説明

ジバルプロ酸及びその誘導体の徐放性製剤

本発明は、a)約40重量%〜約80重量%の量におけるバルプロ酸化合物、例えば、ジバルプロエクスナトリウム、及びb)各々、錠剤の重量の約20%以下の量における少なくとも2つの、好ましくは親水性ポリマー、を含んで成る、徐放性製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬製剤に関する。より特には、本発明は、徐放性錠剤製剤において、バルプロ酸、その医薬的に許容される塩、エステル又はアミド、あるいはジバプロエクスナトリウムを含んで成る製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2−プロピルペンタン酸(より商業的にはバルプロ酸(VPA)として知られる)、そのアミド、バルプロミド(VPO)、及び該酸の特定の塩及びエステルは、癲癇発作の治療において、あるいは抗精神病剤として有用である。Meade, 米国特許第4,988,731号は、4ユニットを含みバルプロ酸ナトリウムとバルプロ酸の1:1モル比を有するオリゴマーを記載し、そしてMeade, 米国特許第5,212,326号は、バルプロ酸ナトリウムとバルプロ酸の1:1のモル比を有し、4〜6ユニットを含むオリゴマーを含んで成るバルプロ酸の安定な非吸湿性固体を記載する。ジバルプロエクスナトリウム(ジバルプロ酸水素ナトリウム)は、成人における偏頭痛の予防に有用であり、そして発作の治療又は予防に使用することができる。
【0003】
しかしながら、癲癇の治療におけるその有効性にも関わらず、バルプロ酸は商業的に使用される他の抗癲癇剤よりも明らかに短い排出半減期を示すことが知られていた。該薬剤の半減期は、成人において6〜17時間であり、そして子供において4〜14時間であることが報告されている。これは、特に慢性的な投与において、薬剤の血漿濃度における実質的な変動に導きうる。十分に安定な血漿濃度を維持するためには、おそらくは頻繁に投与する必要があり、そしてこれによって生じる患者に対する不便さは、規定された投薬計画の遵守の低下をしばしばもたらす。さらには、広範に変動する薬剤の血漿濃度は、保守的な投薬計画において治療量以下の薬物の投与をもたらすか、あるいは積極的な投薬計画における特定の患者については過剰量をもたらす。
【0004】
この不利益を解消するために、投与後、薬物のより安定した血漿レベルを維持するバルプロ酸製剤が開発された。究極的な目的は、1日1回の投薬計画において安定な血漿レベルをもたらす製剤の開発である。この目的を達成するための努力は、一般に、2つのカテゴリー:(a)代謝的に身体により緩徐に放出される活性成分の形態を発見すること、及び(b)持続放出又は徐放メカニズムのいずれかによって薬剤を送達する製剤を発見すること、のうちの1つに該当する。
【0005】
米国特許第4,369,172号(Schorら)は、例えば、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、エチルセルロース及び/又はナトリウム・カルボキシメチルセルロースの混合物に基づく持続放出性の治療組成物を開示する。Schorらは、彼らが示唆する、バルプロ酸ナトリウムを含む製剤中に組み込むことができる治療剤の長大なリストを提供する。
【0006】
米国特許第4,913,906号(Friedmanら)は、高圧化において錠剤に成型された、天然又は合成ポリマーとの組み合わせにおける、バルプロ酸、そのアミド、又はその塩若しくはエステルの徐放性製剤について記載しているようである。
【0007】
米国特許第5,009,897号(Blinkerら)は、錠剤に成型するために適当な顆粒、ジバプロエクスナトリウムのコア、及びポリマーと結晶セルロースの混合物のコーティングを含んで成る顆粒を記載する。
【0008】
米国特許第5,019,398号(Daste)は、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース及びケイ酸のマトリックスにおけるジバルプロエクスナトリウムの持続放出錠剤を記載する。
【0009】
米国特許第5,055,306号(Barryら)は、多様な治療剤との使用に好適な発泡性又は水分散性顆粒持続放出性製剤を記載する。該顆粒は、活性成分及び少なくとも1つの賦形剤、並びにアクリル酸エチルとメタクリル酸メチルのコポリマーと水溶性ヒドロキシル化セルロース誘導体を含んで成る水不溶性、水膨潤性コーティングを含んで成るコアを含んで成る。これらの特許権者は、バルプロ酸ナトリウムを含む本発明の製剤において使用できる治療剤のリストを示唆する。
【0010】
米国特許第5,169,642号(Brinklerら)は、エチルセルロース又はメタクリル酸メチルエステル、可塑剤、デタッキファイヤー剤、及び除放性ポリマー粘性剤を含んで成る持続放出組成物でコーティングした、ジバルプロエクスナトリウム又はバルプロ酸のアミド若しくはエステルの顆粒を含んで成る持続放出製剤を記載しているようである。
【0011】
米国特許第5,185,159号(Aubertら)は、見たところ結合剤又は造粒溶媒のいずれの使用も伴なわずに調製されるにバルプロ酸及びバルプロ酸ナトリウムの製剤を記載する。
【0012】
米国特許第5,589,191号(Exiguaら)は、無水ケイ酸を含有するエチルセルロースでコーティングされた徐放性バルプロ酸ナトリウム錠剤製剤を記載する。
【0013】
公開PCT出願WO 94/27587号(Ayerら)は、ポリ(アルキレンオキシド)との組み合わせにおけるバルプロ酸又はその誘導体の治療組成物を送達することによる癲癇の制御のための方法を記載する。
【0014】
Bialer, et al., "Metabolism of Antiepileptic Drugs," pp. 143-151, R. H. Levy, Ed., Raven Press, New York, 1984; Int. J. Pharmaceutics, 20: 53-63 (1984); 及びBiopharmaceutics and Drug Disposition, 6: 401-411 (1985); 及び Israel J. Med. ScL, 20: 46- 49 (1995)は、バルプロ酸のいくつかの持続放出製剤の薬理動態評価を報告する。
