説明

シート長計測装置、画像形成装置、シート長計測方法、およびプログラム

【課題】回転体に偏心や熱膨張等が生じてしまっても、比較的簡易な方法でシートの長さを高精度に計測することができる、シート長計測装置、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】シートの移動にともなって回転する駆動ローラ31が1回転するごとに原点信号を出力するエンコーダ35と、原点信号の出力を基準として駆動ローラ31が1回転するときの回転角度におけるシート送り量の変化を記憶する記憶部38と、が設置されている。そして、エンコーダ35によってシート先端が検知されたときの原点信号の出力を基準とした回転角度から求められる値と、位置検知センサ36によってシート後端が検知されたときのZ相の出力を基準とした回転角度から求められる値と、からシートの長さを補正して算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転写紙や原稿等のシートの長さを計測するシート長計測装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成装置と、シート長計測方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、転写紙等のシートの長さを計測するシート長計測装置(被転写体長計測装置)を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1等には、搬送ローラが偏心や熱膨張等によってローラ径が変化してしまっても精度よく被転写体(シート)の長さを計測することを目的として、第1の計測期間における回転体の回転量と搬送距離と第2の計測期間における搬送速度とに基いて被転写体の長さを算出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に開示されている特許文献1の技術にあっては、回転体(搬送ローラ)に偏心や熱膨張等が生じてしまってもシートの長さを高精度に計測することができる効果が期待できるものの、シートの搬送距離等を何回か計測する必要がある等、シート長の計測が複雑化してしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、回転体に偏心や熱膨張等が生じてしまっても、比較的簡易な方法でシートの長さを高精度に計測可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、シートの搬送方向の移動にともなって回転する回転体と、前記回転体の位置を通過するシートの先端と後端とをそれぞれ検知する位置検知手段と、前記回転体の回転量を計測するとともに、前記回転体が1回転するごとに原点信号としてパルス信号を出力する回転量計測手段と、前記原点信号の出力を基準として前記回転量計測手段によって計測される前記回転体が1回転するときの回転角度におけるシート送り量の変化を記憶する記憶手段と、前記位置検知手段によってシートの先端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、前記位置検知手段によってシートの後端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、からシートの長さを補正して算出する演算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、シートの先端が検知されたときの原点信号出力を基準とした回転体の回転角度から算出される偏差と、シートの後端が検知されたときの原点信号出力を基準とした回転体の回転角度から算出される偏差と、からシートの長さを補正して算出しているため、回転体に偏心や熱膨張等が生じてしまっても、比較的簡易な方法でシートの長さが高精度に計測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図2は、作像部を示す断面図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態にかかるシート長計測装置とその近傍とを示す説明図である。
【図4】図4は、回転体に偏心があるときの、シート搬送距離と回転体検知距離との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、シート長計測装置のカウンタ部を示すブロック図である。
【図6】図6は、シート長計測装置でおこなわれる計測動作を示すタイミングチャートである。
【図7】図7は、別形態のシート長計測装置を示す概略図である。
【図8】図8は、図7のシート長計測装置でおこなわれる計測動作を示すタイミングチャートである。
【図9】図9は、第1の実施の形態にかかる他のシート長計測装置の構成例を示す概略図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態にかかるシート長計測装置の構成とその近傍の構成を示す説明図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態にかかるZ相検知制御動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、回転体の回転角度と角度検知ムラとの関係の一例を示すグラフである。
【図13】図13は、回転体の一回転ごとの偏心誤差の変化の一例を示すグラフである。
【図14】図14は、回転体の一回転ごとの偏心誤差を平均化処理及びフィッティング処理した例を示すグラフである。
【図15】図15は、第1の実施の形態にかかる他のシート長計測装置の構成例を示す概略図である。
【図16】図16は、図15のシート長計測装置で行われる計測動作を示すタイミングチャートである。
【図17】図17は、さらに別形態のシート長計測装置の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるシート長計測装置、画像形成装置、シート長計測方法、およびプログラムの一実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。図1は画像形成装置としてのデジタルカラー複写機を示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ベルト装置15が設置されている。また、中間転写ベルト装置15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。シート長計測装置30は、中間転写ベルト装置15の右下方であって、画像転写部に向けてシートP(記録媒体)が搬送される搬送経路に設置されている。
【0013】
また、画像形成装置本体100の上方には、原稿給紙トレイ91に載置された原稿Dを搬送ローラ93等によって原稿読取部95(コンタクトガラス96)に向けて搬送して原稿排紙トレイ92に排出する、原稿搬送部90が設置されている。
【0014】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0015】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0016】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって図2中の反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
【0017】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。ここで、露光部7から発せられるレーザ光Lは、原稿搬送部90によってコンタクトガラス96上に搬送されて原稿読取部95で読み取った原稿Dの画像情報に基いたものである。
