説明

シート部材搬送装置及び画像形成装置

【課題】異物等を巻き込んだときに、簡易な方法で搬送ロールを停止させて異物等の巻き込みを警告することができるシート部材搬送装置及び画像形成装置を得る。
【解決手段】排出ロール58でジャム(紙づまり)が発生すると、回転軸102Bに決められた値以上のトルクが発生する。これにより、トルクリミッタ112が作用してモータ110からの駆動力の伝達が解除され、回転軸102Bが停止し、さらに、クラッチ内輪122が停止し、遠心力を失ったクラッチシュー124は外側への付勢力が解除される。そして、クラッチ外輪128とクラッチシュー124との間に隙が生じ、クラッチ外輪128は待機位置へ移動する。待機位置へ移動したクラッチ外輪128の凸部130を検出部材132が検出し、表示部136に回転軸102Bが停止したことが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート部材搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の自動原稿給紙装置は、用紙を搬送するための搬送ロールと、この搬送ロールに対向する搬送従動ロールと、同軸上に検知ロール及びロータリーエンコーダを備えた原稿送り量検知手段を備えて構成されている。
【0003】
さらに、原稿送り量検知手段の検知ロールは、搬送ロール又は搬送従動ロールに対向し、かつ両者と非接触で、通過原稿には当接する位置に配置されている。
【0004】
このように、検知ロールを配置することで、ロールによる原稿の挟持状態に関係なく、原稿の不給紙及びジャムを検知できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−194834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、異物等を巻き込んだときに、簡易な方法で搬送ロールを停止させて異物等の巻き込みを警告することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るシート部材搬送装置は、駆動部材の駆動力が伝達されて回転駆動する駆動搬送部材と、前記駆動搬送部材と従動回転しながらシート部材を挟んで搬送する従動搬送部材と、前記駆動搬送部材の回転軸の一方に設けられ、前記回転軸に決められた値以上のトルクが発生すると前記駆動部材から前記回転軸に伝達される駆動力を解除する回転力伝達部材と、前記回転軸の他方に設けられ、前記回転軸が回転すると作動位置へ移動し、前記回転軸が停止すると待機位置へ移動する移動部材と、待機位置へ移動した前記移動部材を検出する検出手段と、前記検出手段が、待機位置へ移動した前記移動部材を検出すると、前記回転軸が停止したことを警告する警告手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係るシート部材搬送装置は、請求項1に記載において、前記移動部材は、遠心クラッチであって、前記遠心クラッチは、前記回転軸が回転すると遠心力で外側に付勢され、前記回転軸が停止すると遠心力を失い外側への付勢力が解除されるクラッチシューと、外側に付勢された前記クラッチシューと当り、前記回転軸の回転力が伝達されて作動位置へ移動すると共に、前記クラッチシューに作用する外側への付勢力が解除されると、前記回転軸の回転力が解除されて待機位置へ移動する回転部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係るシート部材搬送装置は、請求項2に記載において、前記回転部材には、径方向外側に突出する凸部が設けられ、前記検出手段は、待機位置で待機する前記回転部材の前記凸部を検出することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係るシート部材搬送装置は、請求項1〜3何れか1項に記載において、前記検出手段が待機位置へ移動した前記移動部材を検出すると、前記駆動搬送部材に対してシート部材搬送方向上流側のシート搬送手段を停止させる制御部が設けられることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、画像が形成されるシート部材が収納される給紙部と、前記給紙部に収納されたシート部材を搬送する請求項1〜4何れか1項に記載されたシート部材搬送装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の構成によれば、本構成を有さない場合と比して、異物等を巻き込んだときに、簡易な方法で駆動搬送部材を停止させて異物等の巻き込みを警告することができる。
【0013】
本発明の請求項2の構成によれば、移動部材として遠心クラッチを使用しない場合と比して、移動部材として遠心クラッチを使用することで、汎用部品を利用することができ、安価な構成とすることができる。