【0015】
米国特許第6,419,953号(Qiuら)は、約20重量%〜約40重量%の量におけるヒドロキシプロピルメチルセルロースを伴うバルプロ酸化合物、例えば、ジバルプロエクスナトリウムの1日1回の投与に好適な親水性マトリックス錠剤を記載しているようである。
【0016】
米国特許第6,528,090号(Qiuら)は、製剤の約20重量%〜約50重量%の量における医薬的に許容される親水性ポリマーを伴う、バルプロ酸化合物の1日1回の投与に好適な経口徐放性製剤が記載されているとのことである。
【0017】
しかしながら、より一定のレベルにおける薬剤の血漿濃度を有効に維持することができるバルプロ酸の持続放出製剤の必要性がなお存在する。
【発明の開示】
【0018】
a)約40重量%〜約80重量%の量におけるバルプロ酸化合物、例えば、ジバルプロエクスナトリウム、及びb)各々、錠剤の重量の約20%以下の量における少なくとも2つの好ましくは親水性のポリマーを含んで成る、徐放性錠剤製剤を供する。好ましくは該徐放性製剤は、2〜4つのポリマー、より好ましくは2つのポリマーを含んで成る。好ましくは該徐放性製剤は、約45〜約55%のバルプロ酸化合物を含んで成る。さらに、該ポリマーは、好ましくはヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、及びポリエチレンオキシドから成る群から選択される。
【0019】
他の観点において、本発明はまた、バルプロ酸化合物、及び各々、錠剤の重量の約20%以下の量における少なくとも2つの好ましくは親水性のポリマーを含んで成る徐放性錠剤製剤であって、37℃及びpH5.5の水性バッファーにおいて、
a)全バルプロ酸化合物の約30%以下が、前記装置における測定において3時間又はそれ以内で放出される;
b)全バルプロ酸化合物の約35〜約70%が、前記装置における測定において9時間又はそれ以内で放出される;
c)全バルプロ酸化合物の約50〜約95%が、前記装置における測定において12時間又はそれ以内で放出される;そして
d)全バルプロ酸化合物の少なくとも約75%が、前記装置における測定において18時間又はそれ以内で放出される、という溶解特性を有する製剤を供する。
【0020】
さらに、カプセルへの充填、又は徐放性錠剤への成形に適当な粒状組成物を調製するための方法であって、
a)バルプロ酸化合物、例えば、ジバルプロエクスナトリウム、少なくとも2つ、好ましくは2〜4つ、そしてより好ましくは2つの、好ましくは親水性のポリマー、好ましくはヒプロメロース、及びヒドロキシエチルセルロース、及び結合剤、好ましくはアルファ化澱粉を含んで成る混合物を乾式混合する工程;
b)均質な混合物を形成するために、水性アルコール溶液(アルコールと水の混合物)で湿式造粒する工程;
c)湿った顆粒を乾燥させ、そしてサイジングする工程;
d)乾燥した顆粒を、親水性ポリマー、好ましくはヒプロメロース及びタルクを含有する精製水を伴う分散剤で表面コーティングする工程;
e)コーティングした顆粒を乾燥させる工程;
f)流動促進剤、好ましくは二酸化ケイ素を添加し、そしてコーティングした顆粒をふるいにかける工程;
g)コーティングした顆粒を充填剤、好ましくは結晶セルロース、及び潤滑剤、好ましくはステアリン酸と共に乾式混合する工程;
h)顆粒を錠剤に圧縮する工程;及び
i)錠剤をコスメティックコートでコーティングする工程、
を含んで成る方法が供される。
【0021】
顆粒がカプセルに充填される場合の態様において、これは工程e)の後に行ってよく、従って上記f)及びg)の工程は任意となり、そしてh)及びi)の工程は関係しない。
【0022】
他の観点において、本発明は、ある状態に罹患している患者を治療するための方法であって、約40〜約80%のバルプロ酸化合物、及び各々錠剤の重量の約20%以下の量における少なくとも2つの好ましくは親水性のポリマーを含んで成る徐放性錠剤製剤において、治療的有効量のバルプロ酸化合物を1日1回投与することを含んで成る、バルプロ酸化合物の徐放性製剤で治療される、方法を供する。
【0023】
発明の詳細な説明
本明細書において使用される、薬剤において適用される「放出持続性」、「放出持効性」、及び「徐放性」の用語は、"Remington's Pharmaceutical Sciences," 18th Ed., p. 1677, Mack Pub. Co., Easton, Pa. (1990)において記載される意味を有する。持続性放出薬剤系は、延長された期間にわたり薬物の除放を達成するいずれかの薬物送達系を含み、そして持効性及び徐放性の放出の両方を含む。このような放出持続系は、血液又は標的組織において、実質的に一定の薬物レベルの維持において有効であり、これは徐放性薬物送達系として考えられる。しかしながら、薬物送達系が慣習的な送達により達成される薬物の作用の期間を延長する場合、これが実質的に一定の血液又は組織薬物レベルの達成に成功的であるか否かを考慮することなく、放出持効系として考えられる。
【0024】
本発明の製剤は、バルプロ酸化合物のための徐放性製剤を供する。「バルプロ酸」の用語は、2−プロピルペンタン酸化合物自体、その医薬的に許容される塩、及び生体内でバルプロ酸を産生するように容易に代謝する化合物、例えば、バルプロ酸アミド(バルプロミド)、並びに他の医薬的に許容される該酸のアミド及びエステルを包含することを意味する。本発明の組成物のためのバルプロ酸の特に好ましい形態は、一般に「ジバルプロエクスナトリウム」と称される、2−プロピルペンタン酸とそのナトリウム塩(2:1)との間で形成される複合体である。
【0025】
ジバルプロエクスナトリウムは、以下の構造により表すことができ、ここでmは2〜6の整数である:
【化1】

【0026】
バルプロ酸の合成方法は、Oberreit, Ber. 29, 1998 (1896) 及び Keil, Z. Physiol. Chem. 282, 137 (1947)に記載される。抗癲癇化合物としてのその活性は、the Physician Desk Reference, 52nd Edition, page 421 (1998)に記載される。胃腸管への経口摂取において、該酸部分はカルボン酸部分(すなわちバルプロ酸イオン)を形成するように解離する。バルプロ酸のナトリウム塩もまた、抗癲癇剤として当業界において知られている。またこれは、バルプロ酸ナトリウムとしても知られ、The Merck Index, 12th Edition, page 1691 (1996)において詳細に記載されている。the Physician Desk Reference, 52nd Edition, page 417 (1998)において、さらなる記載を見つけることができる。
