スイッチングユニット
【課題】小型化と防水性の向上が可能なスイッチングユニットを提供する。
【解決手段】スイッチングユニット10は、ケーシング20で包囲され、回路基板11とバスバー回路12とを密着させた回路基板11側の表面にスイッチングデバイス13を実装したユニット本体15を有すると共に、ユニット本体15からケーシング20の外側へ延出する接続端子12Aを備える。さらに、スイッチングユニット10はケーシング20内に回路基板11、バスバー回路12の実装面側及びスイッチングデバイス13の端子や接続部分(半田付け部分)全体を被覆する封止剤50が充填されている。これにより、ユニット本体15に水等が付着することを規制できるので防水性の向上が可能となる。
【解決手段】スイッチングユニット10は、ケーシング20で包囲され、回路基板11とバスバー回路12とを密着させた回路基板11側の表面にスイッチングデバイス13を実装したユニット本体15を有すると共に、ユニット本体15からケーシング20の外側へ延出する接続端子12Aを備える。さらに、スイッチングユニット10はケーシング20内に回路基板11、バスバー回路12の実装面側及びスイッチングデバイス13の端子や接続部分(半田付け部分)全体を被覆する封止剤50が充填されている。これにより、ユニット本体15に水等が付着することを規制できるので防水性の向上が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流のオン/オフを制御可能なスイッチングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチングユニットとして、例えば特許文献1に示すものがある。このものは、例えば、自動車のバッテリー等の電源とヘッドランプ等の各電子装置との間に配されて電流のオン/オフを切り替えることにより各電子装置の制御を行うものである。また、これらのスイッチングユニットは、外部との接続を行うための接続端子を備え、メンテナンス等のため着脱可能なものとして用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−324478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、自動車に要求される快適性・安全性等は高まる一方であり、これらの要求を満たすために自動車に搭載される電子装置の数は増加する傾向にある。そうすると、増加した電子装置を制御するためのリレー等のスイッチングユニットの数も増加してその分、スペースを要してしまうという問題があった。さらに、着脱可能なスイッチングユニットの場合、搭載箇所が外部に露出している等、着脱可能な箇所に設置しなければならない等、その配設箇所が制限されてしまうので、スペース上の問題はより顕著になってしまう。これらの問題から、スイッチングユニットをできるだけ小型化したいという要望があった。
また、このようなスイッチングユニットを自動車に搭載する場合、その搭載位置によっては水等が付着する恐れもあり、防水性の向上も求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化と防水性の向上が可能なスイッチングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、電流のオン/オフを制御可能なスイッチングデバイスと、外部との接続を行うための接続端子とを備えたスイッチングユニットにおいて、絶縁物を介して互いに密着された回路基板とバスバー回路とを有し、これらの双方に対して前記スイッチングデバイスが接続されてなる回路体と、前記回路体に接着された放熱板とを、ケーシングに収容して備え、前記ケーシングには、前記放熱板の端部を嵌め入れる溝が形成されており、この溝に嵌め入れられた前記放熱板の面は前記ケーシングの内壁面に密着するとともに、前記バスバー回路の端部に前記接続端子が一体に延設されており、前記ケーシング内には前記回路体を被覆する封止剤が充填されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ケーシングには、封止剤の充填領域よりも上方で、かつ、前記ケーシングにおいて前記回路体の全周を包囲する4つの壁面のうちの1面における周方向の両端部に開口部が形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記ケーシングは、前記回路体を収容する本体と前記本体を閉塞する蓋体とからなり、前記蓋体は、前記本体側の外周径が小さくなるように外周縁に形成される段差と前記接続端子を導出する挿通孔とを有し、前記本体に嵌合可能に構成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のものにおいて、前記放熱板は、前記バスバー回路に対して接着及び絶縁されているとともに、
前記放熱板のうち前記接続端子側の端部には切欠き部が形成されており、この切欠き部に絶縁部材が嵌め込まれていところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
スイッチングユニットの内部に回路基板とバスバー回路とを備えるので、バスバー回路で形成した場合大型化してしまうような複雑な回路を回路基板で形成すると共に、入出力を行う回路と接続端子とをバスバー回路で一体に形成するので、スイッチングユニットの内部の回路のための構造を小型化できる。
また、封止剤が回路体を被覆するので、回路体に水等が付着することを規制できる。
これにより、本発明によれば、スイッチングデバイスの小型化を図りつつ、その防水性の向上が可能となる。
また、回路体を冷却するための放熱板を備えるので、スイッチングユニットの放熱性がより向上する。
【0011】
<請求項2の発明>
封止剤の充填領域よりも上方に開口する開口部が形成されているので、封止剤の注入が円滑にできる。
また、開口部が複数個形成されているので、それらの一部を封止剤の注入に使用し、他を空気抜きとして使用することで、封止剤の充填作業を円滑に行うことが可能となる。
【0012】
<請求項4の発明>