【0014】
本発明の請求項3の構成によれば、回転部材に凸部が設けられない場合と比して、簡易な構成で検出手段が待機位置で待機する回転部材を検出することができる。
【0015】
本発明の請求項4の構成によれば、本構成を有さない場合と比して、異物等を巻き込んで停止した駆動搬送部材へ搬送されるシート部材を停止させることができる。
【0016】
本発明の請求項5の構成によれば、本構成を有さない場合と比して、異物等を巻き込んだときに、簡易な方法で駆動搬送部材を停止させて異物等の巻き込みを警告することで、ユーザが適宜異物等を取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るシート部材搬送装置を示した断面図である。
【図2】(A)(B)本発明の実施形態に係るシート部材搬送装置に採用された遠心クラッチを示した概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシート部材搬送装置に採用された排出ローラを示した正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るシート部材搬送装置に採用された排出ローラを示した側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された現像装置の内部を示した断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたプロセスカートリッジを示した断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るシート部材搬送装置の一例が採用された画像形成装置を図1〜図7に従って説明する。
【0019】
(全体構成)
図7に示されるように、画像形成装置10には、4つの色(本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のプロセスカートリッジ14が上下方向に配列されている。
【0020】
図6に示されるように、プロセスカートリッジ14は、感光体16を有する感光体カートリッジ62と、現像装置64とで構成されている。
【0021】
感光体カートリッジ62は、感光体16と、感光体16の周囲に配設されたクリーニング装置22、帯電ロール18、イレーズランプ24、及びクリーニング装置22の横方向に配設されたサブトナー補給ユニット66とで構成されている。
【0022】
サブトナー補給ユニット66には、感光体16の軸方向に直交する方向に延びる一対の支持突起78が設けられている。この支持突起78を画像形成装置10のカートリッジ受部(図示省略)に挿通させることで、画像形成装置10にプロセスカートリッジ14が脱着自在に装着されるようになっている。
【0023】
一方、現像装置64は、感光体16に対向し且つ感光体16上の静電潜像を非磁性トナーT及び磁性キャリアからなる二成分現像剤Gで可視像化する現像ユニット68と、この現像ユニット68に対して非磁性トナーTを補給するメイントナー補給ユニット70で構成とされている。
【0024】
現像ユニット68は、ハウジング80を有している。ハウジング80は感光体16の下方側に設けられており、感光体16側に向かって開口する開口部82が形成されている。また、このハウジング80内には現像剤収容室84が形成されており、この現像剤収容室84内には、非磁性トナーT及び磁性キャリアからなる現像剤Gが収容可能とされている。
【0025】
さらに、ハウジング80内には、ハウジング80の開口部82から一部が露出するようにして現像ロール86が設けられており、現像ロール86はハウジング80に回転可能に軸支されている。また、現像ロール86の端部には、図示しないギアが固定されており、モータからの回転力がギアへ伝達されギアを介して現像ロール86が回転するようになっている。
【0026】
さらに、現像ロール86は、回転可能とされた導電性を有する薄肉円筒状の非磁性のスリーブ86Aと、固定された円柱状のマグネットロール86Bとを備えている。
【0027】
また、非磁性のスリーブ86Aと対向して、現像ロール86上の現像剤Gの層厚を規制する現像剤規制部材としての円柱状の現像剤規制ロール50が、非磁性のスリーブ86Aと隙間をもって対向配置されている。
【0028】
これにより、現像ロール86は、現像剤G中に含まれた磁性キャリアを磁力で吸着し、表面に現像剤Gの磁気ブラシを形成し、現像剤規制ロール50によって現像剤Gの層厚が規制され、現像剤Gを感光体16と対向する位置へ搬送する。そして、感光体16上に形成された静電潜像が、現像ロール86上の現像剤Gによってトナー画像として可視化される。また、現像ロール86の下方には、現像ロール86の軸方向に沿って第1攪拌搬送オーガー88及び第2攪拌搬送オーガー89が配設されている。
