説明

シールド掘進機及び親子シールド掘進機のスクリューコンベア支持方法

【課題】スクリューコンベア本体を簡単な機構で支持部材に変形が起こることなく支持する。
【解決手段】前端が隔壁に対して屈曲可能に取り付けられたスクリューコンベア本体17と、前端よりも後方位置にてスクリューコンベア本体17を載置することにより支持する子機スクリューコンベア支持装置44とを備えた親子シールド掘進機Aにおいて、子機スクリューコンベア支持装置44がスクリューコンベア本体17を曲面による線接触で支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機及び親子シールド掘進機のスクリューコンベア支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機には、スキンプレートが前胴と後胴に分かれ両者が屈曲可能な中折れタイプのものが知られている。(特許文献1参照)。
また、シールド掘進機には、親機が子機を包含し親機による掘進の後に親機から子機を離脱させて掘進させることにより、大口径のトンネルから小口径のトンネルを連続して構築できる親子シールド掘進機が知られている(特許文献2参照)。
ところで、シールド掘進機のスクリューコンベア本体の前端は、隔壁に取り付けられたパイプに対し球面軸受部を介して回動可能に取り付けられている(特許文献1参照)。また、スクリューコンベア本体は、そのケーシングに取付けられた支持部材を介し、シールド掘進機の外殻の内周面に設置されたスクリューコンベア受け台上に載置されることによって支持される。このとき、支持部材とスクリューコンベア受け台とはともに接触面が平らであって、面接触で接している。
例えば、親子シールド掘進機では、親機と子機とでスクリューコンベア本体の傾斜角度が変わる場合があり、このときスクリューコンベア本体の傾きの変化に従ってスクリューコンベア側の支持部材がスクリューコンベア受け台に対して傾斜することになる。このように掘進の途中でスクリューコンベア本体の傾斜角度が変化する場合、両者の面接触の関係が崩れ、鋭角の接触角度をもった線接触することになる。このとき、線接触している箇所には面接触のときよりも局所的に大きな応力が発生して一方または双方が破損することを防ぐため、スクリューコンベア受け台に楔形シムを追加することによってこの隙間を無くし、両者の面接触の関係を保つようにしていた。
特許文献3では、中折れシールド掘進機において、後胴に対して少なくとも2本のジャッキでスクリューコンベアの後部を吊り下げることにより、スクリューコンベアを上下左右移動自在としたシールド掘進機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−200783号公報
【特許文献2】特開2007−198080号公報
【特許文献3】特許第2860749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シールド掘進機が中折れタイプであった場合、スクリューコンベア受け台にシムを追加する方法では、一連の中折れ動作を行う際に支持部材とスクリューコンベア受け台との相対位置および相対角度がさらに変化し、左右の一方(中折れ方向)での点接触となってより大きな局所応力がかかる場合がある。この場合に都度楔形シム調整を行うのでは安定性、作業性が悪く、工期の延長やコストアップにつながっていた。
また、特許文献3に記載された方法では、中折れ式シールド掘進機の後胴上部にスクリューコンベア吊り下げ用ジャッキがあるため、後胴内の空間が狭くなり、前胴への通行が困難となるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、スクリューコンベア本体を簡単な機構で支持部材に変形が起こることなく支持することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、シールド掘進機に係る第1の解決手段として、前端が隔壁に対して屈曲可能に取り付けられたスクリューコンベア本体と、前端よりも後方位置にてスクリューコンベア本体を載置することにより支持するスクリューコンベア支持装置とを備えたシールド掘進機において、スクリューコンベア支持装置がスクリューコンベア本体を曲面による線接触で支持する、という手段を採用する。
【0007】
シールド掘進機に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、スクリューコンベア支持装置はスクリューコンベア本体に取り付けられた支持部材とシールド掘進機の外殻の内周面に設けられた受け台とからなり、支持部材と受け台の少なくとも一方が他方との接触箇所において曲面を有する、という手段を採用する。