【0018】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像(画像)が形成される(現像工程である。)。
【0019】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
【0021】
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0022】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、原稿読取部95で読み取った原稿Dの画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に主走査方向に照射する。
【0023】
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、像担持体としての中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0024】
ここで、中間転写ベルト装置15は、図3を参照して、中間転写ベルト8、4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、対向ローラ12B、テンションローラ12C〜12F、中間転写クリーニング部10、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材12A〜12Fによって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材(駆動ローラ)12Aの回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
【0025】
4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写電圧(転写バイアス)が印加される。
【0026】
そして、中間転写ベルト8(像担持体)は、矢印方向に走行して、転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0027】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置(画像転写部)に達する。この位置では、対向ローラ12Bが、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップ(画像転写部)を形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0028】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0029】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップ(画像転写部)の位置に搬送されたシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27、第1搬送経路K1、第2搬送経路K2、等を経由して搬送されたものである。
【0030】
詳しくは、給紙部26には、転写紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが搬送経路K1、K2に向けて給送される。
【0031】
なお、本実施の形態では、装置本体100の側方にも給紙部が設置されていて、その給紙部から搬送経路を経て2次転写ニップ(画像転写部)の位置にシートPを搬送することもできる。
【0032】
そして、シートPは、2次転写ニップの直前(上流側)の位置に設置されたレジストローラ対31、32によって、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、2次転写ニップ(画像転写部)に向けて搬送される。このとき、シート長計測装置30の一部として機能するレジストローラ対31、32によって、シートPの搬送方向の長さ(シート長)が計測される。そして、シートP上に、所望のカラー画像が転写されることになる。
【0033】
なお、シート長計測装置30の構成・動作については、後で図3〜図6を用いてさらに詳しく説明する。
【0034】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、第3搬送経路K3を経て、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
【0035】
その後、シートPは、排紙ローラ対によって排紙経路K4を経て装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部70上に順次スタックされる。こうして、画像形成装置における、片面プリント時の一連の画像形成プロセスが完了する。
【0036】
ここで、本実施の形態における画像形成装置100は、上述した片面プリントの他に、シートPのオモテ面とウラ面とにそれぞれ画像形成をおこなう両面プリントをおこなうことができる。
【0037】
両面プリント時には、上述した片面プリントにおける定着工程が終了した後のシートP(定着部20から送出されたシートPである。)が、不図示の切替爪の移動によって、排紙経路K4ではなく、反転経路K5(反転部80)に向けて搬送される。そして、反転部80に搬送されたシートPは、この位置で先後端が反転された状態で、リバースローラ81による駆動と切替爪(不図示である。)の移動とによって、両面搬送経路K6に向けて搬送される。その後、シートPは、両面搬送経路K6から合流する第2搬送経路K2を経由して、再びレジストローラ対31、32によって2次転写ニップ(画像転写部)に搬送されて、そのウラ面に所望のカラー画像が転写されることになる。このとき、レジストローラ対31、32の位置で、片面プリント時と同様に、シート長計測装置30によってシートPの搬送方向の長さが計測される。
【0038】
その後、2次転写ニップの位置でウラ面へのカラー画像が転写されたシートPは、第3搬送経路K3を経て、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、ウラ面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
【0039】
その後、シートPは、排紙ローラ対によって排紙経路K4を経て装置外へと排出されて、スタック部70上に順次スタックされる。こうして、画像形成装置における、両面プリント時の一連の画像形成プロセスが完了する。
【0040】
次に、図2にて、作像部における現像部の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
【0041】
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤収容部に開口を介して連通するトナー補給経路43Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0042】
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
【0043】
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0044】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0045】
次に、図3〜図6にて、本実施の形態において特徴的なシート長計測装置30について詳述する。なお、以下の説明では、レジストローラ対は、詳しくは駆動ローラと従動ローラとが対になった構成であり、適宜、レジストローラ対31、32、あるいは駆動ローラ31、従動ローラ32と記述する。
【0046】
