説明

ジャダーマップを利用した画像処理装置及びその方法

【課題】 ジャダーマップを利用した画像処理装置及び方法を提供すること。
【解決手段】 ジャダーマップを利用した画像処理装置は、外部から時間的に連続的な複数のフィールドからなるインターレースフォーマットの画像信号を受け取って格納するフィールド格納部と、フィールド格納部から時間的に連続的な複数のフィールドを受け取って、入力画像がフィルムモードの画像であるか否かを検出するフィルム検出部と、フィールド格納部から受け取った時間的に連続する複数のフィールドのうち、隣接する複数のフィールドから所定ピクセルまたは所定ブロックに存在するジャダーを検出してジャダーマップを生成するジャダーマップ生成部と、入力画像がフィルムモードの画像であると判断された場合、ジャダーマップを利用して画像補間を行なって、プログレッシブフォーマットの画像信号を生成/出力する画像補間部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般に、画像ディスプレイ装置において、インターレーススキャン方式やプログレッシブスキャン方式のうち、いずれかの方式が用いられる。インターレーススキャン方式とは、通常のTVなどに用いられ、1つの画像を表示する時、1つのイメージフレームを2つのフィールドに分けて順次交互に画面に表示する方式のことをいう。この時、2つのフィールドは、トップフィールドとボトムフィールド、上位フィールドと下位フィールド、奇数フィールドと偶数フィールドなどと呼ばれる。これに対して、プログレッシブスキャン(あるいはノン・インターレーススキャン)方式とは、コンピュータモニタ、デジタルTVなどに用いられ、フィルムをスクリーンに映写するように、1つのイメージフレームをフレーム単位として、全体フレームを1度に表示する方式のことをいう。
【0002】
例えば、480ラインのNTSCのインターレーススキャン方式では、1つのフレームは240ラインに分けられた2つのフィールドに分けられて表示され、このように分けられた240ラインのフィールドは、1/60秒毎に交互に画面に表示される。これに対し、プログレッシブスキャン方式では、480ラインのイメージを1/60秒毎に1度にフレーム全体のイメージを完全に見せる。したがって、プログレッシブスキャン方式によるプログレッシブフォーマットの画像は、インターレーススキャン方式によるインターレースフォーマットの画像に比べて画質に優れる。
【0003】
このようなプログレッシブスキャン方式と最も密接な関係があるものがフィルムで製作された映画であり、これは最近発売されている殆どのDVD映画タイトルのオリジナルソースがまさにフィルムで製作された映画であるからである。映画の場合、NTSC TVの場合とは異なり、秒当たり24フレームで製作される。もちろん、DVDの場合、オリジナル映画と同様に24フレームのオリジナルイメージを直ちにDVDに製作することも可能である。しかし、現在普及されている一般的なTVのような画像ディスプレイ装置の多くがインターレーススキャン方式の装置であるゆえに、現実的にDVDはこのような点を考慮し、インターレーススキャン方式で製作されるようになる。
【0004】
したがって、24フレームのプログレッシブフォーマットのフィルムを60フィールドのインターレースフォーマットの画像に転換させる作業が必要となり、これを3:2プルダウンあるいはテレシネという。3:2プルダウン方法とは、2枚の24Hzフレームを5枚の60Hzフィールドに変換させる技法である。一方、映画フィルムをPAL方式またはSECAM方式のTVに伝送する場合には、秒当たり25画面から50フィールドを得なければならないので、それぞれのフレームに対して2フィールドを得れば良い。このように、ぞれぞれのフレームに対して2フィールドを走査する方式を2:2プルダウン方式という。
【0005】
図1は、3:2プルダウン方式を説明するための図である。図1に示すように、秒当たり24フレームのプログレッシブフォーマットで製作された画像は、60Hzのインターレースフォーマットの画像に変換される。すなわち、同図に示すように、最初のフレームであるフレーム1から3つのフィールドが生成され、第2のフレームであるフレーム2から2つのフィールドが生成される等、全体的に2つのフレーム当たり5つのフィールドが生成される。
【0006】
ところで、プログレッシブスキャン方式を用いる画像ディスプレイ装置が増加されると共に、互いに異なるスキャン方式を用いる装置同士の間のデータ交換の必要性が増えるにつれて、インターレーススキャン方式をプログレッシブスキャン方式に変換するIPC(Interlaced-to-Progressive Conversion)方法が必要となる。このようなIPC処理過程の中で、補間するフィールドが3:2プルダウンされて生成された3:2プルダウンフォーマットの画像であるということが分かれば、インターレースフォーマットのフィールドを組み合わせて、3:2プルダウンされる前の完全なプログレッシブフォーマットの画像を容易に得ることができる。したがって、IPC方法の実行に先立ち、補間するフィールドが3:2プルダウン画像であるか否かを検出する必要が生じる。このような3:2プルダウンフォーマットの画像を検出する方法に対しては、多様な先行技術が存在する。
