説明

スイッチ作動装置、並びにこれを備えたインターロック機構及び画像形成装置

【課題】複数の移動体の移動状態や回転状態に応じてスイッチを動作させる場合に、スイッチ作動装置の数の増加を抑制しつつ、移動体の移動又は回転の量のばらつきやスイッチと直接接触する部材の位置や形状のばらつきがあってもスイッチへの過剰な負荷を防いで安定したスイッチ動作を得る。
【解決手段】第1の移動体としての左カバー41を動かすと、レバー部材57を支持する揺動ブラケット55が、レバー部材57とともに、スイッチ作動装置50の本体に設けられた軸51cを中心として揺動する。また、第2の移動体としての前カバー42を動かすと、揺動ブラケット55の揺動する部分に設けられた支軸55bを支点としてレバー部材57が揺動する。これらの揺動がともにあった場合に、レバー部材57の一方の端部にあるスイッチ作動部としての押圧部57bがマイクロスイッチ52を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体の移動状態又は回転状態に応じてスイッチのオン又はオフの動作を行わせるためのスイッチ作動装置、並びに、これを備えたインターロック機構及び複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の筐体を構成する壁部としてのカバーの開閉状態に応じて動作するスイッチを有し、カバーを開けたときにスイッチがオフになることにより、電源の供給を停止したり制御を停止したりすることができるインターロック機構が知られている。
【0003】
インターロック機構は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置にも設けられている。例えば、筐体を構成する壁部としてのカバーの一部が、用紙の紙詰まりやトナー補充あるいはプロセスユニットの交換などのメンテナンス時に開閉される構成の画像形成装置において、メンテナンス時にカバーが開状態になったときにスイッチ作動装置でスイッチをオフすることにより供給電源をオフするインターロック機構が設けられる。
また、開閉可能な複数のカバーが設けられた画像形成装置では、それら複数のカバーのいずれかを開閉してメンテナンス作業を行うために、スイッチをオン/オフ動作させるスイッチ作動装置を複数のカバーそれぞれに対応させて複数設けることもある。しかし、このように複数のカバーごとにスイッチ作動装置を設けると、スイッチ作動装置の数が増えてしまう。
【0004】
特許文献1には、第1のカバーの開閉に応じてスイッチを作動させる作動位置に移動する作動レバーと、第2のカバーの開閉に応じて当該作動レバーを作動位置に移動させる移動レバーとを備えた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、1組の作動レバー及び移動レバーの組み合わせで、複数のカバーの開閉に応じて供給電源をオン又はオフすることができる。
【0005】
しかし、上記特許文献1で開示された画像形成装置では、上記作動レバーや移動レバーを押圧して作動させるためのカバー側に設けられた押圧部材の位置や形状のばらつき、あるいは各レバーの形状のばらつきによって、カバーが閉じた状態でもスイッチが動作しない場合や、カバーが閉じた状態で作動レバーが過剰にスイッチを押し込み、スイッチが破損したり変形したりするおそれがある。
【0006】
特許文献2には、スイッチ筐体内部に設けられたバネの付勢力に抗してスイッチ作動子を内部に押し込むことによりオンされるスイッチにおいて、複数の部材を用いることにより、スイッチ作動子のオン方向と開閉可能なカバーが閉まる際のカバーの移動する方向とを互いに異なる方向とするインターロック機構が開示されている。このインターロック機構では、複数の部材を用いてカバーの閉方向とスイッチ作動子のオン方向とを異ならせることにより、カバーの力を間接的にスイッチ作動子に伝え、カバーから直接スイッチ作動子に力が加わらないようにしている。従って、カバーを閉める際に想定以上の力が加わっても、スイッチの破損を防ぐことが可能となる。
【0007】
しかし、上記特許文献2で開示されたインターロック機構では、カバーからの力をスイッチが直接受けることを避けることができるが、スイッチ作動子を押圧する部材の位置のばらつきや形状のばらつきによっては、スイッチに負荷をかけてしまうおそれがある。
【0008】
そこで、複数のカバーの開閉量や移動量のばらつき等によらず安定した作動が得られる構成として、特許文献3には、揺動可能に設けられた第1のレバー部材と、第1のレバー部材に設けられた支軸を支点として両端が搖動可能に支持され、両端の一方がスイッチに対向している第2のレバー部材とを備えたスイッチ作動装置が提案されている。このスイッチ作動装置は、さらに、開閉可能な二つカバーのうちの一つの開閉に応じて第2のレバー部材をスイッチに向けて搖動させる第1の作動部と、他の一つの開閉可能なカバーの開閉に応じて第1のレバー部材を搖動させる第2の作動部とを備える。そして、他の一つのカバーが閉じることにより第2の作動部が第1のレバー部材を揺動させて第2のレバー部材をスイッチのアクチュエータに接近させ、かつ、一つのカバーが閉じることにより第1の作動部が第2のレバー部材の揺動端の一方をスイッチのアクチュエータに向け揺動させることにより、第2のレバー部材の揺動端の一方がスイッチのアクチュエータを押し動かしてスイッチを動作させる。このスイッチ作動装置では、第1の作動部と第2の作動部をカム形状とすることにより、カバーの開閉量や移動量がばらついても、第1、第2の作動部と第1、第2のレバー部材との相対的位置関係は安定させることが可能となるため、第1、第2の作動部と第1、第2のレバー部材との接触位置を概ね同じ位置に設定することができ、安定した動作が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献3で開示されたスイッチ作動装置では、スイッチと直接接触する第2のレバー部材の位置のばらつきや形状のばらつきによっては、スイッチに負荷をかけてしまうおそれがある。
