説明

スイッチ切り替え装置

【課題】デザイン性や使い勝手を更に向上しつつ、人手による直接的なスイッチ操作(押動操作)が可能なスイッチ切り替え装置を提供すること。
【解決手段】円形穴1cの底面に連通穴1dを中心にして周方向に向かって鋸刃状に交互に連続する斜面1kと立面1mとを所要数形成した前ケース1と、連通穴1dに回り止め可能に且つ抜け止め可能に挿通すると共に、底面から出没する軸先端面に、斜面1kの麓部1pから立面1m側へ入り込むような斜面3dを備えた凹部3eを周方向に所要数形成した操作軸3と、押部4eを所要数突設し、操作軸3の押動により立面1mに沿って前進すると共に操作軸の押動の解除により斜面1kに沿って所要の回転角度回転しながら後退する移動子4とを備え、操作軸3の押動の度に、シーソー状に交互に突出するスイッチの被押圧部s6の突出側を押部4eで押動可能に、前ケース1と操作軸3と移動子4とを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチのオン・オフを切り替えるスイッチ切り替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のメイン電源スイッチ、建築構造物の照明スイッチ等は、安全性、信頼性、耐圧性(高電圧に対応)等を考慮して、シーソー状に交互に突出する被押圧部を備えたスイッチが多く採用されている。
【0003】
このスイッチをそのまま使用し、通信機能とスイッチの被押圧部を押下げる構造を備えたスイッチ切り替え制御装置をスイッチに取り付け、そのスイッチ切り替え制御装置が端末装置等から送信されたスイッチ切り替え指示を受信することで、既存の照明器具等を遠隔操作可能に構成したスイッチ遠隔御装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように既存のスイッチをそのまま使用し、スイッチのオン・オフの切り替えを遠隔操作可能に構成することは一つの態様として好適なものと思料するが、その一方で、スイッチをそのまま使用し、デザイン性や使い勝手を更に向上しつつ、人手による直接的なスイッチ操作が可能なスイッチ切り替え装置も望まれていた。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決するスイッチ切り替え装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかるスイッチ切り替え装置は、下記の技術的手段を講じた。
【0007】
請求項1にかかる発明は、穴の底面と該底面と反対側の表面とを連通する連通穴を設け、前記底面に、前記連通穴を中心にして周方向に向かって鋸刃状に交互に連続する斜面と立面とを所要数形成した案内部と、前記連通穴に回り止め可能に且つ抜け止め可能に挿通すると共に、前記底面から出没する軸先端面に、前記斜面の麓部から前記立面側へ入り込むような斜面を備えた凹部を周方向に所要数形成した操作軸と、前記穴の底面側へ弾性部材で弾発付勢されて前記操作軸の先端面と係合する芯杆に、前記案内部の前記斜面の頂部から該斜面に沿って回転しながら後退し前記立面で係止し、前記操作軸の押動により前記操作軸の斜面と前記立面とに支持されて前記立面に沿って前進し、前記操作軸の斜面と前記案内部の前記斜面とが隣接することで前記頂部に回転移動するリブを延設すると共に、前進方向に向かって延出した押部を所要数突設した回転及び進退可能な移動子とを備えてなり、前記操作軸の押動の度に、シーソー状に交互に突出するスイッチの被押圧部の突出側を前記押部で押動可能に、前記案内部と前記操作軸と前記移動子とが構成されてなるスイッチ切り替え装置を特徴とする。
【0008】
