説明

ジャイロセンサ及びその製造方法

【課題】 特に、振動子を底面が平坦なパッケージに設置でき、また角速度の検出精度に優れたジャイロセンサ及びその製造方法を提供することを目的としている。また、振動子の基部を連結した多連状態で動作試験を行えるようにしたジャイロセンサの製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 SOI基板33により形成された振動子25と、振動子25を収納するためのパッケージ40とを有する。振動子25は、上部シリコン基板13に形成された基部17及びアーム部15,16と、基部17下に絶縁層12を介して下部シリコン基板11により形成された台座部34と、を有して構成される。台座部34がパッケージ底面40aに接合され、底面40aとアーム部15,16との間に、アーム部の下方向への変位に対する許容空間41が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOI基板により形成された振動子を備えるジャイロセンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、従来のジャイロセンサの断面図を示す。
図6に示すように、ジャイロセンサを構成する振動子1はシリコン基板で形成される。振動子1は基部2と、基部2から延出して形成されたアーム部3とを有して構成される。図示しないが、振動子1上には、下部電極、圧電膜及び上部電極の順に積層された圧電機能素子が設けられている。
【0003】
図6に示すように振動子1は、パッケージ5内に収納されるが、このとき、振動子1のアーム部3と、パッケージ5の底面5aとの間に、アーム部3の下方向への変位に対する許容空間6を形成すべく、パッケージ5の底面5aには上方に突出する突出部7が形成される。そして、突出部7と振動子1の基部2の間がダイボンディングされる。
【0004】
しかしながら従来におけるジャイロセンサには次のような問題点があった。まず、底面5aが平坦なパッケージ5を使用できず、パッケージ5の底面5aに突出部7が形成されるように加工することが必要であった。
【0005】
また所定の検出精度を得るために、基部2を突出部7に対して高精度に位置決めすることが必要であった。
【0006】
また、シリコン基板で形成された基部2の直下にダイボンディングによる接着層8が設けられるため、接着層8で生じた応力がアーム部3にまで影響しやすい。よって角速度検出の精度が低下しやすかった。
【0007】
また振動子1は基部2が連結された多連状態で形成され、最終的に個々の振動子1に分断されて、各振動子1が各パッケージ5内に収納される。従来では、上記した多連状態では、連結された基部2の強度が非常に弱いので、基部2が不安定な状態にある。よって、多連状態の振動子1の動作試験装置への移動や、多連状態の振動子1に対する動作試験のセッティングを安定して行うことが難しかった。また、多連状態の振動子1では、移動時やセッティング時等に、弱い基部2の部分が折れ曲がる等のダメージを受ける可能性が高かった。よって、個々の振動子1に分断した後、動作試験を行うことが必要であった。また、動作試験を行うには、各振動子1を、図6に示すような底面5aに突出部7が形成された設置面に位置決めして固定することが必要となった。さらに、振動子1をパッケージ5に組み込んだ後、動作試験を行う場合には、不良品と判断されたとき、そのパッケージごと廃棄処分としなければならず生産性が低下した。
【特許文献1】特開2008−58066号公報
【特許文献2】特開平8−233852号公報
【特許文献2】特開2007−316090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、振動子を底面が平坦なパッケージに設置でき、また角速度の検出精度に優れたジャイロセンサ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
また、振動子の基部を連結した多連状態で動作試験を行えるようにしたジャイロセンサの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明におけるジャイロセンサは、
上部シリコン基板と下部シリコン基板と、前記上部シリコン基板と前記下部シリコン基板の間に介在する絶縁層とで構成されるSOI基板により形成された振動子と、前記振動子を収納するためのパッケージとを有し、
前記振動子は、前記上部シリコン基板に形成された基部及び前記基部から延びるアーム部と、前記基部下に前記絶縁層を介して前記下部シリコン基板により形成された台座部と、を有して構成され、
