説明

シールド掘進機

【課題】異なる形状の複数種類のセグメントを容易に組み立てることができるシールド掘進機を提供する。
【解決手段】旋回フレーム8に後方に延びる支持フレーム9を設け、支持フレーム9に、一対の吊りビーム10、11を前後に並べて設け、前側の吊りビーム10の一端側に第一セグメント保持機構57を配設し、後側の吊りビーム11の他端側に第二セグメント保持機構58を配設してセグメント組立装置3を構成したシールド掘進機1において、第二セグメント保持機構58が、後方に延びる摺動フレーム28を介して後方に突出した作業位置と前方の退避位置とに移動可能に設けられるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント組立装置を備えたシールド掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
図16に示すように、セグメント組立装置50には、異なる形状の複数種類のセグメントを組み立てるために2つのセグメント保持機構51、52を具備したものが知られている。具体的には、このセグメント組立装置50は、旋回リング53から後方に延びる支持フレーム54に、直径方向の一方に延びる第一吊りビーム55と、直径方向の他方に延びる第二吊りビーム56とを前後に並べて設け、これら吊りビーム55、56の先端にセグメントを保持するセグメント保持機構51、52を設けて構成されている。
【0003】
また、大口径のシールド掘進機にあっては一般的にセグメント組立装置の後方に、セグメント組立装置で組み立てたセグメントをボルト締めするための足場装置が配置されると共に、セグメントを組み立ててなるトンネル壁の形状を保持するための形状保持装置が配置される。
【0004】
【特許文献1】特開平9−189200号公報
【特許文献2】特開平10−88990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、形状保持装置は、トンネル壁を内側から上下に突っ張って保持するものであり、万一トンネル壁が変形してしまった場合、形状を元に戻す機能までは有しないため、可能な限りセグメント組立位置に近接させ、土圧を受ける前のトンネル壁に設置することが好ましい。
【0006】
しかしながら、上述のように直径方向の一端側にセグメント保持機構51が設けられる第一吊りビーム55と、他端側にセグメント保持機構52が設けられる第二吊りビーム56とを備えたセグメント組立装置50の場合、セグメント組立位置の内周側が全周に亘ってセグメント組立装置50で占められてしまうため、足場装置をセグメント組立位置まで前進させることができず、形状保持装置をセグメント組立位置に十分近接させることができず、セグメントの組立作業が容易でないという課題があった。
【0007】
また、セグメント組立装置50にセグメントをホイストを用いて受け渡す場合、セグメント組立位置と同一リング上でセグメントを一旦載置するが、上述と同様の理由によりホイストをセグメント組立位置まで前進させられないという課題もあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、異なる形状の複数種類のセグメントを容易に組み立てることができるシールド掘進機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、シールドフレーム内に同軸上で回転する旋回フレームを設け、該旋回フレームに掘進方向後方に延びる支持フレームを設け、該支持フレームに、直径方向の一方に延びる第一吊りビームを径方向に移動可能に設け、該第一吊りビームの後方の支持フレームに直径方向の他方に延びる第二吊りビームを径方向に移動可能に設け、上記第一吊りビームの先端に、セグメントを保持する第一セグメント保持機構を配設すると共に、上記第二吊りビームの先端に、上記セグメントとは形状が異なる他の種類のセグメントを保持する第二セグメント保持機構を配設してセグメント組立装置を構成したシールド掘進機において、上記第一セグメント保持機構と第二セグメント保持機構の少なくとも一方が、後方に延びる摺動フレームを介して後方に突出した作業位置と前方の退避位置とに移動可能に設けられたものである。
【0010】
上記セグメント組立装置の後方には、セグメント組立装置で組み立てたセグメントをボルト締めするための足場装置が前方に移動可能に設けられ、該足場装置の後方には、セグメントを組み立ててなるトンネル壁の形状を保持するための形状保持装置が前方に移動可能に設けられ、上記足場装置が前方に移動されたとき上記摺動フレームを前方に移動させて上記セグメント保持機構を足場装置から退避させるとよい。
