説明

スイッチング電源回路およびバックライト駆動回路

【課題】減電圧が発生しているか否か判断するための時間を適切に短縮する。
【解決手段】所定端子に入力されるPWMの発振制御信号がローレベルのときにトランス20cのスイッチング駆動を行い、ハイレベルのときにトランス20cのスイッチング駆動を停止する制御IC20bと、トランス20cの出力するバックライト駆動電圧のピーク値をホールドするピークホールド回路20d2と、当該ピーク値が所定値を下回るとハイレベルの電圧を出力する比較回路20d3と、比較回路20d3がハイレベルの出力を所定時間(発振制御信号の1周期に含まれるローレベルの継続時間よりも短い時間(0より大))、継続すると、制御IC20bに対する発振制御信号の入力を停止するマイコン16と、発振制御信号がローレベルとなる期間、比較回路20d3からマイコン16への出力を遮断する遮断回路20d4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバックライト駆動回路に関し、特に、トランスをスイッチング駆動することにより当該トランスからバックライトを駆動するための駆動電圧を出力させる制御IC(Integrated Circuit)を備え、前記制御ICは、第1電圧と第2電圧を周期的に繰り返す制御信号を所定端子に入力されると、前記第1電圧が入力されている間は前記トランスのスイッチング駆動を行い、前記第2電圧が入力されている間は前記トランスのスイッチング駆動を停止する、バックライト駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ等を備える放電灯点灯装置の多くは、電圧や電流の異常を検知して装置を保護する機能を備えている。ただし、誤検知の可能性があることから誤検知を防止するための各種対策が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、バースト調光を行う放電灯点灯装置において、放電管の端電圧を第1比率で分圧した基準電圧と第2比率で分圧した検出電圧とを生成し、検出電圧が基準電圧に対して所定の範囲外にある場合に、負荷が異常状態にあると判定している。当該放電管点灯装置では、バースト調光を行っているときに検出電圧と基準電圧が同一比率で低下するため、バースト調光の不点灯期間を負荷の異常状態と誤検知することが無い。よって、保護回路のタイマー期間(異常検出から実際に保護動作を行うまでの期間)をバースト調光の周期よりも短く設定可能となり、安全で最適な保護動作を行うことができる。
【0004】
例えば、特許文献2では、バースト調光を行いつつ、閾値よりも大きいランプ電圧を検出するとインバータ出力を低下または停止する放電灯点灯装置において、バースト調光信号がオン期間になったときに第1の検出閾値を選択し、バースト調光信号がオン期間になってから所定の期間後に第2の検出閾値を選択するようにしてある。第1の検出閾値は、バースト調光信号がオン期間になって放電灯が始動・点灯するときに印加される高電圧を異常電圧と検出しないように決定され、第2の検出閾値は、バースト調光信号がオン期間になって所定期間が経過後に安定して出力される電圧に基づいて決定される。よって、誤検出を防止しつつ確実かつ速やかに異常検出することができる。
【0005】
例えば、特許文献3では、インバータ電源において、所定の閾値と比較することによりインバータ出力が正常か異常かを示す状態信号を出力するコンパレータと、当該コンパレータの状態信号を入力されており、インバータ電源を駆動するための駆動パルスもしくはバースト信号をトリガとして当該コンパレータの状態信号を出力するフリップフロップと、フリップフロップの出力する状態信号が異常を示すときにインバータ電源を停止するアラーム回路とを備えている。よって、インバータ電源の出力の異常を高精度で安定して検出できる。
【0006】
例えば、特許文献4では、バースト調光を行う放電灯点灯装置において、消灯期間に突入した後の第2期間において、比較手段による印加電圧のピーク値と基準値との比較を強制的に停止することによって、消灯期間における印加電圧の低下を短絡による電圧低下と誤検出することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−048836号公報
【特許文献2】特開2008−204717号公報
【特許文献3】特開2008−166226号公報
【特許文献4】特開2007−179928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の技術では、減電圧等の異常が発生しているか否かの判断を異常電圧を所定回数以上検出したか否かに基づいて判断している。一方で、減電圧が発生しているか否かの判断には減電圧が所定時間、継続して検出されたか否かに基づいて行う手法もある。この所定時間の設定は難しく、例えば、減電圧を検出した瞬間にバックライト駆動電圧を停止するようにすると、ノイズ等の誤作動でバックライトが消えてしまう可能性があるし、長すぎると短絡による破損が復旧不可能なものになる可能性がある。さらに、バックライトは、通常、点灯と不点灯とを100〜200Hzの周期で繰り返しているため、所定時間の設定を短くすると、不点灯期間における減電圧を検出してしまう畏れもある。
【0009】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、減電圧が発生しているか否かの判断を減電圧が所定時間、継続して検出されたか否かに基づいて行う場合に、当該所定時間を適切に短縮することが可能なスイッチング電源回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
<請求項1>
前記課題を解決するために、本発明にかかるバックライト駆動回路は、トランスをスイッチング駆動することにより当該トランスからバックライトを駆動するための駆動電圧を出力させる制御IC(Integrated Circuit)を備え、前記制御ICは、第1電圧と第2電圧を周期的に繰り返す制御信号を所定端子に入力されると、前記第1電圧が入力されている間は前記トランスのスイッチング駆動を行い、前記第2電圧が入力されている間は前記トランスのスイッチング駆動を停止する、バックライト駆動回路において、前記トランスの出力する電圧のピーク値をホールドするピークホールド回路と、前記ピーク値が所定値を下回ると第3電圧を出力する比較回路と、前記第3電圧が前記比較回路から所定時間、継続して出力されると前記制御ICの動作を停止させる保護部と、前記制御信号が前記第2電圧となる期間、前記比較回路から前記保護部へ出力される前記第3電圧を遮断する遮断回路と、を備え、前記所定時間は、前記制御信号の1周期に含まれる前記第1電圧の継続時間よりも短い時間とされる構成とされる。(ただし、前記所定時間は0より大きいものとする。)