【0029】
図5に示されるように、第1攪拌搬送オーガー88及び第2攪拌搬送オーガー89は、それぞれ回転軸88A、89Aを備えており、ハウジング80の周壁にそれぞれ回転可能に軸支されている。また、第1攪拌搬送オーガー88及び第2攪拌搬送オーガー89の回転軸88A、89Aには、所定のピッチで螺旋羽根88B、89Bが螺旋状に巻き付けられて形成されている。
【0030】
さらに、回転軸88A、89Aの端部には、それぞれ図示しないギアが固定されており、図示しないモータからの回転力がギアへ伝達され、ギアを介して第1攪拌搬送オーガー88及び第2攪拌搬送オーガー89がそれぞれ回転すると、螺旋羽根88B、89Bによって、現像剤収容室84内に収容された現像剤Gが攪拌されながら図5の矢印方向へ搬送されるようになっている。
【0031】
第1攪拌搬送オーガー88と第2攪拌搬送オーガー89の間には仕切壁90が形成されており、この仕切壁90によって現像剤収容室84内は、第1攪拌搬送オーガー88が配設された領域(第1攪拌路)92と、第2攪拌搬送オーガー89が配設された領域(第2攪拌路)93とに二分されている。
【0032】
また、仕切壁90の長手方向の両端部には、連通口94、95が形成されている。この連通口94、95によって第1攪拌路92と第2攪拌路93とが繋がっており、現像剤収容室84内の現像剤Gは、第1攪拌搬送オーガー88及び第2攪拌搬送オーガー89の回転によってそれぞれ第1攪拌路92及び第2攪拌路93内を攪拌されながら搬送されて、第1攪拌路92と第2攪拌路93との間を現像剤Gが循環するようになっている。
【0033】
図6に示されるように、現像ユニット68に隣接したメイントナー補給ユニット70には、補給用トナーTが収容されるトナー収容室150が設けられている。トナー収容室150には、現像ロール86の軸方向に沿ってトナー攪拌搬送部材152が設けられている。
【0034】
トナー攪拌搬送部材152は回転軸152Aを備え、ハウジング80の周壁に回転可能に軸支されている。この回転軸152Aには、所定のピッチで羽根152Bが形成されている。
【0035】
回転軸152Aの端部には、図示しないギアが固定されており、図示しないモータからの回転力がギアへ伝達され、ギアを介してトナー攪拌搬送部材152が回転すると、羽根152Bによってトナー収容室150内の非磁性トナーTが攪拌されながら図5の矢印方向へ搬送されるようになっている。
【0036】
一方、トナー収容室150と現像剤収容室84との間には、壁部154が設けられている。壁部154の下部からは、湾曲壁156がトナー収容室150側へ延び、また、仕切壁157が現像剤収容室84側へ延びることで、ハウジング80の底板の間に、トンネル状のディスペンス室158が設けられている。
【0037】
図5に示されるように、湾曲壁156の長手方向の一方の端部近傍には、トナー収容室150とディスペンス室158とを繋げるように開口部162が形成されている。これにより、トナー収容室150内に収容された非磁性トナーTは、トナー攪拌搬送部材152によって攪拌されながらトナー収容室150内を搬送され、開口部162からディスペンス室158へ送り込まれるようになっている。
【0038】
一方、仕切壁157の長手方向の他方の端部近傍には、ディスペンス室158と現像剤収容室84とを繋げるようにしてトナー供給口164が形成されている。これにより、ディスペンス室158内の非磁性トナーTは、ディスペンスオーガー160によって攪拌されながらディスペンス室158内を搬送され、トナー供給口164から現像剤収容室84へ送り込まれるようになっている。
【0039】
図6に示されるように、トナー供給口164は、下端部が現像剤収容室84に収容されている現像剤Gの表面位置よりも下方に位置するようにして形成されている。これにより、トナー供給口164の少なくとも一部が、現像剤収容室84に収容された現像剤Gに埋もれた状態となっており、ディスペンス室158から現像剤収容室84へ送り込まれた非磁性トナーTが現像剤Gの中に潜り込み、現像剤収容室84に収容された現像剤Gと混合しやすくなっている。このように、ディスペンスオーガー160、第1攪拌搬送オーガー88及び第2攪拌搬送オーガー89によって攪拌された現像剤Gが現像ロール86の表面に磁力により吸着される構成となっている。
【0040】
一方、図7に示されるように、画像形成装置10の下部には、シート部材Pが収納された給紙部26が設けられている。さらに、給紙部26の近傍には、シート部材Pを所定のタイミングで送り出すピックアップロール28が設けられている。このピックアップロール28によって給紙部26から送り出されたシート部材Pは、搬送ロール30及び位置合せロール32を介して、用紙搬送経路34へ送り出され、後述する搬送装置48へ搬送される。
【0041】