【0010】
本発明は以上の背景の下でなされたものであり、その目的は、複数の移動体の移動状態や回転状態に応じてスイッチを動作させる場合に、スイッチ作動装置の数の増加を抑制しつつ、移動体の移動又は回転の量にばらつきがあってもスイッチを確実に動作させることができるとともに、スイッチと直接接触する部材の位置や形状のばらつきによるスイッチへの過剰な負荷を防ぐことにより安定したスイッチ動作が得られるスイッチ作動装置並びにこれを備えたインターロック機構及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の移動体の移動状態又は回転状態に応じてスイッチのオン又はオフの動作を行わせるためのスイッチ作動装置であって、複数の移動体の一つである第1の移動体の移動又は回転により、当該スイッチ作動装置の本体に設けられた軸を中心として揺動又は回転可能に設けられた支持部材と、上記支持部材の揺動又は回転する部分に設けられた支軸を支点として両端部が揺動するように支持され、該両端部の一方にあるスイッチ作動部がスイッチを動作させるように揺動可能なレバー部材と、を備え、上記複数の移動体の一つである第1の移動体の移動又は回転により上記支持部材が揺動又は回転し、該複数の移動体の他の一つである第2の移動体の移動又は回転により該支持部材の支軸を支点として該レバー部材が揺動し、該第1の移動体の移動又は回転による該支持部材の揺動と該第2の移動体の移動又は回転による該レバー部材の揺動とがともにあった場合に該レバー部材のスイッチ作動部が該スイッチを動作させるように構成され、上記レバー部材のスイッチ作動部は、カム形状を有していることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のスイッチ作動装置において、上記カム形状のスイッチ作動部は、上記スイッチに対向する面が円弧状に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2のスイッチ作動装置において、上記レバー部材の支軸を間にして上記スイッチ作動部とは反対側にある被作動部を押圧するように、当該スイッチ作動装置の本体に設けられた軸を中心として揺動又は回転可能に設けられた作動部材を備え、上記第2の移動体の移動又は回転により上記作動部材が揺動又は回転し上記レバー部材のスイッチ作動部が上記スイッチを動作させる向きに該レバー部材の被作動部を押圧するように構成されたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3のスイッチ作動装置において、上記作動部材の上記レバー部材の被作動部を押圧する端部は、カム形状を有していることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のスイッチ作動装置において、上記カム形状の端部は、上記レバー部材の被作動部に対向する面が円弧状に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれかのスイッチ作動装置において、上記レバー部材を上記スイッチから離間させる方向に付勢する付勢部材と、上記作動部材を上記レバー部材から離間させる方向に付勢する付勢部材と、を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかのスイッチ作動装置において、上記レバー部材のスイッチ作動部は、上記スイッチのレバー形状のアクチュエータの先端部を押圧することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかのスイッチ作動装置において、上記支持部材の揺動又は回転の軸中心と上記レバー部材の揺動の軸中心とを結ぶ仮想線と、上記スイッチのレバー形状のアクチュエータの長手方向とが略垂直であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかのスイッチ作動装置において、上記レバー部材のスイッチ作動部によってオン又はオフするスイッチを備え、上記支持部材及び上記スイッチは単一の構造体に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項3乃至6のいずれかのスイッチ作動装置において、上記レバー部材のスイッチ作動部によってオン又はオフするスイッチを備え、上記支持部材、上記作動部材及び上記スイッチは単一の構造体に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかのスイッチ作動装置を用いることを特徴とするインターロック機構である。
また、請求項12の発明は、請求項11のインターロック機構において、上記移動体は、筺体に設けられた開閉可能なカバー又はドアであることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11又は12のインターロック機構において、上記第1の移動体の移動又は回転の動きを上記支持部材に伝える第1のリンク部材と、上記第2の移動体の移動又は回転の動きを上記作動部材に伝える第2のリンク部材と、を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送して該潜像担持体上の潜像に該現像剤で現像する現像装置と、該現像装置で現像された可視像を該潜像担持体上から最終的に記録材上へ転移させることで該記録材上に画像を形成する画像形成装置であって、請求項11乃至13のいずれかのインターロック機構を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項14の画像形成装置において、上記スイッチ作動装置で動作するスイッチが、当該画像形成装置の筐体に設けられたカバー又はドアの開閉状態の検知に用いられることを特徴とするものである。
【0012】
