説明

スイッチング電源装置および映像表示装置

【課題】1段構成の絶縁型コンバータによるスイッチング電源装置において、スイッチング素子のスイッチング損失を低減して電源効率を向上させ、且つ、厚さ10mm以下の薄型化を図ること。
【解決手段】商用交流を整流する整流手段と、1次巻線と2次巻線を持つ絶縁トランスと、1次巻線と直列に接続された第1のスイッチング素子と、1次巻線の両端に接続された第2のスイッチング素子と、1次巻線の両端に接続され、第2のスイッチング素子と直列に接続された第1のコンデンサと、整流手段と並列に接続された第3のスイッチング素子と、第3のスイッチング素子と直列に接続された第2のコンデンサと、商用交流の停電を検出する停電検出手段を備える制御回路と、を有し、停電検出手段で停電が検出された場合、第3のスイッチング素子を制御して、予め第2のコンデンサに蓄積した電荷を絶縁トランスを介して絶縁された直流出力側に放電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流と絶縁された直流出力を得るスイッチング電源装置及びそれを搭載した映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチング電源装置は、商用交流電源から整流・平滑を行って直流を得るために、ダイオードブリッジと平滑コンデンサを用いる構成が最も単純であるが、この構成では、電源電圧のピーク付近にしか入力電流が通流しない、いわゆるコンデンサインプット形の整流回路となり、力率の低下や入力高調波の増大をもたらす。入力高調波の問題は国際規格で規制され、入力電力に応じた対策が必要となっている。この動きに対し、さまざまな力率改善(PFC:Power Factor Correction)コンバータ、あるいは高力率コンバータと称するコンバータが提案されている。
【0003】
このうち最も一般的な回路は昇圧形PFCコンバータと称する回路方式であり、これは交流を整流ダイオードブリッジの正極側と負極側の間にコイルとスイッチの直列回路を接続し、コイルとスイッチの接続点に昇圧ダイオードのアノード側を接続し、昇圧ダイオードのカソード側を出力平滑コンデンサの高電圧側に接続し、出力平滑コンデンサの低電圧側とダイオードブリッジの負極側を接続した構成の回路である。しかし、このPFCコンバータは絶縁機能を持たず、また昇圧型であることから、直流24Vや12Vといった電圧を得るためには、PFCコンバータの後段に絶縁トランスを有する絶縁型DC−DCコンバータを接続し、所望の直流電圧を得ている。従来のこのような構成では直流電圧を得るまでに変換回路を通過することから、総合変換効率が低く、省エネルギーの観点で課題があった。
【0004】
これに対して、非特許文献1に示された一段方式アクティブクランプ力率改善コンバータなど、1つのコンバータにPFC機能と絶縁機能,出力電圧安定化機能を併せ持たせたスイッチング電源装置が発表されている。
【0005】
このスイッチング電源装置は、アクティブクランプ方式のフライバックコンバータをベースとし、商用交流を整流するダイオードブリッジの直流側にコイルを備え、このコイルの電流を不連続モードで動作させることにより力率改善動作を行う。このほかにも、PFC機能を持つ絶縁型コンバータはさまざまな種類の回路が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】社団法人 電子情報通信学会「一段方式アクティブクランプ力率改善コンバータ」信学技報EE2002-83(2003-02)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の一段方式アクティブクランプ力率改善コンバータにおいては、トランス1次側に平滑コンデンサを有しており、主スイッチング素子のオフ時にこのコンデンサ電圧とアクティブクランプコンデンサの電圧の合計が印加される構成になっている。これは、一般的なPFCコンバータとクランプ回路付きのフライバックコンバータ、あるいは、PFCコンバータとクランプ回路付きのフォワードコンバータによる2段コンバータ構成、などにおいても同様であり、主スイッチング素子にはPFCコンバータの出力電圧と主スイッチング素子ターンオフ時の跳ね上がり電圧をクランプするクランプコンデンサの電圧の合計が印加される。
【0008】
このように、スイッチング素子のターンオフ時に印加される電圧が高くなることは、スイッチング素子のターンオフ損失の増加やスイッチング素子の高耐圧化につながるため、ターンオフ時の印加電圧を如何にして低下させるスイッチング電源装置を提供できるかが課題である。
【0009】
ここで、1次側平滑コンデンサは、瞬停補償機能、すなわち不意に入力電圧が低下した際に出力電圧の変動を一定の時間だけ抑制する機能を担っている。この時間は20ms程度であることが多いが、用途によって数100msの期間の補償が必要される場合もある。瞬停補償時間を確保するためにはコンデンサの容量を増加させるか、コンデンサの充電電圧を高めるかのいずれかが必要になるが、前者はコンデンサの実装体積の増加やコストの増加を招くため実現性が厳しく、後者を選択することになる。しかし、このことはスイッチング素子のターンオフ損失増加につながる。
【0010】
また、このスイッチング電源装置を液晶表示装置などの表示デバイスに搭載した場合、例えば、液晶テレビに代表される薄型テレビは、快適な生活空間を確保するために、設置場所を取らない壁掛け型や壁寄せ型の重要性がますます増加してきており、テレビセットの厚さを30mm以下にすることが求められている。このような超薄型テレビの実現のためには、テレビセットに内蔵されるスイッチング電源基板は10mmを切ることが必要である。これを実現するためにはスイッチング電源装置の搭載部品の薄型化が必要となるが、電源の起動時における突入防止回路に用いられるリレーとセメント抵抗は薄型化が困難となっている。
【0011】
本発明の主な目的は、1段構成の絶縁型コンバータによるスイッチング電源において、スイッチング素子のスイッチング損失を低減して、電源効率を向上させ、且つ、厚さ10mm以下の薄型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明は、商用交流を入力して絶縁された直流を出力するスイッチング電源装置において、商用交流を整流する整流手段と、1次巻線と2次巻線を持つ絶縁トランスと、絶縁トランスの1次巻線と直列に接続された第1のスイッチング素子と、絶縁トランスの1次巻線の両端に接続された第2のスイッチング素子と、絶縁トランスの1次巻線の両端に接続され、第2のスイッチング素子と直列に接続された第1のコンデンサと、整流手段と並列に接続された第3のスイッチング素子と、整流手段と並列に接続され、第3のスイッチング素子と直列に接続された第2のコンデンサと、商用交流の停電を検出する停電検出手段を備える制御回路と、を有し、停電検出手段で停電が検出された場合、第3のスイッチング素子を制御して、予め第2のコンデンサに蓄積した電荷を絶縁トランスを介して絶縁された直流出力側に放電させる構成とする。
【0013】
また、商用交流を整流する整流手段と、1次巻線と2次巻線を持つ絶縁トランスと、絶縁トランスの1次巻線と直列に接続された第1のスイッチング素子と、絶縁トランスの1次巻線の両端に接続され、それぞれドレイン同士で接続された第2のスイッチング素子及び第3のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子及び第3のスイッチング素子間の接続点と第1のスイッチング素子のソースに接続されたコンデンサと、商用交流の停電を検出する停電検出手段を備える制御回路と、を有し、停電検出手段で停電が検出された場合、第3のスイッチング素子を制御して、予めコンデンサに蓄積した電荷を絶縁トランスを介して絶縁された直流出力側に放電させる構成とする。
【発明の効果】
【0014】