請求項2にかかる発明は、請求項1において、前記案内部の前記斜面の麓部の高さレベルが、一定の高いレベルと一定の低いレベルとの交互にして前記移動子の後退位置を可変可能に構成し、前記操作軸の押動の度に、前記案内部の前記表面から突出する前記操作軸の突出長を二段に変化可能に構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3にかかる発明は、請求項1または2において、前記弾性部材の固定端を係止すると共に外底面から前記押部が出没する後ケースを設け、前記案内部を前記後ケースと係合する前ケースとして、前記スイッチとは別に機器の取付部に対して着脱可能なブロック状に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作軸の押動の度に、シーソー状に交互に突出するスイッチの被押圧部の突出側を押部で押動可能にしたから、デザイン性や使い勝手を更に向上しつつ、人手による直接的なスイッチ操作(押動操作)が可能なスイッチ切り替え装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかるスイッチ切り替え装置の縦断面図である。
【図2】同分解図である。
【図3】同分解斜視図である。
【図4】移動子の進退を示した動作状態図である。
【図5】一連の動作を示した動作状態図である。
【図6】実施の形態2にかかる移動子の斜視図である。
【図7】同操作軸の斜視図である。
【図8】同前ケースの斜視図である。
【図9】実施の形態3にかかる移動子の斜視図である。
【図10】同操作軸の斜視図である。
【図11】同前ケースの斜視図である。
【図12】連結杆を介して移動子と操作軸とを接続させた状態の縦断面図である。
【図13】第1リブの進退を模式的に示した動作状態図である。
【図14】一連の動作を示した動作状態図である。
【図15】押部と被押圧部との関係を示した平面図である。
【図16】スイッチとスイッチ切り替え装置とを機枠に取り付けた状態の縦断面図である。
【図17】押釦の出没状態を示した斜視図である。
【図18】実施の形態4にかかる移動子の斜視図である。
【図19】押部と被押圧部との関係を示した平面図である。
【図20】一部切欠したスイッチの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかるスイッチ切り替え装置の実施の形態を説明する。
【0013】
先ず、本実施の形態にかかるスイッチ切り替え装置を説明する前に、図20を参照しながら、スイッチSの概略を説明する。
【0014】
スイッチSは、ケースs1の外底面と内側面とを連通するようにケースs1の外底面から垂設されたCOM端子s2及びNO端子s3と、ケースs1の内側面側のCOM端子s2の端部にNO端子s3の方向に揺動可能に軸支された可動片s4と、その可動片s4に一端が係止されたスプリングs5と、そのスプリングs5の他端が係止されCOM端子s2とNO端子s3との方向に揺動可能に設けられた波形状の被押圧部s6とを備える。
【0015】
このように構成されたスイッチSは、被押圧部s6の突出側を所定量押動することで、可動片s4がNO端子s3に傾斜し圧接することで導通し、または、可動片s4がNO端子s3から離間して非導通になるようになっている。この種のスイッチSは、周知の通り、突出した被押圧部s6を完全に押し切らなくても、押動の途中、スプリングs5の付勢によって被押圧部s6が切り替わるようになっている。本実施の形態では、この被押圧部s6の切り替わり位置を「切替えポイント」と呼称する。なお、このスイッチSは一例であり、端子の数や、揺動機構の異なる様々なタイプがある。
【0016】
以下、スイッチ切り替え装置の各実施の形態を説明する。
【0017】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかるスイッチ切り替え装置は、図1〜図3に示すように、前ケース1(案内部)と、後ケース2と、操作軸3と、移動子4と、圧縮スプリング5とを備える。
【0018】
前ケース1(案内部)は、円形穴1cの底面とその底面と反対側の表面とを連通する連通穴1dが設けられた筒部1aと、その筒部1aの中途部から天板1eが張り出し形成されると共にその天板1eの縁から軸方向へ仕切り壁1fが延出した略コ字状の枠部1bとを備える。上述した天板1eには、後述する後ケース2の係止部2bを挿嵌させる矩形穴状の被係止部1gが形成されている。
