説明

ジンバル機構及び赤外線誘導装置並びにジンバル機構の制御方法

【課題】迅速且つ正確に向きを制御できるジンバル機構及び赤外線誘導装置並びにジンバル機構の制御方法の提供。
【解決手段】ジンバル機構を、検知部2を第1の平面内の第1の軸で回動可能にする第1筐体5a、第1駆動部6a及び第1角度検出部7aと、第1筐体5aを第2の平面内の第2の軸で回動可能にする第2筐体5b、第2駆動部6b及び第2角度検出部7bと、第2筐体5bを第1の平面内の第3の軸で回動可能にする第3筐体5c、第3駆動部6c及び第3角度検出部7cと、第3筐体5cを第2の平面内の第4の軸で回動可能にする第4筐体5d、第4駆動部6d及び第4角度検出部7dとで構成し、第3駆動部6cで第2筐体5bを回動させる際に回転角のずれを打ち消すように検知部2を回動させ、第4駆動部6dで第3筐体5cを回動させる際に回転角のずれを打ち消すように第1筐体5aを回動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジンバル機構及び該ジンバル機構を備える機器並びに該ジンバル機構の制御方法に関し、特に、赤外線検知器を載置するジンバル機構及び該ジンバル機構を備える赤外線誘導装置並びに該ジンバル機構の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミサイルなどの飛翔体に搭載される赤外線誘導装置として、図7に示すような装置がある。この赤外線誘導装置12は、飛翔体先端部のドーム内に設置される2軸の自由度を有するジンバル13と、ジンバル13を2軸の各々で駆動する第1駆動部14a及び第2駆動部14bと、ジンバル13の2軸の角度を検出する第1角度検出部15a及び第2角度検出部15bと、飛翔体の角速度(レート)を検出するレート検出部9と、ジンバル13上に固定される集光光学系3及び検知器4と、検知器4からの信号を処理して赤外線画像を生成し、該赤外線画像をオートパイロット18に送信すると共に、オートパイロット18からの角度指令と第1角度検出部15a及び第2角度検出部15bからの角度情報とに基づく角度制御信号と、オートパイロット18からのレート指令とレート検出部9からのレート情報とに基づくレート制御信号とからなる制御信号を生成し、該制御信号を駆動制御部16に送信する演算処理部17と、演算処理部17からの制御信号に基づいて第1駆動部14a及び第2駆動部14bを制御する駆動制御部16と、演算処理部17からの赤外線画像を解析して目標物を検出し、飛翔体の進行方向を制御すると共に、演算処理部17に角度指令及びレート指令を送るオートパイロット18とを備えている。
【0003】
そして、目標物から放射された赤外線は集光光学系3によって検知器4に集光され、集光された赤外線は検知器4で電気信号に変換されて演算処理部17に送られ、演算処理部17では該信号からTVモニタ等の表示装置に適した形態の赤外線画像を生成してオートパイロット18に送信し、オートパイロット18ではその赤外線画像を解析して目標物を検出し、飛翔体の進行方向を制御すると共に、角度の目標値である角度指令とレートの目標値であるレート指令とを演算処理部17に送る。一方、ジンバル13の2軸の角度は各々第1角度検出部15a及び第2角度検出部15bで検出されて演算処理部17に送られ、また、飛翔体の角速度はレート検出部9で検出されて演算処理部17に送られる。
【0004】
演算処理部17では、オートパイロット18からの角度指令と第1角度検出部15a及び第2角度検出部15bからの角度情報とに基づいて角度制御信号を生成して駆動制御部16に送信すると共に、オートパイロット18からのレート指令とレート検出部9からのレート情報とに基づいてレート制御信号を生成して駆動制御部16に送信する。そして、これらの制御信号を送信した駆動制御部16では第1駆動部14a及び第2駆動部14bを制御し、ジンバル13を目標物に向けて目標物の追尾を行う。このような制御を行う赤外線誘導装置として、例えば、下記特許文献1に記載された赤外線追尾装置がある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−147123号公報(第3−6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、上記赤外線誘導装置では、広範囲な領域を走査するために、図8に示すように、アウタジンバル軸及びインナジンバル軸の2軸で回転可能なジンバル13に集光光学系3と集光した入射光を検知する検知器4とを含む検知部2を載置し、アウタトルクモータ及びインナトルクモータなどの2つの駆動手段(第1駆動部14a及び第2駆動部14b)や2つの角度検出手段(第1角度検出部15a及び第2角度検出部15b)を用いて検知部2の方向を制御している。
【0007】
しかしながら、各々の軸に対して1つの駆動手段を用いてジンバル13を回転させた場合、トルクモータなどの駆動手段の特性上、ジンバル13を目標とする回転角で正確に停止させることはできず、図9(a)に示すように、オーバーシュートやアンダーシュートによって回転角が変動してしまい、目標とする回転角に到達するまでに時間を要するという問題があった。また、図9(b)に示すように、回転速度を徐々に落としてオーバーシュートやアンダーシュートを抑制することも可能であるが、この方法でも、目標とする回転角に到達するまでに時間を要するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、迅速且つ正確に制御対象物の向きを制御することができるジンバル機構及び赤外線誘導装置並びにジンバル機構の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、制御対象物の向きを制御するジンバル機構であって、第1の平面内の2つの軸と、前記第1の平面と交差する第2の平面内の2つの軸とからなる4つの軸で回動可能に構成されるものである。
【0010】
