シール構造
【課題】電子線を透過しポンプレスでも一年間真空を保つシール方法を提供する。
【解決手段】ヘリウムリークタイトな膜をフランジに金属シールしてヘリウムリークタイトな装置を作る。金属シールは次のようにして実現可能である。I.気密側のシール用ブロック、1I.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、2III.シール膜、3IV.高圧側のシール用ブロック、4の順に重ねシールする。
【解決手段】ヘリウムリークタイトな膜をフランジに金属シールしてヘリウムリークタイトな装置を作る。金属シールは次のようにして実現可能である。I.気密側のシール用ブロック、1I.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、2III.シール膜、3IV.高圧側のシール用ブロック、4の順に重ねシールする。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明に関わる技術分野は電子・イオン・中性子・中性粒子の照射装置において、電子・イオン・中性粒子を真空中から大気に取り出す技術に関わり、
特に、電子、イオン、中性子、中性粒子を、シール膜を通して大気または減圧下の被照射物に、照射する機構と、シール膜や電子源の保護機構に関わる。
【背景技術】
【0002】
本願発明に関わる技術分野は大別して5個あり、
〔1〕広い面積に電子線を照射する技術、特に真空中におかれた電子銃から放出される電子を引出し、大気圧または、減圧下の試料部に電子を照射する技術
【0003】
電子線を大気中に取り出して広い面積に照射する技術は産業の広い分野で利用され、
1.大強度高エネルギー電子線〔数百mA〜数A×数百kV〜数MV〕は排煙処 理に、
2.中強度中エネルギー電子線〔数mA〜数十mA×百kV〜数百kV〕は食品 処理またはプラスチック材料の重合と架橋に、そして
3.低強度低エネルギー電子線〔数百μA〜数mA×数十kV〜百kV〕は滅菌 、印刷物インク硬化に適用されている。
【0004】
〔2〕狭い面積に電子を照射する技術、特に電子線を大気に取り出し狭い面積に照射する技術
【0005】
この分野では電子顕微鏡・リペア装置・電子銃溶接が代表的で、これら技術分野では膜を通して大気中に電子を取り出す技術はまだ実用レベルに至っていないが、電子顕微鏡など、一部でその試みが始まっている。
【0006】
1.光学顕微鏡の分解能以下の微細な試料を見る技術として、光のかわりに電子 を使う電子顕微鏡が工業分野に限らず、物理科学や生物学、農学の分野で広く使 われ、
特に、最近、膜を通すのではなく差動排気を使って4000Paの水蒸気雰囲気 での試料を電子顕微鏡で観測する「環境型顕微鏡」がニコンを販売代理店として 売出されている。
【0007】
一方、特願2007−129844では膜を通し電子ビームを大気に取り出し、 ビームを走査して走査型電子顕微鏡を実現する技術について述べている。
【0008】
2.半導体装置やフラットパネルディスプレイ業界では、配線の断線やショート を修理したり、焼き切って他の回路から分離したりするリペア装置が実用に供さ れ、故障個所の修復に電子銃が使われている。
【0009】
しかし、上記装置は試料を真空の中に設置して電子線照射をおこなっている。
【0010】
3.電子溶接では真空中の試料に電子線を集中して、試料を溶接している。
【0011】
〔3〕イオンや中性粒子を試料に照射する技術、特にイオンや中性粒子を大気に取り出し照射する技術
【0012】
この分野の技術には、例えば、表面改質、イオン電子顕微鏡、イオン露光装置、ラザフォードバックスキャッタリング装置などがある。GeVに加速した粒子を大気に取り出す技術はガン治療などで使われているが、低エネルギーでイオンや中性粒子を大気中に取り出す技術は一般的ではない。
【0013】
〔4〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕で使用されるシール膜を保護する技術
【0014】
〔5〕電子、イオン、中性粒子を照射する電子、イオン、中性粒子源を保護する技術
【0015】
例えば電子ビーム蒸着では、電子銃からでた電子ビームを坩堝の中の試料に当てて加熱し、蒸発させて被処理物の表面をコーティングしている。
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本願特許が解決しようとする課題は広い分野に関係するため、全ての分野での問題点を詳細に述べることはせず、問題点の本質的な部分のみ、かつ典型的ないくつかの分野に限り説明をおこなう。
【0017】
技術の核を説明すれば、本願特許で言及した分野で本願特許記載の技術を実施するのは容易である。
【発明が解決しようとする課題1】
硬化装置 文献とページ
【0018】
電子線取り出し部のシール膜をシール用ブロックで封止する方法について、従来技術の一例である印刷物インク硬化装置を、図を用いて詳しく説明する。
【0019】
図9は従来技術の一例となる印刷物インク硬化や、プラスチック材料の重合加工に使用される装置の構造を示す概観図である。
【0020】
101は真空容器、102は多段に構築された加速電極、103は絶縁物、104は電子放射用の線状電子源、105は引き出し電極、106は電子線取り出し部、107は真空ポンプ、108は高圧電源でアースに対し150kV前後の電圧を供給する。
【0021】
109は線状電子源104から放出された電子線で、引き出し電極105により引き出され、加速電極102により加速され、電子線取り出し部106を通過して大気に取り出される。
【0022】
取り出された電子109は、アース電位の試料110に衝突し、樹脂を重合反応させ硬化させたり、印刷物のインクを急速に乾燥させたりする。
【0023】
衝突エネルギーは線状電子源104に印加された高圧電源108からの供給電圧の提供するエネルギー150keV程度となる。
【0024】
電子線取り出し部106は10μm前後の薄いチタン箔〔本願特許ではシール膜と称している〕を主要部とし、
チタン箔自身はヘリウムリークタイトであるにもかかわらず、従来はチタン箔をバイトンなどのヘリウムリークタイトではないゴム製のO−リングでシールしていた。
【0025】
図10はO−リングによるシールの構造を示すもので、211はシール膜215を押さえシールするシール押さえ〔シール用ブロック〕で、梁212と一体に形成されている。
【0026】
シール押さえ211はシール台210とともにシール膜215をはさんだ2個のバイトン製のO−リング220をはさんで、図示されない締結具、例えばボルトとナットで締結し、シールされている。
【0027】
以上の問題の核となる部分をより詳細に図9に戻って説明する。
【0028】
電子線109は真空中で加速電極102により加速され電子線取り出し部106に到達する。
【0029】
該電子線取り出し部106に設けられたチタン箔によって大気と真空は絶縁されている。
【0030】
該チタン箔の厚さは電子線エネルギーから許容される最低の値に選ばれ、そこでのエネルギーロスを最小にしている。
【0031】
その数値は50keV〜100keV電子線では2μm〜4μm、100keV〜300keV電子線では5μm〜12μm、300keV〜数MeVでは20μm以上である。
【0032】
これら薄膜の真空シールはすべて有機質のO−リングを使用している。
【0033】
O−リングは金属ガスケットに比べて真空中での脱ガス量が多く、かつ大気中の空気透過率も大きく、
また、放射線や熱により分解したり、硬化する。
【0034】
このため、加速電極102を内蔵する真空容器101は常時真空排気ポンプ107を併設している。
【0035】
このポンプは重くかつ取り付け姿勢の自由度が限定され、起動に時間がかかり、値段も高い。
【0036】
このため、印刷物インク硬化装置その他の電子ビーム関連装置をコンパクトに纏めて可搬化し、広く普及させるにいたっていない。
【0037】
このように、解決すべき課題はシールを完全なヘリウムリークタイトにし、排気ポンプを省略する技術の実現である。
【0038】
もうひとつの本願特許の課題は次に述べるヘリウムリークタイトな膜の保護である。
【発明が解決しようとするもう1つの課題】
【0039】
電子線照射試料からの蒸気や突沸が電子線取り出し部の薄い膜へ付着し、薄い膜が破壊される事について。
【0040】
