説明

シート部材の接合方法

【課題】接合部分に段差を生じさせることなく、2つのシート部材を接合しうるシート部材の接合方法を提供すること。
【解決手段】第一のシート部材と第二のシート部材の端面を、前記第一のシート部材と前記第二のシート部材を互いに重ね合わせた任意の位置で切断することによって形成し、前記第一のシート部材の端面と、前記第二のシート部材の端面とを突き合わせ、該突き合わせ部分を加熱媒体を介して加熱することにより前記端面同士を熱融着し、熱融着後に前記加熱媒体を第一及び第二のシート部材から剥離し、前記加熱媒体が、前記第一及び第二のシート部材よりも高融点の熱可塑性樹脂又は融点のない熱硬化性樹脂を備え、且つ、光吸収剤を含有するか又は光吸収剤が表面に塗布されてなる相間材であり、レーザー照射により該相間材を介して前記突き合せ部分を加熱するシート部材の接合方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート部材の接合方法に関し、より詳しくは、帯状のシート部材同士を接合するシート部材の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状のシート部材を連続的に加工機に供給して加工を施すような場合において、先行するシート部材に続けて新たなシート部材を加工機に供給するべく、先行するシート部材の末端部分に新たなシート部材の先端部分を接合することが行われている。
【0003】
従来、この種の接合方法としては、図5(a)に示すように、先行するシート部材101の後端部と新たなシート部材102の先端部とを突き合せた状態とし、この突き合わせられた箇所を覆うように両シート部材の上下両面から粘着テープ103,103を貼付することにより、両シート部材1,2を接合する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、斯かる方法によってシート部材1,2を接合した場合には、接合部分に粘着テープ103による段差が生じてしまい、例えば、後段の塗工工程で塗工された塗膜が、上記段差を原因となって液ダマリが発生したり、搬送ロールやニップロールと粘着テープ103のエッジとが接触してこれらのロールを汚染又は損傷させるという問題がある。また、乾燥工程などの熱により粘着テープ103の粘着剤が流動化し、接着強度が低下するという問題もある。
【0005】
また、シート部材1,2を接合する他の方法としては、図5(b)に示すように、先行するシート部材101の上から新たなシート部材102を重ね合わせ、この新たなシート部材102の先端部に予め配置しておいた粘着テープ103を介して両シート部材を接合した後、先行するシート部材101の後ろ側を切断するという方法も提案されている。
【0006】
しかしながら、該方法を採用した場合、接合部における段差はより一層大きくなる上、先行するシート部材101の後端にはテール104が形成されることとなり、該シート部材を搬送する際にテール104がばたつき、上述の如き段差による問題点に加えて、ゴミの発生等を誘発するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、接合部分に段差を生じさせることなく、2つのシート部材を接合しうるシート部材の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第一のシート部材と第二のシート部材とを接合するシート部材の接合方法であって、前記第一のシート部材と前記第二のシート部材の端面を、前記第一のシート部材と前記第二のシート部材を互いに重ね合わせた任意の位置で切断することによって形成し、前記第一のシート部材の端面と、前記第二のシート部材の端面とを突き合わせ、該突き合わせ部分を加熱媒体を介して加熱することにより前記端面同士を熱融着し、熱融着後に前記加熱媒体を第一及び第二のシート部材から剥離し、前記加熱媒体が、前記第一及び第二のシート部材よりも高融点の熱可塑性樹脂又は融点のない熱硬化性樹脂を備え、且つ、光吸収剤を含有するか又は光吸収剤が表面に塗布されてなる相間材であり、レーザー照射により該相間材を介して前記突き合せ部分を加熱することを特徴とするシート部材の接合方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシート部材の接合方法によれば、先行する第一のシート部材と追従する新たな第二のシート部材とが、互いの端面のみを介して接合された状態となるため、接合部分に段差のないものとなり、従来、接合部の段差によって生じていた後段の各工程における問題点が解消されるという効果がある。
また、粘着剤等を使用することなく接合されたものであるため、加熱されても接着力が低下しにくく、先行する第一のシート部材と追従する新たな第二のシート部材とが外れ難いという効果がある。