【0027】
ジバルプロエクスナトリウムは抗癲癇剤として有効であり、そしてまた偏頭痛及び消極性障害についても使用される。その調製のための方法は、米国特許第4,988,731号及び第5,212,326号中に見つけることができ、その内容は参考として本明細書に組み込まれている。バルプロ酸と同様、これもまたバルプロ酸イオンを形成するように胃腸管内で明らかに解離する。
【0028】
さらに、本明細書において使用される場合:
a)「バルプロ酸化合物」についてのいずれかの言及は、胃腸管内、又は試験管内溶解媒体内で解離し、バルプロ酸イオン、例えば、制限することなく、バルプロ酸、バルプロ酸のナトリウム塩、ジバルプロエクスナトリウム、上述のバルプロ酸のいずれかの多様な塩、及び上述のバルプロ酸のいずれかのプロドラッグを産生する化合物を含むように解釈すべきである。ジバルプロエクスナトリウムは、本発明の最も好ましいバルプロ酸化合物である。
【0029】
b)「Cmax」は、本発明の組成物の摂取により産生される、バルプロ酸イオンの最大血漿中濃度を意味する。
【0030】
c)本明細書において使用される「AUC」は、全ての製剤についての完全な24時間間隔にわたる台形公式により計算された、血漿中濃度−時間曲線下の面積を意味する。
【0031】
d)本明細書において使用される「医薬的に許容される」は、適切な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応等を伴うことなくヒト及び下等動物の組織との接触における使用に好適であり、妥当な利益/リスク比を維持し、そして多様な障害の治療及び予防におけるこれらの意図される使用に有効なこれらの塩、ポリマー、及び賦形剤を意味する。
【0032】
さらに、試験管内溶解特性はまた、薬品の製造においてしばしば使用される。これらは、異なるバッチが同じ溶解特性を有し、比較できる生物応答を産生することを保証するための品質管理デバイスとして役立つ。
【0033】
新規なバルプロ酸化合物製剤は、先行技術の放出持続性製剤に対して有意な利点を有する。これらの製剤は、バルプロ酸の実質的にゼロ(0)オーダーの放出を提供し、バルプロ酸のピークとトラフの血漿レベル間の変動を最小化する。本発明のすべての製剤は、各々、錠剤の重量の20%以下の量における少なくとも2つの好ましくは親水性のポリマーを含んで成るマトリックス系を含んで成り、そしてさらに粒状マトリックス表面コーティングを含んで成ってよい。
【0034】
マトリックス系において、該薬物又は医薬的に活性な成分は、慣習的な賦形剤に付随したポリマー中に均一に分散する。この混合物を圧力下で圧縮して錠剤を産生することができる。該薬物は拡散及び侵食により該錠剤から放出される。マトリックス系は、(1) Handbook of pharmaceutical controlled release technology, Ed. D. L. Wise, Marcel Dekker, Inc. New York, N.Y. (2000)、及び (2) Treatise on controlled drug delivery, fundamentals, optimization, applications, Ed. A. Kydonieus, Marcel Dekker, Inc. New York, N.Y. (1992)により詳細に記載されており、これらは共に参考として本明細書中に組み込まれている。
【0035】
以下により詳細に記載される、増強された薬物動態特性は、少なくとも2つの、好ましくは親水性のポリマーを含んで成るバルプロ酸化合物のマトリックス製剤の投与により得ることができる。ある態様において本発明に従う徐放性製剤は:
a)必要とされる毎日の用量のバルプロ酸を供するために十分な量で存在するバルプロ酸化合物、及び
b)少なくとも2つ、好ましくは2〜4、そしてより好ましくは2つの、好ましくは親水性のポリマー(ここで、該ポリマーはそれぞれ、錠剤の約20重量%以下、好ましくは錠剤の約16重量%以下の量である)、
を含んで成る。
【0036】
本発明のほかの態様において、
a)必要とされる毎日の用量のバルプロ酸を供するために十分な量で存在するバルプロ酸化合物、
b)少なくとも2つ、好ましくは2〜4、そしてより好ましくは2つの、好ましくは親水性の、ポリマー、及び
c)ポリマー、好ましくは親水性ポリマー(ここで、製剤中のポリマーのそれぞれの種類の量は、該組成物の約20%以下、好ましくは錠剤の約16%以下ある)を含んで成る医薬マトリックス粒の顆粒表面コーティング、
を含んで成る徐放性製剤が供される。
【0037】
好ましい態様において、該表面コーティング粒は、好ましくはコスメティックコートにより任意的にコーティングされていてよい錠剤コアに成型される。
【0038】
好ましくは、該バルプロ酸化合物はジバルプロエクスナトリウムである。1日に必要な用量のバルプロ酸を供するのに十分なバルプロ酸化合物の量は、該製剤の約40重量%〜約80重量%である。より好ましくは、本発明の徐放性製剤は、約45重量%〜約60重量%のバルプロ酸化合物、最も好ましくは約45%〜55%のバルプロ酸化合物を含んで成る。
【0039】