【0019】
上述した連通穴1dは、円形穴1cの底面から所要深さ円形状に座繰られた座繰り穴部1hと、その座繰り穴部1hの底面から上述した反対側の表面へ連通され、内周面に二面幅が形成されると共に、その二面幅以外の内周面部分が、座繰り穴部1hの径と同径の円弧で形成された略俵状の異形穴部1jとで構成される。
【0020】
また、円形穴1cの底面は、連通穴1dを中心にして、周方向に180度の間隔をおいて形成された所要角度の斜面1k及び立面1mとで鋸刃状に形成されると共に、斜面1kの麓部1pを入り口として穴内周面と連続した所要深さの縦溝1nが、立面1mと連続するように設けられている。斜面1k及び立面1mは、仕切り壁1fの中央に向かって縦溝1nが向くような位置関係で形成されている。本実施の形態では、この鋸刃状の部位を、前ケース1と一体形成させたものを例示したが、前ケース1に挿入して固着可能な別部材構成にしても良い。
【0021】
後ケース2は、枠部1bの底壁の外形と略同じ外形の矩形状の箱体で、その底面にスイッチSに被押圧部s6を押動する押部4e(後述する)を出没させる円形状の出没穴2aが設けられている。また、対向する一対の上縁部外側に返しが形成されると共に、その返しの両側に、所要深さのスリット溝が形成されて、弾性変形しながら被係止部1gに挿嵌可能な係止部2bが設けられている。このように構成された後ケース2は、係止部2bが被係止部1gに挿嵌されて前ケース1と一体化するように組み付けられている。
【0022】
操作軸3は、座繰り穴部1hの深さと略同じ長さで座繰り穴部1hに埋入可能な丸軸部3aと、その丸軸部3aと連続するように、且つ、前ケース1から突出するように所要長さに亘って形成され、前ケース1に形成された略俵状の異形穴部1jと対応するように丸軸部3aの径と同径の丸軸に二面幅を形成させたHカット部3bとを備えて構成され、連通穴1dに形成された二面幅の頂面に、丸軸部3aのHカット部3b側の底面が係止可能に、連通穴1dに挿通されている。
【0023】
このようにして、操作軸3は、操作軸3と連通穴1dとの互いの二面幅の係合により、連通穴1dに対して回り止め可能に、且つ、連通穴1dに形成された二面幅の頂面に、丸軸部3aのHカット部3b側の底面が係止して、外方へ抜け止め可能に連通穴1dに挿通されている。
【0024】
また、この操作軸3は、丸軸部3aの先端面の中心部に凹窩3cが形成されると共に、前ケース1の斜面1kの麓部1pから隣接する立面1m側へ入り込むような所要角度の斜面3dを備えた略V字状の凹部3eが、丸軸部3aの先端面の、Hカット部3bを形成する二面幅に対し径方向直交する方向に、凹窩3cを挟んで対向して形成されている。換言すれば、この凹部3eは、前ケース1の斜面1kの麓部1pから隣接する立面1m側へ入り込むような斜面3dが、前ケース1の縦溝1nに対応する部分に形成されており、実施の形態1では、凹窩3cを中心にして周方向に180度の間隔をおいて、一対、形成されている。また、斜面3dの傾斜角度は、斜面1kの頂部1rの傾斜角度と略同じになっている。
【0025】
移動子4は、操作軸3の丸軸部3aの先端面に形成された凹窩3cに摺動可能な先丸状の端部を設けた芯杆4aと、その芯杆4aの上部から張り出し形成され前ケース1の円形穴1cに摺動可能な円板部4bと、円板部4bの外周面と連続するように、且つ、先丸状の端部から外れるように、円板部4bと芯杆4aとから延設されると共に、芯杆4aを挟んで対向するように設けられた一対の第1リブ4c(本発明にかかるリブ)と、その一対の第1リブ4cと径方向に直交するように芯杆4aを挟んで設けられ、円板部4bの外周面と連続するように円板部4bと芯杆4aとから延設されると共に、一対の第1リブ4cより軸方向の丈を所要長さ短くした一対の第2リブ4dと、円板部4bを挟んで第1リブ4cと沿うように、芯杆4aと反対側となる円板部4bの表面から板状に突設され、所要長さの平坦状の頂部(被押圧部s6に当接して押動する実行部である)を形成した垂直三角形状の押部4eとを備える。