前記台座部が前記パッケージの底面に接合され、前記パッケージの底面と前記アーム部との間に、前記アーム部の下方向への変位に対する許容空間が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、前記底面の前記振動子との対向領域が平坦面で形成されているパッケージを使用できる。
【0012】
このように本発明では、底面が平坦なパッケージを用いても、アーム部とパッケージ底面の間にアーム部の下方向への変位に対する許容空間を適切且つ簡単に形成できる。また、台座部とパッケージ底面間の接合領域で生じた応力のアーム部に対する影響を効果的に抑制できる。
【0013】
また本発明におけるジャイロセンサの製造方法は、
(a) 上部シリコン基板と下部シリコン基板と、前記上部シリコン基板と前記下部シリコン基板の間に介在する絶縁層とで構成されるSOI基板の前記上部シリコン基板に基部と、前記基部から延びるアーム部とを有して構成される振動子を形成し、このとき複数の前記振動子に対応する複数組の前記アーム部を形成するとともに、各振動子の前記基部を連結して形成する工程、
(b) 前記下部シリコン基板の裏面の前記基部と対向する位置にマスク層を形成する工程、
(c) 前記裏面に前記マスク層が形成された前記下部シリコン基板が台座部として残されるように、それ以外の前記下部シリコン基板を除去する工程、
(d) 前記台座部と前記基部間の前記絶縁層を残し、それ以外の前記絶縁層を除去する工程、
(e) 前記マスク層を除去する工程、
(f) 前記基部を切断して各振動子に分断する工程、
(g) 前記振動子の前記台座部を、パッケージの底面に接合して、前記パッケージの底面と前記アーム部との間に、前記アーム部の下方向への変位に対する許容空間を形成する工程、
を有することを特徴とするものである。
【0014】
上記により台座部を備えた複数の振動子を同時に簡単な製造方法で形成できる。また底面が平坦なパッケージを用いることができ、台座部をパッケージ底面に接合したときに、適切に、パッケージ底面とアーム部との間に、アーム部の下方向への変位に対する許容空間を形成することが可能である。
【0015】
また本発明では、前記(e)工程と前記(f)工程の間で、前記基部が連結された多連状態の各振動子に対して動作試験を行うことが好ましい。本発明では、基部と対向する位置に下部シリコン基板からなる台座部を形成している。よって連結された基部の強度を高く保つことができる。したがって、動作試験工程への移動やセッティング等を安定した状態でスムーズに行うことができる。また、このとき、連結された基部の部分が折れ曲がる等のダメージを受けることを効果的に抑制できる。また、台座部を動作試験装置の設置面に仮接合したり、台座部を挟持したりすることで、アーム部下に簡単且つ適切にアーム部の下方向への変位に対する許容空間を簡単且つ適切に形成できる。よって本発明では、動作試験を、基部が連結された多連状態で適切に行うことができる。そして、動作試験にて不良品があれば、振動子をパッケージに組み込む前に、その振動子を廃棄処分することができ、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、振動子を底面が平坦なパッケージに設置でき、また角速度の検出精度に優れたジャイロセンサを形成できる。
【0017】
また、振動子の基部を連結した多連状態で適切に動作試験を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1(a)は本実施形態における振動型ジャイロセンサの平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線に沿って切断し矢印方向から見た振動型ジャイロセンサの断面図、である。
【0019】
各図におけるX軸方向及びY軸方向は基板平面内での直交する2方向を指す。Z軸方向はX軸方向及びY軸方向に対して直交する高さ方向(垂直方向)を指す。
【0020】
図1に示すように振動型ジャイロセンサ10は、振動子25と、振動子25を収納するためのパッケージ40とを有して構成される。
【0021】
振動子25は、下部シリコン基板11と、上部シリコン基板13と、下部シリコン基板11と上部シリコン基板13の間に形成された絶縁層(具体的にはSiO2)12との積層構造からなるSOI基板33を加工して形成されたものである。
【0022】
図1に示す形態では振動子25は音叉型振動子であるが特に限定されるものではない。図1(a)(b)に示すように振動子25を構成する上部シリコン基板13には、X軸方向に所定間隔を空けてY軸方向に長く延びる複数本のアーム部15,16(第1アーム部15と第2アーム部16)と、これらアーム部15,16の一端部側を連結する基部17とが形成される。なおアーム部15,16の数は図2に示す2本であることに限定されない。
【0023】