【0011】
前記構成において、前記制御ICの所定端子に第1電圧が入力されると、前記制御ICが前記トランスのスイッチング駆動を行い、前記トランスは前記バックライトを駆動するための駆動電圧を出力すし、その結果、前記バックライトは点灯する。一方、前記制御ICの所定端子に第2電圧が入力されると、前記制御ICが前記トランスのスイッチング駆動を停止し、前記トランスは前記バックライトを駆動するための駆動電圧を出力せず、その結果、前記バックライトは点灯しない。
【0012】
前記ピークホールド回路はトランスが出力する電圧のピーク値をホールドする。すなわち、ピークホールド回路は、トランスが出力する電圧の一定期間内におけるピーク値をホールドして出力することができる。当該一定期間は、前記スイッチング制御によって前記駆動電圧に発生する通常の変動(ノイズ等)に追随しにくく、且つ、前記駆動電圧に発生する異常な変動(短絡やスパーク等に起因する変動)には追随可能なように、前記ピークホールド回路の構成素子の選択によって適切に決定される。
【0013】
前記比較回路は、ピークホールド回路のホールドしたピーク値を取得して所定値と比較し、当該ピーク値が所定値を下回ると第3電圧を前記所定端子へ入力する。なお、当該ピーク値が所定値以上のときは、前記比較回路は前記所定端子に対する出力は特に行わない。所定値は、前記トランスの出力する正常電圧の最小値(もしくは前記トランスの出力が低下したときに異常電圧とみなされる電圧の最大値)であって、例えば、前記比較回路に入力される参照電圧によって規定することができる。
【0014】
前記保護部は、前記比較回路の出力する前記第3電圧監視しており、前記比較回路からの前記第3電圧の出力が、前記制御信号の1周期に含まれる前記第1電圧の継続時間よりも短い時間、持続すると、前記制御ICの動作を停止させる。(ただし、前記所定時間は0より大きいものとする。)
【0015】
前記遮断回路は、前記制御信号が前記第2電圧となる期間、すなわち、前記バックライトへ前記駆動電圧が出力されず、前記バックライトが不点灯となる期間において、前記比較回路から前記保護部へ出力される前記第3電圧を遮断する。前記遮断回路には、少なくとも当該制御信号における前記第1電圧と前記第2電圧との切り換わりタイミングを判別する基となる信号として前記制御信号もしくはこれに準じた信号が入力される。前記遮断回路は、前記制御信号が前記第2電圧となる期間、前記保護部の監視を無効化し、仮に、この期間中に前記比較回路が前記第3電圧を出力しても前記保護部がこれを検知しないようにする。すなわち、前記制御信号が前記第2電圧となる期間に、前記トランスの出力する電圧のピーク値が前記所定値を下回っても、前記保護部は前記制御ICを停止しない。
【0016】
以上の構成によれば、前記制御信号が前記第1電圧となる期間に、前記トランスの出力電圧が何らかの要因で低下して前記ピークホールド回路のホールドするピーク値が前記所定値を下回ると、前記保護部は前記比較回路の出力する前記第3電圧を検知する。すると、前記保護部は、前記第3電圧の入力が前記制御信号の1周期に含まれる前記第1電圧の継続時間よりも短い時間、持続すると、前記制御ICの動作を停止させる。
【0017】
一方、前記制御信号が前記第2電圧となる期間に、前記トランスの出力電圧が何らかの要因で低下して前記ピークホールド回路のホールドするピーク値が前記所定値を下回っても、前記保護部は前記比較回路の出力する前記第3電圧を検知しない。従って、前記制御信号が前記第2電圧となる期間に、前記保護部が前記制御ICの動作を停止させることはない。
【0018】
<請求項2>
本発明の選択的な一態様は、前記第3電圧は、前記所定端子においては前記第2電圧に相当する電圧であり、前記比較回路は、前記ピーク値が所定値を下回ると前記第3電圧を前記所定端子へ出力する構成とされる。
当該構成においては、前記制御信号が前記第1電圧となる期間に、前記制御信号として前記第1電圧が前記所定端子に入力されていても、前記ピーク値が所定値を下回ると前記所定端子には前記第3電圧が代わりに入力される。前記第3電圧は前記所定端子に入力されたときに前記制御ICに対して前記第2電圧と同様の作用を奏する電圧である。前記第3電圧を前記所定端子に入力された前記制御ICは、スイッチング駆動を停止し、前記トランスの出力する駆動電圧は停止される。
一方、前記制御信号が前記第1電圧となる期間、仮に前記ピーク値が所定値を下回っても、そもそも前記所定端子には第2電圧が入力されており、前記制御ICによる前記トランスのスイッチング駆動は停止しているため、特に影響しない。
すなわち、前記制御信号が前記第1電圧となる期間に、前記トランスの出力する駆動電圧が何らかの要因で低下すると、バックライト駆動回路は迅速に停止され、当該バックライト駆動回路および当該バックライト駆動回路によって駆動されるバックライトに対する影響を最小限に止めることができる。さらに、その後、前記比較回路からの前記第3電圧の出力が、前記制御信号の1周期に含まれる前記第1電圧の継続時間よりも短い時間、持続すると、前記保護部が前記制御ICの動作を停止させる。
以上のように、前記制御信号が前記第1電圧となる期間に減電圧が発生すると、瞬間的に前記制御ICを停止させ、前記第3電圧が一定時間、継続したことを確認してから制御ICを完全停止させるという2段構えの停止動作を、高速・確実に実現することができる。
【0019】
<請求項3>
前記遮断回路の選択的な一態様は、直列に接続されつつ一端に前記制御信号を入力され他端をグランドに接続された2つの抵抗と、ベースを前記2つの抵抗の接続点に接続されコレクタを前記比較回路から前記保護部へ前記第2電圧に相当する電圧を伝送するラインに接続されエミッタをグランドに接続された、NPN型のトランジスタと、を備え、前記トランジスタは、前記制御信号が第1電圧のときはターンオンせず、前記制御信号がローレベルのときはターンオンする構成とされる。
当該態様によれば、簡易な回路構成で前記遮断回路を実現することができる。
【0020】
<請求項4>
前記保護部の選択的な一態様は、前記制御ICの動作を停止させるにあたり、前記制御ICに対する前記制御信号の入力を停止させる構成とされる。
当該態様によれば、簡易且つ効果的に前記制御ICの動作(前記駆動電圧の出力)を停止することが出来る。
【0021】
<請求項5>
前記ピークホールド回路の選択的な一態様は、前記トランスの出力に応じた第4電圧をアノードに入力されるダイオードと、前記ダイオードのカソードとグランドとを接続するコンデンサと、前記ダイオードのカソードとグランドとを接続する抵抗と、を備える構成とされる。