【0008】
シールド掘進機に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記受け台は、側面と上面とが連続した凸型曲面を形成する曲面状部材を有する、という手段を採用する。
【0009】
シールド掘進機に係る第4の解決手段として、上記第2又は第3のいずれかの解決手段において、受け台と支持部材との接触箇所をシールド掘進機の進行方向に対して左右方向にはさむ位置で受け台に設けられた2以上のピン穴と、ピン穴に挿入可能であるとともに挿入時にはピン穴から頭部が突出するようになっているピン部材とを有する、という手段を採用する。
【0010】
シールド掘進機に係る第5の解決手段として、上記第2〜第4の解決手段において、シールド掘進機はその外殻が前胴と後胴に分かれ両者が屈曲可能な中折れシールド掘進機であって、スクリューコンベア本体が前胴前方に設けられた隔壁に対して取り付けられると共に、受け台が後胴に設けられている、という手段を採用する。
【0011】
また、本発明では、親子シールド掘進機のスクリューコンベア支持方法に係る解決手段として、親機による掘進の後親機から子機を離脱させ子機による掘進を行う親子シールド掘進機であって、前端が隔壁に対して屈曲可能に取り付けられたスクリューコンベア本体と、前端よりも後方位置にてスクリューコンベア本体を載置することにより支持するスクリューコンベア支持装置とを備えた親子シールド掘進機のスクリューコンベア支持方法において、親機から子機を離脱させる際に、スクリューコンベア支持装置を親機用から子機用に交換し、子機用のスクリューコンベア支持装置は、スクリューコンベア本体を曲面による線接触で支持する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スクリューコンベア支持装置がスクリューコンベア本体を曲面による線接触で支持するので、スクリューコンベア本体を簡単な機構で支持部材に変形が起こることなく支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る親子シールド掘進機Aの親機Bの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る親子シールド掘進機Aの子機Cの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る親子シールド掘進機Aの親機Bにおけるスクリューコンベア支持装置18の詳細構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る親子シールド掘進機Aの子機Cにおける子機スクリューコンベア支持装置44の詳細構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
最初に、図1及び図3を参照して、本実施形態に係る親子シールド掘進機Aの親機Bについて説明する。親子シールド掘進機Aは、親機Bと子機C(図2参照)とからなり、親機Bはリング状の親機本体1が子機本体2を包含するものである。
【0015】
以下の説明において、図1、図2、図3及び図4で矢印で示す方向をx、y、z方向とする。
図1においては、紙面前後方向をx軸、上下方向をy軸、左右方向をz軸として説明する。なお、z軸は、親子シールド掘進機Aの中心軸と一致する。
【0016】
親機Bは、スキンプレート3と、カッタヘッド部4と、隔壁5と、エレクタ装置6と、スクリューコンベア装置7とを有する。
【0017】
スキンプレート3は、円形中空の筒部材であって、親機Bの外殻をなすものである。スキンプレート3は、前胴8と後胴9とに分かれ、両者は屈曲可能に接合している。すなわち、後胴9の先端部には球面加工が施されており、この球面加工箇所が前胴8の後端部に挿入されることにより、前胴8と後胴9とは屈曲自在になっている。この挿入部分に掘削土砂や泥水等が浸入するのを防止するため、前胴8の後端部付近には中折れシール10が取付けられており後胴9との間をシールする。また、スキンプレート3の内側には親機Bを任意の方向に中折れさせるための中折れジャッキ11が周方向に複数配置されている。中折れジャッキ11は、その前端が前胴8に、後端が後胴9にそれぞれ連結されている。
【0018】
カッタヘッド部4は、親子シールド掘進機Aの掘進方向前方に位置し、油圧モータ等の駆動装置により回転して前方の土砂を掘削するものである。
【0019】
隔壁5は、スキンプレート3の前部分(カッタヘッド部4の後ろ側)に設けられた壁であり、カッタヘッド部4によって掘削された土砂を取り込む空間であるチャンバ12を前胴8の先端部とともに形成するものである。隔壁5の下方(−y方向)には、円形の開口部5aが設けられている。開口部5aは、隔壁5のうち後述する子機隔壁33との共通箇所に1箇所設けられている。