該徐放性製剤において使用される好適な好ましい親水性ポリマーは、ヒプロメロース(HPMC、例えば、メトセルK100、メトセルE15、及びファーマコート606)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC、例えば、ナトロソール(登録商標)250M)、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸ビニル・コポリマー(例えば、コリコートSR30、ポリビニルピロリドンとラウリル硫酸で安定化された酢酸ポリビニルの水性分散剤)、ポリサッカライド(例えば、アルギン酸塩、キサンタンゴム等)、メタクリル酸・コポリマー、無水マレイン酸/メチルビニルエーテル・コポリマー及びこれらの誘導体から成る群から選択される。好ましくは、該親水性ポリマーは、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びコリコートから選択される。最も好ましくは、該親水性ポリマーはヒプロメロース及びヒドロキシエチルセルロースである。好ましいヒプロメロース化合物は、商業的に入手可能なメトセルK100、メトセルE15、及びファーマコート606である。商業的に入手可能な好ましいヒドロキシエチルセルロースは、ナトロソール(登録商標)250Mである。
【0040】
本発明の製剤における各ポリマーの量は、該組成物の約20重量%以下である。好ましくは、各ポリマーの量は該組成物の約16重量%以下である。より好ましくは、各ポリマーの量は該製剤の約10重量%〜約16重量%である。最も好ましくは各ポリマーの量は該製剤の約12重量%〜約16重量%である。
【0041】
本発明の徐放性錠剤製剤はさらに、疎水性ポリマー、例えば、エチルセルロースを含んでよい。商業的に入手可能な好ましいエチルセルロースは、エトセル・プレミウム7cps及びエトセル・プレミウム100cpsを含む。
【0042】
本発明の組成物はまた、典型的には医薬的に許容される賦形剤を含む。当業者に周知であるように、医薬賦形剤は固形剤形中に慣習的に組み込まれる。これは、製造工程を容易にするため、ならびに製剤の性能を改善するために行われる。一般的な賦形剤は、希釈剤、結合剤、増量剤、潤滑剤、結合剤等を含む。このような賦形剤は、本発明の製剤において慣習的に使用される。
【0043】
希釈剤、又は充填剤は、打錠成型に好適なサイズに個々の容量を増大させるために添加される。好適な希釈剤は、粉砂糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、ラクトース、マンニトール、カオリン、塩化ナトリウム、乾燥澱粉、ソルビトール等を含む。
【0044】
潤滑剤は、様々な理由により製剤中に組み込まれる。これらは、加圧及び押し出しにおける顆粒とダイ壁間の摩擦を減少させる。これは錠剤のパンチとダイに対する顆粒の固着を防止し、錠剤のパンチからのその押し出し等を促進する。好適な潤滑剤の例は、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、植物油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム等を含む。
【0045】
流動促進剤もまた、該製剤中に典型的に組み込まれる。流動促進剤は、顆粒の流動特性を改善する。好適な流動促進剤の例は、タルク、二酸化ケイ素、及びコーンスターチを含む。
【0046】
該製剤中には結合剤を組み込むことができる。結合剤は、剤形の製造において造粒工程が用いられる場合に利用される。好適な結合剤の例は、ポビドン、ポリビニルピロリドン、キサンタンゴム、セルロースゴム、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ゼラチン、澱粉、及びアルファ化澱粉を含む。また、結合剤は、しばしば製剤からの活性成分の放出を制御するために使用されるポリマーと同じポリマーである。
【0047】
該製剤に組み込むことができる他の賦形剤は、保存料、抗酸化剤、又は医薬業界において一般に使用されるいずれかの他の賦形剤を含む。任意的な錠剤コートは、好ましくは化粧用(cosmetic)であり、例えば、ポリエチレングリコール及び着色料等と一緒に、ヒプロメロース又はポリビニルアルコールのいずれかに基づく懸濁物をコーティングするための商業的に入手可能な粉末から調製することができる。
【0048】
本発明の他の態様において、約47〜約50重量%のバルプロ酸化合物;約13〜約16重量%のヒプロメロース;約13〜約15重量%のヒドロキシエチルセルロース;約8〜約9重量%のアルファ化澱粉;約4〜約10重量%の結晶セルロース;約3〜約4重量%の二酸化ケイ素;及び約1〜約2重量%のステアリン酸を含んで成る徐放性錠剤コア製剤が供される。全ての重量%は、錠剤製剤の総重量に基づく。
【0049】
本発明の特に好ましい徐放性製剤を下の表1に記載する。ここで全ての重量%は製剤の総重量に基づいている。
【表1】

【0050】
本発明の他の態様において、少なくとも2つ、好ましくは2〜4つ、そしてより好ましくは2つの、好ましくは親水性のポリマーを含んで成る徐放性錠剤製剤であって、該製剤が、a)全バルプロ酸化合物の約30%以下が、3時間又はそれ以内で放出される;
b)全バルプロ酸化合物の約35%〜約70%が、9時間又はそれ以内で放出される;c)全バルプロ酸化合物の約55%〜約95%が、12時間又はそれ以内で放出される;そしてd)全バルプロ酸化合物の少なくとも約75%が、18時間又はそれ以内で放出される、という溶解特性を有する製剤が供される。本発明の徐放性錠剤製剤の溶解特性は、45分間の500mlの0.1N HClの酸段階、続いて75mM ラルリル硫酸ナトリウム(SLS)pH5.5を伴う900mlの0.05Mリン酸バッファーの塩基段階での、100rpmにおけるUSPタイプII装置、37℃におけるものである。
【0051】
本発明のさらに他の態様において、バルプロ酸化合物、及び少なくとも2つ、好ましくは2〜4つ、そしてより好ましくは2つの、好ましくは親水性のポリマーを含んで成る徐放性錠剤製剤であって、該製剤が、デパコートER(商業的に入手可能な持続放出性ジバルプロエクスナトリウム製剤)の薬物動態特性と比較して、a)約85%〜約120%の範囲における平均AUC値(ここで、デパコートERについて観察されたAUC値を100%に設定する)、及びb)約90%〜約160%の範囲におけるCmax値(ここで、デパコートERについて観察されたCmax値を100%に設定する)の比較薬物動態特性を有し、ここで該徐放性錠剤製剤が非空腹時哺乳類に投与されることを特徴とする徐放性錠剤製剤が供される。さらに、空腹時哺乳類においては、AUC値は約90〜約130であり、そしてCmax値は約100〜約160である。薬物動態特性において、AUC及びCmaxについてのパラメーターは、デパコートERについて観察された値に対する本発明の製剤について観察された値の比の100倍として表される。好ましくは本発明の製剤の薬物動態パラメーターについての値は、デパコートERと0.80〜1.25の等価基準を満足する。従って、バルプロ酸化合物、及び20%以下、好ましくは16%以下の少なくとも2つの好ましくは親水性のポリマーを含んで成る本発明の製剤は、商業的に入手可能なデパコートER製剤に匹敵する薬物動態性を有し、そして好ましくは生物学的同等性である。