本発明において、第1の移動体が移動又は回転すると、レバー部材を支持する支持部材が、そのレバー部材とともに、スイッチ作動装置の本体に設けられた軸を中心として揺動又は回転する。また、第2の移動体が移動又は回転すると、支持部材の揺動又は回転する部分に設けられた支軸を支点としてレバー部材が揺動する。この第1の移動体の移動又は回転による支持部材を介したレバー部材の揺動又は回転と第2の移動体の移動又は回転によるレバー部材の揺動とがともにあった場合に、レバー部材の一方の端部にあるスイッチ作動部がスイッチを動作させる。このように第1の移動体及び第2の移動体の両方が移動又は回転したときにスイッチが動作するので、第1の移動体及び第2の移動体それぞれに、スイッチ作動装置及びスイッチを設けなくてもよい。
また、支持部材の支軸を中心として揺動するレバー部材のスイッチ作動部は、カム形状を有しているので、レバー部材の揺動によりカム形状のスイッチ作動部の表面が次第にスイッチに近づき、最終的にスイッチに接触することにより、スイッチが作動する。ここで、第1の移動体の移動又は回転の量がばらつき、支持部材に設けられた支軸の位置が変動しても、その支軸を中心に揺動するレバー部材のカム形状のスイッチ作動部の表面とスイッチとの接触位置がばらつくことはない。更に、第2の移動体の移動又は回転の量がばらついても、レバー部材の揺動の中心になっている支軸の位置は変動しないので、その支軸を中心に揺動するレバー部材のカム形状のスイッチ作動部の表面とスイッチとの接触位置がばらつくことはない。このように、第1の移動体及び第2の移動体の移動又は回転の量がばらついても、レバー部材のスイッチ作動部とスイッチとの接触位置がばらつくことがないので、スイッチを確実に動作させることができるとともに、スイッチへの負荷が増大することがない。
しかも、スイッチに直接接触するレバー部材のカム形状のスイッチ作動部の表面とスイッチとの接触位置は、レバー部材の位置や形状のばらつきがあってもほとんど変動しないので、レバー部材の位置や形状のばらつきがあってもスイッチへの過剰な負荷を防ぐことができ、安定したスイッチ動作が得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の移動体の移動状態や回転状態に応じてスイッチを動作させる場合に、スイッチ作動装置の数の増加を抑制しつつ、移動体の移動又は回転の量にばらつきがあってもスイッチを確実に動作させることができるとともに、スイッチと直接接触する部材の位置や形状のばらつきによるスイッチへの過剰な負荷を防ぐことにより安定したスイッチ動作が得られるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るスイッチ作動装置を備えた画像形成装置の斜視図。
【図2】同スイッチ作動装置の斜視図。
【図3】同スイッチ作動装置の正面図。
【図4】同スイッチ作動装置のマイクロスイッチの動作説明図。
【図5】前カバーが開いている状態のスイッチ作動装置の動作説明図。
【図6】左カバーが開いている状態のスイッチ作動装置の動作説明図。
【図7】レバー部材の他の一例を示す正面図。
【図8】他の構成例に係るスイッチ作動装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスイッチ作動装置を備えた画像形成装置の外観図である。図1において画像形成装置100は、記録シートを積載する複数の給紙カセットを有する給紙部10と、画像形成された記録シートを積載する排紙部20と、記録シートに画像を形成する画像形成部30とが備えられている。画像形成部30は、給紙部10と排紙部20との間に設けられており、給紙部10から搬送された記録シートに画像形成部30により形成された画像が転写され、排紙部20に排紙される。
【0016】
画像形成部30の筐体には、所定枚数印刷して装置寿命が到来した現像装置を交換したり、印刷途中で紙詰まりした記録シートを取り除いたりするために、左側面及びこの面と直角な前面とに、それぞれ下部を支点として揺動することで開閉可能な第1の移動体としての左カバー41及び第2の移動体としての前カバー42が設けられている。左カバー41は矢印A方向に開閉可能であり、前カバー42は矢印B方向に開閉可能になっている。また、左カバー41及び前カバー42の内側には、筐体内に向け突出する突起41a,42aがそれぞれ設けられている。これらの突起41a,42aは、各カバー41,42の開閉動作に連動するリンク部材として用いられる。
【0017】
左カバー41に設けてある第1のリンク部材としての突起41aは、左カバー41の内側で右端部側の位置に設けられている。前カバー42に設けてある第2のリンク部材としての突起42aは、前カバー42の左端部側の位置に設けられている。これらの突起41a,42aと対向する筐体側には、突起41a,42aをそれぞれ挿入できる開口100A1,100A2が形成されている。
【0018】
左カバー41の突起41aに対向している開口100A1は、前カバー42が位置する前側面と隣接して直角な左側面の前側面側の隅部近傍に形成されており、前カバー42側の開口100A2とで囲まれた内部空間に後述するスイッチ作動装置が配置されるようになっている。
【0019】
現像装置の交換を行う場合には、左カバー41を開けて作業を行い、また、紙詰まりした記録シートを取り出す場合には上記前カバー42を開けて作業を行う。ここで、画像形成装置100の内部には、画像形成部30において現像剤としてのトナーを記録材としての記録シートに転写する際や記録シートを搬送させるために高い電圧がかかっている箇所がある。このため、少なくとも左カバー41と前カバー42とのいずれか一方を開けたときには、上記スイッチ作動装置が作動して電源の供給がオフになり、高い電圧がかかっている箇所が無いようになっている。
【0020】