再び図9に戻り、もうひとつの課題を説明する。
【0041】
加速電極102から出た電子が電子取り出し部106のシール膜を通過して試料110に照射されると、
該試料の温度が急激に上がり突沸がおき、また試料が高温になると常時、試料から蒸気が出てくる。
【0042】
このため、試料から蒸発して出で来る蒸気や、突沸により出てくる固体や液体が電子線取り出し部106の薄いチタン箔を直撃し、
チタン箔を破壊し、真空容器101の内部を大気圧に戻してしまう。
【0043】
これが第二の課題となる。
【0044】
もうひとつの本願特許の課題は電子銃・イオン銃などのビーム発生機構の保護である。
【発明が解決しようとする課題3】
【0045】
蒸着装置では試料も真空中に設置する必要があり、真空を維持するための薄いチタン箔を使用する必要はないが、次の問題がある。
【0046】
電子線が降り注ぐ坩堝内の蒸発物質からでる蒸気や、突沸により出る固体、液体、蒸気などが電子放出機構にまで到達し、
電子放出機構に付着したり異常放電を引き起こして電子放出機構を破壊したりするという問題がある。
【0047】
これを防ぐため蒸着装置では電子銃を試料に対し180°反対方向に向けたり、270°回転させたりしているが、
それでも散乱などで電子銃に蒸発物質が飛来し、電子銃の寿命を短くするという問題がある。
【発明が解決しようとする課題4】
【0048】
許容範囲のリークがある薄い膜でのシール
【0049】
リークがある薄い膜であっても膜がない場合に比べリーク量は桁違いに少なくなるため、膜がない場合に比べ、排気ポンプの負荷と電子銃への負担は桁違いに少なくなる。
【0050】
φ1mmのオリフィスに膜が設けられていない場合、ガスは300m/secでオリフィスに進入するため、リーク量は3×10の4乗平方cm×60min×3.14×10の−2乗すなわち約4×10の4乗sccmのリーク量となり、電子銃の保護には3段から4段の差動排気が必要になる。
【0051】
この例として、例えば特許文献1や特許文献2があり、特許文献2では4段のオリフィスと差動排気を採用していて現実的ではない。
【0052】
これに対し、特許文献1ではリークタイトではないコロジオン膜を使いシールする方式を開示し、この問題を回避している。
【0053】
【特許文献】
【特許文献1】特開2006−147430号公報
【特許文献2】特開2006−190578号公報
【0054】
このように、ヘリウムリークタイトでなくとも薄い電子透過膜は排気ポンプの負担を格段に小さくするが、特許文献1に記載されているように膜は非常に薄く、薄い膜を一定面積に形成し、O−リングで正確にシールすることは難しい。
【0055】
なぜなら、シール部分が小さいため大気圧が薄い膜にかかると、O−リングの押し圧が大気圧に負けて端からリークしてしまう場合がある。
【0056】
このように、特許文献1の方式はいくつかの問題を抱えていて実用に供されていない。
【発明が解決しようとする課題5】
【0057】
大面積を電子ビームで照射する場合、特有の問題が発生する。
【0058】
すなわち電子線取り出し部に設けられたシール膜の面積は広い必要があるが、膜が薄いと大気圧に耐えられる広さは狭くなる。
【0059】
この対策として、市場に供されている樹脂硬化装置では、8mmの間隔で設けられた梁でシール膜を支持し、チタン製の薄い膜が破れないようにしている。
【0060】
しかし、梁で電子が消失するため梁の本数を増やすことは難しく、
少ない本数でチタン膜を支えているためチタン膜の膜厚を薄くできない。
【0061】
厚い膜を通過できる電子はエネルギーの高い高速電子だけであり、広い面積に低エネルギー電子ビームを供給する装置はないのが現状である。
【0062】
ただし、チタンよりもベリリウムははるかに電子を通しやすく、ベリリウムをシール膜にした装置が市場に最近供された。
【0063】
ベリリウムは他の物質に比べ電子衝突確率が格段に小さいが、ベリリウム酸化物は肺を侵すという問題がある。
【0064】
本発明はかかる問題点を解決するためなされたものであり、
ヘリウムリークタイトな薄い膜のシール方法、より広くは真空に耐える薄い膜のシール方法、および
薄い膜を大面積化できる梁の構造、および
電子やイオンが照射される試料からの飛来物から、薄い膜や電子銃やイオン銃を保護する機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0065】
本発明はかかる課題を克服する為になされたものである。
【0066】
課題1と課題4に対する解決手段は金属シールを実施することで解決され、
課題2と課題3に対する解決手段は薄い膜を試料の前に設置することで防げ、
課題5に対する解決手段はシール膜を支える梁を講師滋養にすることで防げることに注目しかかる課題を解決した。
【0067】
すなわち、請求項1に記載の発明においては次のような構成とした。
【0068】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するする構造を具備するシール構造
【0069】
請求項2に記載の発明においては次のような構成とした。
【0070】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するシール構造において、
次の順序、すなわち
I.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
II.シール膜、
III.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする構造を具備するシール構造
【0071】
請求項3に記載の発明においては次のような構成とした。
【0072】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するシール構造において、
次の順序、すなわち
I.気密側のシール用ブロック
II.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする
もしくは
I.気密側のシール用ブロック、
II.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.高圧側のシール用ブロック
I.気密側のシール用ブロック、
II.シール用ブロック材料およびシール膜よりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
V.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする
構造を具備するシール構造
【0073】
請求項4に記載の発明においては次のような構成とした。
【0074】
金属またはセラミックのシール用ブロックにシール膜をリークタイトにロー付け、または、拡散接合、または、常温拡散接合、または、金属接合させ
かかるリークタイトにロー付け、拡散接合、常温拡散接合、金属接合させた部品を使いシールする構造を具備するシール構造
【0075】
請求項5に記載の発明においては次のような構成とした。
【0076】
大気圧に耐えるシール膜とシール膜の膨らみ防止用梁を有するシール構造において、
シール膜を支持する梁が任意の交差角度を有する格子状であり、
交差する梁の断面積の比が10の9乗以下、10の0乗以上、
望ましくは10の7乗以下、10の4乗以上である構造を具備するシール構造
【0077】
請求項6に記載の発明においては次のような構成とした。
【0078】
請求項5に記載のシール膜を支持する梁が大気側にある構造を具備するシール構造
【0079】
請求項7に記載の発明においては次のような構成とした。
【0080】
請求項1、または、請求項2、または、請求項3、または、請求項4、または、請求項5、または、請求項6に記載のシール構造において
前記シール膜が電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子を透過させる膜を具備するシール構造
【0081】
請求項8に記載の発明においては次のような構成とした。
【0082】
電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子の発生装置と
該電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子が照射される非照射物の間に膜を具備する
