説明

ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤

ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤としての3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−5−オキソ−1,2,4−トリアジン誘導体、その医薬組成物及びその使用の方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[001]ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)を阻害することが可能で、II型糖尿病などの糖尿病並びに高血糖症、代謝症候群、高インスリン血症、肥満、アテローム動脈硬化症などの心血管疾患及び障害、脳血管疾患、統合失調症、不安、双極性疾患、うつ病、不眠症、認知障害などの中枢神経系の疾患及び障害、消化管疾患及び障害、癌、炎症及び炎症性疾患、呼吸器疾患及び障害、筋骨格障害、骨粗鬆症、更年期の症状及び障害、歯肉炎などの歯周病並びに種々の免疫調節疾患の治療に有用であり得るある種の特定の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【発明の背景】
【0002】
[002]ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV、CD26、EC3.4.14.5)は、ポリペプチド及びタンパク質のN末端からXaa−Pro及び、より小さい程度にXaa−Alaジペプチドを切断することに特異性を有するセリンプロテアーゼである。DPP−IVは、当酵素のC末端領域に見出されるSer−Asp−Hisという触媒三残基が古典的セリンプロテアーゼに見出されるものと逆の順序である点で非古典的なセリンプロテアーゼである。DPP−IVは、II型内在性膜タンパク質として哺乳類組織において広く発現する。DPP−IVは、腸、肝臓、腎近位尿細管、前立腺、黄体の分化上皮細胞の表面上並びにリンパ球及びマクロファージなどの白血球サブセットにおいて発現する。膜結合形の酵素と同じ構造及び機能を有するが、疎水性貫膜ドメインを欠いている可溶形の酵素が血清中に見出される。
【0003】
[003]DPP−IVは、ケモカイン、ランテス(RANTES)(regulated on activation normal T−cell expressed and secreted)、エオタキシン並びにマクロファージ由来のケモカイン、NPY(神経ペプチドY)及びサブスタンスP血管作動性ペプチドなどの神経ペプチド並びにGLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)及びGIP(胃抑制ペプチド/グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド)などのインクレチンなどの多くの生理学的に関連する基質を有する。
【0004】
[004]GLP−1(7〜36)は、小腸におけるプログルカゴンの翻訳後プロセシングによって生ずる29アミノ酸ペプチドである。GLP−1(7〜36)は、例えば、インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の抑制、満腹感の促進及び胃排出の緩徐化などの複数の作用をインビボで有し得る。その生理的プロファイルに基づいて、GLP−1(7〜36)の作用は、II型糖尿病及び潜在的肥満の治療に有益であると考えられる。例えば、糖尿病患者におけるGLP−1(7〜36)の外来性投与(持続注入)は、この患者集団において有効であることが見出された。残念ながら、GLP−1(7〜36)は、インビボで急速に分解することがあり、インビボで短い半減期(t1/2=1.5分)を有することが示された。
【0005】
[005]遺伝学的に繁殖させたDPP−IVノックアウトマウスの試験及び選択的DPP−IV阻害剤を用いたインビボ/インビトロ試験に基づいて、DPP−IVは、インビボでGLP−1(7〜36)の主要な分解酵素であることが示された。GLP−1(7〜36)は、GLP−1(7〜36)に対する生理的拮抗物質として作用すると推測されたGLP−1(9〜36)に効率的にDPP−IVにより分解され得る。したがって、インビボでDPP−IVを阻害することは、GLP−1(7〜36)の内在性レベルを増大させ、その拮抗物質GLP−1(9〜36)の形成を減少させるために有用であると考えられる。したがって、DPP−IV阻害剤は、糖尿病など、さらにII型糖尿病、糖尿病性脂質異常症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時高血糖(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲抑制及び肥満などのDPP−IVにより媒介される状態の治療のための有用な薬剤であると考えられる。
【0006】
[006]DPP−IVの阻害は、II型糖尿病及び肥満の魅力的な治療上の処置を可能にし得る。DPP−IV阻害剤は、II型糖尿病における耐糖能の改善を示すことがあったが、多くは、短い半減期及び毒性を有することを欠点として持つ。したがって、II型糖尿病の療法の代替として、有効性、安定性、選択性、毒性及び薬力学特性から選択される少なくとも1つの有利な特性を有する新たなDPP−IV阻害剤の必要性がある。この関連で、新規のクラスのDPP−IV阻害剤が提供される。
【発明の概要】
【0007】
[007]式(I):
【化1】


[式中、
は、
1〜10アルキル、
3〜10シクロアルキル、
3〜10シクロアルキル−アルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリルアルキル
アリール、
アリールアルキル、
ヘテロアリール、及び
ヘテロアリールアルキル
から選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、アリール及びヘテロアリールは各々、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で独立に置換されており、
は、
水素及び
アルキル
から選択され、
ここで、各アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
は、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシル、
1〜4アルキル、
2〜4アルケニル、
2〜4アルキニル、
3〜7シクロアルキル、
ヘテロシクリル、
3〜7シクロアルキルアルキル、
ヘテロシクリルアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
アリールアルキル、及び
ヘテロアリールアルキル
から選択され、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、各アリール及びヘテロアリールは、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
は、
水素及び
1−4アルキル
から選択され、
ここで、アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
は、
水素及び
1−4アルキル
から選択され、
ここで、アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
或いはR及びRは、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロ環を形成しており、
各R6aは、
−OR
−NRS(O)
−NO
ハロゲン、
−S(O)
−SR
−S(O)OR
−OS(O)
−S(O)NR
−NR
−O(CR10NR
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR
−OC(O)R
−CN、
−C(O)NR
−NRC(O)R
−OC(O)NR
−NRC(O)OR
−NRC(O)NR
−CR(N−OR)、
−CF
−CF
−OCF、及び
−OCF
から独立に選択され、
各R6bは、
6a
1〜10アルキル、
アリール、
アリールC1〜4アルキル、
ヘテロアリール、及び
ヘテロアリールC1〜4アルキル
から独立に選択され、
及びRは、
水素、
1〜10アルキル、
2〜10アルケニル、
2〜10アルキニル、
シクロアルキル、
シクロアルキル−C1〜10アルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリル−C1〜10アルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
アリール−C1〜10アルキル、及び
ヘテロアリール−C1〜10アルキル
から独立に選択され、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、アリール及びヘテロアリールは各々、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
或いはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、酸素、硫黄及びNR11から独立に選択される0、1又は2個のさらなるヘテロ原子を含有する4〜7員のヘテロ環を形成しており、
各R及びRは、非置換又はR12から選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ又は3つの置換基)で炭素又は窒素原子上で置換されていてもよく、
及びR10は、水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−C1−10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1−10アルキル及びヘテロアリール−C1−10アルキルから独立に選択され、
或いはR及びR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、酸素、硫黄及び窒素から独立に選択される0、1又は2個のヘテロ原子を含有する3〜7員の環を形成しており、
各R11は、
水素、
1〜10アルキル、
3〜8シクロアルキル、
3〜8シクロアルキル−C1〜4アルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリル−C1〜4アルキル、
アリール、
アリール−C1〜4アルキル、
ヘテロアリール、
ヘテロアリール−C1〜4アルキル、
−S(O)
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR、及び
−C(O)NR
から独立に選択され、
各R12は、
ハロゲン、
1〜10アルキル、
3〜8シクロアルキル、
3〜8シクロアルキルアルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリルアルキル、
アリール、
アリールC1〜4アルキル、
ヘテロアリール、
ヘテロアリールC1〜4アルキル、
−OR
−NRS(O)
−S(O)
−SR
−S(O)OR
−OS(O)
−S(O)NR
−NR
−O(CR10NR
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR
−OC(O)R
−CN、
−C(O)NR
−NRC(O)R
−OC(O)NR
−NRC(O)OR
−NRC(O)NR
−CF
−CF
−OCF、及び
−OCF
から独立に選択され、
Lは、
−CR−、
−O−、
−NR−、
−S−、
−SO−、及び
−SO
から選択されるリンカーであり、
mは、1及び2から選択され、
nは、1、2及び3から選択される。]
の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
[008]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
[009]インスリン抵抗性、高血糖症及びII型糖尿病から選択される状態を治療する方法であって、それが必要と認められる患者に有効量の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0010】
[010]本明細書では以下の定義が適用される。
【0011】
[011]「アルキル」という用語は、所定数の炭素原子を有する分枝及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を意味する。特に断らない限り、「アルキル」は、C〜C10アルキルを意味する。例えば、C〜C10は、「C1−10アルキル」におけるように、線状又は分枝状配置の1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有する基を包含するものとする。例えば、「C1−10アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
[012]「シクロアルキル」という用語は、所定数の炭素原子を有する飽和脂肪族環状炭化水素基を意味する。特に断らない限り、「シクロアルキル」は、C3−10シクロアルキルを意味する。例えば、「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
[013]「アルケニル」という用語は、2〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する、直鎖状、分枝状又は環状非芳香族炭化水素ラジカルを意味する。いくつかの実施形態において、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、最大4つの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在し得る。したがって、「C2−6アルケニル」は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルラジカルを意味する。アルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル及びシクロヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基の直鎖状、分枝状又は環状部分は、二重結合を含有してもよく、置換アルケニル基が示される場合、置換されていてもよい。
【0014】
[014]「アルキニル」という用語は、2〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する、直鎖状、分枝状又は環状炭化水素ラジカルを意味する。いくつかの実施形態において、最大3つの炭素−炭素三重結合が存在し得る。したがって、「C2−6アルキニル」は、2〜6個の炭素原子を有するアルキニルラジカルを意味する。アルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル及び3−メチルブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基の直鎖状、分枝状又は環状部分は、三重結合を含有してもよく、置換アルケニル基が示される場合、置換されていてもよい。
【0015】
[015]「アルコキシ」という用語は、酸素橋を介して結合した表示された数の炭素原子の環状又は非環状アルキル基を意味する。したがって、「アルコキシ」は、上記のアルキル及びシクロアルキルの定義を包含する。
【0016】
[016]「アリール」という用語は次のものを包含する。
5及び6員炭素環式芳香族環(例えばベンゼン);
少なくとも1つの環が炭素環状及び芳香族である二環系(例えば、ナフタレン、インダン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン);及び
少なくとも1つの環が炭素環状及び芳香族である三環系(例えばフルオレン)。
アリール置換基が二環式又は三環式であり、少なくとも1つの環が非芳香族である場合、結合は芳香族環を介するものであることが理解される。
【0017】
[017]例えば、アリールは、結合点が炭素環式芳香族環にあるならば、N、O及びSから選択される1個又は複数個のヘテロ原子を含有する5〜7員ヘテロ環と縮合した5及び6員炭素環式芳香族環を包含する。置換ベンゼン誘導体から形成し、環原子において自由原子価を有する二価ラジカルは、置換フェニレンラジカルと命名される。自由原子価を有する炭素原子から1個の水素原子を除去することによって名称が「−イル」で終わる一価多環式炭化水素ラジカルから得られる二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「−イデン」を加えることにより命名され、例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと呼ばれる。しかし、アリールは、下で別に定義するヘテロアリールを包含しない、又はそれと全く重ならない。したがって、1つ又は複数の炭素環式芳香族環がヘテロ環式芳香族環と縮合している場合、得られる環系は、本明細書で定義したヘテロアリールであってアリールではない。
【0018】
[018]「ハロゲン」(又は「ハロ」)という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0019】
[019]「ヘテロアリール」という用語は、
N、O及びSから選択される1個又は複数個(例えば1〜4個、又はいくつかの実施形態において1〜3個)のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である5〜8員芳香族単環;
N、O及びSから選択される1個又は複数個(例えば1〜4個、又はいくつかの実施形態において1〜3個)のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素であり、少なくとも1個のヘテロ原子が芳香族環に存在する8〜12員二環;及び
N、O及びSから選択される1個又は複数個(例えば1〜4個、又はいくつかの実施形態において1〜3個)のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素であり、少なくとも1個のヘテロ原子が芳香族環に存在する11〜14員三環
を意味する。
【0020】
[020]ヘテロアリール基におけるS及びO原子の総数が1を超える場合、それらのヘテロ原子は、互いに隣接しない。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基におけるS及びO原子の総数は、2以下である。いくつかの実施形態において、芳香族ヘテロ環におけるS及びO原子の総数は、1以下である。
【0021】
[021]ヘテロアリール基としては、例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2,3−ピラジニル、3,4−ピラジニル、2,4−ピリミジニル、3,5−ピリミジニル、1−ピラゾリル、2,3−ピラゾリル、2,4−イミダゾリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ベンゾイミダゾリニル、インドリニル、ピリジジニル、チアゾリル、キノリニル、ピラゾリル及び5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(優先順位1を割り当てられた結合位置から番号付け)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
[022]さらなるヘテロアリール基としては、例えば、ピロリル、イソチアゾリル、トリアジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、キノキサリニル及びイソキノリニルが挙げられるが、これらに限定されない。下のヘテロ環の定義と同様に、「ヘテロアリール」も任意の窒素含有ヘテロアリールのN−オキシド誘導体を包含するものとする。
【0023】
[023]自由原子価を有する原子から1個の水素原子を除去することによって名称が「−イル」で終わる一価ヘテロアリールラジカルから得られる二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「−イデン」を加えることにより命名され、例えば、2つの結合点を有するピリジル基は、ピリジリデンである。ヘテロアリールは、上で定義したアリールを包含しない、又はそれと重ならない。
【0024】
[024]ヘテロアリール置換基が二環式又は三環式であり、少なくとも1つの環が非芳香族であるか又はヘテロ原子を含有しない場合、結合はそれぞれ、芳香族環を介するもの又はヘテロ原子を含有する環を介するものであることが理解される。
【0025】
[025]「ヘテロ環」(及び「ヘテロ環式」又は「ヘテロシクリル」などのその変形形態)という用語は、酸素、硫黄及び窒素から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子に加えて少なくとも2個の炭素原子を含有する、通常3〜7個の環原子を有する単一脂肪族環並びに少なくとも1個の前述のヘテロ原子を含む組合せという広い意味を有する。「ヘテロ環」は、結合点がヘテロ環にあるならば、5及び6員炭素環式芳香族環と縮合したN、O及びSから選択される1個又は複数個のヘテロ原子を含有する5〜7員ヘテロ環も意味する。環は、飽和されていても、1つ又は複数の二重結合を有してもよい(すなわち部分的に不飽和)。ヘテロ環は、オキソにより置換することができる。結合が安定な構造の生成をもたらすならば、結合点は、ヘテロ環における炭素又はヘテロ原子であってもよい。ヘテロ環が置換基を有する場合、安定な化学構造が生ずるならば、置換基は、ヘテロ原子であろうと炭素原子であろうと環におけるあらゆる原子に結合し得ることが理解される。ヘテロ環は、ヘテロアリールと重ならない。
【0026】
[026]適切なヘテロ環としては、例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、2,4−イミダゾリジニル、2,3−ピラゾリジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル及び2,5−ピペラジニル(優先順位1を割り当てられた結合位置から番号付け)が挙げられる。2−モルホリニル及び3−モルホリニル(酸素が優先順位1を割り当てられている番号付け)を包含する、モルホリニル基も想定されている。置換ヘテロ環はまた、1つ又は複数のオキソ部分で置換された環系(例えば、ピペリジニルN−オキシド、モルホリニル−N−オキシド、1−オキソ−1−チオモルホリニル及び1,1−ジオキソ−1−チオモルホリニル)を包含する。
【0027】
[027]本明細書において、「アリールアルキル」は、アリール基により置換されたアルキル部分を意味する。アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル及びナフチルメチル基が挙げられる。いくつかの実施形態において、アリールアルキル基は、7〜20個又は7〜11個の炭素原子を有する。「アリールC1−4アルキル」という句において、「C1−4」という用語はアルキル部分を指し、アリール部分における原子の数を表すものでない。同様に、「アリールC1−10アルキル」という句において、「C1−10」という用語はアルキル部分を指し、アリール部分における原子の数を表すものでない。
【0028】
[028]本明細書において、「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロシクリルにより置換されたアルキルを意味する。「ヘテロシクリルC1−10アルキル」という句において、「C1−10」という用語はアルキル部分を指し、ヘテロシクリル部分における原子の数を表すものでない。
【0029】
[029]本明細書において、「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキルにより置換されたアルキルを意味する。「C3−10シクロアルキルアルキル」という句において、「C3−10」という用語はシクロアルキル部分を指し、アルキル部分における原子の数を表すものでない。「C3−7シクロアルキルアルキル」という句において、「C3−7」という用語はシクロアルキル部分を指し、アルキル部分における原子の数を表すものでない。「C3−8シクロアルキルアルキル」という句において、「C3−8」という用語はシクロアルキル部分を指し、アルキル部分における原子の数を表すものでない。「シクロアルキルC1−10アルキル」という句において、「C1−10」という用語はアルキル部分を指し、シクロアルキル部分における原子の数を表すものでない。
【0030】
[030]本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリールにより置換されたアルキルを意味する。「ヘテロアリールC1−4アルキル」という句において、「C1−4」という用語はアルキル部分を指し、ヘテロアリール部分における原子の数を表すものでない。同様に、「ヘテロアリールC1−10アルキル」という句において、「C1−10」という用語はアルキル部分を指し、ヘテロアリール部分における原子の数を表すものでない。
【0031】
[031]なお、例えば、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及び/又はヘテロアリールの置換をいう場合、それらの基の各々が個別に置換される場合だけでなく、それらの基の組合せが置換される場合も指す。すなわち、Rがアリールアルキルである場合、アリール部分は、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されていてもよく、また、アルキル部分は、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されていてもよい。
【0032】
[032]「薬学的に許容される塩」という用語は、無機若しくは有機塩基及び無機若しくは有機酸を包含する、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を意味する。無機塩基から得られる塩は、例えば、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム及び亜鉛塩から選択することができる。さらに、例えば、無機塩基から得られる薬学的に許容される塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩から選択することができる。固形の塩は、1つ又は複数の結晶構造で存在することがあり、水和物の形態をとることもある。薬学的に許容される非毒性の有機塩基から得られる塩は、例えば、第一級、第二級、第三級アミン、天然に存在する置換アミンを包含する置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン及びトリプロピルアミン、トロメタミン)の塩から選択することができる。
【0033】
[033]本明細書で開示した化合物が塩基性である場合、塩は、無機及び有機酸から選択される少なくとも1種の薬学的に許容される非毒性の酸を用いて調製することができる。そのような酸は、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸及びp−トルエンスルホン酸から選択することができる。いくつかの実施形態において、そのような酸は、例えば、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸から選択することができる。
【0034】
[034]「保護基」又は「Pg」という用語は、化合物上の他の官能基を反応させると同時に特定の官能性をブロック又は保護するために一般的に使用可能な置換基を意味する。例えば、「アミノ保護基」は、化合物におけるアミノ官能性をブロック又は保護するアミノ基に結合する置換基である。適切なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性をブロック又は保護するヒドロキシ基の置換基を意味する。適切な保護基としてはアセチル及びシリルが挙げられるが、これらに限定されない。「カルボキシ保護基」は、カルボキシ官能性をブロック又は保護するカルボキシ基の置換基を意味する。一般的なカルボキシ保護基としては、例えば、−CHCHSOPh、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)−エチル、ニトロエチルが挙げられる。保護基及びそれらの使用の一般的な説明については、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、New York、1991を参照のこと。
【0035】
[035]少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される塩「の投与」及び/又は「を投与する」という用語は、少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を、治療が必要と認められる個人に与えることを意味するものとする。
【0036】
[036]「有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医学者により求められている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発する少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される塩の量を意味する。
【0037】
[037]本明細書において、「組成物」という用語は、所定量の所定成分を含む物、並びに所定量の所定成分の組合せから直接的又は間接的に生ずる任意の物を包含するものとする。医薬組成物に関連するそのような用語は、有効成分及び担体を構成する不活性成分を含む物、並びに任意の2つ以上の成分の組合せ、錯化若しくは凝集から、又は1つ若しくは複数の成分の解離から、又は1つ若しくは複数の成分の他の種類の反応若しくは相互作用から直接的又は間接的に生ずる任意の物を包含するものとする。
【0038】
[038]「薬学的に許容される」とは、製剤の他の成分と適合性があり、その受容者に対して許容できないほど有害でないことを意味する。
【0039】
[039]式(I):
【化2】