【0026】
また、上述した第1リブ4cは、図4(A)に示すように、縦溝1nより幅狭に形成され、その下面が斜面3dと同じ角度で傾斜状に形成されている。さらに、押部4eの幅方向の中心線上に縦溝1nが位置するような関係となるように、第1リブ4cを押部4eに対して周方向に僅かに偏心させて配設されている。
【0027】
このように構成された移動子4は、先丸状の端部が操作軸3の凹窩3cに当接可能に、且つ、第1リブ4cが、操作軸3の凹部3eと前ケース1の鋸刃状に形成された底面、縦溝1nに係合可能に、前ケース1の円形穴1cに摺動可能に挿入されている。
【0028】
圧縮スプリング5は、一端側が、後ケース2の底面の矩形状の内周面に沿うように矩形状に形成され、他端側が、押部4eを遊挿するように、且つ、円板部4bの表面側縁部に沿うように形成されたクローズドエンドの圧縮コイルバネであり、一端側が後ケース2の底面に着座され、他端側が円板部4bの表面側縁部に着座されて、移動子4を前ケース1の方向へ弾発付勢させている。
【0029】
以上のように構成された実施の形態1にかかるスイッチ切り替え装置は、機枠等に固定されたスイッチSの被押圧部s6に対して所要の間隔をおいて、後ケース2の出没穴2aを介して被押圧部s6の中心と移動子4の回転中心とが一致するように、且つ、被押圧部s6の長手方向に前ケース1の仕切り壁1fが位置するように(被押圧部s6の長手方向に縦溝1nが位置するように)配設する。なお、前ケース1から突出した操作軸3のHカット部3bに例えば所望形状の押し釦を取り付けても良い。
【0030】
そして、この実施の形態1にかかるスイッチ切り替え装置は、以下の一連の動作により、スイッチSを切り替える。なお、実施の形態1では、被押圧部s6がオフ側に切り替わっている状態から説明する。
【0031】
先ず、操作軸3を押動していないときは、図4(A)に示すように、丸軸部3aが座繰り穴部1hに入り込んで後退不可の状態の操作軸3の斜面3dと、前ケース1の底面を鋸刃状に形成する立面1m、及び、立面1mと連続した縦溝1nとが、第1リブ4cを支持し、前ケース1の底面を鋸刃状に形成する斜面1kが、第2リブ4dを支持して、移動子4の押部4eが後退した待機状態を維持している。
【0032】
この状態(図5(A))から操作軸3を押動することで、移動子4は、第1リブ4cが立面1mに沿って押し上がり、押部4eが出没穴2aから突出(前進)して、スイッチSの突出側の被押圧部s6を押動する。第1リブ4cが立面1mの案内から脱する直前になると、被押圧部s6は「切替えポイント」に達してオン側に切り替わる(図5(B))。
【0033】
この切り替わりは、被押圧部s6を直に指で押動したように押し込み力の反力が一気に軽くなるためユーザは感触で認識できる。また、上述したように、第1リブ4cが立面1mから脱する直前に被押圧部s6がオン側に切り替わるが、「切替えポイント」に達した時点で、ユーザが故意に押動を中止しない限り、被押圧部s6の切り替わりを指の感触で認識してから僅かな時間だけ操作軸3を押動する。この押動により第1リブ4cが立面1mから脱する。
【0034】
第1リブ4cが立面1mの案内から脱すると、操作軸3の斜面3dが前ケース1の斜面1kの麓部1pから隣接する立面1m側へ入り込むような斜面3dになっていることから、圧縮スプリング5で前ケース1の方向へ弾発付勢された移動子4は、操作軸3の斜面3dの最深部に向かって第1リブ4cが滑り落ちるように移動(後退)することで回転し、その斜面3dを有して形成された略V字状の凹部3eにより停止する(図4(B))。これにより、第1リブ4cは、前ケース1の斜面1kの頂部1rへ乗り移り可能な状態となる。この状態になる時の操作軸3の押し込み量を「規制解除ポイント」と呼称する。
【0035】