図1(b)に示すように、基部17下には絶縁層12を介して、下部シリコン基板11で形成された台座部34が形成されている。絶縁層12は、基部17と台座部34との間に介在している。ただし、絶縁層12は、基部17と台座部34との対向領域での外周部分が除去されて、絶縁層12の平面面積が対向領域の面積より小さくなっていてもよい。
【0024】
そして台座部34の下面34aが、パッケージ40の底面40aにダイボンディング等により接合されている。符号35は接着層を示している。また図示していないが、パッケージ40の上面は蓋体により閉じられ、パッケージ40と蓋体で囲まれた内部が密閉状態にされている。
【0025】
図1(a)(b)に示すように、振動子25上には、圧電機能素子14が形成されている。圧電機能素子14はアーム部15,16から基部17に至る上部シリコン基板13の上面に形成される。以下、圧電機能素子14の形態について説明する。
【0026】
図1(a)に示すように、第1アーム部15を構成する上部シリコン基板13上には互いにX軸方向に離間して設けられた第1駆動部18及び第2駆動部19と、駆動部18,19間に離間して設けられた検出部20が設けられる。
【0027】
図1(b)に示すように、第1駆動部18及び第2駆動部19は、下から下部電極28、例えばPZTからなり垂直方向(Z軸方向)に分極処理された圧電膜29、及び上部電極(駆動電極)31の順に積層されている。
【0028】
また、検出部20も、下から下部電極28、例えばPZTからなり垂直方向(Z軸方向)に分極処理された圧電膜29、及び上部電極(検出電極)31の順に積層されている。
【0029】
検出部20は、アーム部15のX軸方向(幅方向)の略中心位置にY軸方向に沿って設けられており、各駆動部18,19は、検出部20からX軸方向(幅方向)に略等間隔の位置にY軸方向に沿って設けられる。
【0030】
図1(a)に示すように、第2アーム部16側にも第1アーム部15と同じ圧電機能素子14が形成されている。第1アーム部15に形成された圧電機能素子14と第2アーム部16に形成された圧電機能素子14とは、第1アーム部15と第2アーム部16との間のY軸方向への中心線を対称軸として線対称関係で形成される。
【0031】
下部電極28は、共通グランドとして機能し、図1に示すように、下部電極28の一部は、圧電膜29に形成された穴部29aから電極パッドとして露出している。
【0032】
図1(a)に示すように、第1アーム部15に形成された第1駆動部18の上部電極31と、第2アーム部16に形成された第1駆動部18の上部電極31は、配線パターンと、両方の配線パターンに接続され、基部17の圧電膜29上に形成された共通の電極パッド21とで構成される。
【0033】
また図1(a)に示すように、第1アーム部15に形成された第2駆動部19の上部電極31と、第2アーム部16に形成された第2駆動部19の上部電極31は、配線パターンと、両方の配線パターンに接続され、基部17の圧電膜29上に形成された共通の電極パッド22とで構成される。
【0034】
さらに図1(a)に示すように、第1アーム部15に形成された検出部20の上部電極31、及び第2アーム部16に形成された検出部20の上部電極31は、配線パターンと、各配線パターンに接続され、基部17の圧電膜29上に形成された各電極パッド23,24とで構成される。
【0035】
各電極パッド上にワイヤボンディングが施されて図示しない集積回路(IC)との間で電気的に接続される。集積回路から互いに位相が逆の駆動振動が電極パッド21,22に供給される。このとき、圧電効果により、例えば、第1駆動部18の圧電膜29がY軸方向に縮むと、第2駆動部19の圧電膜29はY軸方向に延びる。これにより各アーム部15,16が逆位相でX軸方向に曲がり音叉振動を起こす。
【0036】
このように振動子25がX軸方向にて音叉振動しているときに、Y軸周りの角速度Ωが振動型ジャイロセンサ10に印加されるとコリオリ力により各アーム部15,16がZ軸方向に逆位相で変位する。このときの各アーム部15,16の変位量は各アーム部15,16に設けられた検出部20の上部電極31にて検出される。各アーム部15,16の上部電極31にて検出された電荷は逆極性であり、それら電荷は夫々電極パッド23,24に導かれる。そして各電極パッド23,24にワイヤボンディングを介して電気的に接続される集積回路にて信号処理がされて角速度信号が出力される。
【0037】
図1に示すように本実施形態では、上部シリコン基板13で形成された基部17下に絶縁層12を介して下部シリコン基板11で形成された台座部34が形成されている。そして、台座部34がパッケージ40の底面40aに接合されている。これにより、底面40aが平坦なパッケージ40を用いても、上部シリコン基板13で形成されたアーム部15,16とパッケージ40の底面40a間に、アーム部15,16の下方向への変位に対する許容空間41を適切に形成することができる。