【0052】
該徐放性製剤は、当業界に周知の標準的な技術を使用して一般に調製される。典型的には、これらは、好ましくは親水性のポリマー、充填剤、バルプロ酸化合物、及び他の賦形剤を乾式混合し、その後、適当な顆粒が得られるまで水性アルコール溶液(アルコールと水の混合物)を使用して該混合物を顆粒化することにより調製される。該顆粒化は、当業界に既知の方法により行われる。湿った顆粒を流動層乾燥機中で乾燥させ、ふるいにかけ、そして適当なサイズに粉末化し、そしてその後親水性ポリマーを含有する分散剤で表面コーティングすることができる。充填剤及び潤滑剤を乾燥した顆粒と混合し、最終製剤が得られる。
【0053】
より具体的には、バルプロ酸化合物、及び少なくとも2つの好ましくは親水性のポリマーを含んで成る徐放性錠剤製剤は、以下の実施例に従い調製することができる。徐放性錠剤製剤に成型するために適当な粒状組成物を調製するための方法は、
1)バルプロ酸化合物、例えば、ジバルプロエクスナトリウム、及び少なくとも2つ、好ましくは2〜4つ、そしてより好ましくは2つの、好ましくは親水性ポリマー、好ましくはヒプロメロース及びヒドロキシエチルセルロース、並びに結合剤、好ましくはアルファ化澱粉を含んで成るポリマーの混合物を乾式混合する工程;
2)均質な混合物を形成するために、水性アルコール溶液(アルコールと水の混合物)で湿式造粒する工程;
3)湿った顆粒を乾燥させ、そしてサイジングする工程;
4)乾燥した顆粒を、精製水を伴う、希釈剤及びポリマー、好ましくは親水性ポリマー、より好ましくはヒプロメロース、及びタルクを含有する分散剤で表面コーティングする工程;
5)コーティングした顆粒を乾燥させる工程;
6)流動促進剤、好ましくは二酸化ケイ素を添加し、そしてコーティングした顆粒をふるいにかける工程;
7)コーティングした顆粒を充填剤、好ましくは結晶セルロース及び潤滑剤、好ましくはステアリン酸と共に乾式混合する工程;
8)混合した顆粒をタブレットに成型する工程;及び
9)任意的に、該錠剤をコスメティックコートでコーティングする工程、
を含んで成る。
【0054】
本発明の組成物は、錠剤、丸薬の形態において経口的に投与することができ、あるいは顆粒をカプセル中に詰めることができる。錠剤は当業者に既知な技術により調製することができ、そして治療的に有用な量のバルプロ酸化合物及びこのような技術により錠剤を形成するために必要な賦形剤等を含有する。錠剤及び丸薬は、さらに酸保護、嚥下能を容易にする目的のための腸溶性コーティング及びほかの徐放性コーティングと共に調製することができる。該コーティングは医薬的に許容される染料で着色することができる。コーティング液中の染料及び他の賦形剤の量は変更することができ、持続放出性錠剤の性能に影響を与えることはないものと考えられる。コーティング液は、一般に、皮膜形成ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエステル若しくはエーテル、例えば、酢酸セルロース又はエチルセルロース、アクリルポリマー又はポリマー混合物を含んで成る。コーティング溶液は、一般に、さらに可塑剤、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビタンモノオレエート、ソルビン酸、着色剤、例えば、二酸化チタン、医薬的に許容される染料又はラッカーを含んで成る水性溶液又は有機性溶液である。
【0055】
本発明の他の態様において、バルプロ酸化合物の徐放性製剤で治療される状態に罹患する患者を治療する方法であって、約40%〜約80%のバルプロ酸化合物、及び各々、錠剤の重量の約20%以下、より好ましくは16%以下の量における、少なくとも2つ、好ましくは2〜4つ、そしてより好ましくは2つの、好ましくは親水性のポリマーを含んで成る徐放性錠剤製剤において、治療的に有効な量のバルプロ酸化合物を1日に1回投与することを含んで成る方法が供される。本発明の徐放性錠剤製剤は、治療が必要な患者に対するバルプロ酸化合物(ジバルプロエクスナトリウム)の1日に1回の投与のために有効な送達系を供する。本発明の製剤は、1日に1回の投与を許容する期間において、薬物の治療範囲内におけるバルプロ酸の十分な血漿内濃度レベルを供する。
【0056】
本発明をさらに説明するために以下の実施例を供する。これらの実施例は本発明を制限するようないかなる様式においても構成されるべきではない。
【実施例】
【0057】
例1:ジバルプロエクスナトリウム製剤
538mgのジバルプロエクスナトリウム、澱粉、及び多様なポリマーの錠剤コアを含有する錠剤を調製した。該錠剤組成物を表2に示す。
【表2】

【0058】
例2:ジバルプロエクスナトリウム徐放性製剤の調製
この例は、2500錠のスケールにおける、本発明の好ましい剤形の製造を説明する。
0.187インチのアパーチャスクリーンを装備するクワドロ・コミル(Quadro comill)を介してジバルプロエクスナトリウムをミルにかけた。2.691kgのミル化した薬物をミキサーに直接入れ、そして230gの澱粉 NF、225gのメトセルK−100M(ヒプロメロース NF)及び375gのナトロソール(登録商標)250M(ヒドロキシエチルセルロース NF)と共に4分間混合した。この混合物を、150gの95%アルコールUSPを用いて1分間顆粒化し、そして25gの精製水と25gの95%アルコールの混合物をさらに30秒間混合し、その後乾燥させた。乾燥させた顆粒を1mmのアパーチャスクリーンを介してミルにかけた。その後、該顆粒を、1350gの精製水と280gのメトセルE−15(ヒプロメロース 15cps NF)と140gのタルクから調製した懸濁液を用いて流動層乾燥機中で顆粒コーティングした。コーティングした顆粒を、100gの二酸化ケイ素(シロイド244)及び125gの結晶セルロース(アビセル PH 102)とともにミキサー中で10分間混合した。50gのステアリン酸を添加し、そしてさらに5分間混合した。混合した混合物を1,00グラムの錠剤コアに成型した。