1段構成の絶縁型コンバータによるスイッチング電源において、スイッチング素子のスイッチング損失を低減して、電源効率を向上でき、且つ、厚さ10mm以下の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るスイッチング電源装置の第1の実施の形態を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の制御回路ブロックを示す図である。
【図3】本発明に係るスイッチング電源装置のAC健全時における動作モードを説明する図である。
【図4】本発明に係るスイッチング電源装置の停電時における動作モードを説明する図である。
【図5】本発明に係るスイッチング電源装置のスイッチング周期における各部波形を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の停電発生前後の各部波形を示す図である。
【図7】本発明に係るスイッチング電源装置の第2の実施の形態を示す回路図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の制御回路ブロックを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の停電発生前後の各部波形を示す図である。
【図10】本発明に係るスイッチング電源装置の第3の実施の形態を示す回路図である。
【図11】本発明に係るスイッチング電源装置の第4の実施の形態を示す回路図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態の充電器の一回路例を示す図である。
【図13】本発明に係るスイッチング電源装置の第5の実施の形態を示す回路図である。
【図14】本発明に係るスイッチング電源装置の第6の実施の形態を示す回路図である。
【図15】本発明に係るスイッチング電源装置の第7の実施の形態を示す回路図である。
【図16】本発明に係るスイッチング電源基板の一実装図を示す図である。
【図17】本発明のスイッチング電源装置を搭載した薄型テレビセット背面の一回路実装を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、力率改善制御と絶縁機能,出力電圧安定化制御機能を有する1段方式スイッチング電源において、高効率かつ小型薄型化に好適な方式を提供し、液晶テレビ,プラズマテレビのセット厚みの薄型化に貢献する。
【0017】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態につき、図1〜図6を用いて説明する。
【0018】
図1は本発明の電源装置であるスイッチング電源装置の第1の実施の形態を示す回路図である。以下図1の構成を説明する。スイッチング電源装置は、商用交流を入力して絶縁された直流を出力するものである。
【0019】
商用交流1は、その商用交流1を整流する整流手段であるダイオードブリッジ2を介して入力電圧波形13の全波整流波形となる。ダイオードブリッジ2の直流側の正負端子間には入力コンデンサ16が接続される。入力コンデンサ16はフィルタ用であり、容量は数μFである。ダイオードブリッジ2と入力コンデンサ16との間の電流を入力電流14として採取している。また、この入力コンデンサ16に並列に、スイッチング手段であるパワーMOSFET5cとコンデンサ4の直列対が接続される。スイッチング手段であるパワーMOSFET5cはNチャンネルパワーMOSFETであり、ソースが正側、ドレインがコンデンサ4に接続され、コンデンサ4の放電を阻止する向きとなっている。コンデンサ4は瞬停補償用コンデンサであり、その容量は瞬停補償時間により変わるが、100μF〜1000μF程度を想定する。
【0020】
また、少なくとも1次巻線と2次巻線を持つ絶縁トランス9の1次巻線とスイッチング手段であるパワーMOSFET5aの直列対が入力コンデンサ16と並列に接続される。このとき、1次巻線の巻き始めは入力コンデンサ16の正側と接続される。さらに、コンデンサ8とスイッチング素子のパワーMOSFET5bの直列対がトランスの1次巻線の両端に接続される。このとき、パワーMOSFET5aのドレインとパワーMOSFET5bのソースが接続される。つまり、スイッチング素子であるパワーMOSFET5a(Q1)は、絶縁トランス9の1次巻線と直列に接続され、スイッチング素子であるパワーMOSFET5b(Q2)は、絶縁トランス9の1次巻線の両端に接続され、スイッチング素子であるパワーMOSFET5c(Q3)は、整流手段であるダイオードブリッジ2と並列に接続され、コンデンサ4(Cdc)は、ダイオードブリッジ2と並列に接続され、パワーMOSFET5c(Q3)と直列に接続され、コンデンサ8(Cc)は、絶縁トランス9の1次巻線の両端に接続され、且つパワーMOSFET5b(Q2)と直列に接続されている。
【0021】
絶縁トランス9の2次巻線の一方端側である巻き終わり側にはダイオード10a(D1)のアノードが接続され、ダイオード10aのカソードと2次巻線の他方端側である巻き始めの間にコンデンサである出力平滑コンデンサ11(Co)が接続される。出力平滑コンデンサ11には負荷12が接続される。負荷12への供給電圧は24Vであるが、負荷12は実際には液晶テレビのバックライト,論理回路,チューナなどを想定しており、それぞれインバータやDC−DCコンバータを介して負荷に接続される。このため、出力電圧24Vの精度は負荷が直接接続される構成よりも緩く設定することが可能であり、本実施の形態における精度は±10%程度である。
【0022】
次に、図2の構成を説明する。図2は、図1のスイッチング電源装置における制御回路の一ブロックを示す図である。
【0023】
入力電圧Vinは交流電源(商用交流1)の電圧であり、これが商用交流1の停電を検出する停電検出手段の停電検出器21に入力される。停電検出器21の出力は一次遅れ回路26とスイッチ19aに接続される。一次遅れ回路26の出力はPWMコンパレータ27bの正入力に入力される。PWMコンパレータ27bの負入力には三角波発生器25が接続される。PWMコンパレータ27bの出力はドライバ29cに入力され、ドライバ29cの出力はQ3、すなわちスイッチング素子のパワーMOSFET5cのゲートに接続される。出力電圧Voutは、アンプ20aおよびアンプ20bの反転入力に接続される。アンプ20aおよびアンプ20bの非反転入力には出力電圧指令値が入力される。アンプ20aの出力は乗算器22に接続される。乗算器22には入力電圧波形13も入力される。そして乗算器22の出力はアンプ20cの非反転入力に接続される。アンプ20cの反転入力には入力電流14が入力される。アンプ20cの出力はスイッチ19aの一方に接続される。一方アンプ20bの出力はスイッチ19aのもう一方に接続される。スイッチ19aはPWMコンパレータ27aの正入力に接続される。このPWMコンパレータ27aの負入力には三角波発生器25が接続される。PWMコンパレータ27aの出力はドライバ29aを介してQ1、すなわちスイッチング素子のパワーMOSFET5aのゲートに接続される。また、PWMコンパレータ27aの出力はNOT回路28,ドライバ29bを介してQ2、すなわちスイッチング素子のパワーMOSFET5bのゲートに接続される。
【0024】
本発明は、停電検出器21が停電を検出した際に、Q3を制御して、予めCdcに蓄積した電荷を絶縁トランス9を介して絶縁された直流出力側に放電させる。また停電を検出した際に、Q3を制御するパルス信号はQ1に同期させるとともに、そのパルス信号の幅は徐々に拡大するものとする。
【0025】
次に、図1の回路の基本的なスイッチング周期毎の動作について図3を用いて説明する。
【0026】
図3(a)はQ1(パワーMOSFET5a)をオンしたときの電流の流れを模式的にあらわした図であり、入力コンデンサ16をCinという名称の可変電圧源で記載している。Q1がオンすると、電流はCinからトランスTrの1次巻線を介してQ1に流れる。このときトランスTrは励磁されるが、2次巻線側には電力は伝達されず、Co、すなわち出力平滑コンデンサ11から負荷に放電される。