図2は、本実施形態に係るスイッチ作動装置の斜視図であり、画像形成装置100の筐体の内部側から見た図である。また、図3は、図2のスイッチ作動装置において後述する揺動ブラケット55を外した状態の正面図である。図2及び図3の例は、左カバー41及び前カバー42の両方のカバーが閉じて、スイッチ作動装置50のスイッチがオンになっている状態を示している。
【0021】
図2及び3に示すように、スイッチ作動装置50は、各部材を保持する単一の構造体としての保持ブラケット51を有しており、この保持ブラケット51には、3つの軸51a,51b,51cが設けられている。軸51aには、マイクロスイッチ52が取り付けられ、ネジ45で固定されている。また、軸51bには、作動部材53がEリングにより取り付けられ、軸51bを中心として回動可能な構成となっている。また、軸51cには、支持部材としての揺動ブラケット55がEリングにより取り付けられ、軸51cを中心として、揺動可能に構成されている。
【0022】
マイクロスイッチ52は、アクチュエータを構成するヒンジレバー52a及び作動子52bと、電気的な接点や作動子52bを付勢する付勢手段としてのバネを内蔵するケース52cとから主に構成されている。
【0023】
図4は、ケース52cが水平の状態にあるときのマイクロスイッチ52の正面図である。マイクロスイッチ52は、例えばヒンジレバー52aがフリーで動作していない状態では電気的な接続がオフ(ノーマルオープンタイプ)のスイッチである。ヒンジレバー52aは可撓性の薄板部材であり、一方の端部がケースに固定され、他方の端部が自由端になっている。また、作動子52bは、ケース内部の付勢手段としてのバネにより、図中下側に付勢されており、先端部分がヒンジレバー52aに接触し、無負荷状態ではヒンジレバー52aを押し下げている。また、作動子52bは、ヒンジレバー52aの自由端に負荷がかかってヒンジレバー52aが押し上げられると、バネの付勢力に抗してケース内部に後退し、ケース内部の接点をオンにする仕組みとなっている。
【0024】
後述するレバー部材57が図中矢印方向に揺動してヒンジレバー52aの自由端に接触すると、レバー部材57の押圧力により、ヒンジレバー52aは固定端を支点にして徐々に上方に上がり、これに伴って作動子52bを押し込んでいく。マイクロスイッチ52には機械的な遊びH1があるので、レバー部材57がヒンジレバー52aに接触してもすぐに接点はオンにはならないが、遊びH1の範囲を超えてレバー部材57が揺動するとヒンジレバー52aと連動する作動子52bがケース内部の接点をオンにする。この状態からさらにレバー部材57がヒンジレバー52aを押し上げても適正動作範囲内H2であれば、マイクロスイッチ52の各部品に過剰な負荷はかからない。しかし、ヒンジレバー52aの自由端が図中水平方向よりも上に押し上げられると、接点はオンの状態を維持するが、ヒンジレバー52aが撓み、作動子52bや内部のバネ及び接点に過剰な負荷がかかってしまう(図中H3の範囲)。一般的にマイクロスイッチは耐久性に優れているが、このような過剰な負荷がかかった状態が長く続くと、ヒンジレバー52aが変形したり、作動子52bや内部のバネあるいは接点が破損したりして、マイクロスイッチ52が壊れてしまう場合がある。従って、マイクロスイッチ52を動作させる時には、マイクロスイッチ52のヒンジレバー52aが適正動作範囲内H2で動作するように、レバー部材57を停止させることが望ましい。
【0025】
図2において、作動部材53は、前カバー42の突起42aが接触する受け面53aと、この受け面53aに対して軸51bの反対側に付勢手段としてのスプリング54の一方の端部と係合する係合部53bとが形成されている。受け面53aには、前カバー42が閉じられて筐体の開口100A2から挿入される突起42aが接触し、この突起42aの押圧力によって、スプリング54の付勢力に抗して、作動部材53が回動する。スプリング54は、他方の端部が保持ブラケット51のバネ保持部51dで保持された引張りバネである。このスプリング54の付勢力により、作動部材53は図中矢印C方向に常に付勢されており、前カバー42が開いて突起42aが退避した状態では、受け面53aが垂直になる位置まで回動する(図5参照)。また、レバー部材57と接触する作動部材53の端部である接触部53cは、軸51bを中心とした円弧形状のカムで形成されており、突起42aの押圧力により作動部材53が揺動すると、この接触部53cがレバー部材57の被作動部の受け面57aに接触して、レバー部材57を揺動させる。
【0026】
揺動ブラケット55は、左カバー41の突起41aが接触する受け面55aが形成されている。この受け面55aに、左カバー41が閉じられて筐体の開口100A1から挿入される突起41aが接触すると、その押圧力により、揺動ブラケット55が保持ブラケット51の軸51cを中心としてマイクロスイッチ52に近接する方向に揺動する。また、揺動ブラケット55の内側には、レバー部材57を揺動可能に支持する支軸55bと、レバー部材57を付勢する付勢部材としての板バネ58とが設けられている。
【0027】
レバー部材57は、揺動ブラケット55の軸55bを中心として両端部が揺動可能となっている。レバー部材57の一方の端部であるスイッチ作動部としての押圧部57bは、マイクロスイッチ52のヒンジレバー52aに対向し、他方の端部である被作動部(後端部)は、左側面が作動部材53の接触部53cに対向している。レバー部材57には、作動部材53の接触部53cと接触する被作動部の受け面57aと、スイッチ52のヒンジレバー52aと接触する押圧部57bと、板バネ58の付勢力を受けるバネ受け面57cとが形成されている。被作動部の受け面57aに、突起42aにより回動された作動部材53の接触部53cが接触すると、その押圧力により、先端部の押圧部57bがヒンジレバー52aに近接する方向にレバー部材57が揺動し、ヒンジレバー52aを押圧することでスイッチ52をオンすることが可能になる。このようにレバー部材57は、揺動ブラケット55に保持された状態で揺動ブラケット55とともに揺動し、かつ、揺動ブラケット55の軸55bを中心としてレバー部材自体が揺動するようになっている。
