説明

シールド接地具および締め付け工具

【課題】ケーブルのシールド部に対する半田付けを不要にして、接地線を確実にかつ簡便に接続または接続可能にする、シールド接地具および締め付け工具を提供する。
【解決手段】シールド付きのケーブルに接地線13を接続または接続可能にするシールド接地具1であって、互いに向かい合うように配置されて環状体を形成し、ケーブル100を取り囲むように配置され、接地線13を接続または接続可能にする導電性の本体部11A、12Aと、本体部11A、12Aの内側に設けられている導電性の接地用貫通刃11C、12Cとを備え、本体部11A、12Aの外側が締め付けられることにより、貫通刃11C、12Cがケーブルのシールド部120に接触して電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シールド付きのケーブルに接地用のリード線を取り付けるためのシールド接地具および締め付け工具に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド付きのケーブルを用いる場合にケーブルのシールド部を接地するとき、通常、接地用のリード線(以下、単に「接地線」という)をシールド部にハンダ付けする作業を、現場の作業者が行う。また、ケーブルのシールド部に対して転がしながら取り付けられるゴムリングと、このゴムリングに被せられる金属リングとを用いて、ハンダ付け作業を不要にした接地線の取り付け方法もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、設備工事の制御盤などに対する配線を行う場合、シールド付きの制御用ビニール絶縁ビニルシースケーブル(CVVS)が用いられることが多い。図24に示すように、シールド付きの制御用ビニール絶縁ビニルシースケーブル(以下、単に「制御ケーブル」という)100は、制御用の信号などを流すための芯線部110の外側に導電性のシールド部120が設けられ、さらに、シールド部120を覆うように絶縁性の外装部130が設けられている。シールド部120は金属箔や金属製ブレードなどで形成されている。
【0004】
こうした制御ケーブル100に対して、図25に示すように接地線200が取り付けられる。作業者は、制御ケーブル100の外装部130を取り除いた後、剥き出しになったシールド部120にタームフォイル310を取り付ける。この後、タームフォイル310に接地線200をハンダ付けし、絶縁テープ320を芯線部110に巻き付ける。
【特許文献1】特開平8−335466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、制御ケーブル100が例えば制御盤などに用いられる場合、制御盤には各種の信号が入出力されるので、作業者は多数の制御ケーブル100を制御盤に接続することになる。つまり、制御盤内へ入線する制御ケーブル100の本数が多く、制御ケーブル100の外装部130を一本ずつ切り離して、接地線200をハンダ付けする処理を行う。この結果、接地線200を接続するために長時間の作業が必要になる。つまり、制御ケーブル100のシールド部120にハンダ付けをするために、労力を要することになる。また、制御ケーブル100のシールド部120に対して接地線200をハンダ付けで接続するので、例えば別件工事などでケーブルの張り替えなどが行われた際に、外力が制御ケーブル100に加えられると、制御ケーブル100のシールド部120に接地線200を接続しているハンダが、外力によって外れることがある。
【0006】
なお、ハンダ付けの不要な接地線の取り付け方法を利用した場合でも、ゴムリングをシールド部120まで転がして移動させる作業と、金属リングを小さなゴムリングに被せる作業とを必要とし、接地線200を接続するための作業時間が長くなる。また、金属リングには割りが入っているので、外力が加わると、接地線が接続されている金属リングがゴムリングから外れることがある。
【0007】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、ケーブルのシールド部に対する半田付けを不要にして、接地線を確実にかつ簡便に接続または接続可能にする、シールド接地具および締め付け工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、シールド付きのケーブルに接地線を接続または接続可能にするシールド接地具であって、互いに向かい合うように配置されて環状体を形成し、前記ケーブルを取り囲むように配置され、前記接地線を接続または接続可能にする導電性の本体部と、前記本体部の内側に設けられている導電性の接触片と、を備え、前記本体部の外側が締め付けられることにより、前記接触片が前記ケーブルのシールド部に接触して電気的に接続される、ことを特徴とするシールド接地具である。