[式中、
は、
1〜10アルキル、
3〜10シクロアルキル、
3〜10シクロアルキルアルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリルアルキル、
アリール、
アリールアルキル、
ヘテロアリール、及び
ヘテロアリールアルキル
から選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、アリール及びヘテロアリールは各々、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で独立に置換されており、
は、
水素及び
アルキル
から選択され、
ここで、各アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
は、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシル、
1〜4アルキル、
2〜4アルケニル、
2〜4アルキニル、
3〜7シクロアルキル、
ヘテロシクリル、
3〜7シクロアルキルアルキル、
ヘテロシクリルアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
アリールアルキル、及び
ヘテロアリールアルキル
から選択され、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、各アリール及びヘテロアリールは、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
は、
水素及び
1−4アルキル
から選択され、
ここで、アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
は、
水素及び
1−4アルキル
から選択され、
ここで、アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
或いはR及びRは、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロ環を形成しており、
各R6aは、
−OR
−NRS(O)
−NO
ハロゲン、
−S(O)
−SR
−S(O)OR
−OS(O)
−S(O)NR
−NR
−O(CR10NR
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR
−OC(O)R
−CN、
−C(O)NR
−NRC(O)R
−OC(O)NR
−NRC(O)OR
−NRC(O)NR
−CR(N−OR)、
−CF
−CF
−OCF、及び
−OCF
から独立に選択され、
各R6bは、
6a
1〜10アルキル、
アリール、
アリール−C1〜4アルキル、
ヘテロアリール、及び
ヘテロアリール−C1〜4アルキル
から独立に選択され、
及びRは、
水素、
1〜10アルキル、
2〜10アルケニル、
2〜10アルキニル、
シクロアルキル、
シクロアルキル−C1〜10アルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリル−C1〜10アルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
アリール−C1〜10アルキル、及び
ヘテロアリール−C1〜10アルキル
から独立に選択され、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、各アリール及びヘテロアリールは、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基)で置換されており、
或いはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、酸素、硫黄及びNR11から独立に選択される0、1又は2個のさらなるヘテロ原子を含有する4〜7員のヘテロ環を形成しており、
各R及びRは、非置換又はR12から選択される少なくとも1つの置換基(例えば、1つ、2つ又は3つの置換基)で炭素又は窒素原子上で置換されていてもよく、
及びR10は、水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−C1−10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1−10アルキル及びヘテロアリール−C1−10アルキルから独立に選択され、
或いはR及びR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、酸素、硫黄及び窒素から独立に選択される0、1又は2個のヘテロ原子を含有する3〜7員の環を形成しており、
各R11は、
水素、
1〜10アルキル、
3〜8シクロアルキル、
3〜8シクロアルキル−C1〜4アルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリル−C1〜4アルキル、
アリール、
アリール−C1〜4アルキル、
ヘテロアリール、
ヘテロアリール−C1〜4アルキル、
−S(O)
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR、及び
−C(O)NR
から独立に選択され、
各R12は、
ハロゲン、
1〜10アルキル、
3〜8シクロアルキル、
3〜8シクロアルキルアルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリルアルキル、
アリール、
アリール−C1〜4アルキル、
ヘテロアリール、
ヘテロアリール−C1〜4アルキル、
−OR
−NRS(O)
−S(O)
−SR
−S(O)OR
−OS(O)
−S(O)NR
−NR
−O(CR10NR
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR
−OC(O)R
−CN、
−C(O)NR
−NRC(O)R
−OC(O)NR
−NRC(O)OR
−NRC(O)NR
−CF
−CF
−OCF、及び
−OCF
から独立に選択され、
Lは、
−CR−、
−O−、
−NR−、
−S−、
−SO−、及び
−SO
から選択されるリンカーであり、
mは、1及び2から選択され、
nは、1、2及び3から選択される。]
の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を提供する。
【0040】
[040]いくつかの実施形態では、Lが−CR−である。
【0041】
[041]いくつかの実施形態では、R及びRの少なくとも1つが水素である。
【0042】
[042]いくつかの実施形態では、R及びRの各々が水素である。
【0043】
[043]いくつかの実施形態では、Rがアルキルである。
【0044】
[044]いくつかの実施形態では、Rがメチルである。
【0045】
[045]いくつかの実施形態では、Rが、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されたアリールである。
【0046】
[046]いくつかの実施形態では、Rが、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニルである。
【0047】
[047]いくつかの実施形態では、Rが、非置換又はハロゲン及びシアノから選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニルである。
【0048】
[048]いくつかの実施形態では、Rが、2−シアノフェニル、2−クロロ−5−フルオロフェニル、2−シアノ−5−フルオロフェニル及び2−ブロモ−5−フルオロフェニルから選択される。
【0049】
[049]いくつかの実施形態では、Rが水素である。
【0050】
[050]いくつかの実施形態では、Rが水素である。
【0051】
[051]いくつかの実施形態では、Rが水素である。
【0052】
[052]
(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)ベンゾニトリル、
(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン、
(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)−4−フルオロベンゾニトリル、
(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン、及び
それらの薬学的に許容される塩
から選択される少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩も提供する。
【0053】
[053]ジペプチジルペプチダーゼIV酵素の阻害に反応性の状態を治療する方法であって、それが必要と認められる患者に有効量の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法も提供する。
【0054】
[054]インスリン抵抗性、高血糖症及びII型糖尿病から選択される状態を治療する方法であって、それが必要と認められる患者に有効量の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法も提供する。
【0055】
[055]いくつかの実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、そのような阻害が必要と認められる患者(例えば哺乳動物)におけるジペプチジルペプチダーゼIV酵素を阻害する方法であって、有効量の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法に有用であり得る。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の、ジペプチジルペプチダーゼIV酵素活性阻害剤としての使用も提供する。
【0056】
[056]ヒトなどの霊長類に加えて、様々な他の哺乳動物を本明細書に記載の方法により治療することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、げっ歯類若しくはマウス種を包含する(これらに限定されない)哺乳動物を治療することができる。しかし、該方法は、鳥類(例えばニワトリ)などの他の種においても実施することができる。
【0057】
[057]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組成物も提供する。
【0058】
[058]ヒト及び動物におけるジペプチジルペプチダーゼIV酵素活性を阻害するための薬剤の製造方法であって、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される塩を少なくとも1種の薬学的に許容される担体と組み合わせるステップを含む方法も提供する。
【0059】
[059]いくつかの実施形態において、患者は、ジペプチジルペプチダーゼIV酵素活性の阻害が望ましい人間(男又は女)などの哺乳動物である。
【0060】
[060]したがって、本明細書に記載の医薬組成物は、式(I)の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を混合することにより調製される任意の組成物を包含する。
【0061】
[061]ジペプチジルペプチダーゼIV酵素(DPP−IV)は、広範囲の生物学的機能に関与することが示された細胞表面タンパク質である。これは、広い組織分布(腸、腎臓、肝臓、膵臓、胎盤、胸腺、脾臓、上皮細胞、血管内皮、リンパ系及び骨髄系細胞、血清)並びに異なる組織及び細胞型発現レベルを有する。DPP−IVは、T細胞活性化マーカーCD26と同じであり、多くの免疫調節、内分泌及び神経学的ペプチドをインビトロで切断し得る。これは、ヒト又は他の種における様々な疾患過程におけるこのペプチダーゼの潜在的役割を示唆するものであった。
【0062】
[062]したがって、本明細書に記載の化合物及び/又は薬学的に許容される塩は、以下の疾患、障害及び状態の治療方法に有用であり得る。
【0063】
[063]II型糖尿病及び関連障害:インクレチンGLP−1及びGIPは、DPP−IVによりインビボで速やかに不活性化されることが十分に立証されている。DPP−IV(−/−)欠乏マウスを用いた試験及び予備的臨床試験で、DPP−IVの阻害がGLP−1及びGIPの定常状態濃度を増加させ、耐糖能の改善をもたらすことが示されている。GLP−1及びGIPとの類似性により、グルコースの調節に関与する他のグルカゴンファミリーペプチドもDPP−IVにより不活性化される可能性がある(例えばPACAP)。DPP−IVによるこれらのペプチドの不活性化もグルコースの恒常性に役割を果たしている可能性がある。
【0064】
[064]本明細書に記載のDPP−IV阻害剤は、したがって、II型糖尿病の治療及びII型糖尿病に伴ってしばしば起こる多くの状態(X症候群(代謝症候群としても公知)、反応性低血糖及び糖尿病性脂質異常症を包含するが、これらに限定されない。)の治療に有用性を有し得る。肥満(後述)は、本明細書に記載のDPP−IV阻害剤による治療に反応し得るII型糖尿病とともにしばしば認められ得る他の状態である。
【0065】
[065]本明細書に記載の化合物及び/又は薬学的に許容される塩は、次の状態又は疾患の少なくとも1つの治療に有用性を有し得る。(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性腸症候群、(15)クローン病及び潰瘍性大腸炎を包含する炎症性腸疾患、(16)その他の炎症性状態、(17)膵炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経障害、(23)X症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)、(25)II型糖尿病、(26)成長ホルモン欠乏、(27)好中球減少症、(28)ニューロン障害、(29)腫瘍転移、(30)良性前立腺肥大、(32)歯肉炎、(33)高血圧、(34)骨粗鬆症並びにDPP−IVの阻害により治療することができる他の状態。
【0066】
[066]肥満:本明細書に記載のDPP−IV阻害剤は、肥満の治療に有用であり得る。これは、GLP−1及びGLP−2の食物摂取及び胃排出に対する観測された抑制効果に基づいている。
【0067】
[067]ヒトにおけるGLP−1の外来性投与により、食物摂取量が有意に減少し、胃排出が遅くなる(Am.J.Physio.、277巻、R910〜R916頁(1999年))。ラット及びマウスにおけるGLP−1のICV投与も食物摂取量に対して著しい効果を有する(Nature Medicine、2巻、1254〜1258頁(1996年))。
【0068】
[068]摂餌量のこの抑制は、GLP−1R(−/−)マウスにおいて認められず、これらの効果が脳GLP−1受容体により媒介され得ることが示唆される。GLP−1との類似性から、GLP−2もDPP−IVにより調節され得ると考えられる。GLP−2のICV投与も、GLP−1について認められる効果と同様に、食物摂取量を抑制し得る(Nature Medicine、6巻、802〜807頁(2000年))。さらに、DPP−IV欠乏マウスを用いた試験で、これらの動物が食餌誘発性肥満及び関連病状(例えば高インスリン血症)に抵抗性であることが示唆される。
【0069】
[069]成長ホルモン欠乏:下垂体前葉からの成長ホルモンの放出を刺激するペプチドである成長ホルモン放出因子(GRF)がDPP−IV酵素によりインビボで切断される(国際公開第00/56297号パンフレット)という仮説に基づいて、DPP−IVの阻害は、成長ホルモンの欠乏の治療に有用であり得る。次のデータは、GRFが内因性基質であり得るという証拠を提供し得る:(1)GRFがインビトロで効率的に切断されて、不活性生成物GRF[3〜44]を生ずる(BBA、1122巻、147〜153頁(1992年));(2)GRFが血漿中でGRF[3〜44]に速やかに分解される;これは、DPP−IV阻害剤ジプロチンAにより妨げられる;及び(3)GRF[3〜44]がヒトGRFトランスジェニックブタの血漿中に認められる(J.Clin.Invest.、83巻、1533〜1540頁(1989年))。したがって、DPP−IV阻害剤は、成長ホルモン分泌促進因子が考慮された同じスペクトルの適応症に有用であり得る。
【0070】
[070]腸損傷:腸損傷の治療へのDPP−IV阻害剤の使用可能性は、DPP−IVの可能な内因性基質であるグルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)が腸上皮に対して栄養効果を示し得ることを示す試験の結果(Regulatory Peptides、90巻、27〜32頁(2000年))により示唆される。GLP−2の投与により、げっ歯類における小腸重量(mass)の増加がもたらされ、大腸炎及び腸炎のげっ歯類モデルにおける腸損傷が減弱する。
【0071】
[071]免疫抑制:T細胞活性化及びケモカインプロセシングにおけるDPP−IV酵素の関与を示唆する試験並びに疾患のインビボモデルにおけるDPP−IV阻害剤の有効性に基づいて、DPP−IVの阻害は、免疫応答の調節に有用であり得る。DPP−IVは、活性化免疫細胞の細胞表面マーカーであるCD26と同じであることが示された。CD26の発現は、免疫細胞の分化及び活性化状態により調節され得る。例えば、CD26がT細胞活性化のインビトロモデルにおいて共刺激分子として機能することが受け入れられている。多くのケモカインは、非特異的アミノペプチダーゼによる分解からそれらをおそらく保護するために、末端から2番目の位置にプロリンを含有する。これらの多くは、DPP−IVによりインビトロで処理されることが示された。いくつかの場合に(ランテス、LD78−ベータ、MDC、エオタキシン、SDF−1アルファ)、切断により、化学走性及びシグナル伝達アッセイにおける活性の変化がもたらされ得る。
【0072】
[072]受容体の選択性もいくつかの場合に(ランテス)調節されると思われる。DPP−IV加水分解の予測される生成物を包含する、複数のN末端切断型の多くのケモカインがインビトロ細胞培養系において同定された。
【0073】
[073]DPP−IV阻害剤は、移植及び関節炎の動物モデルにおける有効な免疫抑制剤であることが示された。DPP−IVの不可逆性阻害剤であるプロジピン(Pro−Pro−ジフェニル−ホスホン酸)は、ラットにおける心臓同種移植片の生存期間を7日〜14日に2倍にすることが示された(Transplantation、63巻、1495〜1500頁(1997年))。DPP−IV阻害剤は、ラットにおけるコラーゲン及びアルキルジアミン誘発性関節炎において試験され、このモデルにおける後足の腫脹の統計的に有意な減少を示した[Int.J.Immunopharmacology、19巻、15〜24頁(1997年)及びImmunopharmacology、40巻、21〜26頁(1998年)]。DPP−IVは、関節リウマチ、多発性硬化症、グレーヴス病及び橋本甲状腺炎などの多くの自己免疫疾患において上方制御される(Immunology Today、20巻、367〜375頁(1999年))。
【0074】
[074]HIV感染:HIV細胞の侵入を阻害する多くのケモカインがDPP−IVの可能な基質である(Immunology Today、20巻、367〜375頁(1999年))ため、DPP−IVの阻害は、EGV感染又はAIDSの治療に有用であり得る。SDF−1アルファの場合、切断により、抗ウイルス活性が低下する(PNAS、95巻、6331〜6頁(1998年))。したがって、DPP−IVの阻害によるSDF−1アルファの安定化は、HIV感染力を低下させると予想されよう。
【0075】
[075]造血:DPP−IVは造血に関与し得るため、DPP−IVの阻害は、造血の治療に有用であり得る。DPP−IV阻害剤、Val−Boro−Proは、シクロホスファミド誘発性好中球減少症のマウスモデルにおける造血を刺激した(国際公開第99/56753号パンフレット)。
【0076】
[076]ニューロン障害:様々なニューロン過程への関与が示された多くのペプチドがDPP−IVによりインビトロで切断されることから、DPP−IVの阻害は、様々なニューロン又は精神障害の治療に有用であり得る。したがって、DPP−IV阻害剤は、ニューロン障害の治療において治療効果を有し得る。エンドモルフィン−2、ベータ−カソモルフィン及びサブスタンスPはすべて、DPP−IVのインビトロでの基質であることが示された。ラットにおける痛覚脱失の電気ショックジャンプテストモデルにおいて、DPP−IV阻害剤は、外因性エンドモルフィン−2の存在に無関係であった有意な効果を示した(Brain Research、815巻、278〜286頁(1999年))。DPP−IV阻害剤の神経保護及び神経再生効果は、興奮毒性による細胞死から運動ニューロンを保護する、MPTPと併用投与する場合にドーパミン作動性ニューロンの線条体神経支配を保護する、及びMPTP治療後に治療的に投与する場合に線条体神経支配密度の回復を促進する阻害剤の能力によっても明らかにされた[Yong−Q.Wuら、「Neuroprotective Effects of Inhibitors of Dipeptidyl Peptidase−IV in vitro and in vivo」、Int. Conf. On Dipeptidyl Aminopeptidases: Basic Science and Clinical Applications、2002年9月26〜29日(Berlin, Germany)を参照のこと]。