回路体と放熱板とを近付けて小型化を図る構成としても、回路体と放熱板との間の短絡を確実に防いで、放熱板を用いた放熱を行うことができる。これにより、スイッチングデバイス全体を小型化しつつ、その放熱性の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1のスイッチングユニットの平断面図
【図2】X−X’におけるスイッチングユニットの縦断面図
【図3】端子金具導出方向から見たスイッチングユニットの平面図
【図4】スイッチングユニットの分解断面図
【図5】封止剤を注入する前のスイッチングユニットの縦断面図
【図6】ケーシングの本体の開口部側から見た平面図
【図7】本体と対向する側からみた蓋体の平面図
【図8】実施形態2のスイッチングユニットの平断面図
【図9】Y−Y’におけるスイッチングユニットの縦断面図
【図10】スイッチングユニットの接続端子導出方向から見た平面図
【図11】実施形態3のスイッチングユニットの平断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
スイッチングユニット10は、図1,2に示すように、ケーシング20で包囲されたユニット本体(本発明の「回路体」に相当する)15を有し、ユニット本体15からケーシング20の外側へ延出する接続端子12Aが相手側接続端子(図示なし)と接続することで電気接続箱(図示なし)等に着脱可能に装着されるようになっている。
【0015】
ユニット本体15は、回路基板11とバスバー回路12とを絶縁物を介して密着させた回路基板11側の表面にスイッチングデバイス13を実装してなるものである(図2参照)。
スイッチングデバイス13は、電流のオン/オフを制御可能なものであって、本実施形態では半導体スイッチング素子を用いており、特に本実施形態では、半導体デバイス中にパワーMOSFET部と、過熱保護機能或いはPWM信号発信部等を有する制御部とをワンチップ上に配設したものを用いている。
【0016】
回路基板11は、図1に示すように、略方形状の絶縁基板上にスクリーン印刷等で導電路が形成された印刷回路を備え、その所定箇所には貫通孔11Aが穿設されている。スイッチングデバイス13或いは他の抵抗その他の回路基板11の表面に実装された電子素子は、この貫通孔11Aを介して次述のバスバー回路12に直接端子を接続させるようになっている(図2参照)。また、本実施形態では回路基板11の片側(図1の右側)にスイッチングデバイス13を実装すると共に、その反対側(図1の左側)に(詳細には図示しないが)制御系の回路を配設している。
【0017】
バスバー回路12は、金属平板を打抜いて形成された複数本のバスバーによって所定回路形状に形成されてなるものである(図1の破線参照)。バスバー回路12は全体形状が回路基板11と同様の略方形状をなしており、回路基板11のほぼ全体に亘る領域をバスバー回路12で支持することでユニット本体15の強度を確保できるようになっている。
さらに、バスバー回路12を構成するバスバーには、ユニット本体15から延出する接続端子12Aが一体に形成されており、この接続端子12Aによって、図示しない電気接続箱等の相手側接続端子と嵌合可能となっている。尚、本実施形態では、図1に示すように、5本の接続端子12Aを備えているが、これらのうち図1における左側の3本が制御系端子として用いられ右側の2端子が電力系端子として用いられている。また、制御系端子(図1の左側3本の端子)の先端部はプレス加工によって電力系端子(図1の右側2本の端子)よりも薄く形成されている。
【0018】
ユニット本体15の下側には図2に示すように放熱板25を備える。放熱板25はアルミ製の金属板でユニット本体15のバスバーの下面に接着剤(例えばシリコーン系接着剤若しくはエポキシ系接着剤)又は接着シート(例えば絶縁シートの両面に接着剤を塗布して接着性をもたせたもの)により接着し、かつ絶縁されており(これらの接着剤又は接着シートが本発明の「絶縁物」に相当する)、ユニット本体15で生じた熱をバスバー回路12を介して伝熱させて、外部へ放出するようになっている。これらの接着剤はアルミナフィラー等熱伝導性の高い材料を含有したものを用いることでより伝熱性を向上させることが可能となる。
【0019】
また、接続端子12Aのユニット本体15からの基端部分には、放熱板25との間に絶縁部材30が配設されている(図2参照)。
この絶縁部材30は、絶縁性を備えた樹脂で略角柱形状に形成されており、放熱板25の接続端子12A側(図2の左側)の端部に形成された切欠き部26に嵌め込まれている。切欠き部26は放熱板25の幅方向に亘って絶縁部材30の形状に合わせて略角柱形状に切削して形成されており、絶縁部材30を嵌め込むことにより、放熱板25の上面(バスバー回路12の貼付け面)は絶縁部材30の上面と略面一となる。これにより、放熱板25の上面とバスバー回路12の下面との接着においても段差等が生ずることなく確実に接着ができるようになっている。また、接続端子12Aに電流が流れた場合でも、接続端子12Aの基端部と放熱板25との間には絶縁部材30が介在しているので、接続端子12Aと放熱板25との間に短絡等が生ずることがないようになっている。
【0020】
ケーシング20は、全体略直方体形状をなし、本体21のうち上記の接続端子12Aを導出する側(図2の左側)の面を別体の蓋体22で閉塞可能となっている。
本体21は内部にユニット本体15を収容すると接続端子12Aの導出側以外の全周を包囲可能となっており、その内壁には図4,5に示すように放熱板25に対応させて溝23が形成されている。ユニット本体15をケーシング20に組付ける場合には、放熱板25をこの溝23に嵌め入れてスライドさせながら挿入することで、ユニット本体15の位置決めが容易になり、組付け作業が円滑になされる。また、放熱板25は溝23に組み付けられると、下側の面を本体21の内壁面に密着させるようになっており、これにより、放熱板25とケーシング20との内壁との間に隙間が生ずることを規制して、放熱板25の熱がケーシング20に伝わり易くなっている。
蓋体22は、全体平板状をなすと共に、本体21側の外周径が小さくなるようにその外周縁に段差を形成して、本体21の開口部に嵌合可能に形成されている(図4、図2参照)。また、蓋体22には、接続端子12Aを導出する箇所に挿通孔24が形成されており、この挿通孔24に接続端子12Aを嵌め込むことでケーシング20から接続端子12Aを隙間なく導出できるようになっている(図3参照)。