一方、プロセスカートリッジ14(図6参照)は、用紙搬送経路34の上流側からイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の順に配設されており、プロセスカートリッジ14の側方には、プロセスカートリッジ14に走査光を照射する露光装置36が配設されている。
【0042】
露光装置36は、筐体38内に半導体レーザ(図示省略)、ポリゴンミラー40、結像レンズ44、及びミラー46が配設されており、半導体レーザからの光はポリゴンミラー40で偏向走査され、結像レンズ44とミラー46を介して感光体16に照射される。これにより、感光体16に、画像情報に応じた静電潜像が形成されるようになっている。
【0043】
また、感光体16に対して用紙搬送経路34を挟んで対向する位置には、搬送装置48が配設されている。搬送装置48は、画像形成装置10の側壁10Aに沿って設けられた一対の張架ロール51、52と、この張架ロール51、52に巻き掛けられた搬送ベルト53とで構成されている。張架ロール52は、図示しないモータによって回転され、搬送ベルト53が移動するようになっている。
【0044】
張架ロール51の近傍には、吸着ロール55が配設されており、この吸着ロール55に電圧が印加されることによって、搬送ベルト53にシート部材Pが静電的に吸着されるようになっている。
【0045】
また、搬送ベルト53の裏面の、各色の感光体16に対向する位置には、それぞれ転写ロール54が配設されている。この転写ロール54によって、感光体16上の後述するトナー画像が、搬送ベルト53によって搬送されるシート部材Pに転写され、定着装置56で定着される。そして、トナー画像が定着されたシート部材Pは、搬送ロール42によってシート部材搬送装置100を構成する排出ロール58に向って搬送され、排出ロール58によって排出部60へ排出されるようになっている。なお、シート部材搬送装置100及び排出ロール58については詳細を後述する。
【0046】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0047】
図6に示されるように、まず、電圧が印加された帯電ロール18は、感光体16の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電する。
【0048】
帯電された感光体16上の画像部分が予定の露光部電位になるように露光装置36で露光を行ない静電潜像が形成される。
【0049】
すなわち、図示しない制御装置から供給される画像データに基づき、半導体レーザ(図示省略)をオン・オフして変調することによって画像に対応した潜像が感光体16上に形成される。
【0050】
さらに、現像装置64の現像ロール86の非磁性のスリーブ86Aには、ディスペンスオーガー160、第1攪拌搬送オーガー88、及び第2攪拌搬送オーガー89によって攪拌された現像剤Gがマグネットロール86Bの磁力で吸着される。また、非磁性のスリーブ86Aに吸着された現像剤Gは、現像剤規制ロール50と現像ロール86との隙間を通ることで余剰分が擦り切られ、現像剤Gの層厚が均一となる。
【0051】
さらに、現像ロール86には各色毎に所定の現像バイアス電圧が電源装置(図示省略)から印加されており、感光体16上の静電潜像は、現像ロール86の位置を通過する時に、静電潜像に現像剤Gのトナーが電気力によって付着しトナー画像として可視化される。
【0052】
そこで、図7に示されるように、給紙部26に載置されたシート部材Pがピックアップロール28によって、用紙搬送経路34に送りだされ、さらに、搬送ロール30、及び位置合せロール32によって所定のタイミングで搬送され、感光体16と転写ロール54との間を通り、トナー画像がシート部材Pに転写される。この転写されたトナー画像は定着装置56で定着され、トナー画像が定着されたシート部材Pは、排出ロール58によって排出部60へ排出される。
【0053】
(要部構成)
次に、シート部材搬送装置100及び排出ロール58について説明する。
【0054】
図4に示されるように、シート部材搬送装置100に備えられた排出ロール58には、一側(図4に示す上側)に設けられ、モータ110(図1参照)から回転力が伝達されて回転駆動する駆動搬送部材としての駆動ロール102と、他側(図4に示す下側)に設けられ、駆動ロール102にシート部材Pを押し付けながら駆動ロール102と従動回転する従動搬送部材としての従動ロール104が設けられている。
【0055】
図3に示されるように、駆動ロール102には、分割された円筒状のロール部102Aとロール部102Aの中心に固定された円柱状の回転軸102Bが設けられ、従動ロール104は、分割されたロール部102Aに対向するように、複数個設けられ、図示せぬ付勢部材でロール部102Aに押し付けられている。
