説明

シールド材

【課題】光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材を提供する。
【解決手段】透明基材10と、透明基材10上に形成された第1の粘着層12と、第1の粘着層12上に形成された樹脂層14と、樹脂層14上にパターン化されて形成された金属層16aと、金属層のパターン16a及び樹脂層14の上に、第3の粘着層12bを介して形成された反射防止層20とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド材に係り、さらに詳しくは、PDP(プラズマディスプレイパネル)などから漏洩する電磁波などを遮断するシールド材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広い視野角をもち、表示品質がよく、大画面化ができるなどの特徴をもつPDP(プラズラディスプレイパネル)は、マルチメディアディスプレイ機器などに急速にその用途を拡大している。
【0003】
PDPは気体放電を利用した表示デバイスであり、管内に封入されている気体を放電によって励起し、紫外領域から近赤外線領域に至るまで広い波長の線スペクトルを発生する。PDPの管内には蛍光体が配置されており、この蛍光体は紫外線領域の線スペクトルで励起されて可視領域の光を発生する。近赤外領域の線スペクトルの一部はPDPの表面ガラスから管外に放出される。
【0004】
この近赤外領域の波長はリモートコントロール装置及び光通信などで使用される波長(800nm〜1000nm)に近く、これらの機器をPDPの近傍で動作させた場合、誤動作を起こすおそれがあるので、PDPから近赤外線の漏洩を防止する必要がある。
【0005】
また、PDPの駆動によりマイクロ波や超低周波などの電磁波が発生し、わずかではあるが外部に漏洩する。情報機器装置などにはこれらの電磁波の漏洩の規定が定められているので、電磁波の漏洩を規定値以下に抑える必要がある。
【0006】
また、PDPは表示画面が平滑であるので、外部からの光が表示画面に入射するときに、入射光が反射し画面のコントラスト比が低下するため、外部からの入射光の反射を抑える必要がある。
【0007】
これらの目的で、PDPの表示画面の前方にシールド材が配置されている。
【0008】
従来、シールド材は、金属箔が貼られたプラスチックフィルムを、透明なガラス基板に貼り付けた後、金属箔をパターニングすることにより製造されていた。すなわち、金属箔は一般にその厚みが10μm程度の薄いものであるので、金属箔の取り扱いを容易にするため、まず、プラスチックフィルムに樹脂層を介して金属箔を貼り合わせ、さらに、金属箔を精度よくパターニングするため、この金属箔を備えたプラスチックフィルムを剛性の強いガラス基板などに貼り付けて金属箔をパターニングしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のシールド板は、金属箔の取り扱いを容易にするために金属箔とプラスチックフィルムとが一体化されているので、これを用いてシールド材を製造すると、このシールド材にはプラスチックフィルムが残存することになる。プラスチックフィルムは、透明のガラス基板に比べると、光の透過率が低く、ヘイズ(曇り度)が高い。
【0010】
従って、シールド材にプラスチックフィルムが残存すると、シールド材の光の透過率が低くなり、かつヘイズ(曇り度)が高くなるので、シールド材によりPDPの画面の視認性が悪くなるという問題があった。
【0011】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題を解決するため、本発明はシールド材の製造方法に係り、表面に剥離層を備えたプラスチックフィルムの前記剥離層上に、下から順に、第1の粘着層と樹脂層と金属箔とが積層された構造を形成する工程と、前記金属箔をパターニングして金属層のパターンを形成する工程と、前記剥離層と前記第1の粘着層との界面を剥がし、前記第1の粘着層を透明基板上に貼着して、前記透明基材上に下から順に、前記第1の粘着層と前記樹脂層と前記金属層のパターンとを形成する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
前述したように、パターニングされて金属層のパターンになる金属箔は取り扱いが容易ではないため、プラスチックフィルムに樹脂層を介して貼着され、さらに、金属箔を備えたプラスチックフィルムが剛性の強いガラス基板などの透明基材に貼着される。従って、光の透過率が低く、ヘイズ(曇り度)が高いプラスチックフィルムがシールド材に残存してしまうことになる。
【0014】
本発明のシールド材の製造方法は、シールド材にプラスチックフィルムが残存しないように工夫されたものである。
【0015】
すなわち、まず、プラスチックフィルムの剥離層が形成された面上に粘着層と樹脂層と金属箔とを形成し、このプラスチックフィルムの状態で金属箔をパターニングして金属層のパターンを形成する。
【0016】
このようにすることにより、プラスチックフィルム上に粘着層と樹脂層を介して金属箔が形成されているので、プラスチックフィルムが剛性をもつようになり、金属箔の取り扱いが容易になる。従って、剛性が強い透明基材にこのプラスチックフィルムを貼着してから金属箔をパターニングする必要がなく、金属箔が貼着されたロール状のプラチックフィルムを引き出して、いわゆるロールツーロール法で金属箔をパターニングできるようになる。
【0017】
その後、プラスチックフィルム上に形成された剥離層と第1の粘着層との界面を剥離し、第1の粘着層、樹脂層及び金属層のパターンをガラス基板などの剛性の強い透明基材に貼着する。
【0018】
これにより、透明基材上に第1の粘着層と樹脂層と金属層のパターンが形成され、光の透過率が低く、ヘイズ(曇り度)が高いプラスチックフィルムが残存しないシールド材が製造される。
【0019】