本発明においては、前記第1の平面内の一方の軸と前記第2の平面内の一方の軸とが直交し、前記第2平面内の一方の軸と前記第1の平面内の他方の軸とが直交し、前記第1の平面内の他方の軸と前記第2の平面内の他方の軸とが直交する構成とすることができる。
【0011】
また、本発明は、制御対象物の向きを制御するジンバル機構であって、前記制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、及び、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記制御対象物を回動させる第1駆動部と、前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、及び、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部と、前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部と、前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部と、を少なくとも備えるものである。
【0012】
また、本発明は、制御対象物の向きを制御するジンバル機構であって、前記制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記制御対象物を回動させる第1駆動部、及び、前記第1筐体に固定され、前記制御対象物の回転角を検出する第1角度検出部と、前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部、及び、前記第2筐体に固定され、前記第1筐体の回転角を検出する第2角度検出部と、前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体の回転角を検出する第3角度検出部と、前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体の回転角を検出する第4角度検出部と、を少なくとも備えるものである。
【0013】
本発明においては、前記第1の軸と前記第2の軸とが直交し、前記第2の軸と前記第3の軸とが直交し、前記第3の軸と前記第4の軸とが直交する構成とすることができる。
【0014】
また、本発明においては、全ての軸が略一点で交差する構成とすることもできる。
【0015】
また、本発明は、入射赤外線を集光する集光光学系と集光された前記赤外線を電気信号に変換する検知器とを含む検知部と、前記検知部の向きを制御するジンバル機構と、前記ジンバル機構の動作を制御する駆動制御部と、を少なくとも備え、少なくとも前記検知部からの電気信号に基づいて生成される画像を参照して飛翔体を目標物に誘導する赤外線誘導装置において、前記ジンバル機構は、前記検知部を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、及び、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記検知部を回動させる第1駆動部と、前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、及び、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部と、前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部と、前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部と、を備え、前記駆動制御部は、前記第3駆動部を用いて前記第2筐体を回動させる際に、前記第3筐体に対する前記第2筐体の目標とする回転角からのずれを打ち消すように、前記第1駆動部を用いて前記検知部を回動させ、前記第4駆動部を用いて前記第3筐体を回動させる際に、前記第4筐体に対する前記第3筐体の目標とする回転角からのずれを打ち消すように、前記第2駆動部を用いて前記第1筐体を回動させる制御を行うものである。
【0016】
また、本発明は、入射赤外線を集光する集光光学系と集光された前記赤外線を電気信号に変換する検知器とを含む検知部と、前記検知部の向きを制御するジンバル機構と、前記ジンバル機構の動作を制御する駆動制御部と、を少なくとも備え、少なくとも前記検知部からの電気信号に基づいて生成される画像を参照して飛翔体を目標物に誘導する赤外線誘導装置において、前記ジンバル機構は、前記検知部を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記検知部を回動させる第1駆動部、及び、前記第1筐体に固定され、前記検知部の回転角を検出する第1角度検出部と、前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部、及び、前記第2筐体に固定され、前記第1筐体の回転角を検出する第2角度検出部と、前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体の回転角を検出する第3角度検出部と、前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体の回転角を検出する第4角度検出部と、を備え、前記駆動制御部は、前記第3駆動部を用いて前記第2筐体を回動させる際に、前記第3角度検出部で検出した前記第3筐体に対する前記第2筐体の回転角と目標とする回転角とのずれを打ち消すように、前記第1駆動部を用いて前記検知部を回動させ、前記第4駆動部を用いて前記第3筐体を回動させる際に、前記第4角度検出部で検出した前記第4筐体に対する前記第3筐体の回転角と目標とする回転角とのずれを打ち消すように、前記第2駆動部を用いて前記第1筐体を回動させる制御を行うものである。
【0017】