【0009】
請求項1の発明では、互いに向かい合うように本体部を配置して環状体を形成する。本体部の内側に接触片が設けられているので、本体部の外側を締め付けることにより、ケーブルのシールド部に接触片が接触し、本体部が接触片を介在してシールド部に電気的に接続される。この状態で接地線が本体部に接続されるか、または接続可能になる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のシールド接地具において、前記接触片は、前記ケーブルのシールド部に接触するくさび形状に形成され、前記シールド部に通された本体部が締め付けられて、前記くさび形状の接触片が前記シールド部に接続される、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載のシールド接地具において、前記接触片は、前記ケーブルの外装部を貫通してシールド部に接触する貫通刃であり、前記ケーブルに通された本体部が締め付けられると、前記貫通刃が前記外装部を貫通して前記シールド部に接続される、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載のシールド接地具を締め付ける締め付け工具であって、前記各本体部をそれぞれ挟んで締め付けるための圧着部と、互いに向かい合うように前記各圧着部を着脱自在に保持する保持部をそれぞれ具備し、前記各保持部に保持された前記圧着部が接近する方向に前記各圧着部を押圧する締め付け部と、を備え、前記ケーブルに通された前記各本体部が、前記締め付け部によって締め付けられる、ことを特徴とする締め付け工具である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、各本体部の外側を締め付けると、本体部の内側に設けられている接触片がケーブルのシールド部に接続されるので、ケーブルに対するハンダ付けを不要にして、接地線を確実にかつ簡便に接続すること、または、接続可能な状態にすることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、ケーブルの外装部が切り離された状態で、シールド部に接触片を接続するので、目視による接続状態の確認を容易にする。
【0015】
請求項3の発明によれば、接触片がケーブルの外装部を貫通して、ケーブルのシールド部に接続されるので、ケーブルの外装部を切り離す作業を省くことができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、締め付け工具の圧着部が着脱自在に保持部に保持されるので、ケーブルに応じた最適な圧着部を使用可能にして、ケーブルのシールド部に接触片を確実に接続することを可能にする。また、この発明によれば、ケーブルに通された各本体部を締め付ける作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0018】
(実施の形態1)
この実施の形態によるシールド接地具を図1に示す。図1に示すシールド接地具1は、シールド付きのケーブルを接地するために用いられる。以下では、シールド付きのケーブルとして、図24に示す制御ケーブル100を用いる場合を例とする。シールド接地具1は、第1の半割り部11と、第2の半割り部12と、接地線13とを主な構成としている。
【0019】
第1の半割り部11と第2の半割り部12とは、ネジ14による組み合わせで環状体を形成し、この環状体が制御ケーブル100と嵌め合う。つまり、第1の半割り部11と第2の半割り部12とは一組で用いられる。ネジ14は導電性の金属ネジである。第1の半割り部11は、半円形の金属製バンドである本体部11Aを備えている。本体部11Aの両端には、図2の左側面図(矢印A1方向から見た図)に示すように、四角形状の固定板11Bが設けられている。固定板11Bには、ネジ14を通すための貫通穴11Bが空けられている。
【0020】
本体部11Aの湾曲面の内側には、図3の右側面図(矢印A2方向から見た図)に示すように、金属製の接地用の貫通刃11Cが取り付けられている。貫通刃11Cは、本体部11Aの長手方向に沿って複数配列されている。貫通刃11Cは、制御ケーブル100の外装部130を貫通するためのものである。このために、貫通刃11Cの刃の部分が本体部11Aの長手方向になるように、各貫通刃11Cは本体部11Aの内側に配列されている。貫通刃11Cの刃先から本体部11Aの内側までの長さHは、外装部130の厚さとほぼ等しい。これにより、貫通刃11Cはシールド部120に接触するが、シールド部120を突き抜けることはない。つまり、貫通刃11Cは、制御ケーブル100の外装部130を貫通してシールド部120に接触する接触片である。