以上のように、本発明のシールド材の製造方法によれば、金属箔のパターニングをロールツーロール法で行うことができるようになり、シールド材の製造効率を向上させることができるとともに、シールド材にプラスチックフィルムが残存しないので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材を容易に製造することができる。
【0020】
また、上記問題を解決するため、本発明はシールド材の製造方法に係り、表面に剥離層を備えたプラスチックフィルムの前記剥離層上に、下から順に、第1の粘着層と樹脂層と金属箔とが積層された構造を形成する工程と、前記剥離層と前記第1の粘着層との界面を剥がし、前記第1の粘着層を透明基材上に貼着して、前記透明基材上に下から順に、前記第1の粘着層と前記樹脂層と前記金属層とを形成する工程と、前記金属層をパターニングして金属層のパターンを形成する工程とを有することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、まず、プラスチックフィルム上に剥離層を介して第1の粘着層、樹脂層及び金属層を形成し、剥離層と第1の粘着層との界面を剥離し、第1の粘着層、樹脂層及び金属層を透明基材に貼着する。その後、透明基材上の金属層をパターニングして金属層のパターンを形成する。
【0022】
前述したシールド材の製造方法は、プラスチックフィルムの上方に形成された金属箔をロールツーロールでパターニングして金属層のパターンを形成するのに対して、本発明では透明基材上に第1の粘着層と樹脂層と金属層とを転写した後に、金属層をパターニングする。
【0023】
このような製造方法により製造されたシールド材も前述したシールド材と同様な作用・効果を奏するとともに、例えば、透明基材としてガラス基板などの剛性の強い基板を用いることにより、より微細な金属層のパターンを安定して形成することができるようになり、シールド材の設計の自由度を向上させることができる。
【0024】
上記したシールド材の製造方法において、前記第1の粘着層と樹脂層と金属箔とが積層された構造を形成する工程が、前記金属箔の前記樹脂層側の面を黒化処理する工程を含むことが好ましい。また、前記金属層のパターンを形成する工程の後に、前記金属層のパターンの露出面を黒化処理する工程をさらに有することが好ましい。
【0025】
これによれば、金属箔の樹脂側の面が黒化処理され、金属箔をパターニングして金属層のパターンが形成された後にもさらに黒化処理されるので、金属層のパターンの両面及び側面、すなわち全ての面が黒化処理されることになる。従って、このシールド材をPDPのシールド材に使用する場合、PDPの表示画面からの出射光及び外部からの入射光の反射を抑えることができるので、PDPの表示画面のコントラスト比を向上させることができる。
【0026】
また、上記問題を解決するため、本発明はシールド材に係り、透明基材と、前記透明基材上に形成された第1の粘着層と、前記第1の粘着層上に形成された樹脂層と、前記樹脂層上にパターン化されて形成された金属層と、前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に、第3の粘着層を介して形成された反射防止層とを有することを特徴とする。
【0027】
本発明のシールド材は、例えば、上記した製造方法によって製造されたシールド材であって、光の透過率が低く、ヘイズ(曇り度)が高いプラスチックフィルムを含まないので、PDPのシールド材に使用する場合、PDPの視認性を向上させることができる。
【0028】
上記したシールド材において、前記第1の粘着層及び前記第3の粘着層のうち、少なくとも1つの粘着層が近赤外線吸収機能を備えていることが好ましい。
【0029】
これによれば、本発明のシールド材は、PDPからの電磁波を遮断することができ、また、外部から入射する光やPDPからの出射光の反射を抑えることができるとともに、粘着層が赤外線吸収機能を備えていることで、特別に赤外線吸収層を必要としないので、シールド材を簡易な構造にすることができる。
【0030】
また、上記したシールド材において、前記反射防止層は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなり、前記粘着層のうち、少なくとも1つの粘着層が紫外線(UV)吸収機能を備えていることが好ましい。また、前記反射防止層が、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムからなり、かつ紫外線(UV)吸収機能を備えていることが好ましい。
【0031】
これによれば、シールド材が紫外線(UV)吸収機能を備えた粘着層又は反射防止層を備えているので、PDPからの有害な紫外線をも遮断することができるようになる。
【0032】
また、上記したシールド材において、前記透明基材は、前記第1の粘着層側の面に剥離層を備えたセパレータであって、前記シールド材から前記セパレータが剥離され、前記第1の粘着層を介して、前記セパレータ以外の層がPDPの表示画面に貼着されることが好ましい。
【0033】
これによれば、シールド材の透明基材が、例えばプラスチックフィルムとプラスチックフィルムの第1の粘着層側に形成された剥離層とから構成されるセパレータからなり、このセパレータの剥離層と第1の粘着層との界面から容易に剥がすことができる。そして、プラスチックフィルムが剥がされたシールド材を第1の粘着層を介してPDPの表示画面に直接貼りつけることができる。
【0034】
このようにしても、PDPの表示画面に貼着されたシールド材にはプラスチックフィルムが残存しないので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材となる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、本発明のシールド材の製造方法は、まず、プラスチックフィルムの剥離層が形成された面上に粘着層と樹脂層と金属箔とが積層された構造を形成し、このプラスチックフィルムの状態で金属箔をパターニングして金属層のパターンを形成する。その後、プラスチックフィルム上の剥離層と第1の粘着層との界面を剥離し、第1の粘着層をガラス基板などの透明基材に貼着し、透明基材上に第1の粘着層、樹脂層及び金属層のパターンを形成する。
