説明

スイッチング電源制御用の集積回路装置

【課題】放電回路の回路規模の増加を抑制しつつ、交流電源入力の遮断を検出してバルクコンデンサから残留電荷の放電を行うようにしたスイッチング電源制御用の集積回路装置を提供する。
【解決手段】フライバックトランス5に対して交流電圧が遮断された状態を検出する状態検出部11、MOSFET6に流れる電流が設定された基準値以上であることを検出する過電流保護回路のコンパレータ12、状態検出部11が交流電源入力の遮断状態を検知したとき、MOSFET6をオン状態に制御してフライバックトランス5の1次巻線に接続されたバルクコンデンサ4に残留する蓄積電荷を放電させる放電制御部13、MOSFET6に対するPWM信号を発生するPWM制御部14、ディセーブル端子dsblを有するPWM信号のドライブ回路15、および第1のスイッチ回路SW1等によって、スイッチング電源制御用の集積回路10が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライバックトランスの1次巻線に接続されるスイッチング素子をオンオフすることにより、交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に変換するスイッチング電源制御用の集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電源にブリッジ整流回路を介してフライバックトランスを接続し、フライバックトランスの1次巻線に接続されるスイッチング素子をオンオフすることにより所定の出力電圧を得るスイッチング電源装置では、軽負荷または無負荷状態で交流電源入力を遮断した場合、フライバックトランスの1次巻線に接続されたバルクコンデンサに残留した電荷が引き抜かれないで残留することにより、スイッチング電源装置に高電圧が残ることがあって、感電する危険性があった。そこで、安全面からバルクコンデンサの残留電荷を意図的に放電させて、その電圧値を下げる必要がある。
【0003】
図3は、従来のスイッチング電源装置での放電回路を示すブロック図である。ここで、トランス222は、集積回路371に電源を供給するための補助コンバータも構成している。スイッチング素子363がオンオフするとトランス222の第三巻線からは、電源供給端子VC2を介してPWM用の集積回路371(破線により囲まれた部分)に電源が供給され、集積回路371はトランス222の第三巻線もしくは抵抗R303を介してバルクフィルタコンデンサ(バルクコンデンサ)から電源供給を受けて動作し、スイッチング素子363のゲートにPWM信号を供給している。なお、電源供給端子VC2は抵抗R303を介して、図3には示していないバルクフィルタコンデンサと接続されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
一旦、正常動作してからAC電源が切れると、電源供給端子VC2の電位が低下を始め、この電圧が12Vを切るとオペアンプ315の出力がHとなって、フリップフロップ337のQ出力がH(ハイ)になる。このとき、PWM用の集積回路371では、AC電源が切れない限り電源供給端子VC2からの電源供給が12Vまで低下しないから、AC電源が切れる以前にスイッチング電源装置が正常運転していれば、フリップフロップ339の出力もHとなっていて、ナンド(NAND)ゲート343の出力がL(ロウ)になる。このためダイオード353が殺されて、オペアンプ351の反転入力端子にはスイッチング素子363のソース側の電圧VRsがそのまま入力される。
【0005】
オペアンプ351は、バルク放電制御用の専用オペアンプであって、ナンドゲート343の出力がLのとき、その基準電源345とスイッチング素子363とでシリーズレギュレータを構成している。ここでは、スイッチング素子363は、そのソース側の電圧VRsが常に基準電源345の出力電圧と(ほぼ)等しくするように、そのドレイン電流の大きさが定電流に制御される。こうして、スイッチング素子363がオンされると、バルクフィルタコンデンサの残留電荷はトランス222の1次巻線を介して放電される。
【0006】
なお、ナンドゲート343の出力がHになると、ダイオード353を介してオペアンプ351の反転入力端子にHが入力され、オペアンプ351の出力は常にLとなる。その場合、PWM制御回路357の出力が抵抗R355によりプルダウンされる形となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5999429号特許公報(第4〜第7コラム、図1〜図3等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のスイッチング電源装置では、バルク放電制御に専用のオペアンプ、例えばオペアンプ351が必要になる。