【0010】
さらに、前記加熱媒体が上述の如き構成の相間材であるため、該相間材が当接した領域のみを集中的に加熱することができ、しかも、前記第一シート部材と第二シート部材との境界部分に該相間材がより一層確実に密着するため、シート部材の接合部分が極めて平滑な状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の接合方法が適用される前の、先行する第一のシート部材1と追従する新たな第二のシート部材2との関係を示した斜視図。
【図2】参考実施形態に係るシート部材の接合方法を示した概略工程図。
【図3】第一実施形態に係るシート部材の接合方法を示した概略工程図。
【図4】一実施形態に係るシート接合体を示したものであり、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図5】従来技術によるシート部材の接合方法を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1〜図3は、本発明に係るシート部材の接合方法の実施形態を示したものである。
図1に示すように、本実施形態に係るシート部材の接合方法は、長尺帯状に形成された熱可塑性樹脂からなるシート部材1(以下、第一シート部材ともいう)を所定の加工手段(図示せず)へと送りながら、該第一シート部材1の末端が近づいた際に、該第一シート部材1に、同じ素材からなる新たなシート部材2(以下、第二シート部材ともいう)を接合し、上記加工手段による処理工程を、継続して行おうとする場合に適用されうるものである。
【0014】
第一シート部材1および第二シート部材2は、同種の熱可塑性樹脂から構成されたものであるのが一般的であるが、本発明は、同種のものである場合に限定されず、互いに熱融着可能な材質であれば、異なる種類のものであってもよく、例えば、相溶性のある異種の熱可塑性樹脂を使用することもできる。
【0015】
該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、ノルボルネン樹脂、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリアミドなどを挙げることができる。
【0016】
また、シート部材への加工処理は、いわゆるロールトゥーロール(Roll to Roll)で搬
送しながら実施されるため、シート部材の厚みは1μm以上2mm以下が好ましく、10μm以上200μm以下がより好ましい。
さらに、該シート部材は、単層であってもよく、複層であってもよい。複層のシート部材としては、例えば、基材層と、粘着剤付きの保護フィルム層とがラミネートされたものを挙げることができる。
尚、このような複層のシート部材を接合する場合、各層を一時的に剥離して各層毎に独立して接合してもよいし、複層のまま接合してもよい。基材層と保護フィルム層との相溶性が悪く、溶融させても混合層を形成しない場合には、複層のまま接合しても接合後に基材層と保護フィルム層とを剥離することが可能となる。
【0017】
図2は、本発明に係るシート部材の接合方法の参考実施形態を示した概略工程図である。該参考実施形態では、先ず、図2(a)に示すように、先行する第一シート部材1の末端部分と、新たな第二シート部材2の先端部分とを重ね合わせ、重ね合わされた領域の任意の位置を切断手段31により切断する。
【0018】
この切断により、図2(b)に示すように、第一シート部材1の後端と第二シート部材2の先端とに、同一形状の端面(第一シート部材1の後端面1aと第二シート部材2の先端面2a)が形成されることとなる。
切断線の形状については特に限定されるものではなく、例えば、直線状、波状、又は鋸刃状等とすることができる。シート同士の接合面積を増大させて接合強度を高め、且つ、後段の処理工程において接合面に作用する応力を分散させてシートが分断されることを防止するという観点から、波状や鋸刃状等とすることや、また、シート部材の幅方向に対して斜めに切断することが好ましい。
【0019】
次に、図2(c)に示すように、上記のようにして形成された第一シート部材1の後端面1aと第二シート部材2の先端面2aとを突き合わせ、突き合わせ部分に相間材3を載置し、その上からヒートプレート32を押し付けて基板33上で加熱加圧する。これにより、第一シート部材1の後端面1a近傍および第二シート部材2の先端面2a近傍は、相間材3を介して加熱され、溶融、相溶し、その後再凝固することによって熱融着する。そして、熱融着が完了した後、図2(d)に示すように、ヒートプレート32を引き上げるとともに相間材3を剥離することにより、シート部材1、2の接合が完了する。
【0020】