当該態様によれば、前記ダイオードは、前記第4電圧が前記コンデンサの蓄積している電圧よりも高い場合は通電し、前記第4電圧が前記コンデンサの蓄積している電圧よりも低い場合は通電せず、前記抵抗は、前記コンデンサに蓄えられた電荷を、前記コンデンサの容量と前記抵抗の抵抗値とによって定まる所定の時定数で放電し、前記ピークホールド回路は前記コンデンサに蓄積する電圧を前記ピーク値として出力することとなる。
当該態様によれば、簡易な回路構成で前記ピークホールド回路を実現することができる。
【0022】
<請求項6>
本発明の選択的な一態様は、
前記バックライトは複数の放電灯を備え、
前記バックライト駆動回路は、前記複数の放電灯をそれぞれに駆動するための複数のトランスを備え、
前記制御ICは、ハイレベルの電圧とローレベルの電圧を周期的に繰り返す制御信号を前記所定端子に入力されると、前記ローレベルの電圧が入力されている間は前記複数のトランスのスイッチング駆動を行い、前記ハイレベルの電圧が入力されている間は前記複数のトランスのスイッチング駆動を停止し、
前記ピークホールド回路は、前記複数のトランスが出力する電圧のピーク値をそれぞれホールドする複数のピークホールド回路により構成され、
前記比較回路は、前記複数のピークホールド回路のホールドするピーク値の少なくとも1つが前記所定値を下回ると前記ハイレベルの電圧を前記所定端子と前記保護部へ出力し、
前記保護部は、前記比較回路から出力されるハイレベルの電圧が、前記制御信号の1周期に含まれるローレベルの継続時間よりも短い時間、持続すると、前記制御ICに対する前記制御信号の入力を停止させることにより前記制御ICの動作を停止させ、
前記遮断回路は、直列に接続されつつ一端に前記制御信号を入力され他端をグランドに接続された2つの抵抗と、ベースを前記2つの抵抗の接続点に接続されコレクタを前記比較回路の出力するハイレベルの電圧を前記所定端子と前記保護部へ伝送するラインに接続されエミッタをグランドに接続された、NPN型のトランジスタと、を備え
前記トランジスタは、前記制御信号がローレベルのときはターンオンせず、前記制御信号がハイレベルのときはターンオンして前記比較回路から前記保護部へ出力されるハイレベルの電圧を遮断する構成とされる。
(ただし、前記制御信号の1周期に含まれるローレベルの継続時間よりも短い時間は、0より大きいものとする。)
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、制御ICを停止するまでに要する時間を、前記制御信号の1周期に含まれる前記第1電圧の継続時間よりも短い時間(0より大)とすることが可能なバックライト駆動回路を提供することができる。
請求項2にかかる発明によれば、瞬間的な制御ICの停止と、第3電圧が一定時間、継続したことを確認してからの制御ICの完全停止とを、高速・確実に実現することができる。
請求項3にかかる発明によれば、簡易な回路構成で遮断回路を実現することができる。
請求項4にかかる発明によれば、簡易且つ効果的に制御ICの動作(駆動電圧の出力)を停止することが出来る。
請求項5にかかる発明によれば、簡易な回路構成でピークホールド回路を実現することができる。
請求項6にかかる発明によれば、請求項1〜請求項5の各発明と同様の作用を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】液晶テレビジョンの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】バックライト駆動回路の概略構成を示すブロック図である。
【図3】バックライト駆動回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【図4】2次電圧検出回路やフィードバック回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【図5】保護処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】バックライト駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】点灯期間中に減電圧が発生したときのバックライト駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】不点灯期間中に減電圧が発生したときのバックライト駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)バックライト駆動回路の構成・作用:
(3)保護処理:
(4)まとめ:
【0026】
(1)本実施形態の構成:
図1は、本実施形態にかかる液晶表示装置の電気的構成を示すブロック図である。同図において、液晶表示装置100は、映像処理部10、液晶駆動回路12、液晶パネル14、マイコン16、電源回路18、バックライト駆動回路20、バックライト22、操作部24、を備えている。
【0027】
映像処理部10は、映像ソース(例えば、内蔵もしくは外付けのチューナー、外部入力端子に接続された再生装置、等)から入力される映像信号に対して所定の映像処理を行って液晶駆動回路12に出力する。
液晶駆動回路12は、映像処理部10から入力された映像信号に基づいて液晶パネル14を構成する各液晶セルを駆動する。
液晶パネル14は、液晶駆動回路12によって各液晶セルを駆動されつつバックライト22に背面から光を照射されることにより画面に映像を表示する。
【0028】
マイコン16は、液晶表示装置100の制御主体であり、例えば、バックライト駆動回路20を構成する後述の制御IC(Integrated Circuit)20bに対して発振制御信号を出力したり、バックライト駆動回路20やバックライト22における異常を検出して装置の保護処理を行ったりする。マイコン16は、所定の通信バスを介して液晶表示装置100の各部(映像処理部10、液晶駆動回路12等)と通信可能に接続されており、映像表示にかかる各種の制御処理を行う。またマイコン16には、操作部24が接続されており、操作部24に対してユーザーの行う操作に応じた各種の処理等、も実行する。
【0029】
操作部24は、ユーザーの操作を受付けるユーザーインターフェースとして機能し、ユーザーの行った操作に応じた信号(例えば、電圧信号やパルス信号等)を生成してマイコン16に入力する。ユーザーは、操作部24を介して、例えばマイコン16から出力される上述した発振制御信号を調整することが可能であり、これにより画面輝度を調整することできる。
【0030】