【0077】
[077]DPP−IVが自然に欠乏した不安ラットは、抗不安表現型を有する(国際公開第02/34243号パンフレット;Karlら、Physiol.Behav.、2003年)。DPP−IV欠乏マウスもPorsolt及び明/暗モデルを使用した場合に抗不安表現型を有する。したがって、本明細書に記載のDPP−IV阻害剤は、不安及び関連障害の治療に有用であると判明し得る。
【0078】
[078]記憶及び認知:GLP−1作動薬は、Duringら(Nature Med.、9巻、1173〜1179頁(2003年))により示されたように学習(受動回避、Morris水迷路)及びニューロン損傷(カイニン酸誘発性ニューロンアポトーシス)のモデルにおいて活性であり得る。結果は、学習及び神経保護におけるGLP−1の生理学的役割を示唆し得る。DPP−IV阻害剤によるGLP−1の安定化は、同様な効果を示すと予想される。
【0079】
[079]腫瘍浸潤及び転移:DPP−IVを包含するいくつかのエクトペプチダーゼの発現の増加又は減少が正常細胞の悪性表現型への転換時に認められた(J.Exp.Med.、190巻、301〜305頁(1999年))ので、DPP−IVの阻害は、腫瘍浸潤及び転移の治療に有用であり得る。これらのタンパク質の上方又は下方制御は、組織及び細胞型特異的であると思われる。例えば、CD26/DPP−IV発現の増加は、T細胞リンパ腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病、細胞由来甲状腺癌腫、基底細胞癌腫及び乳癌腫で認められた。したがって、DPP−IV阻害剤は、そのような癌腫の治療に有用性を有し得る。
【0080】
[080]良性前立腺肥大:DPP−IV活性の増加がBPHを有する患者の前立腺組織に認められた(Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.、30巻、333〜338頁(1992年))ので、DPP−IVの阻害は、良性前立腺肥大の治療に有用であり得る。
【0081】
[081]精子運動性/男性避妊:精液中で精子の運動性に重要な前立腺由来の細胞小器官であるプロスタトソームが非常に高いレベルのDPP−IV活性を有する(Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.、30巻、333〜338頁(1992年))ので、DPP−IVの阻害は、精子の運動性の変化及び男性避妊に有用であり得る。
【0082】
[082]歯肉炎:DPP−IV活性が歯肉溝滲出液中で認められ、いくつかの試験で歯周病の重症度と関連付けられた(Arch.Oral.Biol.、37巻、167〜173頁(1992年))ことから、DPP−IVの阻害は、歯肉炎の治療に有用であり得る。
【0083】
[083]骨粗鬆症:GIP受容体が骨芽細胞に存在するため、DPP−IVの阻害は、骨粗鬆症の治療に有用であり得る。
【0084】
[084]本明細書に記載の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩は、他の薬剤と併用して前述の疾患、障害及び状態を治療する方法にさらに有用であり得る。
【0085】
[085]本明細書に記載の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩は、特に薬物の併用がいずれかの薬物単独より安全又は有効である場合に、式Iの化合物及び/又はその薬学的に許容される塩又は他の薬物が有用性を有し得る疾患又は状態の治療に少なくとも1種の他の薬物と併用することができる。そのような他の薬物は、一般的に使用される経路及び量で、したがって、式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩とともに同時に又は連続的に投与することができる。式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を少なくとも1種の他の薬物と同時に使用する場合、そのような少なくとも1種の薬物並びに式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を含有する単位剤形の医薬組成物が望ましいことがある。しかし、併用療法は、式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩並びに少なくとも1種の他の薬物を異なる重複スケジュールで投与する療法も包含し得る。また、少なくとも1種の他の有効成分と併用する場合、本明細書に記載の化合物及び他の有効成分は、各々を単独で使用する場合より低用量で使用可能である。したがって、本明細書に記載の医薬組成物は、式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩に加えて、少なくとも1種の他の有効成分を含有するものを包含するが、これらに限定されない。
【0086】
[086]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と併用して投与し、別個に又は同じ医薬組成物で投与することができる他の有効成分としては、例えば、(a)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤;(b)インスリン抵抗性改善薬、例えば、(i)グリタゾンなどのPPARγ作動薬(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン)、及びPPARα/γ二重作動薬(例えば、KRP−297、ムラグリタザール)を包含する他のPPARリガンド、及びフェノフィブリン酸誘導体(例えば、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート、ベザフィブレート)などのPPARα作動薬、(ii)ビグアニド(例えば、メトホルミン、フェンホルミン)、及び(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;(c)インスリン又はインスリン模倣薬;(d)スルホニル尿素、他のインスリン分泌促進因子(例えば、トルブタミドグリブリド、グリピジド、グリメピリド)及びメグリチニド(例えば、ナテグリニド、レパグリニド);(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール);(f)グルカゴン受容体拮抗物質(例えば、国際公開第98/04528号パンフレット、国際公開第99/01423号パンフレット、国際公開第00/39088号パンフレット及び国際公開第00/69810号パンフレットに記載のもの);(g)GLP−1、GLP−1模倣薬(例えば、エキセンジン4、リラグルチド)及びGLP−1受容体作動薬(例えば、国際公開第00/42026号パンフレット及び国際公開第00/59887号パンフレットに記載のもの);(h)GIP、GIP模倣薬(例えば、国際公開第00/58360号パンフレットに記載のもの)及びGIP受容体作動薬;(i)PACAP、PACAP模倣薬及びPACAP受容体作動薬(例えば、国際公開第01/23420号パンフレットに記載のもの);(j)コレステロール低下剤、例えば、(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチン及び他のスタチン並びにそれらの適切な塩)、(ii)隔離剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(例えば、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート、ベザフィブレート)などのPPARα作動薬、(v)PPARα/γ二重作動薬(例えばKRP−297)、(vi)コレステロール吸収阻害薬(例えば、β−シトステロール、エゼチミブ)、(vii)アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害薬(例えばアバシミブ)、及び(viii)抗酸化剤(例えばプロブコール);(k)PPARδ作動薬(例えば、国際公開第97/28149号パンフレットに記載のもの);(l)抗肥満化合物(例えば、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY1又はY5拮抗物質、CB1受容体逆作動薬及び拮抗物質、アドレナリン受容体作動薬、メラノコルチン受容体作動薬(例えばメラノコルチン−4受容体作動薬)、グレリン拮抗物質、メラニン濃縮ホルモン(MCH)受容体拮抗物質);(m)回腸胆汁酸輸送体阻害薬;(n)炎症性状態への使用が意図された薬剤(例えば、アスピリン、他の非ステロイド抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、グルココルチコイド、アズルフィジン)、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬);(o)抗高血圧薬(例えば、ACE阻害薬(例えば、エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体遮断薬(例えば、ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン)、ベータ遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬);並びに(p)グルコキナーゼ活性化剤(GKAs)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
[087]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と併用可能なジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬としては、国際公開第03/004498号パンフレット、国際公開第03/004496号パンフレット、欧州特許第1258476号、国際公開第02/083128号パンフレット、国際公開第02/062764号パンフレット、国際公開第03/000250号パンフレット、国際公開第03/002530号パンフレット、国際公開第03/002531号パンフレット、国際公開第03/002553号パンフレット、国際公開第03/002593号パンフレット、国際公開第03/000180号パンフレット、及び国際公開第03/000181号パンフレットに記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。DPP−IV阻害剤化合物(例えばイソロイシンチアゾリジド)、MK−0431及びSYR−322が例示できる。
【0088】
[088]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と併用可能な抗肥満化合物としては、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY1又はY5拮抗物質、カンナビノイドCB1受容体拮抗物質又は逆作動薬、メラノコルチン受容体作動薬(例えばメラノコルチン−4受容体作動薬)、グレリン拮抗物質及びメラニン濃縮ホルモン(MCH)受容体拮抗物質が挙げられるが、これらに限定されない。構造式Iの化合物と併用可能な抗肥満化合物のレビューについては、S.Chakiら、「Recent advances in feeding suppressing agents: potential therapeutic strategy for the treatment of obesity」、Expert Opin.Ther.Patents、11巻、1677〜1692頁(2001年)並びにD.Spanswick及びK.Lee、「Emerging antiobesity drugs」、Expert Opin.Emerging Drugs、8巻、217〜237頁(2003年)を参照のこと。
【0089】
[089]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と併用可能な神経ペプチドY5拮抗物質としては、米国特許第6,335,345号及び国際公開第01/14376号パンフレットに記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。GW59884A、GW569180A、LY366377及びCGP−71683Aが例示できる。
【0090】
[090]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と併用可能なカンナビノイドCB1受容体拮抗物質としては、国際公開第03/007887号パンフレット(例えばリモナバント)、米国特許第5,624,941号、国際公開第02/076949号パンフレット(例えばSLV−319);米国特許第6,028,084号、国際公開第98/41519号パンフレット、国際公開第00/10968号パンフレット、国際公開第99/02499号パンフレット、米国特許第5,532,237号、及び米国特許第5,292,736号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
[091]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と併用可能なメラノコルチン受容体作動薬としては、国際公開第03/009847号パンフレット、国際公開第02/068388号パンフレット、国際公開第99/64002号パンフレット、国際公開第00/74679号パンフレット、国際公開第01/70708号パンフレット、及び国際公開第01/70337号パンフレットに記載のもの、並びにJ.D.Speakeら、「Recent advances in the development of melanocortin−4 receptor agonists」、Expert Opin.Ther.Patents、12巻、1631〜1638頁(2002年)に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
[092]糖尿病の治療用のグルコキナーゼ(GKAs)の安全且つ有効な活性化剤の可能な有用性は、J.Grimsbyら、「Allosteric Activators of Glucokinase:Potential Role in Diabetes Therapy」、Science、301巻、370〜373頁(2003年)に述べられている。
【0093】
[093]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を少なくとも1種の他の薬物と同時に使用する場合、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩に加えてそのような少なくとも1種の他の薬物を含有する医薬組成物を使用する。したがって、本明細書に記載の医薬組成物は、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩に加えて、少なくとも1種の他の有効成分も含有するものを包含するが、これらに限定されない。
【0094】
[094]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と少なくとも1種の第2の有効成分との重量比は、変化し得るものであり、各成分の有効量に依存する。例えば、各々の有効量を使用する。したがって、例えば、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を少なくとも1種の他の薬剤と組み合わせる場合、少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と少なくとも1種の他の薬剤との重量比は、例えば1000:1〜1:1000(例えば200:1〜1:200)の範囲にある。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と他の有効成分の併用は、例えば上記範囲内でも行われるが、各場合において、各有効成分の有効量を使用すべきである。
【0095】
[095]そのような併用において、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩と他の活性薬は、別個に又は一緒に投与することができる。さらに、1つの要素の投与は、他の薬剤の投与の前、それと同時、又はその後であってもよい。
【0096】
[096]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射・注入、皮下注射又は埋め込み)により、吸入噴霧、鼻、膣、直腸、舌下又は局所投与経路により投与することができ、各投与経路に適した従来の非毒性の薬学的に許容される担体、佐剤及び媒体を含有する適切な投与単位製剤として単独又は一緒に製剤化することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等の温血動物の治療に加えて、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、ヒト用に有効であり得る。
【0097】
[097]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の投与のための医薬組成物は、投与単位の形で好都合に提供することができ、薬学の技術分野で周知の方法のいずれかにより調製することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、少なくとも1種の補助成分を構成する担体と合わせる。
【0098】
[098]いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を液体担体又は微細な固体担体又は両方と均一且つ緊密に結合させ、次に、必要な場合、生成物を所望の製剤に成形することにより調製する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、疾患の過程又は状態に対する所望の効果をもたらすのに十分な量で含まれる。
【0099】
[099]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ローゼンジ、水性若しくは油性懸濁剤、分散性散剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬若しくは軟カプセル剤又はシロップ剤若しくはエリキシル剤としての経口での使用に適した形態であり得る。
【0100】
[0100]経口での使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造の技術分野に公知の任意の方法により調製することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練され、味の良い製剤を提供するために甘味料、着香料、着色剤及び保存剤から選択される少なくとも1種の物質を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合された有効成分を含有する。これらの賦形剤としては、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム);造粒及び崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、アルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク)が挙げられる。錠剤は、被覆されていなくてもよく、又は消化管における崩壊及び吸収を遅らせ、それにより、より長い期間にわたる作用の持続をもたらすために公知の技術により被覆されていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル及びジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質が使用可能である。それらはまた、持続又は遅延放出などの制御放出のための浸透圧治療錠剤を形成するために米国特許第4,256,108号、第4,166,452号及び第4,265,874号に記載の技術により被覆することができる。
【0101】
[0101]経口で使用するための製剤は、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム及び/又はカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル剤として、又は本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩が水又は油媒体(例えば、落花生油、流動パラフィン及び/又はオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセル剤として提供することもできる。
【0102】
[0102]本明細書に記載のDPP−IV阻害剤のナトリウム塩などの塩は、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を、時間放出製剤又はコーティングなどの、身体からの速やかな排出から保護する担体を用いて調製することができる。製剤は、特性の所望の組合せを得るために他の活性化合物をさらに含んでいてもよい。