電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子の発生装置
【0083】
請求項9に記載の発明においては次のような構成とした。
【0084】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のシール構造を少なくとも一種類以上具備する電子銃、電子顕微鏡、電子照射装置、イオン銃、イオン顕微鏡、イオン照射装置、リペア装置、中性子銃、中性粒子銃
後に回す
【発明の効果】
【0085】
本願発明によれば、ゲッター剤のみを使用しポンプレスで電子源、イオン源、中性粒子源を高真空に保ちながら、試料を低圧から大気圧においたまま、100keV程度の低いエネルギーで電子を照射できるので、ポンプを使わず電子源を真空に保ち続けることができ、装置のコンパクト化だけでなく、電子源の寿命を延ばすことが出来るので好ましい。
【0086】
とくに、低いエネルギーではX線があまりです、X線対策に必要な人体に有害な鉛の使用を減らすことができるので好ましい。
【0087】
また、本願発明によれば、シール膜や、電子源やイオン源や中性粒子源を、試料の加熱に伴う突沸から防護できるので好ましい。
【発明の作用1】
【0088】
発明の作用1はシール膜のシール方法に関するものである。
【0089】
すでに述べた問題の概要を簡単に要約すれば、シール膜をチタン箔やグラッシーカーボンなどのヘリウムリークタイトな膜とし、この膜をシールする時バイトンなどの有機物系のゴムでシールしているため、O−リングからの微少リークのために、ポンプを作動させる必要があるという事になる。
【0090】
電子線の取り出し部にチタン箔を取り付けるとき、有機質O−リングの変わりに金属性ガスケットを用いて気密封止できればこの問題を除去できる。
【0091】
なぜなら、金属ガスケットの大気中ガス分子または原子の透過率はほとんどゼロであるからである。
【0092】
金属ガスケットを用いてヘリウムリークタイトにシールし、加速器真空系を200℃以上の高温で長時間にわたって真空排気しながら同系の脱ガスをおこなう。
【0093】
脱ガスが完了した時点で、同系に設置した真空排気用のゲッターを活性化するとともに、外部真空排気系と加速器真空系を結ぶ真空ラインを封じ切る。
【0094】
この封じ切られた装置はヘリウムリークタイトであるので、非蒸着ゲッターを備えていれば1年間ポンプなしで高真空、超高真空を維持できる。
【0095】
この方法は電子線取り出し用チタン箔を使い気密シールした以外、通常の真空管真空封止方法と同じである。
【0096】
また、本発明のチタン箔気密取付けに使用するフランジは、市販の金属ガスケットを介在させてフランジ間の気密を図る構造と同一形状で、使用するガスケットも同一である。
【0097】
本発明では、チタン箔を大気側のフランジと金属ガスケット間に挟んで設置することを特徴とする。
【0098】
このときに使用する金属ガスケットはフランジ及びチタン箔よりも柔らかくなければならない。
【0099】
このような柔らかい金属ガスケットを使い、チタン箔をはさんだフランジをボルトナットで締め付けると、両フランジの凸部先端は金属ガスケットに食い込んでいく。
【0100】
この時、大気側フランジの凸部先端部の顕微鏡的微細な形状まで対面する金属ガスケットにチタン箔を介して刻印され、ヘリウムリークタイトなシールが完成し、さらに次の利点が生まれる。
【0101】
両フランジをボルトナットで締め付けるとき、締め付け前にあったチタン箔の皺は軽い締め付けで完全になくなる。
【0102】
なぜなら、チタン箔窓周辺シール部が金属ガスケットに食い込むことにより、箔全体がその周辺部から一様に引っ張られるためである。
【0103】
皺がなくなるため、チタン箔を通過する電子線強度のムラがなくなると同時に、チタン箔の局所加熱もなくなるので、電子線取り出し箔としてはこの上なく都合が良い。
【発明の作用2】
【0104】
この発明の作用2はシール膜や電子源を試料からの突沸や蒸気から保護する方法に関するものである。
【0105】
電子源を試料から直接見えないように、電子源を180℃反対方向に向けて磁場で電子を試料に導いても試料からの飛来物の問題を完全には回避できなかった。
【0106】
また、特に電子線を透過しヘリウムリークタイトなシール膜をつかい、試料を大気において電子線を試料に照射する場合には、試料とシール膜の間の距離は短く、かつシール膜が非常に薄いため試料からの飛来物でシール膜が容易に破れてしまう。
【0107】
試料とシール膜や電子源の間に保護膜を置けばよいが、厚い膜では電子線を透過させず、電子線は保護膜でブロックされてしまう。
【0108】
この膜はリークタイトである必要はなく、試料からの飛来物を阻止できればよい。
【0109】
この保護膜は薄くなくても、単位表面積あたりの比重が小さければ、電子線はほとんど保護膜でトラップされることなく保護膜を通過することになる。
【0110】
このような膜は、例えば1ミクロン程度のカーボンファイバーを和紙をすくうようにすくって膜としたものが市場に出回っているし、さらに薄いものとしてはカーボンナノチューブの膜も出回っていて、本願特許で使用する目的にかなった膜となっている。
【発明の作用3】
【0111】
電子エネルギーを低くすると透過可能な膜が薄くなることは図7のグラフに示したとおりである。
【0112】
グラフ1は電子エネルギーと最大透過膜厚〔電子が少しでも透過する最も厚い膜厚〕の関係を示している。150keVに比べて100keVは半分の厚みしか透過しない。
【00113】
したがって、電圧を下げるためには膜を薄くする必要があるが、膜を薄くすると膜が大気圧に耐えることができなくなる。
【0114】
この問題の回避に、鉄以上の応力耐性を持ちしかも比重が軽く電子を通しやすいカーボンチューブやカーボンナノチューブでシール膜を支えることは、電子ビームを大気に取り出す上で都合が良い。
【0115】
発明の作用は以上のようなもので、以下実施例に基づき詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0116】
8ミクロン厚みと5ミクロン厚みのチタン箔を、市販の金属ガスケット使用の真空フランジに取り付けヘリウムリーク試験を行い気密確認をした。
【0117】
これを本願発明の好ましい第1の実施例として図1を元に説明をおこなう。
【0118】
図1において1はICF70フランジ(SUS304)〔大気側シール用ブロック〕であり、2はチタン箔(8ミクロン)〔シール膜〕で、3は銅ガスケット〔柔らかいシール材〕、4はICF70フランジ(SUS304)〔真空側シール用ブロック〕である。
【0119】
このときのリーク量は10の−11乗パスカル/秒以下であり、十分な排気後、非蒸発ゲッターでもってリークガスを吸着すれば、一年間はポンプなしで装置を稼動することが出来る。
【0120】
チタン箔をヘリウムリークタイトに金属シールした例は本発明の実証実験を除きまだ報告されていない。
【0121】
図2は第二の実施例で、51は大気側シール用ブロック〔1/2インチVCR(SWAGELOK SUS316)〕であり、52はシール膜〔チタン箔(5ミクロン)〕、53は柔らかいシール材〔銅ガスケットもしくはニッケルガスケットもしくはインジュウムガスケットもしくはハンダ材から作ったガスケット〕であり、54は真空側シール用ブロック〔1/2インチVCR(SWAGELOK SUS316)〕である。
【0122】
シールは三角のコーナーでも実施可能だが、本実施例のようにシール面がRでも可能である。
【0123】
図3は第3の実施例で、1は大気側シール用ブロック〔ICF70フランジ(SUS304)〕、2はシール膜〔チタン箔(8ミクロン)〕、3aは大気側柔らかいシール材〔銅ガスケット〕、3bは真空側柔らかいシール材〔銅ガスケット〕であり、4は真空側シール用ブロックである。
【0124】
注意すべきは、シール用ブロックの三角形の突端部が、大気側と真空側でずれていることである。
【0125】
図4は第4の実施例で、10は大面積シール膜15がロー付け部13においてヘリウムリークタイトに金属接合された大面積真空側シール用ブロック〔SUS304〕である。
【0126】
12は大面積シール膜15を支える梁であり、大面積真空側シール用ブロック〔SUS304〕10と一体成型され、該梁と交叉する梁〔カーボンファイバー製〕14と共にシール膜15が大気圧に耐えるようにシール膜14を支えている。