電源回路18は、外部電源(例えば、商用の交流電源)から供給される電源電圧に基づいて生成した各種の電源電圧を液晶表示装置100の各部(例えば、映像処理部10,液晶駆動回路12,バックライト駆動回路20,マイコン16等)に供給する。
【0031】
バックライト駆動回路20は、電源回路18から供給される電源電圧に基づいてバックライトを点灯させるためのバックライト駆動電圧を生成してバックライト22に出力する。
バックライト22は、バックライト駆動回路20から供給されるバックライト駆動電圧によって点灯され、液晶パネル14の背面から光を照射する光源として機能する。
【0032】
(2)バックライト駆動回路の構成・作用:
図2はバックライト駆動回路の概略構成を示すブロック図であり、図3は減電圧検出回路の構成を示す要部回路図であり、図4は2次電圧検出回路やフィードバック回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。なお、図2〜4や以降の説明においては、バックライト22が4本のU字型の蛍光管(蛍光管22a,22b,22c,22d)を備える場合を例にとって説明するが、むろん、蛍光管は4本に限る必要はないし、蛍光管の形もU字型に限る必要も無いし、蛍光管に限らずその他の放電灯であってもよい。また、各蛍光管を点灯するために必要となる回路素子も必要に応じて適宜に増減される。
【0033】
<バックライト駆動回路の構成>
図2に示すように、バックライト駆動回路20は、スイッチ回路20a、制御IC20b、トランス20c1,20c2,20c3,20c4(以下、これらトランスをまとめて指す場合は、トランス20cと記載する)、減電圧検出回路20d、フィードバック回路20e1,20e2,20e3,20e4(以下、これらフィードバック回路をまとめて指す場合は、フィードバック回路20eと記載する)、を備えている。
【0034】
<調光制御>
制御IC20bは、マイコン16の出力する発振制御信号に基づいて、バックライトに対するバックライト駆動電圧の出力をコントロールする。
【0035】
具体的には、制御IC20bは発振制御端子20b1を備えており、発振制御端子20b1に対してマイコン16から発振制御信号が入力されている。発振制御信号は、バックライトの点灯を指示する電圧と不点灯を指示する電圧を周期的に組み合わせた信号である。制御IC20bは、バックライトの点灯を指示する信号を発振制御端子20b1に入力されると、スイッチ回路20aのスイッチ制御を実行し、バックライトの不点灯を指示する信号を発振制御端子20b1に入力されると、スイッチ回路20aのスイッチ制御を停止する。
【0036】
より具体的には、発振制御信号は、例えばローレベルの電圧とハイレベルの電圧が周期的に現れるPWM信号であり、本実施形態では、PWM信号の1周期においてローレベルの電圧信号が占める割合が点灯割合(オンデューティー)を示している。制御IC20bは、ローレベルの電圧信号を発振制御端子20b1に入力されると、後述するFETのゲート端子にゲート駆動信号を入力し、ハイレベルの電圧信号を発振制御端子20b1に入力されると、後述するFETのゲート端子にゲート駆動信号を入力しない。本実施形態においては、発振制御信号にいてバックライトの点灯を指示するローレベルの電圧が第1電圧を構成し、バックライトの不点灯を指示するハイレベルの電圧が第2電圧を構成する。
ゲート駆動信号は、後述するFETのゲート端子をスイッチング駆動するための信号であり、発振制御信号よりも高周期でハイレベルの電圧とローレベルの電圧が周期的に現れるPWM信号である。例えば、発振制御信号のPWMの周波数は100〜200Hzとすると、ゲート駆動信号のPWMの周波数は40kHzとすることができる。
【0037】
また、制御IC20bの具体例として、例えばTEXAS INSTRUMENTS社のTL494を採用可能であり、当該TL494においては、DTC(Dead-Time Control)端子が発振制御端子20b1を構成する。むろん、制御IC20bは集積回路である必要はなく、制御IC20bと同等の機能を備えるアナログ回路やデジタル回路で構成することもできる。
なお、本実施形態においては、発振制御端子20b1が所定端子を構成する。
【0038】
<バックライト駆動電圧の生成>
スイッチ回路20aは、各トランス20cの一次巻線に対する電源電圧Vbの印加のオンオフ切換えを行うための手段を備え、制御IC20bからゲート駆動信号を入力されているときは電源電圧Vbをオンオフ切換えしつつ各トランス20cの一次巻線に印加し、制御IC20bからゲート駆動信号を入力されていないときは電源電圧Vbを各トランス20cの一次巻線に印加しない。
【0039】
具体的には、スイッチ回路20aは、例えば電源電圧Vbを各トランス20cの一次巻線へ供給するための供給ライン上に配置されたFETを備えており、当該FETのゲートにはゲート駆動信号が制御IC20bから入力されるようになっている。
当該FETは、ゲート駆動信号がハイレベルの電圧のときはターンオンして電源電圧Vbを各トランス20cの一次巻線に印加し、ゲート駆動信号がローレベルの電圧のときはターンオフして電源電圧Vbを各トランス20cの一次巻線に印加しない。
【0040】
従って、制御IC20bからゲート駆動信号が入力されているときは、FETのオンオフがゲート駆動信号のPWM周期で切り換わることによりトランス20cの一次巻線に流れる電流を周期的に正負反転させるスイッチング駆動を行う。その結果、トランス20cの2次巻線にはゲート駆動信号のオン割合に応じた所定電圧が発生し、バックライト22が点灯される。一方、制御IC20bからゲート駆動信号が入力されていないときは、FETがオフすることによりトランス20cの一次巻線には電流が流れない。その結果、トランス20cの2次巻線には電圧が発生せず、バックライト22は消灯する。
【0041】
なお、バックライト駆動回路20は、図2に示すように、蛍光管の数に応じた数のトランス20cその他バックライト駆動電圧を生成するために必要な回路を備えており、蛍光管の数に応じた数のバックライト駆動電圧を生成して各蛍光管に供給する。
【0042】
<フィードバック制御>
フィードバック回路20eは、以上のようにしてバックライト22へ供給されるバックライト駆動電圧を、制御IC20bやマイコン16にフィードバックしている。制御IC20bは、フィードバック回路20eからフィードバックされるフィードバック信号に基づいて、バックライト駆動電圧が一定となるようにゲート駆動信号のPWM周波数を調整する。マイコン16は、フィードバック回路20eからフィードバックされるフィードバック信号に基づいて、バックライト駆動電圧が一定となるように発振制御信号のオン割合を調整する。