【0103】
[0103]経口医薬剤形は、固体、ゲル又は液体であり得る。固体剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び原末が挙げられるが、これらに限定されない。経口錠剤は、例えば、圧縮された咀嚼可能なローゼンジ及び腸溶、糖衣又はフィルムコーティングであり得る錠剤を包含する。カプセル剤は、例えば、硬又は軟ゼラチンカプセル剤を包含する。顆粒剤及び散剤は、非発泡形態又は発泡形態で提供することができる。それぞれが当業者に公知の他の成分と併用することができる。
【0104】
[0104]特定の実施形態において、本明細書に記載のDPP−IV阻害剤は、カプセル剤及び錠剤などの固形剤形として提供する。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、次の成分又は同様の性質の化合物の少なくとも1種を含有してもよい。結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、滑剤、甘味料及び着香料。
【0105】
[0105]使用可能な結合剤としては、微結晶セルロース、トラガントゴム、グルコース溶液、アラビアゴム漿、ゼラチン溶液、スクロース及びデンプンペーストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
[0106]使用可能な滑沢剤としては、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、石松子及びステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
[0107]使用可能な希釈剤としては、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトール及びリン酸二カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
[0108]使用可能な滑剤としてはコロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。
【0109】
[0109]使用可能な崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
[0110]使用可能な着色剤としては、承認認定済み水溶性FD及びC染料のいずれか、それらの混合物並びにアルミナ水和物上に懸濁させた非水溶性FD及びC染料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
[0111]使用可能な甘味料は、スクロース、ラクトース、マンニトール並びにシクラミン酸ナトリウム及びサッカリンなどの人工甘味料並びに多くの噴霧乾燥着香料を包含するが、これらに限定されない。
【0112】
[0112]使用可能な着香料の例は、植物(果実など)から抽出された天然着香料及び快感を生じさせる合成化合物ブレンド(例えば、ペパーミント及びサリチル酸メチル。これらに限定されない。)を包含するが、これらに限定されない。
【0113】
[0113]使用可能な湿潤剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコール及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
[0114]使用可能な制吐コーティングとしては、脂肪酸、脂肪、ワックス、シェラック、アンモニア化シェラック及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
[0115]使用可能なフィルムコーティングとしては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
[0116]経口投与が望まれる場合、本明細書に記載の式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、胃の酸性環境からそれを保護する組成物の形で提供してもよい。例えば、組成物は、胃内でその完全性を維持し、腸内で活性化合物を放出する腸溶コーティングで製剤化することができる。組成物は、制酸薬又は他のそのような成分と組み合わせて製剤化してもよい。
【0117】
[0117]投与単位の形がカプセル剤である場合、それは、脂肪油などの液体担体をさらに含んでいてもよい。さらに、投与単位の形は、投与単位の物理的形態を改良する様々な他の物質(例えば、糖のコーティング及び他の腸溶性物質)をさらに含んでいてもよい。
【0118】
[0118]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハース、粉砂糖、チューインガム又は同様のものの成分として投与することもできる。シロップ剤は、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩に加えて、甘味料としてのスクロース及び特定の保存剤、染料及び着色剤並びに着香料を含んでいてもよい。
【0119】
[0119]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、所望の作用を損なわない他の活性物質と又は制酸薬、H2遮断薬及び利尿薬などの所望の作用を補う物質と混合することもできる。例えば、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を喘息又は高血圧を治療するために使用する場合、それをそれぞれ他の気管支拡張薬及び抗高血圧薬とともに使用することができる。
【0120】
[0120]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を含む錠剤に含めることができる薬学的に許容される担体としては、結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、着香料及び湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。腸溶錠は、腸溶コーティングのため、胃酸の作用に抵抗し、中性又はアルカリ性の腸内で溶解又は崩壊する。糖衣錠は、薬学的に許容される物質の異なる層が加えられている圧縮錠剤であり得る。フィルムコート錠は、ポリマー又は他の適切なコーティングで被覆された圧縮錠剤であり得る。有核錠は、前述の薬学的に許容される物質を用いて複数の圧縮サイクルにより製造される圧縮錠剤であり得る。着色剤も錠剤に使用可能である。着香及び甘味料は錠剤に使用可能であり、咀嚼可能な錠剤及びローゼンジの形成に特に有用である。
【0121】
[0121]使用可能な液体経口剤形としては、水溶液、乳剤、懸濁剤、水剤及び/又は非発泡顆粒剤から再構成された懸濁剤並びに発泡顆粒剤から再構成された発泡製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
[0122]使用可能な水溶液としてはエリキシル剤及びシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において、エリキシル剤は、透明な甘味ヒドロアルコール性製剤を意味する。エリキシル剤に使用可能な薬学的に許容される担体としては溶媒を包含するが、これらに限定されない。使用可能な溶媒としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及びシロップが挙げられる。本明細書において、シロップ剤は、糖(例えばスクロース)の濃縮水溶液を意味する。シロップ剤は保存剤をさらに含んでいてもよい。
【0123】
[0123]乳剤は、1つの液体が他の液体中に小球の形で分散している2相系を意味する。乳剤は、場合により水中油型であっても油中水型乳剤であってもよいが、これらに限定されない。乳剤に使用可能な薬学的に許容される担体としては、非水性液体、乳化剤及び保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
[0124]液体経口剤形に再構成されるべき非発泡顆粒剤に使用可能な薬学的に許容される物質としては、例えば、希釈剤、甘味料及び湿潤剤が挙げられる。
【0125】
[0125]液体経口剤形に再構成されるべき発泡顆粒剤に使用可能な薬学的に許容される物質としては、例えば、有機酸及び二酸化炭素の発生源が挙げられる。
【0126】
[0126]着色剤及び着香料は上記剤形のすべてに使用可能である。
【0127】
[0127]使用可能な保存剤の典型的な例としては、グリセリン、メチル及びプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム及びアルコールが挙げられる。
【0128】
[0128]乳剤に使用可能な非水性液体の典型的な例としては、鉱油及び綿実油が挙げられる。
【0129】
[0129]使用可能な乳化剤の典型的な例としては、ゼラチン、アラビアゴム、トラガント、ベントナイト及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの界面活性剤が挙げられる。
【0130】
[0130]使用可能な懸濁化剤の典型的な例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガント、Veegum及びアラビアゴムが挙げられる。希釈剤としては、例えば、ラクトース及びスクロースが挙げられる。甘味料は、スクロース、シロップ、グリセリン並びにシクラミン酸ナトリウム及びサッカリンなどの人工甘味料を包含する。
【0131】
[0131]使用可能な湿潤剤の典型的な例としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコール及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
【0132】
[0132]使用可能な有機酸の典型的な例としては、クエン酸及び酒石酸が挙げられる。
【0133】
[0133]発泡組成物に使用可能な二酸化炭素の発生源としては、例えば、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。着色剤としては、例えば、任意の承認認定済み水溶性ED及びC染料並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0134】
[0134]使用可能な着香料の典型的な例は、植物(果実など)から抽出された天然着香料及び快い味覚を生じさせる合成化合物ブレンドを包含する。
【0135】
[0135]固体剤形については、例えば炭酸プロピレン、植物油又はトリグリセリド中の溶液又は懸濁液が、例えばゼラチンカプセルに封入されている。そのような溶液並びにその調製及びカプセル封入は、米国特許第4,328,245号、第4,409,239号及び第4,410,545号に記載されている。液体剤形については、溶液(例えば、ポリエチレングリコール中の溶液)を、投与のために容易に測定するのに十分な量の薬学的に許容される液体担体(例えば水)で希釈することができる。
【0136】
[0136]或いは、液体又は半固体経口製剤は、活性化合物又は塩を植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば炭酸プロピレン)及び他のそのような担体に溶解又は分散させ、これらの溶液又は懸濁液を硬質又は軟質ゼラチンカプセルシェルに封入することにより調製することができる。
【0137】
[0137]皮下、筋肉内又は静脈内注射により一般的に特徴付けられる非経口投与により本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を投与するように設計されている組成物も提供する。注射剤は、任意の従来の形態で、例えば、液体の溶液若しくは懸濁液として、又は注射前に液体の溶液若しくは懸濁液を得るのに適した固形剤として、又は乳剤として調製することができる。
【0138】
[0138]注射剤とともに使用可能な賦形剤としては、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール及びエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。注射用組成物はまた、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解性向上剤、及び他のそのような物質(例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、シクロデキストリン)を含んでいてもよい。一定レベルの用量が維持されるような徐放又は持続放出システムの埋め込み(例えば、米国特許第3,710,795号を参照)も本明細書において想定されている。そのような非経口組成物中に含有される、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の百分率は、その特定の性質並びに本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の活性及び患者の必要に高度に依存する。
【0139】
[0139]製剤の非経口投与としては、例えば、静脈内、皮下及び筋肉内投与が挙げられる。非経口投与用製剤としては、例えば、直ちに注射可能な無菌溶液、使用直前に溶媒と組み合わせることができる状態の無菌乾燥可溶性製品(例えば、本明細書に記載の凍結乾燥粉末)(例えば皮下錠剤)、直ちに注射可能な無菌懸濁液、使用直前に媒体と組み合わせることができる状態の無菌乾燥不溶性製品及び無菌乳剤が挙げられる。溶液は水性であっても非水性であってもよい。
【0140】
[0140]静脈内投与する場合、適切な担体としては、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)並びにグルコース、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール及びそれらの混合物などの粘稠化及び可溶化剤を含有する溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
[0141]非経口製剤に使用可能な薬学的に許容される担体としては、水性媒体、非水性媒体、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化及び分散剤、乳化剤、金属封鎖及びキレート化剤並びに他の薬学的に許容される物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
[0142]使用可能な水性媒体としては、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロース及び乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。
【0143】
[0143]使用可能な非水性非経口媒体としては、例えば、植物由来の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油及び落花生油が挙げられる。
【0144】
[0144]特に、製剤が多回投与用容器に包装され、したがって、保存され、多分割量がそれより除去されるように設計されている場合に、静菌又は静真菌濃度の抗菌剤を非経口製剤に加えることができる。使用可能な抗菌剤としては、例えば、フェノール及びクレゾール、水銀製剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
【0145】
[0145]使用可能な等張剤としては、例えば、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。使用可能な緩衝剤としては、例えば、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。使用可能な抗酸化剤としては、例えば重硫酸ナトリウムが挙げられる。使用可能な局所麻酔薬としては、例えば塩酸プロカインが挙げられる。使用可能な懸濁化及び分散剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。使用可能な乳化剤としては、例えばポリソルベート80(TWEEN80)が挙げられる。金属イオンの封鎖又はキレート化剤としては、例えばEDTAが挙げられる。
【0146】
[0146]医薬担体は、水混和性媒体用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール並びにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸及び乳酸を含んでいてもよい。
【0147】
[0147]非経口製剤中の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の濃度は、注射剤が所望の薬理効果をもたらすのに十分な薬学的に有効な量を投与するように調節することができる。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の正確な濃度及び/又は使用すべき用量は、当技術分野で公知であるように患者又は動物の年齢、体重及び状態に最終的に依存する。
【0148】
[0148]単位用量非経口製剤は、アンプル、バイアル又は針付き注射器に包装することができる。非経口投与用のAU製剤は、当技術分野で公知であり、実施されているように無菌性であるべきである。
【0149】
[0149]注射剤は、局所及び全身投与用に設計することができる。例えば、治療上有効な量は、約0.1重量/重量%〜約90重量/重量%又はそれ以上、例えば1重量/重量%超の濃度の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を含有するように処方する。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、一度に投与することができ、又は間隔をおいて投与される多くのより小さい用量に分割することができる。正確な用量及び治療期間は、組成物が非経口的に投与される部位、担体、並びに公知の試験プロトコルを用いて経験的に、又はインビボ若しくはインビトロ試験データからの外挿により決定できる他の変数の関数であることが理解される。濃度及び用量の値が治療される個体の年齢によっても異なり得ることを注意すべきである。任意の特定の患者について、個々の必要及び製剤を投与する又は製剤の投与を監督する人の専門的判断に従って特定の投与計画を時間の経過とともに調節する必要があり得ることをさらに理解すべきである。したがって、本明細書で示す濃度範囲は、例となるものであって、特許請求されている処方の範囲又は実施を限定するものでない。
【0150】
[0150]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、微粉化された又は他の適切な形態で懸濁させてもよいし、誘導体化してより可溶性の活性産物を製造してもよい。得られる混合物の形態は、意図する投与様式及び選択される担体又は媒体中の化合物の溶解度などの多くの因子に依存する。有効濃度は、疾患状態の症状を改善するために十分のものであり、経験的に決定することができる。
【0151】
[0151]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、投与のために水剤、乳剤及び他の混合物として再構成することができる凍結乾燥散剤としても調製することができる。凍結乾燥散剤は、固形剤又はゲル剤としても製剤化することができる。
【0152】
[0152]無菌の凍結乾燥散剤は、化合物をデキストロース又は他の適切な賦形剤を含有するリン酸ナトリウム緩衝溶液に溶解することにより調製することができる。溶液のその後の無菌ろ過とそれに続く当業者に公知の標準的条件下での凍結乾燥により所望の製剤が得られる。簡潔に述べると、凍結乾燥散剤は、一般的にほぼ中性pHで適切な緩衝液(例えば、クエン酸、リン酸ナトリウム及び/又はカリウム及び/又は当業者に公知の他のそのような緩衝液)に約1〜20%(例えば約5〜15%)のデキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の適切な物質を溶解することにより調製することができる。次に、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を、得られた混合物に例えば室温より上(例えば約30〜35℃)で加え、それが溶解するまで攪拌する。より多くの緩衝液を加えることにより、得られた混合物を所望の濃度に希釈する。得られた混合物を無菌ろ過又は処理して、粒子状物質を除去し、無菌性を保証し、凍結乾燥のためにバイアル中に分配する。各バイアルは、1回量又は多回量の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を含有し得る。
【0153】