図3及び図4を参照して、シート長計測装置30は、回転体としてのレジストローラ対31、32、位置検知手段(通過検知手段)としての位置検知センサ36、回転量計測手段としてのエンコーダ35、記憶手段としての記憶部38、演算部37、画像調整部39、などを有する。CPU50はROM51に格納されている制御プログラムにしたがって後述する演算部37、画像調整部39の機能を実現している。また、RAM52はCPU50の制御時においてワーキングメモリなどに用いる。
【0047】
回転体としてのレジストローラ対31、32は、シートPの搬送方向の移動にともなって回転する。詳しくは、レジストローラ対は、駆動モータ34によって図3の反時計方向に回転駆動される駆動ローラ31と、シートPを挟持した状態で駆動ローラ31との摩擦抵抗によって図3の時計方向に従動回転する従動ローラ32と、で構成されている。そして、駆動モータ34が稼動することにより、レジストローラ対31、32が回転して、シートPが2次転写ニップ(画像転写部)に向けて搬送される。
【0048】
回転体としての駆動ローラ31の一端側の軸部には、駆動モータ34の他に、回転量計測手段としてのエンコーダ35が接続されている。この回転量計測手段としてのエンコーダ35は、駆動ローラ31(回転体)の回転量を計測するものであって、駆動ローラ31(回転体)が1回転するごとに原点信号としてのパルス信号(以下、本実施の形態では、Z相としてのパルス信号)を出力するように構成されている。
【0049】
詳しくは、エンコーダ35(回転量計測手段)は、回転体(本実施の形態の場合、駆動ローラ31である。)の回転にともなってパルス信号を出力する装置であって、エンコーダ35から出力されるパルスの数をカウントすることにより回転体の回転量(角度)を計測する。
【0050】
なお、本実施の形態では、回転量計測手段として、エンコーダ35を用いた。これに対して、回転量計測手段として、タコメータ(tachometer)やレゾルバ(resolver)のようなモータ回転に用いられるものや、ロータリーポジショナーやポテンショメータと呼ばれる回転角度によって電気抵抗値が変化するものを用いることもできる。
【0051】
位置検知手段(通過検知手段)としての位置検知センサ36は、駆動ローラ31(回転体)の位置を通過するシートPの先端と後端とをそれぞれ光学的に検知するフォトセンサであって、駆動ローラ31(回転体)に対して下流側(シートPの搬送方向下流側である。)に設置されている。
【0052】
詳しくは、位置検知センサ36(位置検知手段)によって、レジストローラ対31、32によって搬送されたシートPの先端が検知されると、その情報が演算部37に送られる。さらに、位置検知センサ36(位置検知手段)によって、レジストローラ対31、32によって搬送されたシートPの後端が検知されると、その情報が演算部37に送られる。すなわち、位置検知センサ36によって、シートPの先端が通過するタイミングと後端が通過するタイミングとがそれぞれ検知されることになる。
【0053】
記憶手段としての記憶部38は、Z相(原点信号)の出力を基準としてエンコーダ35(回転量計測手段)によって計測される駆動ローラ31(回転体)が1回転するときの回転角度(回転量)の理想値からの偏差(変位量)を記憶する。このときの偏差は、代表的なものが、図4に示す正弦状の波形に対応するものであって、演算部37で算出される。
【0054】
また、演算部37(搬送量算出手段)は、位置検知センサ36によってシートPの先端が検知されたときのZ相の出力を基準とした駆動ローラ31の回転角度から算出される測定値と、位置検知センサ36によってシートPの後端が検知されたときのZ相の出力を基準とした駆動ローラ31の回転角度から算出される測定値と、からシートPの長さ(搬送方向の長さ)を補正して算出する。
【0055】
このように、本実施の形態では、演算部37にて、エンコーダ35から得られる回転量の情報と、位置検知センサ36から得られるシートPの先後端が通過するときの信号と、記憶部38に記憶された駆動ローラ31の回転量の偏差についての情報と、からシート長を補正して算出する。なお、演算部37や記憶部38は、装置本体100の制御部39とともに、マイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)等のプログラム演算処理装置として装置本体100に内蔵することができる。
【0056】
以下、上述したシート長の補正算出の手順について、さらに詳しく説明する。図4は、駆動ローラ31(回転体)に偏心があるときの、シート搬送距離と回転体検知距離との関係を示すグラフである。図4において、横軸はシートPの搬送量(シート搬送距離)を示し、縦軸はエンコーダ35によって計測される回転量(回転体検知距離)を示す。
【0057】
エンコーダ35によって回転量が計測される回転体(本実施の形態では駆動ローラ31である。)に偏心や変形があると、回転体の中心から外周面までの距離が変化するため、回転体の回転角度と外周面の搬送量(移動量)とが比例しなくなる。特に、回転体に偏心がある場合には、図4に示すように、回転体が1回転する周期(1回転周期)で正弦波形状の変化(偏差)が発生する。ここで、図4中の、破線で示す直線は、偏心や変形のない理想的な回転体における、シート搬送距離と回転体検知距離との関係を示すものである。
【0058】
図4を参照して、駆動ローラ31(回転体)が回転してシートPが搬送され、シートPの先端位置がグラフ中の「Ms」、後端位置がグラフ中の「Me」であるとき、エンコーダ35で計測される回転量に回転体(駆動ローラ31)の平均半径を乗算して算出されるシート長「H’」は、実際のシート長「H」に対して、
偏差の値 Hs=d・sin(θ1+φ) …(1)
偏差の値 He=d・sin(θ2+φ) …(2)
の偏差分が加算された値になる(H’=H+Hs+He)。
【0059】
ここで、上式において、dは偏心による変動振幅、θ1はシート先端を検知したときの回転体位相、θ2はシート先端を検知したときの回転体位相、φは回転体位相と偏心正弦波の位相差(位相情報)、である。
【0060】
本実施の形態におけるシート長計測装置30(画像形成装置100)では、まず、図4に対応するような駆動ローラ31(回転体)の変化(偏心)が生じたときに、その状態がエンコーダ35によって計測されて、演算部37で算出される。そして、記憶部38に、演算部37で算出された演算結果(正弦状の波形である。)が記憶される。具体的には、変動振幅dと位相差φの2つのデータを記憶する。このような測定値(偏差)の計測・記憶は、シートPの搬送がおこなわれる前の非搬送時に予め実行されることが好ましい。なお、変動振幅dと位相差φは、(1)フーリエ変換、(2)最小二乗法などによる近似、(3)直交検波など、適宜求めることが可能である。また、後述する第2の実施の形態のように正弦波にフィッティングさせて求めてもよい。
【0061】
そして、シートPの先後端が位置検知センサ36の位置をそれぞれ通過するときに、そのタイミングを位置検知センサ36によって検知して、それに基いて(1)、(2)式の「Hs」、「He」が求められる。そして、最後に、求めた「Hs」、「He」を計測値から演算により算出された「H’」から減算して、補正後のシート長「H”」(=H’−(He+Hs))を補正値として算出する。
【0062】
このように、本実施の形態におけるシート長の補正・算出は、シートPの先端についてのZ相出力からの回転角度(位相)と、シートPの後端についてのZ相出力からの回転角度(位相)と、からそれぞれの測定値を算出しておこなうものである。
【0063】
図5は、シート長計測装置30におけるカウンタ部を示すブロック図である。図5に示すように、カウンタ部には、エンコーダカウンタ351の他に、位相を計測するための位相カウンタ352が設けられている。位相カウンタ352には、エンコーダの入力と、エンコーダ35のZ相の入力と、がされる。また、位相カウンタ352では、エンコーダカウンタ351と同様に、カウンタ値のラッチに位置検知センサ36の信号入力が用いられている。