【0027】
次に、図3(b)でQ1がターンオフすると、トランスTrの1次巻線側に流れる電流はQ2(パワーMOSFET5b)のダイオードを介してCc、すなわちコンデンサ8に流れる。このときCcはQ1の電圧上昇をクランプする役割を持つ。また、このとき励磁エネルギーがD1、すなわちダイオード10aを通してトランスTrの2次巻線から放出され、Co(出力平滑コンデンサ11)と負荷12に電流が流れる。
【0028】
図3(b)の状態でQ2をターンオンすると、Q2には電圧が印加されていないためZVS(セロボルトスイッチング)ターンオンが達成できる。そして図3(c)において電流が逆転し、CcからQ2,トランスTrの1次巻線を通るルートで電流が流れる。
【0029】
このとき図3(d)でQ2をターンオフすると、Q1のダイオードが導通し、Q1からトランスTrの1次巻線側,Cinというルートで電流が流れる。
【0030】
このときQ1をターンオンすると、Q1には電圧が印加されていないためZVS(セロボルトスイッチング)ターンオンが達成できる。
【0031】
次に、図4において、停電発生時のスイッチング動作について図4を用いて説明する。
【0032】
図4(a)では図3(a)と異なり、Q3がオンしている。一方、停電時はダイオードブリッジ2が逆バイアスとなり、入力コンデンサ16(Cin)はコンデンサ4(Cdc)と同じ電圧となる。Q1がオンすると、CdcからQ3を介してトランスTrの1次巻線側、Q1に電流が流れトランスTrの1次巻線を励磁する。次に図4(b)でQ1がターンオフすると、トランス1次側電流はQ2のダイオードを介してCc、すなわちコンデンサ8に流れる。このときCcはQ1の電圧上昇をクランプする役割を持つ。また、このとき励磁エネルギーがD1、すなわちダイオード10aを通してトランスTrの2次巻線側から放出され、Coと負荷に電流が流れる。
【0033】
図4(b)の状態でQ2をターンオンすると、Q2には電圧が印加されていないためZVS(セロボルトスイッチング)ターンオンが達成できる。そして図4(c)において電流が逆転し、CcからQ2,トランスTrの1次巻線側を通るルートで電流が流れる。
【0034】
このとき図4(d)でQ2をターンオフすると、Q1のダイオードが導通し、Q1からトランスTrの1次巻線側,Q3,Cdcというルートで電流が流れる。
【0035】
このときQ1をターンオンすると、Q1には電圧が印加されていないためZVS(セロボルトスイッチング)ターンオンが達成できる。
【0036】
図3で説明した内容を各部波形として図5に示す。
【0037】
図5の条件は、入力がAC100Vrms、瞬時電圧は141V、出力は24V/180W負荷時である。Q1ゲート,Q2ゲートの波形に対する、Q1の電圧波形VQ1,Q1の電流波形IQ1,Q2の電圧波形VQ2,Q2の電流波形IQ2,ダイオードD1の電流波形ID1の波形が記されている。
【0038】
図5のQ1の電流波形IQ1はターンオン時に負値からスタートしており、ZVSターンオンが確認できる。Q2の電流波形IQ2についても同様であり、ZVSターンオンとなっている。また、Q1,Q2のターンオフ時にそれぞれの素子に印加される電圧VQ1,VQ2は、それぞれ約280Vである。
【0039】
次に図6には、商用健全時と瞬停発生時の各部の波形を示す。まずこの波形の前半部における商用健全時の力率改善動作について述べる。入力電圧はAC100Vの場合、約141Vをピークとする正弦波電圧波形となる。
【0040】
図2に示す制御系では、まず、出力電圧Voutと出力電圧指令値との誤差をアンプ20aで増幅した値を算出する。そして、この値と、入力電圧波形13とを乗算器22で積算する。積算結果は入力電流指令値としてアンプ20cに入力される。このとき、アンプ20bにおいても出力電圧Voutと出力電圧指令値との誤差が演算されるが、商用健全時においては、図6に示すように停電検出器21の出力はLowであるため、スイッチ19aはアンプ20c側に接続されており、アンプ20cの出力がPWMコンパレータ27aに入力される。PWMコンパレータ27aによりアンプ20cの出力に応じたパルス幅が得られ、このパルスがドライバ29aを介してQ1に伝達されスイッチング駆動される。
【0041】
また、Q2はNOT回路28とドライバ29bによりQ1と相補動作を実現する。なお、デッドタイムはドライバの29a,29bの中に設けている。商用健全時においては、停電検出器21の出力はLowであるためPWMコンパレータ27bの正入力はゼロであり、Q3は駆動されずオフ状態である。この制御系により、入力電流14が正弦波状になるようにQ1を制御することができる。
【0042】
Q1のPWMパルス幅の時比率(Duty)は、図6に示すように、入力正弦波のゼロクロス付近で最大となり、ピーク付近で減少する波形となる。Q1オフ時の印加電圧は、CinとCcの電圧の合計となる。Ccの電圧は約140Vであるため、ゼロクロス付近で140V、ピーク付近で約280Vである。一方、CdcについてはQ3がオフしているため放電経路はなく、電源起動時に印加されるピーク電圧141VにQ1,Q2のスイッチングによる電圧跳ね上がり分を加えた約155Vが印加されている。なお、この電圧は配線パターンやトランスの構造,Q1,Q2,Cdcの実装位置などにより変化する。
【0043】
出力電圧Voutは商用交流の2倍の周波数リプルを持ち、電圧精度は24V±10%以下程度である。この出力電圧Voutの精度と入力電流Iin波形の歪率とはトレードオフ関係がある。本発明においては、24V出力の後段にインバータやコンバータを接続する構成のため、±10%程度の出力電圧変動を許容し、入力力率改善制御に重みを置いている。
【0044】
次に、停電発生時について述べる。停電が発生すると、図2の停電検出器21の出力がHighに変化し、一次遅れ回路26を経て接続されるPWMコンパレータ27bの正入力が徐々に増加する。この動きにしたがって、Q3には駆動パルスが与えられるが、このパルスはQ1と同期しており、徐々にそのDutyが増加する。一方、停電検出器21の反転によりスイッチ19aはアンプ20bに切り替わる。アンプ20bはアンプ20aと同様に出力電圧の誤差増幅を行うが、カットオフ周波数が異なり、20bの方が高周波帯域でのゲインが高い。スイッチ19aがアンプ20bに切り替わることにより、アンプ20cによる入力電流の波形制御は無視され、出力電圧制御系のみに切り替わる。
【0045】
なお、図2に示す制御回路ブロック図は、デジタル制御で実現することも可能であり、その場合にはアンプ20a,20bを1つの制御系にまとめてゲインを変えることで同様の制御を実現できる。
【0046】
停電発生時においては、図4で述べたようにCdcの電圧がトランスTrに印加され、出力電圧制御のみの制御系によりDC−DCコンバータとして動作する。動作にともない、Cdcの電圧は徐々に低下するため、Q1のDutyはそれを補償するために増加し、これにより出力電圧は一定に保つことができる。
【0047】
停電発生時にQ1に印加される電圧は、Cdcの電圧+Ccの電圧であり、初期値は295Vで、放電に伴って徐々に低下する。
【0048】
停電発生が短時間で終了し復電した場合には停電検出器21の出力がLowに反転し、商用健全時の制御系に戻り、入力電流Iin波形制御が再開される。
【0049】
つまり、スイッチング電源回路の制御回路は、商用交流1の入力電流波形を正弦波形に制御すると共に、出力電圧を一定電圧に制御する第1の制御系と、商用交流1の入力電流波形の制御に関係なく、出力電圧を一定電圧に制御する第2の制御系と、を有し、商用交流の健全時には第1の制御系により制御し、停電時には第2の制御系に切り替えて制御する。
【0050】