【0020】
エレクタ装置6は、親機Bが掘削した後のトンネル穴にセグメントSを組み立てるための装置である。エレクタ装置6は、旋回リング13とセグメント組立装置14を有する。旋回リング13は、セグメント組立装置14によってセグメントSを360度任意の方向に取付けるためのリング形状の旋回装置であり、ローラ15によって回転自在に支持されている。セグメント組立装置14は、セグメントSを把持してトンネル穴の壁面に取付ける装置である。
【0021】
スクリューコンベア装置7は、カッタヘッド部4によって掘削されてチャンバ内に取り込まれた土砂を後方へ排出する排土装置である。スクリューコンベア装置7は、パイプ16、スクリューコンベア本体17、スクリューコンベア支持装置18を有する。
【0022】
パイプ16は、中空の円筒形状をしており、その外径は開口部5aとほぼ等しい。パイプ16は、一端が開口部5aに挿入され、隔壁5に取り付けられている。パイプ16は、隔壁5から親機B後方(z方向)に取り付けられ、後方へ行くにつれて上方(+y方向)に傾斜している。
【0023】
スクリューコンベア本体17は、ケーシング19と、フライト20と、駆動機器21とを備える。ケーシング19は中空の円筒形状をなし、一端はパイプ16に屈曲可能に取り付けられている。これは言い換えれば、スクリューコンベア本体17が、パイプ16を介して隔壁5に屈曲可能に取付けられているということである。ケーシング19は、パイプ16から親機B後方(+z方向)に向かって取り付けられ、後方へ行くにつれて上方(+y方向)に傾斜している。ケーシング19とパイプ16との取付け部分は、次のような構造となっている。すなわち、ケーシング19は球面加工が施された球面部19aを有し、パイプ16にはこの球面部19aを受ける球面受部16aを有する。この球面部19aと球面受部16aとからなる球面軸受構造によって、ケーシング19とパイプ16とが屈曲可能となっている。フライト20は螺旋形状の部材であり、ケーシング19とパイプ16の中に挿入されている。フライト20の一端はパイプ16からチャンバ12内に突出している。フライト20は、ケーシング19及びパイプ16内で回転可能である。駆動機器21は、フライト20を回転させるためのモータである。
【0024】
ここで、これらの構成からなるスクリューコンベア本体17(ケーシング19)とz軸とのなす傾斜角をθとする。スクリューコンベア本体17は、親機B内後方に設置されているその他の機器に干渉しないように配置されている。特に、エレクタ装置6に対しては、旋回リング13やセグメント組立装置14と干渉しないようにスクリューコンベア本体17の傾斜角θを設定してある。スクリューコンベア本体17は、旋回リング13のリングの内側を通って親機Bの後方へと延びている。
【0025】
スクリューコンベア支持装置18は、支持部材22と、板状受け台23と、係止ピン24とからなる(図1、図3参照)。
【0026】
支持部材22は、上面、底面及び側面とを有し、上面がケーシング19(スクリューコンベア本体17)に溶接によって取り付けられている。前述のとおりスクリューコンベア本体17は親機Bの+z方向へ向かうにつれて+y方向に向かうように傾斜しているが、支持部材22の底面は、支持部材22の底面がxz平面と平行となるように設定されている。
【0027】
板状受け台23は、受け台本体23aと、板状部材23bとからなる。受け台本体23aは、子機本体2の子機前胴36(後述する)等を介して親機Bの前胴8に取付けられる部材であって、上面がxz平面と平行である。板状部材23bは長方形の板状の部材であり、図3(a)に示すように、長方形の長辺がx軸方向、短辺がz軸方向を向くようにボルト25によって受け台本体23a上に固定されている。
【0028】
よって、板状部材23bの上面と支持部材22の底面とはxz平面と平行な面において面接触で接しており、板状受け台23は支持部材22を介してスクリューコンベア本体17を支持している。
また、板状部材23bの上部には、円形状の穴であるピン穴26が6個設けられている。このピン穴26は2個で1対(つまり本実施例では3対)となっており、1対のピン穴26の距離は支持部材22の底面のx軸方向の幅Lよりもやや広く設定されている。そして、3対のピン穴26のうち、1対は支持部材22が板状部材23bのx軸方向中央にあるとした場合に支持部材22を挟む位置に設けられており、残りの2対は板状部材23bがx軸方向の両端(+x側、−x側)にあるとした場合に支持部材22を挟む位置にそれぞれ設けられている。