【0064】
図6を参照して、駆動ローラ31(回転体)が回転すると、エンコーダパルスが発生して、駆動ローラ31の回転誤差に応じてカウント誤差が発生する。このカウント誤差は、回転体としての駆動ローラ31の形状誤差によって、その波形も異なる。一方、位相カウンタは、エンコーダのZ相によって毎回リセットされるので、位置検知センサの信号が立ち上がってカウント値(エンコーダカウンタ)がラッチされるときのカウント値はZ相が発生してからのカウント値になり、シートPの先端の位相θ1が計測される。さらに、位相カウンタが位置検知センサの立ち下がりでもラッチされて、シートPの後端の位相θ2が計測される。そして、このようにして得られた先端位相(θ1)と後端位相(θ2)とが上式(1)、(2)に代入されて、計測誤差を補正したシート長H’が計算されることになる。
【0065】
このように本実施の形態では、シートPの先端と後端とのそれぞれの原点信号からの位相を検知して、算出された先端と後端とのそれぞれの理想値からの偏差(差分)を既知のシート長(基準となるシート長)に加算するだけで、容易にシート長補正演算ができる。したがって、回転体としての駆動ローラ31に偏心や熱膨張等が生じてしまっても、比較的簡易な方法でシートPの長さを高精度に計測することができる。
【0066】
ここで、本実施の形態におけるシート長計測装置30は、両面プリントをおこなう場合において、オモテ面プリント時に2次転写ニップに向けて搬送されるシートPのシート長と、ウラ面プリント時に2次転写ニップに向けて搬送されるシートPのシート長と、をそれぞれ計測できるように、2次転写ニップに至る第2搬送経路K2中の位置(レジストローラ対31、32の位置である。)に設置されている。これにより、1つのシート長計測装置30によって、両面プリント時においてオモテ面とウラ面とに2次転写ニップの位置でそれぞれ画像が転写される前のシート長を高精度に求めることができる。
【0067】
ここで、本実施の形態におけるシート長計測装置30によって求められたシート長「H’」(補正計算されたものである)の結果は、画像調整部39に送られる。そして、画像調整部39によって、シート長「H’」に基いた画像倍率の調整がおこなわれる。すなわち、シートPの大きさに応じて、露光部7によって各作像部6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上に形成される潜像の画像倍率が最適化されるように調整される。
【0068】
特に、両面プリントがおこなわれる場合において、ウラ面プリント時のシートPは、オモテ面プリント時のものと異なり、定着部20で熱を受けて伸長していることが多い。そのため、定着熱によるシートPのシート長変化による両面プリント時の表裏の画像倍率変化を補正して、両面の位置が揃った両面プリント出力をおこなう。すなわち、オモテ面プリント時とウラ面プリント時とにそれぞれシートPのシート長を正確に求めて、それに基いてそれぞれの画像倍率を最適化する。
【0069】
なお、本実施の形態では、エンコーダ35が設置される回転体としてレジストローラ対の駆動ローラ31を用いて、シートPの先後端を検知する位置検知手段として1つの位置検知センサ36を用いた。
【0070】
これに対して、図7に示すように、エンコーダ35が設置される回転体としてレジストローラ対の従動ローラ32を用いることもできるし、シートPの先後端を検知する位置検知手段として2つの位置検知センサ36A、36Bを用いることもできる。詳しくは、図7に示すシート長計測装置30は、従動ローラ32の片側軸部にエンコーダ35が設置されている。また、従動ローラ32(回転体)に対してシートPの搬送方向下流側にシートPの先端を検知する第1位置検知センサ36Aが設置され、従動ローラ32(回転体)に対してシートPの搬送方向上流側にシートPの後端を検知する第2位置検知センサ36Bが設置されている。
【0071】
また、エンコーダカウンタ351は、Z相入力として第1位置検知センサ36Aの信号が入力され、ラッチに第2位置検知センサ36Bの信号が入力されるように接続されている。位相カウンタ352は、原点信号としてエンコーダ35のZ相が入力され、ラッチに第1位置検知センサ36Aの信号が入力されるように接続されている。
【0072】
図8は、図7のシート長計測装置30でおこなわれる計測動作(カウンタ動作)を示すタイミングチャートである。
【0073】
まず、位相カウンタ352は、エンコーダ35のZ相(原点信号)でリセットされて、第1位置検知センサ36Aの立ち上がりでラッチされて、シートPの先端位相が検出される。一方、エンコーダカウンタ351では、第1位置検知センサ36Aの立ち上がりでリセットされて、第2位置検知センサ36Bの立ち下がりでラッチされて、シートPが第1位置検知センサ36Aに検知されてから第2位置検知センサ36Bの位置を通過するまでのエンコーダ回転量が検知される。すなわち、シートPの全体の長さから第1位置検知センサ36Aと第2位置検知センサ36Bとの間隔を引き算した長さが検知される。したがって、シートPの長さを算出するためには、検知された回転量に第1位置検知センサ36Aと第2位置検知センサ36Bとの間隔を加算する必要がある。
【0074】
この構成では、シートPの後端位相は計測されないが、エンコーダカウンタ351によって補正前のシート長が計測されるため、計測されたシート長を「H」、回転体の周長を「H0」としたときに、次式で後端位相θ2のカウント値(Cut(θ2))を計算することができる。
Cut(θ2)=H%・H0
【0075】
なお、上式において、%は除算の剰余計算の演算子である。そして、本実施の形態と同様に、求めた位相からシート長の補正・計算がおこなわれて、それに基いて画像調整部39によって画像倍率の調整がおこなわれる。
【0076】
このように、図7のシート長計測装置30では、回転体の上流側・下流側にそれぞれ位置検知センサ36A、36Bを設置してシート長の検知・補正をおこなっているため、レジストローラ対31、32の間にシートPが突入する際の回転体(従動ローラ32)の速度変動やスリップの影響を低減することができて、より高精度なシート長計測が可能になる。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態では、シートPの先端が検知されたときの原点信号出力を基準とした駆動ローラ31(回転体)の回転角度から算出される測定値(計測誤差)と、シートPの後端が検知されたときのZ相出力を基準とした駆動ローラ31(回転体)の回転角度から算出される測定値(計測誤差)と、からシートPの長さを補正して算出しているため、駆動ローラ31(回転体)に偏心や熱膨張等が生じてしまっても、比較的簡易な方法でシートPの長さを高精度に計測することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、画像転写部(2次転写ニップ)に向けて搬送されるシートP(記録媒体)の長さを計測するシート長計測装置30に対して本発明を適用した。
【0079】
これに対して、図9に示すように、原稿読取部95(コンタクトガラス96)に向けて搬送されるシート(原稿D)の長さを計測するシート長計測装置130に対して本発明を適用することもできる。ここで、図9に示す原稿搬送部90は、原稿読取部95(コンタクトガラス96)の上流側に、スプリング98により付勢されたプラテンガイド97が圧接して、原稿D(シート)の搬送にともない図9の反時計方向に回転する搬送ローラ93(回転体)が設置されている。そして、この搬送ローラ93の軸部に、回転量計測手段としてのエンコーダ135が設置されている。また、搬送ローラ93(回転体)の下流側には、原稿Dの先後端を検知する位置検知手段としての位置検知センサ136が設置されている。そして、エンコーダ135や位置検知センサ136は演算部37に接続されていて、本実施の形態におけるエンコーダ35や位置検知センサ36と同様に動作して、シート(原稿D)のシート長の補正計算がされることになる。そして、補正計算されたシート長に基いて、原稿Dに対する原稿読取部95の読み取り倍率が調整される。