【0011】
また、上記セグメント組立装置にセグメントを受け渡すべくセグメント組立位置と同一リング上の既設セグメントにセグメントを載置するホイストを備え、該ホイストが上記既設セグメントにセグメントを載置するとき上記摺動フレームを前方に移動させて上記セグメント保持機構をホイストから退避させるとよい。
【0012】
上記セグメント保持機構が、保持したセグメントを所定の組立位置に合わせるべく前後に移動可能に形成されると共にセグメントを保持するセグメント保持部を備えるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なる形状の複数種類のセグメントを容易に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。
【0015】
図1に示すように、シールド掘進機1は、セグメント2を組み立てるセグメント組立装置3と、セグメント組立装置3の後方位置に前方に移動可能に設けられセグメント組立装置3で組み立てたセグメント2をボルト締めするための足場装置4と、足場装置4の後方位置に前方に移動可能に設けられセグメント2を組み立てて成るトンネル壁5の形状を保持するための形状保持装置6とを備える。
【0016】
セグメント組立装置3は、シールドフレーム7内に設けられ同軸上で回転する旋回フレーム8と、旋回フレーム8に掘進方向後方に延びて設けられた支持フレーム9と、支持フレーム9に径方向に移動可能に設けられ直径方向の一方に延びる第一吊りビーム10と、第一吊りビーム10の後方の支持フレーム9に径方向に移動可能に設けられ直径方向の他方に延びる第二吊りビーム11と、第一吊りビーム10の先端に設けられセグメント2を保持する第一セグメント保持機構57と、第二吊りビーム11の先端に設けられセグメント2を保持する第二セグメント保持機構58とを備えて構成されている。
【0017】
旋回フレーム8は、円環状に形成され、シールドフレーム7の内周面に設けられたリングガーダー14に支持ローラ15を介して回転可能に支持されている。旋回フレーム8は、軸方向の前部に駆動ギヤ16を有し、その駆動ギヤ16に図示しないモータのピニオンが噛合されて回転駆動される。なお、リングガーダー14には、リング状に組み立てられた後のセグメント2に反力を取ってシールドフレーム7を前進させるシールドジャッキ17が設けられている。
【0018】
支持フレーム9は、旋回フレーム8の後部に周方向に180度の間隔で一対設けられている。
【0019】
図2に示すように、第一吊りビーム10は、それぞれの支持フレーム9にシールドフレーム7の直径方向に摺動可能に挿通されるガイド柱部18と、これらガイド柱部18の一端間に掛け渡して設けられる連結フレーム部19とからU字状に形成されており、連結フレーム部19と支持フレーム9との間に介設されたジャッキ20によってトンネル径方向に移動されるようになっている。
【0020】
第一吊りビーム10の連結フレーム部19には、バキューム式の第一セグメント保持部12を備えた第一セグメント保持機構57が設けられている。第一セグメント保持機構57は、連結フレーム部19に前後方向に延びて設けられたガイドロッド21と、ガイドロッド21に前後スライド可能に挿通された第一セグメント保持部12と、ガイドロッド21と第一セグメント保持部12との間に介設されたジャッキ22とを備える。第一セグメント保持部12は、ジャッキ22によって前後方向に移動されるようになっている。第一セグメント保持部12は、内周面に凹凸の無い平面状(平滑)の部分を有するセグメント(所謂平板形セグメント)2を保持、解放するものであり、セグメント2を吸着、解放するバキュームパッド23を有する。
【0021】
図3に示すように、第二吊りビーム11は、それぞれの支持フレーム9にシールドフレーム7の直径方向に摺動可能に挿通されるガイド柱部24と、これらガイド柱部24の他端(第一吊りビーム10の一端とは反対側の端部)に設けられ、互いに近接する方向に延びる片持ちフレーム部25とを備える。それぞれの片持ちフレーム部25と支持フレーム9との間には、ジャッキ26が介設されており、ジャッキ26が伸縮することで第二吊りビーム11がトンネル径方向に移動されるようになっている。図5に示すように、一対の片持ちフレーム部25の先端間には、吊りビーム連結材27が掛け渡して設けられており、片持ちフレーム部25を補強するようになっている。
【0022】