[0153]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、局所混合物としても投与することができる。局所混合物は、局所及び全身投与のために使用可能である。得られる混合物は、溶液、懸濁液、乳濁液などであってもよく、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、乳剤、水剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、ペースト剤、泡剤、エアゾール剤、潅注剤、噴霧剤、坐剤、包帯、皮膚貼付剤又は局所投与に適した任意の他の製剤として製剤化される。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、吸入によるなどの局所適用のためのエアゾール剤として製剤化することができる(炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達用のエアゾール剤を記載している米国特許第4,044,126号、第4,414,209号及び第4,364,923号を参照)。気道への投与用のこれらの製剤は、噴霧器用のエアゾール若しくは溶液、又は単独若しくはラクトースなどの不活性担体と組み合わされた吹入用の微細粉末の形態をとり得る。そのような場合、製剤の粒子は、例えば50ミクロン未満(例えば10ミクロン未満)の中位径を有する。
【0154】
[0154]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、局部又は局所適用のために、例えば、ゲル剤、クリーム剤及びローション剤の形での皮膚及び粘膜(例えば眼内)への局所適用のために又は眼への適用のために又は槽内若しくは脊髄内適用のために製剤化してもよい。局所投与としては、経皮送達、眼若しくは粘膜への投与、又は吸入療法が想定される。単独又は他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わされた本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の点鼻液剤を投与することもできる。
【0155】
[0155]治療する疾患状態によって、局所適用、経皮貼付及び直腸投与などの他の投与経路も使用可能である。例えば、直腸投与用の医薬剤形は、全身的効果を得るための直腸坐剤、カプセル剤及び錠剤である。本明細書において、直腸坐剤は、体温で融解又は軟化して、少なくとも1種の薬理学的に又は治療上有効な成分を放出する直腸内への挿入用の固体を意味する。直腸坐剤に使用される薬学的に許容される物質は、基剤又は媒体及び融点を上昇させる物質である。基剤としては、例えば、ココアバター(カカオ属油)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)並びに脂肪酸のモノ、ジ及びトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。様々な基剤の組合せが使用可能である。坐剤の融点を上昇させる物質としては、例えば、鯨ろう及びワックスが挙げられる。直腸坐剤は、圧縮法又は成形により調製することができる。直腸坐剤の一般的な重量は、約2〜3gmである。直腸投与用の錠剤及びカプセル剤は、経口投与用の製剤と同じ薬学的に許容される物質を使用し、同じ方法により製造することができる。
【0156】
[0156]ジペプチジルペプチダーゼIV酵素活性の阻害を必要とする状態の治療において、適切な用量レベルは、一般的に、1回又は多数回投与で投与することができる1日当たり約0.1〜1000mgである。
【0157】
[0157]例えば、用量レベルは、1日当たり約0.1〜約250mg(例えば、1日当たり約0.5〜約100mg)である。適切な用量レベルは、1日当たり約0.1〜1000mg、1日当たり約0.1〜500mg又は1日当たり約0.1〜50mgであり得る。この範囲内で、用量は、1日当たり0.1〜0.5、0.5〜5又は5〜50mgであり得る。経口投与用には、組成物を、治療する患者への用量の対症調整(symptomatic adjustment)のために、例えば、1.0〜1000mgの本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩、例えば、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を含有する錠剤の形で提供する。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、1日当たり1〜4回(例えば、1日当たり1回又は2回)の投与計画に基づいて投与してもよい。
【0158】
[0158]本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩が適応となる糖尿病及び/又は高血糖症又は高トリグリセリド血症又は他の疾患を治療する場合、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を、例えば1日1回量として又は1日2〜6回の分割量で又は持続放出剤形で、例えば約0.1mg〜約3000mgの1日量で投与するとき、一般的に満足のいく結果を得ることができる。ほとんどの大型哺乳動物については、総1日量は約1.0mg〜約1000mg(例えば約1mg〜約50mg)であり得る。70kgの成人の場合、総1日量は、一般的に約7mg〜約350mgであり得る。この投与計画は、最適な治療反応を得るために調節することができる。
【0159】
[0159]しかし、任意の個々の患者に対する個別の用量レベル及び投与頻度は、異なり得るものであり、使用される本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の活性、当該少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の代謝的安定性及び作用の持続時間、年齢、体重、一般健康状態、性、食事、投与様式及び時間、排泄の速度、薬物併用、特定の状態の重症度並びに治療を受ける宿主を包含する様々な因子に依存することは理解される。
【0160】
[0160]阻害定数は、例えば次のように測定することができる。DPP−IVにより切断されて蛍光AMC脱離基を放出するGly−Pro−AMCを基質とする連続蛍光測定アッセイを使用する。一般的な反応物は、100μLの総反応物容積中約50pMの酵素、50μMのGly−Pro−AMC及び緩衝剤(100mM HEPES、pH7.5、0.1mg/ml BSA)を含有する。AMCの遊離は、360nmの励起波長及び460nmの発光波長を用いて96ウエルプレート蛍光分光計で連続的にモニターする。これらの条件下では、約0.8μMのAMCが25℃で30分で生成する。これらの試験に使用した酵素は、バキュロウイルス発現システム(Bac−To−Bac、Gibco BRL)で産生された可溶性(貫膜ドメイン及び細胞質エクステンションを除く)ヒトタンパク質であった。Gly−Pro−AMC及びGLP−1の加水分解の速度定数は、天然酵素に関する文献値と一致することが認められた。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の解離定数を測定するために、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩のDMSO中溶液を、酵素及び基質を含有する反応物に加えた(最終DMSO濃度は1%)。すべての実験は、上述の標準的反応条件を用いて室温で実施した。解離定数(Ki)を決定するために、反応速度を競合的阻害に関するミカエリス−メントン式に非線型回帰により適合させた。解離定数を再現する際の誤差は、一般的に2倍未満である。
【0161】
[0161]例えば、以下の実施例の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、前述のアッセイにおいてジペプチジルペプチダーゼIV酵素を阻害する活性を有し、一般的に約1μM未満のIC50を有していた。そのような結果は、ジペプチジルペプチダーゼIV酵素活性の阻害剤としての使用における本明細書に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の固有活性を示唆している。
【0162】
[0162]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を調製するためのいくつかの方法は、本開示の範囲を限定することなく以下のスキーム及び実施例で例示する。出発物質は、当技術分野で公知の手順により又は本明細書で例示するように調製する。
【実施例】
【0163】
DPP−IV阻害剤の調製:
[0163]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を合成するための種々の方法を開発することができる。式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を合成するための代表的な方法を実施例で示す。しかし、式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、他者が考案することができる他の合成経路により合成することもできることが留意される。
【0164】
[0164]式Iの化合物が該化合物に特定の立体化学を付与する他の原子(例えばキラル中心)との結合を有する原子を有することは容易に認識されよう。式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の合成が異なる立体異性体(鏡像異性体、ジアステレオマー)の混合物の生成をもたらし得ることも分かる。特定の立体化学が指定されない限り、化合物の列挙は、異なる可能な立体異性体のすべてを包含するものとする。
【0165】
[0165]式(I)の少なくとも1種の化合物は、例えば、該少なくとも1種の化合物の遊離塩基形を薬学的に許容される無機又は有機酸と反応させることにより、薬学的に許容される酸付加塩としても調製することができる。或いは、式(I)の少なくとも1種の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、例えば、該少なくとも1種の化合物の遊離酸形を薬学的に許容される無機又は有機塩基と反応させることにより調製することができる。式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の調製に適した無機及び有機酸及び塩基は、本出願の定義の項に示す。或いは、式(I)の化合物の塩形は、出発物質又は中間体の塩を用いて調製することができる。
【0166】
[0166]式(I)の化合物の遊離酸又は遊離塩基形は、対応する塩基付加塩又は酸付加塩形から調製することができる。例えば、酸付加塩形の式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウム)で処理することにより、その対応する遊離塩基に変換することができる。塩基付加塩形の式(I)の化合物は、例えば、適切な酸(例えば塩酸)で処理することにより、その対応する遊離酸に変換することができる。
【0167】
[0167]式(I)の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩のN−オキシドは、当業者に公知の方法により調製することができる。例えば、N−オキシドは、適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素)中約0℃で酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ−クロロペルオキシ安息香酸又は同様のもの)で非酸化形の式(I)の化合物を処理することにより調製することができる。或いは、式(I)の化合物のN−オキシドは、適切な出発物質のN−オキシドから調製することができる。
【0168】
[0168]非酸化形の式(I)の化合物は、例えば、適切な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、水性ジオキサン)中0〜80℃で還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リン等)で処理することにより、式(I)の化合物のN−オキシドから調製することができる。
【0169】
[0169]式(I)の化合物の保護誘導体は、当業者に公知の方法により調製することができる。保護基の生成及びそれらの除去に適用可能な技術についての詳細な記載は、T.W.Greene、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons,Inc.、1999年に見出すことができる。
【0170】
[0170]式(I)の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、溶媒和物(例えば水和物)として好都合に調製することができる。式(I)の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩の水和物は、ジオキシン、テトラヒドロフラン及び/又はメタノールなどの有機溶媒を用いて水性/有機溶媒混合物からの再結晶化により好都合に調製することができる。
【0171】
[0171]式(I)の化合物は、該化合物のラセミ混合物を光学活性の分割剤と反応させて一対のジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋な鏡像異性体を回収することにより、それらの個々の立体異性体として調製することもできる。化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を用いて鏡像異性体の分割を行うことができるが、解離性複合体が好ましい(例えば結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、異なる物理的特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性等)を有し、これらの非類似性を利用することにより容易に分離することができる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより、又は例えば溶解度の差に基づく分離/分割技術により分離することができる。光学的に純粋な鏡像異性体は、次いでラセミ化をもたらさない任意の実際的な手段により分割剤とともに回収する。化合物の立体異性体の、それらのラセミ混合物からの分割に適用可能な技術についてのより詳細な記載は、Jean Jacques Andre Collet、Samuel H. Wilen、Enantiomers、Racemates and Resolutions、John Wiley & Sons,Inc.(1981年)に見出すことができる。
【0172】
[0172]本明細書において、これらの過程、スキーム及び実施例で用いる記号及び慣例表記は、現代の科学文献、例えばthe Journal of the American Chemical Society又はthe Journal of Biological Chemistryに使用されているものと一致している。標準的な一文字又は三文字略語は、特に断らない限り、L−立体配置にあると推定されるアミノ酸残基を示すのに一般的に使用される。特に断らない限り、すべての出発物質は、商業的供給業者から入手し、さらに精製せずに使用した。例えば、次の略語は、実施例及び本明細書を通して使用され得る。g(グラム);mg(ミリグラム);L(リットル);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);psi(1平方インチ当たりのポンド数);M(モル);mM(ミリモル);i.v.(静脈内);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);mol(モル);mmol(ミリモル);RT(室温);min(分);h(時間);mp(融点);TLC(薄層クロマトグラフィー);Tr(保持時間);RP(逆相);MeOH(メタノール);i−PrOH(イソプロパノール);TEA(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);TFAA(無水トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);DMSO(ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);DME(1,2−ジメトキシエタン);DCM(ジクロロメタン);DCE(ジクロロエタン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMPU(N,N’−ジメチルプロピレン尿素);CDI(1,1−カルボニルジイミダゾール);IBCF(クロロギ酸イソブチル);HOAc(酢酸);HOSu(N−ヒドロキシコハク酸イミノ);HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);EtO(ジエチルエーテル);EDCI(塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド);BOC(tert−ブチルオキシカルボニル);FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミノ);CBZ(ベンジルオキシカルボニル);Ac(アセチル);atm(気圧);TMSE(2−(トリメチルシリル)エチル);TMS(トリメチルシリル);TIPS(トリイソプロピルシリル);TBS(t−ブチルジメチルシリル);DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);Me(メチル);OMe(メトキシ);Et(エチル);Et(エチル);tBu(tert−ブチル);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);BOP(塩化ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン);TBAF(フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム);mCPBA(メタ−クロロ過安息香酸)。
【0173】
[0173]エーテル又はEtOは、ジエチルエーテルを意味し、食塩水は、NaClの飽和水溶液を意味する。特に示さない限り、すべての温度を℃(セルシウス度)で表す。すべての反応は、特に断らない限り、不活性雰囲気中でRTで行わせた。
【0174】
[0174]H NMRスペクトルは、Varian Mercury Plus 400に記録した。化学シフトは、百万分の一(ppm)単位で表す。カップリング定数は、ヘルツ(Hz)の単位である。分裂パターンは明らかな多重度を表すものであり、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)及びbr(広幅)と呼ぶ。
【0175】
[0175]低分解能質量スペクトル(MS)及び化合物純度データは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、UV検出器(220及び254nm)及び蒸発光散乱検出器(ELSD)を装着したShimadzu LC/MSシングル四重極システムで取得した。薄層クロマトグラフィーは、0.25mm E.Merckシリカゲルプレート(60F−254)上で実施し、UV光、5%エタノール性リンモリブデン酸、ニンヒドリン又はp−アニスアルデヒド溶液を用いて視覚化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(230〜400メッシュ、Merck)上で実施した。
【0176】
合成スキーム:
[0176]式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩は、様々な反応スキームに従って合成することができる。いくつかの例となるスキームを以下及び実施例で示す。他の反応スキームは、本開示に照らして当業者により容易に考案され得る。
【0177】
[0177]以下に記載の反応において、反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ又はカルボキシ基を保護することが必要な場合があり、その場合に、これらは、最終生成物において、反応へのそれらの望ましくない関与を避けることが望ましい。通常の保護基を標準的実践に従って使用することができる。例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」、John Wiley and Sons、1991年におけるT.W.Greene及びP.G.M.Wutsを参照のこと。
【0178】
[0178]本開示における化合物を調製するための合成方法は、以下のスキーム及び実施例で例示する。出発物質は、市販されているか、又は当技術分野で公知若しくは本明細書に記載の手順に従って調製することができる。
【0179】
[0179]式Iの化合物は、スキーム1に示すように中間体IIを式IIIの置換アミノピペリジンと反応させることにより調製することができ、式中、R、R、R、R、R及びLは、上で定義したとおりである。式IIIのアミノピペリジンは、文献において公知であり、又は当業者によく知られている様々な方法により好都合に調製することができる。Yは、ハロゲン、アルキルスルフィド、アルキルスルホキシド又はアルキルスルホンなどの脱離基である。
【0180】
【化3】

