説明

シール構造及びシールリング

【課題】シール性能を全周に亘って安定させる。
【解決手段】互いに対応する一対のシール面22,25の間で弾性的に挟み付けられるシールリング10には、第1シール面22に押圧されることにより弾性変形する姿勢保持部12と、姿勢保持部12の弾性変形時の変位方向を特定の向きに規制する変形方向規制手段15とが設けられ、姿勢保持部12の弾性復元力により、一対のシール面22,25に対してシールリング10が一定の姿勢に保持される。これにより、一対のシール面22,25に対するシールリング10の密着状態、即ちシール性能が全周に亘って安定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール構造及びシールリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネルと、パネルに取り付けたコネクタとの間の防水を図るためのシール構造が開示されている。このシール構造では、コネクタにおけるパネルとの対向面にシール溝がリング状に形成され、シール溝には、パネルのシール面と対応するリップ部を有する弾性材料からなるシールリングが取り付けられており、コネクタをパネルに取り付けると、リップ部が弾性変形した状態でシール面に密着することにより、防水が図られる。
【特許文献1】特開2001−068205公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような防水構造では、コネクタをパネルに取り付ける過程で、リップ部がシール面に押し付けられるのに伴ってリップ部の変形の度合いが進むようになっているが、このときリップ部の変形の形態が全周に亘って一定しない場合がある。つまり、リップ部の一部が内周側へ傾きながら変形する一方で、リップ部の別の部分が外周側へ傾きながら変形するという事態が生じ得る。このようになると、シールリングが捻れるように変形するので、リップ部の弾性変形量が全周に亘って均一にならず、シール性能が不安定になることが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シール性能を全周に亘って安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、互いに対応する一対のシール面と、前記一対のシール面の間で弾性的に挟み付けられるシールリングとを備え、前記シールリングには、前記一対のシール面のうち少なくとも一方の前記シール面に対して押圧されることにより弾性変形する姿勢保持部と、前記姿勢保持部の弾性変形時の変位方向を特定の向きに規制する変形方向規制手段とが設けられ、前記姿勢保持部の弾性復元力により、前記一対のシール面に対して前記シールリングが一定の姿勢に保持されるようになっているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記姿勢保持部が、前記シール面における異なる2位置に当接するように一対設けられ、前記変形方向規制手段が、前記一対の姿勢保持部を互いに相手側の姿勢保持部から離れる方向へ弾性変形させるようになっているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記シールリングには、前記シール面に対して弾性的に密着するリップ部が、前記一対の姿勢保持部の間に配置されて形成されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記一対のシール面のうち前記姿勢保持部を弾性変形させる第1の前記シール面とは反対側の第2の前記シール面が形成されている部材には、前記姿勢保持部を、前記第1のシール面との間で弾性的に且つ液密状に挟み付ける押圧面が形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記一対のシール面のうち前記姿勢保持部を弾性変形させる第1の前記シール面とは反対側の第2の前記シール面を有する部材には、前記シールリングのベース部を嵌合させるための嵌合溝が形成され、前記嵌合溝の内面が前記第2のシール面となっており、前記ベース部には、前記第2のシール面における異なる2位置に液密状に当接可能な一対のリップ部が形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項6の発明は、互いに対応する一対のシール面の間で弾性的に挟み付けられるシールリングであって、前記一対のシール面のうち少なくとも一方の前記シール面に対して押圧されることにより弾性変形する姿勢保持部と、前記姿勢保持部の弾性変形時の変位方向を特定の向きに規制する変形方向規制手段とを備え、前記姿勢保持部の弾性復元力により、前記一対のシール面に対して一定の姿勢に保持されるようになっているところに特徴を有する。