【0038】
また、台座部34と、パッケージ40の底面40a間を接合することで、接着層35で生じた応力のアーム部15,16に対する影響を効果的に抑制することができる。
【0039】
このように、本実施形態では、許容空間41を形成するためにパッケージ40の底面40aに対して特別な加工を必要とせず、パッケージ構造を簡単に出来る。
【0040】
あるいは、底面40aの加工の自由度を高めることが出来る。台座部34の厚さは250〜350μm程度であり、アーム部15,16の下方向への変位量が最大で1μm程度なので、許容空間41の高さ方向への間隔は、台座部34の厚さ分あれば十分である。よって、本実施形態では特に振動子25と対向する領域の底面40aを平坦面で形成できるが、アーム部15,16の変位を確保できれば、平坦面でなくてもよい。したがって、本実施形態の構成では、底面40aの加工の自由度を高めることが出来る。なお、振動子25との対向領域以外の領域については、平坦面で形成しても、凹凸面等で形成しても、それは任意に設定できる。
【0041】
また、パッケージ40の底面40aに対する接合は、振動子25のうち台座部34の下面34aであるため、多少の位置ずれを許容できる。すなわち本実施形態では、台座部34からのアーム部15,16の延出長さは台座部34のパッケージ40に対する設置位置に関わらず、一定であるため、台座部34の設置位置が多少ずれても特性に大きな影響を及ぼすことがない。
【0042】
また、接合領域で生じた応力のアーム部15,16に対する影響を抑制できるため、角速度の検出精度を向上させることが可能になる。
【0043】
図2ないし図5を用いて本実施形態のジャイロセンサの製造方法を説明する。図3ないし図5は、図1(a)と同じ部分から切断した製造工程中における振動子25の断面図である。図2は、製造工程中における振動子25の平面図、である。
【0044】
下から下部シリコン基板11、絶縁層(具体的にはSiO2層)12及び上部シリコン基板13の順に積層されたSOI基板33の上部シリコン基板13に図2のように、基部50と基部50から延出するアーム部15,16をディープRIE等で形成する。
【0045】
図2に示すように、複数の振動子25(図2では3つ)に対応する複数組のアーム部15,16(図2では計6本)を形成するとともに、各振動子25を連結した基部50を形成する。
【0046】
なお図2のように既に下部電極、圧電膜及び上部電極からなる圧電機能素子14が各振動子25に対して形成されているものとする。
【0047】
次に図3に示すように、上部シリコン基板13に形成された基部50と対向する下部シリコン基板11の裏面11aに例えばレジストからなるマスク層51を形成する。このマスク層51は基部50と対向する領域全体に例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されている。
【0048】
続いて図4に示す工程では、裏面11aにマスク層51が形成された下部シリコン基板11が台座部52として残されるように、それ以外の裏面にて露出する下部シリコン基板11を全て除去する。このとき、下部シリコン基板11をRIE等で除去する。
【0049】
上記した工程にて形成された台座部52は基部50と同じ大きさで形成される。すなわち基部50下の全面に台座部52が形成されている。
【0050】
次に図5に示す工程では、台座部52と基部50の間に絶縁層12を残し、それ以外の裏面にて露出する絶縁層12を除去する。このとき、シリコン基板11、13をエッチングせず、絶縁層12のみをエッチングできるように選択性のあるエッチング剤を使用する。なお図5工程では、エッチング剤の染み込みにより、台座部52と基部50の間の外周付近の絶縁層12も一部、除去されることがある。
【0051】
そしてマスク層51を除去する。
上記した製造方法では、振動子25が複数、基部50の部分で連結された多連状態で形成される。図2に示す上部シリコン基板13で形成された基部50の部分では、その下に絶縁層12を介して下部シリコン基板11で形成された台座部52が形成されている。よって連結された基部50の強度を効果的に高くできる。
【0052】
本実施形態では、多連状態の振動子25を個々の振動子25に分断する前に、各振動子25に対して動作試験を行うことが出来る。すなわち、本実施形態では、連結された基部50の強度を高く保つことが出来るため、多連状態の振動子25の動作試験装置への移動や動作試験のためのセッティング等を安定した状態でスムーズに行うことが出来る。しかも、このとき、連結された基部50の部分が折れ曲がる等のダメージを受けることを抑制できる。また、台座部52を動作試験装置の設置面に仮接合したり、台座部50を挟持したりすることで、アーム部15,16下に簡単且つ適切にアーム部15,16の下方向への変位に対する許容空間を形成できる。よって本実施形態では、動作試験を、基部50が連結された多連状態で適切に行うことができる。そして、動作試験にて不良品があれば、振動子25をパッケージに組み込む前に、その振動子25を廃棄処分することができ、生産性を向上させることができる。