【0127】
ロー付け部13の詳細は、B部詳細1、B部詳細2、B部詳細3として3個の場合を記載しているが、これに限定されるものではない。
【0128】
B部詳細1はシール膜15とカーボンファイバーを一緒に、大面積真空側シール用ブロックにロー付けしたものである。この場合11はシール用ブロックである必要はなく単なるロー付け部13の保護カバーの役割を果たしているに過ぎず、省略しても良い。
【0129】
B部詳細2では、シール膜15は大面積大気側シール用ブロック11にロー付けされ、カーボン製ファイバーを材料とする梁14は大面積真空側シール用ブロック10にとめられている。
【0130】
この場合、大面積大気側シール用ブロック11と大面積真空側シール用ブロック10は柔らかいシール材3を間に挟んで金属シールする必要がある。
【0131】
B部詳細3は大面積大気側シール用ブロック11と大面積真空側シール用ブロック10の間にシール膜15とカーボンチューブ製の梁14を挟み込んでロー付けしたものである。
【0132】
ロー付け、拡散接合、常温拡散接合、ヘリウムリークタイトな接着剤〔例えばカプトン系の接着剤〕での接着などを実行する場合、重要な点はシール膜15に皺がよらないようにすることである。
【0133】
接合前にシール膜15に皺がよっている場合、接合作業中に膜が破れる場合が多く、たとえ破れなかったとしても、大気圧をかけたり電子ビームなどを透過させると熱や大気圧の応力で破れてしまう。
【0134】
また、シール膜とシール用ブロックの熱膨張係数が近い材質を選んで接合しないと、ビームの透過時における温度上昇によりシール膜が破れるので注意が必要になる。
【0135】
図5は第5の実施例で、カーボンファイバー製の梁14と16が格子状に入っている例で、格子になっているためシール膜15を支える力はより大きくなる。
【0136】
図6は第6の実施例で、カーボンチューブ51を和紙をすくようにすいて作った膜50である。
【0137】
この膜50を電子銃と蒸着用の試料の間に、電子銃を取り囲むように置けば、試料の突沸による飛散物により電子銃が故障することはなくなる。
【産業上の利用可能性】
【00138】
ここで開示した電子やイオンを真空から大気に取り出す事の出来るヘリウムリークタイトな真空封止技術は、ゲッター材だけで装置を1年間ポンプレスで高真空に維持でき、排気系を省略できるため、装置価格の減少、ランニングコストの低下、設置面積の減少、持ち運び可能になるなど、装置の使いやすさが向上し、広範囲な分野で使うことが期待されている。
【0139】
また、ここで開示したもうひとつの真空封止膜や電子源を保護する保護膜は真空封止が破れたり、電子銃が破壊されるのを防ぎ、電子やイオンの大気取り出し技術の実用性を増加させ本願特許に基づく技術の市場での価値を高めるだけでなく、蒸着などの既存技術の信頼性の向上に貢献するものと期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の実施例1に係る電子透過ヘリウムリークタイトなシール構造の断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る電子透過ヘリウムリークタイトなシール構造の断面図である。
【図3】本発明の実施例3に係る電子透過ヘリウムリークタイトなシール構造の断面図である。
【図4】本発明の実施例4に係る大面積でヘリウムリークタイトなシール構造とシール膜を支える梁の構造を示す図である。である。
【図5】本発明の実施例5に係る大面積でヘリウムリークタイトなシール構造とシール膜を支える梁の構造を示す図である。
【図6】本発明の実施例6に係るシール膜や電子銃を保護する保護膜である。
【図7】電子線の電子のエネルギーと透過可能な最大の膜の厚さの関係を示すグラフである。
【図8】本発明を使った印刷用インク硬化装置の構成図である。
【図9】従来の印刷用インク硬化装置の構成図である。
【図10】従来の印刷用インク硬化装置のシール方式を示す図である。 1 大気側シール用ブロック〔ICF70フランジ(SUS304)〕 2 シール膜〔チタン箔(8ミクロン)〕 3 柔らかいシール材〔銅ガスケット〕 4 真空側シール用ブロック 10 大面積真空側シール用ブロック 11 大面積大気側シール用ブロック 12 梁 13 シール膜のロー付け部 14 交叉する梁〔カーボンファイバー〕 15 大面積シール膜52 チタン膜 3a 大気側柔らかいシール材〔銅ガスケット〕 3b 真空側柔らかいシール材〔銅ガスケット〕 51 大気側シール用ブロック〔1/2インチVCR(SWAGELOK SUS316)〕 52 シール膜〔チタン箔(5ミクロン)〕 53 柔らかいシール材〔銅ガスケットもしくはニッケルガスケット〕 54 真空側シール用ブロック〔1/2インチVCR(SWAGELOK SUS316)〕 101 真空容器 102 加速電極 103 絶縁物 104 線状電子源 105 引き出し電極 106 電子線取り出し部 107 真空ポンプ 108 高圧電源 109 電子線 110 試料 111 非蒸発ゲッター 210 シール台〔シール用ブロック〕 211 シール押さえ〔シール用ブロック〕 212 梁 215 シール膜 220 バイトン製のO−リング
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明に関わる技術分野は電子・イオン・中性子・中性粒子の照射装置において、電子・イオン・中性粒子を真空中から大気に取り出す技術に関わり、
特に、電子、イオン、中性子、中性粒子を、シール膜を通して大気または減圧下の被照射物に、照射する機構と、シール膜や電子源の保護機構に関わる。
【背景技術】
【0002】
本願発明に関わる技術分野は大別して5個あり、
〔1〕広い面積に電子線を照射する技術、特に真空中におかれた電子銃から放出される電子を引出し、大気圧または、減圧下の試料部に電子を照射する技術
【0003】
電子線を大気中に取り出して広い面積に照射する技術は産業の広い分野で利用され、
1.大強度高エネルギー電子線〔数百mA〜数A×数百kV〜数MV〕は排煙処 理に、
2.中強度中エネルギー電子線〔数mA〜数十mA×百kV〜数百kV〕は食品 処理またはプラスチック材料の重合と架橋に、そして
3.低強度低エネルギー電子線〔数百μA〜数mA×数十kV〜百kV〕は滅菌 、印刷物インク硬化に適用されている。
【0004】
〔2〕狭い面積に電子を照射する技術、特に電子線を大気に取り出し狭い面積に照射する技術
【0005】
この分野では電子顕微鏡・リペア装置・電子銃溶接が代表的で、これら技術分野では膜を通して大気中に電子を取り出す技術はまだ実用レベルに至っていないが、電子顕微鏡など、一部でその試みが始まっている。
【0006】
1.光学顕微鏡の分解能以下の微細な試料を見る技術として、光のかわりに電子 を使う電子顕微鏡が工業分野に限らず、物理科学や生物学、農学の分野で広く使 われ、
特に、最近、膜を通すのではなく差動排気を使って4000Paの水蒸気雰囲気 での試料を電子顕微鏡で観測する「環境型顕微鏡」がニコンを販売代理店として 売出されている。
【0007】
一方、特願2007−129844では膜を通し電子ビームを大気に取り出し、 ビームを走査して走査型電子顕微鏡を実現する技術について述べている。
【0008】
2.半導体装置やフラットパネルディスプレイ業界では、配線の断線やショート を修理したり、焼き切って他の回路から分離したりするリペア装置が実用に供さ れ、故障個所の修復に電子銃が使われている。
【0009】
しかし、上記装置は試料を真空の中に設置して電子線照射をおこなっている。
【0010】
3.電子溶接では真空中の試料に電子線を集中して、試料を溶接している。
【0011】
〔3〕イオンや中性粒子を試料に照射する技術、特にイオンや中性粒子を大気に取り出し照射する技術
【0012】
この分野の技術には、例えば、表面改質、イオン電子顕微鏡、イオン露光装置、ラザフォードバックスキャッタリング装置などがある。GeVに加速した粒子を大気に取り出す技術はガン治療などで使われているが、低エネルギーでイオンや中性粒子を大気中に取り出す技術は一般的ではない。
【0013】
〔4〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕で使用されるシール膜を保護する技術
【0014】
〔5〕電子、イオン、中性粒子を照射する電子、イオン、中性粒子源を保護する技術