ここでは、オペアンプ351がパワーMOSFETからなるスイッチング素子363のゲート電圧を制御することで、バルクコンデンサの放電時のドレイン電流を制御するように構成されていた。オペアンプはアナログ回路であり、ある程度大きなレイアウト面積を要するために、集積回路内でスイッチング素子363のゲート電圧制御に必要な回路部の面積が増えてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであって、放電回路の回路規模の増加を抑制しつつ、交流入力のオフを検出してバルクコンデンサから残留電荷の放電を行うようにしたスイッチング電源制御用の集積回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では上記問題を解決するために、交流電源にブリッジ整流回路を介してトランスを接続し、前記トランスの1次巻線の一端に接続されたスイッチング素子をオンオフして、前記交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に変換するスイッチング電源制御用の集積回路装置が提供される。
【0011】
この集積回路装置は、前記トランスに対して前記交流電源の電圧が遮断された状態を検出する状態検出手段と、前記スイッチング素子に流れる電流が設定された基準値以上の場合に前記スイッチング素子をオフ状態に制御する過電流保護手段と、前記状態検出手段で前記交流電圧の遮断状態を検知したとき、前記スイッチング素子をオン状態に制御して前記トランスの1次巻線の他端に接続されたバルクコンデンサに残留する蓄積電荷を放電させる放電制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少ない制御用部品だけでバルクコンデンサの放電のための放電制御機能をスイッチング電源制御用の集積回路装置の内部に構成できる。特に、既存製品の過電流保護(OCP:Over Current Protection)用のコンパレータを兼用して、抵抗とコンデンサとを使用したRC回路で構成でき、パワーMOSFET等で構成されたスイッチング素子による放電電流を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。
【図2】図1のスイッチング電源装置における放電動作を説明するための波形図である。
【図3】従来のスイッチング電源装置での放電回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をスイッチング電源装置の実施の形態を示す図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。
交流入力端子CN1には交流電源1が着脱自在に接続され、入力フィルタ回路2を介してブリッジ整流回路3に交流電源が供給される。ここで、入力フィルタ回路2は複数のインダクタL1,L2、抵抗R1,R2、コンデンサC1で構成されている。
【0015】
また、ブリッジ整流回路3の出力側には、バルクコンデンサ4およびフライバックトランス5の1次巻線5Pが接続され、1次巻線5Pに直列接続されたスイッチング素子、例えばNチャネル型のMOSFET6のソース端子は電流検出抵抗Rsを介して接地されている。フライバックトランス5の2次巻線5Sには、ダイオードD4および平滑コンデンサC2からなる平滑回路7が接続され、平滑コンデンサC2の両端子が直流出力端子CN2に接続されている。この直流出力端子CN2には負荷が接続される。
【0016】
スイッチング電源制御用の集積回路10は、VH端子、VCC端子、OUT端子、およびIS端子等を備えている。交流電源1の両極が接続されるACラインには、ダイオードD1,D2のそれぞれアノードが接続され、カソードは互いに接続されて抵抗R3を介して集積回路10のVH端子と接続されている。
【0017】
MOSFET6のゲート端子は、ゲート駆動パルスを鈍らせるための波形整形回路8を介して集積回路10のOUT端子と接続されている。波形整形回路8は、直列接続された抵抗R4,R5と、その一方の抵抗R4に対して並列接続されたダイオードD3とで構成されている。MOSFET6のゲート端子にゲート電圧Vgとして供給されるパルス信号波形は、この波形整形回路8によりその立ち上がり時間を立ち下がり時間より長くするように整形される。また、MOSFET6のソース端子と電流検出抵抗Rsとの接続点は、集積回路10のIS端子と接続されている。
【0018】
集積回路10は、フライバックトランス5に対して交流電圧が遮断された状態を検出する状態検出部11、MOSFET6に流れる電流が設定された基準値以上の場合にMOSFET6をオフ状態に制御する過電流保護回路のコンパレータ12(コンパレータ12の非反転入力端子に入力される基準電圧が、上記の設定された基準値に相当する。)、状態検出部11が交流電圧の遮断状態を検知したとき、MOSFET6をオン状態に制御してフライバックトランス5の1次巻線に接続されたバルクコンデンサ4に残留する蓄積電荷を放電させる放電制御部13、MOSFET6に対するPWM信号を発生するPWM制御部14、ディセーブル端子dsblを有するPWM信号のドライブ回路15、および第1のスイッチ回路SW1等によって構成されている。コンパレータ12以外の過電流保護回路は本発明とは直接関係ないため、図示を省略している。コンパレータ12はMOSFET6に流れる電流が設定された基準値以上であるか否かを判断するためのものであり、保護回路はコンパレータ12が過電流を検出すると、図示しない回路によりMOSFET6をオフする。なお、状態検出部11が交流電圧の遮断状態を検知すると、保護回路がMOSFET6を直接オフする動作は禁止される。