【0010】
請求項7の発明は、請求項6に記載のものにおいて、前記姿勢保持部が、前記シール面における異なる2位置に当接するように一対設けられ、前記変形方向規制手段が、前記一対の姿勢保持部を互いに相手側の姿勢保持部から離れる方向へ弾性変形させるようになっているところに特徴を有する。
【0011】
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記一対の姿勢保持部の間には、前記シール面に対して弾性的に密着するリップ部が形成されているところに特徴を有する。
【0012】
請求項9の発明は、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のものにおいて、前記姿勢保持部は、前記一対のシール面のうち前記姿勢保持部を弾性変形させる第1の前記シール面と、前記第1のシール面とは反対側の第2の前記シール面が形成されている部材に形成した押圧面との間で、弾性的に且つ液密状に挟み付けられるようになっているところに特徴を有する。
【0013】
請求項10の発明は、請求項6ないし請求項9のいずれかに記載のものにおいて、前記一対のシール面のうち前記姿勢保持部を弾性変形させる第1の前記シール面とは反対側の第2の前記シール面を有する部材に形成されて、内面が前記第2のシール面となっている嵌合溝に対し、ベース部を嵌合させるようになっているシールリングであって、前記ベース部には、前記第2のシール面における異なる2位置に液密状に当接可能な一対のリップ部が形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1及び請求項6の発明>
姿勢保持部は、変形方向規制手段により一定の方向へ変位して弾性変形し、この姿勢保持部の弾性復元力により、シールリングが一対のシール面に対して一定の姿勢に保持される。これにより、一対のシール面に対するシールリングの密着状態、即ちシール性能が全周に亘って安定する。
【0015】
<請求項2及び請求項7の発明>
一対の姿勢保持部は、シール面上で拡がるように弾性変形するので、シール面上における一対の姿勢保持部の当接位置間の距離が大きくなる。したがって、シールリングは、より安定した姿勢に保持される。
【0016】
<請求項3及び請求項8の発明>
一対の姿勢保持部の間にリップ部が形成されているので、シール面に対するリップ部の弾性変形の仕方が安定し、高いシール性能が発揮される。
【0017】
<請求項4及び請求項9の発明>
姿勢保持部は、シールリングの姿勢を保持する機能に加えて、シール機能も兼ね備えているので、シールリングの形状の簡素化を維持しながらシール性能の向上を図ることができる。
【0018】
<請求項5及び請求項10の発明>
一対のリップ部は、第2のシール面における異なる2位置に当接するので、姿勢保持部と同様、嵌合溝内においてシールリングの姿勢を保持する機能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図5を参照して説明する。図1及び図2に示すのは、ゴム製のシールリング10である。シールリング10は、リング状をなすベース部11の外面に、一対の姿勢保持部12と、1つの第1リップ部16と、一対の第2リップ部18とを一体に形成したものである。図3〜5に示すように、これらの姿勢保持部12と第1リップ部16と第2リップ部18は、いずれも、周方向(ベース部11の長さ方向)に沿ってベース部11からリブ状に突出しているとともに、ベース部11の全周に亘って連続した形態で形成されている。また、姿勢保持部12と第1リップ部16と第2リップ部18を突出形成したことにより、シールリング10の周方向(長さ方向)と交差する断面形状は、全体として概ねW形をなしている。
【0020】
一対の姿勢保持部12は、ベース部11の正面(図1に現れる面であり、図2〜5における上側の面)と直交する仮想線(図示せず)に関して対称であり、ベース部11の正面から斜め前方へ突出している。即ち、一方(図3〜5における右側)の姿勢保持部12は、ベース部11の内周側の縁部から内周側に傾いた方向へ延出する形態で前方へ突出し、ベース部11の内周側の側面よりも更に内周側へ突出している。他方の姿勢保持部12は、ベース部11の外周側の縁部から外周側に傾いた方向へ延出する形態で前方へ突出し、ベース部11の外周側の側面よりも更に外周側へ突出している。この姿勢保持部12の突出端部の断面形状は、略半円弧形をなしている。かかる姿勢保持部12は、その基端部13(ベース部11に連なる後端部)を支点として傾動しながら弾性変形し得るようになっている。