本発明においては、前記第1筐体、前記第2筐体及び前記第3筐体の赤外線の入射光路上に、赤外線を透過させる窓部又は開口部を備える構成とすることができる。
【0018】
また、本発明は、制御対象物の向きを制御するジンバル機構の制御方法であって、前記ジンバル機構を、前記制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、及び、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記制御対象物を回動させる第1駆動部と、前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、及び、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部と、前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部と、前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部と、で構成し、前記第3駆動部を用いて前記第2筐体を回動させる場合は、前記第3筐体に対する前記第2筐体の目標とする回転角からのずれを打ち消すように、前記第1駆動部を用いて前記制御対象物を回動させる第1の制御を行い、前記第4駆動部を用いて前記第3筐体を回動させる場合は、前記第4筐体に対する前記第3筐体の目標とする回転角からのずれを打ち消すように、前記第2駆動部を用いて前記第1筐体を回動させる第2の制御を行うものである。
【0019】
また、本発明は、制御対象物の向きを制御するジンバル機構の制御方法であって、前記ジンバル機構を、前記制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記制御対象物を回動させる第1駆動部、及び、前記第1筐体に固定され、前記制御対象物の回転角を検出する第1角度検出部と、前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部、及び、前記第2筐体に固定され、前記第1筐体の回転角を検出する第2角度検出部と、前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体の回転角を検出する第3角度検出部と、前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体の回転角を検出する第4角度検出部と、で構成し、前記第3駆動部を用いて前記第2筐体を回動させる場合は、前記第3角度検出部で検出した前記第3筐体に対する前記第2筐体の回転角と目標とする回転角とのずれを打ち消すように、前記第1駆動部を用いて前記制御対象物を回動させる第1の制御を行い、前記第4駆動部を用いて前記第3筐体を回動させる場合は、前記第4角度検出部で検出した前記第4筐体に対する前記第3筐体の回転角と目標とする回転角とのずれを打ち消すように、前記第2駆動部を用いて前記第1筐体を回動させる第2の制御を行うものである。
【0020】
本発明においては、前記第1の制御では、前記第1筐体に対する前記制御対象物の回動範囲を、前記第3筐体に対する前記第2筐体の回動範囲よりも小さくし、前記第2の制御では、前記第2筐体に対する前記第1筐体の回動範囲を、前記第4筐体に対する前記第3筐体の回動範囲よりも小さくすることができる。
【0021】
このように、本発明では、第3駆動部を用いて第3の軸を中心に第2筐体を回動させる際に、第2筐体の回転角のずれを打ち消すように、第1駆動部を用いて第1の軸を中心に制御対象物を回動させ、第4駆動部を用いて第4の軸を中心に第3筐体を回動させる際に、第3筐体の回転角のずれを打ち消すように、第2駆動部を用いて第2の軸を中心に第1筐体を回動させる制御を行うため、迅速且つ正確に制御対象物の向きを制御することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のジンバル機構及び赤外線誘導装置並びにジンバル機構の制御方法によれば、迅速且つ正確に検知部などの制御対象物の向きを制御することができる。
【0023】
その理由は、ジンバル機構を、集光光学系と検知器とを含む検知部などの制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能にする第1筐体、第1駆動部及び第1角度検出部と、第1筐体を第1の平面に交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能にする第2筐体、第2駆動部及び第2角度検出部と、第2筐体を第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能にする第3筐体、第3駆動部及び第3角度検出部と、第3筐体を第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能にする第4筐体、第4駆動部及び第4角度検出部とで構成し、ジンバル機構の動作を制御する駆動制御部では、第3駆動部を用いて第3の軸を中心に第2筐体を回動させる際に、第2筐体の回転角のずれを打ち消すように、第1駆動部を用いて第1の軸を中心に制御対象物を回動させ、第4駆動部を用いて第4の軸を中心に第3筐体を回動させる際に、第3筐体の回転角のずれを打ち消すように、第2駆動部を用いて第2の軸を中心に第1筐体を回動させる制御を行うからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
従来技術で示したように、従来の赤外線誘導装置には、集光光学系と検知器とを含む検知部を直交する2軸で回転させるジンバル機構が設けられているが、各々の軸を中心に回転させる場合に、目標とする回転角で正確にジンバルを停止させることができず、いわゆるオーバーシュートやアンダーシュートが発生し、目標とする回転角に到達するまでに時間を要するという問題があり、高速で飛翔する目標を捕捉して追尾する赤外線誘導装置にとっては重大な問題であった。