【0036】
または、透明基材上にプラスチックフィルム上に剥離層を介して形成された粘着層と樹脂層と金属箔とを転写した後で、金属箔をパターニングして金属層のパターンを形成する。
【0037】
これにより、シールド材にプラスチックフィルムが残存しないので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1(a)〜(d)は本発明の第1の実施の形態のシールド材の第1の製造方法を示す概略断面図である。
【図2】図2(a)〜(d)は本発明の第1の実施の形態のシールド材の第2の製造方法を示す概略断面図である。
【図3】図3(a)は本発明の第1の実施の形態のシールド材を示す概略断面図、図3(b)は本発明の第1の実施の形態のシールド材の変形例を示す概略断面図である。
【図4】図4は本発明の第2の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。
【図5】図5は本発明の第3の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。
【図6】図6は本発明の第4の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。
【図7】図7は本発明の第5の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。
【図8】図8(a)及び(b)は本発明の第6の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0040】
(第1の実施の形態)
図1(a)〜(d)は本発明の第1の実施の形態のシールド材の第1の製造方法を示す概略断面図、図2(a)〜(d)は本発明の第1の実施の形態のシールド材の第2の製造方法を示す概略断面図である。図3(a)は本発明の第1の実施の形態のシールド材を示す概略断面図、図3(b)は本発明の第1の実施の形態のシールド材の変形例を示す概略断面図である。
【0041】
最初に、本発明の実施の形態のシールド材の製造方法を説明する。
【0042】
(シールド材の第1の製造方法)
まず、図1(a)に示すように、プラスチックフィルムの一実施例であるPET(ポリエチレンテレフタレート)30aを用意する。このPETフィルム30aの一方の面には剥離層の一実施例である、膜厚が例えば1μmのシリコーン層30bが塗布されている。
【0043】
このシリコーン層30bの形成方法は、まず、シリコーン(信越化学工業社製:KS−3703)が100重量部、触媒(CAT−PL−50T)が1重量部及び溶剤(トルエン)499重量部の割合で混合して、合計600重量部の処理液を作成する。続いて、この処理液をバーコータでPETフィルム30a上に塗布し、120℃、30秒の条件下で熱処理を行うことにより、シリコーン層30bが形成される。このシリコーン層30bが一方の面に形成されたプラスチックフィルム30aを、以下、セパレータ30という。
【0044】
その後、セパレータ30のシリコーン層30bが形成された面上に、例えば、膜厚が10〜50μmの範囲、好適には25μmの第1の粘着層12を形成する。
【0045】
続いて、金属箔の一実施例である膜厚が例えば10μmの銅箔16を用意する。この銅箔16の光沢面を、例えば、ピロリン酸銅水溶液とピロリン酸カリウム水溶液とアンモニア水溶液との混合液に浸漬し、電流密度5A/dm2の条件下で、10秒間、電解めっきを行うことにより、黒化処理する。
【0046】
次いで、第1の粘着層12上に樹脂層14を形成し、銅箔16の黒化処理された面が樹脂層14側になるようにして配置し、例えば、80℃、20秒の条件でベークし、その後、5Kg/cm2の条件下で加圧することにより貼着する。
【0047】
これにより、セパレータ30上に、下から順に、第1の粘着層12と樹脂層14と銅箔16とが積層された構造が形成される。セパレータ30と銅箔16の間には樹脂層14ばかりではなく第1の粘着層12が形成されているので、セパレータ30の剛性を強くすることができる。
【0048】
次いで、ロールツーロール法で、銅箔16上に、レジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクにして、例えば塩化第2鉄水溶液をスプレー状にして銅箔16に吹きかけて銅箔をエッチングして、金属層のパターンの一実施例である銅層パターン16aを例えばメッシュ状に形成する。
【0049】
このとき、セパレータ30と銅箔16との間には第1の粘着層12が存在し、それが存在しない場合に比べ剛性が強くなっているので、スプレー状のエッチング液の圧力に耐えることができ、安定して銅箔16をエッチングすることができる。また、銅箔16をエッチングした後に、第1の粘着層12が露出する構造の場合、すなわち、樹脂層14が存在しない構造の場合、エッチング液により第1の粘着層12が透明から黄色に変色してしまう。しかしながら、本実施の形態では、第1の粘着層12の上に硬化した樹脂層14が存在するので、このような不具合が起こらず、粘着層の12の透明度を保つことができる。
【0050】
その後、銅層パターン16aを亜塩素酸ソーダ水溶液とカセイソーダ水溶液との混合液により化成処理することにより、銅層パターン16aの露出面を黒化処理する。銅箔16の樹脂層14側の面が上記した工程で黒化処理されているので、この工程が終了した時点で、銅層パターン16aの両面及び側面は全て黒化処理されたことになる。
【0051】
このようにして、図1(b)に示すように、セパレータ30上に、第1の粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる転写体32が形成される。
【0052】
次いで、図1(c)に示すように、セパレータ30と第1の粘着層12との界面を剥離する。このとき、シリコーン層30bと第1の粘着層12との密着強度が、シリコーン層30bとPETフィルム30aとの密着強度より弱くなっているので、セパレータ30と第1の粘着層12との界面で容易に剥離することができる。
【0053】