【0056】
詳細には、図1に示されるように、駆動ロール102の回転軸102Bの両側には、回転軸102Bを支持する軸受部材108が設けられている。さらに、回転軸102Bの一方(図1に示す右方)には、回転軸102Bに決められた値以上のトルクが発生するとモータ110から回転軸102Bに伝達される駆動力を解除する回転力伝達部材としてのトルクリミッタ112が設けられている。
【0057】
このトルクリミッタ112を介して回転軸102Bがギア部材114と取り付けられており、ギア部材114が、モータ110の出力軸に連結されたギア部材116に噛み合うようになっている。
【0058】
この構成により、モータ110の駆動力が、ギア部材116、ギア部材114及びトルクリミッタ112を通して回転軸102Bへ伝達されるようになっている。これに対し、排出ロール58に異物等が巻き込まれ、回転軸102Bに決められた値以上のトルクが発生するとトルクリミッタ112が作用してモータ110からの駆動力の伝達が解除され、回転軸102Bが停止する構成となっている。
【0059】
また、回転軸102Bの他方(図1に示す左方)には、遠心クラッチ120が設けられている。
【0060】
この遠心クラッチ120には、回転軸102Bに固定され回転軸と共に回転するクラッチ内輪122が備えられている。さらに、クラッチ内輪122に形成された突起部122Aを挟むように回転中心方向が開放されたクラッチシュー124(図2参照)が設けられ、クラッチシュー124は、クラッチ内輪122が回転すると、遠心力で外側に付勢され、クラッチ内輪122が停止すると遠心力を失い外側への付勢力が解除される構成となっている。
【0061】
また、クラッチシュー124を覆うように、図示せぬフレーム部材に回転可能に支持された回転部材としての皿状のクラッチ外輪128が設けられている。そして、図2(B)に示されるように、クラッチ外輪128は、外側に付勢されたクラッチシュー124と当り、回転軸102Bの回転力が伝達されて作動位置へ移動し、図2(A)に示されるように、クラッチシュー124に作用する外側への付勢力が解除されると回転軸102Bの回転力の伝達が解除されて待機位置へ移動する構成となっている。
【0062】
詳細には、図2に示されるように、クラッチ外輪128には、径方向に突出する凸部130が設けられ、この凸部130には、コイルバネ134の一端が固定され、コイルバネ134の他端は、フレーム部材140に固定されている。
【0063】
このコイルバネ134の付勢力により、クラッチ外輪128に回転力が伝達されない場合は、クラッチ外輪128が待機位置(図2(A)参照)に付勢されるようになっている。これに対し、クラッチ外輪128に回転力が伝達される場合は、クラッチシュー124とクラッチ外輪128の間で生じる摩擦力とコイルバネ134の付勢力のバランスにより、クラッチ外輪128が作動位置(図2(B)参照)に移動するようになっている。
【0064】
さらに、図1、図2に示されるように、待機位置へ移動したクラッチ外輪128の凸部130を検出するように、フォトセンサーである検出手段としての検出部材132が設けられている。また、画像形成装置10の操作部には、検出部材132が、待機位置へ移動したクラッチ外輪128を検出すると、回転軸102Bが停止したことを表示する警告手段としての表示部136が設けられている。
【0065】
さらに、検出部材132が、待機位置へ移動したクラッチ外輪128を検出すると、排出ロール58(図7参照)に対してシート部材搬送方向上流側のシート搬送手段(本実施例では、定着装置56)を停止させる制御部138が設けられている。
【0066】
(作用)
次に、前述したシート部材搬送装置100の作用について説明する。
【0067】
図4、図7に示されるように、シート部材搬送装置100に設けられた排出ロール58にシート部材Pが送り込まれると、送り込まれたシート部材Pは、駆動ロール102と従動ロール104によって挟持搬送されて排出部60に排出される。
【0068】
図1、図2(B)に示されるように、駆動ロール102の回転軸102Bが回転すると、回転軸102Bの他方に固定されたクラッチ内輪122が回転する。クラッチ内輪122が回転するとクラッチシュー124が遠心力により外側に付勢され、クラッチ外輪128は、外側に付勢されたクラッチシュー124と当り、回転軸102Bの回転力が伝達されて作動位置(図2(B))へ移動する。
【0069】
ここで、図1に示されるように、排出ロール58でジャム(紙づまり)が発生したり、外から異物等が排出ロール58に巻き込まれると、回転軸102Bに決められた値以上のトルクが発生する。決められた値以上のトルクが回転軸102Bに発生すると、トルクリミッタ112が作用してモータ110からの駆動力の伝達が解除され、回転軸102Bが停止する。
【0070】