【0025】
そこで、本願では、迅速且つ正確に検知部の向きを制御するために、ジンバル機構を2軸で駆動するのではなく、第1の平面(例えば赤外光の入射軸に直交する平面)内の2つの軸と、第1の平面に交差する第2の平面(例えば赤外光の入射軸を含む平面)内の2つの軸の合計4つの軸を中心に回動可能にし、対となる2つの軸の一方の軸を中心にして回動させる際に、回転角のずれを打ち消すように、他方の軸を一方の軸と反対方向に回動させる制御を行う。
【0026】
これにより、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制して、迅速且つ正確に検知部の向きを制御できるようにする。
【実施例】
【0027】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係るジンバル機構及び赤外線誘導装置並びにジンバル機構の制御方法について、図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に係る赤外線誘導装置の構成を模式的に示す図であり、図2は、ジンバル機構の構造を模式的に示す平面図である。また、図3は、ジンバル機構の構造を模式的に示す斜視図であり、(a)は第3筐体と第4筐体との関係、(b)は第3筐体内の検知部と第1筐体と第2筐体との関係を示す図である。また、図4及び図5は、ジンバル機構の動作を説明するための図であり、図6は、本実施例の赤外線誘導装置を用いた目標物の追尾手順を示すフローチャート図である。
【0028】
図1に示すように、本実施例の赤外線誘導装置1は、入射赤外光を検知器4に集光する集光光学系3と、入射光を電気信号に変換する赤外線検出素子がアレイ状に配列された検知器4と、集光光学系3及び検知器4を含む検知部2を回動可能に保持するジンバル5と、ジンバル5を4軸で駆動する第1〜第4駆動部6a〜6dと、各々の軸の角度を検出する第1〜第4角度検出部7a〜7dと、飛翔体の角速度(レート)を検出するレート検出部9と、検知器4からの信号を増幅しTVモニタなどの表示手段に適した形態の赤外線画像を生成して該赤外線画像をオートパイロット11に送信すると共に、オートパイロット11からの角度指令と第1〜第4角度検出部7a〜7dからの角度情報とに基づく角度制御信号と、オートパイロット11からのレート指令とレート検出部9からのレート情報とに基づくレート制御信号とからなる制御信号を生成し、該制御信号を駆動制御部8に送信する演算処理部10と、演算処理部10からの制御信号に基づいて第1〜第4駆動部6a〜6dを制御する駆動制御部8と、演算処理部10から送信された赤外線画像を解析して高温の目標物を検出し、飛翔体の進行方向を制御すると共に、赤外線画像における高温の目標物の位置情報に基づいて角度指令及びレート指令を生成して演算処理部10に送信するオートパイロット11と、を少なくとも備えている。
【0029】
なお、ここでは演算処理部10で、赤外線画像を生成する処理と角度制御信号を生成する処理とレート制御信号を生成する処理の全てを行う構成としているが、各々の処理を独立した手段(例えば、画像信号処理部と捜索処理部と追尾処理部など)で個別に行う構成としてもよい。
【0030】
また、図2及び図3に示すように、ジンバル機構(ジンバル5を構成する筐体と駆動手段と必要に応じて角度検出手段とを含めてジンバル機構と呼ぶ。)は、集光光学系3及び検知器4を含む検知部2を、赤外光の入射軸に直交する第1の平面(ここでは図2の紙面の上下方向及び紙面の鉛直方向を含む平面)内の第1の軸(ここでは図2の紙面の上下方向の軸)を中心に回動可能に保持し、必要に応じて赤外光の入射側に開口部を設けた枠状の第1筐体5a、第1筐体5aに固定され、検知部2を第1の軸を中心に回動させる第1駆動部6a、第1筐体5aに対する検知部2の回転角を検出する第1角度検出部7aと、第1筐体5aを、第1の平面に交差(交差する角度は任意であるが、好ましくは直交)する第2の平面(ここでは図2の紙面の左右方向及び紙面の鉛直方向を含む平面)内の第2の軸(ここでは図2の紙面の左右方向の軸)を中心に回動可能に保持し、必要に応じて赤外光の入射側に開口部を設けた枠状の第2筐体5b、第2筐体5bに固定され、第1筐体5aを第2の軸を中心に回動させる第2駆動部6b、第2筐体5bに対する第1筐体5aの回転角を検出する第2角度検出部7bと、第2筐体5bを、第1の平面内の第3の軸(ここでは図2の紙面の上下方向の軸)を中心に回動可能に保持し、赤外光の入射側に窓部を設けた箱状の第3筐体5c、第3筐体5cに固定され、第2筐体5bを第3の軸を中心に回動させる第3駆動部6c、第3筐体5cに対する第2筐体5bの回転角を検出する第3角度検出部7cと、第3筐体5cを、第2の平面内の第4の軸(ここでは図2の紙面の左右方向の軸)を中心に回動可能に保持する第4筐体5d、第4筐体5dに固定され、第3筐体5cを第4の軸を中心に回動させる第4駆動部6d、第4筐体5dに対する第3筐体5cの回転角を検出する第4角度検出部7dと、を備えている。
【0031】
なお、図2及び図3は例示であり、各々の筐体が検知部2や他の筐体に干渉せず、かつ、入射赤外光の光路を妨げない限りにおいて、検知部2や第1〜第4筐体5a〜5dの形状やサイズ、間隔などは特に限定されず、例えば、第1筐体5a、第2筐体5bをリング状としたり、赤外光の入射側を開放したコの字状とすることもできる。また、図2及び図3では、第2の軸及び第4の軸を一方のみに形成しているが、入射赤外光の光路を妨げない限りにおいて、第1筐体5aの両側に第2の軸を設けたり、第3筐体5cの両側に第4の軸を設けてもよい。
【0032】