上述した切替えポイントよりわずかに操作軸3を押し込んだところに、この規制解除ポイントがある。切替えポイントに達すると被押圧部s6が自動で切替わるため、ユーザが押し込みに使っていた押し込み力の反力が一気に軽くなるため勢いがつき、一気に規制解除ポイントに達する。
【0036】
なお、操作軸3とは別の移動子4がケース内で回転するため、ユーザは、操作上の違和感がない。
【0037】
ユーザは、被押圧部s6の切り替わりを指の感触で認識してから、操作軸3から指を離し押動を解除する。
【0038】
移動子4は、第1リブ4cが操作軸3を押し戻しながら前ケース1の斜面1kの頂部1rへ乗り移り、前ケースの斜面1kを第1リブ4cが滑り落ちるように180度回転しながら後退する。これにより、押部4eが、被押圧部s6の突出側と対向するように180度回転し、上述したような操作軸3の押動前の状態に戻る(図5(C))。
【0039】
そして、上述したように操作軸3を押動することで、押部4eが、被押圧部s6をオフ側に切り替える(図5(D))。
【0040】
このように、実施の形態1にかかるスイッチ切り替え装置は、操作軸3の押動の度に、シーソー状に交互に突出するスイッチSの被押圧部s6の突出側を押部4eで押動可能にしたから、デザイン性や使い勝手を更に向上しつつ、人手による直接的なスイッチ操作(押動操作)が可能なスイッチ切り替え装置になっている。
【0041】
なお、ユーザが、仮に、切替えポイント以上、規制解除ポイント以前で操作軸3の押動を止めた場合、移動子4と操作軸3は押動直前の状態に戻ってしまうが、再度、操作軸3を押し込むことで、破損することなく、押部4eで被押圧部s6を押動可能な状態に復帰できるため、ユーザの危険や機器の破損などの可能性を払拭できる。
【0042】
(実施の形態2)
実施の形態1では、操作軸3の押動解除で、1つの押部4eが180度回転するものを例示したが、実施の形態2では、操作軸7の押動解除で、3つの押部6cが共に60度ずつ回転することで、操作軸7の押動の度に、シーソー状に交互に突出するスイッチSの被押圧部s6の突出側を押部6cで押動可能に構成したものを例示している。なお、実施の形態1と実質的に同じ構成部の説明は省略する。
【0043】
すなわち、実施の形態2にかかるスイッチ切り替え装置は、実施の形態1に対し、一部形状を異ならせた、移動子6と、操作軸7と、前ケース8とを備えて構成される。
【0044】
移動子6は、図6に示すように、円板部6bを挟んで両側に芯杆6aが突設され、周方向に120度の間隔をおいて、その芯杆6aと円板部6bから凸状の押部6cが円板部6bの一方側に延設されると共に、円板部6bの他方側の、押部6cの配設位置に対応した位置に、第1リブ6dが周方向に120度の間隔をおいて設けられている。
【0045】
操作軸7は、図7に示すように、丸軸部7aの先端面の、Hカット部7bを形成する二面幅に対し径方向直交する方向に、凹窩7cを挟んで一対の凹部7dが形成される位置関係でもって、斜面7eを備えた凹部7dが、周方向に60度の間隔をおいて設けられている。斜面7e及び凹部7d自体は実施の形態1で例示したものと同じである。
【0046】
前ケース8は、図8に示すように、その円形穴8aの底面に、連通穴8bを中心にして、周方向に60度の間隔をおいて形成された所要角度(実施の形態1と同じ角度)の斜面8c及び立面8dとで鋸刃状に形成されると共に、斜面8cの麓部8eを入り口として穴内周面と連続した所要深さの縦溝8fが、立面8dと連続するように設けられている。斜面8c及び立面8dは、6つの縦溝8fのうち、一対の縦溝8fが仕切り壁8gの中央に向かって向くような位置関係で形成されている。
【0047】
このように構成された実施の形態2にかかるスイッチ切り替え装置は、図15に示すように、操作軸7の押動解除の度に、3つの押部6cが60度ずつ回転し、その3つの押部6cのうち、1つの押部6cがスイッチSの被押圧部s6の突出側に位置し、残りの2つの押部6cに対応した第1リブ6dは、没した側の被押圧部s6を挟んで±60度の位置の縦溝8fに位置する。このように実施の形態2にかかるスイッチ切り替え装置は、操作軸7の押動の度に、シーソー状に交互に突出するスイッチSの被押圧部s6の突出側を押部6cで押動可能になっている。