【0043】
具体的には、フィードバック回路20eは、図4に示す回路構成とすることができる。なおフィードバック回路20e1〜20e4は全て同じ回路構成としてあるため、図4には、フィードバック回路20e1を例示してある。同図に示すフィードバック回路20eは、トランス20c1の出力するバックライト駆動電圧が一定値を超えると制御IC20bやマイコン16にフィードバック信号を出力するように構成されている。
【0044】
<減電圧検出回路>
減電圧検出回路20dは、バックライト駆動電圧の減電圧を検出する回路であり、図3に示すように、2次電圧検出回路20d1a,20d1b,20d1c,20d1d(以下、これら2次電圧検出回路をまとめて指す場合は、単に2次電圧検出回路20d1と記載する)、ピークホールド回路20d2a,20d2b,20d2c,20d2d(以下、これらピークホールド回路をまとめて指す場合は、ピークホールド回路20d2と記載する)、比較回路20d3、遮断回路20d4、を備えている。
【0045】
<2次電圧検出回路>
2次電圧検出回路20d1は、バックライト駆動電圧の交流を直流に変換しつつ所定割合に減圧して出力する。
図4には、2次電圧検出回路の一例を示してある。なお、2次電圧検出回路20d1a,20d1b,20d1c,20d1dは全て同じ構成としてあるため図4には2次電圧検出回路20d1aを例示してある。図4において、2次電圧検出回路20d1aは、交流を一定割合に減圧しつつ直流の電圧値に変換するコンデンサ分圧回路と、直流の高電圧を一定割合に減圧して直流の電圧値に変換する抵抗分圧回路と、を備えており、高圧の交流であるバックライト駆動電圧を直流電圧に変換しつつ後述のピークホールド回路や比較回路に適合するレベルに分圧している。2次電圧検出回路20d1aは、このようにして生成したバックライト駆動電圧の分圧をピークホールド回路20d2aへ出力する。
【0046】
<ピークホールド回路>
ピークホールド回路20d2は、連続して入力されるアナログ信号の中のピーク値(最大振幅電圧)を見つけて当該ピーク値を保持する回路である。
図3には、ピークホールド回路の一例を示してある。なお、ピークホールド回路20d2b、20d2c、20d2dは全て同じ回路構成としてあるため、以下では、ピークホールド回路20d2aを例にとって説明する。同図において、ピークホールド回路20d2aは、2次電圧検出回路20d1aの出力する分圧をアノードに入力され、カソードを比較回路20d3に接続されたダイオードD1と、ダイオードD1のカソードとグランドとを接続するコンデンサC1と、ダイオードD1のカソードとグランドとを接続する抵抗R1と、を備えている。
【0047】
ダイオードD1は、2次電圧検出回路20d1aの出力する分圧がコンデンサC1の蓄積している電圧よりも高い場合は通電し、コンデンサの電圧を2次電圧検出回路20d1の出力する分圧(正確には、ダイオードの順方向電圧降下だけ低い電圧)に等しくする。一方、ダイオードD1は、2次電圧検出回路20d1aの出力する分圧がコンデンサC1の蓄積している電圧よりも低い場合は通電せず、2次電圧検出回路20d1aの出力する分圧はコンデンサC1に蓄積している電圧に影響を与えない。本実施形態においては、2次電圧検出回路20d1の出力する分圧が第4電圧を構成する。
【0048】
抵抗R1は、コンデンサに蓄えられた電荷を、コンデンサC1の容量と抵抗R1の抵抗値とによって定まる所定の時定数で放電する。すなわち、ピークホールド回路20d2aは、コンデンサC1と抵抗R1の作用により定まる所定の時定数に基づいて定まる時間だけ2次電圧検出回路20d1の出力する分圧のピーク値を保持し、当該ピーク値をピークホールド電圧Vpとして比較回路20d3に出力する。
【0049】
なお、ピークホールド回路20d2は上述したように蛍光管毎に設けられているため、各ピークホールド回路20d2a〜20d2dは、各々の備えるコンデンサC1に蓄積される電圧をピークホールド電圧Vp1〜Vp4として比較回路20d3に出力することになる。
【0050】
<比較回路>
比較回路20d3は、ピークホールド電圧Vp1〜Vp4のそれぞれを所定の閾値と比較し、ピークホールド電圧Vp1〜Vp4の少なくとも1つが所定の閾値を下回ると減電圧を示す信号を出力する。(以下、これらピークホールド電圧をまとめて指す場合は、ピークホールド電圧Vpと記載する)
図3には、比較回路20d3の一例を示してある。同図において、比較回路20d3は、4つのコンパレータComp1〜Comp4と、抵抗R2,R3と、ダイオードD11〜14と、を備えている。なお、図には、コンパレータComp1〜Comp4を1チップ化したものを示してある。
【0051】
抵抗R2,R3は、所定の定電圧源とグランドとの間を直列接続しており、R2,R3の接続点に発生する電圧が前記所定の閾値を示す参照電圧Vrefとなる。参照電圧Vrefは、抵抗R2,R3の抵抗値と所定の定電圧源の電圧値を適切に組合せることにより、正常とみなしうるバックライト駆動電圧がトランス20cから出力されているときにピークホールド回路20d2から出力される電圧の最小値に相当する電圧となるよう調整されている。もしくは、減電圧とみなしうるバックライト駆動電圧がトランス20cから出力されているときにピークホールド回路20d2から出力される電圧の最大値に相当する電圧となるよう調整されている。
【0052】
各コンパレータは、各ピークホールド値と参照電圧Vrefとをそれぞれ比較し、ピークホールド値が参照電圧Vef以上のときは減電圧でないことを示すローレベルの電圧を出力し、ピークホールド値が参照電圧Vrefを下回ると減電圧を示す信号としてハイレベルの電圧を出力する。
すなわち、コンパレータComp1は、ピークホールド電圧Vp1が参照電圧Vrefを下回るとハイレベルの電圧を出力し、コンパレータComp2は、ピークホールド電圧Vp2が参照電圧Vrefを下回るとハイレベルの電圧を出力し、コンパレータComp3、はピークホールド電圧Vp3が参照電圧Vrefを下回るとハイレベルの電圧を出力し、コンパレータComp4は、ピークホールド電圧Vp4が参照電圧Vrefを下回るとハイレベルの電圧を出力する。
【0053】
各コンパレータの出力端子は、それぞれダイオードD11〜D14のアノードに接続されており、ダイオードD11〜D14のカソードは1つにまとめて後段に接続されている。
すなわち、コンパレータComp1〜Comp4の少なくとも1つがハイレベルの電圧を出力した場合は、比較回路20d3全体としてはハイレベルの電圧を後段に出力し、コンパレータComp1〜Comp4のいずれもハイレベルの電圧を出力しない場合は(いずれもローレベルの電圧を出力する場合は)、比較回路20d3全体としてはローレベルの電圧を後段に出力する。本実施形態においては、比較回路20d3の出力する減電圧を示すハイレベルの電圧が第3電圧を構成する。