また、検知器2及び第1〜第3筐体5a〜5cは1方向のみに回転する構造としてもよいし、回転方向が順次反転して往復する構造としてもよい。また、検知器2及び第1〜第3筐体5a〜5cの回転角も特に限定されないが、飛翔方向の半球を検知可能にするために、第3筐体5c(又は第1筐体5a)の回転角は360°(又は±180°)、第2筐体5b(又は検知部2)の回転角は180°(又は±90°)程度することが好ましい。また、第1筐体5aと第3筐体5cの一方、及び、検知部2と第2筐体5bの一方は、各々、他方の回転角のずれを相殺可能であればよく、回転角が小さい方がジンバル機構の構造が簡単になることから、5°程度とすることができる。
【0033】
また、図2及び図3では、第1〜第4駆動部6a〜6dを簡易的に示しているが、これらは、各々、第1〜第4の軸を中心にして、検知部2、第1〜第3筐体5a〜5cを所望の回転角で駆動可能な構造であればよく、例えば、トルクモータなどを用いることができる。このトルクモータのトルクや最小回転角などは、駆動する構成部材の重量や赤外線誘導装置1に求められる回転精度などに応じて適宜設定することができる。
【0034】
また、図2及び図3では、第1〜第4角度検出部7a〜7dを簡易的に示しているが、これらは、各々、検知部2、第1〜第3筐体5a〜5cの回転角を検出可能な構造であればよく、例えば、ステータとロータなどで角度を検出する構造としてもよいし、加速度センサなどで角速度を検出する構造としてもよい。
【0035】
次に、ジンバル機構の具体的な動作について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、第1の軸及び第3の軸を中心に回動させる場合を示し、図5は、第2の軸及び第4の軸を中心に回動させる場合を示している。
【0036】
まず、検知部2の仰角を制御する場合は、図4(a)に示すように、駆動制御部8の制御信号に従って、第3筐体5cに固定された第3駆動部6cを駆動し、第3の軸を中心に第2筐体5bを回動させる。
【0037】
その際、トルクモータなどの駆動手段は目標とする回転角で正確に停止させることは困難であり、通常は、図4(b)に示すように、第2筐体5bの回転角は目標とする回転角(ここではθ1とする。)近傍で変動し、徐々にθ1に収束するため、検知部2を目標とする回転角に合わせ込むのに時間がかかる。そこで、本実施例では、駆動制御部8は、第3角度検出部7cからの角度信号に基づいて第3筐体5cに対する第2筐体5bの角度のθ1からのずれ量を演算し、図4(c)に示すように、そのずれ量を打ち消すように、第1筐体5aに固定された第1駆動部6aを駆動し、第1の軸を中心に検知部2を回動させる。
【0038】
これにより、図4(d)に示すように、検知部2の仰角を迅速かつ正確にθ1に合わせ込むことができる。なお、図4(a)では、第1の軸と第3の軸とが一致している状態を示しており、第1筐体5aが第2の軸を中心に回動すれば第1の軸と第3の軸とは第1の平面内でずれることになるが、その場合は、第1の軸と第3の軸とのなす角度を考慮して第1駆動部6aを駆動すればθ1に合わせ込むことができる。
【0039】
一方、検知部2の回転角を調整する場合は、図5(a)に示すように、駆動制御部8の制御信号に従って、第4筐体5cに固定された第4駆動部6dを駆動し、第4の軸を中心に第3筐体5cを回動させる。
【0040】
その際、図5(b)に示すように、第3筐体5cの回転角は目標とする回転角(ここではθ2とする。)近傍で変動し、徐々にθ2に収束するため、検知部2を目標とする回転角に合わせ込むのに時間がかかる。そこで、本実施例では、駆動制御部8は、第4角度検出部7dからの角度信号に基づいて第4筐体5cに対する第3筐体5cの角度のθ2からのずれ量を演算し、図5(c)に示すように、そのずれ量を打ち消すように、第2筐体5bに固定された第2駆動部6bを駆動し、第2の軸を中心に第1筐体5aを回動させる。
【0041】
これにより、図5(d)に示すように、検知部2の回転角を迅速かつ正確にθ2に合わせ込むことができる。なお、図5では、第2の軸と第4の軸とが一致している状態を示しており、第2筐体5bが第3の軸を中心に回動すれば、第2の軸と第4の軸とは第2の平面内でずれることになるが、その場合は、第2の軸と第4の軸とのなす角度を考慮して第2駆動部6bを駆動すればθ2に合わせ込むことができる。
【0042】
また、図4及び図5では、第3駆動部6cの回転角のずれを第1駆動部6aで相殺し、第4駆動部6dの回転角のずれを第2駆動部6bで相殺する構成としたが、第1駆動部6aの回転角のずれを第3駆動部6cで相殺し、第2駆動部6bの回転角のずれを第4駆動部6dで相殺する構成とすることもできる。
【0043】
また、ここでは、第3角度検出部7c(又は第4角度検出部7d)からの角度信号に基づいて第1駆動部6a(又は第2駆動部6b)を制御する構成としたが、第3駆動部6c(又は第4駆動部6d)の回転角のずれの傾向(すなわち、収束パターン)は略一定であると考えられることから、予め定められたパターンに従って第1駆動部6a(又は第2駆動部6b)を制御する構成とすることもでき、この場合は角度検出部を省略することもできる。
【0044】
次に、上記構成の赤外線誘導装置1を用いて目標物を追尾する手順について、図6のフローチャート図を参照して説明する。
【0045】
まず、ステップS101で、ミサイルなどの飛翔体を目標物があると思われる方向に向けて発射する。
【0046】
次に、ステップS102で、第1〜第4駆動部6a〜6dを用いて検知部2の向きを制御する。その際、第3駆動部6cを用いて第2筐体5bを第3の軸を中心に回動させる際に、目標とする回転角からのずれ量を相殺するように、第1駆動部6aを用いて検知部2を第1の軸を中心に回動させる。また、第4駆動部6dを用いて第3筐体5cを第4の軸を中心に回動させる際に、目標とする回転角からのずれ量を相殺するように、第2駆動部6bを用いて第1筐体5aを第2の軸を中心に回動させる。
【0047】