【0021】
さて、本実施形態のスイッチングユニット10ではケーシング20内部に封止剤50が充填されている。
この封止剤50は、シリコーン系ゲル或いはエポキシ樹脂やウレタン樹脂等が用いられ、図2に示すように、ユニット本体15の実装面側に充填され、回路基板11、バスバー回路12の実装面側及びスイッチングデバイス13の端子や接続部分(半田付け部分)全体を被覆するようになっている。
そして、本実施形態では、上記の封止剤50を注入するため、蓋体22に開口部35が穿設されている。この開口部35は蓋体22の挿通孔24と反対側(図2の上方側)の封止剤50の充填領域(図2参照)よりも上方に、蓋体22の板厚方向に貫通するようにして形成されている。
さらに、開口部35は蓋体22の左右両側部に2箇所設けられている(図3、図7参照)。このうち、一方の開口部35を封止剤50の注入に使用し、他方の開口部35を空気抜きとして使用することで、封止剤50を円滑に注入できるようになっている。また、これらの開口部35は上述のように、封止剤50の充填領域よりも上方に配設されているので、図5のように放熱板25が下面に来るようにスイッチングユニット10を水平に載置した状態で、封止剤50の注入を円滑に行うことが可能となっている。
【0022】
上記のように構成されたスイッチングユニット10は図示しない電気接続箱に対して着脱可能に組みつけられて、制御系端子から所定の電気信号を受け取てスイッチングデバイス13を動作させることにより、電力系端子の入力側から入力された電流を適宜調整して電力系端子の出力側から出力し電子装置(図示なし)を動作させる。
ここで接続端子12Aに電流が流れた場合でも、接続端子12Aの基端部と放熱板25との間には絶縁部材30が介在しているので、接続端子12Aと放熱板25との間に短絡等が生ずることなく、確実に電流の制御をすることができる。
尚、電気接続箱(図示なし)のメンテナンス時等において、スイッチングユニット10は抜脱可能であり、必要に応じて交換されて使用できるようになっている。
【0023】
このように、本実施形態のスイッチングユニット10によれば、スイッチングユニット10の内部に回路基板11とバスバー回路12とを備えている。これにより、バスバー回路12で形成した場合大型化してしまうような制御系回路等の複雑な回路を回路基板11で形成すると共に、入出力を行う回路と接続端子12Aとをバスバー回路11で一体に形成するので、スイッチングユニット10の内部の回路のための構造を小型化でき、スイッチングユニット10の小型化が可能となる。特に、バスバーのような平板状の金属導電路のみで回路形成するものよりも、格段に高密度化を図ることができる。
さらに、封止剤50がユニット本体15を被覆するので、ユニット本体15に水等が付着することを規制できると共に、封止剤50が蓋体22の挿通孔24と接続端子12Aとの隙間を埋めることができるので、スイッチングユニット10の防水性の向上が可能となる。
また、スイッチングユニット10が作動して高温になった状態で低温下に置かれた場合に空気中の水分が凝縮して表面に付着するいわゆる「結露」が生じる場合であっても、ユニット本体15が封止剤50で被覆されていて、直接空気に触れることがないので、ユニット本体15(回路基板11、バスバー回路12又はスイッチングデバイス13、或いはこれらの接続部分)の表面に結露が付着することを規制できる。これにより、結露に起因する信頼性の低下を防止することが可能となる。
【0024】
また、本実施形態では蓋体22に穿設された開口部35から封止剤50の注入を行うことができ、さらに、この開口部35が2個設けられて、一方を注入のために用いて、他方を空気抜きとして使用することで、封止剤50の充填作業を円滑に行うことが可能となる。
【0025】
さらに、本実施形態では、ユニット本体15が空気層を介することなく封止剤50と密着しているので、スイッチングデバイス13や回路基板11等ユニット本体15で発生した熱が封止剤を介してケーシング20に伝えられ、外部に放出することができる。これにより、スイッチングユニットの放熱性の向上が可能となる。
また、スイッチングユニット10には接続端子12Aの基端部と放熱板25との間に絶縁部材30を備えるので、ユニット本体15と放熱板25とを近付けて小型化を図る構成としても、ユニット本体15と放熱板25との間の短絡を確実に防いで、放熱板25を用いた放熱を行うことができる。
これにより、スイッチングユニット10全体を小型化しつつ、その放熱性の向上が可能となる。
【0026】
また、ユニット本体15に関し、例えば製造工程における放熱板25の取り付け前の工程において、回路基板11のみでは強度が不十分となるが、本実施形態のユニット本体15では、回路基板12のほぼ全面に亘り、バスバー回路12が貼り付けられているので、ユニット本体15のみでも十分な強度を確保できる。
【0027】
また、本実施形態ではスイッチングデバイス13に半導体スイッチング素子を用いたのでいわゆるメカリレーにおいて、接点のオン/オフ時に発生する動作音が生じないので、静音化が図れる。
【0028】
<参考例>
次に、本発明の参考例を図8から図10によって説明する。
本参考例のスイッチングユニット10Aは放熱板25を省略した点と接続端子12Aに分岐端子12Bを備えている点とが上記実施形態1と相違するものであるが、他の同様の構成については同様の符号を付し、重複した説明は省略する。
本参考例ではケーシング20の本体21の内壁面に形成された溝23には、回路基板11の外周縁部が嵌入されるようになっている(図9参照)。そして、ユニット本体15がケーシング20内部に収容されると、バスバー回路12の下側の面をケーシング20の内壁に密着させるように組つけられる(図9参照)。これにより、ユニット本体15で生じた熱がバスバーで吸収されるとケーシングを介して外部に放出させ易くなるので、放熱性が向上する。
また、図8において右側の2本の端子は一の分岐バスバー12Jから分岐して延出する分岐端子12B,12Bをなしている。