【0054】
<比較出力の入力先>
比較回路20d3の出力は、制御IC20bの発振制御端子20b1に入力されている。上述したように、発振制御端子20b1には、ハイレベルの電圧信号とローレベルの電圧信号を組み合わせた発振制御信号がマイコン16から入力されている。従って、バックライト駆動電圧が正常である場合、比較回路20d3がローレベルの電圧信号を出力するため、発振制御信号はマイコン16の出力ハイレベルとローレベルの組合せで発振制御端子20b1にそのまま入力される。
一方、バックライト駆動電圧が何らかの理由によって参照電圧Vrefよりも低下すると、比較回路20d3がハイレベルの電圧信号を出力する。従って、発振制御信号がローレベルの電圧であっても発振制御端子20b1にはハイレベルの電圧が入力される。その結果、制御IC20bはゲート駆動信号の出力を停止し、トランス20cからのバックライト駆動電圧の出力も停止される。よって、バックライト駆動電圧の減電圧時に、迅速にバックライト駆動電圧の出力を停止できる。すなわち、比較回路20d3の出力するハイレベルは、制御IC20bの発振制御端子に入力すると発振制御信号のハイレベルが入力されたことに相当する作用を奏する。
【0055】
また、比較回路20d3の出力は、マイコン16の所定の入力ポートにも入力されている。マイコン16は、当該比較回路20d3の出力に基づいて、後述の保護処理を実行している。すなわち、比較回路20d3の出力を利用してハードウェア的にバックライト駆動電圧の出力を迅速に停止しつつ、マイコン16がソフトウェア的にバックライト駆動電圧の出力を完全に停止させる。よって、異常な減電圧時にバックライト駆動電圧の出力を迅速・確実に停止できる。本実施形態においては、比較回路d3の出力に基づいて後述の保護処理を実行するマイコン16が保護部を構成する。
【0056】
ところで、比較回路20d3は、制御IC20bがゲート駆動信号を出力していない期間(バックライト駆動電圧が出力されていない期間、バックライト22の不点灯期間)も、バックライト駆動電圧のピークホールド電圧Vpと参照電圧Vrefとの比較を行っている。むろん、ピークホールド回路20d2のコンデンサC1や抵抗R1の定格は、この期間においてもピークホールド電圧Vpが参照電圧Vrefよりも低くならないように設計されているが、素子のばらつきや温度低下等に起因してピークホールド電圧Vpが参照電圧Vrefよりも低くなる可能性が否定できない。そこで、比較回路20d3と制御IC20dの発振制御端子20b1との間、比較回路20d3とマイコン16の所定の入力ポートとの間に、遮断回路20d4を備えている。
【0057】
<遮断回路>
遮断回路20d4は、発振制御信号がハイレベルの電圧となる期間(制御IC20bがゲート駆動信号を出力していない期間、バックライト駆動電圧が出力されていない期間、バックライト22の不点灯期間)に比較回路20d3の出力を遮断する。
図3には、遮断回路20d4の一例を示してある。同図において、遮断回路20d4は、直列に接続されつつ一端にマイコン16から発振制御信号を入力され他端をグランドに接続された抵抗R21,R22と、ベースを抵抗R21,R22の接続点に接続され、コレクタを比較回路20d3の出力電圧を伝送するラインに接続され、エミッタをグランドに接続されたNPN型のトランジスタTr1とを備えている。
【0058】
抵抗R21,R22は、発振制御信号がハイレベルの電圧になったときに抵抗R21,R22の接続点に発生する電圧がトランジスタTr1のベースに印化して過負荷にならない電圧となるように、発振制御信号の電圧を分圧している。
【0059】
遮断回路20d4は、発振制御信号がローレベルのときはトランジスタTr1がターンオンせず、比較回路20d3の出力は、発振制御端子20b1やマイコン16の所定の入力ポートへ入力される。一方、遮断回路20d4は、発振制御信号がハイレベルのときはトランジスタTr1がターンオンし、比較回路20d3の出力ラインをグランドに引き込む。その結果、比較回路20d3の出力は、マイコン16の所定の入力ポートへ入力されない。むろん、制御IC20bの発振制御端子20b1へも入力されない。
【0060】
よって、発振制御信号がハイレベルの電圧となる期間(制御IC20bがゲート駆動信号を出力していない期間、バックライト駆動電圧が出力されていない期間、バックライト22の不点灯期間)に比較回路20d3の出力がマイコン16に入力されなくなる。その結果、素子のばらつきや温度低下等に起因してバックライト駆動電圧が出力されていない期間にピークホールド電圧Vpが参照電圧Vrefよりも低くなっても、マイコン16がこれを検知して保護動作を行うことが無くなる。よって、後述の保護処理において異常検出したか否かの判断に要する時間を大幅に短縮することが出来る。
【0061】
(3)保護処理:
図5は、保護処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す保護処理は、マイコン16が、所定時間tおきに繰り返し周期的に実行している。
【0062】
処理が開始されると、比較回路20d3の出力を取得する(S10)。
具体的には、所定のポートに入力されている電圧値を取得する。例えば、図3に示す例では、比較回路20d3の出力は、遮断回路20d4と同様の回路を経てマイコン16の所定のポートへ入力されている。マイコン16の所定のポートは、プルアップ抵抗等によって通常は所定電圧に維持されている。すなわち、マイコン16の所定のポートは、比較回路20d3の出力がローレベルのときはハイレベルとなり、比較回路20d3の出力がハイレベルのときはローレベルとなる。
【0063】
マイコン16は、所定のポートに入力されるハイレベルとローレベルとを判別する閾値を記憶しており、ステップS10で取得した電圧が当該閾値以上であれば減電圧を検出し(S12:Yes)、減電圧を検出した回数をカウントするためのカウンターをインクリメントする(S14)。一方、ステップS10で取得した電圧が当該閾値未満であれば減電圧を検出せず(S12:No)、カウンターのカウントをリセットする(S20)。
【0064】
カウンターをインクリメントすると(S14)、カウントが所定数mに達したか否かを判断する(S16)。カウントが所定数mに達していれば(S16:Yes)保護動作を行い(S18)、カウントが所定数mに達していなければ(S16:No)保護動作を行わず処理を終了する。保護動作とは、バックライト駆動電圧の出力を完全に停止させるための動作であり、少なくとも、バックライト駆動回路にバックライト駆動電圧を出力させるための動作を停止すればよく、例えば発振制御信号の発振制御端子20b1に対する入力を停止することにより実現される。