なお、停電検出器21は、商用交流1の入力電圧Vinの瞬時値の絶対値が予め定めた値以下に低下したとき、または絶縁トランス9で絶縁された直流出力の電圧が予め定めた値以下に低下したときに、停電を検出してもよい。
【0051】
図1に示したトランスTrは1出力であるが、一般的なフライバックコンバータと同様に2次巻線を複数組巻回して電圧の異なる複数の出力を得ることができる。また、その出力をQ1,Q2,Q3の駆動電源に使うことが可能である。また、Q2,Q3にはPチャンネル型のパワーMOSFETを用いてもよい。
【0052】
なお、入力電圧100Vの例を示したが、200V系を入力することも可能であり、ワールドワイド電圧入力への対応が可能である。
【0053】
このように、本発明においては、フライバックコンバータに力率改善制御系として入力波形制御機能を持たせるとともに、停電補償用コンデンサをスイッチで分離し、定常時にスイッチング素子にかかる電圧が入力電圧の瞬時値に応じた値になるようにした。これにより、Q1,Q2のターンオフ時のスイッチング損失を抑制できる。なお、Q1,Q2はZVSターンオンができることから、ターンオン,ターンオフ時ともにスイッチング損失を抑制でき、高効率化を図ることができる。
【0054】
また、高調波抑制機能と瞬停補償機能を有していることから、必要な平滑コンデンサ容量を最低限にすることができ、スイッチング電源装置の実装体積を低減し、電源の出力密度を増加することができる。さらに、本発明のスイッチング電源装置には初期充電機能を持たせることが可能であり、従来は必要であった突入防止回路を削除することができる。初期充電機能は、たとえば後述する図11の充電回路17とダイオード10b(D2)を追加することで実現が可能である。
【0055】
なお、スイッチング素子として本実施の形態ではパワーMOSFETを用いたが、電流容量,電圧の条件によってはIGBTを用いても良い。また、ダイオードを含め、SiCを素材としたパワーデバイスを用いることも好適である。
【0056】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を図7〜図9を用いて説明する。図7は本発明のスイッチング電源装置の主回路部を示し、図8はその制御回路、図9は各部の波形を示している。図7〜図9において、図1から図6と同じ構成要素には同じ記号を付与している。
【0057】
図7が図1の主回路部と異なる点は、ダイオードブリッジ2の直流側とQ3(パワーMOSFET5c),Cdc(コンデンサ4)の直列対の間に、Cdcを充電する充電手段のチョークコイル3(L1)を接続したことである。なお、入力コンデンサ16は取り付けていないが、ダイオードブリッジ2とチョークコイル3の間に取り付けてもよい。
【0058】
次に図8の構成を説明する。図8は、図7の主回路の制御回路である。図8が図2と異なる点は、アンプ20d,スイッチ19b,減算器23,コンパレータ24を追加している点である。アンプ20dはCdc電圧を反転入力に接続し、VDC指令値を非反転入力に接続する。アンプ20dの出力はスイッチ19dを介して減算器23の負入力に接続される。スイッチ19dは停電検出器21の出力により制御される。減算器23の正入力にはアンプ20bの出力が接続される。減算器23の出力はコンパレータ24の正入力に接続される。コンパレータ24の負入力には入力電圧波形13が入力される。
【0059】
次に、図9の各部波形に従い、本実施の形態の動作を説明する。
【0060】
まず、図7の主回路動作が図1の回路動作と異なる点は、充電手段であるチョークコイル3を設けたことで、これによりCdcを充電する機能を持っていることと、Cdcに充電された電荷を入力電圧Vinのゼロクロス時に放電して出力電圧の低下を補償する機能を有していることである。
【0061】
商用交流の健全時には入力電圧Vinは正弦波となる。Q1がオンするとダイオードブリッジ2,チョークコイル3(L1),トランスTrの1次巻線,Q1のルートで電流が流れる。このときトランスTrの1次巻線とともに、L1にも励磁エネルギーが蓄積される。Q1をターンオフすると、トランスTrの1次巻線を流れていた電流はQ2のダイオードを通してコンデンサ8(Cc)に流れ、Ccを充電する。このとき、ダイオード10a(D1)が導通し、トランスTrの2次巻線から出力平滑コンデンサ11(Co)に電流が流れる。
【0062】
一方、L1を流れていた電流はQ3のダイオードを通してCdcに流れ、Cdcを充電する。この状態でQ2にゲート電圧を与えると、ZVSターンオンが達成できる。Q2がターンオンすると、Ccに蓄積された電荷がトランスの1次巻線を逆方向に流れる。この状態でQ2をターンオフさせるとQ1のダイオードからトランス1次巻線,Q3のダイオードを介してCdcに電流が流れる。このときにQ1にゲートを与えればQ1はZVSターンオンする。
【0063】
つまり、Q1のオン時に、チョークコイル3と絶縁トランス9の1次巻線とQ1の直列回路を形成し、Q1のオフ時に、チョークコイル3に蓄積されたエネルギーがQ2を通してCdcに蓄積して充電される。
【0064】
なお、チョークコイル3は、絶縁トランス9と同一の磁気回路に巻回して形成してもよい。
【0065】
図8の制御系の動作を説明する。商用健全時において、Q1,Q2の制御方法は第1の実施の形態と同様である。
【0066】
Cdcの電圧はアンプ20dに入力され、VDC指令値と比較されて、その誤差がアンプ20dで増幅され、減算器23に出力される。停電検出器21の出力はLowでありスイッチ19bはON状態である。
【0067】
一方、出力電圧指令値と出力電圧Voutはアンプ20bで比較され、誤差増幅される。この出力が減算器23に入力され、減算器23では出力電圧の誤差成分とCdc電圧の誤差成分が合算される。すなわち、Cdc電圧が上昇するほど、出力電圧が低下するほど、減算器23の出力レベルは上昇する。コンパレータ24では入力電圧Vinのレベルと減算器23の出力レベルを比較する。この結果、入力電圧瞬時値の低いゼロクロス付近のみ、コンパレータ24はHigh出力を出すことになる。この出力は、1次遅れ回路26により遅延を持ってPWMコンパレータ27bに伝達され、Q3のゲートを駆動する信号に変換される。
【0068】
図9に示すように、Q3のDutyは入力電圧Vinのゼロクロス付近で三角形状となる。このとき、Cdcの電荷がQ3を介してトランスTrの1次巻線に通流し、2次巻線側の出力電圧を補償することができる。このとき、Q1のDutyは図示するようにQ3とは逆に三角形状に低下して絞り出力電圧の上昇を抑制する。
【0069】
また、これによりCdcは電圧が低下する。本実施の形態では、Cdc指令値を340Vとしているため、340VとCdc電圧との偏差が大きい場合には放電期間が増加する。一方、出力電圧の24Vとの偏差が大きい場合にも同様に放電時間を増加させる。Q3がオンしている期間には入力電流はほぼゼロとなり、入力電流の波形歪は増加する傾向にあるが、元来ゼロクロス付近は入力電流がゼロであることから波形歪の増加は最小限に抑制される。
【0070】
また、ゼロクロス付近は入力電流指令値もゼロに近いため出力電力を確保するのが困難な期間である。そこで、この期間にCdcからの放電電荷で出力を補償することは、出力コンデンサの容量を低減することにつながり、スイッチング電源装置の体積を低減し実装密度の向上に寄与する。
【0071】
このように、Q3は入力電圧瞬時値のゼロクロス付近でのみスイッチングし、それ以外の入力電圧瞬時値が比較的高い期間においてはスイッチングしないため、スイッチング損失を抑制し、高効率なコンバータを提供することができる。
【0072】
次に、停電発生時の動作について述べる。停電発生時には図8の停電検出器21の出力がLowからHighに変化する。これにより、スイッチ19aはアンプ20bの側に切り替わり、スイッチ19bはオンからオフに変化する。この結果、Q1,Q2はアンプ20bによる出力電圧制御系により動作し、アンプ20cによる入力電流の波形制御は無視される。