【0181】
[0180]式IIaの化合物は、スキーム2に記載の経路を用いて中間体VIから調製することができる。式VIの中間体は、文献において公知であり、又は当業者によく知られている様々な方法により好都合に調製することができる。ケトンエステルIVとチオセミカルバジドVとの反応により、中間体VIを得る。重炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下で水などの溶媒中での中間体VIの環化により、トリアジノンVIIを得る。トリアジノンVIIのヨウ化メチルによる処理により、化合物VIIIの生成がもたらされる。化合物VIIIとハロゲン化アルキルなどの式IXの求電子試薬との反応により、中間体IIaを得る。
【0182】
【化4】

【0183】
[0181]或いは、IIaは、スキーム3に示すように中間体Xから調製することができる。式Xの中間体は、文献において公知であり、又は当業者によく知られている様々な方法により好都合に調製することができる。DBUなどの塩基の存在下でのトルエンなどの溶媒中での中間体Xの環化により、化合物XIの生成がもたらされる。スキーム3に示すように化合物XIのヨウ化メチルによる処理により、化合物IIaを得る。
【0184】
【化5】

【0185】
[0182]場合により、反応を促進するために又は望ましくない反応生成物を避けるために、前述の反応スキームの実施の順序を変更することができる。本発明がより十分に理解されるように、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、説明のためのものであるにすぎず、決して本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0186】
実施例1:
(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)ベンゾニトリル
ステップA:2−(2−カルバモチオイルヒドラゾノ)プロパン酸(3)
【化6】