【0007】
従来の技術に係る3:2プルダウン画像の検出過程を説明すれば、次の通りである。
【0008】
3:2プルダウンで検出された10個のフィールドをそれぞれF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10とする場合、SAD(Sum of Absolute Difference)の周期が5であるという点を利用して、3:2プルダウンイメージを検出する。すなわち、2フィールドを周期としてSADを求めれば、F1−F3、F6−F8のSADは極めて小さくなる(若し、ノイズがないならば、SADは0に近づく。ここで、SADが極めて小さくなる理由は、繰り返されたフィールドから本来のフィールドを引き算するからである。このような規則性を利用し3:2プルダウンイメージ検出では、常に1/30秒間隔だけ離れた2フィールドを画素別に引き算して絶対値を取り、その値を全ての画素に対して合算した結果を中間データにする。例えば、|F1−F3|=D1、|F2−F4|=D2、|F3−F4|=D3...などと仮定すれば、SAD値であるD1とD6は極めて小さい値を有するようになり、残りの値は極めて大きい値を有するようになる。また、それぞれのSAD値は、小、大、大、大、大のような規則性を有するようになる。
【0009】
しかし、画面の編集などにより、上記のSAD値の規則性がなくなり得るし、この場合、逆プルダウン変換の際にジャダー(judder)が発生できる。また、プルダウン規則に反するCGI(Computer Graphic Imagery)や字幕(サブタイトル)などでジャダーが発生するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、プールダウン規則に反するCGIや字幕などに発生するジャダーを防止できる、ジャダーマップを利用した画像処理装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するための本発明に係るジャダーマップを利用した画像処理装置は、外部から時間的に連続的な複数のフィールドからなるインターレースフォーマットの画像信号を受け取って格納するフィールド格納部と、フィールド格納部から時間的に連続的な複数のフィールドを受け取って、入力画像がフィルムモードの画像であるか否かを検出するフィルム検出部と、フィールド格納部から受け取った時間的に連続する複数のフィールドのうち、隣接する複数のフィールドから所定ピクセルまたは所定ブロックに存在するジャダーを検出してジャダーマップを生成するジャダーマップ生成部と、入力画像がフィルムモードの画像であると判断された場合、ジャダーマップを利用して画像補間を行なって、プログレッシブフォーマットの画像信号を生成/出力する画像補間部と、を備えることが好ましい。
【0012】
ここで、フィールド格納部が、現在補間するフィールドである現在フィールドを格納するための現在フィールド格納部と、前記現在フィールドに時間的に前後に位置する以前フィールド及び次のフィールドを格納するための以前フィールド格納部及び次のフィールド格納部と、を備えることが好ましい。
【0013】
ここで、ジャダーマップ生成部が、隣接するフィールドの連続的な3つのラインのピクセル値がジャダー特性を有するか否かを判別し、ピクセル単位でジャダーを検出するピクセル単位ジャダー検出部と、ピクセル単位ジャダー検出部から検出されたジャダー情報に基づいて、ジャダーマップを生成し、生成されたジャダーマップを格納するジャダーマップ格納部と、を備えることが好ましい。
【0014】
ここで、ピクセル単位ジャダー検出部が、隣接するフィールドの連続的なラインLi−1、L、Li+1において、水平方向に同じ位置に存在する所定ピクセルに対して中間値を算出する中間値算出部と、i番目のラインLiの所定ピクセル値と中間値算出部から算出された中間値との差に絶対値を取って、差値を算出する差値算出部と、差値と所定しきい値とを比較した後、差値が所定しきい値より大きければ、i番目のラインLの所定ピクセルにジャダーが存在することと判断し、差値が所定しきい値より小さければ、前記i番目のラインLの所定ピクセルにジャダーが存在しないことと判断する比較部と、を備えることが好ましい。
【0015】
ここで、ジャダーマップ生成部は、所定大きさのブロックを基準とし、ピクセル単位ジャダー検出部から検出されたジャダーの個数を算出し、算出されたジャダーの個数と所定しきい値とを比較して、前記所定大きさのブロックにジャダーが存在するか否かを判断することにより、ブロック単位でジャダーを検出するブロック単位ジャダー検出部をさらに備えることが好ましい。