【0021】
第2の半割り部12は、本体部12Aと固定板12Bと接地用の貫通刃12Cとを備えている。これらは、第1の半割り部11の本体部11Aと固定板11Bと貫通刃11Cとほぼ同じである。異なるのは、固定板11Bの貫通穴11Bの代わりに、ネジ14に嵌め合うメスネジが固定板12Bに設けられている点である。
【0022】
この実施の形態では、図4に示すように、シールド接地具1の内径を値DA1〜DAの3種類としている。そして、制御ケーブル100の径に応じて、3種類のシールド接地具1を使い分けている。つまり、1つのシールド接地具1はサイズの異なる数種類の制御ケーブル100に用いられる。
【0023】
接地線13は、ケーブル13Aと端子13Bとを備えている。ケーブル13Aは、接地用の電線であり、端子13Bを固定板12Bに接続している。なお、この実施の形態では端子13Bを固定板12Bに接続しているが、端子13Bを固定板11Bに接続してもよい。
【0024】
こうした構成のシールド接地具1は制御ケーブル100に取り付けられるが、シールド接地具1の取り付けのために、絞め付け工具を用いるのが最適である。このために、この実施の形態では、図5に示す絞め付け工具2を用いる。絞め付け工具2は、絞め付け具21と圧着具22と導通確認装置23とを備えている。
【0025】
圧着具22は、外装部130外周面に配置された一組の第1の半割り部11と第2の半割り部12とを挟むものである。このために、圧着具22には、図6に示すように、シールド接地具1の第1の半割り部11および第2の半割り部12の外側湾曲面と接触する、金属製の半円形の凹部22Aが、互いに向かい合うように設けられている。これにより、圧着具22には第1の半割り部11および第2の半割り部12がそれぞれ接触し、圧着具22は第1の半割り部11および第2の半割り部12をそれぞれ保持する。同時に、第1の半割り部11および第2の半割り部12は圧着具22に電気的にそれぞれ接続される。
【0026】
この実施の形態では、図7に示すように、圧着具22が組み合わされたときの内径を、値DB1〜DB4の4種類としている。そして、芯線部110の本数などによる制御ケーブル100のタイプに応じて、4種類の内径DB1〜DB4を形成する圧着具22を使い分けている。
【0027】
絞め付け具21は、圧着具22を保持して押圧するものである。絞め付け具21は、図8に示すように、保持部21Aと保持部21Bが組み合わされて構成されている。保持部21Aと保持部21Bとは同じものであり、互いに向かい合うようにして、絶縁ネジ21Cで開閉可能に留められている。絶縁ネジ21Cには樹脂製のものや、絶縁材で表面処理されたものがある。
【0028】
保持部21Aは、図9に示すように、U字状に加工された端部に柄が一体で形成された金属製の2枚の保持板21Aが、互いに向かい合うように、金属製のブロック体21Aで接合されている。ブロック体21Aには、金属製のチューブ管21Aが接合されている。これにより、チューブ管21Aは、ブロック体21Aを介在して、保持板21Aと電気的に接続されている。
【0029】
一方、2枚の保持板21Aの表面は、電気を通さないようにするために、絶縁処理されている。また、保持板21Aの間には金属製の固定板21Aが配置されている。各固定板21Aは保持板21Aにそれぞれ接合されている。これにより、各固定板21Aは、保持板21Aとブロック体21Aとを介在して、チューブ管21Aと電気的に接続されている。各固定板21Aは、2枚の保持板21Aが変形しないようにし、かつ、2枚の保持板21A共に圧着具22を収納するための収納部21Aを形成している。
【0030】
ブロック体21Aとチューブ管21Aとは、絶縁性のある合成樹脂製のカバー21Dで覆われている。カバー21Dには、チューブ管21Aに続く貫通孔(図示を省略)が空けられている。
【0031】
なお、先に述べたように、保持部21Bは保持部21Aを対称にして形成されている。したがって、保持部21Bを図9で説明する場合には、保持部21Aの保持板21A〜収納部21Aに相当する各部材を、保持板21B〜収納部21Bとする。
【0032】
こうした構成の絞め付け具21が圧着具22を保持部21A、21Bにそれぞれ収納すると、各圧着具22は、収納部21A、21Bにそれぞれ収まると共に、収納部21A、21Bを形成する固定板21A、21Bにそれぞれ接触する。この結果、保持部21Aに収納された圧着具22はチューブ管21Aと電気的に接続され、保持部21Bに収納された圧着具22はチューブ管21Bと電気的に接続されることになる。さらに、保持部21A、21Bは絶縁処理されて絶縁ネジ21Cで止められているので、チューブ管21Aとチューブ管21Bとは、保持板21Aや保持板21Bなどを介在して、電気的に接続されることがない。
【0033】