【0073】
一方、スイッチ19bがオフになることでアンプ20dが切り離され、停電発生時にはCdcの電圧制御系の動作が停止する。また、停電発生時には入力電圧波形13もゼロであることから、コンパレータ24はアンプ20bの出力、すなわち出力電圧の誤差に応じて出力を変化させる。このコンパレータ24の出力が一次遅れ回路26を介してPWMコンパレータ27bに伝達され、三角波発生器25の出力と比較されてQ3のオンパルス幅が制御される。このように、停電時には出力電圧を一定に保つよう、アンプ20bの出力によりQ1とQ3のDutyをPWM制御する。
【0074】
停電時にはQ3の電圧は徐々に低下するため、Q3,Q1のDutyはそれに伴ってそれぞれ徐々に上昇する。なお、一次遅れ回路26はQ3がオンすることにより急峻にトランス1次巻線に印加される電圧が変化し、出力が大きく変動することを抑制するための回路である。
【0075】
図8の制御系はアナログ回路で構成する他、制御ICにワンチップすることも好適である。さらに、DSPやFPGAを用いデジタル制御系として構成することも好適である。特に停電や復電時における制御系の切り替えは出力電圧の変動に与える影響を抑制するためには、デジタル制御による切り替えが望ましい。なお、制御ブロックは出力電圧安定化,入力力率改善,瞬停補償、の機能を備えていれば、図8の構成と異なっていてもよい。
【0076】
本実施の形態は、図1に示した実施の形態と比較してコンデンサ4(Cdc)の電圧を高めることが可能である。このため、瞬停補償用に必要なCdcの容量は低減できる。また、入力電圧のゼロクロス時に出力電圧の低下を補償できることで出力平滑コンデンサ11の容量も低減することが可能である。一方、Q1,Q2のターンオフ時に印加される電圧は図1の実施の形態に比べて増加するため、スイッチング損失は増加する傾向にある。Cdcの電圧の設定値(指令値)を何Vにするのが最適か、Cdc,Coの容量とスイッチング損失の増減に留意して決定する。
【0077】
Q2,Q3はPチャネルMOSFETを用いても良い。また、入力電圧は100Vおよび200V系のワイドレンジ,ワールドワイドへの対応が可能である。
【0078】
図8の入力電圧Vin信号としては、入力電圧波形13を利用することも可能である。この場合には、入力電圧Vinの検出器は不要である。
【0079】
また、本発明の形態において、トランス9の2次巻線を複数個設けて、それぞれ絶縁された複数の出力を得ることが可能である。また、そのうちの1出力を本スイッチング電源装置の制御回路の駆動に用いてもよい。あるいは、トランス9の構成を、後述する図11に示すように複数に分割しても良い。
【0080】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態を図10を用いて説明する。図10には本発明のスイッチング電源装置の主回路部を示している。
【0081】
図10において、図1,図7と同じ構成要素には同じ記号を付与している。
【0082】
図10が図1の主回路部と異なる点は、コンデンサ4(Cdc)とパワーMOSFET5c(Q3)の間にダイオード10b(D2)が、Vin側からCdcの充電を阻止する向きに挿入されたことと、D2とCdcの接続点にダイオード10c(D3)のアノードが接続され、D3のアノードがパワーMOSFET5d(Q4)のソースに接続され、Q4のドレインがQ1のドレインに接続されたこと、絶縁トランス9(Tr)の2次巻線側にD1に接続されたのとは別の2次巻線が接続され、その別の2次巻線の巻き終わり側にダイオード10d(D4)のアノードが接続され、D4のカソード側に出力平滑コンデンサ11a(Co2)が接続される。そして、Co2の両端に負荷12aが接続される。つまり、D3とQ4は直列に接続され、D3のQ4と接続されていない側はD2とCdc間の接続点に接続され、Q4のD3と接続されていない側はQ1とQ2の接続点に接続されている。
【0083】
次に図10の回路の動作を説明する。まず、この回路において、Q4はQ3と相補動作させる。
【0084】
図10の動作は図1の回路の動作に準じているが、Cdcの充電方法が異なっている。
【0085】
Cdcの充電方法は、電源側からは行われず、Q1,Q2のスイッチングに応じて行われる。Q1がオンすると入力側からトランスTrの1次巻線を通して電流が流れ、Q1をオフするとトランスTrの2次巻線側に電流が流れる点は基本回路と同じである。ここで、通常Q3はオフしており、Q3と相補動作のQ4はオン状態となっている。そこで、Q1をオフするとQ2のダイオードを介してCcを充電するとともに、Q4,D3を介してCdcが充電される。続いてQ2をオンさせると、CdcにはCin+Ccの電圧が印加される。そこで、CdcはCinとCcの電圧の合計値まで充電されることになる。この電圧はAC100V入力時、280V程度になる。この結果、Cdcは図1に示した回路よりも高い電圧まで充電されることになる。
【0086】
本実施の形態の制御方法は、Cdcの電圧の最大値が決まり、過充電されることがないため、図8に示した制御ブロックのうちアンプ20dとスイッチ19bは不要となる。そして、Cdcに充電されたエネルギーを用いて商用入力交流のゼロクロス付近における出力電圧補償を行う他、瞬停時においては出力電圧制御を行い、出力電圧を保持することが可能である。
【0087】
このように初期充電手段としても動作する充電手段は、Q1のターンオフ時に発生するサージエネルギーを吸収するクランプ手段を有し、そのクランプ手段により回収したサージエネルギーをCdcに蓄積することによって充電してもよい。
【0088】
本実施の形態においては、初期充電回路のリレーや突入防止用のセメント抵抗が不要になるため、スイッチング電源装置の薄型実装化が可能になる。
【0089】
また、たとえばワールドワイド対応のスイッチング電源装置とした際、AC240Vなどの高電圧が入力された場合においてもCdcに突入電流が流れる恐れがないため、Cdcの電圧の設定値を印加される電圧の最大値(ピーク値)である380V〜400Vから下げることができる。これはコンデンサの耐圧を低下できるほか、1次側平滑コンデンサの印加電圧を下げて漏れ電流を低減し、回路損失を低減することに結びつく。
【0090】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態を図11と図12を用いて説明する。
【0091】
図11には本発明のスイッチング電源装置の主回路部を示している。図11において、図1,図7,図10と同じ構成要素には同じ記号を付与している。
【0092】
図11が図10の主回路部と異なる点は、Q1とCdcを接続するQ4とD3を削除した代わりに充電回路17がCinと並列に接続され、またその出力がCdcに接続されていることと、絶縁トランスが絶縁トランス9,9a,9bに3分割されている点である。絶縁トランス9(Tr1),9a(Tr2),9b(Tr3)の接続は、それぞれの1次巻線を直列接続し、2次巻線の巻き終わり側にそれぞれダイオード10a(D1),10f(D6),10g(D7)のアノードを接続し、D1,D6,D7のそれぞれのカソード側を接続して出力平滑コンデンサ11(Co)の正極側に接続する。Coの負極側は絶縁トランス9,9a,9bの2次巻線の巻き始めに接続する。
【0093】
次に図12の構成を説明する。図12は図11の充電回路17の内部の一例を示したものである。充電手段である充電回路17の内部にはトランス15とインテリジェントパワーデバイス18(IC1)を有する非絶縁型フライバックコンバータで構成され、トランス15の1次巻線がIC1に接続され、2次巻線の巻き始めはIC1のグランドと接続される。また、2次巻線の巻き終わり側にはダイオード10i(D9)のアノードが接続され、D9のカソード側に分圧抵抗が接続され、分圧された電圧がIC1に入力される。そしてD9のカソード側が充電回路17の外部に導出され、Cdcの正極側に接続される。