なお、第3駆動部6c及び第1駆動部6aを用いた制御と、第4駆動部6d及び第2駆動部6bを用いた制御とは、別々に行ってもよいし、同時に行ってもよいし、一方のみを行ってもよい。また、前述したように、第1筐体5aが回動すれば第1の軸と第3の軸とは第1の平面内でずれ、第2筐体5bが回動すれば、第2の軸と第4の軸とは第2の平面内でずれるため、第1の軸と第3の軸とのなす角や第2の軸と第4の軸とのなす角を考慮して第1駆動部6a及び第2駆動部6bを制御することが好ましい。
【0048】
次に、ステップS103で、入射した赤外線は集光光学系3で集光されて検知器4に入射し、検知器4では集光された赤外線を電気信号に変換して演算処理部10に送信する。そして、演算処理部10では検知器4から送信された電気信号を増幅して所定の角度における視野の赤外線画像を生成してオートパイロット11に送信する。一方、第1〜第4角度検出部7a〜7dはその時の検知部2、第1〜第3筐体の角度を検出して角度情報を演算処理部10に送信し、レート検出部9は飛翔体の角速度を検出してレート情報を演算処理部10に送信する。
【0049】
次に、ステップS104で、オートパイロット11では受信した赤外線画像を解析して、その視野の中から所定の目標物を探索する。具体的には、赤外線画像の場合は目標物の温度が高くなるほど信号の強度が大きくなることから、しきい値以上の信号強度を有する領域を特定することによって目標物を検出することができる。
【0050】
そして、ステップS105で、その視野の中に目標物がない場合はステップS103に戻って、次の角度における視野を撮像して同様の処理を繰り返す。一方、ステップS105で目標物を検出した場合は、ステップS106で、オートパイロット11は赤外線画像上の目標物の位置と角度情報とに基づいて飛翔体が目標と会合するように進行方向の制御を行うと共に、演算処理部10に角度指令とレート指令とを送信する。
【0051】
次に、ステップS107で、演算処理部10では、角度指令と第1〜第4角度検出部7a〜7dからの角度情報とに基づいて角度制御信号を生成し、レート指令とレート検出部9からのレート情報とに基づいてレート制御信号を生成し、これらの制御信号を駆動制御部8に送信する。
【0052】
そして、ステップS108で、目標物が移動していないかを監視し、目標物が赤外線画像上の指定位置から外れている場合は、ステップS106に戻って、オートパイロット11では赤外線画像上の目標物の位置と角度情報とに基づいて再度、飛翔体の進行方向を制御し、ステップS106〜S108の動作を繰り返すことによって目標物を追尾する。
【0053】
このように、本実施例の赤外線誘導装置1によれば、第3駆動部6cを用いて第3の軸を中心に第2筐体5bを回動させる際に、第2筐体5bの回転角のずれを打ち消すように、第1駆動部6aを用いて第1の軸を中心に検知部2を回動させ、第4駆動部6dを用いて第4の軸を中心に第3筐体5cを回転させる際に、第3筐体5cの回転角のずれを打ち消すように、第2駆動部6bを用いて第2の軸を中心に第1筐体5aを回動させる制御を行うため、第3駆動部6c及び第4駆動部6dのオーバーシュートやアンダーシュートを抑制して、迅速且つ正確に検知器2の向きを制御することができる。
【0054】
なお、上記実施例では、本発明のジンバルを4軸で駆動可能な構造としたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、第1の平面内の1つの軸と第2の平面内の2つの軸の合計3軸や、第1の平面内の2つの軸と第2の平面内の1つの軸の合計3軸、第1の平面内の2つの軸と第2の平面内の2つの軸と第1の平面及び第2の平面の双方に交差する第3の平面内の軸の合計5以上の軸で駆動する構造とすることもできる。
【0055】
また、上記実施例では、本発明の構造を赤外線誘導装置1に適用する場合について記載したが、気象観測や火災の監視など、特定の波長帯の赤外線を検知することが望まれる任意の赤外線撮像装置に対して同様に適用することができる。
【0056】
更に、上記実施例では、本発明のジンバル機構に検知部2を載置する場合について記載したが、向きの制御が必要な任意の機器を載置するジンバル機構及び該ジンバル機構を備える機器並びに該ジンバル機構の制御方法に対して同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、制御対象物の向きを制御するジンバル機構及びそのジンバル機構を備える機器並びにジンバル機構の制御方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例に係る赤外線誘導装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る赤外線誘導装置のジンバル機構の構造を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る赤外線誘導装置のジンバル機構の構造を示す斜視図であり、(a)は第3筐体と第4筐体との関係、(b)は第3筐体内の検知部と第1筐体と第2筐体との関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施例に係る赤外線誘導装置のジンバル機構の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施例に係る赤外線誘導装置のジンバル機構の動作を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施例に係る赤外線誘導装置を用いた目標物の追尾方法を示すフローチャート図である。
【図7】従来の赤外線誘導装置の構成を模式的に示す図である。
【図8】従来の赤外線誘導装置のジンバル機構の構造を示す斜視図である。
【図9】従来の赤外線誘導装置におけるジンバルの角度制御特性を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 赤外線誘導装置
2 検知部
3 集光光学系
4 検知器
5 ジンバル
5a 第1筐体
5b 第2筐体
5c 第3筐体
5d 第4筐体
6a 第1駆動部
6b 第2駆動部