【0019】
PWM制御部14は、ドライブ回路15のコントロール端子ctrlと接続され、ドライブ回路15の出力端子はOUT端子から波形整形回路8を介してMOSFET6のゲート端子に接続されている。ドライブ回路15は、そのディセーブル端子dsblに状態検出部11の出力信号が供給され、交流電圧の遮断状態が検知されてディセーブル信号がHレベルになると、その出力がハイインピーダンスとなってPWM信号を無効にする。なお、ドライブ回路15はVCC端子と接続され、そこから電源供給されている。
【0020】
また、第1のスイッチ回路SW1は、放電制御部13をドライブ回路15の出力端子とOUT端子との接続点に接続するように設けられている。このスイッチ回路SW1は、状態検出部11の後述するRSフリップフロップ回路11cによってオンオフ制御されるものであって、RSフリップフロップ回路11cのQ出力信号がHレベルのときにオンするように構成されている。
【0021】
状態検出部11は、交流入力検出回路11a、遅延時間設定タイマ11b、およびRSフリップフロップ回路11cを有している。このうち交流入力検出回路11aには、交流電源1が接続されている場合、入力フィルタ回路2のコンデンサC1の端子電圧として全波整流信号がVH端子を介して入力される。交流入力検出回路11aでは、それを図示しない比較回路により基準信号レベルと比較して交流電源1が遮断されたかどうかを判断し、遅延時間設定タイマ11bとRSフリップフロップ回路11cのセット入力端子(S)とに検出信号AC_DETを出力している。すなわち、交流電源1が供給されている状態では、上記のようにVH端子に交流電源1を全波整流した波形(厳密にいえばそれをレベルシフトした波形)が入力されるので、これを低電圧の上記基準信号レベルと比較することにより、交流入力検出回路11aの内部で上記比較回路の出力として交流電源1の周波数の2倍の周波数のパルス列を生成することができる。また、交流電源1が遮断されると、VH端子に入力される電圧はそのときのコンデンサC1の充電電圧に応じて定まってしまい、交流電源1の周波数で変化することがなくなるため、上記比較回路により上記パルス列が生成されることがない。交流入力検出回路11aはこれを利用して、上記パルス列のパルスが所定時間生成されない場合は交流電源1が遮断されたと判断してその出力である検出信号AC_DETをHレベルの信号とし、それ以外の場合は交流電源1が接続されているとして検出信号AC_DETをLレベルの信号とする。
【0022】
また、遅延時間設定タイマ11bでは、検出信号AC_DETがHレベルであれば計時動作が開始され、そこで設定されている時間の経過後にRSフリップフロップ回路11cのリセット入力端子(R)にタイムアウト信号T_Oを出力する。検出信号AC_DETがLレベルであれば、遅延時間設定タイマ11bはリセットされる。
【0023】
過電流保護回路を構成するコンパレータ12はヒステリシスコンパレータであって、2つの基準電圧VrefL,VrefHが設定されている。ここでは、集積回路10のIS端子から帰還される電圧信号VISを基準電圧VrefL,VrefHと比較して、スイッチング素子に流れる電流値から過電流状態を検出することができる。
【0024】
放電制御部13は、インバータ回路13a、ナンド(NAND)回路13b、インバータ回路13c、定電流源13d、第2のスイッチ回路SW2、第3のスイッチ回路SW3、およびコンデンサC3を有している。コンパレータ12の出力信号COMPは、ナンド回路13bの一方入力となる。ナンド回路13bの他方入力には、RSフリップフロップ回路11cのQ出力信号が供給されている。ナンド回路13bの出力端子は、インバータ回路13cを介して第2のスイッチ回路SW2と接続されている。定電流源13dは、第2のスイッチ回路SW2を介してコンデンサC3と接続されていて、インバータ回路13cの出力信号がHレベルのときに、第2のスイッチ回路SW2がオンされることによりコンデンサC3に定電流を供給する。コンデンサC3の他端は接地されている。インバータ回路13aは、RSフリップフロップ回路11cのQ出力端子と接続され、その出力信号によって第3のスイッチ回路SW3をオンオフ制御している。また、第3のスイッチ回路SW3はコンデンサC3と並列に接続されている。
【0025】
放電制御部13は、第2のスイッチ回路SW2および第3のスイッチ回路SW3によりコンデンサC3の充放電のタイミングが決定され、インバータ回路13aの出力信号がHレベルのときに第3のスイッチ回路SW3がオンされ、コンデンサC3の電荷を放電するように制御する。また、コンデンサC3は、第2のスイッチ回路SW2がオンかつ第3のスイッチ回路SW3がオフとなるタイミング(後述のt1)で、定電流源13dから第3のスイッチ回路SW3がオフしている場合に充電される。この放電制御部13は、コンデンサC3の充電電位によってその出力電圧Voが決定され、第1のスイッチ回路SW1を介して集積回路10のOUT端子に供給されている。