【0015】
例えば電子ビーム蒸着では、電子銃からでた電子ビームを坩堝の中の試料に当てて加熱し、蒸発させて被処理物の表面をコーティングしている。
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本願特許が解決しようとする課題は広い分野に関係するため、全ての分野での問題点を詳細に述べることはせず、問題点の本質的な部分のみ、かつ典型的ないくつかの分野に限り説明をおこなう。
【0017】
技術の核を説明すれば、本願特許で言及した分野で本願特許記載の技術を実施するのは容易である。
【発明が解決しようとする課題1】
硬化装置 文献とページ
【0018】
電子線取り出し部のシール膜をシール用ブロックで封止する方法について、従来技術の一例である印刷物インク硬化装置を、図を用いて詳しく説明する。
【0019】
図9は従来技術の一例となる印刷物インク硬化や、プラスチック材料の重合加工に使用される装置の構造を示す概観図である。
【0020】
101は真空容器、102は多段に構築された加速電極、103は絶縁物、104は電子放射用の線状電子源、105は引き出し電極、106は電子線取り出し部、107は真空ポンプ、108は高圧電源でアースに対し150kV前後の電圧を供給する。
【0021】
109は線状電子源104から放出された電子線で、引き出し電極105により引き出され、加速電極102により加速され、電子線取り出し部106を通過して大気に取り出される。
【0022】
取り出された電子109は、アース電位の試料110に衝突し、樹脂を重合反応させ硬化させたり、印刷物のインクを急速に乾燥させたりする。
【0023】
衝突エネルギーは線状電子源104に印加された高圧電源108からの供給電圧の提供するエネルギー150keV程度となる。
【0024】
電子線取り出し部106は10μm前後の薄いチタン箔〔本願特許ではシール膜と称している〕を主要部とし、
チタン箔自身はヘリウムリークタイトであるにもかかわらず、従来はチタン箔をバイトンなどのヘリウムリークタイトではないゴム製のO−リングでシールしていた。
【0025】
図10はO−リングによるシールの構造を示すもので、211はシール膜215を押さえシールするシール押さえ〔シール用ブロック〕で、梁212と一体に形成されている。
【0026】
シール押さえ211はシール台210とともにシール膜215をはさんだ2個のバイトン製のO−リング220をはさんで、図示されない締結具、例えばボルトとナットで締結し、シールされている。
【0027】
以上の問題の核となる部分をより詳細に図9に戻って説明する。
【0028】
電子線109は真空中で加速電極102により加速され電子線取り出し部106に到達する。
【0029】
該電子線取り出し部106に設けられたチタン箔によって大気と真空は絶縁されている。
【0030】
該チタン箔の厚さは電子線エネルギーから許容される最低の値に選ばれ、そこでのエネルギーロスを最小にしている。
【0031】
その数値は50keV〜100keV電子線では2μm〜4μm、100keV〜300keV電子線では5μm〜12μm、300keV〜数MeVでは20μm以上である。
【0032】
これら薄膜の真空シールはすべて有機質のO−リングを使用している。
【0033】
O−リングは金属ガスケットに比べて真空中での脱ガス量が多く、かつ大気中の空気透過率も大きく、
また、放射線や熱により分解したり、硬化する。
【0034】
このため、加速電極102を内蔵する真空容器101は常時真空排気ポンプ107を併設している。
【0035】
このポンプは重くかつ取り付け姿勢の自由度が限定され、起動に時間がかかり、値段も高い。
【0036】
このため、印刷物インク硬化装置その他の電子ビーム関連装置をコンパクトに纏めて可搬化し、広く普及させるにいたっていない。
【0037】
このように、解決すべき課題はシールを完全なヘリウムリークタイトにし、排気ポンプを省略する技術の実現である。
【0038】
もうひとつの本願特許の課題は次に述べるヘリウムリークタイトな膜の保護である。
【発明が解決しようとするもう1つの課題】
【0039】
電子線照射試料からの蒸気や突沸が電子線取り出し部の薄い膜へ付着し、薄い膜が破壊される事について。
【0040】
再び図9に戻り、もうひとつの課題を説明する。
【0041】
加速電極102から出た電子が電子取り出し部106のシール膜を通過して試料110に照射されると、
該試料の温度が急激に上がり突沸がおき、また試料が高温になると常時、試料から蒸気が出てくる。
【0042】
このため、試料から蒸発して出で来る蒸気や、突沸により出てくる固体や液体が電子線取り出し部106の薄いチタン箔を直撃し、
チタン箔を破壊し、真空容器101の内部を大気圧に戻してしまう。
【0043】
これが第二の課題となる。
【0044】
もうひとつの本願特許の課題は電子銃・イオン銃などのビーム発生機構の保護である。
【発明が解決しようとする課題3】
【0045】
蒸着装置では試料も真空中に設置する必要があり、真空を維持するための薄いチタン箔を使用する必要はないが、次の問題がある。
【0046】
電子線が降り注ぐ坩堝内の蒸発物質からでる蒸気や、突沸により出る固体、液体、蒸気などが電子放出機構にまで到達し、
電子放出機構に付着したり異常放電を引き起こして電子放出機構を破壊したりするという問題がある。
【0047】
これを防ぐため蒸着装置では電子銃を試料に対し180°反対方向に向けたり、270°回転させたりしているが、
それでも散乱などで電子銃に蒸発物質が飛来し、電子銃の寿命を短くするという問題がある。
【発明が解決しようとする課題4】
【0048】
許容範囲のリークがある薄い膜でのシール
【0049】
リークがある薄い膜であっても膜がない場合に比べリーク量は桁違いに少なくなるため、膜がない場合に比べ、排気ポンプの負荷と電子銃への負担は桁違いに少なくなる。
【0050】
φ1mmのオリフィスに膜が設けられていない場合、ガスは300m/secでオリフィスに進入するため、リーク量は3×10の4乗平方cm×60min×3.14×10の−2乗すなわち約4×10の4乗sccmのリーク量となり、電子銃の保護には3段から4段の差動排気が必要になる。
【0051】
この例として、例えば特許文献1や特許文献2があり、特許文献2では4段のオリフィスと差動排気を採用していて現実的ではない。
【0052】
これに対し、特許文献1ではリークタイトではないコロジオン膜を使いシールする方式を開示し、この問題を回避している。
【0053】
【特許文献】
【特許文献1】特開2006−147430号公報
【特許文献2】特開2006−190578号公報
【0054】
このように、ヘリウムリークタイトでなくとも薄い電子透過膜は排気ポンプの負担を格段に小さくするが、特許文献1に記載されているように膜は非常に薄く、薄い膜を一定面積に形成し、O−リングで正確にシールすることは難しい。
【0055】
なぜなら、シール部分が小さいため大気圧が薄い膜にかかると、O−リングの押し圧が大気圧に負けて端からリークしてしまう場合がある。
【0056】
このように、特許文献1の方式はいくつかの問題を抱えていて実用に供されていない。
【発明が解決しようとする課題5】
【0057】
大面積を電子ビームで照射する場合、特有の問題が発生する。
【0058】
すなわち電子線取り出し部に設けられたシール膜の面積は広い必要があるが、膜が薄いと大気圧に耐えられる広さは狭くなる。
【0059】
この対策として、市場に供されている樹脂硬化装置では、8mmの間隔で設けられた梁でシール膜を支持し、チタン製の薄い膜が破れないようにしている。
【0060】
しかし、梁で電子が消失するため梁の本数を増やすことは難しく、
少ない本数でチタン膜を支えているためチタン膜の膜厚を薄くできない。
【0061】
厚い膜を通過できる電子はエネルギーの高い高速電子だけであり、広い面積に低エネルギー電子ビームを供給する装置はないのが現状である。
【0062】
ただし、チタンよりもベリリウムははるかに電子を通しやすく、ベリリウムをシール膜にした装置が市場に最近供された。
【0063】
ベリリウムは他の物質に比べ電子衝突確率が格段に小さいが、ベリリウム酸化物は肺を侵すという問題がある。
【0064】
本発明はかかる問題点を解決するためなされたものであり、
ヘリウムリークタイトな薄い膜のシール方法、より広くは真空に耐える薄い膜のシール方法、および