また、絞め付け具21のカバー21Dの部分が握られると、絞め付け具21は保持部21A、21Bに収納された各圧着具22を、互いに接近する方向に押圧する。
【0034】
導通確認装置23は、本体23Aと、本体に接続されているリード線23B、23Bと、リード線23B、23Bの先端に接続されている棒状の金属製の接触棒23C、23Cとで構成されている。本体23Aには、電池23Aと発光ダイオードのような発光体23Aとの直列回路が形成されている。そして、直列回路の両端が、リード線23B、23Bを介在して、接触棒23C、23Cにそれぞれ電気的に接続されている。接触棒23C、23Cは、絞め付け具21のチューブ管21A、21Bにそれぞれ挿入可能である。
【0035】
導通確認装置23は、制御ケーブル100のシールド部120にシールド接地具1が電気的に接触しているかどうかを調べる際に利用される。
【0036】
次に、シールド接地具1と絞め付け工具2とを用いたケーブル接地方法について説明する。作業者は、図10に示すように、絞め付け具21に圧着具22をそれぞれ装着し、この後、第1の半割り部11および第2の半割り部12を圧着具22にそれぞれ装着する。また、作業者は、制御ケーブル100の芯線部110を出しておく。次に、作業者は、図11に示すように、絞め付け具21に装着された圧着具22で、制御ケーブル100を挟む。つまり、制御ケーブル100は、第1の半割り部11と第2の半割り部12で挟まれる。
【0037】
この後、作業者は、図12に示すように、導通確認装置23の接触棒23C、23Cをチューブ管21A、21Bにそれぞれ挿入し、導通確認装置23を絞め付け具21にセットする。この後、作業者は、絞め付け具21のカバー21Dを握ると、絞め付け具21が各圧着具22を押圧する。これにより、第1の半割り部11および第2の半割り部12が締め付けられ、第1の半割り部11および第2の半割り部12の貫通刃11C、12Cが制御ケーブル100の外装部130を貫通してシールド部120に接触する。
【0038】
こうした状態は、導通確認装置23の発光体23Aの発光によって確認される。つまり、貫通刃11Cがシールド部120に接触していると、導通確認装置23の本体23Aからの電気が、絞め付け工具2の保持部21B、絞め付け工具2の圧着具22、制御ケーブル100のシールド部120、絞め付け工具2の圧着具22、絞め付け工具2の保持部21Aを経て、本体23Aに戻り、発光体23Aが点灯する。
【0039】
貫通刃11Cがシールド部120に接触した状態で、作業者は、図13(a)に示すように、ネジ14でシールド接地具1の第1の半割り部11と第2の半割り部12とを固定する。これにより、シールド接地具1の貫通刃11C、12Cは、図13(b)に示すように、制御ケーブル100のシールド部120に接触した状態を保つ。つまり、シールド接地具1の貫通刃11C、12Cが制御ケーブル100のシールド部120に接続される。このように、シールド接地具1が制御ケーブル100に装着されると、作業者はシールド接地具1の接地線13を利用して、制御ケーブル100のシールド部120を接地することができる。
【0040】
こうして、この実施の形態によれば、シールド接地具1と絞め付け工具2とを用いて、シールド接地具1が装着された絞め付け工具2を握り、この後、ネジ14で固定するだけで、接地線13を制御ケーブル100のシールド部120に接続することができる。これにより、確実に、かつ、簡便に、接地線13を制御ケーブル100に接続することを可能にする。また、この実施の形態によれば、シールド接地具1の内径が値DA1〜DAの3種類を用い、圧着具22の内径が値DB1〜DBの4種類を用いるので、径の異なる各種のケーブルに対応可能である。つまり、径の異なる各種のケーブルのシールド部に対して、接地線13を確実に接続することを可能にする。さらに、絞め付け工具2を用いるので、シールド接地具1の装着を、大きな労力を不要にして容易に行うことができる。
【0041】
なお、この実施の形態では、あらかじめ接地線13が第2の半割り部12に接続されていたが、接地線13を未接続の状態にしておき、シールド接地具1を制御ケーブル100に装着後に、第1の半割り部11または第2の半割り部12に接地線13を接続する構成としてもよい。この場合でも、制御ケーブル100のシールド部120に対するハンダ付け、つまり、労力を要する作業が不要であるので、接地線13を接続する作業、例えばハンダ付け作業も容易である。
【0042】
(実施の形態2)