【0053】
続いて、基部50を切断して、多連状態の振動子25を個々に分断する。これにより図1に示す振動子25が完成する。そして、台座部34を、パッケージ40の底面40aにダイボンディングにより接合する。このとき、パッケージ40の底面40aとアーム部15,16との間に、アーム部15,16の下方向への変位に対する許容空間41が形成される。
【0054】
上記した製造方法によれば、台座部34を備えた複数の振動子25を同時に簡単な製造方法で形成できる。また底面40aが平坦なパッケージ40を用いることができ、台座部34をパッケージ40の底面40aに接合したときに、簡単且つ適切に、底面40aとアーム部15,16との間に、アーム部15,16の下方向への変位に対する許容空間41を形成することが可能である。また、振動子25をパッケージ40の底面40aに接合するとき多少の位置ずれを許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)は本実施形態における振動型ジャイロセンサの平面図、(b)は、図1(a)のA−A線に沿って切断し矢印方向から見た振動型ジャイロセンサの断面図、
【図2】製造工程中における振動子25の平面図、
【図3】図1(a)と同じ部分から切断した製造工程中における振動子25の断面図、
【図4】図3の次に行われる工程を示す断面図、
【図5】図4の次に行われる工程を示す断面図、
【図6】従来の振動型ジャイロセンサの部分断面図、
【符号の説明】
【0056】
10 振動型ジャイロセンサ
11 下部シリコン基板
12 絶縁層
13 上部シリコン基板
14 圧電機能素子
15,16 アーム部
17、50 基部
25 振動子
34、52 台座部
40 パッケージ
40a (パッケージの)底面
41 許容空間
51 マスク層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部シリコン基板と下部シリコン基板と、前記上部シリコン基板と前記下部シリコン基板の間に介在する絶縁層とで構成されるSOI基板により形成された振動子と、前記振動子を収納するためのパッケージとを有し、
前記振動子は、前記上部シリコン基板に形成された基部及び前記基部から延びるアーム部と、前記基部下に前記絶縁層を介して前記下部シリコン基板により形成された台座部と、を有して構成され、
前記台座部が前記パッケージの底面に接合され、前記パッケージの底面と前記アーム部との間に、前記アーム部の下方向への変位に対する許容空間が形成されていることを特徴とするジャイロセンサ。
【請求項2】
前記底面の前記振動子との対向領域が平坦面で形成されている請求項1記載のジャイロセンサ。
【請求項3】
(a) 上部シリコン基板と下部シリコン基板と、前記上部シリコン基板と前記下部シリコン基板の間に介在する絶縁層とで構成されるSOI基板の前記上部シリコン基板に基部と、前記基部から延びるアーム部とを有して構成される振動子を形成し、このとき複数の前記振動子に対応する複数組の前記アーム部を形成するとともに、各振動子の前記基部を連結して形成する工程、
(b) 前記下部シリコン基板の裏面の前記基部と対向する位置にマスク層を形成する工程、
(c) 前記裏面に前記マスク層が形成された前記下部シリコン基板が台座部として残されるように、それ以外の前記下部シリコン基板を除去する工程、
(d) 前記台座部と前記基部間の前記絶縁層を残し、それ以外の前記絶縁層を除去する工程、
(e) 前記マスク層を除去する工程、
(f) 前記基部を切断して各振動子に分断する工程、
(g) 前記振動子の前記台座部を、パッケージの底面に接合して、前記パッケージの底面と前記アーム部との間に、前記アーム部の下方向への変位に対する許容空間を形成する工程、
を有することを特徴とするジャイロセンサの製造方法。
【請求項4】
前記(e)工程と前記(f)工程の間で、前記基部が連結された多連状態の各振動子に対して動作試験を行う請求項3記載のジャイロセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−60398(P2010−60398A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225511(P2008−225511)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】