【0094】
次に本実施の形態の動作について述べる。本実施の形態についても、コンデンサ4(Cdc)とパワーMOSFET5c(Q3)の間に配置され、整流手段であるダイオードブリッジ2からの充電を阻止する、つまり、Vin側からCdcの充電を阻止する向きに配置されたD2(ダイオード10b)があり、Cdcの充電方向に電流を流さないため、図10の回路と同様に電源投入時にCdcを充電する突入電流が流れないため、リレーとセメント抵抗などで構成した従来の突入電流防止回路が不要である。つまり充電手段である充電回路17は、初期充電機能を有する。充電回路17はインテリジェントパワーデバイス18(IC1)によってCinから電流を取り、Cdcを充電する。このとき、Cdcの充電状態に依らずQ1,Q2をスイッチングし、絶縁トランス9,9a,9bを用いて出力を得ることが可能である。
【0095】
Cdcが所定の値、たとえば340Vまで充電されるとIC1は停止し、Cdcの漏れ電流により放電すると再充電する。このように充電回路17はCdcを充電した後はほぼ無負荷となるため、バーストモードで運転される。
【0096】
つまり、充電回路17は、商用健全時はバーストモードで動作され、停電検出器21で停電が検出されたときは動作を停止する。
【0097】
図11の回路の制御は図8の制御系によって行われるが、図10の回路と同様に、アンプ20dとスイッチ19bは不要である。
【0098】
本実施の形態においても入力電圧のゼロクロス付近における出力電圧補償制御が可能である。また、瞬停時には停電検出器21の停電検出によりアンプ20aとアンプ20cによる入力電流の波形制御を停止し、アンプ20bによる出力電圧制御を行ってCdcに充電した電荷を絶縁トランス9,9a,9bを通して放電し、出力電圧の低下を補償することが可能である。
【0099】
つまり、充電手段である充電回路17は、健全時はバーストモードで動作し、停電検出器21が停電を検出したときに動作停止するものである。
【0100】
補償するための電力は充電回路17によりCdcに蓄えられるが、このエネルギーは主回路が変換する電気エネルギー全体の数%であることから、充電回路17のトランスは絶縁トランス9に対して非常に小さくてよく、トランスの高さも低く抑えられる。
【0101】
また、本実施の形態に示したようにトランスを複数に分割して構成することによりトランス1個当たりが伝達する電力を減らすことが可能になり、この結果、トランス1個のコアの高さを低減し、薄型化することが可能になる。トランスの薄型化と上記したリレー,セメント抵抗の削除によりスイッチング電源基板の厚さを従来の電源よりも薄型化することができる。
【0102】
37型の液晶テレビの電源の定格容量は約180Wであり、本実施の形態によりトランスを3分割することを想定し、電源の変換効率を90%と見積もると、トランス1個あたりの電力は67Wである。67Wのトランスの厚みの限界は、コアの強度と損失から約5.0mmと見積もられる。また、ダイオードブリッジ2やQ1〜Q3のモールドの高さは4.5〜5.2mmである。そこで、電源基板の厚みを0.8mmとすると電源は6.0mmまで薄型化が可能である。この結果、厚さ10mm以下、6mm以上のスイッチング電源装置が実現できる。
【0103】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態を図13を用いて説明する。図13は本発明のスイッチング電源装置の主回路部を示している。図13において、図1,図7,図10,図11と同じ構成要素には同じ記号を付与している。図13に最も近い主回路は図1である。
【0104】
図13が図1の主回路部と異なる点は、クランプ用のコンデンサ8(Cc)を削除し、Q2とQ3のドレイン同士を接続し、Q2とQ3の接続点とQ1のソースにコンデンサ4(Cdc)を接続したことである。直列に接続されたQ2,Q3の直列対は、整流手段であるダイオードブリッジ2の両端に接続されている。
【0105】
この回路の動作について述べる。Q1がオンすると、入力電源からトランスTr(絶縁トランス9)の1次巻線を通してQ1に電流が流れる。Q1をオフするとトランスTrの2次巻線からD1を通してトランスTrに蓄えられた励磁エネルギーが放出される。同時に1次巻線側ではトランスTrの1次巻線,Q2のダイオード,Cdc,Cinというルートで電流が流れ、Cinを放電するとともにCdcを充電する。
【0106】
次にQ2をオンすると、Cdc,Q2,トランスTrの1次巻線,Cinというルートで電流が流れ、Cdcを放電しCinを充電する。Q2をターンオフした時点でQ1のダイオードに電流が流れるため、このときにQ1のゲートを加えてターンオンさせるとZVSが可能である。また、瞬停時と入力電源のゼロクロス時付近においてはQ1と同期させてQ3をオンさせることでCdc,Q3,トランスTrの1次巻線,Q1というルートで電流を流し、トランスTrに蓄えた励磁エネルギーをQ1でターンオフしたときに2次巻線側に放出し、出力電圧の低下を補償することが可能である。この結果、本制御をしない場合に比較して2次巻線側のコンデンサの容量を減少させることができる。
【0107】
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態を図14を用いて説明する。図14は本発明のスイッチング電源装置の主回路部を示している。図14において、図1,図7,図10,図11と同じ構成要素には同じ記号を付与している。図14は図10の回路の動作と類似しているため、図10との差異を述べる。図14が図10と異なる点は、図10のQ2が図14ではダイオード10h(D8)に置き換えられている点と、Q4のドレインの接続位置がD8のカソード側に変更されている点である。図14においても図10と同様にQ4はQ3と相補動作する。
【0108】
次にこの回路の動作について説明する。Q1をオンするとトランスTr(絶縁トランス9)の1次巻線を通してQ1に電流が流れ、トランスTrに励磁エネルギーが蓄積される。Q1をオフするとトランスTrの一次電流はD8,Ccのルートで環流する。これによりCcの電圧は上昇するが、通常はQ4がオンしているのでCdcにはCinとCcの電圧の合計が印加されることになり、この関係が崩れないようにCdcを充電する電流がQ4,D3を通してCdcに流れる。このようにしてCdcはCin+Ccの電圧ピーク値まで充電されるため、このスイッチング電源装置においては初期充電回路は不要となる。
【0109】
また、入力電源のゼロクロス時と瞬停時にQ3をオン、同時にQ4をオフし、Cdcの電荷をトランス1次巻線に流し、出力の低下を補償することができる。
【0110】
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態を図15を用いて説明する。図15は本発明のスイッチング電源装置の主回路部を示している。図15において、図1などの回路図と同じ構成要素には同じ記号を付与している。図15は図11と類似した回路構成である。
【0111】
図11と図15の違いはトランスTrが1つである点と、フォワードコンバータ構成として2次巻線側にコイルであるチョークコイル3aと環流用のダイオード10e(D5)を有している点である。環流用のダイオード10e(D5)は、絶縁トランス9の2次巻線とCo間に、並列に接続され、チョークコイル3aはD1と直列に接続されている。
【0112】
次に図15の動作を説明する。Cdcは充電回路17により充電される。D2のためこのスイッチング電源装置をAC電源に接続しても突入電流が発生せず、突入電流防止回路を備えた初期充電回路を削除することが可能である。なお、Cinはフィルタ用の小容量のコンデンサであり、このコンデンサへの突入電流は無視できるレベルである。
【0113】
