不良や、被着体が円滑に搬送されないことで接着シートSの貼付位置ずれを引き起こすことがあるため、このような不具合を起こさない程度に均整のとれた外周面を有していればよい。
【0035】
また、前記実施形態では、1つのワークWに対して2枚または3枚の接着シートSを貼付したが、これに限らず4枚以上の接着シートSを貼付してもよい。
また、前記実施形態で説明した接着シートSの搬送方向長さDa,Dfと貼付間隔Db,Dc,Dd,Deは、例示に過ぎず、接着シートSの貼付パターンは前記実施形態のものに限られない。例えば、異なる高さ位置に貼付される接着シートS同士が周方向に重なるように、つまり貼付間隔がマイナスとなるように複数の接着シートSを貼付することも可能である。
また、前記実施形態では、繰出手段3として剥離シートRLに複数の接着シートSが仮着された原反Rから当該接着シートSを供給するものを例示したが、これに限らず、枚葉の接着シートSを供給するものであってもよい。また、1つの原反Rの剥離シートRLに複数種類の接着シートSが適宜な順序で並んで仮着されていてもよい。
【0036】
また、前記第1実施形態では、繰出手段3を変位手段6で移動させて接着シートSの貼付位置を変更するように構成され、前記第2実施形態では、並設された2つの繰出手段3から高さ方向位置が異なる接着シートSを繰り出すように構成されていたが、これらの構成に限られない。すなわち、シート搬送手段4を移動可能に支持して接着シートSの貼付位置を変更してもよく、またシート搬送手段4および押圧手段5によって回転させている途中の被着体を移動させて貼付位置を変更してもよい。また、並設された複数の繰出手段3を1つ変位手段で移動させるか、複数の繰出手段3の各々を別の変位手段で移動させるように構成してもよい。
さらに、ワークWを1周させて接着シートを貼付する以外に、1周以上回転させることによって、ワークWの図2中上下方向に複数枚の接着シートSを貼付するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 シート貼付装置
3 繰出手段
4 シート搬送手段
5 押圧手段
7 シート長検出手段
45A 支持面
54 押圧ベルト(押圧部材)
57 直動モータ(外周長検出手段)
81 制御手段
82 シート長入力手段
83 外周長入力手段
Da,Df 搬送方向長さ
Db,Dc,Dd,De 貼付間隔
S 接着シート
W ワーク(被着体)
W1 外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付装置であって、
前記接着シートを繰り出す単数または複数の繰出手段と、
繰り出された接着シートを基材シートの他方の面側から支持して搬送するとともに、前記被着体の外周面に当接して当該被着体を回転させるシート搬送手段と、
前記シート搬送手段に対向配置されて当該シート搬送手段との間に前記被着体を挟むとともに、前記接着シートに当該被着体を押圧して当該接着シートを貼付する押圧手段と、
前記シート搬送手段による前記接着シートの搬送速度と前記押圧手段の回転速度と前記押圧手段の回転方向との少なくとも1つを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段によって前記被着体の回転を調節することで当該1つの被着体に対して複数の前記接着シートを所定の貼付位置に貼付することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記接着シートの搬送方向長さを前記制御手段に入力するシート長入力手段と、前記被着体の外周長さを前記制御手段に入力する外周長入力手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記接着シートの搬送方向長さを検出して前記シート長入力手段に出力するシート長検出手段と、前記被着体の外周長さを検出して前記外周長入力手段に出力する外周長検出手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記繰出手段は、単数で構成されるとともに、前記シート搬送手段における前記接着シートの支持面に平行で、かつ当該繰出手段における前記接着シートの繰り出し方向に直交する方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
前記繰出手段は、複数で構成されるとともに、前記シート搬送手段における前記接着シートの支持面に平行で、かつ当該繰出手段における前記接着シートの繰り出し方向に直交する方向に並設されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項6】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付方法であって、
前記接着シートを繰り出し、
繰り出された接着シートを基材シートの他方の面側からシート搬送手段で支持して搬送するとともに、当該シート搬送手段を前記被着体の外周面に当接させて当該被着体を回転させ、
前記シート搬送手段に対向配置された押圧手段で当該シート搬送手段との間に前記被着体を挟んで押圧するとともに、前記シート搬送手段による前記接着シートの搬送速度と、前記押圧手段の回転速度と、前記押圧手段の回転方向との少なくとも1つを制御し、前記被着体の回転を調節することで当該1つの被着体に対して複数の前記接着シートを所定の貼付位置に貼付することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−93583(P2011−93583A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250931(P2009−250931)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】