【0028】
板バネ58は、固定端側が揺動ブラケット55に固設され、自由端側がレバー部材57のバネ受け面57cに常時接触しており、レバー部材57の先端部をマイクロスイッチ52から離間させる方向、すなわちレバー部材57の押圧部57bをヒンジレバー52aから離間させる方向に付勢している。
【0029】
上記構成のスイッチ作動装置50では、左カバー41が閉まることにより、突起41aが揺動ブラケット55の受け面55aに接触することで、揺動ブラケット55とレバー部材57とがマイクロスイッチ52側に揺動する。この状態では、揺動ブラケット55に保持されたレバー部材57は、板バネ58の付勢力により、押圧部57bがスイッチ52のヒンジレバー52aから離間した方向に位置しているので、マイクロスイッチ52はオフである(図5参照)。この状態において、さらに、前カバー42が閉まることにより、突起42aが図3中の矢印D方向に移動し、突起42aが作動部材53の受け面53aに接触して押圧することで作動部材53がスプリング54の付勢力に抗して回動し、その接触部53cがレバー部材57の受け面57aと接触し、レバー部材57が揺動する。これにより、レバー部材57の押圧部57bがマイクロスイッチ52のヒンジレバー52aを押圧し、マイクロスイッチ52がオンとなる。このようにスイッチ作動装置50は、左カバー41及び前カバー42が両方とも閉じたときに、マイクロスイッチ52がオンになって、画像形成装置への電源供給が可能となる。
【0030】
図5は、前カバー42が開いた際のスイッチ作動装置50の動作を示す斜視図である。図5において、前カバー42が開くと突起42aが退避し、作動部材53はスプリング54に引っ張られてレバー部材57から離間する方向に回動する。このときレバー部材57は板バネ58によりマイクロスイッチ52から離れる方向に付勢されているので、レバー部材57の押圧部57bがスイッチ52のヒンジレバー52aから離れる。これにより、前カバー42が開くと、左カバー41が閉まっていても、マイクロスイッチ52はオフとなる。
【0031】
図6は、左カバー41が開いた際のスイッチ作動装置50の動作を示す正面図である。左カバー41が開くと図示しない突起41aが退避する。すると、突起41aが揺動ブラケット55を介してレバー部材57の押圧部57bをスイッチ52のヒンジレバー52aに押し付けていた押圧力が解除され、ヒンジレバー52aの反力でレバー部材57が押し戻され、マイクロスイッチ52がオフになる。このときレバー部材57には他方の端部側の受け面53aに作動部材53が接触しているため、レバー部材57は揺動ブラケット55に対してほとんど揺動せず、揺動ブラケット55とともに、ヒンジレバー52aから離れる方向に揺動する。これにより、左カバー41が開くと、前カバー42が閉まっていても、マイクロスイッチ52はオフとなる。
【0032】
以上、図1乃至6を用いて説明したように、本実施形態に係るスイッチ作動装置50は、左カバー41又は前カバー42のうちどちらか一方が開いているとマイクロスイッチ52がオフとなり、両者が閉じているときにのみマイクロスイッチ52がオンとなる構成となっている。
【0033】
また、本実施形態に係るスイッチ作動装置50は、左カバー41及び前カバー42の開閉量のばらつきに伴う突起41a,42aの移動量のばらつき、さらに各部材の位置のばらつきや形状のばらつきによらず安定した動作を実現することができる。
【0034】
図3において、前カバー42が閉じて突起42aが停止したときに、所定の位置よりも大きく食い込んだ位置で停止した場合について説明する。この場合、作動部材53の回動量が大きくなるが、作動部材53のレバー部材57と接触する接触部53cが軸51bを中心とした円弧形状のカムとなっているので、作動部材53がレバー部材57を押圧して揺動させる量は変わらない。つまり、前カバー42の閉じ位置がばらついて作動部材53の回動角度がばらついても、レバー部材57の揺動角度はばらつかない。しかし、レバー部材53の接触部53cのカム形状の形状のばらつきや、作動部材53が接触するレバー部材57の受け面57aの形状のばらつきもあるので、完全にレバー部材57の揺動角度を一定に押さえ込むことは難しい。
【0035】
そこで、マイクロスイッチ52のヒンジレバー52aと接触する部分であるレバー部材57の先端部の押圧部57bを、支持ブラケット55の軸55bを中心とした円弧形状のカムとしている。これにより、レバー部材57が所定の揺動角度を超えて揺動しすぎても、ヒンジレバー52aに対するレバー部材57の押し込み量が大きく変動することなく、マイクロスイッチ52に過剰な負荷が掛かることを防ぐことができる。
【0036】
また、レバー部材57の押圧部57bは、ヒンジレバー52aに対して先端部分となっているため、例えばレバー部材57の形状バラつきにより押し込み量が大きくなっても、ヒンジレバー52aが弾性変形し、マイクロスイッチ52への負荷を軽減することができる構成となっている。
【0037】
なお、レバー部材57のカム形状は揺動ブラケット55の軸55bを中心とした円弧形状としているが、例えば図7に示すようなカム形状としたレバー部材59でもよい。このレバー部材59は、マイクロスイッチ52のヒンジレバー52aとの接触部分である押圧部59bは揺動中心である軸孔59aを中心とした円弧形状とはなっておらず、レバー部材59の回転角度に応じてヒンジレバー52aへの押し込み量を変化させている。つまり、回動中心である軸孔59aの中心から押圧部の先端部までの半径が左端部側に比べて右端部側が小さくなっている。これにより、ヒンジレバー52aとの接触時にレバー部材59の回動角度が大きくなるに従って徐々に押し込み量が少なくなり、上記レバー部材57と比較して、想定以上に回動しても押し込み量が増えないようになっている。
【0038】