【0048】
実施の形態2にかかるスイッチ切り替え装置によれば、前ケース8に形成する斜面8cの角度が実施の形態1の角度と同じにし、1つの斜面8cの周方向の長さが実施の形態1に対し1/3の長さ、操作軸7の押し込み量が1/3となるから、当該装置の押し込み方向長さを小型化することができ、操作性の向上、スイッチSの配置の自由度を向上させることができる。なお、6つの押部が共に30度ずつ回転するような構成にしても良い。
【0049】
(実施の形態3)
実施の形態1及び2では、操作軸3、7の非押動時における操作軸3、7の突出長は常に同じものを例示したが、実施の形態3にかかるスイッチ切り替え装置は、操作軸の押動の度に、長短交互に、二段に変化可能に構成したものを例示している。なお、実施の形態1及び2と実質的に同じ構成部の説明は省略する。
【0050】
すなわち、実施の形態3にかかるスイッチ切り替え装置は、移動子9と、操作軸10と、連結杆11と、前ケース12とを備えて構成される。
【0051】
移動子9は、図9及び図12に示すように、円板部9bを挟んで両側に芯杆9aが突設され、周方向に120度の間隔をおいて、その芯杆9aと円板部9bから凸状の押部9cが円板部9bの一方側に延設されると共に、円板部9bの他方側の、押部9cと対応した位置に、第1リブ9dが周方向に120度の間隔をおいて設けられている。また、芯杆9aの、第1リブ9d側の端部が先丸状に形成され、押部9c側の端部が平坦状に形成されると共に、その両端を連通する連通孔9eが設けられている。
【0052】
操作軸10は、図10及び図12に示すように、丸軸部10aの先端面の、Hカット部10bを形成する二面幅に対し径方向直交する方向に、凹窩10cを挟んで一対の凹部10dが形成される位置関係でもって、斜面10eを備えた凹部10dが、周方向に60度の間隔をおいて設けられている。斜面10e及び凹部10d自体は実施の形態1で例示したものと同じである。また、この操作軸10は、図10及び図12に示すように、凹窩10cの底部を開口した筒状に形成されると共に、筒内中途部に内方に延出した係止壁10fが形成されている。
【0053】
連結杆11は、軸方向に弾性変形可能な軸状部材であり、図12に示すように、一端側にスナップフィット11aが設けられ、他端側に鍔部11bが設けられている。このように構成された連結杆11は、移動子9の先丸状の端部を操作軸10の凹窩10cに当接させた状態で、スナップフィット11a側を先頭にして連通孔9eの押部9c側から挿入され、スナップフィット11aが係止壁10fに係止されると同時に、鍔部11bが連通孔9eの押部9c側の縁部に当接されて、操作軸10に対して移動子9を回動可能に接続させて、操作軸10の、軸方向への移動を制限させている。
【0054】
前ケース12は、図11に示すように、その円形穴12aの底面に、連通穴12bを中心にして、周方向に60度の間隔をおいて形成された所要角度の斜面12c及び立面12dとで鋸刃状に形成されると共に、斜面12cの麓部12eを入り口として穴内周面と連続した所要深さの縦溝12fが、周方向に120度の間隔をおいて、立面12dと連続するように設けられている。斜面12c及び立面12dは、3つの縦溝12fのうち、1つの縦溝12fが仕切り壁12gの中央に向かって向くような位置関係で形成されている。つまり、斜面12cの麓部12eには、ひとつ飛びで縦溝12fが形成されており、麓部12eの高さレベルが一定の高いレベルと一定の低いレベルの交互になっている。
【0055】
このように構成された実施の形態3にかかるスイッチ切り替え装置は、実施の形態2と同様に、操作軸10の押動解除の度に、3つの押部9cが60度ずつ回転し、その3つの押部9cのうち、1つの押部9cがスイッチSの被押圧部s6の突出側に位置し、残りの2つの押部9cに対応した第1リブ9dは、没した側の被押圧部s6を挟んで±60度の位置に位置する(図15)。