【0080】
(第2の実施の形態)
この実施の形態では、前述した図1の画像形成装置、図2の作像部と同様の構成を用い、本実施の形態において特徴的なシート長計測装置30について詳述する。
【0081】
図10は、第2の実施の形態にかかるシート長計測装置の構成とその近傍の構成を示す説明図である。本構成は前述した図3の構成に対して、エンコーダ35と演算部37の間にZ相生成部40を配置した点が異なる。なお、他の構成については図3と同一機能を有するものについては、同様の符号を付し、その重複説明について省略する。
【0082】
図10に示すように、シート長計測装置30は、回転体としてのレジストローラ対31、32、位置検知手段(通過検知手段)としての位置検知センサ36、回転量計測手段としてのエンコーダ35、記憶手段としての記憶部38、Z相生成手段としてのZ相生成部40(Z相検知部)、演算部37、画像調整部39、などを有する。CPU50はROM51に格納されている制御プログラムにしたがって後述するZ相生成部40、演算部37、画像調整部39の機能を実現している。また、RAM52はCPU50の制御時においてワーキングメモリなどに用いる。
【0083】
Z相生成手段としてのZ相生成部40は、エンコーダ35(回転量計測手段)によって計測された駆動ローラ31(回転体)の1回転分の回転ムラから駆動ローラ31が1回転するごとのZ相としてのパルス信号を生成して出力する。すなわち、Z相生成部40(Z相生成手段)は、駆動ローラ31の回転における原点信号(Z相)を得るためのセンサ等の特別な部材の設置を必要とせず、エンコーダ35の計測結果に基いて原点信号(Z相)を検知し、Z相としてのパルス信号を出力するものである。
【0084】
記憶手段としての記憶部38は、Z相生成部40で生成・出力(検知)されたZ相の出力を基準としてエンコーダ35(回転量計測手段)によって計測される駆動ローラ31(回転体)が1回転するときの回転角度(回転量)の計測誤差を記憶する。このときの計測誤差は、代表的なものが、前述の図4に示す正弦状の波形に対応するものであって、演算部37で算出される。
【0085】
また、演算部37(搬送量算出手段)は、位置検知センサ36によってシートPの先端が検知されたときのZ相の出力(Z相生成部40で生成・出力されたものである。)を基準とした駆動ローラ31の回転角度から算出される偏差(計測誤差Uと、位置検知センサ36によってシートPの後端が検知されたときのZ相の出力(Z相生成部40で生成・出力されたものである。)を基準とした駆動ローラ31の回転角度から算出される偏差(計測誤差)と、からシートPの長さ(搬送方向の長さ)を補正して算出する。
【0086】
このように、本実施の形態では、演算部37にて、エンコーダ35から得られる回転量の情報と、位置検知センサ36から得られるシートPの先後端が通過するときの信号と、記憶部38に記憶された駆動ローラ31の回転量の誤差についての情報と、からシート長を補正して算出する。なお、Z相生成部40や演算部37や記憶部38は、装置本体100の画像調整部39とともに、マイクロコンピュータやDSP等のプログラム演算処理装置として装置本体100に内蔵することができる。
【0087】
以下、上述したシート長の補正算出の手順について、さらに詳しく説明する。なお、ここでは、前述した図4〜図6を参照した説明についてはシート長の補正算出の手順であることから重複説明を含めるものとする。
【0088】
図4は、駆動ローラ31(回転体)に偏心があるときの、シート搬送距離と回転体検知距離との関係を示すグラフである。図4において、横軸はシートPの搬送量(シート搬送距離)を示し、縦軸はエンコーダ35によって計測される回転量(回転体検知距離)を示す。
【0089】
エンコーダ35によって回転量が計測される回転体(本実施の形態では駆動ローラ31である。)に偏心や変形があると、回転体の中心から外周面までの距離が変化するため、回転体の回転角度と外周面の搬送量(移動量)とが比例しなくなる。特に、回転体に偏心がある場合には、図4に示すように、回転体が1回転する周期(1回転周期)で正弦状の波形の変化(偏差)が発生する。ここで、図4中の、破線で示す直線は、偏心や変形のない理想的な回転体における、シート搬送距離と回転体検知距離との関係を示すものである。
【0090】
図4を参照して、駆動ローラ31(回転体)が回転してシートPが搬送され、シートPの先端位置がグラフ中の「Ms」、後端位置がグラフ中の「Me」であるとき、エンコーダ35で計測される回転量に回転体(駆動ローラ31)の平均半径を乗算して算出されるシート長「H’」は、本来のシート長「H」に対して、
偏差の値: Hs=d・sin(θ1+φ) …(1)
偏差の値: He=d・sin(θ2+φ) …(2)
の偏差分が加算された値になる(H’=H+Hs+He)。ここで、上式において、dは偏心による誤差振幅、θ1はシート先端を検知したときの回転体位相、θ2はシート先端を検知したときの回転体位相、φは回転体位相と偏心正弦波の位相差、である。
【0091】
本実施の形態におけるシート長計測装置30(画像形成装置100)では、まず、図4に対応するような駆動ローラ31(回転体)の変化(偏心)が生じたときに、その状態がエンコーダ35によって計測されて、演算部37で算出される。そして、記憶部38に、演算部37で算出された計測誤差(正弦波形状の誤差である。)が記憶される。このような計測誤差の計測・記憶は、シートPの搬送がおこなわれる前の非搬送時に予め実行されることが好ましい。
【0092】
そして、シートPの先後端が位置検知センサ36の位置をそれぞれ通過するときに、そのタイミングを位置検知センサ36によって検知して、それに基いて(1)、(2)式の「Hs」、「He」が求められる。そして、最後に、求めた「Hs」、「He」を計測値から演算により算出された「H’」から減算して、補正後のシート長「H”」(=H’−(He+Hs))を算出する。
【0093】
このように、本実施の形態におけるシート長の補正・算出は、シートPの先端についてのZ相出力からの回転角度(位相)と、シートPの後端についてのZ相出力からの回転角度(位相)と、からそれぞれの計測誤差を算出しておこなうものである。
【0094】
図5は、シート長計測装置30におけるカウンタ部を示すブロック図である。図5に示すように、カウンタ部には、エンコーダカウンタ351の他に、位相を計測するための位相カウンタ352が設けられている。位相カウンタ352には、エンコーダの入力と、エンコーダ35のZ相の入力と、がされる。また、位相カウンタ352では、エンコーダカウンタ351と同様に、カウンタ値のラッチに位置検知センサ36の信号入力が用いられている。
【0095】
図6を参照して、駆動ローラ31(回転体)が回転すると、エンコーダパルスが発生して、駆動ローラ31の回転誤差に応じてカウント誤差が発生する。このカウント誤差は、回転体としての駆動ローラ31の形状誤差によって、その波形も異なる。一方、位相カウンタは、エンコーダのZ相によって毎回リセットされるので、位置検知センサの信号が立ち上がってカウント値(エンコーダカウンタ)がラッチされるときのカウント値はZ相が発生してからのカウント値になり、シートPの先端の位相θ1が計測される。さらに、位相カウンタが位置検知センサの立ち下がりでもラッチされて、シートPの後端の位相θ2が計測される。そして、このようにして得られた先端位相(θ1)と後端位相(θ2)とが上式(1)、(2)に代入されて、計測誤差を補正したシート長H´が計算されることになる。