図5及び図6に示すように、第二吊りビーム11の一対の片持ちフレーム部25間には、第二吊りビーム11より後方に延びると共に、前方に退避可能な摺動フレーム28が設けられている。具体的には、摺動フレーム28は、それぞれの片持ちフレーム部25に前後摺動可能に挿通されるスライドロッド部29と、スライドロッド部29の後端部間に掛け渡すように設けられた後部フレーム部30とからなる。後部フレーム部30と片持ちフレーム部25との間には、収納ジャッキ31が介設されており、収納ジャッキ31が伸縮することで摺動フレーム28が前後方向に移動されるようになっている。
【0023】
第二セグメント保持機構58は、内面凹型のセグメント2を把持する第二セグメント保持部13を有する。第二セグメント保持機構58は、第二吊りビーム11に摺動フレーム28を介して前後に移動可能に設けられており、後方に移動されて第二吊りビーム11の後方に突出したときの位置がセグメントを組み立てる作業位置とされ、前方に移動されたときの位置が足場装置4やホイスト43から退避する退避位置となっている。第二セグメント保持機構58は、後部フレーム部30に前方に延びて設けられた一対のガイドロッド32と、ガイドロッド32に前後スライド可能に挿通されセグメント2を保持する第二セグメント保持部13と、ガイドロッド32と第二セグメント保持部13との間に介設された調整用ジャッキ33とを備える。第二セグメント保持部13は、調整用ジャッキ33によって前後方向に移動されるようになっており、保持したセグメント2を所定の組立位置に合わせられるようになっている。
【0024】
図4及び図7に示すように、第二セグメント保持部13は、内面凹型セグメント2の内周面に形成された補強リブ(図示せず)をトンネル軸方向から挟んでボルト等によって連結される連結部34と、連結部34の両側に配設され連結部34に連結されたセグメント2の内周面を押圧することでセグメント2を保持するためのサポートジャッキ35とを備える。
【0025】
図1及び図8に示すように、足場装置4は、シールド掘進機本体の後方から前方に延出された後方デッキ36上に走行自在に設けられた走行部37と、走行部37に設けられトンネル壁5の上部内周面に沿って延びる弧状レール部38と、弧状レール部38に沿って走行して昇降するバケット部39とを備えて構成される昇降足場装置からなる。バケット部39は、弧状レール部38に沿って走行する基部(図示せず)に搭乗バケット40を前後に延びる軸回り回転可能に設けると共に、搭乗バケット40を常に水平にするように回転させる水平維持機構(図示せず)を設けてなる。また、バケット部39は、弧状レール部38に前側に突出して設けられており、搭乗バケット40に搭乗した作業員の手がセグメント組立位置に容易に届くようになっている。
【0026】
図1に示すように、形状保持装置6は、上下方向に拡張する上下フレーム41、42間に上下フレーム41、42を拡縮するジャッキ(図示せず)を設けて構成されており、セグメント組立完了後のセグメント組立位置に走行したのち、上記ジャッキを伸張させて上下フレーム41、42でトンネル壁5の形状を確保するようになっている。また、上部フレーム41には、上記ジャッキを縮退させて上部フレーム41を下降させたとき後方デッキ36上に載置される車輪(図示せず)が設けられており、形状保持装置6は、上下フレーム41、42がトンネル壁5から離間したとき後方デッキ36上で走行するようになっている。
【0027】
また、後方デッキ36の下端部には、第二セグメント保持部13にセグメント2を受け渡すためのホイスト43が前後走行自在に設けられている。
【0028】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0029】
図9に示すように、内面凹型のセグメント2を組み立てる場合、第二セグメント保持部13を用いて1リング分のセグメント2を組み立てる。このとき、形状保持装置6は、セグメント組立位置からセグメント2リング分後方のトンネル壁5の形状を保持しており、足場装置4は、セグメント組立位置から1リング分後方の位置に待機されているためセグメント組立作業の邪魔になることはない。
【0030】
また、第二セグメント保持部13に組み立てるべきセグメント2を受け渡す作業は、ホイスト43でセグメント組立位置の既設セグメント44上にセグメント2を一旦載置し、このセグメント2を第二セグメント保持部13で把持することで行う。このとき、第二吊りビーム11は第二セグメント保持部13の前方に位置されているため、第二セグメント保持部13又は第一セグメント保持部12がトンネル下部になくトンネル下部が空いているとき、既設セグメント44上にセグメント2を載置する。これにより、ホイスト43が第二吊りビーム11、第二セグメント保持部13及び第一セグメント保持部12に干渉することはなく、第二セグメント保持部13にセグメント2を安定して受け渡すことができる。