その後、図1(d)に示すように、一方の面の周縁部に黒枠層22が形成された、透明基材の一実施例である透明のガラス基板10を用意する。続いて、露出した第1の粘着層12の面をガラス基板10の黒枠層22が形成されていない面に貼着する。これにより、ガラス基板10上に下から順に、第1の粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる転写体32が形成される。
【0054】
次いで、図3に示すように、銅層パターン16a及び樹脂層14上に色補正機能を備えた第2の粘着層12aを周縁部の銅膜パターン16aが露出するようにして形成し、この第2の粘着層12a上に近赤外線吸収層18を形成する。
【0055】
次いで、近赤外線吸収層18上に紫外線(UV)吸収機能を備えた第3の粘着層12bを形成し、この第3の粘着層12b上にPETフィルム上に反射防止層を形成するなどして、反射防止機能を備えたPET製反射防止層20を形成する。
【0056】
以上により、本実施の形態のシールド材の第1の製造方法で製造されたシールド材26が完成する。
【0057】
(シールド材の第2の製造方法)
第2の製造方法が第1の製造方法と異なる点は、金属層などをガラス基板に転写した後に、金属層をパターニングして金属パターンを形成することであるので、図2において図1と同一物には同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0058】
まず、図2(a)に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、セパレータ30上に第1の粘着層12と樹脂層14と樹脂層14側の面が黒化処理された銅箔16とが積層された構造を形成する。
【0059】
その後、図2(b)及び(c)に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、シリコーン層30bと粘着層12との界面を剥がし、粘着層12をガラス基板10の黒枠層が形成されていない面に貼着することにより、ガラス基板10上に、下から順に、第1の粘着層12、樹脂層14及び銅箔16からなる転写体32aを形成する。
【0060】
次いで、図2(d)に示すように、銅箔16上にレジスト膜(図示せず)をパターニングし、このレジスト膜をマスクにして、例えば塩化第2鉄水溶液などにより、銅箔16をエッチングすることにより銅層パターン16aを形成する。
【0061】
第2の製造方法では、ガラス基板10上に第1の粘着層12、樹脂層14及び銅箔16を転写した後に、銅箔16をパターニングして銅層パターン16aを形成する。剛性が非常に強いガラス基板の状態で銅箔のパターニングを行うので、レジスト膜のパターニング精度が上がり、より微細な銅層パターンを安定して形成することができる。
【0062】
続いて、銅層パターン16aの表面及び側面を第1の製造方法と同様な方法で黒化処理する。
【0063】
これにより、図2(d)に示すように、図1(d)と同様な構造、すなわち、ガラス基板上に、下から順に、粘着層12と樹脂層14と銅層パターン16aとが形成される。
【0064】
次いで、図3に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、銅層パターン16a及び樹脂層14上に色補正機能を備えた第2の粘着層12aを介して近赤外線吸収層18を形成し、この近赤外線吸収層18上に紫外線(UV)吸収機能を備えた第3の粘着層12bを介してPET製反射防止層20を形成する。
【0065】
以上により、本実施の形態のシールド材の第2の製造方法で製造されたシールド材26が完成する。
【0066】
本実施の形態のシールド材26は、図3(a)に示すように、ガラス基板10の一方の面上に第1の粘着層12及び樹脂層14を介して、例えばメッシュ状の銅層パターン16aが形成されている。この銅層パターン16aは、両面及び側面、すなわち、その全ての面が黒化処理され、金属光沢が消されて黒系の色を呈するようになっている。
【0067】
さらに、銅層パターン16a及び樹脂層14上には第2の粘着層12aを介して近赤外線吸収層18が形成され、さらに、近赤外線吸収層18上には第3の粘着層12bを介して、PET製反射防止層20が形成されている。PET製反射防止層20の直下に形成された第3の粘着層12bには紫外線(UV)吸収剤が添加されており、この第3の粘着層12bは紫外線(UV)吸収機能を備えている。また、例えば、第2の粘着層12aは色補正機能を備えている。なお、第1、第2及び第3の粘着層(12,12a,12b)のうち、少なくとも1つの粘着層が色補正機能を備えた形態であればよい。
【0068】
第2の粘着層12a、近赤外線吸収層18、第3の粘着層12b及びPET製反射防止層20は、周縁部の金属層パターン16aが露出するように形成され、ガラス基板10の周縁部に形成された銅層パターン16aは、帯電防止のためPDPの接地回路に接続される。
【0069】
ガラス基板10の他方の面の周縁部には、黒枠層22が形成されている。なお、黒枠層22が、ガラス基板10の一方の面、すなわち、ガラス基板10の第1の粘着層12側の面の周縁部に形成された形態としてもよく、又は、黒枠層22を省略した形態にしてもよい。
【0070】
本実施の形態のシールド材26は、このような構成になっており、ガラス基板10の周縁部の銅層パターン16aがPDPの筐体の接地端子に電気的に接続され、ガラス基板10の黒枠層22側の面がPDPの表示画面側になり、ガラス基板10の第1の粘着層12側の面がPDPを操作する人側になるようにしてPDPに配置される。銅層パターン16aは良導体なので、PDPの表示画面から放出されるマイクロ波や超低周波などの電磁波を遮断することができる。
【0071】
本実施の形態のシールド材26の製造方法は、シールド材26の中に光の透過率が低く、ヘイズ(曇り度)が高いPETフィルム30aが残存しないように工夫されたものである。すなわち、PETフィルム30aをPETフィルム30a上に形成された第1の粘着層12と樹脂層14と銅層パターン16a又は銅箔16とからなる転写体(32又は32a)から容易に剥離できるように、PETフィルム30a上にシリコーン層30bからなる剥離層が形成されたセパレータ30を用いることを特徴としている。