【0029】
係止ピン24は、頭部24aと挿入部24bとからなる。本実施例では頭部24a、挿入部24bは共に円柱形状であって、頭部24aの直径はピン穴26の直径よりも大きく、かつ、挿入部24bの直径はピン穴の直径よりも小さく設定されている。また、係止ピン24は、鎖27によって板状受け台23側につながれている。
【0030】
次に、図2及び図4を用いて、親子シールド掘進機Aの子機Cについて説明する。子機Cは、前述した親機Bの親機本体1に包含された子機本体2が親機本体1から離脱し、独立したシールド掘進機となったものである。なお、親機Bと共通している部品等については同じ符号を使用する。また、親機Bと重複する構造については適宜省略して説明する。
【0031】
子機Cは、子機スキンプレート31と、子機カッタヘッド部32と、子機隔壁33と、子機エレクタ装置34と、子機スクリューコンベア装置35とを有する。
【0032】
子機スキンプレート31は、円形中空の筒部材であって、子機Cの外殻をなすものである。子機スキンプレート31は、子機前胴36と子機後胴37とに分かれ、両者は屈曲可能に接合している。本実施例では、子機後胴37の先端部には球面加工が施されており、この球面加工箇所が子機前胴36の後端部に挿入されることにより、子機前胴36と子機後胴37とは屈曲自在になっている。この挿入部分に掘削土砂や泥水等が浸入するのを防止するため、子機前胴36の後端部付近には子機中折れシール38が取付けられており、子機後胴37との間をシールする。
【0033】
なお、子機後胴37は、上述した親機Bの前胴8及び後胴9を親機本体1から離脱させた後に、子機前胴36の後端部に追加・合体させることにより設けられる。子機Cは、親機Bと比べてスキンプレートの径は小さく(xy面)、また全長が短い(z軸)。また、子機スキンプレート31の内側には子機Cを任意の方向に中折れさせるための子機中折れジャッキ39が複数配置されている。子機中折れジャッキ39は、前端が子機前胴36に、後端が子機後胴37に連結されている。
【0034】
子機カッタヘッド部32は、子機スキンプレート31の掘進方向前方に位置し、油圧モータ等の駆動装置により回転して前方の土砂を掘削するものである。
【0035】
子機隔壁33は、スキンプレートの前部分(子機カッタヘッド部32の後ろ側)に設けられた壁であり、子機カッタヘッド部32によって掘削された土砂を取り込む空間である子機チャンバ40を子機前胴36の先端部とともに形成するものである。子機隔壁33の下方(−y方向)には、円形の開口部5a(親機Bと同一)が設けられている。
【0036】
子機エレクタ装置34は、親機Bが掘削した後のトンネル穴に小径セグメントS´を組み立てるための装置である。子機エレクタ装置34は、子機旋回リング41と子機セグメント組立装置42を有する。子機旋回リング41は、子機セグメント組立装置42によって小径セグメントS´を360度任意の方向に取付けるためのリング形状の旋回装置であり、子機ローラ43によって回転自在に支持されている。子機セグメント組立装置42は、小径セグメントS´を把持してトンネル穴の壁面に取付ける装置である。
【0037】
子機スクリューコンベア装置35は、子機カッタヘッド部32によって掘削されて子機チャンバ40内に取り込まれた土砂を後方へ排出する排土装置である。子機スクリューコンベア装置35は、パイプ16、スクリューコンベア本体17、子機スクリューコンベア支持装置44を有する。すなわち、パイプ16及びスクリューコンベア本体17は、親機Bで使用したものを子機Cにおいても兼用している。
【0038】
パイプ16は、一端が開口部5aに挿入され、子機隔壁33に取り付けられている。パイプ16は、子機隔壁33から子機C後方(z方向)に取り付けられ、後方へ行くにつれて上方(y方向)に傾斜している。このパイプ16の傾斜角度は、親機Bの場合と同一である。
【0039】
スクリューコンベア本体17は、パイプ16を介して子機隔壁33に屈曲可能に取付けられている。ケーシング19は、パイプ16から子機C後方(z方向)に取り付けられ、後方へ行くにつれて上方(+y方向)に傾斜している。スクリューコンベア本体17(ケーシング19)とz軸とのなす傾斜角をθ´とする。この傾斜角θ´は親機Bにおける傾斜角θよりも大きい角度である。
スクリューコンベア本体17は、子機C内後方に設置されているその他の機器に干渉しないように配置されている。特に、子機エレクタ装置34に対しては、子機旋回リング41や子機セグメント組立装置42と干渉しないようにスクリューコンベア本体17の傾斜角θ´は設定してある。