【0021】
この一対の姿勢保持部12は、姿勢保持部12が弾性変形する際に、その弾性変形の向きを一定の方向に規制するための変形方向規制手段15を備えている。即ち、後述する第1部材20と第2部材23を組み付ける過程では、姿勢保持部12の突出端の当接部14が第1部材20の第1シール面22に当接するのであるが、この当接部14と姿勢保持部12の基端部13(傾動支点)とは、両部材20,23の組み付け方向と直角な方向(即ち、第1シール面22と平行な方向)において互いに離間した位置に配置されている。この当接部14と傾動支点(基端部13)の配置により、変形方向規制手段15が構成されている。
【0022】
第1リップ部16は、ベース部11の正面から前方へ突出しており、一対の姿勢保持部12の間(中間位置)に配置されている。この第1リップ部16の断面形状は、それ自体が、一対の姿勢保持部12の対称軸(図示せず)に関して対称な略半円弧形状をなしている。また、第1リップ部16の前方への突出寸法は、姿勢保持部12の突出寸法よりも小さい寸法に設定されている。
【0023】
第1リップ部16と一対の姿勢保持部12との間には、一対の第1溝部17が形成されている。この第1溝部17により、姿勢保持部12は、第1リップ部16とは独立した形態で弾性変形し得るようになっているとともに、第1リップ部16が姿勢保持部12とは独立して弾性変形し得るようになっている。この第1溝部17の断面形状は、略半円弧形をなしている。
【0024】
一対の第2リップ部18は、上記一対の姿勢保持部12の対称軸(図示せず)に関して対称であり、ベース部11の背面から後方へ突出している。一方(図3〜5における右側)の第2リップ部18は、ベース部11の内周側の縁部からベース部11の外側面に沿って後方へ突出している。他方の第2リップ部18は、ベース部11の外周側の縁部からベース部11の外側面に沿って後方へ突出している。第2リップ部18の突出端部の断面形状は、略半円弧形をなす。
【0025】
この一対の第2リップ部18の間には、1本の第2溝部19が形成されている。この第2溝部19は、第1リップ部16の後方に位置するように配置されているので、ベース部11は、第1リップ部16を後方へ変位させるような形態で弾性変形し得るようになっている。また、第2溝部19により、一対の第2リップ部18は、互いに独立した弾性変形し得るようになっている。第2溝部19の断面形状は、略半円弧形をなす。
【0026】
このシールリング10は、図3〜5に示すように、第1部材20と第2部材23との間で弾性的に挟み付けられることにより、第1部材20と第2部材23との間を液密状にシールし得るようになっている。
第1部材20は、シールリング10の正面側に対向するように配置され、本実施形態では貫通形態の取付孔21が形成されたパネルからなる。この第1部材20の背面(シールリング10と対向する後面面)のうち取付孔21の開口縁部は、リング状をなす第1シール面22となっている。
【0027】
第2部材23は、第1部材20に対して、取付孔21を覆うように背面(後面)側から組み付けられるコネクタからなる。また、上記第1部材20には、正面側から相手コネクタ(図示せず)が取り付けられるようになっており、取付孔21を介して第2部材23と相手コネクタとが嵌合され、双方に設けた端子金具(図示せず)が電気的導通可能に接続されるようになっている。
【0028】
この第2部材23の正面には、第1シール面22と対向するように開口する嵌合溝24が、第1シール面22に沿ってリング状に形成されている。嵌合溝24の断面形状は方形であり、嵌合溝24の奥端面(第1部材20と第2部材23を組み付けた状態において第1シール面22に対して平行に対向する内面)は、第2シール面25(本発明の構成要件である第2のシール面)となっている。この嵌合溝24内には、シールリング10のうちベース部11と一対の第2リップ部18とが嵌合され、これにより、シールリング10は第2部材23に保持されている。また、シールリング10を嵌合溝24に嵌合した状態では、一対の姿勢保持部12と第1リップ部16は、第2部材23の正面から前方へ突出されている。
【0029】
また、第2部材23の正面における嵌合溝24の開口縁部、即ち第2部材23の正面のうち嵌合溝24の内縁の沿った領域と、嵌合溝24の外周縁に沿った領域は、一対の押圧面26となっている。第1部材20と第2部材23が組み付けられた状態においては、押圧面26が、第1シール面22に対し姿勢保持部12を介して(挟んで)平行に対向するようになっている。