分岐バスバー12Jはバスバー回路12を構成するバスバーの1つであって、内部側(ユニット本体14側)では一の経路となっていると共に、外部側で複数に(本参考例では2経路に)分岐して、それぞれの先端に分岐端子12Bを形成してなるものである。本参考例のスイッチングユニット10Aは、このような分岐端子12Bを備えることで、ユニット本体15内では1の経路に連なる回路に対して分岐端子12Bのそれぞれに接続した異なる2つの経路との接続を行うことができ、回路設計の自由度が向上する。
【0029】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図11によって説明する。
本実施形態のスイッチングユニット10Bは、ケーシング20の(上記実施形態に置ける蓋体22Fを省略して)接続端子12Aの導出側を開口部35とする構成である点が上記実施形態1と相違するものである。他の同様の構成については同様の符号を付し、重複した説明は省略する。
本実施形態に係るケーシング20は本体21の接続端子12Aを導出する側(図5の左側)の面全体を開口部35とし、ケーシング20内にユニット本体15を組付けた後、開口部35を上方に向けてから封止剤50をケーシング20内部に注入する。そして、開口部35の開口端縁まで封止剤50を注入したら、そのままの状態で封止剤50を硬化させることで、ケーシング内部全体に封止剤を充填させたスイッチングユニット10Bが製造される。
このようなスイッチングユニット10Bによっても、防水性・放熱性を向上させた構成とすることができる。
尚、本実施形態のケーシング20には開口部35の図11の下側の開口端縁に係止部27が設けられており、ユニット本体15の抜止を行うようになっている。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態1及び参考例において、封止剤が注入孔の下端縁まで充填された構成であったが、これに限らず、封止剤をケーシング20の内部全体に隙間なく充填するものであってもよい。この場合、上記実施例3と同様に接続端子12Aを導出する側、すなわち注入孔の開口側を上方に向けて充填することで、ケーシング20内部全体に充填することができる。
(2)上記実施形態1及び参考例では蓋体に開口部35が2個形成され、このうち一方を封止剤の注入に使用し、他方を空気抜きに使用するものであったが、これに限らず、例えば、蓋体22の挿通孔24を空気抜きとして使用するものであってもよい。
(3)上記実施形態において、実施形態1又は実施形態2のスイッチングユニット10,10Bに参考例のような分岐端子12Bを備えるものであっても良く、また、参考例のスイッチングユニット10Aに分岐端子12Bに替えて接続端子12Aを適用したものであってもよい。
また、参考例のように放熱板25を省略したスイッチングユニット10Aに対して実施形態2のようなケーシング20を適用したものであってもよい。
【0031】
(4)上記実施形態において、ケーシング20の内壁のうち、(実施形態1又は2では)放熱板が当接する側の内壁又は(参考例では)バスバー回路12の下面側が当接する側の内壁を他よりも薄肉とするものであってもよい。これにより、放熱性が向上できる。
また、ケーシングを構成する樹脂にアルミナ等のフィラーを添加した樹脂を用いることで、ケーシング20全体の放熱性を高めたものであってもよい。
(5)上記実施形態では放熱板をケーシングの内部に収容するものであったが、これに限らず、放熱板25をケーシング20の外部に露出させたものであってもよい。
(6)上記実施形態ではスイッチングユニット10,10A,10Bはスイッチングデバイス13に半導体スイッチング素子を実装するものであったが、これに限らず、例えばIC等を実装するものであってもよい。
(7)上記実施形態において、制御系回路にIC、マイコン等を実装するものであってもよい。
(8)上記実施形態において、さらに放熱面積を増加するため放熱板に放熱フィン等の放熱手段を追加する構造のものであってもよい。
(9)上記実施形態ではスイッチングデバイス13に半導体スイッチング素子を用いるものであったが、これに限らず、ベアチップ等を実装するものであってもよい。
(10)上記実施形態ではケーシング20が樹脂製のものであったが、例えば金属製のものであってもよい。この場合、例えば、金属製ケーシングの表面に絶縁被膜を形成する等してケーシングとユニット本体との間の絶縁を図る構成とするのが望ましい。
【符号の説明】
【0032】
10…スイッチングユニット
11…回路基板
12…バスバー回路
12A…接続端子
13…スイッチングデバイス
15…ユニット本体(回路体)
20…ケーシング
25…放熱板(放熱手段)
30…絶縁部材
35…開口部
50…封止剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流のオン/オフを制御可能なスイッチングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチングユニットとして、例えば特許文献1に示すものがある。このものは、例えば、自動車のバッテリー等の電源とヘッドランプ等の各電子装置との間に配されて電流のオン/オフを切り替えることにより各電子装置の制御を行うものである。また、これらのスイッチングユニットは、外部との接続を行うための接続端子を備え、メンテナンス等のため着脱可能なものとして用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−324478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、自動車に要求される快適性・安全性等は高まる一方であり、これらの要求を満たすために自動車に搭載される電子装置の数は増加する傾向にある。そうすると、増加した電子装置を制御するためのリレー等のスイッチングユニットの数も増加してその分、スペースを要してしまうという問題があった。さらに、着脱可能なスイッチングユニットの場合、搭載箇所が外部に露出している等、着脱可能な箇所に設置しなければならない等、その配設箇所が制限されてしまうので、スペース上の問題はより顕著になってしまう。これらの問題から、スイッチングユニットをできるだけ小型化したいという要望があった。