図8は、他の構成例に係るスイッチ作動装置60の正面図である。図8のスイッチ作動装置60では、マイクロスイッチ52へ過剰な負荷がかかることをより確実に防止できるようにマイクロスイッチ52の配設位置を設定している。なお、前述のスイッチ作動装置50と共通の部材には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】
図8において、スイッチ作動装置60は、上記スイッチ作動装置50とは、レバー部材57とマイクロスイッチ52との位置関係が異なる。すなわち、突起41aが揺動ブラケット55を揺動させたときに、揺動ブラケット55の揺動中心である軸51cの中心と、レバー部材57の揺動中心である軸55bの中心とを結ぶ仮想線Kが、マイクロスイッチ52のヒンジレバー52aとほぼ垂直に交差するようにマイクロスイッチ52を配置している。これにより、突起41aの停止位置のばらつきや形状のばらつきにより、軸51cを中心とする揺動ブラケット55の揺動角度が変動しても、揺動ブラケット55に揺動可能に支持されたレバー部材57の先端部の押圧部57bがヒンジレバー52aに接触し、ヒンジレバー52aへの押し込み量の変動は最小限に抑えることができる。マイクロスイッチ52をオンするときの揺動ブラケット55の揺動角度が大きくて上記仮想線Kがヒンジレバー52aと垂直に交差しない場合(鋭角になる場合)は、レバー部材57の先端部の押圧部57bがヒンジレバー52aから離れる方向に移動することになり、レバー部材57によるヒンジレバー52aへの押し込み量は小さくなる。すなわち、ヒンジレバー52aに対する押し込み量の最大値は、軸51cと軸55bとの中心間距離と、軸55bの中心とレバー部材57の押圧部57bとの距離との和で決まり、揺動ブラケット55の揺動角度が所定角度からずれるにしたがい、押し込み量は減少していく。
【0040】
なお、レバー部材57の先端部の押圧部57bは軸55bを中心とする円弧形状のカムなので、突起42aの移動量が変動して作動部材53の揺動角度が変動し、レバー部材57の揺動角度が変動しても、ヒンジレバー52aに対する押し込み量はほぼ変動しない。
【0041】
図8のスイッチ作動装置60によれば、突起41aの移動量が変動して揺動ブラケット55の揺動角度が変動しても、ヒンジレバー52aに対するレバー部材57の押し込み量の変動を最小限に抑えることができ、マイクロスイッチ52へ過剰な負荷がかからず安定した動作が得られる。また、突起42aの移動量が変動して作動部材53の揺動角度が変動し、レバー部材57の揺動角度が変動しても、ヒンジレバー52aに対する押し込み量はほぼ変動せず、マイクロスイッチ52へ過剰な負荷がかからず安定した動作が得られる。
【0042】
以上、本実施形態によれば、第1の移動体としての左カバー41を動かすと、レバー部材57を支持する支持部材としての揺動ブラケット55が、レバー部材57とともに、スイッチ作動装置50、60の本体に設けられた軸51cを中心として揺動する。また、第2の移動体としての前カバー42を動かすと、揺動ブラケット55の揺動する部分に設けられた支軸55bを支点としてレバー部材57が揺動する。この左カバー41の動きによる揺動ブラケット55を介したレバー部材57の揺動と前カバー42の動きによるレバー部材57の揺動とがともにあった場合に、レバー部材57の一方の端部にあるスイッチ作動部としての押圧部57bがマイクロスイッチ52を動作させる。このように左カバー41及び前カバー42の両方が移動又は回転したときにマイクロスイッチ52が動作するので、左カバー41及び前カバー42それぞれに、スイッチ作動装置及びマイクロスイッチ52を設けなくてもよい。
また、揺動ブラケット55の支軸を中心として揺動するレバー部材57の押圧部57bは、カム形状を有しているので、レバー部材57の揺動によりカム形状の押圧部57bの表面が次第にマイクロスイッチ52に近づき、最終的にマイクロスイッチ52に接触することにより、マイクロスイッチ52が作動する。ここで、左カバー41の動きの量がばらつき、揺動ブラケット55に設けられた支軸55bの位置が変動しても、その支軸55bを中心に揺動するレバー部材57のカム形状の押圧部57bの表面とマイクロスイッチ52との接触位置がばらつくことはない。更に、前カバー42の動きの量がばらついても、レバー部材57の揺動の中心になっている支軸55bの位置は変動しないので、その支軸55bを中心に揺動するレバー部材57のカム形状の押圧部57bの表面とマイクロスイッチ52との接触位置がばらつくことはない。このように、左カバー41及び前カバー42の動きの量がばらついても、レバー部材の押圧部57bとマイクロスイッチ52との接触位置がばらつくことがないので、マイクロスイッチ52を確実に動作させることができるとともに、マイクロスイッチ52への負荷が増大することがない。
しかも、マイクロスイッチ52に直接接触するレバー部材57のカム形状の押圧部57bの表面とマイクロスイッチ52との接触位置は、レバー部材の位置や形状のばらつきがあってもほとんど変動しないので、レバー部材57の位置や形状のばらつきがあってもマイクロスイッチ52への過剰な負荷を防ぐことができ、安定したスイッチ動作が得られる。
以上のように、複数の左カバー41及び前カバー42の動きの状態に応じてマイクロスイッチ52を動作させる場合に、スイッチ作動装置50の数の増加を抑制しつつ、左カバー41及び前カバー42の動きの量にばらつきがあってもマイクロスイッチ52を確実に動作させることができるとともに、マイクロスイッチ52と直接接触するレバー部材57の位置や形状のばらつきによるマイクロスイッチ52への過剰な負荷を防ぐことにより安定したスイッチ動作が得られる。
また、本実施形態によれば、上記カム形状の押圧部57bが、マイクロスイッチ52に対向する面が円弧状に形成されている。これにより、レバー部材57が想定以上に揺動しても、レバー部材57の押圧部57bとマイクロスイッチ52との接触位置が大きく変動することがないので、マイクロスイッチ52への負荷が増大するのを防止できる。