【0031】
なお、第二セグメント保持機構58は、セグメント2を保持するとき後方に延出し、セグメント2を組み立てたとき前方に退避するものとしてもよい。セグメント組立位置にホイスト43を留め置くことができる時間を長くでき、ホイスト43から第二セグメント保持部13にセグメント2を受け渡す作業をより簡単にすることができる。
【0032】
図10に示すように、1リング分のセグメント2が全て組み立てられたら、形状保持装置6の上下フレーム41、42を上下に縮退させて形状保持装置6をトンネル壁5から離間させると共に、セグメント組立装置3の摺動フレーム28を前方に移動させて第二セグメント保持機構58を前方に退避させる。この後、図11に示すように、足場装置4と形状保持装置6を1リング分前進させて形状保持装置6をシールド掘進機1内のトンネル壁5の位置に配置する。このとき、第二吊りビーム11はボルト締結位置よりも十分前方に位置されると共に、第二セグメント保持機構58が第二吊りビーム11の位置まで前方に退避されているため、足場装置4のバケット部39が第二吊りビーム11や第二セグメント保持機構58に干渉することはない。なお、足場装置4の走行部37は弧状レール部38よりも前方に突出しており、側面図では第二吊りビーム11に干渉するようにも見えるが、トンネルの略中央に位置されているため第二吊りビーム11に干渉することはない。
【0033】
形状保持装置6と足場装置4がそれぞれ所定の位置に到達したら、形状保持装置6の上下フレーム41、42を上下に拡張させてトンネル壁5を保持し、足場装置4を用いてセグメント2同士のボルト締め作業を開始する。バケット部39を所定のボルト締結位置に十分近接させることができるため、ボルト締結作業を効率よく安全に行うことができる。
【0034】
この後、シールド掘進機1をセグメント1リング分掘進させ、セグメント組立装置3で1リング分のセグメント2を組み立て、形状保持装置6と足場装置4を1リング分前進させ、形状保持装置6でトンネル壁5を保持し、足場装置4でボルト締めするという一連の作業を繰り返してトンネルを順次構築して行く。
【0035】
図12に示すように、第一セグメント保持部12を用いてセグメント2を組み立てる場合、第二セグメント保持機構58は常に前方に退避させておく。これにより、第二セグメント保持機構58が足場装置4やホイスト43に干渉するのを確実に防ぐことができる。
【0036】
このように、第二セグメント保持機構58が、後方に延びる摺動フレーム28を介して後方に突出した作業位置と前方の退避位置とに移動可能に設けられるものとしたため、第二セグメント保持機構58や第二吊りビーム11が足場装置4のバケット部39やホイスト43に干渉するのを防ぐことができる。これにより、異なる形状の複数種類のセグメント2を組み立てることができると共に、セグメント組立位置まで足場装置4やホイスト43などの装置を前進させることができ、セグメント2を容易に組み立てることができる。
【0037】
また、セグメント組立装置3の後方には、セグメント組立装置3で組み立てたセグメント2をボルト締めするための足場装置4が前方に移動可能に設けられ、足場装置4の後方には、セグメント2を組み立ててなるトンネル壁5の形状を保持するための形状保持装置6が前方に移動可能に設けられ、足場装置4が前方に移動されたとき摺動フレーム28を前方に移動させて第二セグメント保持機構58を足場装置4から退避させるものとしたため、足場装置4を所定のボルト締結位置まで前進させることができ、ボルト締結作業を容易になし得ると共に、形状保持装置6をセグメント組立位置に十分近接させることができ、トンネル壁5の形状を確実に保持することができる。
【0038】
セグメント組立装置3にセグメント2を受け渡すべくセグメント組立位置と同一リング上の既設セグメント44にセグメント2を載置するホイスト43を備え、ホイスト43が既設セグメント44にセグメント2を載置するとき摺動フレーム28を前方に移動させて第二セグメント保持機構58をホイスト43から退避させるものとしたため、ホイスト43から第二セグメント保持部13にセグメント2を容易に受け渡すことができる。
【0039】