また、このようなスイッチングユニットを自動車に搭載する場合、その搭載位置によっては水等が付着する恐れもあり、防水性の向上も求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化と防水性の向上が可能なスイッチングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、電流のオン/オフを制御可能なスイッチングデバイスと、外部との接続を行うための接続端子とを備えたスイッチングユニットにおいて、絶縁物を介して互いに密着された回路基板とバスバー回路とを有し、これらの双方に対して前記スイッチングデバイスが接続されてなる回路体と、前記回路体に接着された放熱板とを、ケーシングに収容して備え、前記ケーシングには、前記放熱板の端部を嵌め入れる溝が形成されており、この溝に嵌め入れられた前記放熱板の面は前記ケーシングの内壁面に密着するとともに、前記バスバー回路の端部に前記接続端子が一体に延設されており、前記ケーシング内には前記回路体を被覆する封止剤が充填されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ケーシングには、封止剤の充填領域よりも上方で、かつ、前記ケーシングにおいて前記回路体の全周を包囲する4つの壁面のうちの1面における周方向の両端部に開口部が形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記ケーシングは、前記回路体を収容する本体と前記本体を閉塞する蓋体とからなり、前記蓋体は、前記本体側の外周径が小さくなるように外周縁に形成される段差と前記接続端子を導出する挿通孔とを有し、前記本体に嵌合可能に構成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のものにおいて、前記放熱板は、前記バスバー回路に対して接着及び絶縁されているとともに、
前記放熱板のうち前記接続端子側の端部には切欠き部が形成されており、この切欠き部に絶縁部材が嵌め込まれていところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
スイッチングユニットの内部に回路基板とバスバー回路とを備えるので、バスバー回路で形成した場合大型化してしまうような複雑な回路を回路基板で形成すると共に、入出力を行う回路と接続端子とをバスバー回路で一体に形成するので、スイッチングユニットの内部の回路のための構造を小型化できる。
また、封止剤が回路体を被覆するので、回路体に水等が付着することを規制できる。
これにより、本発明によれば、スイッチングデバイスの小型化を図りつつ、その防水性の向上が可能となる。
また、回路体を冷却するための放熱板を備えるので、スイッチングユニットの放熱性がより向上する。
【0011】
<請求項2の発明>
封止剤の充填領域よりも上方に開口する開口部が形成されているので、封止剤の注入が円滑にできる。
また、開口部が複数個形成されているので、それらの一部を封止剤の注入に使用し、他を空気抜きとして使用することで、封止剤の充填作業を円滑に行うことが可能となる。
【0012】
<請求項4の発明>
回路体と放熱板とを近付けて小型化を図る構成としても、回路体と放熱板との間の短絡を確実に防いで、放熱板を用いた放熱を行うことができる。これにより、スイッチングデバイス全体を小型化しつつ、その放熱性の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1のスイッチングユニットの平断面図
【図2】X−X’におけるスイッチングユニットの縦断面図
【図3】端子金具導出方向から見たスイッチングユニットの平面図
【図4】スイッチングユニットの分解断面図
【図5】封止剤を注入する前のスイッチングユニットの縦断面図
【図6】ケーシングの本体の開口部側から見た平面図
【図7】本体と対向する側からみた蓋体の平面図
【図8】実施形態2のスイッチングユニットの平断面図
【図9】Y−Y’におけるスイッチングユニットの縦断面図
【図10】スイッチングユニットの接続端子導出方向から見た平面図
【図11】実施形態3のスイッチングユニットの平断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
スイッチングユニット10は、図1,2に示すように、ケーシング20で包囲されたユニット本体(本発明の「回路体」に相当する)15を有し、ユニット本体15からケーシング20の外側へ延出する接続端子12Aが相手側接続端子(図示なし)と接続することで電気接続箱(図示なし)等に着脱可能に装着されるようになっている。
【0015】
ユニット本体15は、回路基板11とバスバー回路12とを絶縁物を介して密着させた回路基板11側の表面にスイッチングデバイス13を実装してなるものである(図2参照)。
スイッチングデバイス13は、電流のオン/オフを制御可能なものであって、本実施形態では半導体スイッチング素子を用いており、特に本実施形態では、半導体デバイス中にパワーMOSFET部と、過熱保護機能或いはPWM信号発信部等を有する制御部とをワンチップ上に配設したものを用いている。
【0016】
回路基板11は、図1に示すように、略方形状の絶縁基板上にスクリーン印刷等で導電路が形成された印刷回路を備え、その所定箇所には貫通孔11Aが穿設されている。スイッチングデバイス13或いは他の抵抗その他の回路基板11の表面に実装された電子素子は、この貫通孔11Aを介して次述のバスバー回路12に直接端子を接続させるようになっている(図2参照)。また、本実施形態では回路基板11の片側(図1の右側)にスイッチングデバイス13を実装すると共に、その反対側(図1の左側)に(詳細には図示しないが)制御系の回路を配設している。
【0017】
バスバー回路12は、金属平板を打抜いて形成された複数本のバスバーによって所定回路形状に形成されてなるものである(図1の破線参照)。バスバー回路12は全体形状が回路基板11と同様の略方形状をなしており、回路基板11のほぼ全体に亘る領域をバスバー回路12で支持することでユニット本体15の強度を確保できるようになっている。