【0016】
ここで、ブロック単位ジャダー検出部は、所定ブロックから算出されたジャダーの個数が所定しきい値より大きい場合、所定ブロックはジャダーが存在することと判断し、所定ブロックから算出されたジャダーの個数が所定しきい値より小さい場合、所定ブロックはジャダーが存在しないことと判断することが好ましい。
【0017】
ここで、ブロック単位ジャダー検出部は、ピクセル単位ジャダー検出部とジャダーマップ格納部との間に位置することが好ましい。
【0018】
ここで、ジャダーマップ生成部は、ブロック単位ジャダー検出部により所定ブロックからジャダーが検出されれば、ジャダーが検出されたブロック周りの上下左右4個のブロックをジャダー検出ブロックと見なして、ジャダー検出領域を拡張するジャダー領域拡張部をさらに備えることが好ましい。
【0019】
ここで、ジャダー領域拡張部は、ブロック単位ジャダー検出部とジャダーマップ格納部との間に位置することが好ましい。
【0020】
ここで、ジャダー領域拡張部は、ジャダーマップ格納部の後段に位置することが好ましい。
【0021】
ここで、画像補間部は、入力画像がフィルムモードの画像であり、補間したフィールド内のピクセルまたはブロックからジャダーが検出された場合、ピクセルまたはブロックに対して空間的補間を行なうことが好ましい。
【0022】
ここで、画像補間部は、入力画像がフィルムモードの画像であり、補間するフィールド内のピクセルまたはブロックからジャダーが検出されない場合、ピクセルまたはブロックに対して時間的補間を行なうことが好ましい。
【0023】
ここで、画像補間部は、入力画像がフィルムモードの画像でない場合、ジャダー検出されるか否かに関係なく既設定されたIPCによって、時間的補間及び空間的補間を行なうことが好ましい。
【0024】
また、本発明に係るジャダーマップを利用した画像信号処理方法は、外部から時間的に連続的な複数のフィールドからなるインターレースフォーマットの画像信号を受け取って格納するステップと、入力画像がフィルムモードの画像であるか否かを検出し、隣接する複数のフィールドから所定領域に存在するジャダーを検出してジャダーマップを生成するステップと、入力画像がフィルムモードの画像である場合、ジャダーマップを利用して、補間するフィールド内の所定領域からジャダーが検出されたか否かを判断するステップと、補間するフィールド内の所定領域からジャダーが検出された場合、所定領域に対して空間的補間を行ない、所定領域からジャダーが検出されない場合、所定領域に対して時間的補間を行なって、プログレッシブフォーマットの画像信号を出力するステップと、を含むことが好ましい。
【0025】
ここで、入力画像がフィルムモードの画像でない場合、既設定されたIPCによって時間的補間及び空間的補間を行なうステップをさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るジャダーマップを利用した画像処理装置によれば、プルダウン規則に反するCGI(Computer Graphic Imagery)や字幕などにジャダーが発生することを防止できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。一方、明細書記述上の便宜のため、同じ構成要素は同じ参照符号を付して説明する。
【0028】
図2は、本発明に係るジャダーマップを利用した画像処理装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、本発明に係るジャダーマップを利用した画像処理装置200は、フィールド格納部210、ジャダーマップ生成部230、フィルム検出部250、及び画像補間部270を含む。
【0029】
フィールド格納部210は、外部からインターレースフォーマットの画像信号を受け取り、この入力画像は、時間的に連続的な複数のフィールドからなる。この時、現在補間するフィールドを現在フィールドとし、現在フィールドの時間的に前後のフィールドをそれぞれ以前フィールド及び次のフィールドという。以前フィールド及び次のフィールドは、現在フィールドに対する参照フィールドとなる。すなわち、フィールド格納部210は、以前フィールドを格納する以前フィールド格納部212、現在フィールドを格納する現在フィールド格納部214、及び現在フィールド後に順次的に入力された次のフィールドを格納する次のフィールド格納部216を備える。
【0030】
フィルム検出部250は、入力画像が3:2または2:2プルダウンにより生成されたフィルム画像であるか否かを検出し、パターン生成部255及び決定部260を含む。フィルム検出部250のパターン生成部255は、入力画像のうち、時間的に連続する3つのフィールドに対してフィールド間の画素値の差を計算し、計算された値と所定の第1しきい値T1とを比較して、パターンを発生させる。
【0031】
