説明

スイッチ装置、および操作装置

【課題】操作性を悪化することなく異物の侵入による故障を抑制できるスイッチ装置および操作装置を提供することにある。
【解決手段】操作装置に備えられるスイッチ装置SWは、厚み方向一面側が開口したケース1と、ケース1の厚み方向一面側に移動自在に取り付けられた操作部2と、ケース1に収納され操作部2の変位を検出する検出ブロックBKとを備え、検出ブロックBKは、操作部2の変位に応じて移動する作動子3と、検出コイルを有した検出部4と、被検出部5と、信号処理部6とを有し、ケース1には、検出部4および信号処理部6を収納する電子部品収納室8fがケース1の厚み方向他面側に形成されるようにケース1内を厚み方向に仕切る隔壁部8dが形成され、隔壁部8dには、作動子3が移動自在に挿通される軸孔8kが形成されるとともに、作動子3の外周面と軸孔8kの内周面との隙間を覆い異物の侵入を防止する被覆部12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の変位を検出するスイッチ装置、および操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人が手で持つ把持部(例えば、操作レバーや操作ノブ)を有し、把持部の操作内容(例えば操作レバーを傾けた方向や、その傾きの大きさ)に応じた電気信号を出力する操作装置(一例としてはジョイスティック装置)が提供されている。この種の操作装置は、例えば、油圧ショベルやクレーンなどの建設機械を操作するために用いられ、油圧ショベルの場合は、操作装置によって、バケットの掘削/開放や、アームの曲げ/伸ばし、ブームの上げ/下げなどが行われる。
【0003】
ところで、上記のような油圧ショベルでは、アタッチメントとして、バケットの代わりに、圧砕機(クラッシャ)や、グラップル、リフティングマグネット、カッタなどを利用することができるようになっている。
【0004】
このようなアタッチメントは、その種類によって、アタッチメント用のアクチュエータ(例えば油圧シリンダやモータ)の数が異なっており、機構が複雑なものでは、把持部による操作だけでは操作することができない。
【0005】
そこで、把持部の先端部に、人が指で操作するスイッチ装置を設けた操作装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
上記特許文献1におけるスイッチ装置は、人が操作していないときは中立位置に位置し、人の操作によって中立位置から移動される操作部と、操作部とともに変位する磁石(永久磁石)と、磁石の変位によって生じた磁界の強度変化を検出する磁気センサ(例えば、磁気抵抗素子やホール素子など)とを備えている。このスイッチ装置は、磁石の変位(すなわち操作部の変位)を検出し、その変位に比例した電気信号を出力する、所謂比例制御スイッチである。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のような磁気センサを利用したスイッチ装置では、磁気センサが外部磁場や、把持部の操作時の振動の影響を受け易く、外部磁場などを操作部の変位として誤検出するおそれがあり、操作部の変位の検出精度が悪いという問題があった。
【0008】
かかる問題に鑑み、本発明者らは、磁気センサの変わりに検出コイルを利用したスイッチ装置に想到するに至った。
【0009】
このスイッチ装置は、厚み方向一面側が開口されたケースと、当該ケースの一面開口内においてケースに対して移動自在に取り付けられた操作部と、ケースに収納され操作部のケースに対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックとを備えている。ここで、検出ブロックは、操作部の変位に応じて移動する作動子と、検出コイルを有した検出部と、作動子に取り付けられ作動子の移動に伴って検出コイルとの距離が変化する被検出部と、検出コイルに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部の変位を示す電気信号に変換する信号処理部とを有している。
【特許文献1】特開2002−358133号公報(特に段落〔0033〕および図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記スイッチ装置は、上述したように、油圧ショベルやクレーンなどの建設機械を操作するために用いられる操作装置の把持部に取り付けられる。このような建設機器は屋外で使用される。そのため、ケースと操作部との隙間よりケース内に水や埃などの異物が入り込んでしまうおそれがあり、このことがスイッチ装置の故障の一因となっていた。例えば、ケースの厚み方向一面側の開口から水が浸入した際には、ケースの内部に収納されている信号処理部が水によってショートしたり漏電したりして、破壊されてしまう。
【0011】
かかる問題を解決する方法としては、スイッチ装置のケースおよび操作部を覆うように、防水性のカバーをかけることが考えられるが、このようなカバーをかけると、当然ながら、操作部を操作する際にカバーも一緒に変形することとなり、操作性が悪くなってしまう。