薄い膜を大面積化できる梁の構造、および
電子やイオンが照射される試料からの飛来物から、薄い膜や電子銃やイオン銃を保護する機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0065】
本発明はかかる課題を克服する為になされたものである。
【0066】
課題1と課題4に対する解決手段は金属シールを実施することで解決され、
課題2と課題3に対する解決手段は薄い膜を試料の前に設置することで防げ、
課題5に対する解決手段はシール膜を支える梁を講師滋養にすることで防げることに注目しかかる課題を解決した。
【0067】
すなわち、請求項1に記載の発明においては次のような構成とした。
【0068】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するする構造を具備するシール構造
【0069】
請求項2に記載の発明においては次のような構成とした。
【0070】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するシール構造において、
次の順序、すなわち
I.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
II.シール膜、
III.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする構造を具備するシール構造
【0071】
請求項3に記載の発明においては次のような構成とした。
【0072】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するシール構造において、
次の順序、すなわち
I.気密側のシール用ブロック
II.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする
もしくは
I.気密側のシール用ブロック、
II.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.高圧側のシール用ブロック
I.気密側のシール用ブロック、
II.シール用ブロック材料およびシール膜よりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
V.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする
構造を具備するシール構造
【0073】
請求項4に記載の発明においては次のような構成とした。
【0074】
金属またはセラミックのシール用ブロックにシール膜をリークタイトにロー付け、または、拡散接合、または、常温拡散接合、または、金属接合させ
かかるリークタイトにロー付け、拡散接合、常温拡散接合、金属接合させた部品を使いシールする構造を具備するシール構造
【0075】
請求項5に記載の発明においては次のような構成とした。
【0076】
大気圧に耐えるシール膜とシール膜の膨らみ防止用梁を有するシール構造において、
シール膜を支持する梁が任意の交差角度を有する格子状であり、
交差する梁の断面積の比が10の9乗以下、10の0乗以上、
望ましくは10の7乗以下、10の4乗以上である構造を具備するシール構造
【0077】
請求項6に記載の発明においては次のような構成とした。
【0078】
請求項5に記載のシール膜を支持する梁が大気側にある構造を具備するシール構造
【0079】
請求項7に記載の発明においては次のような構成とした。
【0080】
請求項1、または、請求項2、または、請求項3、または、請求項4、または、請求項5、または、請求項6に記載のシール構造において
前記シール膜が電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子を透過させる膜を具備するシール構造
【0081】
請求項8に記載の発明においては次のような構成とした。
【0082】
電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子の発生装置と
該電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子が照射される非照射物の間に膜を具備する
電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子の発生装置
【0083】
請求項9に記載の発明においては次のような構成とした。
【0084】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のシール構造を少なくとも一種類以上具備する電子銃、電子顕微鏡、電子照射装置、イオン銃、イオン顕微鏡、イオン照射装置、リペア装置、中性子銃、中性粒子銃
後に回す
【発明の効果】
【0085】
本願発明によれば、ゲッター剤のみを使用しポンプレスで電子源、イオン源、中性粒子源を高真空に保ちながら、試料を低圧から大気圧においたまま、100keV程度の低いエネルギーで電子を照射できるので、ポンプを使わず電子源を真空に保ち続けることができ、装置のコンパクト化だけでなく、電子源の寿命を延ばすことが出来るので好ましい。
【0086】
とくに、低いエネルギーではX線があまりです、X線対策に必要な人体に有害な鉛の使用を減らすことができるので好ましい。
【0087】
また、本願発明によれば、シール膜や、電子源やイオン源や中性粒子源を、試料の加熱に伴う突沸から防護できるので好ましい。
【発明の作用1】
【0088】
発明の作用1はシール膜のシール方法に関するものである。
【0089】
すでに述べた問題の概要を簡単に要約すれば、シール膜をチタン箔やグラッシーカーボンなどのヘリウムリークタイトな膜とし、この膜をシールする時バイトンなどの有機物系のゴムでシールしているため、O−リングからの微少リークのために、ポンプを作動させる必要があるという事になる。
【0090】
電子線の取り出し部にチタン箔を取り付けるとき、有機質O−リングの変わりに金属性ガスケットを用いて気密封止できればこの問題を除去できる。
【0091】
なぜなら、金属ガスケットの大気中ガス分子または原子の透過率はほとんどゼロであるからである。
【0092】
金属ガスケットを用いてヘリウムリークタイトにシールし、加速器真空系を200℃以上の高温で長時間にわたって真空排気しながら同系の脱ガスをおこなう。
【0093】
脱ガスが完了した時点で、同系に設置した真空排気用のゲッターを活性化するとともに、外部真空排気系と加速器真空系を結ぶ真空ラインを封じ切る。
【0094】
この封じ切られた装置はヘリウムリークタイトであるので、非蒸着ゲッターを備えていれば1年間ポンプなしで高真空、超高真空を維持できる。
【0095】
この方法は電子線取り出し用チタン箔を使い気密シールした以外、通常の真空管真空封止方法と同じである。
【0096】
また、本発明のチタン箔気密取付けに使用するフランジは、市販の金属ガスケットを介在させてフランジ間の気密を図る構造と同一形状で、使用するガスケットも同一である。
【0097】
本発明では、チタン箔を大気側のフランジと金属ガスケット間に挟んで設置することを特徴とする。
【0098】
このときに使用する金属ガスケットはフランジ及びチタン箔よりも柔らかくなければならない。
【0099】
このような柔らかい金属ガスケットを使い、チタン箔をはさんだフランジをボルトナットで締め付けると、両フランジの凸部先端は金属ガスケットに食い込んでいく。
【0100】
この時、大気側フランジの凸部先端部の顕微鏡的微細な形状まで対面する金属ガスケットにチタン箔を介して刻印され、ヘリウムリークタイトなシールが完成し、さらに次の利点が生まれる。
【0101】
両フランジをボルトナットで締め付けるとき、締め付け前にあったチタン箔の皺は軽い締め付けで完全になくなる。
【0102】
なぜなら、チタン箔窓周辺シール部が金属ガスケットに食い込むことにより、箔全体がその周辺部から一様に引っ張られるためである。
【0103】
皺がなくなるため、チタン箔を通過する電子線強度のムラがなくなると同時に、チタン箔の局所加熱もなくなるので、電子線取り出し箔としてはこの上なく都合が良い。
【発明の作用2】
【0104】
この発明の作用2はシール膜や電子源を試料からの突沸や蒸気から保護する方法に関するものである。
【0105】