【0030】
次に、本実施形態の作用を説明する。
第1部材20と第2部材23を組み付ける際には、第1シール面22に対して第2シール面25と押圧面26が平行となるようにしながら、第1部材20に対し、後方から第2部材23を第1シール面22と略直角に接近させる。この過程では、図4に示すように、第1シール面22に対して一対の姿勢保持部12の当接部14が当接する。この当接部14は、第1シール面22と平行な方向において、姿勢保持部12の基端部13(傾動支点)から離れた位置に配置されているので、姿勢保持部12は、第1シール面22と平行な方向において当接部14を基端部13から離間させる方向へ変位させる向きに傾動するように弾性変形する。
【0031】
即ち、内周側に位置していて弾性変形しない自由状態において内周側へ傾いている姿勢保持部12は、さらに内周側へ傾くように弾性変形し、外周側に位置していて自由状態において外周側へ傾いている姿勢保持部12は、さらに外周側へ傾くように弾性変形する。つまり、一対の姿勢保持部12は、互いに離間するように拡開変形する。両部材20,23の組み付け(接近)が進むと、それに伴い、一対の姿勢保持部12における第1シール面22との当接部14の間隔が、次第に外周側と内周側へ拡がっていく。
【0032】
両部材20,23の組付けと姿勢保持部12の弾性変形が進むと、第1リップ部16が第1シール面22に当接する。これ以降は、両部材20,23の組付けが進むのに伴い、第1リップ部16が、潰れるように弾性変形し、第1シール面22に対して密着面積を拡大させながら液密状に密着する。また、姿勢保持部12の弾性復元力及び第1リップ部16の弾性復帰により、ベース部11が嵌合溝24内で第2シール面25側へ変位し、第2リップ部18が第2シール面25に押し付けられていく。これにより、第2リップ部18が、第2シール面25に押し付けられて潰れるように弾性変形し、第2シール面25に対して密着面積を拡大しながら液密状に密着する。
【0033】
そして、第2部材23が第1部材20に対して正しく組み付けられた状態になると、図5に示すように、第1シール面22に対する第1リップ部16の密着状態及び第2シール面25に対する第2リップ部18の密着状態が維持されたまま、一対の姿勢保持部12の基端部13を支点とする傾動変位量が最大になるとともに、一対の姿勢保持部12が、第1シール面22と押圧面26との間で挟み付けられることにより、第1シール面22と押圧面26に対して液密状に密着する。以上により、第1部材20と第2部材23との隙間が、シールリング10によって液密状にシールされる。
【0034】
本実施形態では、両部材20,23を組み付ける過程において、シールリング10の第1リップ部16が第1シール面22に当接するのに先立ち、姿勢保持部12を弾性変形させ、この姿勢保持部12の弾性復元力により、両シール面22,25に対してシールリング10が一定の姿勢に保持されるようになっている。したがって、第1シール面22に対し、第1リップ部16が確実に正しい形態で弾性変形しながら密着され、これにより、シール性能がシールリング10の全周に亘って安定する。
【0035】
また、姿勢保持部12を、第1シール面22における異なる2位置に当接するように一対設け、この一対の姿勢保持部12を、互いに相手側の姿勢保持部12から離れる方向へ弾性変形させるようにしている。つまり、一対の姿勢保持部12が、第1シール面22上において拡がるように弾性変形するので、シール面上における一対の姿勢保持部12の当接位置間の距離が大きくなる。したがって、姿勢保持部12が第1シール面22に対して一箇所で当接している場合に比べると、シールリング10の姿勢を、より安定して保持することができる。
【0036】
また、第1シール面22に対して弾性的に密着する第1リップ部16を、一対の姿勢保持部12の間に配置しているので、第1シール面22に対する第1リップ部16の弾性変形の仕方が安定し、高いシール性能が発揮される。
【0037】
また、姿勢保持部12を押圧して弾性変形させる第1シール面22とは反対側の第2部材23には、姿勢保持部12を、第1シール面22との間で弾性的に且つ液密状に挟み付ける押圧面26を形成している。このように、姿勢保持部12は、シールリング10の姿勢を保持する機能に加えて、シール機能も兼ね備えているので、シールリング10の形状の簡素化を維持しながらシール性能の向上を図ることができる。
【0038】