この実施の形態によるシールド接地具を図14(a)および図14(b)に示す。図14(a)、(b)に示すシールド接地具3は、接触板部31、32と、支持部33とで構成されている。支持部33は、図15に示すように、台部33Aと湾曲部33Bとで形成されている。台部33Aは、円筒形状をしている金属体であり、台部33Aの内側に取り付け孔33Aが形成されている。台部33Aは銅材などのような変形可能な金属で作られており、ペンチ等により台部33Aを締め付けて潰すことができる。円筒形状の台部33Aの端面に、台部33Aと同じ径で形成される円弧面から成る、金属製の湾曲部33Bが、台部33Aと一体で設けられている。この実施の形態では、凸形状の金属製の板を曲げて加工することで、台部33Aおよび湾曲部33Bが作られる。
【0043】
接触板部31と接触板部32とは一組で用いられて、制御ケーブル100のシールド部120を取り囲むように配置される。接触板部31は、図16に示すように、C字形の金属板であり、C字形の内側には鋸歯状に加工され、V字状(くさび形状)の多数の接触片31Aが形成されている。接触板部31は銅材などのような変形可能な金属で作られており、C字形の内側の方向(矢印B1方向)に接触板部31を撓めることができる。接触板部31の接触片31Aは、制御ケーブル100のシールド部120と接触する部分である。したがって、シールド部120の径に比べて多少大きくなるように、接触片31Aの先端がそれぞれ配列されている。接触板部31の一端には、支持部33の湾曲部33Bと同じ円弧面に相当し、かつ、その半分に相当する面を持つ窪み31Bが形成されている。
【0044】
接触板部32は、接触板部31と対称に作られている。つまり、接触板部32には、接触板部31と同様の接触片32Aと窪み32Bが形成されている。
【0045】
接触板部31と接触板部32とは、支持部33で支持されている。つまり、図17に示すように、接触片31Aと接触片32Aとが互いに向かい合うように、接触板部31と接触板部32とを配置すると、接触板部31の窪み31Bと接触板部32の窪み32Bとが一組となって、支持部33の湾曲部33Bと同じ円弧面に相当する面を持つ凹部3Aが形成される。この後、支持部33の湾曲部33Bの円弧面を、接触板部31と接触板部32とで形成される凹部3Aに配置して接合する。これにより、接触板部31と接触板部32とは、支持部33によって支持されて環状体を形成すると共に支持部33と電気的に接続される。
【0046】
次に、シールド接地具3を用いたケーブル接地方法について説明する。作業者は、図18に示すように、制御ケーブル100の端部の外装部130を切り離して、シールド部120をむき出しにする。次に、作業者は、シールド接地具3を制御ケーブル100に通し、図19に示すように、シールド接地具3を制御ケーブル100のシールド部120に位置させる。この状態で、作業者は、図20に示すように、ペンチPを用いて、シールド接地具3の接触板部31、32を締め付けて撓める。これにより、図21に示すように、シールド接地具3の接触板部31、32は、制御ケーブル100のシールド部120を挟んで、シールド部120に固定される。同時に、シールド接地具3の接触板部31、32が制御ケーブル100のシールド部120と接触し、接触板部31、32がシールド部120に対して電気的に接続される。
【0047】
この後、作業者は、シールド接地具3の取り付け孔33A1を利用して、接地線を接続する。つまり、図22に示すように、作業者は、接地線200の被覆210を切り離し、芯線220をむき出しにする。次に、作業者は、シールド接地具3の台部33Aに形成されている取り付け孔33A1に、接地線200の芯線220を通す。この後、作業者は、図23に示すように、ペンチPを用いてシールド接地具3の台部33Aを締め付けて潰し、接地線200の芯線220に台部33Aを圧着する。
【0048】
こうしてこの実施の形態によれば、シールド接地具3を用い、ペンチPでシールド接地具3を2回締め付けるだけで、接地線200を制御ケーブル100のシールド部120に接続することができる。これにより、接地線200を確実に、かつ、簡便に制御ケーブル100に接続することを可能にする。また、制御ケーブル100の外装部130が切り離された状態で、シールド接地具3を制御ケーブル100のシールド部120に接続するので、シールド接地具3がシールド部120に確実に接続されているかどうかを、目視により確認することを可能にする。
【0049】
以上、この発明の各実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は各実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、各実施の形態では、接地する対象が制御ケーブル100であったが、シールド部を持つ各種のケーブルにこの発明を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施の形態1によるシールド接地具を示す正面図である。
【図2】シールド接地具の左側面を示す側面図である。