【0056】
順を追って説明すると、先ず、図13(A)に示すように、3つの第1リブ9dが3つの縦溝12f内に入り込んで停止し、操作軸10の突出長が長い状態を維持する。次いで、図13(B)に示すように、操作軸10の押動により縦溝12fに隣接する斜面12cの頂部12hに乗り移り可能な状態となる。次いで、図13(C)に示すように、3つの第1リブ9dが斜面12cの麓部12eまで回転しながら後退して停止し、操作軸10の突出長が短い状態を維持する。このように、連結杆11を介して移動子9と連結した操作軸10の突出長が、操作軸10の押動解除の度に二段に変化する。
【0057】
そして、この実施の形態3にかかるスイッチ切り替え装置は、図14(A)、(B)に示すように、突出長の長い状態の操作軸10を押動することで、押部9cが、被押圧部s6を切り替える場合と、図14(C)、(D)に示すように、突出長の短い状態の操作軸10を押動することで、押部9cが、被押圧部s6を切り替える場合の二通りとなる。したがって、スイッチSの向き、または、スイッチ切り替え装置の向きを所望した向きにセットすることで、操作軸10の突出長が長い状態のときをスイッチオンまたはスイッチオフとし、操作軸10の突出長が短い状態のときをスイッチオフまたはスイッチオンとすることが可能になっている。
【0058】
この実施の形態3にかかるスイッチ切り替え装置によれば、操作軸10の突出長の状態でスイッチオフまたはスイッチオンが判別可能なことから、健常なユーザはもとより、視覚障害があるユーザに対しても操作性を向上できる。しかも、操作軸10の突出長が長い状態のときをスイッチオンまたはスイッチオフとし、操作軸10の突出長が短い状態のときをスイッチオフまたはスイッチオンとすることが可能になっていることから、ユーザの好みに合わせることができ、よりユーザの選択自由度が向上する。
【0059】
実施の形態3にかかるスイッチ切り替え装置とスイッチSの取り付け例を、図16及び図17に示す。操作軸10のHカット部10bに矩形状の押し釦13を取り付け、前ケース12の仕切り壁12gから取り付け部12jを延設し、スイッチSを取り付けた機枠mに、取り付け面12jを介して螺着する。スイッチSは、機枠mに対して上下(または左右)逆向きに取付可能になっていることから、上述した効果を奏する。
【0060】
(実施の形態4)
実施の形態1〜3は、機枠等に固定されたスイッチSの被押圧部s6に対して所要の間隔をおいて、後ケースの出没穴を介して被押圧部s6の中心と移動子の回転中心とが一致するように、且つ、被押圧部s6の長手方向に前ケースの仕切り壁が位置するように(被押圧部s6の長手方向に縦溝が位置するように)配設するものを例示したが、実施の形態4にかかるスイッチ切り替え装置は、被押圧部s6の平面視、その被押圧部s6の揺動方向と直交する方向の中心線上に、移動子の回転中心が位置するように配設したものを例示している。
【0061】
すなわち、実施の形態4にかかるスイッチ切り替え装置は、実施の形態1に対し、一部形状を異ならせた、移動子14と、操作軸と、前ケースとを備えて構成される。なお、実施の形態1と同様のため、移動子14のみ図示し、操作軸と、前ケースの図示を省略する。
【0062】
移動子14は、図18に示すように、円板部14aを挟んで両側に芯杆14bが突設され、周方向に180度の間隔をおいて、その芯杆14bと円板部14aから凸状の押部14cが円板部14aの一方側に延設されると共に、円板部14aの他方側の、押部14cの配設位置に対応した位置に、第1リブ14dが周方向に180度の間隔をおいて設けられている。
【0063】
操作軸は、丸軸部の先端面の、Hカット部を形成する二面幅に対し周方向に45度傾いた位置を起点として、斜面を備えた凹部が、周方向に90度の間隔をおいて設けられている。斜面及び凹部自体は実施の形態1で例示したものと同じである。
【0064】