電子源を試料から直接見えないように、電子源を180℃反対方向に向けて磁場で電子を試料に導いても試料からの飛来物の問題を完全には回避できなかった。
【0106】
また、特に電子線を透過しヘリウムリークタイトなシール膜をつかい、試料を大気において電子線を試料に照射する場合には、試料とシール膜の間の距離は短く、かつシール膜が非常に薄いため試料からの飛来物でシール膜が容易に破れてしまう。
【0107】
試料とシール膜や電子源の間に保護膜を置けばよいが、厚い膜では電子線を透過させず、電子線は保護膜でブロックされてしまう。
【0108】
この膜はリークタイトである必要はなく、試料からの飛来物を阻止できればよい。
【0109】
この保護膜は薄くなくても、単位表面積あたりの比重が小さければ、電子線はほとんど保護膜でトラップされることなく保護膜を通過することになる。
【0110】
このような膜は、例えば1ミクロン程度のカーボンファイバーを和紙をすくうようにすくって膜としたものが市場に出回っているし、さらに薄いものとしてはカーボンナノチューブの膜も出回っていて、本願特許で使用する目的にかなった膜となっている。
【発明の作用3】
【0111】
電子エネルギーを低くすると透過可能な膜が薄くなることは図7のグラフに示したとおりである。
【0112】
グラフ1は電子エネルギーと最大透過膜厚〔電子が少しでも透過する最も厚い膜厚〕の関係を示している。150keVに比べて100keVは半分の厚みしか透過しない。
【00113】
したがって、電圧を下げるためには膜を薄くする必要があるが、膜を薄くすると膜が大気圧に耐えることができなくなる。
【0114】
この問題の回避に、鉄以上の応力耐性を持ちしかも比重が軽く電子を通しやすいカーボンチューブやカーボンナノチューブでシール膜を支えることは、電子ビームを大気に取り出す上で都合が良い。
【0115】
発明の作用は以上のようなもので、以下実施例に基づき詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0116】
8ミクロン厚みと5ミクロン厚みのチタン箔を、市販の金属ガスケット使用の真空フランジに取り付けヘリウムリーク試験を行い気密確認をした。
【0117】
これを本願発明の好ましい第1の実施例として図1を元に説明をおこなう。
【0118】
図1において1はICF70フランジ(SUS304)〔大気側シール用ブロック〕であり、2はチタン箔(8ミクロン)〔シール膜〕で、3は銅ガスケット〔柔らかいシール材〕、4はICF70フランジ(SUS304)〔真空側シール用ブロック〕である。
【0119】
このときのリーク量は10の−11乗パスカル/秒以下であり、十分な排気後、非蒸発ゲッターでもってリークガスを吸着すれば、一年間はポンプなしで装置を稼動することが出来る。
【0120】
チタン箔をヘリウムリークタイトに金属シールした例は本発明の実証実験を除きまだ報告されていない。
【0121】
図2は第二の実施例で、51は大気側シール用ブロック〔1/2インチVCR(SWAGELOK SUS316)〕であり、52はシール膜〔チタン箔(5ミクロン)〕、53は柔らかいシール材〔銅ガスケットもしくはニッケルガスケットもしくはインジュウムガスケットもしくはハンダ材から作ったガスケット〕であり、54は真空側シール用ブロック〔1/2インチVCR(SWAGELOK SUS316)〕である。
【0122】
シールは三角のコーナーでも実施可能だが、本実施例のようにシール面がRでも可能である。
【0123】
図3は第3の実施例で、1は大気側シール用ブロック〔ICF70フランジ(SUS304)〕、2はシール膜〔チタン箔(8ミクロン)〕、3aは大気側柔らかいシール材〔銅ガスケット〕、3bは真空側柔らかいシール材〔銅ガスケット〕であり、4は真空側シール用ブロックである。
【0124】
注意すべきは、シール用ブロックの三角形の突端部が、大気側と真空側でずれていることである。
【0125】
図4は第4の実施例で、10は大面積シール膜15がロー付け部13においてヘリウムリークタイトに金属接合された大面積真空側シール用ブロック〔SUS304〕である。
【0126】
12は大面積シール膜15を支える梁であり、大面積真空側シール用ブロック〔SUS304〕10と一体成型され、該梁と交叉する梁〔カーボンファイバー製〕14と共にシール膜15が大気圧に耐えるようにシール膜14を支えている。
【0127】
ロー付け部13の詳細は、B部詳細1、B部詳細2、B部詳細3として3個の場合を記載しているが、これに限定されるものではない。
【0128】
B部詳細1はシール膜15とカーボンファイバーを一緒に、大面積真空側シール用ブロックにロー付けしたものである。この場合11はシール用ブロックである必要はなく単なるロー付け部13の保護カバーの役割を果たしているに過ぎず、省略しても良い。
【0129】
B部詳細2では、シール膜15は大面積大気側シール用ブロック11にロー付けされ、カーボン製ファイバーを材料とする梁14は大面積真空側シール用ブロック10にとめられている。
【0130】
この場合、大面積大気側シール用ブロック11と大面積真空側シール用ブロック10は柔らかいシール材3を間に挟んで金属シールする必要がある。
【0131】
B部詳細3は大面積大気側シール用ブロック11と大面積真空側シール用ブロック10の間にシール膜15とカーボンチューブ製の梁14を挟み込んでロー付けしたものである。
【0132】
ロー付け、拡散接合、常温拡散接合、ヘリウムリークタイトな接着剤〔例えばカプトン系の接着剤〕での接着などを実行する場合、重要な点はシール膜15に皺がよらないようにすることである。
【0133】
接合前にシール膜15に皺がよっている場合、接合作業中に膜が破れる場合が多く、たとえ破れなかったとしても、大気圧をかけたり電子ビームなどを透過させると熱や大気圧の応力で破れてしまう。
【0134】
また、シール膜とシール用ブロックの熱膨張係数が近い材質を選んで接合しないと、ビームの透過時における温度上昇によりシール膜が破れるので注意が必要になる。
【0135】
図5は第5の実施例で、カーボンファイバー製の梁14と16が格子状に入っている例で、格子になっているためシール膜15を支える力はより大きくなる。
【0136】
図6は第6の実施例で、カーボンチューブ51を和紙をすくようにすいて作った膜50である。
【0137】
この膜50を電子銃と蒸着用の試料の間に、電子銃を取り囲むように置けば、試料の突沸による飛散物により電子銃が故障することはなくなる。
【産業上の利用可能性】
【00138】
ここで開示した電子やイオンを真空から大気に取り出す事の出来るヘリウムリークタイトな真空封止技術は、ゲッター材だけで装置を1年間ポンプレスで高真空に維持でき、排気系を省略できるため、装置価格の減少、ランニングコストの低下、設置面積の減少、持ち運び可能になるなど、装置の使いやすさが向上し、広範囲な分野で使うことが期待されている。
【0139】
また、ここで開示したもうひとつの真空封止膜や電子源を保護する保護膜は真空封止が破れたり、電子銃が破壊されるのを防ぎ、電子やイオンの大気取り出し技術の実用性を増加させ本願特許に基づく技術の市場での価値を高めるだけでなく、蒸着などの既存技術の信頼性の向上に貢献するものと期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の実施例1に係る電子透過ヘリウムリークタイトなシール構造の断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る電子透過ヘリウムリークタイトなシール構造の断面図である。
【図3】本発明の実施例3に係る電子透過ヘリウムリークタイトなシール構造の断面図である。
【図4】本発明の実施例4に係る大面積でヘリウムリークタイトなシール構造とシール膜を支える梁の構造を示す図である。である。
【図5】本発明の実施例5に係る大面積でヘリウムリークタイトなシール構造とシール膜を支える梁の構造を示す図である。
【図6】本発明の実施例6に係るシール膜や電子銃を保護する保護膜である。
【図7】電子線の電子のエネルギーと透過可能な最大の膜の厚さの関係を示すグラフである。
【図8】本発明を使った印刷用インク硬化装置の構成図である。
【図9】従来の印刷用インク硬化装置の構成図である。