まず、AC健全時において、Q1をオンするとダイオードブリッジ2側からトランスTrの1次巻線を通してQ1に電流が流れる。このとき、トランスTrの2次巻線にもD1,チョークコイル3aを通して電流が流れCoを充電する他、負荷12に供給される。Q1をオフするとトランスTrの1次巻線側の電流はQ2のダイオード,Ccのルートで環流する。このときQ2をターンオンさせるとZVSが成立する。Q2をオンして1次巻線側の環流電流がゼロになるとその後、環流電流が反転し、Cc,Q2,トランスTrの1次巻線のルートで流れる。このときQ2をオフするとQ1のダイオード,トランスTrの1次巻線,Cinのルートで電流が流れる。このときQ1をターンオンさせるとZVSが成立する。
【0114】
また、図15の回路の制御は図8の制御系によって行われるが、充電回路の制御系を分離しているので、図10,図11の回路と同様に、アンプ20dとスイッチ19bは不要である。
【0115】
本実施の形態においても入力電圧のゼロクロス付近における出力電圧補償制御が可能である。また、瞬停時には停電検出器21の停電検出によりアンプ20aとアンプ20cによる入力電流の波形制御を停止し、アンプ20bによる出力電圧制御を行ってCdcに充電した電荷をトランスTrを通して放電し、出力電圧の低下を補償することが可能である。
【0116】
補償するための電力は充電回路17によりCdcに蓄えられるが、このエネルギーは主回路が変換する電気エネルギー全体の数%であることから、充電回路17のトランスは絶縁トランス9に対して非常に小さくてよく、トランスの高さも低く抑えられる。
【0117】
なお、本実施の形態において用いているフォワードコンバータは入力電流の低電圧位相において電流を引き込む能力が低いため、フライバックコンバータよりも導通角が狭くなるが、トランスTrの2次巻線側に対する1次巻線側の巻き数比を下げることにより、導通角を広げることができる。
【0118】
その他、本発明によれば、フォワードコンバータを他の方式のコンバータに置き換えても同様な効果を得ることができる。
【0119】
<第8の実施の形態>
次に、本発明の第8の実施の形態を図16と図17を用いて説明する。図16は本発明のスイッチング電源基板を上から見た図を示している。この基板の回路図は図11と同じである。また、図17は映像表示装置である薄型テレビに図16の基板を実装した時の形態を示している。
【0120】
図16において、図11の回路図と同じ構成要素には同じ記号を付与している。図16において、電源基板32は面実装基板であり、電源基板32は図17に示すように、図面の上側がパネルの上向きになるように実装される。
【0121】
電源基板32の下部には入力コネクタ30があり、その近くにダイオードブリッジ2と充電回路17,パワーMOSFET5a(Q1),パワーMOSFET5b(Q2),パワーMOSFET5c(Q3),ダイオード10b(D2)と入力コンデンサ16が配置される。このうち、発熱部品であるダイオードブリッジ2とパワーMOSFET5a,5bは放熱のために厚さ1〜2mmのアルミ板31の上に取り付けられる。Q3とD2はほとんど発熱しないため基板に直に実装される。電源基板32の中央付近にはコンデンサ4が数個に分けて並べて実装される。また、コンデンサ8が実装される。電源基板32のコンデンサ実装位置の上側には絶縁トランス9,9a,9bが並べて実装される。電源基板32においては、絶縁トランス9,9a,9bの上部が2次巻線側となっており、このエリアにはダイオード10a,10f,10gが実装される。これらのダイオード10a,10f,10gはアルミ板31とは別のアルミ板31aに取り付けて電源基板32に実装される。ダイオード10a,10f,10gの近傍には出力平滑コンデンサ11が数個に分けて並べて実装される。電源基板32の最上部の縁には出力コネクタ40a,40b,40cが実装される。また、このように電源基板32上に電子部品を実装することで、電源基板32の高さが6mm以上10mm以下のような薄型化を実現することができる。
【0122】
次に図17を説明する。図17の中央には画像を表示する表示パネル(液晶パネル)と、LEDなどの光源を有し、その表示パネルに光を出射する照明装置(バックライト)とを有する映像表示装置である薄型液晶テレビセットを背面から見た図、下側には上から見た図、右側には真横から見た図を記載している。
【0123】
電源基板32を有するスイッチング電源装置は、照明装置に対して表示パネルとは反対側に配置され、表示パネルに電源を供給する。このスイッチング電源装置の構成については、上述した各実施の形態に記載されたものを適用する。
【0124】
背面から見た図においてはセットの背面カバーをはずした状態で記載しており、3つの支柱34a,34b,34cが形成されている。電源基板32は中央と右側にある支柱34bと34cの間に実装される。液晶パネル33には電源ケーブル38が入力され、電源基板32の下方に実装されているフィルタ基板39に接続される。フィルタ基板39からの出力ケーブルは電源基板32の入力コネクタ30に接続される。電源基板32の出力コネクタ40a,40b,40cはそれぞれLEDドライバ基板35b,LEDドライバ基板35a,回路基板36に接続される。LEDドライバ基板では、スイッチング電源装置の電源基板32から出力した24Vを入力し、LEDバックライトの点灯に必要な電圧に昇圧あるいは降圧するコンバータを搭載した基板であり、LEDに流れる電流を制御することにより、LEDの輝度を調整することが可能である。LEDバックライト自体は電源基板32や回路基板36などと液晶パネルの間にあり、10mm前後の厚さである。
【0125】
なお、T−con(タイミングコントローラ)基板37については、回路基板36に入力した電源を回路基板において必要な電圧に変換した上で供給される。
【0126】
図17に示したように、厚さ10mm未満のスイッチング電源基板32を液晶パネルを用いたテレビジョン装置あるいは画像モニタ装置のパネル部の背面に実装することと、LEDドライバにより駆動される10〜20mmの厚さのLEDバックライトを用いることにより、パネル部のセット厚みを20mm以上30mm以下に薄型化することが可能になる。
【0127】
また、電源基板32とLEDドライバ基板35a,35bは、これらを統合して同一基板上に形成するとともに、電源の制御回路とLEDの制御回路を1つのFPGAやDSP、あるいはマイコンに集約することも可能である。この場合には制御回路の実装面積が縮小し、基板間を接続するケーブルやコネクタが不要となる。これによりコネクタ部での結線作業に必要だった余分な空間が不要になることから、セット厚みの薄型化に効果がある。
【0128】
また、バックライトとしてLEDではなく、CCFL,FFEL,HCFLといった陰極管を用いる場合においては、LEDドライバ35a,35bの代わりにインバータが必要となるが、このインバータを電源基板32と同じ基板上に形成し、電源の制御回路とバックライトインバータの制御回路を1つのFPGAやDSP、あるいはマイコンに集約することも可能である。これもセット厚みの薄型化のためには効果がある。
【0129】
以上、各実施例の本発明によれば、絶縁トランスの高さを5mm〜9mmに薄型化できる。これらにより、電源基板の高さを10mm以下かつ6mm以上にでき、この薄型スイッチング電源基板を表示パネルの背面に実装することにより、表示パネル部の最大厚みが30mm以下20mm以上の表示装置を実現できる。液晶テレビやプラズマテレビなどに適用すれば、壁掛け,壁寄せなどユーザの要求に合わせた室内レイアウトが可能になる。
【符号の説明】
【0130】
1 商用交流
2 ダイオードブリッジ
3,3a チョークコイル
4,8 コンデンサ
5a,5b,5c,5d パワーMOSFET
9,9a,9b 絶縁トランス
10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i ダイオード
11,11a 出力平滑コンデンサ
12,12a 負荷
13 入力電圧波形
14 入力電流
15 トランス