また、姿勢保持部12を押圧して弾性変形させる第1シール面22とは反対側の第2部材23には、シールリング10のベース部11を嵌合させるための嵌合溝24を形成し、この嵌合溝24の内面を第2シール面25とし、さらに、ベース部11に、第2シール面25における異なる2位置に液密状に当接可能な一対の第2リップ部18を形成した。この一対の第2リップ部18は、第2シール面25における異なる2位置に当接するので、姿勢保持部12と同様、嵌合溝24内においてシールリング10の姿勢を保持する機能を発揮する。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、姿勢保持部として、シールリングの取付け母体(第2部材)とは反対側の第1シール面に押圧するもののみを設けたが、姿勢保持部は、シールリングの取付け母体側の第2シール面に押圧するもののみを設けてもよく、第1シール面に押圧する姿勢保持部と第2シール面に押圧する姿勢保持部の双方を設けてもよい。
(2)上記実施形態では姿勢保持部を一対(2つ)設けたが、1つのシールリングに設ける姿勢保持部の数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
(3)上記実施形態では一対の姿勢保持部を対称な形態としたが、一対の姿勢保持部は非対称な形態であってもよい。
(4)上記実施形態では一対の姿勢保持部が互いに反対方向へ弾性変形するようにしたが、一対の姿勢保持部が互いに同じ方向へ弾性変形するようにしてもよい。
(5)上記実施形態では一対の姿勢保持部が互いに相手側から離れる方向へ弾性変形するようにしたが、一対の姿勢保持部が相手側の姿勢保持部に近づく方向へ弾性変形するようにしてもよい。
(6)上記実施形態では姿勢保持部を押圧する第1シール面に密着する第1リップ部を、一対の姿勢保持部の間に配置したが、第1リップ部は一対の姿勢保持部の間とは異なる位置に配置されていてもよい。
(7)上記実施形態では姿勢保持部がシール機能を兼ね備えるようにしたが、姿勢保持部は、シール性能を発揮せず、シールリングの姿勢を保持する機能のみを有するものであってもよい。
(8)上記実施形態では第1シール面に対し姿勢保持部とは別に第1リップ部を当接させるようにしたが、第1リップ部を設けずに、第1シール面とのシールを姿勢保持部だけで行うようにしてもよい。
(9)上記実施形態では第2シール面に対して一対の第2リップ部が当接するようにしたが、第2のシール面に当接する第2リップ部の数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
(10)上記実施形態では第2シール面に当接する第2リップ部が、シールリングの姿勢を保持する機能を発揮するようにしたが、第2リップ部は、姿勢保持機能を有せず、シール機能のみを発揮するものであってもよい。
(11)上記実施形態では、姿勢保持部における第1シール面との当接部と姿勢保持部の基端部(傾動支点)とを、第1部材と第2部材の組み付け方向と直角な方向(即ち、第1シール面と平行な方向)において互いに離間した位置に配置することによって、変形方向規制手段が構成されているが、これに限らず、姿勢保持部のうち第1シール面と交差する向きの外面に溝状の切欠部を形成し、この切欠部を変形方向規制手段として機能させてもよい。この場合、姿勢保持部は、切欠部においてその溝幅を狭めるような形態で座屈し易くなるので、確実に一定の方向に弾性変形するようになる。
(12)上記実施形態では第1シール面を有する第1部材が、取付孔を有するパネルである場合について説明したが、本発明は、第1部材が、パネル以外の種々の形態や機能を有するものである場合にも適用できる。
(13)上記実施形態では第2シール面を有する第2部材が、コネクタである場合について説明したが、本発明は、第2部材が、コネクタ以外の種々の形態や機能を有するものである場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】シールリングの正面図
【図2】図1のX−X線断面図
【図3】シールリングを第2部材に取り付けた状態をあらわす部分拡大断面図
【図4】第1部材と第2部材を取り付ける過程で、姿勢保持部が第1シール面により弾性変形した状態をあらわす部分拡大断面図
【図5】シールリングが第1シール面と第2シール面との間で弾性的に挟み付けられた状態をあらわす部分拡大断面図
【符号の説明】
【0041】
10…シールリング
11…ベース部
12…姿勢保持部
15…変形方向規制手段
16…第1リップ部
18…第2リップ部
22…第1シール面(第1のシール面)