前ケース16は、その円形穴の底面に、連通穴を中心にして、且つ、仕切り壁の中央から周方向に向かって45度傾いた位置を起点として、周方向に90度の間隔をおいて形成された所要角度の斜面及び立面とで鋸刃状に形成されると共に、斜面の麓部を入り口として穴内周面と連続した所要深さの縦溝が、立面と連続するように設けられている。
【0065】
このように構成された実施の形態4にかかるスイッチ切り替え装置は、被押圧部s6の平面視、その被押圧部s6の揺動方向と直交する方向の中心線上に、移動子14の回転中心が位置するように配設し、操作軸の押動解除の度に、図19(A)、(B)に示すように、2つの押部14cが90度ずつ回転することで、シーソー状に交互に突出するスイッチSの被押圧部s6の突出側を押部14cで押動可能になっている。
【0066】
この実施の形態4にかかるスイッチ切り替え装置によれば、スイッチSの配置の自由度を向上させることができる。
【0067】
以上、本実施の形態にかかるスイッチ切り替え装置を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1‥前ケース 1c‥円形穴 1d‥連通穴 1k‥斜面 1m‥立面 1n‥縦溝 1p‥麓部 1r‥頂部 2‥後ケース 2a‥出没穴 2b‥係止部 3‥操作軸 3d‥斜面 3e‥凹部 4‥移動子 4a‥芯杆 4c‥第1リブ 4e‥押部 5‥圧縮スプリング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2006−73220号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴の底面と該底面と反対側の表面とを連通する連通穴を設け、前記底面に、前記連通穴を中心にして周方向に向かって鋸刃状に交互に連続する斜面と立面とを所要数形成した案内部と、
前記連通穴に回り止め可能に且つ抜け止め可能に挿通すると共に、前記底面から出没する軸先端面に、前記斜面の麓部から前記立面側へ入り込むような斜面を備えた凹部を周方向に所要数形成した操作軸と、
前記穴の底面側へ弾性部材で弾発付勢されて前記操作軸の先端面と係合する芯杆に、前記案内部の前記斜面の頂部から該斜面に沿って回転しながら後退し前記立面で係止し、前記操作軸の押動により前記操作軸の斜面と前記立面とに支持されて前記立面に沿って前進し、前記操作軸の斜面と前記案内部の前記斜面とが隣接することで前記頂部に回転移動するリブを延設すると共に、前進方向に向かって延出した押部を所要数突設した回転及び進退可能な移動子とを備えてなり、
前記操作軸の押動の度に、シーソー状に交互に突出するスイッチの被押圧部の突出側を前記押部で押動可能に、前記案内部と前記操作軸と前記移動子とが構成されてなることを特徴とするスイッチ切り替え装置。
【請求項2】
前記案内部の前記斜面の麓部の高さレベルが、一定の高いレベルと一定の低いレベルとの交互にして前記移動子の後退位置を可変可能に構成し、前記操作軸の押動の度に、前記案内部の前記表面から突出する前記操作軸の突出長を二段に変化可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ切り替え装置。
【請求項3】
前記弾性部材の固定端を係止すると共に外底面から前記押部が出没する後ケースを設け、前記案内部を前記後ケースと係合する前ケースとして、前記スイッチとは別に機器の取付部に対して着脱可能なブロック状に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ切り替え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−8943(P2011−8943A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148599(P2009−148599)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】