さらに、バスバー回路12を構成するバスバーには、ユニット本体15から延出する接続端子12Aが一体に形成されており、この接続端子12Aによって、図示しない電気接続箱等の相手側接続端子と嵌合可能となっている。尚、本実施形態では、図1に示すように、5本の接続端子12Aを備えているが、これらのうち図1における左側の3本が制御系端子として用いられ右側の2端子が電力系端子として用いられている。また、制御系端子(図1の左側3本の端子)の先端部はプレス加工によって電力系端子(図1の右側2本の端子)よりも薄く形成されている。
【0018】
ユニット本体15の下側には図2に示すように放熱板25を備える。放熱板25はアルミ製の金属板でユニット本体15のバスバーの下面に接着剤(例えばシリコーン系接着剤若しくはエポキシ系接着剤)又は接着シート(例えば絶縁シートの両面に接着剤を塗布して接着性をもたせたもの)により接着し、かつ絶縁されており(これらの接着剤又は接着シートが本発明の「絶縁物」に相当する)、ユニット本体15で生じた熱をバスバー回路12を介して伝熱させて、外部へ放出するようになっている。これらの接着剤はアルミナフィラー等熱伝導性の高い材料を含有したものを用いることでより伝熱性を向上させることが可能となる。
【0019】
また、接続端子12Aのユニット本体15からの基端部分には、放熱板25との間に絶縁部材30が配設されている(図2参照)。
この絶縁部材30は、絶縁性を備えた樹脂で略角柱形状に形成されており、放熱板25の接続端子12A側(図2の左側)の端部に形成された切欠き部26に嵌め込まれている。切欠き部26は放熱板25の幅方向に亘って絶縁部材30の形状に合わせて略角柱形状に切削して形成されており、絶縁部材30を嵌め込むことにより、放熱板25の上面(バスバー回路12の貼付け面)は絶縁部材30の上面と略面一となる。これにより、放熱板25の上面とバスバー回路12の下面との接着においても段差等が生ずることなく確実に接着ができるようになっている。また、接続端子12Aに電流が流れた場合でも、接続端子12Aの基端部と放熱板25との間には絶縁部材30が介在しているので、接続端子12Aと放熱板25との間に短絡等が生ずることがないようになっている。
【0020】
ケーシング20は、全体略直方体形状をなし、本体21のうち上記の接続端子12Aを導出する側(図2の左側)の面を別体の蓋体22で閉塞可能となっている。
本体21は内部にユニット本体15を収容すると接続端子12Aの導出側以外の全周を包囲可能となっており、その内壁には図4,5に示すように放熱板25に対応させて溝23が形成されている。ユニット本体15をケーシング20に組付ける場合には、放熱板25をこの溝23に嵌め入れてスライドさせながら挿入することで、ユニット本体15の位置決めが容易になり、組付け作業が円滑になされる。また、放熱板25は溝23に組み付けられると、下側の面を本体21の内壁面に密着させるようになっており、これにより、放熱板25とケーシング20との内壁との間に隙間が生ずることを規制して、放熱板25の熱がケーシング20に伝わり易くなっている。
蓋体22は、全体平板状をなすと共に、本体21側の外周径が小さくなるようにその外周縁に段差を形成して、本体21の開口部に嵌合可能に形成されている(図4、図2参照)。また、蓋体22には、接続端子12Aを導出する箇所に挿通孔24が形成されており、この挿通孔24に接続端子12Aを嵌め込むことでケーシング20から接続端子12Aを隙間なく導出できるようになっている(図3参照)。
【0021】
さて、本実施形態のスイッチングユニット10ではケーシング20内部に封止剤50が充填されている。
この封止剤50は、シリコーン系ゲル或いはエポキシ樹脂やウレタン樹脂等が用いられ、図2に示すように、ユニット本体15の実装面側に充填され、回路基板11、バスバー回路12の実装面側及びスイッチングデバイス13の端子や接続部分(半田付け部分)全体を被覆するようになっている。
そして、本実施形態では、上記の封止剤50を注入するため、蓋体22に開口部35が穿設されている。この開口部35は蓋体22の挿通孔24と反対側(図2の上方側)の封止剤50の充填領域(図2参照)よりも上方に、蓋体22の板厚方向に貫通するようにして形成されている。
さらに、開口部35は蓋体22の左右両側部に2箇所設けられている(図3、図7参照)。このうち、一方の開口部35を封止剤50の注入に使用し、他方の開口部35を空気抜きとして使用することで、封止剤50を円滑に注入できるようになっている。また、これらの開口部35は上述のように、封止剤50の充填領域よりも上方に配設されているので、図5のように放熱板25が下面に来るようにスイッチングユニット10を水平に載置した状態で、封止剤50の注入を円滑に行うことが可能となっている。
【0022】
上記のように構成されたスイッチングユニット10は図示しない電気接続箱に対して着脱可能に組みつけられて、制御系端子から所定の電気信号を受け取てスイッチングデバイス13を動作させることにより、電力系端子の入力側から入力された電流を適宜調整して電力系端子の出力側から出力し電子装置(図示なし)を動作させる。
ここで接続端子12Aに電流が流れた場合でも、接続端子12Aの基端部と放熱板25との間には絶縁部材30が介在しているので、接続端子12Aと放熱板25との間に短絡等が生ずることなく、確実に電流の制御をすることができる。
尚、電気接続箱(図示なし)のメンテナンス時等において、スイッチングユニット10は抜脱可能であり、必要に応じて交換されて使用できるようになっている。
【0023】
このように、本実施形態のスイッチングユニット10によれば、スイッチングユニット10の内部に回路基板11とバスバー回路12とを備えている。これにより、バスバー回路12で形成した場合大型化してしまうような制御系回路等の複雑な回路を回路基板11で形成すると共に、入出力を行う回路と接続端子12Aとをバスバー回路11で一体に形成するので、スイッチングユニット10の内部の回路のための構造を小型化でき、スイッチングユニット10の小型化が可能となる。特に、バスバーのような平板状の金属導電路のみで回路形成するものよりも、格段に高密度化を図ることができる。
さらに、封止剤50がユニット本体15を被覆するので、ユニット本体15に水等が付着することを規制できると共に、封止剤50が蓋体22の挿通孔24と接続端子12Aとの隙間を埋めることができるので、スイッチングユニット10の防水性の向上が可能となる。