【0059】
例3: ジバルプロエクスナトリウム徐放性錠剤による溶出試験
徐放性ジバルプロエクスナトリウム錠剤製剤による溶出試験を行った。これらの体外溶出試験は、米国薬局方XXI/国民医薬品集XVIに記載される装置IIを使用して行った。放出媒体中の比較溶出試験は、以下の条件下で行った。ジバルプロエクスナトリウムER錠剤を、500mlの0.1N HClの酸段階において45分間、続いて75mMのラウリル硫酸ナトリウム(SLS)pH5.5を伴う900mlの0.05Mリン酸バッファーの塩基段階において、37℃の温度で、100rpmでUSP II型装置において溶解した。塩基段階におけるサンプリング時間は、3、9、12及び18時間とした。この溶出試験の結果を表3に示す。
【0060】
【表3】

【0061】
これらの溶出実験、すなわち上記表3に示される結果に基づき、以下の結論が導かれた:a)前記装置での測定において、全バルプロ酸の約30%以下が、3時間又はそれ以内で放出される;b)前記装置での測定において、全バルプロ酸の約35〜約70%が、9時間又はそれ以内で放出される;c)前記装置での測定において、全バルプロ酸の約55〜約95%が、12時間又はそれ以内で放出される;そしてd)前記装置での測定において、全バルプロ酸の少なくとも75%が、18時間又はそれ以内で放出される。
【0062】
例4:生体内薬物動態実験
3つの生体内生体実験において、好ましい製剤と対照薬物の薬物動態を比較した。空腹時及び非空腹時条件下において測定したジバルプロエクスナトリウムの経口徐放性錠剤製剤(表2に記載されるK−34999、K−35002、及びK−35689)由来の時間プロフィールに対する生物学的利用能と血漿濃度を、健康な対象(非空腹時において15の対象、空腹時実験において13の対象)において、同じ条件下における商業的に入手可能な持続放出性ジバルプロエクスナトリウム錠剤製剤(デパコートER)と比較した。
【0063】
薬物動態パラメーターは、空腹時及び非空腹時(給餌)生物実験の両方において、Cmax及びAUC0-24について得た。これらのパラメーターについても同様に分散分析(ANOVA)が得られた。対照製剤との比較における各製剤についての薬物動態の結果は表5に概要される。
【0064】
【表4】

【0065】
空腹時及び非空腹時の対照に対する空腹時及び非空腹時条件下において投与された試験製剤についてのAUC値の90%信頼区間は、該値が対照値の0.80〜1.25倍の範囲にある場合に生物学的等価性についての基準を満たす。さらに、空腹時及び非空腹時投与下における試験製剤についてのCmaxの中央値の比についての90%信頼区間もまた、同じ生物学的等価性基準により満足される。
【0066】
該徐放性錠剤製剤は良好に機能する。該徐放性投与計画(the controlled release regimen)は、AUCにより特徴付けられるとおり、吸収の程度に関して、対照投与計画と同等であるか、あるいは生物学的に等価である。2つの試験投与計画は、対照投与計画と比較して徐放性投与計画のCmaxに関して、対照投与計画と統計学的に有意に相違しなかった。これは、徐放性錠剤製剤が空腹時及び非空腹時条件下において生体内においてバルプロ酸の除放を供することを示唆する。
【0067】
さらに、該結果は、該試験製剤の除放特性、及び対照製剤と比較した場合のAUCに基づく生物学的利用能におけるこれらの類似性を実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)製剤の約40重量%〜約80重量%の量におけるバルプロ酸化合物、及び
b)各々、錠剤の重量の約20%以下の量における少なくとも2つのポリマー、
を含んで成る、徐放性製剤。
【請求項2】
前記バルプロ酸化合物が、バルプロ酸、その医薬的に許容される塩、エステル又はアミド、及びジバルプロエクスナトリウムから成る群から選択される、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項3】
前記製剤が錠剤である、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項4】
前記ポリマーの少なくとも1つが親水性ポリマーである、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項5】
前記バルプロ酸化合物が、約45%〜約60%の量である、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項6】
前記バルプロ酸化合物が、約45%〜約55%の量である、請求項5に記載の徐放性製剤。
【請求項7】
前記バルプロ酸化合物が、ジバルプロエクスナトリウムである、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項8】
前記各々のポリマーの量が、錠剤の重量の約16%以下である、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項9】
前記各々のポリマーの量が、錠剤の重量の約10%〜約16%である、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項10】
前記各々のポリマーの量が、錠剤の重量の約12%〜約16%である、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項11】
前記ポリマーが、ヒプロメロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエチレンオキシド(ポリオックス)、ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸ビニル・コポリマー、ポリサッカライド、メタクリル酸・コポリマー、無水マレイン酸/メチルビニルエーテル・コポリマー及びこれらの誘導体から成る群から選択される、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項12】