【0187】
[0183]水(90mL)中チオセミカルバジド(2)(4.55g、50.0mmol)の混合物にピルビン酸(1)(4.40g、50.0mmol)を加えた。混合物を70℃で20分間加熱した(白色固体が沈殿したが)。室温に冷却した後、白色固体をろ過により収集し、水で洗浄し、空気中で乾燥して、2−(2−カルバモチオイルヒドラゾノ)プロパン酸(3)を得た。
【0188】
ステップB:6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(4)
【化7】

【0189】
[0184]水(300mL)中NaCO(4.84g、45.6mmol)の溶液に2−(2−カルバモチオイルヒドラゾノ)プロパン酸(3、7.35g、45.6mmol)を加えた。混合物を還流温度で3.5時間加熱した。室温に冷却した後、透明溶液を2N HClでpH≒5に酸性化した。混合物をEtOAc(60mL X 4)及びCHCl(60mL X 4)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(4)を白色固体として得た。MS:m/z、144(100%、M+1)。
【0190】
ステップC:6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(5)
【化8】

【0191】
[0185]無水エタノール(250mL)中6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(4、5.80g、40.6mmol)の溶液にNaOH(1.96g、49.1mmol)を、続いてMeI(11.5g、81.2mmol)を加えた。混合物を40℃で15時間加熱した。溶媒の大部分を減圧下で蒸発させた。残留物に水を加えた。沈殿白色固体をろ過により収集し、エタノールで洗浄して、5(3.06g)を得た。水相をCHCl(80mL X 4)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、3.34gの粗生成物を得た。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーにより精製し、1:1〜1:2石油エーテル−酢酸エチルで溶出して、6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(5)を得た。MS:m/z、158(100%、M+1)。
【0192】
ステップD:2−((6−メチル−3−(メチルチオ)−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)ベンゾニトリル(6)
【化9】

【0193】
[0186]0℃の乾燥DMF(10mL)中6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(5、1.546g、9.85mmol)の溶液にKCO(1.36g、9.85mmol)及び2−シアノベンジルブロミド(2.316g、11.82mmol)を加えた。混合物を0℃で16時間加熱した。混合物を水で希釈し、EtOAc(50mL X 3)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮した。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中20%〜50%酢酸エチル及び1:1:2石油エーテル−ジクロロメタン−酢酸エチルで溶出して、2−((6−メチル−3−(メチルチオ)−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)ベンゾニトリル(6)を得た。MS:m/z、273(100%、M+1)、295(60%、M+23)。
【0194】
ステップE:(R)−tert−ブチル1−(4−(2−シアノベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(7)
【化10】

【0195】
[0187]2−((6−メチル−3−(メチルチオ)−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)ベンゾニトリル(6、68mg、0.25mmol)及び(R)−tert−ブチルピペリジン−3−イルカルバメート(60mg、0.30mmol)の混合物を5分間粉砕し、次いで、窒素雰囲気中の管中で130℃で13時間加熱した。混合物をシリカゲルカラムにより分離し、2:1〜1:1石油エーテル−酢酸エチルで、次に1:1:2石油エーテル−ジクロロメタン−酢酸エチルで溶出して、(R)−tert−ブチル1−(4−(2−シアノベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(7)を得た。MS:m/z、425(100%、M+1)、447(40%、M+23)。
【0196】
ステップF:(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)ベンゾニトリル(8)
【化11】

【0197】
[0188]ジクロロメタン(0.5mL)中(R)−tert−ブチル1−(4−(2−シアノベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(7、13mg)の溶液にメタノール中HCl(20%)(1mL)を加え、混合物をRTで2時間攪拌した。混合物をNaHCO(水性、飽和)で注意深く中和し、CHCl(50mL X 3)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーにより精製し、92:6:2ジクロロメタン−メタノール−アンモニアで溶出して、(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)ベンゾニトリル(8)を得た。MS:m/z、325(100%、M+1)。
【0198】
実施例2:
(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン
ステップA:2−ブロモ−5−フルオロ安息香酸メチル(10)
【化12】

【0199】
[0189]メタノール(100mL)中2−ブロモ−5−フルオロ安息香酸(9)(21.90g、100mmol)の溶液に濃HSO(2mL)を加えた。混合物を21時間加熱還流した。溶媒の大部分を蒸発させ、水(200mL)で希釈した。混合物をEtOAc(150mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、2−ブロモ−5−フルオロ安息香酸メチル(10)を得た。
【0200】
ステップB:(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)メタノール(11)
【化13】

【0201】
[0190]乾燥THF(150mL)中2−ブロモ−5−フルオロ安息香酸メチル(10、21.30g、91.4mmol)の溶液にNaBH(6.95g、183mmol)を加えた。メタノール(20mL)をRTで滴下した。添加後、混合物をRTで1時間攪拌した。水(200mL)を徐々に加えた。混合物をCHCl(100mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)メタノール(11)を得た。
【0202】
ステップC:1−ブロモ−2−(ブロモメチル)−4−フルオロベンセン(12)
【化14】

【0203】
[0191]0℃の乾燥DME(40mL)中(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)メタノール(11、4.10g、20.0mmol)の溶液に乾燥DME(40mL)中PBr(3.25g、12.0mmol)の溶液を滴下した。次いで、混合物をRTまで徐々に加温し、さらに3時間攪拌した。混合物を水(100mL)で希釈し、1:1石油−エーテル−EtOAc(100mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、1−ブロモ−2−(ブロモメチル)−4−フルオロベンセン(12)を得た。
【0204】
ステップD:1−ブロモ−4−フルオロ−2−(イソチオシアナトメチル)ベンゼン(13)
【化15】

【0205】
[0192]乾燥DMF(20mL)中1−ブロモ−2−(ブロモメチル)−4−フルオロベンゼン(12、5.36g、20.0mmol)の溶液にNaI(1.20g、8.00mmol)及びKSCN(3.88g、40.0mmol)を加えた。混合物をN中80℃で12時間加熱した。RTに冷却した後、混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(50mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテルで溶出して、1−ブロモ−4−フルオロ−2−(イソチオシアナトメチル)ベンゼン(13)を得た。
【0206】
ステップE:N−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)ヒドラジンカルボチオアミド(14)
【化16】

【0207】
[0193]0℃の1,4−ジオキサン(20mL)中ヒドラジン水和物(80%、2.22g、35.5mmol)の溶液に1,4−ジオキサン(5mL)中1−ブロモ−4−フルオロ−2−(イソチオシアナトメチル)ベンゼン(13、3.16g、12.8mmol)の溶液を加えた。混合物をRTで2時間攪拌した。氷冷水(100mL)を加えた。沈殿固体をろ過により収集し、水で洗浄し、P上で一晩乾燥して、N−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)ヒドラジンカルボチオアミド(14)を得た。MS:m/z、278(100%、M+1)、280(100%)、300(10%、M+23)、302(10%)。
【0208】
ステップF:2−(2−(2−ブロモ−5−フルオロベンジルカルバモチオイル)ヒドラゾノ)プロパン酸メチル(15)
【化17】

【0209】
[0194]メタノール(15mL)中ピルビン酸(352mg、4.00mmol)の溶液にN−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)ヒドラジンカルボチオアミド(14、1.112g、4.00mmol)を、続いて濃HSO(5滴)を加えた。混合物を7時間加熱還流した。溶媒の大部分を蒸発させた。残留物をEtOAc(150mL)に溶解し、水、飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、2−(2−(2−ブロモ−5−フルオロベンジルカルバモチオイル)ヒドラゾノ)プロパン酸メチル(15)を得た。MS:m/z、362(100%、M+1)、364(100%)、384(60%、M+23)、386(60%)。
【0210】
ステップG:4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(16)
【化18】

【0211】
[0195]ナトリウム(273mg、11.88mmol)及び乾燥メタノール(30mL)から新たに調製した、メタノール(30mL)中MeONa(0.4M)の溶液に2−(2−(2−ブロモ−5−フルオロベンジルカルバモチオイル)ヒドラゾノ)プロパン酸メチル(15、1.434g、3.96mmol)を加えた。混合物を22時間加熱還流した。溶媒の大部分を蒸発させた。残留物を水(100mL)で希釈し、2N HClでpH=1〜2に酸性化し、次いで、EtOAc(50mL X 2)で抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、シリカゲルカラムにより分離された混合物を得て、石油エーテル中20〜30%酢酸エチルで溶出して、4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(16)を得た。MS:m/z、330(65%、M+1)、332(60%、M+23)。
【0212】
ステップH:4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(17)
【化19】

【0213】
[0196]エタノール(15mL)中4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(16、914mg、2.77mmol)の懸濁液にNaOH(111mg、2.77mmol)を、続いてMeI(787mg、5.54mmol)を加えた。混合物をRTで10分間攪拌して、透明な黄色溶液を得た。反応物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(30mL X 2)で抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムにより精製し、石油エーテル中20〜25%酢酸エチルで溶出して、4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(17)を得た。H NMR(400MHz、DMSO、ppm):δ7.73(m、1H)、7.16(br、1H)、7.05(d、1H)、5.09(s、2H)、2.56(s、3H)、2.32(s、3H)。MS:m/z、344(100%、M+1)、346(100%)。
【0214】
ステップI:(R)−tert−ブチル1−(4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(18)
【化20】

【0215】
[0197]4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(17、180mg、0.523mmol)及び(R)−tert−ブチルピペリジン−3−イルカルバメート(208mg、1.04mmol)の混合物を5分間粉砕し、次いで、窒素雰囲気中の管中で135℃で13時間加熱した。混合物をシリカゲルカラムにより分離し、石油エーテル中10〜50%酢酸エチルで溶出して、(R)−tert−ブチル1−(4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(18)を得た。MS:m/z、496(100%、M+1)、498(100%)。
【0216】
ステップJ:(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(3−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(19)
【化21】

【0217】
[0198]ジクロロメタン(1mL)中(R)−tert−ブチル1−(4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(18、30mg)の溶液にTFA(0.5mL)を加え、混合物をRTで3時間攪拌した。混合物をNaHCO(水性、飽和)で注意深く中和し、CHCl(10mL X 3)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーにより精製し、92:6:2ジクロロメタン−メタノール−アンモニアで溶出して、(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(3−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(19)を得た。MS:m/z、396(100%、M+1)、398(100%)。
【0218】
実施例3:
(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)−4−フルオロベンゾニトリル
ステップA:(R)−tert−ブチル1−(4−(2−シアノ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(20)
【化22】

【0219】
[0199]NMP(0.5mL)中NaCO(53mg、0.50mmol)及びPd(OAc)(3mg、0.013mmol)の混合物にi−PrOH(3滴)及び水(2滴)を加えた。混合物をRTで5分間攪拌した。NMP(1.0mL)中(R)−tert−ブチル1−(4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(18、246mg、0.496mmol)の溶液を加えた。混合物を140℃に加熱し、次いで、K[Fe(CN)].3HO(209mg、0.496mmol)を加えた。混合物を140℃で12時間加熱した。RTに冷却した後、混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(20mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中20〜35%EtOAcで溶出して、(R)−tert−ブチル1−(4−(2−シアノ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(20)を得た。MS:m/z、418(20%)、443(100%、M+1)、465(95%、M+23)。
【0220】
ステップB:(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)−4−フルオロベンゾニトリル(21)
【化23】

【0221】
[0200]ジクロロメタン(1mL)中(R)−tert−ブチル1−(4−(2−シアノ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(20、37mg)の溶液にTFA(0.5mL)を加え、混合物をRTで1時間攪拌した。混合物をNaHCO(水性、飽和)で注意深く中和し、CHCl(10mL X 3)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーにより精製し、92:6:2ジクロロメタン−メタノール−アンモニアで溶出して、(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)−4−フルオロベンゾニトリル(21)を得た。H NMR(400MHz,DMSO,ppm):δ 7.96(m,1H)、7.36(br,1H)、7.29(d,1H)、5.23(s,2H)、3.15(m,3H)、2.72(m,2H)、2.23(s,3H)、1.78(d,1H)、1.64(d,1H)、1.47(m,1H)、1.12(m,1H)。MS:m/z,343(100%,M+1);
【0222】
実施例4:
(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン
ステップA:2−クロロ−5−フルオロ安息香酸メチル(23)
【化24】

【0223】
[0201]メタノール(350mL)中2−クロロ−5−フルオロ安息香酸(22)(35.0g、200mmol)の溶液に濃HSO(5mL)を加えた。混合物を24時間加熱還流した。溶媒の大部分を蒸発させ、得られた混合物を水(300mL)で希釈した。混合物をEtOAc(150mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、2−クロロ−5−フルオロ安息香酸メチル(23)を得た。
【0224】
ステップB:(2−クロロ−5−フルオロフェニル)メタノール(24)
【化25】