【0072】
つまり、第1の製造方法では、まず、取り扱いが容易ではない銅箔16を第1の粘着層12と樹脂層14とを介してセパレータ30に貼着することにより、セパレータ30の剛性を強くし、ロール状のセパレータ30を引き出した状態で銅箔をエッチングして銅層パターン16aを形成する。
【0073】
その後、セパレータ30と第1の粘着層12との界面にはシリコーン層30bが形成されており、この界面で容易に剥離することができるので、第1の粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる転写体32をガラス基板10上に貼着することができる。
【0074】
このようにすることにより、銅箔16をロール状のセパレータ30の状態で、いわゆるロールツーロール法でパターニングすることができるようになり、製造効率を向上させることができる。さらに、転写体32をセパレータ30から剥離し、PETフィルム30aが残存しない転写体32をガラス基板10上に転写して形成することができる。
【0075】
第2の製造方法においては、ガラス基板10上に粘着層12、樹脂層14及び銅箔16を転写した後に、銅箔16をパターニングして銅層パターン16aを形成している。この第2の製造方法においても、PETフィルム30aが残存しないシールド材を容易に製造することができる。
【0076】
このように、本実施の形態のシールド材26は、PET製反射防止層20以外にPETフィルムを含まない構成であり、その結果、シールド材の光の透過率が上がり、ヘイズ(曇り度)を低くすることができる。
【0077】
また、本実施の形態のシールド材26はPET製反射防止層20を備え、外部からの光の反射を抑えることができるので、電磁波を遮断できるとともに、PDPの表示画面のコントラスト比を向上させることができる。さらに、PET製反射防止層20はPETフィルムからなるので、第3の粘着層12bとの密着性を向上させることができる。
【0078】
また、本実施の形態のシールド材26は、近赤外線吸収機能を備えているので、リモートコントロール装置などをPDPの近傍で操作しても誤動作を起こすおそれがなくなる。
【0079】
さらに、本実施の形態のシールド材26は紫外線(UV)吸収機能を備えているので、人体に有害な紫外線を遮断することができる。さらにまた、色補正機能を備えているので、PDPのある色の発光が強くなっている場合、この色の発光強度を補正することができる。
【0080】
次に、本実施の形態のシールド材の製造方法の変形例を説明する。
【0081】
まず、シールド材の第1の製造方法により図1(d)の構造体を、又はシールド材の第2の製造方法により図2(d)の構造体を製造する。
【0082】
その後、図3(b)に示すように、プラスチックフィルムの一実施例であるPETフィルム21を用意し、このPETフィルム21の一方の面上に反射防止層25を形成し、他方の面上に近赤外線吸収層23を形成する。すなわち、一方の面上に反射防止機能を備え、他方の面上に近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルム21を用意すればよい。
【0083】
次いで、同じく図3(b)に示すように、銅層パターン16a及び樹脂層14上に第2の粘着層12aを形成する。続いて、この第2の粘着層12aを介して、ガラス基板10上にPETフィルム21の近赤外線吸収層23側の面を貼着する。これにより、同じく図3(b)に示すように、図3(a)の第2の粘着層12a上に形成された近赤外線吸収層18、第3の粘着層12b及びPET製反射防止層20の代わりに、一方の面上に近赤外吸収層23が、他方の面上に反射防止層25が形成されたPETフィルム21が第2の粘着層12a上に貼着される。これにより、本実施の形態のシールド材の変形例のシールド材26gが完成する。
【0084】
本実施の形態の変形例のシールド材26gにおいても、前述したシールド材26と実質的に同一の機能を有するシールド材となり、同様な作用・効果を奏するとともに、近赤外線吸収機能と反射防止機能を備えたPETフィルムを、銅層パターンなどを備えたガラス基板上に貼着するので、シールド材26より製造が容易になり、また、その構造を簡易なものとすることができる。
【0085】
(第2の実施の形態)
図4は本発明の第2の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。第2の実施の形態のシールド材が第1の実施の形態のシールド材と異なる点は、近赤外線吸収層が形成されておらず、粘着層にその機能をもたせた点にあるので、図4において図3と同一物には、同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0086】
第2の実施の形態のシールド材26aは、図4に示すように、特別に近赤外線吸収層が形成されていない構成になっている。ガラス基板10上に第1の粘着層12及び樹脂層14を介して銅層パターン16aが形成され、銅層パターン16a上には近赤外線吸収機能を備えた第3の粘着層12bを介してPET製反射防止層20が形成されている。このように、第3の粘着層12bが近赤外線吸収機能をもっているので、特別に近赤外線吸収層を形成する必要がない。
【0087】
また、第1の粘着層12及び第3の粘着層12bのうち、少なくとも1つが紫外線(UV)吸収機能を備えている。さらに、第1の粘着層12及び第3の粘着層12bのうち、少なくとも1つが色補正機能を備えている。
【0088】
なお、第3の粘着層12bの代わりに、第1の粘着層12に近赤外線吸収機能を備えてもよく、また、両者とも近赤外線吸収機能をもつようにしてもよい。また、黒枠層22を省略した形態としてもよい。
【0089】
本実施の形態のシールド材26aは、第1の実施の形態のシールド材と同様な製造方法によって製造される。
【0090】