前記ポリマーが、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びコリコート30SRから成る群から選択される、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項13】
前記ポリマーが、ヒプロメロースK100(メトセルK100)、ヒプロメロースE15(メトセルE15)、及びヒドロキシエチルセルロース250(ナトロソール(登録商標)250M)から成る群から選択される、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項14】
さらに、少なくとも1つの疎水性である追加的なポリマーを含んで成る、請求項4に記載の徐放性製剤。
【請求項15】
前記少なくとも1つの疎水性ポリマーがエチルセルロースである、請求項14に記載の徐放性製剤。
【請求項16】
前記ポリマーが親水性であり、そして少なくとも1つの疎水性ポリマーを含んで成る、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項17】
前記少なくとも1つの疎水性ポリマーがエチルセルロースである、請求項16に記載の徐放性製剤。
【請求項18】
前記製剤がコーティングコアの形態であって、
a)圧縮された表面コーティングされたマトリックス粒、及び
b)圧縮コアにおけるコーティング、
を含んで成る、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項19】
前記表面コーティングされたマトリックス粒が、バルプロ酸化合物、及び少なくとも2つの親水性ポリマーを含んで成る、請求項18に記載のコーティングコア。
【請求項20】
前記親水性ポリマーが、ヒプロメロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸ビニル・コポリマー、ポリサッカライド、ポリエチレンオキシド、メタクリル酸・コポリマー、無水マレイン酸/メチルビニルエーテル・コポリマー及びこれらの誘導体から成る群から選択される、請求項19に記載のコーティングコア。
【請求項21】
前記親水性ポリマーが、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びコリコート30SRから成る群から選択される、請求項19に記載のコーティングコア。
【請求項22】
前記親水性ポリマーが、ヒプロメロースK100(メトセルK100)、ヒプロメロースE15(メトセルE15)、及びヒドロキシエチルセルロース250(ナトロソール(登録商標)250M)から成る群から選択される、請求項19に記載のコーティングコア。
【請求項23】
前記表面コーティングされたマトリックス粒の表面コーティングが親水性ポリマーを含んで成る、請求項19に記載のコーティングコア。
【請求項24】
前記親水性ポリマーが、ヒプロメロース(ファーマコート606)、ヒプロメロースE15(メトセルE15)、及びコリコート30SRから成る群から選択される、請求項23に記載のコーティングコア。
【請求項25】
前記親水性ポリマーが、ヒプロメロースE15(メトセルE15)である、請求項21に記載のコーティングコア。
【請求項26】
前記製剤が、
a)約47〜50重量%のバルプロ酸化合物;
b)約13〜16重量%のヒプロメロース;
c)約13〜15重量%のヒドロキシエチルセルロース;
d)約8〜9重量%のアルファ化澱粉;
e)約4〜10重量%の結晶セルロース;
f)約3〜4重量%の二酸化ケイ素;及び
g)約1〜2重量%のステアリン酸、
を含んで成る、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項27】
前記バルプロ酸化合物がジバプロエクスナトリウムである、請求項26に記載の徐放性製剤。
【請求項28】
37℃及びpH5.5の水性バッファーにおいて、
a)全バルプロ酸化合物の約30%以下が、3時間又はそれ以内で放出される;
b)全バルプロ酸化合物の約40〜約70%が、9時間又はそれ以内で放出される;
c)全バルプロ酸化合物の約50〜約95%が、12時間又はそれ以内で放出される;そして
d)全バルプロ酸化合物の少なくとも約75%が、18時間又はそれ以内で放出される、
という溶解特性を有する、請求項1に記載の徐放性製剤。
【請求項29】
哺乳類に投与した場合の、商業的に入手可能なジバルプロエクスナトリウムER500mg錠剤(デパコートER)の薬物動態特性と比較して
a)約90%〜約130%の範囲における平均AUC値(ここで、デパコートERについて観察された平均AUC値を100%に設定する)、及び
b)約100%〜約160%の範囲における平均Cmax値(ここで、デパコートERについて観察された平均Cmax値を100%に設定する)
の比較薬物動態特性を有する、請求項1に記載の徐放性製剤であって、ここで該徐放性製剤が空腹時哺乳類に投与される、徐放性製剤。
【請求項30】
前記哺乳類がヒトである、請求項29に記載の徐放性製剤。
【請求項31】
哺乳類における、商業的に入手可能なジバルプロエクスナトリウムER500mg錠剤(デパコートER)の薬物動態特性と比較して
a)約85%〜約120%の範囲における平均AUC値(ここで、デパコートERについて観察された平均AUC値を100%に設定する)、及び
b)約90%〜約160%の範囲における平均Cmax値(ここで、デパコートERについて観察された平均Cmax値を100%に設定する)
の比較薬物動態特性を有する、請求項1に記載の徐放性製剤であって、ここで該徐放性製剤が非空腹時哺乳類に投与される、徐放性製剤。
【請求項32】
前記哺乳類がヒトである、請求項31に記載の徐放性製剤。
【請求項33】
徐放性錠剤への成形、又はカプセルへの充填に適当な粒状組成物を調製するための方法であって、
a)バルプロ酸化合物、少なくとも2つの親水性ポリマー、及び結合剤を含んで成る混合物を乾式混合する工程;
b)均質な混合物を形成するために、水性アルコール溶液(アルコールと水の混合物)で湿式造粒する工程;
c)湿った顆粒を乾燥させ、そしてサイジングする工程;
d)乾燥した顆粒を、精製水を伴う親水性ポリマー及びタルクを含有する分散剤で表面コーティングする工程;