6c 第3駆動部
6d 第4駆動部
7a 第1角度検出部
7b 第2角度検出部
7c 第3角度検出部
7d 第4角度検出部
8 駆動制御部
9 レート検出部
10 演算処理部
11 オートパイロット
12 赤外線誘導装置
13 ジンバル
14a 第1駆動部
14b 第2駆動部
15a 第1角度検出部
15b 第2角度検出部
16 駆動制御部
17 演算処理部
18 オートパイロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象物の向きを制御するジンバル機構であって、
第1の平面内の2つの軸と、前記第1の平面と交差する第2の平面内の2つの軸とからなる4つの軸で回動可能に構成されることを特徴とするジンバル機構。
【請求項2】
前記第1の平面内の一方の軸と前記第2の平面内の一方の軸とが直交し、前記第2平面内の一方の軸と前記第1の平面内の他方の軸とが直交し、前記第1の平面内の他方の軸と前記第2の平面内の他方の軸とが直交することを特徴とする請求項1記載のジンバル機構。
【請求項3】
制御対象物の向きを制御するジンバル機構であって、
前記制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、及び、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記制御対象物を回動させる第1駆動部と、
前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、及び、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部と、
前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部と、
前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部と、を少なくとも備えることを特徴とするジンバル機構。
【請求項4】
制御対象物の向きを制御するジンバル機構であって、
前記制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記制御対象物を回動させる第1駆動部、及び、前記第1筐体に固定され、前記制御対象物の回転角を検出する第1角度検出部と、
前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部、及び、前記第2筐体に固定され、前記第1筐体の回転角を検出する第2角度検出部と、
前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体の回転角を検出する第3角度検出部と、
前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体の回転角を検出する第4角度検出部と、を少なくとも備えることを特徴とするジンバル機構。
【請求項5】
前記第1の軸と前記第2の軸とが直交し、前記第2の軸と前記第3の軸とが直交し、前記第3の軸と前記第4の軸とが直交することを特徴とする請求項3又は4に記載のジンバル機構。
【請求項6】
全ての軸が略一点で交差することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載のジンバル機構。
【請求項7】
入射赤外線を集光する集光光学系と集光された前記赤外線を電気信号に変換する検知器とを含む検知部と、前記検知部の向きを制御するジンバル機構と、前記ジンバル機構の動作を制御する駆動制御部と、を少なくとも備え、少なくとも前記検知部からの電気信号に基づいて生成される画像を参照して飛翔体を目標物に誘導する赤外線誘導装置において、
前記ジンバル機構は、
前記検知部を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、及び、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記検知部を回動させる第1駆動部と、
前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、及び、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部と、
前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部と、
前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記第3駆動部を用いて前記第2筐体を回動させる際に、前記第3筐体に対する前記第2筐体の目標とする回転角からのずれを打ち消すように、前記第1駆動部を用いて前記検知部を回動させ、前記第4駆動部を用いて前記第3筐体を回動させる際に、前記第4筐体に対する前記第3筐体の目標とする回転角からのずれを打ち消すように、前記第2駆動部を用いて前記第1筐体を回動させる制御を行うことを特徴とする赤外線誘導装置。
【請求項8】
入射赤外線を集光する集光光学系と集光された前記赤外線を電気信号に変換する検知器とを含む検知部と、前記検知部の向きを制御するジンバル機構と、前記ジンバル機構の動作を制御する駆動制御部と、を少なくとも備え、少なくとも前記検知部からの電気信号に基づいて生成される画像を参照して飛翔体を目標物に誘導する赤外線誘導装置において、
前記ジンバル機構は、
前記検知部を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記検知部を回動させる第1駆動部、及び、前記第1筐体に固定され、前記検知部の回転角を検出する第1角度検出部と、
前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部、及び、前記第2筐体に固定され、前記第1筐体の回転角を検出する第2角度検出部と、