【0096】
また、エンコーダカウンタ351のエンコーダカウント値を使って、次式によってシート長H´を計算することができる。駆動ローラ31(回転体)の一回転におけるエンコータパルスカウント数(エンコーダ分割数)をPencとし、駆動ローラ31の半径をrとし、エンコーダカウンタ351で得られたカウント値をCntとすると、
H’=Cnt・2πr/Penc
となる。
【0097】
また、先端位相(θ1)と後端位相(θ2)とは、それぞれの位相カウント値をCph1、Cph2とすると、次式で計算できる。
θ1=(Cph1/Penc)・2π 〔rad〕
θ2=(Cph2/Penc)・2π 〔rad〕
【0098】
以下、図11を用いて、Z相生成部40(Z相生成手段)においてZ相を検知する制御について説明する。
【0099】
まず、記録媒体Pの通紙が開始されて、駆動ローラ31(回転体)が回転すると(ステップS1〜S2)、エンコーダ35によって駆動ローラ31の回転角度が演算部37やZ相生成部40に取り込まれる(ステップS3)。
【0100】
詳しくは、駆動ローラ31に設置されたエンコーダ35からのパルス信号が位相カウンタ352に入力され、エンコーダカウンタ351でカウントされたエンコーダパルスのカウント値が出力される。そして、演算部37にて、エンコーダカウント値が取得されて、回転角度に変換される。なお、位相カウンタ352は、360°に相当するカウントでリセットされるように設定しておき、0°〜360°の回転角度が得られるようにする。
【0101】
このような回転角度の取り込みは、一定のサンプリング周期でおこなわれて、サンプリング周期ごとにステップS4以降の処理がおこなわれる。
【0102】
まず、取り込まれた回転角度から回転角度誤差(回転角度偏差)が算出される。そして、算出した回転角度誤差が最大値として保存してある値と比較して大きいかが判別される(ステップS4)。その結果、算出した回転角度誤差が最大値であるときには、その値を最大値として更新(保存)する(ステップS5)。なお、回転角度誤差は、駆動ローラ31(回転体)が一定の角速度で回転していると仮定したときの回転角度(参照角度)と、取り込まれた回転角度と、の差によって計算する。
【0103】
次に、算出した回転角度誤差が最小値として保存してある値と比較して小さいかが判別される(ステップS6)。その結果、算出した回転角度誤差が最小値であるときには、その値を最小値として更新(保存)する(ステップS7)。
【0104】
次に、回転角度が360°以上であるかが判別される(ステップS8)。その結果、回転角度が360°以上であると判別された場合には、Z相の検知(Z相探索)がおこなわれる(ステップS9〜S10)。
【0105】
具体的に、図12をも参照して、Z相探索は、閾値として「(最大値(Max)−最小値(Min))/2」を設定して(ステップS9)、回転誤差が閾値を超える「立上りエッジ」を検知する(ステップS10)ことでおこなわれる。すなわち、図12に示すような回転角度の取り込みがおこなわれた場合に、図中の「Max」の位置が最大値として「Min」の位置が最小値として検出されて、図中の「Z相」が検知されることになる。
【0106】
そして、ステップS9〜S10にて、Z相が検知されたら、そのときの回転角度を記憶部38に記憶する(ステップS11)。また、そのままシート長の計測をスタートさせる場合には、Z相が検知された時点で回転角度をリセットして360°ごとにZ相パルスを出力するか、または、記憶部38に記憶した回転角度になったらZ相を出力する(ステップS11)。そして、本制御フローを終了する(ステップS12)。
【0107】
次に、図13、図14を用いて、高精度にZ相を検知する方法について説明する。エンコーダ35によって、例えば、図13に示すような駆動ローラ31(回転体)の一回転ごとの偏心誤差の波形が取得される。このような波形は、以下のような手順で生成される。
【0108】
(1)駆動ローラ31(回転体)を回転させて、回転が安定するまで待つ。
(2)エンコーダカウンタ351をスタートさせて、一定時間ごとにエンコーダカウント値をサンプリングして、時間ごとの回転量を記憶部38に蓄積する。
(3)予め決めておいた周回数(N)相当の時間のデータを取り込めたら、駆動ローラ31の回転を停止する。
(4)駆動ローラ31の回転が停止したらデータの取り込みを終了する。
(5)蓄積されたエンコーダカウント値の配列を回転角度に変換する。
(6)取り込みを開始してから、周回数(N)相当の時間のデータを蓄積データから抽出する。
(7)回転角度は時間に対しほぼ線形に増加していくので、一次関数にフィッティングをおこない、フィッティングした関数を引き算する。この操作で0中心に変動する計測誤差が得られる。
(8)得られた計測誤差波形を駆動ローラ31の回転に相当する時間ごとに切り出す。
【0109】
以上の手順によって、図13に示すような駆動ローラ31の回転ごとの計測誤差波形を得ることができる。
【0110】
図14は、図13の周回ごとのデータに対して平均化処理をおこない、さらに正弦関数にフィッティングした例である。平均化処理によって、駆動ローラ31(回転体)の周期成分以外のノイズ成分が除去され、駆動ローラ31の一回転に含まれる変動成分が抽出される。そして、正弦波にフィッティングした結果、図14の例では、振幅が0.022になり、位相が89.4°となった。そして、このようにして得られた位相(89.4°)を、回転体としての駆動ローラ31の原点信号(Z相)として使用する。
【0111】
このような動作制御において、駆動ローラ31が回転停止した回転角度が記憶されているので、次の動作から位相カウンタが360°回転ごとにリセットされるように設定して、回転開始から89.4°回転したところで一度カウンタリセットをおこなえば、カウンタのリセット位置が誤差変動の位相0°の角度と一致することになる。そして、カウンタリセットのタイミングでパルスを出力することで、Z相として使用することができる。
【0112】
このように本実施の形態では、エンコーダ35の計測結果に基いてZ相生成部40にてZ相を検知(生成・出力)している。そして、シートPの先端と後端とのそれぞれのZ相からの位相を検知して、算出された先端と後端とのそれぞれの計測誤差を既知のシート長(基準となるシート長)に加算するだけで、容易にシート長補正演算をおこなっている。したがって、回転体としての駆動ローラ31に偏心や熱膨張等が生じてしまっても、比較的簡易な方法でシートPの長さを高精度に計測することができる。
【0113】
ここで、本実施の形態におけるシート長計測装置30は、両面プリントをおこなう場合において、オモテ面プリント時に2次転写ニップに向けて搬送されるシートPのシート長と、ウラ面プリント時に2次転写ニップに向けて搬送されるシートPのシート長と、をそれぞれ計測できるように、2次転写ニップに至る第2搬送経路K2中の位置(レジストローラ対31、32の位置である。)に設置されている。これにより、1つのシート長計測装置30によって、両面プリント時においてオモテ面とウラ面とに2次転写ニップの位置でそれぞれ画像が転写される前のシート長を高精度に求めることができる。
【0114】
ここで、本実施の形態におけるシート長計測装置30によって求められたシート長「H’」(補正計算されたものである)の結果は、画像調整部39に送られる。そして、画像調整部39によって、シート長「H’」に基いた画像倍率の調整がおこなわれる。すなわち、シートPの大きさに応じて、露光部7によって各作像部6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム上に形成される潜像の画像倍率が最適化されるように調整される。
【0115】