すなわち、パターン生成部255は、時間的に連続する第1フィールドと第2フィールドとの間のピクセル値の差を計算し、ピクセル値の差が所定しきい値T1より大きい場合には、「1」を生成し、所定しきい値T1より小さい場合には、「0」を生成して、パターンを発生させる。第2フィールドと第3フィールドの場合にも、第1フィールドと第2フィールドの場合と同様に、第2フィールドと第3フィールドとの間のピクセル値の差を計算した後、所定しきい値T1と比較して、パターンを生成する。
【0032】
フィルム検出部250の決定部260は、パターン生成部255から生成された入力画像のパターンとフィルムモード画像のパターンとを比較して、入力画像がフィルムモードの画像であるか否かを決定する。フィルム検出部250のフィルム検出結果は、画像補間部270に提供される。
【0033】
ジャダーマップ生成部230は、フィールド格納部210から連続するフィールドを受け取って、隣接する複数のフィールドからピクセル単位またはブロック単位のジャダーマップを生成する。ジャダーマップとは、ジャダーの検出された所定領域が記録された情報のことをいう。
【0034】
画像補間部270は、フィルム検出部250から受け取った入力画像がフィルムモードの画像に該当するか否かに関する情報及びジャダーマップ生成部230から受け取った入力画像のジャダー情報に基づいて、画像補間を行う。すなわち、画像補間部270は、フィルム検出部250からフィルムモードの画像が検出されれば、ジャダーマップ生成部230から提供されたジャダー情報であるジャダーマップを利用して、ピクセル単位またはブロック単位で画像補間を行う。
【0035】
画像補間部270は、時間補間部278、空間補間部276、選択部272、及びミキサー(MIXER)274を含む。選択部272は、フィルム検出部250及びジャダーマップ生成部230からそれぞれ提供されたフィルム情報及びジャダー情報に基づいて画像補間を行なうように、ミキサー274を制御する。
【0036】
すなわち、入力画像がフィルムモードの画像でない場合、画像補間部270は、通常のIPC経路によって時間的補間及び空間的補間を行う。
【0037】
一方、入力画像がフィルムモードの画像である場合、画像補間部270はジャダーマップ生成部230から提供されたジャダー情報に基づいて、画像補間を行う。すなわち、所定ピクセルまたはブロックからジャダーが検出された場合、ミキサー274は、選択部272の制御により、空間補間部276に格納された現在フィールドに対応するフィールドを持ってきて、画像補間を行なうことにより、最終的にプログレッシブフレームを出力する。
【0038】
一方、所定ピクセルまたはブロックからジャダーが検出されない場合、ミキサー274は、選択部272の制御により、時間補間部278に格納された以前フィールドや次のフィールドの対応ピクセルまたはブロックを持ってきて、画像補間を行なうことにより、最終的にプログレッシブフレームを出力する。
【0039】
図3は、本発明の第1実施形態によるジャダーマップ生成部の詳細構成を示すブロック図である。同図に示すように、本発明の第1実施形態によるジャダーマップ生成部230は、隣接するフィールドの連続的な3ラインピクセル値がジャダー特性を有するか否かを判別し、所定ピクセルに存在するジャダーを検出するピクセル単位ジャダー検出部232、及びピクセル単位ジャダー検出部232から検出されたジャダー情報に基づいてジャダーマップを生成した後、これを格納するジャダーマップ格納部240を備える。
【0040】
ピクセル単位ジャダー検出部232は、中間値算出部234、差値算出部236、及び比較部238を含む。まず、中間値算出部234は、隣接する2フィールドにおいて、連続的な3つのラインに水平方向に同じ位置に存在する所定ピクセルに対して中間値を算出し出力する。3つのラインにおいて、水平方向に同じ位置に存在する所定の各ピクセル値が10、5、6である場合、中間値算出部234は、大きさの順、すなわち、10、6、5にピクセル値を分類した後、中間値である6を算出するようになる。ここで、連続的な3つのラインとは、隣接する2フィールドが第1フィールドと第2フィールドである場合、第1フィールドのLi−1番目のライン、第2フィールドのL番目のライン、第1フィールドのLi+1番目のラインを意味する。
【0041】
差値算出部236は、現在ラインLのピクセル値と中間値算出部234から提供された中間値との差を求めて、比較部238に出力する。この時、差値は絶対値として、大きさを示すものである。
【0042】
比較部238は、差値算出部236から提供された差値と所定第2しきい値T2とを比較することによって、入力画像に存在するジャダー情報を生成してジャダーマップ格納部240に出力する。すなわち、比較部238は、差値が所定第2しきい値T2より大きければ、入力画像にジャダーが存在することと判断し、差値が所定第2しきい値T2より小さければ、入力画像にジャダーが存在しないことと判断する。比較部238で判断されたジャダー情報は、ジャダーマップ格納部240に入力され、ジャダーマップ格納部240は、ジャダー情報を格納した後、画像補間部270に提供する。