【0026】
一般にスイッチング電源装置では、負荷側に生じた不測の事故等の原因により過負荷状態になって、そのスイッチング用のトランジスタが熱的な損傷を受け、ないしは完全破壊してしまうことがある。過電流保護回路では、電圧信号VISが帰還される過電流検出用のコンパレータ12によって電流検出抵抗Rsに流れるMOSFET6のドレイン電流Idが検出され、そこに設定された基準電圧信号Vrefと比較して、出力信号COMPを生成している。したがって、電圧信号VISが基準電圧信号Vrefより大きくなるとこの出力信号COMPがLレベルになり、過電流保護回路はドレイン電流Idが許容限度を超えたと判断して直ちにMOSFET6のPWM動作を停止してオフ状態とするものである。
【0027】
つぎに、交流電源の遮断状態を検知してバルクコンデンサ4を放電する動作について説明する。
図2は、図1のスイッチング電源装置における放電動作を説明するための波形図である。
【0028】
同図(A)には、交流入力検出回路11aの検出信号AC_DETを示している。この交流入力検出回路11aの検出信号AC_DETは、交流電源の遮断タイミングt1でHレベルとなって、電源遮断状態が検出されるものとする。
【0029】
図2(B)は、過電流検出用のコンパレータ12の出力信号COMPを示している。タイミングt1で検出信号AC_DETがHレベルになると、RSフリップフロップ回路11cのQ出力信号がHレベルになる。このHレベルとなったQ出力信号は、状態検出部11から第1のスイッチ回路SW1、放電制御部13、およびドライブ回路15に出力される。同図(C)には、第1のスイッチ回路SW1のオンオフ状態を示している(Hがオン、Lがオフを示す。後述のSW2,SW3の状態を示す図も同様。)。ディセーブル端子dsblへの入力信号がHになることによって、ドライブ回路15はその出力電圧VOUTがハイインピーダンスになり、PWM制御部14がOUT端子から切り離される。また、このときのQ出力信号によって第1のスイッチ回路SW1がオンすることで、放電制御部13とOUT端子とが接続される。
【0030】
図2(D)には、第2のスイッチ回路SW2のオンオフ状態を示している。タイミングt1でナンド回路13bの出力がL、インバータ回路13cの出力がHになることにより第2のスイッチ回路SW2がオンされ、定電流源13dからの充電電流によるコンデンサC3の充電が開始される。これにより、MOSFET6のゲート電圧Vgを決める電圧VOUTが一定の傾きで増加される。同図(G)には、OUT端子でのゲート電圧VOUTの変化を示している。ゲート電圧VOUTがタイミングt2でMOSFET6の閾値電圧Vthを超えると、MOSFET6をオン状態にして電流検出抵抗Rsにドレイン電流Idが流れ、バルクコンデンサ4の放電が開始されるようになる。こうして、タイミングt2以降にはバルクコンデンサ4から残留電荷が徐々に引き抜かれることになる。
【0031】
図2(H)には、ドレイン電流Idの変化を示している。バルクコンデンサ4の放電中に電流検出抵抗Rsを流れるドレイン電流Idは、ヒステリシスコンパレータ12によって制限を受ける。同図(I)は、集積回路10のIS端子に帰還される電圧信号VISを示している。タイミングt3でこの電圧信号VISがヒステリシスコンパレータ12の第1の閾値VrefHに達する。そこでコンパレータ12の出力信号COMPがLになり、これによりナンド回路13bの出力がH、インバータ回路13cの出力がLになって第2のスイッチ回路SW2がオフし、MOSFET6のゲート電圧Vgの上昇が停止され、その後は一定電圧での放電が継続する。
【0032】
ここで、図2(J)にはバルクコンデンサ4の電圧値の変化を示している。
図2(E)は、遅延時間設定タイマ11bからのタイマ出力T_Oを示している。遅延時間設定タイマ11bは、タイミングt1でセットされてタイムアウト信号T_OがLレベルになる。その後、タイミングt4になって設定された時間が経過したとき、タイムアウト信号T_OがHレベルになり、RSフリップフロップ回路11cがリセットされる。これにより、状態検出部11の出力信号はLレベルになって、SW1がオフして放電制御部13がOUT端子から切り離されるとともに、ドライブ回路15がOUT端子に接続される。同図(F)には、第3のスイッチ回路SW3のオンオフ状態を示している。第1のスイッチ回路SW1がオフされ、ドライブ回路15によってOUT端子の電圧が下げられるとともに、放電制御部13の第3のスイッチ回路SW3がオンされる。これによりコンデンサC3が放電状態となって、放電制御部13の出力電圧Voが低下する。
【0033】
タイミングt5で電圧信号VISがコンパレータ12の低電圧側基準電圧VrefLに達すると、コンパレータ12の出力信号COMPがHになる。
遅延時間設定タイマ11bに設定された時間によりバルクコンデンサ4の放電に必要な時間が確保されているため、タイミングt5までにはバルクコンデンサ4の放電が終了していて、タイミングt5でPWM制御部14を含むスイッチング電源制御用の集積回路10が初期状態に復帰する。
【0034】