また、スイッチングユニット10が作動して高温になった状態で低温下に置かれた場合に空気中の水分が凝縮して表面に付着するいわゆる「結露」が生じる場合であっても、ユニット本体15が封止剤50で被覆されていて、直接空気に触れることがないので、ユニット本体15(回路基板11、バスバー回路12又はスイッチングデバイス13、或いはこれらの接続部分)の表面に結露が付着することを規制できる。これにより、結露に起因する信頼性の低下を防止することが可能となる。
【0024】
また、本実施形態では蓋体22に穿設された開口部35から封止剤50の注入を行うことができ、さらに、この開口部35が2個設けられて、一方を注入のために用いて、他方を空気抜きとして使用することで、封止剤50の充填作業を円滑に行うことが可能となる。
【0025】
さらに、本実施形態では、ユニット本体15が空気層を介することなく封止剤50と密着しているので、スイッチングデバイス13や回路基板11等ユニット本体15で発生した熱が封止剤を介してケーシング20に伝えられ、外部に放出することができる。これにより、スイッチングユニットの放熱性の向上が可能となる。
また、スイッチングユニット10には接続端子12Aの基端部と放熱板25との間に絶縁部材30を備えるので、ユニット本体15と放熱板25とを近付けて小型化を図る構成としても、ユニット本体15と放熱板25との間の短絡を確実に防いで、放熱板25を用いた放熱を行うことができる。
これにより、スイッチングユニット10全体を小型化しつつ、その放熱性の向上が可能となる。
【0026】
また、ユニット本体15に関し、例えば製造工程における放熱板25の取り付け前の工程において、回路基板11のみでは強度が不十分となるが、本実施形態のユニット本体15では、回路基板12のほぼ全面に亘り、バスバー回路12が貼り付けられているので、ユニット本体15のみでも十分な強度を確保できる。
【0027】
また、本実施形態ではスイッチングデバイス13に半導体スイッチング素子を用いたのでいわゆるメカリレーにおいて、接点のオン/オフ時に発生する動作音が生じないので、静音化が図れる。
【0028】
<参考例>
次に、本発明の参考例を図8から図10によって説明する。
本参考例のスイッチングユニット10Aは放熱板25を省略した点と接続端子12Aに分岐端子12Bを備えている点とが上記実施形態1と相違するものであるが、他の同様の構成については同様の符号を付し、重複した説明は省略する。
本参考例ではケーシング20の本体21の内壁面に形成された溝23には、回路基板11の外周縁部が嵌入されるようになっている(図9参照)。そして、ユニット本体15がケーシング20内部に収容されると、バスバー回路12の下側の面をケーシング20の内壁に密着させるように組つけられる(図9参照)。これにより、ユニット本体15で生じた熱がバスバーで吸収されるとケーシングを介して外部に放出させ易くなるので、放熱性が向上する。
また、図8において右側の2本の端子は一の分岐バスバー12Jから分岐して延出する分岐端子12B,12Bをなしている。
分岐バスバー12Jはバスバー回路12を構成するバスバーの1つであって、内部側(ユニット本体14側)では一の経路となっていると共に、外部側で複数に(本参考例では2経路に)分岐して、それぞれの先端に分岐端子12Bを形成してなるものである。本参考例のスイッチングユニット10Aは、このような分岐端子12Bを備えることで、ユニット本体15内では1の経路に連なる回路に対して分岐端子12Bのそれぞれに接続した異なる2つの経路との接続を行うことができ、回路設計の自由度が向上する。
【0029】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図11によって説明する。
本実施形態のスイッチングユニット10Bは、ケーシング20の(上記実施形態に置ける蓋体22Fを省略して)接続端子12Aの導出側を開口部35とする構成である点が上記実施形態1と相違するものである。他の同様の構成については同様の符号を付し、重複した説明は省略する。
本実施形態に係るケーシング20は本体21の接続端子12Aを導出する側(図5の左側)の面全体を開口部35とし、ケーシング20内にユニット本体15を組付けた後、開口部35を上方に向けてから封止剤50をケーシング20内部に注入する。そして、開口部35の開口端縁まで封止剤50を注入したら、そのままの状態で封止剤50を硬化させることで、ケーシング内部全体に封止剤を充填させたスイッチングユニット10Bが製造される。
このようなスイッチングユニット10Bによっても、防水性・放熱性を向上させた構成とすることができる。
尚、本実施形態のケーシング20には開口部35の図11の下側の開口端縁に係止部27が設けられており、ユニット本体15の抜止を行うようになっている。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態1及び参考例において、封止剤が注入孔の下端縁まで充填された構成であったが、これに限らず、封止剤をケーシング20の内部全体に隙間なく充填するものであってもよい。この場合、上記実施例3と同様に接続端子12Aを導出する側、すなわち注入孔の開口側を上方に向けて充填することで、ケーシング20内部全体に充填することができる。
(2)上記実施形態1及び参考例では蓋体に開口部35が2個形成され、このうち一方を封止剤の注入に使用し、他方を空気抜きに使用するものであったが、これに限らず、例えば、蓋体22の挿通孔24を空気抜きとして使用するものであってもよい。
(3)上記実施形態において、実施形態1又は実施形態2のスイッチングユニット10,10Bに参考例のような分岐端子12Bを備えるものであっても良く、また、参考例のスイッチングユニット10Aに分岐端子12Bに替えて接続端子12Aを適用したものであってもよい。
また、参考例のように放熱板25を省略したスイッチングユニット10Aに対して実施形態2のようなケーシング20を適用したものであってもよい。
【0031】
(4)上記実施形態において、ケーシング20の内壁のうち、(実施形態1又は2では)放熱板が当接する側の内壁又は(参考例では)バスバー回路12の下面側が当接する側の内壁を他よりも薄肉とするものであってもよい。これにより、放熱性が向上できる。