回転軸102Bの回転が停止すると、クラッチ内輪122が停止し、遠心力を失ったクラッチシュー124は外側への付勢力が解除される。クラッチシュー124に作用した外側への付勢力が解除されるとクラッチ外輪128とクラッチシュー124との間に隙が生じて回転軸102Bの回転力の伝達が解除され、クラッチ外輪128が待機位置(図2(A)参照)へ移動する。
【0071】
クラッチ外輪128が待機位置へ移動すると、待機位置へ移動したクラッチ外輪128の凸部130を検出部材132が検出する。
【0072】
検出部材132が、回転軸102Bが停止してクラッチ外輪128が待機位置へ移動したのを検出すると、表示部136に回転軸102Bが停止したことが表示される。
【0073】
さらに、検出部材132が、待機位置へ移動したクラッチ外輪128を検出すると、制御部138が、排出ロール58(図7参照)に対してシート部材搬送方向上流側のシート搬送手段(本実施例では、定着装置56)を停止させる。
【0074】
このように、例えばロータリーエンコーダ等を使用して異物の巻き込み等を検知する構成に比して、トルクリミッタ112及び遠心クラッチ120を採用することで、小型で簡易な方法で駆動ロール102の回転軸102Bを停止させて異物等の巻き込みを警告する構成となっている。
【0075】
また、制御部138が、排出ロール58に対してシート部材搬送方向上流側のシート搬送手段(本実施例では、定着装置56)を停止させることで、ジャム等の症状を最小限に抑える構成となっている。
【0076】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、シート部材搬送装置100を画像形成装置10に用いて説明したが、これに限定されるものではなく、シート部材を搬送するものであれば本発明のシート部材搬送装置100を採用することができる。例えば、銀行のATM(現金自動預金支払機)、駅の切符販売機、自動販売機等が上げられる。
【符号の説明】
【0077】
10 画像形成装置
26 給紙部
100 シート部材搬送装置
102B 回転軸
102 駆動ロール(駆動搬送部材)
104 従動ロール(従動搬送部材)
110 モータ(駆動部材)
112 トルクリミッタ(回転力伝達部材)
120 遠心クラッチ(移動部材)
124 クラッチシュー
128 クラッチ外輪(回転部材)
130 凸部
132 検出部材(検出手段)
136 表示部(警告手段)
138 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部材の駆動力が伝達されて回転駆動する駆動搬送部材と、
前記駆動搬送部材と従動回転しながらシート部材を挟んで搬送する従動搬送部材と、
前記駆動搬送部材の回転軸の一方に設けられ、前記回転軸に決められた値以上のトルクが発生すると前記駆動部材から前記回転軸に伝達される駆動力を解除する回転力伝達部材と、
前記回転軸の他方に設けられ、前記回転軸が回転すると作動位置へ移動し、前記回転軸が停止すると待機位置へ移動する移動部材と、
待機位置へ移動した前記移動部材を検出する検出手段と、
前記検出手段が、待機位置へ移動した前記移動部材を検出すると、前記回転軸が停止したことを警告する警告手段と、
を備えるシート部材搬送装置。
【請求項2】
前記移動部材は、遠心クラッチであって、
前記遠心クラッチは、
前記回転軸が回転すると遠心力で外側に付勢され、前記回転軸が停止すると遠心力を失い外側への付勢力が解除されるクラッチシューと、
外側に付勢された前記クラッチシューと当り、前記回転軸の回転力が伝達されて作動位置へ移動すると共に、前記クラッチシューに作用する外側への付勢力が解除されると、前記回転軸の回転力が解除されて待機位置へ移動する回転部材と、
を備える請求項1に記載のシート部材搬送装置。
【請求項3】
前記回転部材には、径方向外側に突出する凸部が設けられ、
前記検出手段は、待機位置で待機する前記回転部材の前記凸部を検出する請求項2に記載のシート部材搬送装置。
【請求項4】
前記検出手段が待機位置へ移動した前記移動部材を検出すると、前記駆動搬送部材に対してシート部材搬送方向上流側のシート搬送手段を停止させる制御部が設けられる請求項1〜3何れか1項に記載のシート部材搬送装置。
【請求項5】
画像が形成されるシート部材が収納される給紙部と、
前記給紙部に収納されたシート部材を搬送する請求項1〜4何れか1項に記載されたシート部材搬送装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−208815(P2010−208815A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57588(P2009−57588)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】