本実施の形態では、過電流保護回路を構成する既存のコンパレータ12を用いて、バルク放電中にMOSFET6のゲート電圧Vgを制御してドレイン電流Idを制限することができる。したがって、少ない制御用部品でバルク放電機能を電源制御用IC内部に集積することが可能になる。
【0035】
また、放電制御部13では、バルクコンデンサ4の放電の際に定電流源13dとコンデンサC3によりMOSFET6のゲート電圧Vgを決める電圧VOUTとしてランプ電圧を発生させている。このランプ電圧によって、MOSFET6のゲート電圧を制御することで、ドレイン電流を制御しながらバルクコンデンサ4を放電できる。
【0036】
さらに、集積回路10に内蔵された遅延時間設定タイマ11bで交流電源の遮断検出からそのリセットまでの時間を設定するようにしたので、バルクコンデンサ4の放電が完了した後で初期状態に戻ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 交流電源
2 入力フィルタ回路
3 ブリッジ整流回路
4 バルクコンデンサ
5 フライバックトランス
6 スイッチング素子(MOSFET)
7 平滑回路
8 波形整形回路
10 スイッチング電源制御用の集積回路
11 状態検出部
11a 交流入力検出回路
11b 遅延時間設定タイマ
11c RSフリップフロップ回路
12 コンパレータ
13 放電制御部
13a,13c インバータ回路
13b ナンド(NAND)回路
13d 定電流源
14 PWM制御部
15 ドライブ回路
C1,C3 コンデンサ
C2 平滑コンデンサ
CN1 交流入力端子
CN2 直流出力端子
D1〜D4 ダイオード
L1,L2 インダクタ
R1〜R5 抵抗
Rs 電流検出抵抗
SW1〜SW3 スイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源にブリッジ整流回路を介してトランスを接続し、前記トランスの1次巻線の一端に接続されたスイッチング素子をオンオフして、前記交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に変換するスイッチング電源制御用の集積回路装置において、
前記トランスに対して前記交流電源の電圧が遮断された状態を検出する状態検出手段と、
前記スイッチング素子に流れる電流が設定された基準値以上の場合に前記スイッチング素子をオフ状態に制御する過電流保護手段と、
前記状態検出手段で前記交流電圧の遮断状態を検知したとき、前記スイッチング素子をオン状態に制御して前記トランスの1次巻線の他端に接続されたバルクコンデンサに残留する蓄積電荷を放電させる放電制御手段と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源制御用の集積回路装置。
【請求項2】
前記過電流保護手段では、前記過電流保護手段において設定された前記基準値を超えて前記バルクコンデンサの放電電流が前記スイッチング素子に流れた場合、前記放電電流の電流値を一定の大きさに制御することを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源制御用の集積回路装置。
【請求項3】
前記過電流保護手段は、前記スイッチング素子に流れる電流値に比例する大きさで帰還する電圧信号を基準電圧値と比較する電流値比較回路を備えことを特徴とする請求項2記載のスイッチング電源制御用の集積回路装置。
【請求項4】
前記放電制御手段は、定電流源、前記定電流源により充電される容量素子、および前記状態検出手段の出力に応じて前記容量素子の充放電を制御するスイッチ回路を備え、前記容量素子の充電電圧により前記スイッチング素子を制御するようにしたことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源制御用の集積回路装置。
【請求項5】
前記状態検出手段は、前記交流電圧の遮断状態を所定時間計時するタイマ回路を備え、前記交流電圧が遮断されて前記バルクコンデンサに残留する蓄積電荷の放電を開始した後、前記所定時間経過後に前記放電制御手段をリセット状態に復帰するようにしたことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源制御用の集積回路装置。
【請求項6】
前記状態検出手段は、前記交流電源の出力を全波整流した電圧を表す信号を比較回路により基準信号レベルと比較し、前記比較回路から所定時間パルスが生成されないと前記交流電圧が遮断状態であると判断することを特徴とする請求項1または5に記載のスイッチング電源制御用の集積回路装置。
【請求項7】
前記所定時間が前記交流電源の周期より長いことを特徴とする請求項6記載のスイッチング電源制御用の集積回路装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−60815(P2012−60815A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202902(P2010−202902)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】