特に、両面プリントがおこなわれる場合において、ウラ面プリント時のシートPは、オモテ面プリント時のものと異なり、定着部20で熱を受けて伸長していることが多い。そのため、定着熱によるシートPのシート長変化による両面プリント時の表裏の画像倍率変化を補正して、両面の位置が揃った両面プリント出力をおこなう。すなわち、オモテ面プリント時とウラ面プリント時とにそれぞれシートPのシート長を正確に求めて、それに基いてそれぞれの画像倍率を最適化する。
【0116】
なお、本実施の形態では、エンコーダ35が設置される回転体としてレジストローラ対の駆動ローラ31を用いて、シートPの先後端を検知する位置検知手段として1つの位置検知センサ36を用いた。
【0117】
これに対して、図15に示すように、エンコーダ35が設置される回転体としてレジストローラ対の従動ローラ32を用いることもできるし、シートPの先後端を検知する位置検知手段として2つの位置検知センサ36A、36Bを用いることもできる。詳しくは、図15に示すシート長計測装置30は、従動ローラ32の片側軸部にエンコーダ35が設置されている。また、従動ローラ32(回転体)に対してシートPの搬送方向下流側にシートPの先端を検知する第1位置検知センサ36Aが設置され、従動ローラ32(回転体)に対してシートPの搬送方向上流側にシートPの後端を検知する第2位置検知センサ36Bが設置されている。
【0118】
また、エンコーダカウンタ351は、Z相入力として第1位置検知センサ36Aの信号が入力され、ラッチに第2位置検知センサ36Bの信号が入力されるように接続されている。位相カウンタ352は、Z相入力として演算部37(この例では、Z相生成部(Z相生成手段)が一体化されている。)で生成されたZ相が入力され、ラッチに第1位置検知センサ36Aの信号が入力されるように接続されている。
【0119】
図16は、図11のシート長計測装置30でおこなわれる計測動作(カウンタ動作)を示すタイミングチャートである。
【0120】
まず、位相カウンタ352は、Z相でリセットされて、第1位置検知センサ36Aの立ち上がりでラッチされて、シートPの先端位相が検出される。一方、エンコーダカウンタ351では、第1位置検知センサ36Aの立ち上がりでリセットされて、第2位置検知センサ36Bの立ち下がりでラッチされて、シートPが第1位置検知センサ36Aに検知されてから第2位置検知センサ36Bの位置を通過するまでのエンコーダ回転量が検知される。すなわち、シートPの全体の長さから第1位置検知センサ36Aと第2位置検知センサ36Bとの間隔を引き算した長さが検知される。したがって、シートPの長さを算出するためには、検知された回転量に第1位置検知センサ36Aと第2位置検知センサ36Bとの間隔を加算する必要がある。
【0121】
この構成では、シートPの後端位相は計測されないが、エンコーダカウンタ351によって補正前のシート長が計測されるため、計測されたシート長を「H」、回転体の周長を「H0」としたときに、次式で後端位相θ2のカウント値(Cut(θ2))を計算することができる。
Cut(θ2)=H%・H0
【0122】
なお、上式において、%は除算の剰余計算の演算子である。そして、本実施の形態と同様に、求めた位相からシート長の補正・計算がおこなわれて、それに基いて画像倍率の調整がおこなわれる。
【0123】
このように、図15のシート長計測装置30では、回転体の上流側・下流側にそれぞれ位置検知センサ36A、36Bを設置してシート長の検知・補正をおこなっているため、レジストローラ対31、32の間にシートPが突入する際の回転体(従動ローラ32)の速度変動やスリップの影響を低減することができて、より高精度なシート長計測が可能になる。
【0124】
以上説明したように、本実施の形態では、駆動ローラ31(回転体)の回転原点を得るための特別な部材を設置することなく、エンコーダ35(回転量計測手段)によって計測した駆動ローラ31の1回転分の回転ムラ(連続した偏差;1回転に含まれる変動成分)から原点信号(Z相)を生成・出力して、シートPの先端が検知されたときの原点信号出力を基準とした駆動ローラ31の回転角度から算出される値と、シートPの後端が検知されたときのZ相出力を基準とした駆動ローラ31の回転角度から算出される値と、からシートPの長さを補正して算出しているため、駆動ローラ31(回転体)に偏心や熱膨張等が生じてしまっても、比較的簡易な方法でシートPの長さを高精度に計測することができる。
【0125】
なお、本実施の形態では、画像転写部(2次転写ニップ)に向けて搬送されるシートP(記録媒体)の長さを計測するシート長計測装置30に対して本発明を適用した。
【0126】
これに対して、図17に示すように、原稿読取部95(コンタクトガラス96)に向けて搬送されるシート(原稿D)の長さを計測するシート長計測装置130に対して本発明を適用することもできる。ここで、図17に示す原稿搬送部90は、原稿読取部95(コンタクトガラス96)の上流側に、スプリング98により付勢されたプラテンガイド97が圧接して、原稿D(シート)の搬送にともない図17の反時計方向に回転する搬送ローラ93(回転体)が設置されている。そして、この搬送ローラ93の軸部に、回転量計測手段としてのエンコーダ135が設置されている。また、搬送ローラ93(回転体)の下流側には、原稿Dの先後端を検知する位置検知手段としての位置検知センサ136が設置されている。そして、エンコーダ135やZ相生成部40や位置検知センサ136は演算部37に接続されていて、本実施の形態におけるエンコーダ35やZ相生成部40や位置検知センサ36と同様に動作して、シート(原稿D)のシート長の補正計算がされることになる。そして、補正計算されたシート長に基いて、原稿Dに対する原稿読取部95の読み取り倍率が調整される。
【0127】
また、本実施の形態では、中間転写ベルト8等の中間転写体を用いたカラー画像形成装置に設置されるシート長計測装置に対して本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、例えば、中間転写体が設置されていないモノクロ画像形成装置等のその他の形態の画像形成装置に設置されるシート長計測装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。そして、その場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、トナーをシート(記録媒体)に転写する画像形成装置として説明したが、画像形成方法はこれに限らず、例えば、インクをシートに吐出して画像を形成するインクジェット方式等、他の画像形成手段を用いる構成であってもよい。
【0128】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0129】
ところで、本実施の形態で実行されるプログラムは、ROM51に予め組み込まれて提供するものとしているが、これに限定されるものではない。本実施の形態で実行されるプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0130】
また、本実施の形態で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0131】
本実施の形態で実行されるプログラムは、上述した演算部37、画像調整部39、Z相生成部40を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU50(プロセッサ)が上記記録媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM52等の主記憶装置上にロードされ、演算部37、画像調整部39、Z相生成部40が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0132】
30 シート長計測装置
31 駆動ローラ(回転体)
32 従動ローラ
35 エンコーダ(回転量計測手段)