第二セグメント保持機構58は、保持したセグメント2を所定の組立位置に合わせるべく前後に移動可能に形成されると共にセグメントを保持する第二セグメント保持部13を備えるものとしたため、位置合わせ等のために第二セグメント保持部13を前後方向に微小移動させるとき、位置合わせの精度や操作性が悪化するのを防ぐことができる。
【0040】
なお、第二セグメント保持機構58が前方に退避されるものとしたが、第一セグメント保持機構57が前方に退避されるものとしてもよく、第二セグメント保持機構58と第一セグメント保持機構57の両方が前方に退避されるものとしてもよい。
【0041】
第一セグメント保持機構57が前方に退避可能な他の実施の形態について述べる。第一セグメント保持機構57の支持構造以外の構成は上述と同様である。上述と同様の構成については同符号を付す。
【0042】
図13に示すように、第一吊りビーム60は、それぞれの支持フレーム9にシールドフレーム7の直径方向に摺動可能に挿通されるガイド柱部18と、これらガイド柱部18の一端に設けられ互いに近接する方向に延びる片持ちフレーム部61とを備える。それぞれの片持ちフレーム部61と支持フレーム9との間には、ジャッキ20が介設されている。図14に示すように、一対の片持ちフレーム部61の先端間には、吊りビーム連結材62が掛け渡して設けられており、片持ちフレーム部61を補強するようになっている。
【0043】
図14及び図15に示すように、片持ちフレーム部61間には、第一吊りビーム60より後方に延びると共に、前方に退避可能な摺動フレーム63が設けられている。摺動フレーム63は、それぞれの片持ちフレーム部61に前後摺動可能に挿通されるスライドロッド部64と、スライドロッド部64の後端部間に掛け渡すように設けられた後部フレーム部65とからなる。後部フレーム部65と片持ちフレーム部61との間には、収納ジャッキ66が介設されており、収納ジャッキ66が伸縮することで摺動フレーム63が前後方向に移動されるようになっている。
【0044】
摺動フレーム63には、第一セグメント保持機構57が設けられている。第一セグメント保持機構57は、摺動フレーム63が後方に移動したときセグメントを組み立てる作業位置に移動され、摺動フレーム63が前方に移動したとき足場装置4やホイスト43から退避する退避位置に移動されるようになっている。第一セグメント保持機構57は、後部フレーム部65に前方に延びて設けられた一対のガイドロッド21と、ガイドロッド21に前後スライド可能に挿通されセグメント2を保持する第一セグメント保持部12と、ガイドロッド21と第一セグメント保持部12との間に介設されたジャッキ22とを備える。
【0045】
第一セグメント保持部は、ガイドロッド21に摺動可能に係合される移動台67と、移動台67に姿勢調節部68を介して装着された保持部本体69と、保持部本体69のトンネル外周側の面に装着されたバキュームパッド23と、保持部本体69にトンネル軸方向に移動自在に装着されセグメント2の前側端面に形成されたズレ防止穴(図示せず)に係合するズレ防止ピン70とを有する。
【0046】
姿勢調節部68は、移動台67と保持部本体69との間に介設され保持部本体69を移動台67に対して全方向傾動可能に吊り下げる吊下ロッド71と、移動台67と保持部本体69との間にトンネル幅方向、軸方向に間隔を隔てて配置された4本の姿勢制御ジャッキ72とを有し、各姿勢制御ジャッキ72の伸縮量を調節することで、保持部本体69の姿勢を変更できるようになっている。
【0047】
バキュームパッド23は、ゴム等の可撓性材料からリング状(高さの低い筒状)に形成されており、その一端が保持部本体69に接着等によって固定され、他端がセグメント2に当接されようになっている。保持部本体21には、バキュームパッド23内で開口する排気口が形成されており、バキュームパッド23がセグメント2の上面に当接された状態で、バキュームパッド23内の空気は、排気口からバキュームポンプによって排気されるようになっている。この排気により、バキュームパッド23内が負圧となり、セグメント2が吸着されるようになっている。
【0048】
このように、第一セグメント保持機構57が、後方に延びる摺動フレーム63を介して後方に突出した作業位置と前方の退避位置とに移動可能に設けられるものにすると、第一セグメント保持機構57が足場装置4のバケット部39やホイスト43に干渉するのを防ぐことができる。
【0049】
なお、第一セグメント保持部12がバキューム式であり、第二セグメント保持部13が内面凹型のセグメント2を把持するものについて説明したが、これに限るものではない。第一セグメント保持部12と第二セグメント保持部13のタイプは組み立てるセグメント2に応じて自由に決定してよい。