該ヒートプレート32としては、前記シート部材1、2の接合領域を溶融温度以上に加熱しうるものであれば特に限定されないが、帯状のシート部材を幅方向に亘って効率的に加熱加圧しうるという観点から、シート部材の全幅に亘って延びた矩形状の押圧面を備えたものを好適に使用しうる。
【0021】
さらに、シート部材を基板33上に固定する手段としては、例えば基板33の表面に負圧を生じさせてシート部材を吸着固定する手段など、樹脂フィルムを固定するための従来公知の方法を採用することができる。
【0022】
該相間材3としては、接合対象である前記シート部材よりも高融点の熱可塑性樹脂か、又は融点のない熱硬化性樹脂を使用する。前記シート部材よりも高融点の熱可塑性樹脂を使用する場合、前記シート部材を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも30℃以上融点の高いものが好適である。また、熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリイミドが好適である。
【0023】
さらに、該相間材3の厚みは、ヒートプレートからの熱をシート部材に伝熱しやすいという観点から、20〜500μmが好ましく、25〜150μmがより好ましい。
このような相間材3を介して加熱することにより、シート部材1、2がヒートプレート32と融着することを防止できる。
このような相間材3を介して加熱することにより、シート部材はヒートプレートに融着することなく、相間材とも容易に剥離することが可能となる。
【0024】
次に、本発明の第一の実施形態について、図3を参照しながら説明する。尚、該第一実施形態では、前記参考実施形態と同一部材には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0025】
該第一実施形態に斯かるシート部材の接合方法は、図3に示す如く、第一及び第二のシート部材1、2を切断してそれぞれの端面1a、1bを形成した後(図3(a)(b))、レーザー照射によって該端面1a、1bを熱融着して接合させるものである。
【0026】
具体的には、図3(c)に示すように、切断によって形成された第一シート部材1の後端面1aと第二シート部材2の先端面2aとを突き合わせ、該突き合わせ部分を、レーザー照射により発熱する相間材4,4で上下から挟み、さらに、固定手段である基板33とガラス板35との間に挟んで固定する。そして、ガラス板35の上からレーザー光Rを照射し、相間材4,4を発熱させる。これにより、第一シート部材1の後端面1a近傍および第二シート部材2の先端面2a近傍は、前記参考実施形態と同様に溶融および相溶し、その後再凝固することによって熱融着する。
熱融着が完了した後、図3(d)に示すように、ガラス板35を引き上げ、相間材4,4を剥離することにより、シート部材1、2の接合が完了する。
【0027】
該レーザー光Rとしては、相間材4,4を介してシート部材を熱融着させうるものであれば特に限定されず、例えば、半導体レーザー、Nd−YAGレーザー、ファイバーレーザーなどの種々の発振手段によって得られるものを採用することができ、その発振方法についても、連続的にレーザー光が照射される、いわゆる、CWレーザー(Continuous Wave Laser)や、フェムト秒レーザーなどのパルスレーザー等を採用することができる。なかでも、面内で均一なビーム強度が得られやすいという観点から、半導体レーザー、ファイバーレーザーを好適に使用しうる。
また、多くの樹脂材料に対して透過性に優れ、シート部材間の界面にレーザー光を到達させやすく、シート部材の表側に悪影響を及ぼすことなく界面での融着を容易に行いうるという観点から、該レーザー光の波長は近赤外線領域であることが好ましい。
【0028】
また、前記相間材4は、参考実施形態の相間材3と同様に、シート部材よりも高融点の熱可塑性樹脂か、又は融点のない熱硬化性樹脂を使用し、さらにレーザー光の吸収に優れた光吸収剤を備えたものである。該光吸収剤としては、例えば、ポルフィリン系化合物が用いられた顔料、染料、カーボンブラックなどが挙げられる。また、該光吸収剤は、相間材の表面に塗布して用いることが好ましく、光吸収剤の塗布された面をシート部材に当接するようにして使用することが好ましい。塗布方式としては、例えば、インクジェット、コーター、ディスペンサー、スプレー、印刷などの一般的な手法を用いることができる。
また、レーザー光を照射する場合には、光吸収剤を含む層が発熱することとなるので、相間材の厚みは特に限定されないが、ハンドリング性の観点から、10μm以上、500μm以下の厚みとすることが好ましい。
【0029】
レーザー光Rの照射態様については、特に限定されるものではなく、例えば、シート部材が突き合わされた領域の全幅に亘るようなラインビームを照射してもよく、またシート部材の幅方向において所定間隔をあけて配置された複数本のレーザー光を照射してもよい。また、レーザー光Rをシート部材の長手方向又は幅方向に走査させることにより、必要な領域の熱融着を行うようにしてもよい。