スクリューコンベア本体17は、子機旋回リング41のリングの内側を通って子機Cの後方へと延びている。子機Cは親機Bと比較して子機スキンプレート31の径は小さく全長が短いため、子機旋回リング41は、親機Bの旋回リング13の位置よりも径が小さく、かつ、子機Cの前方に位置することとなる。したがって、スクリューコンベア本体が他の機器と干渉することなく子機旋回リング41のリングの内側を通るためには、スクリューコンベア本体17を親機B内に設置していたときよりも急な角度で子機C内に設置する必要がある。よって、子機Cにおける傾斜角θ´は親機Bにおける傾斜角θよりも大きい角度となる。
【0040】
子機スクリューコンベア支持装置44は、支持部材22と、曲面状受け台45と、係止ピン24とからなる(図2、図4参照)。
【0041】
支持部材22は、親機Bに使用したものを兼用している。スクリューコンベア本体17が傾斜角θで傾斜している場合に底面がxz平面と平行になるように設定されているため、支持部材22の底面は図4に示すように子機Cにおいてはxz平面に対して(θ´−θ)の傾斜角度を有している。
【0042】
曲面状受け台45は、受け台本体23aと、曲面状部材46とからなる。受け台本体23aは、親機Bにおける板状受け台23で使用した受け台本体23aを子機Cにおける曲面状受け台45において兼用する。曲面状部材46は、下面が長方形の平面、かつ側面と上面とが連続した凸型曲面(上側面)を形成する部材(かまぼこ型部材)である。曲面状部材46は、その下面が受け台本体23aの上面と接する。曲面状部材46の下面は、長方形の長辺がx軸方向、短辺がz軸方向を向くようにボルト47によって受け台本体23a上に固定されている。曲面状部材46は、下面の長辺方向において同一の断面形状を持っている。
【0043】
よって、支持部材22の底面は、曲面状部材46の凸型曲面(上側面)と常に線接触で接することとなる。このようにして、曲面状受け台45は、支持部材22を介してスクリューコンベア本体17を支持する。また、曲面状部材46の上部には、円形状の穴であるピン穴48が6個(3対)設けられている。このピン穴48は2個で1対(つまり本実施例では3対)となっており、1対のピン穴48の距離は支持部材22の底面のx軸方向の幅Lよりもやや広く設定されている。そして、3対のピン穴48のうち、1対は支持部材22が曲面状部材46のx軸方向中央にあるとした場合に支持部材22を挟む位置に設けられており、残りの2対は曲面状部材46がx軸方向の両端(+x側、−x側)にあるとした場合に支持部材22を挟む位置にそれぞれ設けられている。
【0044】
係止ピン24は、親機Bで使用したものを兼用しており、頭部24aの直径はピン穴48の直径よりも大きく、かつ、挿入部24bの直径はピン穴48の直径よりも小さく設定されている。係止ピン24は、鎖27によって板状受け台23側につながれている。
【0045】
続いて、上記構成の親子シールド掘進機Aの動作について説明する。
図1に示すように、親子シールド掘進機Aは、親機Bの掘進によってスキンプレート3の外径と略同等のトンネルを地中に形成する。まず、親機Bは、モータ等の駆動装置によってカッタヘッド部4が回転して地山を掘削し、チャンバ12内へ土砂を取り込む。取り込まれた土砂は隔壁5の下方に設けられた開口部5aからスクリューコンベア装置7によって親機Bの後方まで運ばれる。スクリューコンベア装置7は、開口部5aからチャンバ12内に突出したフライト20が駆動機器21によって回転することによって土砂を後方まで運ぶことができるようになっている。
【0046】
親機Bが直進方向に掘進する場合には、スクリューコンベア支持装置18の板状受け台23は、板状部材23bのx軸方向ほぼ中央位置にて支持部材22を受けている。板状部材23bと支持部材22とはxz平面と平行な面において面接触で接している。そして、板状部材23bの当該接触箇所の両側に配置された1組のピン穴26に係止ピン24を差し込むことによって、支持部材22がx方向にずれないように固定している。
【0047】
親機Bが、前胴8と後胴9との間で左に(+x方向に)中折れをする際には、まず、カッタヘッド部4による掘削を行いながら中折れジャッキ11をすべて一様に伸ばすことにより、前胴8と後胴9とを引き離す(先行伸ばし)。これは、中折れ時に前胴8が後胴9に対して屈曲した場合に、後胴9の挿入部分がスキンプレート3内部の部材等と干渉しないようにするためである。その後、スキンプレート3内の右側に配置された中折れジャッキ11を伸長させることによって、前胴8を後胴9に対して左向きに屈曲させることができる。この状態で親機Bを掘進させることによって、左曲がりのトンネルを構築することができる。
【0048】