本実施の形態のシールド材26aによれば、第1の実施の形態のシールド材26と同様な作用・効果を奏するとともに、特別に近赤外線吸収層を設ける必要がないので、製造が容易になる。また、近赤外線吸収層が存在せず、その分、光の透過率を向上させることができるので、第1の実施の形態のシールド材26よりPDPの視認性を向上させることができる。
【0091】
(第3の実施の形態)
図5は本発明の第3の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。第3の実施の形態のシールド材が第1の実施の形態のシールド材と異なる点は、シールド材の金属層のパターンが透明基材のPDP側になる面側に形成され、かつ、反射防止層が透明基材の両面に形成されている点にあるので、図5において図3と同一物には同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0092】
本発明の第3の実施の形態のシールド材26bは、図5に示すように、ガラス基板10の一方の面上、すなわち、PDP側になる面上に、黒枠層22が形成され、黒枠層22及びガラス基板10上には第1の粘着層12c及び樹脂層14を介して銅層パターン16aが形成されている。
【0093】
一方、ガラス基板10の他方の面には、第2の粘着層12dを介して近赤外線吸収層18が形成され、近赤外線吸収層18上には第3の粘着層12eを介して第1のPET製反射防止層20aが形成されている。さらに、銅層パターン16a上には第4の粘着層12fを介して第2のPET製反射防止層20bが形成されている。
【0094】
なお、近赤外線吸収層18を第4の粘着層12fと第2のPET製反射防止層20bとの間に形成し、この近赤外線吸収層18上に第2の粘着層12dを介して第2のPET製反射防止層が形成された形態としてもよい。また、近赤外線吸収層18と第2の粘着層12dとを設けず、その代わり、第2のPET製反射防止層20bのPDP側の面上に近赤外線吸収層をコーティングした形態としてもよい。
【0095】
第3の実施の形態のシールド材26bは、ガラス基板10のPDPを操作する人側になる面に第1のPET製反射防止層20aが形成され、ガラス基板10のPDP側になる面に第2のPET製反射防止層20bが形成されている。第1のPET製反射防止層20a及び第2のPET製反射防止層20bはいずれも紫外線(UV)吸収機能を備えていない。その代わり、第1、第2、第3及び第4の粘着層(12c,12d,12e,12f)のうち、少なくとも1つの粘着層が紫外線(UV)吸収機能を備えており、好適には、第3の粘着層12eが紫外線(UV)吸収機能を備えている形態にすればよい。
【0096】
また、第1の粘着層12c、第2の粘着層12d、第3の粘着層12e及び第4の粘着層12fのうち、少なくとも1つの粘着層が色補正機能を備えており、好適には、第2の粘着層12dが色補正機能を備えた形態とすればよい。また、黒枠層22を省略した形態としてもよい。
【0097】
第3の実施の形態のシールド材26bによれば、第1の実施の形態のシールド材と同様の作用・効果を奏するとともに、PDPを操作する人側の面とシールド材のPDP側の面とにそれぞれ第1のPET製反射防止層20aと第2のPET製反射防止層20bとが形成されているので、外部からの光の反射やPDPの表示画面からの光の反射を確実に抑えることができ、PDPの表示画面のコントラスト比を向上させることができる。
【0098】
また、本実施の形態のシールド材26bは、ガラス基板10の黒枠層22が形成された面に第1の粘着層12c及び樹脂層14を介して銅層パターン16aが形成された構造となっている。ここで、第1の粘着層12cと樹脂層14との間にPETフィルム30aが残存する場合を想定してみる。この場合、PETフィルム30aはある程度の剛性をもっているので、第1の粘着層12cがPETフィルム30a側に引っ張られて、黒枠層22のパターンエッジの段差部(図4、A部)に入り込めなくなり、この段差部に気泡が発生しやすい。これにより、黒枠層22のパターンエッジに沿って気泡に起因する線が発生することになり、PDPの高級感を損ねたり、視認性を劣化させたりするおそれがある。
【0099】
しかしながら、本実施の形態によれば、PETフィルム30aが存在しないので、第1の粘着層12cが黒枠層22のパターンのエッジの段差部(図5、A部)に追随してこの段差を埋め込むようにして形成される。これにより、黒枠層22のパターンのエッジに沿った気泡に起因する線が発生しなくなくなり、PDPの高級感を損ねたり、視認性を劣化させたりすることを防止することができる。
【0100】
次に、本実施の形態のシールド材26bの製造方法を説明する。
【0101】
まず、第1の実施の形態の第1の製造方法と同様な方法で、セパレータ30上に形成された第1の粘着層12c、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる転写体32をセパレータ30から剥離し、ガラス基板10の黒枠層22が形成された一方の面に貼着する。このとき、上記したように、転写体32にはPETフィルムがないので、第1の粘着層12cが黒枠層22の段差部Aに追随し、段差部Aに埋め込まれるようにしてガラス基板10に貼着される。
【0102】
または、第1の実施の形態の第2の製造方法と同様な方法で、セパレータ30上に形成された第1の粘着層12c、樹脂層14及び銅箔16からなる転写体32aをセパレータ30から剥離し、ガラス基板10の黒枠層22が形成された一方の面に貼着する。
【0103】
その後、第2の製造方法を用いる場合は、ガラス基板10上方の銅箔16をパターニングして銅層パターン16aを形成する。
【0104】
次いで、銅層パターン16a及び樹脂層14上に、第4の粘着層12fを介して第2のPET製反射防止層20bを形成する。
【0105】
次いで、ガラス基板10の他方の面上に、第2の粘着層12dを介して近赤外線吸収層18を形成し、続いて、近赤外線吸収層18上に、第3の粘着層12eを介して第1のPET製反射防止層20aを形成する。
【0106】
以上により、第3の実施の形態のシールド材26bが完成する。
【0107】
(第4の実施の形態)