23…第2部材(第2シール面が形成されている部材)
25…第2シール面(第2のシール面)
26…押圧面
24…嵌合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対応する一対のシール面と、
前記一対のシール面の間で弾性的に挟み付けられるシールリングとを備え、
前記シールリングには、
前記一対のシール面のうち少なくとも一方の前記シール面に対して押圧されることにより弾性変形する姿勢保持部と、
前記姿勢保持部の弾性変形時の変位方向を特定の向きに規制する変形方向規制手段とが設けられ、
前記姿勢保持部の弾性復元力により、前記一対のシール面に対して前記シールリングが一定の姿勢に保持されるようになっていることを特徴とするシール構造。
【請求項2】
前記姿勢保持部が、前記シール面における異なる2位置に当接するように一対設けられ、
前記変形方向規制手段が、前記一対の姿勢保持部を互いに相手側の姿勢保持部から離れる方向へ弾性変形させるようになっていることを特徴とする請求項1記載のシール構造。
【請求項3】
前記シールリングには、前記シール面に対して弾性的に密着するリップ部が、前記一対の姿勢保持部の間に配置されて形成されていることを特徴とする請求項2記載のシール構造。
【請求項4】
前記一対のシール面のうち前記姿勢保持部を弾性変形させる第1の前記シール面とは反対側の第2の前記シール面が形成されている部材には、前記姿勢保持部を、前記第1のシール面との間で弾性的に且つ液密状に挟み付ける押圧面が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシール構造。
【請求項5】
前記一対のシール面のうち前記姿勢保持部を弾性変形させる第1の前記シール面とは反対側の第2の前記シール面を有する部材には、前記シールリングのベース部を嵌合するための嵌合溝が形成され、
前記嵌合溝の内面が前記第2のシール面となっており、
前記ベース部には、前記第2のシール面における異なる2位置に液密状に当接可能な一対のリップ部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシール構造。
【請求項6】
互いに対応する一対のシール面の間で弾性的に挟み付けられるシールリングであって、
前記一対のシール面のうち少なくとも一方の前記シール面に対して押圧されることにより弾性変形する姿勢保持部と、
前記姿勢保持部の弾性変形時の変位方向を特定の向きに規制する変形方向規制手段とを備え、
前記姿勢保持部の弾性復元力により、前記一対のシール面に対して一定の姿勢に保持されるようになっていることを特徴とするシールリング。
【請求項7】
前記姿勢保持部が、前記シール面における異なる2位置に当接するように一対設けられ、
前記変形方向規制手段が、前記一対の姿勢保持部を互いに相手側の姿勢保持部から離れる方向へ弾性変形させるようになっていることを特徴とする請求項6記載のシールリング。
【請求項8】
前記一対の姿勢保持部の間には、前記シール面に対して弾性的に密着するリップ部が形成されていることを特徴とする請求項7記載のシールリング。
【請求項9】
前記姿勢保持部は、
前記一対のシール面のうち前記姿勢保持部を弾性変形させる第1の前記シール面と、前記第1のシール面とは反対側の第2の前記シール面が形成されている部材に形成した押圧面との間で、弾性的に且つ液密状に挟み付けられるようになっていることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載のシールリング。
【請求項10】
前記一対のシール面のうち前記姿勢保持部を弾性変形させる第1の前記シール面とは反対側の第2の前記シール面を有する部材に形成されて、内面が前記第2のシール面となっている嵌合溝に対し、ベース部を嵌合させるようになっているシールリングであって、
前記ベース部には、前記第2のシール面における異なる2位置に液密状に当接可能な一対のリップ部が形成されていることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載のシールリング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−65836(P2010−65836A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235717(P2008−235717)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】