16 入力コンデンサ
17 充電回路
18 インテリジェントパワーデバイス
19a,19b スイッチ
20a,20b,20c,20d アンプ
21 停電検出器
22 乗算器
23 減算器
24 コンパレータ
25 三角波発生器
26 一次遅れ回路
27a,27b PWMコンパレータ
28 NOT回路
29a,29b,29c ドライバ
30 入力コネクタ
31,31a アルミ板
32 電源基板
33 液晶パネル
34a,34b,34c 支柱
35a,35b LEDドライバ基板
36 回路基板
37 T−con(タイミングコントローラ)基板
38 電源ケーブル
39 フィルタ基板
40a,40b,40c 出力コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流を入力して絶縁された直流を出力するスイッチング電源装置において、
前記商用交流を整流する整流手段と、
1次巻線と2次巻線を持つ絶縁トランスと、
前記絶縁トランスの1次巻線と直列に接続された第1のスイッチング素子と、
前記絶縁トランスの1次巻線の両端に接続された第2のスイッチング素子と、
前記絶縁トランスの1次巻線の両端に接続され、前記第2のスイッチング素子と直列に接続された第1のコンデンサと、
前記整流手段と並列に接続された第3のスイッチング素子と、
前記整流手段と並列に接続され、前記第3のスイッチング素子と直列に接続された第2のコンデンサと、
前記商用交流の停電を検出する停電検出手段を備える制御回路と、を有し、
前記停電検出手段で停電が検出された場合、前記第3のスイッチング素子を制御して、予め前記第2のコンデンサに蓄積した電荷を前記絶縁トランスを介して絶縁された直流出力側に放電させるスイッチング電源装置。
【請求項2】
請求項1記載のスイッチング電源装置において、
前記整流手段の直流側の正負端子間に接続された入力コンデンサを有するスイッチング電源装置。
【請求項3】
請求項1記載のスイッチング電源装置において、
前記絶縁トランスの2次巻線の一方端にアノードが接続されたダイオードと、
前記絶縁トランスの2次巻線の他方端と前記ダイオードのカソードに接続された第3のコンデンサと、を有するスイッチング電源装置。
【請求項4】
請求項1記載のスイッチング電源装置において、
前記制御回路は、前記停電検出手段で停電が検出された場合、前記第3のスイッチング素子を制御するパルス信号を前記第1のスイッチング素子に同期させるスイッチング電源装置。
【請求項5】
請求項1記載のスイッチング電源装置において、
前記商用交流の入力電流波形を正弦波形に制御すると共に、出力電圧を一定電圧に制御する第1の制御系と、
前記商用交流の入力電流波形の制御に関係なく、出力電圧を一定電圧に制御する第2の制御系と、を有し、
前記制御回路は、前記商用交流の健全時には前記第1の制御系により制御し、前記停電検出手段が停電を検出した際には前記第2の制御系に切り替えて制御するスイッチング電源装置。
【請求項6】
請求項1記載のスイッチング電源装置において、
前記停電検出手段は、前記商用交流の入力電圧の瞬時値の絶対値が予め定めた値以下に低下したとき、または前記絶縁トランスで絶縁された直流出力の電圧が予め定めた値以下に低下したときに、停電を検出するスイッチング電源装置。
【請求項7】
請求項1記載のスイッチング電源装置において、
前記第2のコンデンサを充電する充電手段を有するスイッチング電源装置。
【請求項8】
請求項7記載のスイッチング電源装置において、
前記充電手段は、前記第2のコンデンサに充電された電荷を前記商用交流の入力電圧瞬時値がゼロの時に放電するスイッチング電源装置。
【請求項9】
請求項7記載のスイッチング電源装置において、
前記充電手段は、前記第3のスイッチング素子と前記整流手段間に配置されたチョークコイルであり、
前記第1のスイッチング素子のオン時に、前記チョークコイルと前記絶縁トランスの1次巻線と前記第1のスイッチング素子の直列回路を形成し、前記第1のスイッチング素子のオフ時に、前記チョークコイルに蓄積されたエネルギーが前記第3のスイッチング素子を通して前記第2のコンデンサに蓄積して充電されるスイッチング電源装置。
【請求項10】
請求項9記載のスイッチング電源装置において、
前記チョークコイルは、前記絶縁トランスと同一の磁気回路に巻回して形成されたスイッチング電源装置。
【請求項11】
請求項7記載のスイッチング電源装置において、
前記第2のコンデンサと前記第3のスイッチング素子間に配置され、前記整流手段からの充電を阻止する向きに配置されたダイオードを有し、
前記充電手段は、初期充電機能を有するスイッチング電源装置。
【請求項12】
請求項11記載のスイッチング電源装置において、
前記ダイオードと前記第2のコンデンサの接続点と、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子の接続点に接続された他のダイオードと、
前記ダイオードと前記第2のコンデンサの接続点と、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子の接続点に接続され、前記他のダイオードと直列に接続された第4のスイッチング素子と、を有するスイッチング電源装置。
【請求項13】
請求項11記載のスイッチング電源装置において、
前記充電手段は、トランスと、インテリジェントパワーデバイスと、を有する非絶縁型フライバックコンバータで構成され、商用健全時はバーストモードで動作され、前記停電検出手段が停電を検出したときに動作停止するスイッチング電源装置。
【請求項14】
商用交流を入力して絶縁された直流を出力するスイッチング電源装置において、
前記商用交流を整流する整流手段と、
1次巻線と2次巻線を持つ絶縁トランスと、
前記絶縁トランスの1次巻線と直列に接続された第1のスイッチング素子と、
前記絶縁トランスの1次巻線の両端に接続され、それぞれドレイン同士で接続された第2のスイッチング素子及び第3のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子間の接続点と前記第1のスイッチング素子のソースに接続されたコンデンサと、
前記商用交流の停電を検出する停電検出手段を備える制御回路と、を有し、
前記停電検出手段で停電が検出された場合、前記第3のスイッチング素子を制御して、予め前記コンデンサに蓄積した電荷を前記絶縁トランスを介して絶縁された直流出力側に放電させるスイッチング電源装置。
【請求項15】
請求項14記載のスイッチング電源装置において、
前記停電検出手段は、前記商用交流の入力電圧の瞬時値の絶対値が予め定めた値以下に低下したとき、または前記絶縁トランスで絶縁された直流出力の電圧が予め定めた値以下に低下したときに、停電を検出するスイッチング電源装置。
【請求項16】
請求項11記載のスイッチング電源装置において、
前記絶縁トランスの2次巻線の一方端にアノードが接続されたダイオードと、
前記絶縁トランスの2次巻線の他方端と前記ダイオードのカソードに接続された第3のコンデンサと、
前記絶縁トランスの2次巻線と前記第3のコンデンサ間に、並列に接続された環流用のダイオードと、
前記ダイオードと直列に接続されたコイルと、を有するスイッチング電源回路。
【請求項17】
画像を表示する表示パネルと、
光源を有し、前記表示パネルに光を照射する照明装置と、
前記照明装置に対して前記表示パネルとは反対側に配置され、前記表示パネルに電源を供給する請求項1記載のスイッチング電源装置と、を有する映像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−178521(P2010−178521A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18946(P2009−18946)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】