図6は本発明の第4の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。第4の実施の形態のシールド材は、第1の実施の形態のシールド材の反射防止層の材料を代えた形態であるので、図6において図3と同一物には同一符号を付し、その詳細の説明を省略する。
【0108】
本実施の形態のシールド材26cが第1の実施の形態のシールド材26と異なる点は、図6に示すように、反射防止層20cとしてPETフィルムの代わりにTAC(トリアセチルセルロース)フィルムを用いたことである。このTAC製反射防止層20cは紫外線(UV)吸収機能を備えているので、例えば第3の粘着層12bが紫外線(UV)吸収機能を備える必要がない。
【0109】
また、第1の実施の形態のシールド材26と同様に、第1、第2及び第3の粘着層(12,12a,12b)のうち、少なくとも1つの粘着層が色補正機能を備えている。なお、黒枠層22を省略した形態としてもよい。また、第1の実施の形態のシールド材の変形例のように、近赤外線吸収層18、第3の粘着層12b及びTAC製反射防止層20cの代わりに、一方の面上に反射防止層が形成され、他方の面上に近赤外線吸収層が形成されたTACフィルムを用意し、このTACフィルムの近赤外線吸収層の面をガラス基板10上方の第2の粘着層上に貼着してもよい。
【0110】
本実施の形態のシールド材26cによれば、反射防止層としてTAC製反射防止層20cを用いているので、PET製反射防止層を用いた第1の実施の形態よりシールド材の光の透過率を向上させることができる。これにより、第1の実施の形態のシールド材26bよりPDPの視認性を向上させることができる。
【0111】
(第5の実施の形態)
図7は本発明の第5の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。第5の実施の形態のシールド材は、第3の実施の形態のシールド材の反射防止層の材料を代えた形態であるので、図7において図5と同一物には同じ符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0112】
本実施の形態のシールド材26dが第3の実施の形態のシールド材26bと異なる点は、図7に示すように、反射防止層としてPETフィルムの代わりにTACフィルムを用いたことである。すなわち、ガラス基板10のPDPを操作する人側になる面上にTACフィルム上に反射防止層を形成するなどして、反射防止機能を備えた第1のTAC製反射防止層20dが形成され、ガラス基板10のPDP側になる面上に同様な第2のTAC製反射防止層20eが形成されている。
【0113】
また、第1のTAC製反射防止層20d及び第2のTAC製反射防止層20eのうち、少なくとも1つの反射防止層が紫外線(UV)吸収機能を備えており、第1、第2、第3及び第4の粘着層(12c,12d,12e,12f)はいずれも紫外線吸収機能を備えていない。
【0114】
また、第1、第2、第3及び第4の粘着層(12c,12d,12e,12f)のうち、少なくとも1つの粘着層が色補正機能を備えており、好適には、第2の粘着層12dが色補正機能を備えた形態にすればよい。なお、黒枠層22を省略した形態にしてもよい。
【0115】
本実施の形態のシールド材26dによれば、第1及び第2のTAC製反射防止層20d,20eは、PET製反射防止層より光の透過率を向上させることができるので、第3の実施の形態のシールド材26bよりPDPの視認性を向上させることができる。
【0116】
(第6の実施の形態)
図8(a)及び(b)は本発明の第6の実施の形態のシールド材を示す概略断面図である。第6の実施の形態のシールド材は、第1及び第2の実施の形態のシールド材のように透明基材としてガラス基板を用いるのではなく、表面に剥離層を備えたセパレータを用いる形態であるので、図8において、図3及び図4と同一物には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0117】
本実施の形態のシールド材26eの透明基材は、図8(a)に示すように、その一実施例であるセパレータ40からなり、このセパレータ40はシリコーン層40bとPETフィルム40aとから構成される。
【0118】
このシールド材26eを、PDPの表示画面に設置する際、シリコーン層40bと第1の粘着層12との界面を剥離し、シールド材26eのセパレータ40以外の構造体Bの第1の粘着層12の露出面を直接PDPの表示画面に貼り付けることにより、PDPのシールド材として機能させることができる。
【0119】
本実施の形態のシールド材26eがPDPの表示画面に配置される際には、PETフィルム40aが残存しないことになるので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が少ないシールド材とすることができる。
【0120】
また、ガラス基板を使用する必要がないので、シールド材の構造が簡易になって製造しやすくなるとともに、製造コストを下げることができる。
【0121】
反射防止層20は、PET製反射防止層でもTAC製反射防止層であってもよく、PET製反射防止層を用いる場合は、第1の実施の形態と同様に、例えば第3の粘着層12bが紫外線(UV)吸収機能を備えるようにし、TAC製反射防止層を用いる場合は、第4の実施の形態と同様に、TAC製反射防止層20自体が紫外線(UV)吸収機能を備えるようにすればよい。また、第1の実施の形態と同様に、少なくとも1つの粘着層が色補正機能を備えている形態にすればよい。
【0122】
図8(b)に示すシールド材26fは、図8(a)に示すシールド材26eの変形例であって、図8(a)のシールド材26eの第2の粘着層12a及び近赤外線吸収層18を省略した形態である。この変形例では、第2の実施の形態と同様に、第1の粘着層12と第3の粘着層12bのうち、少なくとも1つが近赤外線吸収機能を備えている形態にすればよい。
【0123】
次に、第6の実施の形態のシールド材26eの製造方法を説明する。
【0124】