36 位置検知センサ(位置検知手段)
36A 第1位置検知センサ(位置検知手段)
36B 第2位置検知センサ(位置検知手段)
37 演算部
38 記憶部(記憶手段)
39 画像調整部
40 Z相生成部(Z相生成手段)
50 CPU
51 ROM
52 RAM
90 原稿搬送部
95 原稿読取部
100 画像形成装置本体(装置本体)
P シート(記録媒体)
D 原稿
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【特許文献1】特開2010−241600号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送方向の移動にともなって回転する回転体と、
前記回転体の位置を通過するシートの先端と後端とをそれぞれ検知する位置検知手段と、
前記回転体の回転量を計測するとともに、前記回転体が1回転するごとに原点信号としてパルス信号を出力する回転量計測手段と、
前記原点信号の出力を基準として前記回転量計測手段によって計測される前記回転体が1回転するときの回転角度におけるシート送り量の変化を記憶する記憶手段と、
前記位置検知手段によってシートの先端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、前記位置検知手段によってシートの後端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、からシートの長さを補正して算出する演算手段と、
を備えることを特徴とするシート長計測装置。
【請求項2】
シートの搬送方向の移動にともなって回転する回転体と、
前記回転体の位置を通過するシートの先端と後端とをそれぞれ検知する位置検知手段と、
前記回転体の回転量を計測する回転量計測手段と、
前記回転量計測手段によって計測された前記回転体の1回転分の変動成分から前記回転体が1回転するごとの原点信号としてパルス信号を生成して出力する原点信号生成手段と、
前記原点信号生成手段からの前記原点信号の出力を基準として前記回転量計測手段によって計測される前記回転体が1回転するときの回転角度におけるシート送り量の変化を記憶する記憶手段と、
前記位置検知手段によってシートの先端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、前記位置検知手段によってシートの後端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、からシートの長さを補正して算出する演算手段と、
を備えることを特徴とするシート長計測装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記回転体が1回転するときの回転角度におけるシート送り量の変化として、前記回転体の原点信号を基準としたシート送り量の変化を、前記回転体の1回転を基準とした周期成分に分解し、分解された正弦波の振幅と位相を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のシート長計測装置。
【請求項4】
前記位置検知手段は、前記回転体に対してシートの搬送方向下流側に設置された1つの位置検知センサであることを特徴とする請求項1または2に記載のシート長計測装置。
【請求項5】
前記位置検知手段は、
前記回転体に対してシートの搬送方向下流側に設置されて、シートの先端を検知する第1位置検知センサと、
前記回転体に対してシートの搬送方向上流側に設置されて、シートの後端を検知する第2位置検知センサと、
であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート長計測装置。
【請求項6】
像担持体上に担持された画像をシート上に転写する画像転写部に向けて搬送される当該シートの長さを計測するように、前記画像転写部に至る搬送経路中に設置されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のシート長計測装置。
【請求項7】
シート上に形成された画像情報を読み取る原稿読取部に向けて搬送される当該シートの長さを計測するように、前記原稿読取部に至る搬送経路中に設置されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のシート長計測装置。
【請求項8】
シートの搬送方向の移動にともなって回転する回転体と、
前記回転体の位置を通過するシートの先端と後端とをそれぞれ検知する位置検知手段と、
前記回転体の回転量を計測するとともに、前記回転体が1回転するごとに原点信号としてパルス信号を出力する回転量計測手段と、
前記原点信号の出力を基準として前記回転量計測手段によって計測される前記回転体が1回転するときの回転角度におけるシート送り量の変化を記憶する記憶手段と、
前記位置検知手段によってシートの先端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、前記位置検知手段によってシートの後端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、からシートの長さを補正して算出する演算手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
シートの搬送方向の移動にともなって回転する回転体と、前記回転体の回転を計測するためのエンコーダと、記憶装置とを備えるシート長計測装置で実行されるシート長計測方法であって、
前記回転体の位置を通過するシートの先端と後端とをそれぞれ検知する位置検知工程と、
前記エンコーダにより前記回転体の回転量を計測するとともに、前記回転体が1回転するごとに原点信号としてパルス信号を出力する回転量計測工程と、
前記原点信号の出力を基準として前記回転量計測工程で計測される前記回転体が1回転するときの回転角度におけるシート送り量の変化を前記記憶装置に記憶する記憶工程と、
前記位置検知工程でシートの先端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、前記位置検知工程でシートの後端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、からシートの長さを補正して算出する演算工程と、
を含むことを特徴とするシート長計測方法。
【請求項10】
シートの搬送方向の移動にともなって回転する回転体と、前記回転体の回転を計測するためのエンコーダと、記憶装置とを備えるコンピュータで実行されるプログラムであって、
前記回転体の位置を通過するシートの先端と後端とをそれぞれ検知する位置検知ステップと、
前記エンコーダにより前記回転体の回転量を計測するとともに、前記回転体が1回転するごとに原点信号としてパルス信号を出力する回転量計測ステップと、
前記原点信号の出力を基準として前記回転量計測工程で計測される前記回転体が1回転するときの回転角度におけるシート送り量の変化を前記記憶装置に記憶する記憶ステップと、
前記位置検知ステップでシートの先端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、前記位置検知ステップでシートの後端が検知されたときの前記原点信号の出力を基準とした前記回転体の回転角度から求められる値と、からシートの長さを補正して算出する演算ステップと、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−107774(P2013−107774A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98096(P2012−98096)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】