【0065】
なお、所定時間tは、所定数mとの間に以下の関係式が成立するように決定される。
【数1】


前記(1)式において、所定数mは1以上の整数であり、t0は発振制御信号の1周期の中においてバックライトを点灯させる時間である。
例えば、上述した発振制御信号のようにPWMの周波数が100〜200Hzの場合はPWMの1周期が5ms〜10msとなり、1周期の中で発振制御信号がハイレベルの電圧になる時間は数msである。ここで、仮に、PWMの1周期が5msであってオン割合が20%とすると、t0は1msとされる。
むろん、ユーザーがバックライトの輝度を調整すれば、発振制御信号の1周期の中においてバックライトを点灯させる時間も変更される。従って、ユーザーがバックライトの輝度を最小にしたときの、発振制御信号の1周期の中においてバックライトを点灯させる時間をt0としてもよい。
このように所定時間と所定数との関係を規定することにより、マイコン16は、減電圧を持続的に検出した時間が発振制御信号の1周期の中においてバックライト駆動電圧を出力している時間を超えると、制御IC20bに対する発振制御信号の入力を停止させる。よって、迅速・確実にバックライト駆動回路を停止することが出来る。
【0066】
次に、図6〜図8のタイミングチャートを参照しつつ、以上説明した本実施形態の動作を説明する。
図6(1)に示すように、発振制御信号はハイレベルの電圧とローレベルの電圧が周期的に現れるPWM信号になっている。この発振制御信号が発振制御端子20b1に入力されると、制御IC20bはスイッチ回路20aのFETのゲートに対して、図6(2)に示すゲート駆動信号を出力する。ゲート駆動信号は発振制御信号よりも高周波数のPWM信号(例えば、40kHz)であり、発振制御信号がローレベルのときに出力され、発振制御信号がハイレベルのときは出力されない。
【0067】
その結果、発振制御信号がローレベルのときはバックライトが点灯され、発振制御信号がハイレベルのときはバックライトは点灯されない。液晶表示装置100の画面輝度は、このような点灯期間と不点灯期間を繰り返しによって調整され、点灯期間の割合が多いほど画面輝度は高くなり、点灯期間の割合が少ないほど画面輝度は低くなる。すなわち、マイコン16は、制御IC20bに入力する発振制御信号のオン割合を調整することによりバックライトを所望の輝度に調整することができる。
【0068】
ここで、図6(3)に示すように、ピークホールド回路20d2の出力は、発振制御信号がハイレベル(バックライト駆動信号が出力されていない期間)であっても、設計どおりであれば、ピークホールド回路20d2の作用によって比較回路20d3の閾値(参照電圧Vref)よりも高く維持されている。
【0069】
このとき、発振制御信号における点灯期間内に(図7(1))ピークホールド回路20d2の出力が比較回路20d3の閾値よりも低下すると(図7(2))、ピークホールド回路20d2の出力が比較回路20d3の閾値よりも低下した瞬間に比較回路20d3の出力がハイレベルとなり(図7(3))、発振制御端子20b1にも比較回路20d3の出力するハイレベルが印加され(図7(4))、マイコン16の所定のポートにはローレベルが入力される(図7(5))。
すると、制御IC20bは、発振制御信号における点灯期間内であっても(図7(1))ゲート駆動信号の出力を停止し(図7(6))、ハードウェア的に迅速・確実にバックライト駆動電圧の出力を停止させる。その後、時間t0が経過すると、マイコン16がソフトウェア的に完全・確実にバックライト駆動電圧の出力を停止させる(図7(5))。
【0070】
一方、発振制御信号における不点灯期間内に(図8(1))ピークホールド回路20d2の出力が比較回路20d3の閾値よりも低下すると(図8(2))、ピークホールド回路20d2の出力が比較回路20d3の閾値よりも低下した瞬間に比較回路20d3の出力がハイレベルとなるものの(図8(3))、この期間の比較回路20d3の出力は遮断回路20d4によって遮断されているためマイコン16には入力されない(図8(4))。むろん、発振制御端子20b1にも比較回路20d3の出力は入力されず、図8(1)の発振制御信号がそのまま入力される(図8(5))。なお、制御IC20bは、もともと発振制御信号における不点灯期間内であることから(図8(1))ゲート駆動信号の出力を停止している(図8(5))。よって、仮に、発振制御信号における不点灯期間内にピークホールド回路20d2の出力が素子のばらつきや低温等に起因して比較回路20d3の閾値よりも低下してハイレベルの電圧を出力したとしても、当該ハイレベルの電圧に起因する信号はマイコン16や制御IC20bには入力されない。
【0071】
以上のように、バックライトの不点灯期間におけるマイコン16による保護を無効化したことにより(図6(4))、実質的に異常が発生する可能性のある期間のみを保護動作を行う対象期間とすることが可能となる(図6(5))。よって、従来のように、本当に異常発生しているか否かを判断するための複数の調光周期にわたる長期の待機期間を設ける必要が無くなり、調光周期の1周期よりも遥かに短時間で保護動作を行えるようになる。
【0072】
(4)まとめ:
以上説明した実施形態にかかるバックライト駆動回路20dは、
所定端子に入力されるPWMの発振制御信号がローレベルのときにトランス20cのスイッチング駆動を行い、ハイレベルのときにトランス20cのスイッチング駆動を停止する制御IC20bと、
トランス20cの出力するバックライト駆動電圧のピーク値をホールドするピークホールド回路20d2と、
当該ピーク値が所定値を下回るとハイレベルの電圧を出力する比較回路20d3と、
比較回路20d3がハイレベルの出力を所定時間(発振制御信号の1周期に含まれるローレベルの継続時間よりも短い時間(0より大))、継続すると、制御IC20bに対する発振制御信号の入力を停止するマイコン16と、
発振制御信号がローレベルとなる期間、比較回路20d3からマイコン16への出力を遮断する遮断回路20d4と、
を備える。
よって、遮断回路20d4によってバックライトの不点灯期間における減電圧の検出を防止しつつ、減電圧が発生しているか否か判断するための時間を適切に短縮することができる。
【0073】