また、本実施形態によれば、レバー部材57の支軸55bを間にして押圧部57bとは反対側にある被作動部の受け面57aを押圧するように、スイッチ作動装置50、60の本体に設けられた軸51bを中心として揺動可能に設けられた作動部材53を備え、前カバー42の動きにより作動部材53が揺動しレバー部材57の押圧部57bがマイクロスイッチ52を動作させる向きにレバー部材57の被作動部の受け面57aを押圧するように構成されている。これにより、前カバー42に大きな動きがあった場合でも、作動部材53の回動量が大きくなるだけで、作動部材53とレバー部材57との相対的位置関係は変わらず、レバー部材57の揺動角度は変化しないので、前カバー42に大きな動きがあった場合のマイクロスイッチ52への負荷が増大するのを防止できる。
また、本実施形態によれば、作動部材53のレバー部材57の被作動部を押圧する端部は、カム形状を有している。これにより、前カバー42の動きがばらついたり作動部材53の位置や形状のばらつきがあっても、作動部材53とレバー部材57との接触位置がばらつくことがないので、レバー部材57の揺動によるマイクロスイッチ52の動作の安定性を高めることができる。
また、本実施形態によれば、作動部材53のカム形状の端部は、レバー部材57の被作動部に対向する面が円弧状に形成されている。これにより、作動部材53が想定以上に揺動しても、作動部材53とレバー部材57との接触位置が大きく変動することがないので、レバー部材57への負荷及びマイクロスイッチ52への負荷が増大するのを防止できる。
また、本実施形態によれば、レバー部材57をマイクロスイッチ52のヒンジレバー52aから離間させる方向に付勢する付勢部材としての板バネ58と、作動部材53をレバー部材57から離間させる方向に付勢する付勢部材としてのスプリング54とを備えている。これにより、左カバー41及び前カバー42の少なくとも一方が開いて、突起41a及び突起42aの少なくとも一方が退避した状態では、レバー部材57がヒンジレバー52aから離間してマイクロスイッチ52がオフになる。このように左カバー41及び前カバー42の両方が閉状態でない限り、必ずマイクロスイッチ52がオフになるよう方向にレバー部材57を規制することができ、マイクロスイッチ52のヒンジレバー52aの反力によらず、左カバー41及び前カバー42の開閉に応じてマイクロスイッチ52を確実にオン/オフ動作させることができる。
また、本実施形態によれば、レバー部材57の押圧部57bは、マイクロスイッチ52のアクチュエータであるヒンジレバー52aの先端部を押圧する。これにより、レバー部材57の押圧部57bが押圧しすぎる場合でも、ヒンジレバー52aが弾性変形するだけで、マイクロスイッチ52自体に負荷を与えることを防止することができる。
また、本実施形態によれば、マイクロスイッチ52のアクチュエータは、スイッチ内部に押し込まれることによりスイッチをオンにする作動子52bと、固定端がスイッチのケースに固定され自由端がレバー部材57に接触して作動子52bをスイッチ内部に押し込む薄板状のヒンジレバー部材としてのヒンジレバー52aとを備える。そして、揺動ブラケット55の揺動の軸中心とレバー部材57の揺動の軸中心とを結ぶ仮想線Kと、マイクロスイッチ52のアクチュエータであるヒンジレバー52aの長手方向とが略垂直である。これにより、左カバー41の突起41aの移動量が変動して揺動ブラケット55の揺動角度が変動しても、ヒンジレバー52aに対するレバー部材57の押し込み量の変動を最小限に抑えることができ、マイクロスイッチ52へ過剰な負荷がかからず安定した動作が得られる。また、前カバー42の突起42aの移動量が変動して作動部材53の揺動角度が変動しレバー部材57の揺動角度が変動しても、ヒンジレバー52aに対する押し込み量はほぼ変動せず、マイクロスイッチ52へ過剰な負荷がかからず安定した動作が得られる。
また、本実施形態によれば、揺動ブラケット55、作動部材53及びマイクロスイッチ52が単一の構造体としての支持ブラケット51に設けられている。これにより、揺動ブラケット55、作動部材53及びマイクロスイッチ52の位置関係を規定する部品の寸法のばらつきの積み上がりを防ぎ、揺動ブラケット55と作動部材53とマイクロスイッチ52との間の相対的な位置関係を安定させることができる。また、揺動ブラケット55、作動部材53及びマイクロスイッチ52がそれぞれ別の構造体に設けられている構成に比べ、各部材が揺動したり回動したりしたときの位置のばらつきを抑えることが可能となる。
また、本実施形態によれば、上記構成のスイッチ作動装置を有するインターロック機構は、左カバー41の動きを揺動ブラケット55に伝える第1のリンク部材としての突起41aと、前カバー42の動きを作動部材53に伝える第2のリンク部材としての突起42aとを備える。このインターロック機構でマイクロスイッチ52をオン/オフ動作させる移動体は、筺体に設けられた開閉可能なカバー又はドアである。これにより、例えば、ユーザが開閉するカバー又はドアを有するプリンタなどの電子機器等において、カバー又はドアを開閉したときに電子機器等における電気的なスイッチを確実にオン/オフ動作させることができる。また、カバー又はドアの開閉時の動きにばらつきがあっても、スイッチの破損や変形のない安定したオン/オフ動作が可能になる。
また、本実施形態によれば、複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に上記構成のスイッチ作動装置を含むインターロック機構を備えることにより、ユーザが紙詰まりの処理や消耗品の交換をする際にカバーやドアを開放して作業する際に、画像形成装置における電気的なスイッチを確実にオフにすることができる。また、画像形成装置のカバー又はドアの開閉時の動きにばらつきがあっても、スイッチの破損や変形のない安定したオン/オフ動作が可能になる。
【符号の説明】
【0043】
30 画像形成部
41 左カバー
41a 突起
42 前カバー
42a 突起
50 スイッチ作動装置