【0043】
図4A〜4Cは、本発明の第2実施形態によるジャダーマップ生成部の詳細構成を示すブロック図である。まず、図4Aに示すように、本発明の第2実施形態によるジャダーマップ生成部230は、ピクセル単位ジャダー検出部232とジャダーマップ格納部240との間にブロック単位ジャダー検出部242をさらに含む。
【0044】
ブロック単位ジャダー検出部242は、ハードウェア具現の容易性とジャダー情報の拡張容易性のために、ピクセル単位ジャダー検出部232でピクセル単位で判別されたジャダー情報をブロック単位で分析し判別して、その情報をジャダーマップ格納部240に出力する。
【0045】
すなわち、ブロック単位ジャダー検出部242は、所定大きさのブロック内から検出されたジャダーの個数を算出し、算出されたジャダーの個数と所定第3しきい値T3とを比較して、ブロックのジャダー如何を判断する。ここで、所定ブロック内から検出されたジャダーの個数が所定しきい値より大きい場合、そのブロックはジャダーであると判断し、検出されたジャダーの個数が所定しきい値より小さい場合、そのブロックはジャダーでないと判断する。また、ブロックの大きさは製作者が適宜に決めることができる。
【0046】
次に、図4Bと図4Cに示すように、本発明の第2実施形態によるジャダー領域拡張部245は、ブロック単位ジャダー検出部242とジャダーマップ格納部240との間に位置したり、ジャダーマップ格納部240の後段に位置できる。ジャダー領域拡張部245は、ジャダーが分散されずに、エッジ領域に集中的に分布した特性を利用する。
【0047】
すなわち、ジャダー領域拡張部245は、ピクセル単位ジャダー検出部232とブロック単位ジャダー検出部242とにより所定ブロックからジャダーが検出されれば、ジャダーが検出されたブロック周りの上下左右4個のブロックをジャダー検出ブロックと見なして、ジャダー検出領域を拡張する。
【0048】
図5は、本発明に係るジャダーマップを利用した画像処理方法の説明に提供されるフローチャートである。同図に示すように、まず、フィールド格納部210は、外部の画像ソースからインターレースフォーマットの画像信号を受け取る(S510)。
【0049】
フィルム検出部250は、フィールド格納部210から時間的に連続するフィールドを受け取って、入力画像が3:2または2:2プルダウンにより生成されたフィルムモードの画像であるか否かを検出する(S520a)。フィルム検出部250から検出された入力画像がフィルムモードの画像であるか否かに関する情報は、画像補間部270の選択部272に提供される。
【0050】
一方、ジャダーマップ生成部230は、フィールド格納部210から連続するフィールドを受け取って、隣接する複数のフィールドからピクセル単位またはブロック単位のジャダーマップを生成する(S520b)。ジャダーマップとは、ジャダーの検出された所定領域が記録された情報のことを言う。ジャダーマップ生成部230からピクセルまたはブロック単位でジャダーを検出して、ジャダーマップを生成する方法については上述したものと同様であるので、これに対する説明は省略する。このように、ジャダーマップ生成部230から生成されたジャダーマップは、画像補間部270の選択部272に提供される。
【0051】
ステップS520aにおいて、入力画像がフィルムモードの画像でないと判明されれば(S530)、画像補間部270は、既設定された通常のIPC経路によって、時間的補間及び空間的補間を行う(S540)。
【0052】
一方、ステップS520aにおいて、入力画像がフィルムモードの画像であると判明されれば(S530)、画像補間部270内の選択部272は、ジャダーマップ生成部230から提供されたジャダーマップを利用し、現在ピクセルまたはブロックからジャダーが検出されたか否かを確認する(S550)。ここで、ジャダーが検出されたブロックは、図4B及び図4Cに示したジャダー領域拡張部245によりジャダーが検出されたものと見なされるブロックも含む。
【0053】
ステップS550において、補間したフィールド内のピクセルまたはブロックからジャダーが検出された場合、画像補間部270は、ピクセルまたはブロックに対して空間的補間を行なう(S660)。すなわち、ミキサー274は、選択部272の制御により空間補間部276に格納された現在フィールドに対応するフィールドを持ってきて、画像補間を行なうことにより、最終的にプログレッシブフォーマットの画像信号を出力する(S680)。
【0054】
一方、ステップS550において、補間するフィールド内のピクセルまたはブロックからジャダーが検出されない場合、画像補間部270は、ピクセルまたはブロックに対して時間的補間を行なう(S670)。ミキサー274は、選択部272の制御により時間補間部278に格納された以前フィールドや次のフィールドの対応ピクセルまたはブロックを持ってきて、画像補間を行なうことにより、最終的にプログレッシブフォーマットの画像信号を出力する(S680)。