前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体の回転角を検出する第3角度検出部と、
前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体の回転角を検出する第4角度検出部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記第3駆動部を用いて前記第2筐体を回動させる際に、前記第3角度検出部で検出した前記第3筐体に対する前記第2筐体の回転角と目標とする回転角とのずれを打ち消すように、前記第1駆動部を用いて前記検知部を回動させ、前記第4駆動部を用いて前記第3筐体を回動させる際に、前記第4角度検出部で検出した前記第4筐体に対する前記第3筐体の回転角と目標とする回転角とのずれを打ち消すように、前記第2駆動部を用いて前記第1筐体を回動させる制御を行うことを特徴とする赤外線誘導装置。
【請求項9】
前記第1筐体、前記第2筐体及び前記第3筐体の赤外線の入射光路上に、赤外線を透過させる窓部又は開口部を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の赤外線誘導装置。
【請求項10】
前記第1の軸と前記第2の軸とが直交し、前記第2の軸と前記第3の軸とが直交し、前記第3の軸と前記第4の軸とが直交することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載の赤外線誘導装置。
【請求項11】
全ての軸が略一点で交差することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一に記載の赤外線誘導装置。
【請求項12】
制御対象物の向きを制御するジンバル機構の制御方法であって、
前記ジンバル機構を、
前記制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、及び、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記制御対象物を回動させる第1駆動部と、
前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、及び、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部と、
前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部と、
前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部と、で構成し、
前記第3駆動部を用いて前記第2筐体を回動させる場合は、前記第3筐体に対する前記第2筐体の目標とする回転角からのずれを打ち消すように、前記第1駆動部を用いて前記制御対象物を回動させる第1の制御を行い、
前記第4駆動部を用いて前記第3筐体を回動させる場合は、前記第4筐体に対する前記第3筐体の目標とする回転角からのずれを打ち消すように、前記第2駆動部を用いて前記第1筐体を回動させる第2の制御を行うことを特徴とするジンバル機構の制御方法。
【請求項13】
制御対象物の向きを制御するジンバル機構の制御方法であって、
前記ジンバル機構を、
前記制御対象物を第1の平面内の第1の軸を中心に回動可能に保持する第1筐体、前記第1筐体に固定され、前記第1の軸を中心に前記制御対象物を回動させる第1駆動部、及び、前記第1筐体に固定され、前記制御対象物の回転角を検出する第1角度検出部と、
前記第1筐体を前記第1の平面と交差する第2の平面内の第2の軸を中心に回動可能に保持する第2筐体、前記第2筐体に固定され、前記第2の軸を中心に前記第1筐体を回動させる第2駆動部、及び、前記第2筐体に固定され、前記第1筐体の回転角を検出する第2角度検出部と、
前記第2筐体を前記第1の平面内の第3の軸を中心に回動可能に保持する第3筐体、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体を前記第3の軸を中心に回動させる第3駆動部、及び、前記第3筐体に固定され、前記第2筐体の回転角を検出する第3角度検出部と、
前記第3筐体を前記第2の平面内の第4の軸を中心に回動可能に保持する第4筐体、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体を前記第4の軸を中心に回動させる第4駆動部、及び、前記第4筐体に固定され、前記第3筐体の回転角を検出する第4角度検出部と、で構成し、
前記第3駆動部を用いて前記第2筐体を回動させる場合は、前記第3角度検出部で検出した前記第3筐体に対する前記第2筐体の回転角と目標とする回転角とのずれを打ち消すように、前記第1駆動部を用いて前記制御対象物を回動させる第1の制御を行い、
前記第4駆動部を用いて前記第3筐体を回動させる場合は、前記第4角度検出部で検出した前記第4筐体に対する前記第3筐体の回転角と目標とする回転角とのずれを打ち消すように、前記第2駆動部を用いて前記第1筐体を回動させる第2の制御を行うことを特徴とするジンバル機構の制御方法。
【請求項14】
前記第1の制御では、前記第1筐体に対する前記制御対象物の回動範囲を、前記第3筐体に対する前記第2筐体の回動範囲よりも小さくし、
前記第2の制御では、前記第2筐体に対する前記第1筐体の回動範囲を、前記第4筐体に対する前記第3筐体の回動範囲よりも小さくすることを特徴とする請求項12又は13に記載のジンバル機構の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−24938(P2009−24938A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188608(P2007−188608)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】