【0030】
図4は、シート接合体の一実施形態について、その接合部の構成を示した平面図(図4(a))及び断面図(図4(b))である。図4(b)に示したように、接合された第一及び第二のシート部材1,2は、接合部10において段差が生じておらず、シート部材の他の部分と同じ厚みとなっている。
従って、このようにして得られたシート接合体は、接合部において段差を有しないものであるため、搬送ローラやニップローラ等のローラ類の損傷や、塗工工程、延伸工程、乾燥工程等において種々の問題を回避することができ、また、テールのバタつきによって起こるような汚染を防止することができる。
さらに、該接合部10も、シート部材1,2の本体部分と同じ樹脂材料で形成されたものであるため、その後の各種処理工程においてシート部材の他の部分と同様の処理を行うことが可能となる。
【0031】
尚、本発明において、発明の効果が著しく損なわれない範囲において、従来公知の技術事項を適宜採用し得ることは当然である。
例えば、上記実施形態では、接合部10がシート部材1、2の幅方向に亘って連続して形成された例を示したが、本発明は、斯かる実施形態に限定されるものではなく、例えば、幅方向において所定間隔で接合部10を形成し、シート部材を接合してもよい。
【0032】
また、溶融、相溶した樹脂の再凝固を促進するべく、加熱後にシート部材を冷却する冷却工程を備えても良い。
【0033】
また、上記ヒートプレートを用いた参考実施形態では、ヒートプレート及び相間材をシート部材の上側にのみ配置した場合について説明したが、例えば、シート部材の上下に相間材やヒートプレートを配置し、上下両方から相間材を介してシート部材を加熱するようにしても良い。
【0034】
また、上記レーザー照射を用いた第一実施形態では、シート部材の上下に光吸収剤を含有した相間材を配置した場合について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、例えば、光吸収剤を含有した相間材をシート部材の上側にのみ配置し、下側には、レーザー光を吸収して発熱するステージを採用し、該ステージから直接シート部材を加熱するようにしてもよい。
【0035】
また、上記レーザー照射を用いた第一実施形態では、シート部材を固定する固定手段として、基板とガラス板とを用いた場合について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、例えば、該ガラス板に代えて、球状のガラスや円筒状のガラスを採用することができ、レーザー光の照射と合わせて転動させるようにしてもよい。
【実施例】
【0036】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
<参考例1>
TAC(トリアセチルセルロース)製シート部材A1(幅50mm、厚さ80μm)を2枚用い、該シート部材Aの端部を重ね合わせて固定し、カッターで切断した。切断により形成された端面同士を突き合わせ、突き合わせ部分にポリイミド製の相間材B1(東レ・デュポン社製、商品名「カプトンV」、厚さ25μm、50mm×5mm)を貼り付け、基板上に載置し、相間材の上からヒートプレートを押し当てることにより、280℃、5kgf/cm2の条件で10秒間加熱加圧を行った。
その結果、シート部材A1同士は熱融着されたが、相間材B1は該シート部材A1から容易に剥離することができ、段差を生じさせること無くシート部材A1同士が接合された。また、得られたシート接合体の引張強度を測定したところ、70N/25mmという高い強度であることが確認された。
【0038】
<参考例2>
実施例1と同素材で幅1400mmのシート部材A2と、参考例1と同素材で寸法が1400mm×20mmである相間材B2とを用いて参考例1と同様に接合試験を行った。
その結果、シート部材A2の全幅に亘って良好に接合されていることが確認された。該接合体を、500Nの張力をかけてロールからロールへと搬送したところ、該シート部材A2は破断することなく搬送することができた。また、段差がないことから、ニップロールにも何ら悪影響を及ぼさないことが確認された。
【0039】
<参考例3>
ポリエチレンテレフタレート(PET)製の幅1000mmであるシート部材A3と、参考例1と同素材で寸法が1000mm×20mmである相間材B3とを用いて参考例1と同様に接合試験を行った。
その結果、シート部材A3の全幅に亘って良好に接合されていることが確認された。該接合体を、200Nの張力をかけてロールからロールへと搬送したところ、該シート部材A3は破断することなく搬送することができた。また、段差がないことから、ニップロールにも何ら悪影響を及ぼさないことが確認された。