【0050】
またさらに、足場装置4が前方に移動されたとき摺動フレーム28を前方に移動させて第二セグメント保持機構58を足場装置4から退避させる制御装置(図示せず)を備えてもよく、ホイスト43が既設セグメント44にセグメント2を載置するとき摺動フレーム28を前方に移動させて第二セグメント保持機構58をホイスト43から退避させる制御装置(図示せず)を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の好適実施の形態を示すシールド掘進機の要部側面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1のB−B線矢視図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図3のC−C線矢視断面図である。
【図6】図5の第二セグメント保持部を前方に退避させた動作説明図である。
【図7】図4のD−D線矢視断面図である。
【図8】足場装置の正面図である。
【図9】セグメント組立開始時のシールド掘進機の要部側面図である。
【図10】1リング分のセグメントが組み立て終わるシールド掘進機の要部側面図である。
【図11】足場装置と形状保持装置を前進させたシールド掘進機の要部側面図である。
【図12】第一セグメント保持部でセグメントを組み立てるシールド掘進機の要部側面図である。
【図13】他の実施の形態を示す第一吊りビームの背面図である。
【図14】他の実施の形態を示す図13の平面図である。
【図15】他の実施の形態を示す図14の側断面図である。
【図16】従来のシールド掘進機の要部側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 シールド掘進機
2 セグメント
3 セグメント組立装置
4 足場装置
5 トンネル壁
6 形状保持装置
7 シールドフレーム
8 旋回フレーム
9 支持フレーム
10 第一吊りビーム
11 第二吊りビーム
12 第一セグメント保持部
13 第二セグメント保持部
28 摺動フレーム
43 ホイスト
44 既設セグメント
57 第一セグメント保持機構
58 第二セグメント保持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドフレーム内に同軸上で回転する旋回フレームを設け、該旋回フレームに掘進方向後方に延びる支持フレームを設け、該支持フレームに、直径方向の一方に延びる第一吊りビームを径方向に移動可能に設け、該第一吊りビームの後方の支持フレームに直径方向の他方に延びる第二吊りビームを径方向に移動可能に設け、上記第一吊りビームの先端に、セグメントを保持する第一セグメント保持機構を配設すると共に、上記第二吊りビームの先端に、上記セグメントとは形状が異なる他の種類のセグメントを保持する第二セグメント保持機構を配設してセグメント組立装置を構成したシールド掘進機において、上記第一セグメント保持機構と第二セグメント保持機構の少なくとも一方が、後方に延びる摺動フレームを介して後方に突出した作業位置と前方の退避位置とに移動可能に設けられたことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
上記セグメント組立装置の後方には、セグメント組立装置で組み立てたセグメントをボルト締めするための足場装置が前方に移動可能に設けられ、該足場装置の後方には、セグメントを組み立ててなるトンネル壁の形状を保持するための形状保持装置が前方に移動可能に設けられ、上記足場装置が前方に移動されたとき上記摺動フレームを前方に移動させて上記セグメント保持機構を足場装置から退避させる請求項1記載のシールド掘進機。
【請求項3】
上記セグメント組立装置にセグメントを受け渡すべくセグメント組立位置と同一リング上の既設セグメントにセグメントを載置するホイストを備え、該ホイストが上記既設セグメントにセグメントを載置するとき上記摺動フレームを前方に移動させて上記セグメント保持機構をホイストから退避させる請求項1記載のシールド掘進機。
【請求項4】
上記セグメント保持機構が、保持したセグメントを所定の組立位置に合わせるべく前後に移動可能に形成されると共にセグメントを保持するセグメント保持部を備えた請求項1〜3のいずれかに記載のシールド掘進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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