【0055】
このような方式により、CGIや字幕などにジャダーが発生することを防止しながら、インターレースフォーマットの画像信号をプログレッシブフォーマットの画像信号に変換処理することが可能になる。
【0056】
以上、本発明の原理を例示するために本発明の好適な実施形態について図示し説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求している本発明の要旨を逸脱することなく、本発明に対する種々の変更及び修正が可能であることは当業者であれば理解できることであろう。よって、そのような変更及び修正は本発明の特許請求の範囲に含まれるものと見なすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】3:2プルダウンを説明するための図である。
【図2】本発明に係るジャダーマップを利用した画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるジャダーマップ生成部の詳細構成を示すブロック図である。
【図4A】本発明の第2実施形態によるジャダーマップ生成部の詳細構成を示すブロック図である。
【図4B】本発明の第2実施形態によるジャダーマップ生成部の詳細構成を示すブロック図である。
【図4C】本発明の第2実施形態によるジャダーマップ生成部の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係るジャダーマップを利用した画像処理方法の説明に提供されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
200 ジャダーマップを利用した画像処理装置
210 フィールド格納部
212 以前フィールド格納部
214 現在フィールド格納部
216 次のフィールド格納部
230 ジャダーマップ生成部
232 ピクセル単位ジャダー判断部
234 中間値算出部
236 差値算出部
238 比較部
240 ジャダーマップ格納部
242 ブロック単位ジャダー判断部
245 ジャダー領域拡張部
250 フィルム検出部
255 パターン生成部
260 決定部
270 画像補間部
272 選択部
274 ミキサー
276 空間補間部
278 時間補間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から時間的に連続的な複数のフィールドからなるインターレースフォーマットの画像信号を受け取って格納するフィールド格納部と、
該フィールド格納部から時間的に連続的な複数のフィールドを受け取って、入力画像がフィルムモードの画像であるか否かを検出するフィルム検出部と、
該フィールド格納部から受け取った時間的に連続する複数のフィールドのうち、隣接する複数のフィールドから所定ピクセルまたはブロックに存在するジャダーを検出してジャダーマップを生成するジャダーマップ生成部と、
前記入力画像がフィルムモードの画像であると判断された場合、前記ジャダーマップを利用して画像補間を行なって、プログレッシブフォーマットの画像信号を生成/出力する画像補間部と、を備えることを特徴とするジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項2】
前記フィールド格納部が、
現在補間するフィールドである現在フィールドを格納するための現在フィールド格納部と、
前記現在フィールドに時間的に前後に位置する以前フィールド及び次のフィールドを格納するための以前フィールド格納部及び次のフィールド格納部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項3】
前記ジャダーマップ生成部が、
隣接するフィールドの連続的な3つのラインのピクセル値がジャダー特性を有するか否かを判別し、ピクセル単位でジャダーを検出するピクセル単位ジャダー検出部と、
前記ピクセル単位ジャダー検出部から検出されたジャダー情報に基づいて、ジャダーマップを生成し、生成された前記ジャダーマップを格納するジャダーマップ格納部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項4】
前記ピクセル単位ジャダー検出部が、
隣接するフィールドの連続的なラインLi−1、L、Li+1において、水平方向に同じ位置に存在する所定ピクセルに対して中間値を算出する中間値算出部と、
前記i番目のラインLの所定ピクセル値と前記中間値算出部から算出された中間値との差に絶対値を取って、差値を算出する差値算出部と、
前記差値と所定しきい値とを比較した後、前記差値が所定しきい値より大きければ、前記i番目のラインLiの所定ピクセルにジャダーが存在することと判断し、差値が所定しきい値より小さければ、前記i番目のラインLiの所定ピクセルにジャダーが存在しないことと判断する比較部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項5】