e)コーティングした顆粒を乾燥させる工程;
そして任意的に、
f)流動促進剤を添加し、そしてコーティングした顆粒をふるいにかける工程;
g)コーティングした顆粒を充填剤及び潤滑剤と共に乾式混合する工程;
を含んで成り、ここで工程a)及びd)における各々の親水性ポリマーが該組成物の約20%以下の量である、方法。
【請求項34】
前記各々の親水性ポリマーが該組成物の約16%以下である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記バルプロン酸化合物がジバルプロエクスナトリウムであり、少なくとも2つの親水性ポリマーが少なくともヒプロメロース及びヒドロキシエチルセルロースであり、結合剤がアルファ化澱粉であり、表面コーティングのための親水性ポリマーがヒプロメロースである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
さらに、
f)任意的に、流動促進剤を添加し、そしてコーティングした顆粒をふるいにかける工程;
g)任意的に、コーティングした顆粒を充填剤及び潤滑剤と共に乾式混合する工程;
h)顆粒を錠剤に圧縮する工程;及び
i)任意的に錠剤をコスメティックコートでコーティングする工程、
を含んで成り、ここで工程a)及びd)における各々の親水性ポリマーが該組成物の約20%以下の量である、請求項33に記載の徐放性錠剤製剤に成型するための粒状組成物を調製するための方法。
【請求項37】
前記バルプロン酸化合物がジバルプロエクスナトリウムであり、少なくとも2つの親水性ポリマーが少なくともヒプロメロース及びヒドロキシエチルセルロースであり、結合剤がアルファ化澱粉であり、表面コーティングのための親水性ポリマーがヒプロメロースであり、流動促進剤が二酸化ケイ素であり、充填剤が結晶セルロースであり、そして潤滑剤がステアリン酸である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
粒状組成物を含んで成る徐放性カプセル製剤であって、
a)該製剤の約40重量%〜約80重量%の量におけるバルプロ酸化合物、及び
b)各々、該カプセルの重量の約20%以下の量における少なくとも2つのポリマー、
を含んで成る製剤。
【請求項39】
前記ポリマーの少なくとも1つが親水性ポリマーである、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項40】
前記バルプロ酸化合物が、ジバルプロエクスナトリウムである、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項41】
前記各々のポリマーの量が、カプセルの重量の約16%以下である、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項42】
前記各々のポリマーの量が、カプセルの重量の約10%〜約16%である、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項43】
前記各々のポリマーの量が、カプセルの重量の約12%〜約16%である、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項44】
前記ポリマーが、ヒプロメロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエチレンオキシド(ポリオックス)、ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸ビニル・コポリマー、ポリサッカライド、メタクリル酸・コポリマー、無水マレイン酸/メチルビニルエーテル・コポリマー及びこれらの誘導体から成る群から選択される、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項45】
前記ポリマーが、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びコリコート30SRから成る群から選択される、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項46】
さらに、追加的な疎水性ポリマーを含んで成る、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項47】
前記製剤が、医薬的な表面コーティングされたマトリックス粒を含有するカプセルを含んで成る形態である、請求項38に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項48】
前記医薬的な表面コーティングされたマトリックス粒が、バルプロ酸化合物及び少なくとも2つの親水性ポリマーを含んで成る、請求項47に記載の徐放性カプセル製剤。
【請求項49】
約40%〜約80%のバルプロ酸化合物、及び各々製剤の重量の約20%以下の量における少なくとも2つの親水性ポリマーを含んで成る徐放性製剤において、治療的に有効な量のバルプロ酸化合物を1日1回投与することを含んで成る、患者を治療するための方法。
【請求項50】
前記徐放性製剤が、徐放性錠剤製剤である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記各々の親水性ポリマーが、錠剤の重量の約16%以下である、請求項50に記載の患者の治療方法。
【請求項52】
前記徐放性製剤が、徐放性カプセル製剤である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記各々の親水性ポリマーが、カプセルの内容物の重量の約16%以下である、請求項52に記載の患者の治療方法。

【公表番号】特表2009−525953(P2009−525953A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550280(P2008−550280)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/001201
【国際公開番号】WO2007/081341
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】