【0012】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたもので、操作性を悪化することなく異物の侵入による故障を抑制できるスイッチ装置、および操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明では、厚み方向一面側が開口したケースと、当該ケースの厚み方向一面側においてケースに対して移動自在に取り付けられた操作部と、ケースに収納され操作部のケースに対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックとを備え、検出ブロックは、操作部の変位に応じて移動する作動子と、検出コイルを有した検出部と、作動子に取り付けられ作動子の移動に伴って検出コイルとの距離が変化する被検出部と、検出コイルに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部の変位を示す電気信号に変換する信号処理部とを有し、ケースには、少なくとも検出部および信号処理部を収納する電子部品収納室がケースの厚み方向他面側に形成されるようにケース内を厚み方向で仕切る隔壁部が形成され、隔壁部には、作動子が移動自在に挿通される軸孔が形成されるとともに、作動子の外周面と軸孔の内周面との隙間を覆い異物の侵入を防止する被覆部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明によれば、ケースの内部を隔壁部で厚み方向に仕切ることで、ケースの厚み方向他面側に電子部品収納室を形成して、この電子部品収納室に、電子部品である検出部および信号処理部を収納しているので、ケースの厚み方向一面側の開口よりケースの内部に侵入した異物は隔壁部に阻まれて電子部品収納室に侵入することができず、また、隔壁部の軸孔の内周面と作動子の外周面との隙間は、被覆部によって覆われているから、軸孔からも電子部品収納室に侵入することができないから、異物の侵入による故障を抑制でき、この場合、ケースおよび操作部を覆うカバーが必要ないから、操作性が悪化することがない。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記ケースの隔壁部には、上記ケースの内部に侵入した異物を排出する排出孔が形成され、上記ケースは、排出孔をケース外部に連通させる配管部を有していることを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明によれば、ケースの内部に侵入した異物を排出孔から配管部の内側を通じてケースの外部に排出できるから、ケースの内部に異物が溜まってしまうことを抑制できる。
【0017】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、上記ケースは厚み方向他端側が操作装置に埋め込まれた形で取り付けられるものであって、上記操作部は、上記ケースの幅方向に沿った方向を揺動軸方向として上記ケースに揺動自在に取り付けられ、上記ケースの幅方向両側面それぞれには、上記操作部の揺動軸を受ける軸受孔が上記ケースの内外を連通する形に形成され、上記ケースの外側面における上記軸受孔よりも厚み方向他端側に、上記ケースにおいて操作装置に埋め込まれる部位を規定する鍔部が突設されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明によれば、ケースを操作装置に取り付けた際に、軸受孔が操作装置の内部に位置しないから、ケースの内部に侵入した異物が軸受孔を通って操作装置の内部に侵入してしまうことを抑制でき、しかも軸受孔を異物をケースの外部に排出する排出孔として利用できるから、ケースの内部に異物が溜まってしまうことを抑制できる。
【0019】
請求項4の発明では、人が手で持つ把持部を有し、把持部の操作内容に応じた電気信号を出力する操作装置であって、把持部には、請求項1記載のスイッチ装置が、上記ケースの厚み方向一面側を鉛直下方向側に向けた状態で取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明によれば、ケースの厚み方向一面側が鉛直下方向側を向いているから、ケースの開口から内部に異物が侵入し難くなり、また、ケースの内部に異物が溜まってしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたもので、操作性を悪化することなく異物の侵入による故障を抑制できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
本実施形態のスイッチ装置SWは、図1に示すように、厚み方向一面側(図1における上面側)が開口したケース1と、当該ケース1の厚み方向一面側においてケース1に対して移動自在に取り付けられた操作部2と、ケース1に収納され操作部2のケース1に対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックBKとを備えている。