まず、第1の実施の形態と同様な方法で、一方の面にシリコーン層40bが塗布されたPETフィルム40aからなるロール状のセパレータ40を用意し、これを引き出し、第1の粘着層12及び樹脂層14を介して銅箔16を貼り付け、ロールツーロール法で銅箔16をパターニングして銅層パターン16aを形成する。
【0125】
その後、ロールツーロール法で、銅層パターン16a及び樹脂層14の上に第2の粘着層12aを介して近赤外線吸収層18を形成し、続いて、近赤外線吸収層18上に、第3の粘着層12bを介してPET製又はTAC製反射防止層20を形成する。
【0126】
なお、第1及び第4の実施の形態の変形例と同様に、近赤外線吸収層18、第3の粘着層12b及び反射防止層20の代わりに、一方の面上に反射防止層が形成され、他方の面上に近赤外線吸収層が形成されたPET又はTACフィルムの近赤外線吸収層側の面をセパレータ40上方の第2の粘着層12a上に貼着してもよい。
【0127】
以上により、第6の実施の形態のシールド材26eを製造することができる。
【0128】
以上、第1〜第6の実施の形態により、この発明の詳細を説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明を逸脱しない要旨の範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
10:ガラス基板(第1〜第5の実施の形態のシールド材に係る透明基材)
12,12c:第1の粘着層
12a,12d:第2の粘着層
12b,12e:第3の粘着層
12f:第4の粘着層
14:樹脂層
16:銅箔(金属箔)
16a:銅層パターン(金属層のパターン)
18,23:近赤外線吸収層
20:PET製反射防止層
20a:第1のPET製反射防止層
20b:第2のPET製反射防止層
20c:TAC製反射防止層
20d:第1のTAC製反射防止層
20e:第1のTAC製反射防止層
22:黒枠層
25:反射防止層
26〜26g:シールド材
30a,21,40a:PETフィルム(プラスチックフィルム)
30b,40b:シリコーン層(剥離層)
30:セパレータ
40:セパレータ(第6の実施の形態のシールド材に係る透明基材)
32,32a:転写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、
前記透明基材上に形成された第1の粘着層と、
前記第1の粘着層上に形成された樹脂層と、
前記樹脂層上にパターン化されて形成された金属層と、
前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に、第3の粘着層を介して形成された反射防止層とを有することを特徴とするシールド材。
【請求項2】
一方の面上に前記反射防止層が形成されたプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの他方の面上に形成された近赤外線吸収層とをさらに有し、
前記透明基材の上方に形成された前記第3の粘着層と前記プラスチックフィルムの他方の面上に形成された近赤外線吸収層とが貼着されていることを特徴とする請求項1に記載のシールド材。
【請求項3】
前記金属層のパターンの前記樹脂層側の面、前記反射防止層側の面及び側面が黒化処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシ−ルド材。
【請求項4】
前記第1の粘着層及び前記第3の粘着層のうち、少なくとも1つの粘着層が近赤外線吸収機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシールド材。
【請求項5】
前記金属層のパターンと前記第3の粘着層との間であって、前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に、第2の粘着層を介して形成された近赤外線吸収層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のシールド材。
【請求項6】
前記反射防止層は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に形成されたものであり、前記粘着層のうち、少なくとも1つの粘着層が紫外線(UV)吸収機能を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシールド材。
【請求項7】
前記反射防止層は、トリアセチルセルロースフィルム上に形成されたものであり、かつ紫外線吸収機能を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシールド材。
【請求項8】
前記粘着層のうち、少なくとも1つの粘着層が、色補正機能を備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシールド材。
【請求項9】
前記透明基材は、ガラスからなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシールド材。
【請求項10】
前記透明基材は、前記第1の粘着層側の面に剥離層を備えたセパレータであって、前記シールド材から前記セパレータが剥離され、前記第1の粘着層を介して、前記セパレータ以外の層がPDPの表示画面に貼着されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシールド材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−95773(P2011−95773A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11024(P2011−11024)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【分割の表示】特願2001−155747(P2001−155747)の分割
【原出願日】平成13年5月24日(2001.5.24)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】