親機Bが左に中折れをする際には、スクリューコンベア本体17がエレクタ装置6や構築したトンネル等にぶつからないようにするため、スクリューコンベア本体17を中折れに追従させて移動させる必要がある。その作業は以下のように行う。まず、先行伸ばし後、板状部材23bのピン穴26に差し込まれている係止ピン24をすべて除去する。そして、親機Bが左に屈曲するのに合わせて、スクリューコンベア本体17を板状受け台23の上を滑らせながら左方向へ人手によって動かす(図3(a)二点鎖線の位置)。その後、移動後のスクリューコンベア本体17が板状受け台23に対してx軸方向に移動しないように、支持部材22の両側に配置された1組のピン穴26に係止ピン24を差し込む。なお、スクリューコンベア本体17は中折れの角度に応じてどの程度滑らせるかをあらかじめ決めてあり、1組のピン穴26は板状部材23bの左側寄り(+x側)特定位置にあらかじめ設けられている。
【0049】
なお、スクリューコンベア装置7を構成するパイプ16、スクリューコンベア本体17、及びスクリューコンベア支持装置18はすべて親機Bの前胴8側に取付けられているため、中折れの際にはすべて前胴8とともに動くことになる。したがって、中折れの前後で支持部材22の下面と板状受け台23の上面とは常にxz平面と平行な面を保ったままであり、面接触の関係が保たれている。よって、スクリューコンベア支持装置18は、中折れの前後を通して安定してスクリューコンベア本体17を支持することができる。
【0050】
親機Bが前胴8と後胴9との間で右に(−x方向に)中折れをする場合にも、上記と同様の動作で行われる。
【0051】
このような親機Bによるトンネル構築が終了し、このトンネルよりも小径のトンネルを構築する場合には、親機Bの親機本体1から子機本体2を離脱させることによって親機Bを子機Cに変更する。すなわち、親機Bからエレクタ装置6を除去し、子機後胴37に外殻部材を追加して後方に延長させ、さらに子機エレクタ装置34を装備する(図2参照)。そして、このようにしてトンネル中で組み上げられた子機Cを掘進させて親機Bで構築した大径のトンネルに連続する小径のトンネルを地中に構築する。
【0052】
すなわち、子機Cにおいて、スクリューコンベア本体17は、子機旋回リング41のリングの内側を通って子機Cの後方へと延ばす必要がある。ここで、子機旋回リング41は親機Bの旋回リング13の位置よりも径が小さく、かつマシンの前方に位置している。よって、スクリューコンベア本体が他の機器と干渉することなく子機旋回リング41のリングの内側を通るように、スクリューコンベア本体17は親機B内に設置していたときの傾斜角θよりも急な傾斜角θ´が設定されることになる。
【0053】
スクリューコンベア本体17を子機スクリューコンベア支持装置44で支持するまでの手順は以下のとおりである。
【0054】
まず、スクリューコンベア本体17(図1参照)を、図示しない何らかの手段(チェーンブロック等でトンネル上方から吊り下げる、トンネル下方から持ち上げる等)によって持ち上げて、スクリューコンベア支持装置18の支持部材22を板状受け台23から上方へ離間させる。そして、図3に示すボルト25を取り外して、受け台本体23aから板状部材23bを取り除く。その後、図4(b)に示すように、受け台本体23aに曲面状部材46をボルト47によって取付ける。
【0055】
そして、持ち上げていたスクリューコンベア本体17を曲面状部材46上に支持部材22を介して載置する。このとき、支持部材22の底面はxz平面に対し(θ´−θ)の角度をもつが、曲面状部材46の上側面は凸型曲面なので、支持部材22の底面は曲面状部材46の凸型曲面(上側面)と線接触で接することとなる。本実施形態では、曲面状部材46上面の凸型曲面(上側面)は円弧形状であるため、両者はx軸と平行な線での線接触となる。このようにして、曲面状受け台45は、支持部材22を介してスクリューコンベア本体17を支持する。なお、曲面状受け台45は、スクリューコンベア本体17の傾斜角がθ´となるように、あらかじめ高さが設定してある。
【0056】
子機Cでは、このように親機用のスクリューコンベア支持装置18を子機用のスクリューコンベア支持装置、つまり子機スクリューコンベア支持装置44に変更し、この子機スクリューコンベア支持装置44でスクリューコンベア本体17を支持する状態で、スキンプレート31の外径と略同等のトンネルを地中に形成する。なお、掘進動作については前述の親機Bの場合と同様なので詳細は省略する。
【0057】
子機Cが直進方向に掘進する場合には、子機スクリューコンベア支持装置35の曲面状受け台45は、曲面状部材46のx軸方向ほぼ中央位置にて支持部材22を受けている。曲面状部材46と支持部材22とはx軸と平行な線での線接触で接している。そして、曲面状部材46の当該接触箇所の両側に配置された1組のピン穴48に係止ピン24を差し込むことによって、支持部材22がx方向にずれないように固定してある。