【図3】シールド接地具の右側面を示す側面図である。
【図4】内径の異なるシールド接地具を示す正面図である。
【図5】絞め付け工具を示す構成図である。
【図6】第1の半割り部と第2の半割り部を圧着具に取り付けた様子を示す正面図である。
【図7】内径の異なる圧着具の組み合わせを示す正面図である。
【図8】絞め付け具を示す正面図である。
【図9】保持部を示す斜視図である。
【図10】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図11】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図12】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図13】シールド接地具を制御ケーブルに装着した状態を示す図であり、図13(a)は断面図、図13(b)は部分拡大図である。
【図14】実施の形態2によるシールド接地具を示す図であり、図14(a)は正面を表す斜視図、図14(b)は右側面を表す斜視図である。
【図15】支持部を示す斜視図である。
【図16】接触板部を示す斜視図である。
【図17】シールド接地具の組み立ての様子を説明する斜視図である。
【図18】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図19】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図20】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図21】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図22】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図23】ケーブル接地方法を示す説明図である。
【図24】制御ケーブルを示す斜視図である。
【図25】接地線を取り付ける様子を示す正面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 シールド接地具
11、12 第1の半割り部
11A、12A 本体部
11B、12B 固定板
11C、12C 接地用貫通刃(接触片)
2 絞め付け工具
21 絞め付け具(締め付け部)
22 圧着具(圧着部)
23 導通確認装置
3 シールド接地具
31、32 接触板部(本体部)
31A、32A 接触片
33 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド付きのケーブルに接地線を接続または接続可能にするシールド接地具であって、
互いに向かい合うように配置されて環状体を形成し、前記ケーブルを取り囲むように配置され、前記接地線を接続または接続可能にする導電性の本体部と、
前記本体部の内側に設けられている導電性の接触片と、
を備え、前記本体部の外側が締め付けられることにより、前記接触片が前記ケーブルのシールド部に接触して電気的に接続される、
ことを特徴とするシールド接地具。
【請求項2】
前記接触片は、前記ケーブルのシールド部に接触するくさび形状に形成され、
前記シールド部に通された本体部が締め付けられて、前記くさび形状の接触片が前記シールド部に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド接地具。
【請求項3】
前記接触片は、前記ケーブルの外装部を貫通してシールド部に接触する貫通刃であり、
前記ケーブルに通された本体部が締め付けられると、前記貫通刃が前記外装部を貫通して前記シールド部に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド接地具。
【請求項4】
請求項3に記載のシールド接地具を締め付ける締め付け工具であって、
前記各本体部をそれぞれ挟んで締め付けるための圧着部と、
互いに向かい合うように前記各圧着部を着脱自在に保持する保持部をそれぞれ具備し、前記各保持部に保持された前記圧着部が接近する方向に前記各圧着部を押圧する締め付け部と、
を備え、前記ケーブルに通された前記各本体部が、前記締め付け部によって締め付けられる、
ことを特徴とする締め付け工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−123375(P2010−123375A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295394(P2008−295394)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】