【図10】従来の印刷用インク硬化装置のシール方式を示す図である。 1 大気側シール用ブロック〔ICF70フランジ(SUS304)〕 2 シール膜〔チタン箔(8ミクロン)〕 3 柔らかいシール材〔銅ガスケット〕 4 真空側シール用ブロック 10 大面積真空側シール用ブロック 11 大面積大気側シール用ブロック 12 梁 13 シール膜のロー付け部 14 交叉する梁〔カーボンファイバー〕 15 大面積シール膜52 チタン膜 3a 大気側柔らかいシール材〔銅ガスケット〕 3b 真空側柔らかいシール材〔銅ガスケット〕 51 大気側シール用ブロック〔1/2インチVCR(SWAGELOK SUS316)〕 52 シール膜〔チタン箔(5ミクロン)〕 53 柔らかいシール材〔銅ガスケットもしくはニッケルガスケット〕 54 真空側シール用ブロック〔1/2インチVCR(SWAGELOK SUS316)〕 101 真空容器 102 加速電極 103 絶縁物 104 線状電子源 105 引き出し電極 106 電子線取り出し部 107 真空ポンプ 108 高圧電源 109 電子線 110 試料 111 非蒸発ゲッター 210 シール台〔シール用ブロック〕 211 シール押さえ〔シール用ブロック〕 212 梁 215 シール膜 220 バイトン製のO−リング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成することを特徴とするシール構造
【請求項2】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するシール構造において、
次の順序、すなわち
I.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
II.シール膜、
III.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールすることを特徴とするシール構造
【請求項3】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するシール構造において、
次の順序、すなわち
I.気密側のシール用ブロック
II.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする
もしくは
I.気密側のシール用ブロック、
II.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
V.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする
ことを特徴とするシール構造
【請求項4】
金属またはセラミックのシール用ブロックにシール膜をリークタイトにロー付け、または、拡散接合、または、常温拡散接合、または、金属接合させ
かかるリークタイトにロー付け、拡散接合、常温拡散接合、金属接合させた部品を使いシールすることを特徴とするシール構造
【請求項5】
大気圧に耐えるシール膜とシール膜の膨らみ防止用梁を有するシール構造において、
シール膜を支持する梁が任意の交差角度を有する格子状であり、
交差する梁の断面積の比が10の9乗以下、10の0乗以上、
望ましくは10の7乗以下、10の4乗以上であることを特徴とするシール構造
【請求項6】
請求項5に記載のシール膜を支持する梁が真空側にあることを特徴とするシール構造
【請求項7】
請求項1、または、請求項2、または、請求項3、または、請求項4、または、請求項5、または、請求項6に記載のシール構造において
前記シール膜が電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子を透過させる膜であることを特徴とするシール構造
【請求項8】
電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子の発生装置と
該電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子が照射される非照射物の間に膜を設ける
ことを特徴とする電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子の発生装置
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のシール構造を少なくとも一種類以上具備する
ことを特徴とする電子銃、電子顕微鏡、電子照射装置、イオン銃、イオン顕微鏡、イオン照射装置、リペア装置、中性子銃、中性粒子銃
【請求項1】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成することを特徴とするシール構造
【請求項2】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するシール構造において、
次の順序、すなわち
I.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
II.シール膜、
III.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールすることを特徴とするシール構造
【請求項3】
金属またはセラミックのシール用ブロックの間にシール膜を挟んで、ヘリウムリークタイトな気密シールを達成するシール構造において、
次の順序、すなわち
I.気密側のシール用ブロック
II.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする
もしくは
I.気密側のシール用ブロック、
II.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
III.シール膜、
IV.シール用ブロック材料およびシール膜のいずれよりも柔らかい金属ガスケット、
V.高圧側のシール用ブロック
の順に重ねシールする
ことを特徴とするシール構造
【請求項4】
金属またはセラミックのシール用ブロックにシール膜をリークタイトにロー付け、または、拡散接合、または、常温拡散接合、または、金属接合させ
かかるリークタイトにロー付け、拡散接合、常温拡散接合、金属接合させた部品を使いシールすることを特徴とするシール構造
【請求項5】
大気圧に耐えるシール膜とシール膜の膨らみ防止用梁を有するシール構造において、
シール膜を支持する梁が任意の交差角度を有する格子状であり、
交差する梁の断面積の比が10の9乗以下、10の0乗以上、
望ましくは10の7乗以下、10の4乗以上であることを特徴とするシール構造
【請求項6】
請求項5に記載のシール膜を支持する梁が真空側にあることを特徴とするシール構造
【請求項7】
請求項1、または、請求項2、または、請求項3、または、請求項4、または、請求項5、または、請求項6に記載のシール構造において
前記シール膜が電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子を透過させる膜であることを特徴とするシール構造
【請求項8】
電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子の発生装置と
該電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子が照射される非照射物の間に膜を設ける
ことを特徴とする電子線、または、イオン、または、中性子、または、中性粒子の発生装置
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のシール構造を少なくとも一種類以上具備する
ことを特徴とする電子銃、電子顕微鏡、電子照射装置、イオン銃、イオン顕微鏡、イオン照射装置、リペア装置、中性子銃、中性粒子銃
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−14191(P2009−14191A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195193(P2007−195193)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(507158880)株式会社ビーム精工 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(507158880)株式会社ビーム精工 (2)
【Fターム(参考)】
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