【0058】
子機Cが、子機前胴36と子機後胴37との間で左に(+x方向に)中折れをする際には、まず、子機カッタヘッド部32によって掘削を行いながら子機中折れジャッキ39をすべて一様に伸ばすことにより、子機前胴36が前方へ移動し子機後胴37と引き離される(先行伸ばし)。これは、中折れ時に子機前胴36が子機後胴37に対して屈曲した場合に、子機後胴37の挿入部分がスキンプレート31内部の部材等と干渉しないようにするためである。
【0059】
ここで、子機スクリューコンベア装置35において、スクリューコンベア本体17はパイプ16を介して子機隔壁33に接続しているため、先行伸ばしの際は子機Cの子機スキンプレート31の子機前胴36の動きに伴って前方へと移動する。子機スクリューコンベア支持装置44の支持部材22もスクリューコンベア本体17に溶接によって接合されているため、同様に前方へと移動する。これに対し、子機スクリューコンベア支持装置44の曲面状受け台45は、子機後胴37側に取付けられているため、先行伸ばしの際に位置は変化しない。したがって、支持部材22の底面はxz平面から(θ´−θ)の傾斜角度を保ったまま曲面状受け台45に対して−z方向に平行移動する。曲面状部材46は上に凸の円弧形状であるかまぼこ型をしているため、曲面状部材46における支持部材22との接触は先行伸ばし前と同じ位置での線接触を保つことができる。
【0060】
その後、子機スキンプレート31内の右側に配置された子機中折れジャッキ39を伸長させることによって、子機前胴36を子機後胴37に対して左向きに屈曲させることができる。この状態で子機Cを掘進させることによって左曲がりのトンネルを構築することができる。
【0061】
子機Cが左に中折れをする際には、スクリューコンベア本体17が子機エレクタ装置34や構築したトンネル等にぶつからないようにするため、スクリューコンベア本体17を中折れに追従させて移動させる必要がある。その作業は以下のように行う。まず、先行伸ばし後、曲面状部材46のピン穴48に差し込まれている係止ピン24をすべて除去する。そして、子機Cが左に屈曲するのに合わせて、スクリューコンベア本体17を曲面状受け台45の上を滑らせながら左方向へ人手によって動かす。
【0062】
この先行延ばしと中折れの動作の結果、子機スクリューコンベア装置35は、図4(a)の下側の二点鎖線で示すように、支持部材22が曲面状部材46に対して−z方向かつ+x方向の場所に位置することになる。このとき、曲面状部材46は上に凸の円弧形状であるかまぼこ型をしているため、曲面状部材46と支持部材22とはx軸に平行な線接触を保つことができる。
【0063】
その後、移動後のスクリューコンベア本体17が曲面状受け台45に対してx軸方向に移動しないように、支持部材22の両側に配置された1組のピン穴48に係止ピン24を差し込む。なお、スクリューコンベア本体17は中折れの角度に応じてどの程度滑らせるかをあらかじめ決めてあり、1組のピン穴48は曲面状部材46の左側寄り(+x側)特定位置にあらかじめ設けられている。
【0064】
なお、子機Cが右に(−x方向に)中折れをする場合にも、上記と同様の動作で行われる。このとき、先行伸ばし後の中折れ動作時において、支持部材22は図4(a)の上側の二点鎖線の位置にくる。
【0065】
このような本実施形態によれば、曲面状部材46が上に凸の円弧形状であるかまぼこ型をしているため、支持部材22が曲面状部材46に対して前後左右に移動した場合においても、両者が常に線接触の関係を保つことができる。つまり、掘進途中にスクリューコンベア本体17の傾きを変化させる場合において、変化の前後で支持部材22と曲面状部材46(曲面状受け台45)との間にかかる応力を、簡単な機構で一定に保つことのできる子機スクリューコンベア装置35を備えた親子シールド掘進機Aを実現できる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)本実施例では、親子シールド掘進機Aの親機Bでは板状受け台23を使用し、子機Cを離脱させ子機Cによる掘進を開始する際に曲面状受け台45を使用しているが、必ずしもこれに限定されない。親機Bの段階においても曲面状受け台45を用いた子機スクリューコンベア支持装置44を使用してもよい。
【0067】
(2)本発明を必ずしも親子シールド掘進機に適用する必要はない。例えば、通常のシールド掘進機であっても、掘進途中にスクリューコンベアの傾きを変化させる必要がある場合には、本発明を適用することが可能である。また、必ずしも中折れ式のシールド掘進機である必要もない。