なお、本発明は前記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・前記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって前記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が前記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0074】
10…映像処理部、12…液晶駆動回路、14…液晶パネル、16…マイコン、18…電源回路、20…バックライト駆動回路、22…バックライト、22a〜22d…蛍光管、24…操作部、100…液晶表示装置、
20a…スイッチ回路、20b…制御IC、20b1…発振制御端子、20c…トランス、20c1〜20c4…トランス、20d…減電圧検出回路、20d1…2次電圧検出回路、20d1a〜20d1d…2次電圧検出回路、20d2…ピークホールド回路、20d2a〜20d2d…ピークホールド回路、20d3…比較回路、20d4…遮断回路、20e…フィードバック回路、20e1〜20e4…フィードバック回路、
C1…コンデンサ、D1…ダイオード、R1…抵抗、
Comp1〜Comp4…コンパレータ、D11〜D14…ダイオード、R2…抵抗、R3…抵抗、
R21…抵抗、R22…抵抗、Tr1…トランジスタ、
Vb…電源電圧、Vp…ピークホールド電圧、Vp1〜Vp4…ピークホールド電圧、Vref…参照電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスをスイッチング駆動することにより当該トランスからバックライトを駆動するための駆動電圧を出力させる制御IC(Integrated Circuit)を備え、
前記制御ICは、第1電圧と第2電圧を周期的に繰り返す制御信号を所定端子に入力されると、前記第1電圧が入力されている間は前記トランスのスイッチング駆動を行い、前記第2電圧が入力されている間は前記トランスのスイッチング駆動を停止する、バックライト駆動回路において、
前記トランスの出力する電圧のピーク値をホールドするピークホールド回路と、
前記ピーク値が所定値を下回ると第3電圧を出力する比較回路と、
前記第3電圧が前記比較回路から所定時間、継続して出力されると前記制御ICの動作を停止させる保護部と、
前記制御信号が前記第2電圧となる期間、前記比較回路から前記保護部へ出力される前記第3電圧を遮断する遮断回路と、
を備え、
前記所定時間は、前記制御信号の1周期に含まれる前記第1電圧の継続時間よりも短い時間とされることを特徴とするバックライト駆動回路。
(ただし、前記所定時間は0より大きいものとする。)
【請求項2】
前記第3電圧は、前記所定端子においては前記第2電圧に相当する電圧であり、
前記比較回路は、前記ピーク値が所定値を下回ると前記第3電圧を前記所定端子へ出力する請求項1に記載のバックライト駆動回路。
【請求項3】
前記遮断回路は、直列に接続されつつ一端に前記制御信号を入力され他端をグランドに接続された2つの抵抗と、ベースを前記2つの抵抗の接続点に接続されコレクタを前記比較回路から前記保護部へ前記第2電圧に相当する電圧を伝送するラインに接続されエミッタをグランドに接続された、NPN型のトランジスタと、を備え、
前記トランジスタは、前記制御信号が第1電圧のときはターンオンせず、前記制御信号がローレベルのときはターンオンする請求項1または請求項2に記載のバックライト駆動回路。
【請求項4】
前記保護部は、前記制御ICに対する前記制御信号の入力を停止させることにより前記制御ICの動作を停止させる請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のバックライト駆動回路。
【請求項5】
前記ピークホールド回路は、前記トランスの出力に応じた第4電圧をアノードに入力されるダイオードと、前記ダイオードのカソードとグランドとを接続するコンデンサと、前記ダイオードのカソードとグランドとを接続する抵抗と、を備え、前記コンデンサに蓄積する電圧を前記ピーク値として出力し、
前記ダイオードは、前記第4電圧が前記コンデンサの蓄積している電圧よりも高い場合は通電し、前記第4電圧が前記コンデンサの蓄積している電圧よりも低い場合は通電せず、
前記抵抗は、前記コンデンサに蓄えられた電荷を、前記コンデンサの容量と前記抵抗の抵抗値とによって定まる所定の時定数で放電する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のバックライト駆動回路。
【請求項6】
前記バックライトは複数の放電灯を備え、
前記バックライト駆動回路は、前記複数の放電灯をそれぞれに駆動するための複数のトランスを備え、
前記制御ICは、ハイレベルの電圧とローレベルの電圧を周期的に繰り返す制御信号を前記所定端子に入力されると、前記ローレベルの電圧が入力されている間は前記複数のトランスのスイッチング駆動を行い、前記ハイレベルの電圧が入力されている間は前記複数のトランスのスイッチング駆動を停止し、
前記ピークホールド回路は、前記複数のトランスが出力する電圧のピーク値をそれぞれホールドする複数のピークホールド回路により構成され、
前記比較回路は、前記複数のピークホールド回路のホールドするピーク値の少なくとも1つが前記所定値を下回ると前記ハイレベルの電圧を前記所定端子と前記保護部へ出力し、
前記保護部は、前記比較回路から出力されるハイレベルの電圧が、前記制御信号の1周期に含まれるローレベルの継続時間よりも短い時間、継続持続すると、前記制御ICに対する前記制御信号の入力を停止させることにより前記制御ICの動作を停止させ、
前記遮断回路は、直列に接続されつつ一端に前記制御信号を入力され他端をグランドに接続された2つの抵抗と、ベースを前記2つの抵抗の接続点に接続されコレクタを前記比較回路の出力するハイレベルの電圧を前記所定端子と前記保護部へ伝送するラインに接続されエミッタをグランドに接続された、NPN型のトランジスタと、を備え
前記トランジスタは、前記制御信号がローレベルのときはターンオンせず、前記制御信号がハイレベルのときはターンオンして前記比較回路から前記保護部へ出力されるハイレベルの電圧を遮断する請求項1に記載のバックライト駆動回路。
(ただし、前記制御信号の1周期に含まれるローレベルの継続時間よりも短い時間は、0より大きいものとする。)

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−151022(P2012−151022A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9621(P2011−9621)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】