所定大きさのブロックを基準とし、前記ピクセル単位ジャダー検出部から検出されたジャダーの個数を算出し、算出されたジャダーの個数と所定しきい値とを比較して、前記所定大きさのブロックにジャダーが存在するか否かを判断することにより、ブロック単位でジャダーを検出するブロック単位ジャダー検出部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項6】
前記ブロック単位ジャダー検出部は、
前記所定ブロックから算出されたジャダーの個数が所定しきい値より大きい場合、前記所定ブロックはジャダーが存在することと判断し、所定ブロックから算出されたジャダーの個数が所定しきい値より小さい場合、前記所定ブロックはジャダーが存在しないことと判断することを特徴とする請求項5に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項7】
前記ブロック単位ジャダー検出部は、
前記ピクセル単位ジャダー検出部と前記ジャダーマップ格納部との間に位置することを特徴とする請求項5に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項8】
前記ブロック単位ジャダー検出部により所定ブロックからジャダーが検出されれば、ジャダーが検出されたブロック周りの上下左右4個のブロックをジャダー検出ブロックと見なして、ジャダー検出領域を拡張するジャダー領域拡張部をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項9】
前記ジャダー領域拡張部は、
前記ブロック単位ジャダー検出部と前記ジャダーマップ格納部との間に位置することを特徴とする請求項8に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項10】
前記ジャダー領域拡張部は、
前記ジャダーマップ格納部の後段に位置することを特徴とする請求項8に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項11】
前記画像補間部は、
前記入力画像がフィルムモードの画像であり、補間したフィールド内のピクセルまたはブロックからジャダーが検出された場合、前記ピクセルまたはブロックに対して空間的補間を行なうことを特徴とする請求項1に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項12】
前記画像補間部は、
前記入力画像がフィルムモードの画像であり、補間するフィールド内のピクセルまたはブロックからジャダーが検出されない場合、前記ピクセルまたはブロックに対して時間的補間を行なうことを特徴とする請求項1に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項13】
前記画像補間部は、
前記入力画像がフィルムモードの画像でない場合、ジャダー検出されるか否かに関係なく既設定されたIPCによって、時間的補間及び空間的補間を行なうことを特徴とする請求項1に記載のジャダーマップを利用した画像処理装置。
【請求項14】
外部から時間的に連続的な複数のフィールドからなるインターレースフォーマットの画像信号を受け取って格納するステップと、
入力画像がフィルムモードの画像であるか否かを検出し、隣接する複数のフィールドから所定領域に存在するジャダーを検出してジャダーマップを生成するステップと、
前記入力画像がフィルムモードの画像である場合、前記ジャダーマップを利用して、補間するフィールド内の所定領域からジャダーが検出されたか否かを判断するステップと、
補間するフィールド内の前記所定領域からジャダーが検出された場合、前記所定領域に対して空間的補間を行ない、前記所定領域からジャダーが検出されない場合、前記所定領域に対して時間的補間を行なって、プログレッシブフォーマットの画像信号を出力するステップと、を含むことを特徴とするジャダーマップを利用した画像信号処理方法。
【請求項15】
前記入力画像がフィルムモードの画像でない場合、
既設定されたIPCによって時間的補間及び空間的補間を行なうステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のジャダーマップを利用した画像信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−109491(P2006−109491A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295081(P2005−295081)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】