また、ケーシングを構成する樹脂にアルミナ等のフィラーを添加した樹脂を用いることで、ケーシング20全体の放熱性を高めたものであってもよい。
(5)上記実施形態では放熱板をケーシングの内部に収容するものであったが、これに限らず、放熱板25をケーシング20の外部に露出させたものであってもよい。
(6)上記実施形態ではスイッチングユニット10,10A,10Bはスイッチングデバイス13に半導体スイッチング素子を実装するものであったが、これに限らず、例えばIC等を実装するものであってもよい。
(7)上記実施形態において、制御系回路にIC、マイコン等を実装するものであってもよい。
(8)上記実施形態において、さらに放熱面積を増加するため放熱板に放熱フィン等の放熱手段を追加する構造のものであってもよい。
(9)上記実施形態ではスイッチングデバイス13に半導体スイッチング素子を用いるものであったが、これに限らず、ベアチップ等を実装するものであってもよい。
(10)上記実施形態ではケーシング20が樹脂製のものであったが、例えば金属製のものであってもよい。この場合、例えば、金属製ケーシングの表面に絶縁被膜を形成する等してケーシングとユニット本体との間の絶縁を図る構成とするのが望ましい。
【符号の説明】
【0032】
10…スイッチングユニット
11…回路基板
12…バスバー回路
12A…接続端子
13…スイッチングデバイス
15…ユニット本体(回路体)
20…ケーシング
25…放熱板(放熱手段)
30…絶縁部材
35…開口部
50…封止剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流のオン/オフを制御可能なスイッチングデバイスと、外部との接続を行うための接続端子とを備えたスイッチングユニットにおいて、
絶縁物を介して互いに密着された回路基板とバスバー回路とを有し、これらの双方に対して前記スイッチングデバイスが接続されてなる回路体と、前記回路体に接着された放熱板とを、ケーシングに収容して備え、
前記ケーシングには、前記放熱板の端部を嵌め入れる溝が形成されており、この溝に嵌め入れられた前記放熱板の面は前記ケーシングの内壁面に密着するとともに、
前記バスバー回路の端部に前記接続端子が一体に延設されており、
前記ケーシング内には前記回路体を被覆する封止剤が充填されていることを特徴とするスイッチングユニット。
【請求項2】
前記ケーシングには、封止剤の充填領域よりも上方で、かつ、前記ケーシングにおいて前記回路体の全周を包囲する4つの壁面のうちの1面における周方向の両端部に開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチングユニット。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記回路体を収容する本体と前記本体を閉塞する蓋体とからなり、
前記蓋体は、前記本体側の外周径が小さくなるように外周縁に形成される段差と前記接続端子を導出する挿通孔とを有し、前記本体に嵌合可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチングユニット。
【請求項4】
前記放熱板は、前記バスバー回路に対して接着及び絶縁されているとともに、
前記放熱板のうち前記接続端子側の端部には切欠き部が形成されており、この切欠き部に絶縁部材が嵌め込まれていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のスイッチングユニット。
【請求項1】
電流のオン/オフを制御可能なスイッチングデバイスと、外部との接続を行うための接続端子とを備えたスイッチングユニットにおいて、
絶縁物を介して互いに密着された回路基板とバスバー回路とを有し、これらの双方に対して前記スイッチングデバイスが接続されてなる回路体と、前記回路体に接着された放熱板とを、ケーシングに収容して備え、
前記ケーシングには、前記放熱板の端部を嵌め入れる溝が形成されており、この溝に嵌め入れられた前記放熱板の面は前記ケーシングの内壁面に密着するとともに、
前記バスバー回路の端部に前記接続端子が一体に延設されており、
前記ケーシング内には前記回路体を被覆する封止剤が充填されていることを特徴とするスイッチングユニット。
【請求項2】
前記ケーシングには、封止剤の充填領域よりも上方で、かつ、前記ケーシングにおいて前記回路体の全周を包囲する4つの壁面のうちの1面における周方向の両端部に開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチングユニット。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記回路体を収容する本体と前記本体を閉塞する蓋体とからなり、
前記蓋体は、前記本体側の外周径が小さくなるように外周縁に形成される段差と前記接続端子を導出する挿通孔とを有し、前記本体に嵌合可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチングユニット。
【請求項4】
前記放熱板は、前記バスバー回路に対して接着及び絶縁されているとともに、
前記放熱板のうち前記接続端子側の端部には切欠き部が形成されており、この切欠き部に絶縁部材が嵌め込まれていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のスイッチングユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−66442(P2011−66442A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261591(P2010−261591)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【分割の表示】特願2005−131555(P2005−131555)の分割
【原出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【分割の表示】特願2005−131555(P2005−131555)の分割
【原出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]