【0068】
(3)曲面状部材46の凸型曲面(上側面)は、支持部材22の底面と線接触するような形状であればよく、例えば、円弧状曲面あるいは楕円状曲面でもよい。さらには、曲面状部材46のyz平面での断面形状が、凸曲面と凹曲面が交互に連続する波型形状でもよい。
【0069】
(4)本実施例では、支持部材22は底面が平面となっており、曲面状部材46の上側面が凸型曲面を有しているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、支持部材22の底面(下側面)が凸型曲面を有し、曲面状部材46の上面は平面形状をしていてもよい。もしくは、支持部材22の底面(下側面)と曲面状部材46の上側面とがともに凸型曲面を有していてもよい。
【0070】
(5)また、曲面状部材46の下に平板のシムを挿入することにより、曲面上部材46の高さ調整を行ってもよい。これによって、子機Cにおけるスクリューコンベア本体の傾斜各θ´の多様な変化にも対応することが可能となる。また、複数の厚さの平板シムを用意すると、さらに多様な現場対応が可能になる。
【符号の説明】
【0071】
1…親機本体、2…子機本体、3…スキンプレート、4…カッタヘッド部、5…隔壁、6…エレクタ装置、7…スクリューコンベア装置、8…前胴、9…後胴、10…中折れシール、11…中折れジャッキ、16…パイプ、16a…球面受部、17…スクリューコンベア本体、18…スクリューコンベア支持装置、19…ケーシング、22…支持部材、23…板状受け台、23a…受け台本体、23b…板状部材、24…係止ピン、26…ピン穴、35…子機スクリューコンベア装置、36…子機前胴、37…子機後胴、39…子機中折れジャッキ、40…子機チャンバ、44…子機スクリューコンベア支持装置、45…曲面状受け台、46…曲面状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端が隔壁に対して屈曲可能に取り付けられたスクリューコンベア本体と、前記前端よりも後方位置にて前記スクリューコンベア本体を載置することにより支持するスクリューコンベア支持装置とを備えたシールド掘進機において、
前記スクリューコンベア支持装置が前記スクリューコンベア本体を曲面による線接触で支持する
ことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記スクリューコンベア支持装置は前記スクリューコンベア本体に取り付けられた支持部材と前記シールド掘進機の外殻の内周面に設けられた受け台とからなり、
前記支持部材と前記受け台の少なくとも一方が他方との接触箇所において曲面を有する
ことを特徴とする請求項1記載のシールド掘進機。
【請求項3】
前記受け台は、側面と上面とが連続した凸型曲面を形成する曲面状部材を有する
ことを特徴とする請求項2記載のシールド掘進機。
【請求項4】
前記受け台と前記支持部材との接触箇所を前記シールド掘進機の進行方向に対して左右方向にはさむ位置で前記受け台に設けられた2以上のピン穴と、
前記ピン穴に挿入可能であるとともに挿入時には前記ピン穴から頭部が突出するようになっているピン部材とを有する
ことを特徴とする請求項3記載のシールド掘進機。
【請求項5】
前記シールド掘進機はその外殻が前胴と後胴に分かれ両者が屈曲可能な中折れシールド掘進機であって、
前記スクリューコンベア本体が前記前胴前方に設けられた前記隔壁に対して取り付けられると共に、前記受け台が前記後胴に設けられている
ことを特徴とする請求項3又は4記載のシールド掘進機。
【請求項6】
親機による掘進の後親機から子機を離脱させ子機による掘進を行う親子シールド掘進機であって、前端が隔壁に対して屈曲可能に取り付けられたスクリューコンベア本体と、前記前端よりも後方位置にて前記スクリューコンベア本体を載置することにより支持するスクリューコンベア支持装置とを備えた親子シールド掘進機のスクリューコンベア支持方法において、
前記親機から前記子機を離脱させる際に、前記スクリューコンベア支持装置を親機用から子機用に交換し、子機用のスクリューコンベア支持装置は、前記スクリューコンベア本体を曲面による線接触で支持する
ことを特徴とする親子シールド掘進機のスクリューコンベア支持方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−106162(P2011−106162A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261949(P2009−261949)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】