【0040】
<実施例>
TAC(トリアセチルセルロース)製シート部材A4(幅1000mm、厚さ80μm)を2枚用い、該シート部材A4の端部を重ね合わせて固定し、カッターで切断した。一方、相間材B4として、ポリイミド製フィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトンV」、厚さ125μm、1000mm×5mm)に光吸収剤であるクリアウェルド(ジェンテックス社製、商品名「LD120C」)をウエット状態で8μmの厚みとなるように塗布したものを用意した。そして、切断により形成された端面同士を突き合わせ、突き合わせ部分の上下に光吸収剤の塗布面がシート部材A4と当接するようにして該相間材B4を載置し、ガラス板で17kgf/cm2の圧力で加圧しながらレーザー(半導体レーザー、波長940nm、スポット径2mmφ、出力50W)を走査速度100mm/sで走査しながら照射した。
その結果、シート部材A4同士が溶融して熱融着されたことが確認された。そして、ガラス板による加圧をやめ、相間材B4をシート部材A4から剥離することにより、段差を生じさせること無くシート部材A4同士が接合されていることが確認された。また、得られたシート接合体の引張強度を測定したところ、100N/25mm巾という高強度で接続されていることが確認された。
また、接合した基材を張力300Nにてロールトゥロール搬送したところ、接合部は破断することなく搬送でき、また、ニップロールを通過しても該ロールに何ら悪影響を及ぼさないことが確認された。
【0041】
<比較例1>
参考例1と同様にしてシート部材Aの端面同士を突き合わせた後、表裏両面から粘着テープ(日東電工社製、商品名「ダンプロンテープ」)を貼り付け、シート部材Aを接合させた。
その結果、シート部材Aの接合性は良好であったが、接合部の段差によりニップロールに傷が生じ、また、該接合部に塗工液が溜まることが確認された。
【0042】
<比較例2>
シート部材Aの端部に他のシート部材Aの端部を重ね、シート部材の表面側にのみ粘着テープ(日東電工社製、商品名「ダンプロンテープ」)を貼り付けてシート部材Aを接合させた。
その結果、シート部材A同士の接合性は良好であったが、接合部の段差によりニップロールに傷が生じ、また、該接合部に塗工液が溜まることが確認された。さらに、粘着テープを貼り付けていない裏面側に形成されたテールが搬送中にバタつき、発塵したことが確認された。
【0043】
<比較例3>
シート部材Aの端部に他のシート部材Aの端部を重ね、重ね合わせた部分にレーザー光を照射してシート部材Aを接合した。
接合性は良好であったが、比較例2と同様に、段差及びテールによる問題が発生した。
【符号の説明】
【0044】
1・・・第一シート部材、1a・・・第一シート部材の後端面、2・・・第二シート部材、2a・・・第二シート部材の先端面、3・・・相間材、4・・・相間材、10・・・接合部、31・・・切断手段、32・・・ヒートプレート、33・・・基板、35・・・ガラス板、R:レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のシート部材と第二のシート部材とを接合するシート部材の接合方法であって、
前記第一のシート部材と前記第二のシート部材の端面を、前記第一のシート部材と前記第二のシート部材を互いに重ね合わせた任意の位置で切断することによって形成し、
前記第一のシート部材の端面と、前記第二のシート部材の端面とを突き合わせ、該突き合わせ部分を加熱媒体を介して加熱することにより前記端面同士を熱融着し、熱融着後に前記加熱媒体を第一及び第二のシート部材から剥離し、
前記加熱媒体が、前記第一及び第二のシート部材よりも高融点の熱可塑性樹脂又は融点のない熱硬化性樹脂を備え、且つ、光吸収剤を含有するか又は光吸収剤が表面に塗布されてなる相間材であり、レーザー照射により該相間材を介して前記突き合せ部分を加熱することを特徴とするシート部材の接合方法。
【請求項2】
前記シート部材が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のシート部材の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−86582(P2012−86582A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27795(P2012−27795)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【分割の表示】特願2008−330036(P2008−330036)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】