51 保持ブラケット
52 マイクロスイッチ
52a ヒンジレバー
52b 作動子
53 作動部材
55 揺動ブラケット
55b 支軸
57 レバー部材
58 板バネ
59 レバー部材
60 スイッチ作動装置
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平5−165267号公報
【特許文献2】特開2008−37054公報
【特許文献3】特開2009−37997号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体の移動状態又は回転状態に応じてスイッチのオン又はオフの動作を行わせるためのスイッチ作動装置であって、
複数の移動体の一つである第1の移動体の移動又は回転により、当該スイッチ作動装置の本体に設けられた軸を中心として揺動又は回転可能に設けられた支持部材と、
上記支持部材の揺動又は回転する部分に設けられた支軸を支点として両端部が揺動するように支持され、該両端部の一方にあるスイッチ作動部がスイッチを動作させるように揺動可能なレバー部材と、を備え、
上記複数の移動体の一つである第1の移動体の移動又は回転により上記支持部材が揺動又は回転し、該複数の移動体の他の一つである第2の移動体の移動又は回転により該支持部材の支軸を支点として該レバー部材が揺動し、該第1の移動体の移動又は回転による該支持部材の揺動と該第2の移動体の移動又は回転による該レバー部材の揺動とがともにあった場合に該レバー部材のスイッチ作動部が該スイッチを動作させるように構成され、
上記レバー部材のスイッチ作動部は、カム形状を有していることを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項2】
請求項1のスイッチ作動装置において、
上記カム形状のスイッチ作動部は、上記スイッチに対向する面が円弧状に形成されていることを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項3】
請求項1又は2のスイッチ作動装置において、
上記レバー部材の支軸を間にして上記スイッチ作動部とは反対側にある被作動部を押圧するように、当該スイッチ作動装置の本体に設けられた軸を中心として揺動又は回転可能に設けられた作動部材を備え、
上記第2の移動体の移動又は回転により上記作動部材が揺動又は回転し上記レバー部材のスイッチ作動部が上記スイッチを動作させる向きに該レバー部材の被作動部を押圧するように構成されたことを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項4】
請求項3のスイッチ作動装置において、
上記作動部材の上記レバー部材の被作動部を押圧する端部は、カム形状を有していることを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項5】
請求項4のスイッチ作動装置において、
上記カム形状の端部は、上記レバー部材の被作動部に対向する面が円弧状に形成されていることを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかのスイッチ作動装置において、
上記レバー部材を上記スイッチから離間させる方向に付勢する付勢部材と、
上記作動部材を上記レバー部材から離間させる方向に付勢する付勢部材と、
を備えたことを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかのスイッチ作動装置において、
上記レバー部材のスイッチ作動部は、上記スイッチのレバー形状のアクチュエータの先端部を押圧することを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかのスイッチ作動装置において、
上記支持部材の揺動又は回転の軸中心と上記レバー部材の揺動の軸中心とを結ぶ仮想線と、上記スイッチのレバー形状のアクチュエータの長手方向とが略垂直であることを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかのスイッチ作動装置において、
上記レバー部材のスイッチ作動部によってオン又はオフするスイッチを備え、
上記支持部材及び上記スイッチは単一の構造体に設けられていることを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項10】
請求項3乃至6のいずれかのスイッチ作動装置において、
上記レバー部材のスイッチ作動部によってオン又はオフするスイッチを備え、
上記支持部材、上記作動部材及び上記スイッチは単一の構造体に設けられていることを特徴とするスイッチ作動装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかのスイッチ作動装置を用いることを特徴とするインターロック機構。
【請求項12】
請求項11のインターロック機構において、
上記移動体は、筺体に設けられた開閉可能なカバー又はドアであることを特徴とするインターロック機構。
【請求項13】
請求項11又は12のインターロック機構において、
上記第1の移動体の移動又は回転の動きを上記支持部材に伝える第1のリンク部材と、
上記第2の移動体の移動又は回転の動きを上記作動部材に伝える第2のリンク部材と、
を備えたことを特徴とするインターロック機構。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかのインターロック機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−181469(P2011−181469A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47358(P2010−47358)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】