【0225】
[0202]乾燥THF(150mL)中2−クロロ−5−フルオロ安息香酸メチル(23、35.0g、185.6mmol)の溶液にNaBH(21.2g、557mmol)を加えた。メタノール(40mL)をRTで滴下した。添加後、混合物をRTで1時間攪拌した。水(300mL)を徐々に加えた。混合物をCHCl(200mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、(2−クロロ−5−フルオロフェニル)メタノール(24)を得た。
【0226】
ステップC:2−(ブロモメチル)−1−クロロ−4−フルオロベンゼン(25)
【化26】

【0227】
[0203]0℃の乾燥DME(200mL)中(2−クロロ−5−フルオロフェニル)メタノール(24、25.5g、159mmol)の溶液に乾燥DME(150mL)中PBr(25.8g、95.2mmol)の溶液を滴下した。次いで、混合物をRTに徐々に加温し、RTでさらに3時間攪拌した。混合物を水(300mL)で希釈し、1:1石油−エーテル−EtOAc(200mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、2−(ブロモメチル)−1−クロロ−4−フルオロベンゼン(25)を得た。
【0228】
ステップD:1−クロロ−4−フルオロ−2−(イソチオシアナトメチル)ベンゼン(26)
【化27】

【0229】
[0204]乾燥DMF(150mL)中2−(ブロモメチル)−1−クロロ−4−フルオロベンゼン(25、22.3g、100mmol)の溶液にNaI(16.0g、107mmol)及びKSCN(19.5g、200mmol)を加えた。混合物をN中で90℃で18時間加熱した。RTに冷却した後、混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(200mL X 2)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテルで溶出して、1−クロロ−4−フルオロ−2−(イソチオシアナトメチル)ベンゼン(26)を得た。
【0230】
ステップE:N−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)ヒドラジンカルボチオアミド(27)
【化28】

【0231】
[0205]0℃の1,4−ジオキサン(100mL)中ヒドラジン水和物(80%、13.4g、214mmol)の溶液に1,4−ジオキサン(50mL)中1−クロロ−4−フルオロ−2−(イソチオシアナトメチル)ベンゼン(26、14.4g、71.6mmol)の溶液を加えた。混合物をRTで2時間攪拌した。氷冷水(300mL)を加えた。沈殿固体をろ過により収集し、水で洗浄し、P上で一晩乾燥して、N−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)ヒドラジンカルボチオアミド(27)を得た。MS:m/z、234(100%、M+1)、236(33%)。
【0232】
ステップF:2−(2−(2−クロロ−5−フルオロベンジルカルバモチオイル)ヒドラゾノ)プロパン酸メチル(28)
【化29】

【0233】
[0206]メタノール(150mL)中ピルビン酸(5.63g、64.0mmol)の溶液にN−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)ヒドラジンカルボチオアミド(27、14.9g、64.0mmol)を、続いて濃HSO(3mL)を加えた。混合物を15時間加熱還流した。溶媒の大部分を蒸発させた。得られた残留物をEtOAc(500mL)に溶解し、水、飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、2−(2−(2−クロロ−5−フルオロベンジルカルバモチオイル)ヒドラゾノ)プロパン酸メチル(28)を得た。MS:m/z、318(100%、M+1)、320(35%)。
【0234】
ステップG:4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(29)
【化30】

【0235】
[0207]ナトリウム(3.80g、165mmol)及び乾燥メタノール(200mL)から新たに調製した、メタノール(200mL)中MeONa(0.82M)の溶液に2−(2−(2−クロロ−5−フルオロベンジルカルバモチオイル)ヒドラゾノ)プロパン酸メチル(28、10.00g、31.5mmol)を加えた。混合物を36時間加熱還流した。溶媒の大部分を蒸発させた。得られた残留物を水(300mL)で希釈し、2N HClでpH=1〜2に酸性化し、次にEtOAc(250mL X 2)で抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、混合物を得て、これをシリカゲルカラムにより分離し、石油エーテル中20〜30%酢酸エチルで溶出して、4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(29)を得た。
【0236】
ステップH:4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(30)
【化31】

【0237】
[0208]エタノール(50mL)中4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−チオキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−5(2H)−オン(29、3.06g、10.72mmol)の懸濁液にMeI(2.44g、17.1mmol)を、続いてNaOH(429mg、10.72mmol)を加えた。混合物をRTで40分間攪拌して、透明黄色溶液を得た。反応物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(100mL X 3)で抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物(3.195g)を得た。これを酢酸エチル−石油エーテルから結晶化して、4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(30)を得た。MS:m/z、300(100%、M+1)、302(35%)。
【0238】
ステップI:(R)−tert−ブチル1−(4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(31)
【化32】

【0239】
[0209]4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(30、1.50g、5.0mmol)及び(R)−tert−ブチルピペリジン−3−イルカルバメート(1.500g、7.50mmol)の混合物を5分間粉砕し、次に窒素雰囲気中の管中で130℃で14時間加熱した。混合物をシリカゲルカラムにより分離し、石油エーテル中10〜50%酢酸エチルで溶出して、(R)−tert−ブチル1−(4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(31)を得た。MS:m/z、396(100%、M−56)、398(35%)、452(100%、M+1)、454(35%)、474(70%、M+23)、476(25%)。
【0240】
ステップJ:(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(32)
【化33】

【0241】
[0210]ジクロロメタン(1mL)中(R)−tert−ブチル1−(4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−3−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(31、44mg)の溶液にTFA(0.4mL)を加え、混合物をRTで1.5時間攪拌した。混合物をNaHCO(水性、飽和)で注意深く中和し、CHCl(10mL X 3)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン(32)を得た。MS:m/z、352(100%、M+1)、354(33%)。
【0242】
[0211]インビトロでのDPP−4活性:
各種濃度(10−5mol/L、10−6mol/L、10−7mol/L、10−8mol/L、10−9mol/L、10−10mol/L、10−11mol/L及び10−12mol/L)の試験化合物のDPP−IVアッセイ溶液をジメチルスルホキシド(DMSO)中に調製し、次いで10mMトリス−HCl pH8.0、0.2M NaCl及び0.1%BSAを含むアッセイ緩衝液に希釈した。組換えヒトDPP−IV(最終濃度7.8ng/ml)を希釈物に加え、H−Ala−Pro−AFC(最終濃度50μM)を用いて反応を開始させる前に室温で30分間プレインキュベートした。反応混合物の総容積は100μlであった。
【0243】
[0212]30分後に混合物の蛍光を測定した(405nmで励起;535nmで発光)。阻害定数(IC50)をGraphPad Prismにより計算した。
【0244】
[0213]試験結果を表1に示す。
【表1】

【0245】
[0214]インビボでのDPP−4活性:
[0215]血漿DPP−4活性の阻害を評価するために、化合物をマウスにおいて試験した。雄ICRマウス(25〜30g)をこの試験に使用した。すべてのマウスを試験前に少なくとも3時間絶食させた。マウス(n=6/群)に媒体又は化合物を経口強制投与した。投与溶液は、3mg/kgで0.15mg/mlであった。投与容量は、すべての投与について20ml/kg体重であった。媒体は、蒸留水であった。経口投与後に、予定のスケジュールで血液試料を手作業により得た。試料採取後15分以内に血液試料を処理して血漿を得た(2000G、5分、4℃)。
【0246】
[0216]血漿を収集し、蛍光測定法により試験した。試験前に、80mM MgCl緩衝液を5μl血清試料に加え、RTで5分間プレインキュベートし、次いで10μlの0.1mM基質Gly−Pro−AMC及び20μlの緩衝液をそれらに加えた。混合物の蛍光を混合後3分ごとに測定した(380nmで励起;460nmで発光)。投与前のDPP−4活性は100%であった。血清中のDPP−4の相対的活性は、以下の式を用いて計算した。
[0217]相対的DPP−4活性(%)=投与後のDPP−4活性/投与前のDPP−4活性×100
【0247】
[0218]ICRマウスへの3mg/kgの用量の実施例3の経口投与後のマウス血漿中の相対的DPP−4活性を下の表2に示す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
は、
1〜10アルキル、
3〜10シクロアルキル、
3〜10シクロアルキルアルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリルアルキル、
アリール、
アリールアルキル、
ヘテロアリール、及び
ヘテロアリールアルキル
から選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、アリール及びヘテロアリールは各々、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基で独立に置換されており、
は、
水素及び
アルキル
から選択され、
ここで、各アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、
は、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシル、
1〜4アルキル、
2〜4アルケニル、
2〜4アルキニル、
3〜7シクロアルキル、
ヘテロシクリル、
3〜7シクロアルキルアルキル、
ヘテロシクリルアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
アリールアルキル、及び
ヘテロアリールアルキル
から選択され、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、アリール及びヘテロアリールは各々、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、
は、
水素及び
1−4アルキル
から選択され、
ここで、アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、
は、
水素及び
1−4アルキル
から選択され、
ここで、アルキルは、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、
或いはR及びRは、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロ環を形成しており、
各R6aは、
−OR
−NRS(O)
−NO
ハロゲン、
−S(O)
−SR
−S(O)OR
−OS(O)
−S(O)NR
−NR
−O(CR10NR
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR
−OC(O)R
−CN、
−C(O)NR
−NRC(O)R
−OC(O)NR
−NRC(O)OR
−NRC(O)NR
−CR(N−OR)、
−CF
−CF
−OCF、及び
−OCF
から独立に選択され、
各R6bは、
6a
1〜10アルキル、
アリール、
アリール−C1〜4アルキル、
ヘテロアリール、及び
ヘテロアリール−C1〜4アルキル
から独立に選択され、
及びRは、
水素、
1〜10アルキル、
2〜10アルケニル、
2〜10アルキニル、
シクロアルキル、
シクロアルキル−C1〜10アルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリル−C1〜10アルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
アリール−C1〜10アルキル、及び
ヘテロアリール−C1〜10アルキル
から独立に選択され、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは各々、非置換又はR6aから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、アリール及びヘテロアリールは各々、非置換又はR6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、
或いはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、酸素、硫黄及びNR11から独立に選択される0、1又は2個のさらなるヘテロ原子を含有する4〜7員のヘテロ環を形成しており、
各R及びRは、非置換又はR12から選択される少なくとも1つの置換基で炭素又は窒素原子上で置換されていてもよく、
及びR10は、水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−C1−10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1−10アルキル及びヘテロアリール−C1−10アルキルから独立に選択され、
或いはR及びR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、酸素、硫黄及び窒素から独立に選択される0、1又は2個のヘテロ原子を含有する3〜7員の環を形成しており、
各R11は、
水素、
1〜10アルキル、
3〜8シクロアルキル、
3〜8シクロアルキル−C1〜4アルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリル−C1〜4アルキル、
アリール、
アリール−C1〜4アルキル、
ヘテロアリール、
ヘテロアリール−C1〜4アルキル、
−S(O)
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR、及び
−C(O)NR
から独立に選択され、
各R12は、
ハロゲン、
1〜10アルキル、
3〜8シクロアルキル、
3〜8シクロアルキルアルキル、
ヘテロシクリル、
ヘテロシクリルアルキル、
アリール、
アリール−C1〜4アルキル、
ヘテロアリール、
ヘテロアリール−C1〜4アルキル、
−OR
−NRS(O)
−S(O)
−SR
−S(O)OR
−OS(O)
−S(O)NR
−NR
−O(CR10NR
−C(O)R
−CO
−CO(CR10CONR
−OC(O)R
−CN、
−C(O)NR
−NRC(O)R
−OC(O)NR
−NRC(O)OR
−NRC(O)NR
−CF
−CF
−OCF、及び
−OCF
から独立に選択され、
Lは、
−CR−、
−O−、
−NR−、
−S−、
−SO−、及び
−SO
から選択されるリンカーであり、
mは、1及び2から選択され、
nは、1、2及び3から選択される。]
の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Lが−CR−である、請求項1に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項3】
及びRの少なくとも1つが水素である、請求項2に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項4】
及びRの各々が水素である、請求項2に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項5】
がアルキルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項6】
がメチルである、請求項5に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、R6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよいアリールである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、R6bから独立に選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項7に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が、ハロゲン及びシアノから選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項8に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が、2−シアノフェニル、2−クロロ−5−フルオロフェニル、2−シアノ−5−フルオロフェニル及び2−ブロモ−5−フルオロフェニルから選択される、請求項9に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項11】
が水素である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が水素である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が水素である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項14】
(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)ベンゾニトリル、
(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン、
(R)−2−((3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−6−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−4(5H)−イル)メチル)−4−フルオロベンゾニトリル、及び
(R)−3−(3−アミノピペリジン−1−イル)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン
から選択される少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
ジペプチジルペプチダーゼIV酵素の阻害に反応性の状態を治療する方法であって、それが必要と認められる患者に有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
【請求項17】
インスリン抵抗性、高血糖症及びII型糖尿病から選択される状態を治療する方法であって、それが必要と認められる患者に有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物及び/又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2013−516391(P2013−516391A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546340(P2012−546340)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/CN2010/080370
【国際公開番号】WO2011/079778
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512172109)シャンハイ フォチョン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】