【0023】
検出ブロックBKは、操作部2の変位に応じて所定方向に移動する作動子3と、検出コイルL(図4参照)を有する検出部4と、作動子3に取り付けられ作動子3の移動に伴って検出コイルLとの距離が変化する被検出部5と、検出コイルLに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部2の変位を示す電気信号に変換する信号処理部6と、金属板より形成され信号処理部6に接続された複数(図示例では3つ)の端子部7とを備えている。なお、図1,2,6(a)では検出コイルLを省略している。
【0024】
作動子3は、絶縁性を有する樹脂材料により円柱状に形成されており、小径部3aと、小径部3aにおける操作部2側の端部(図1における上端部)に形成された大径部3bとを一体に備えている。大径部3bは、小径部3aと中心軸が一致する形に形成されており、その外周面には、溝部3cが大径部3bの外周面を一周する形に形成されている。
【0025】
検出部4は、円筒状のコイルボビン4aと、当該コイルボビン4aに巻回された検出コイルLとを有している。ここで、コイルボビン4aは、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であって、検出コイルLが巻回される巻胴部4bと、巻胴部4bの軸方向一端側(図1における上端側)に形成された第1の鍔部4cと、巻胴部4bの軸方向他端側(図1における下端側)に形成された第2の鍔部4dとを一体に備えている。コイルボビン4aの内径は、作動子3の小径部3aの外径以上、大径部3bの外径未満に設定されている。また、第1の鍔部4cには、検出部4をケース1に取り付けるための取付孔4eが形成されている。第2の鍔部4dは、巻胴部4bの軸方向他端側の端部を軸方向他端側に突出させる形で巻胴部4bに形成されている。
【0026】
被検出部5は、例えば、フェライトなどの磁性材料や金属材料により形成された円柱状のコアからなり、その中心軸を小径部3aの中心軸に一致させる形で小径部3aにインサートされることで、作動子3に取り付けられている。
【0027】
ここで、作動子3の小径部3aの外面には、作動子3の中心軸方向を長手方向とする溝からなる流路部3dが形成されている。この流路部3dは、小径部3aをコイルボビン4aの内側に差し入れた際に、コイルボビン4aの軸方向一端側の空間部(図1における下側の空間部)と、軸方向他端側の空間部(図1における上側の空間部)とを連通させることで、空気の圧力が偏らないようにし、作動子3がコイルボビン4a内をスムーズに移動できるようにするためのものである。
【0028】
信号処理部6は、電子部品(図示せず)が実装された矩形板状のプリント基板6aにより構成されており、図4に示すように、駆動回路Aと、信号処理回路Bとを有している。プリント基板6aには、巻胴部4bの軸方向他端側の端部と凹凸嵌合する嵌合孔6bと、各端子部7用の挿通孔(図示せず)とが厚み方向に貫設されている。
【0029】
駆動回路Aは、検出コイルLに所定の周波数及び振幅の電流(つまり検出コイルLのインピーダンスに依存しない定電流)を出力する電流回路であり、所定の振幅の直流電圧に所定の周波数及び振幅の交流電圧を重畳した電圧を発生する発振回路A1と、発振回路A1が出力する電圧を電流に変換するV−I回路(電圧−電流変換回路)A2とから構成されている。
【0030】
信号処理回路Bは、駆動回路Aが出力する電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる検出コイルLの両端電圧(検出信号)のピーク値V1に応じて、被検出部5と検出コイルLとの位置情報、すなわち、操作部2の変位を示す出力信号Voutを出力する。この信号処理回路Bは、ピークホールド回路B1と、AD変換回路B2と、レベルシフト部B3a、温度補償部B3b、及び増幅部B3cを有するデジタル演算ブロックB3とから構成されている。ピークホールド回路B1では、検出コイルLの両端電圧のピーク値V1を抽出し、AD変換回路B2では、ピーク値V1をデジタル信号DV1に変換するようになっている。そして、デジタル演算ブロックB3では、デジタル信号演算としてレベルシフト部B3aで所定のデジタル量を加算してレベルシフトを行ったデジタル信号DV2を出力し、温度補償部B3bでは、温度補償を実行する演算をデジタル信号DV2に対して行い、増幅部B3cでは、温度補償部B3bが出力するデジタル信号を増幅して、デジタル信号の出力信号Voutを出力するようになっている。
【0031】
端子部7は、板状の金属材料により長尺上に形成されている。この端子部7は、一端部(図1における上端部)をプリント基板6aの挿通孔に挿通させた状態で半田付けすることによってプリント基板6aに接続、固定される。そして、この端子部7に外部回路の電線(リード線など)を半田付けなどにより接続することによって、信号処理部6と外部回路とが電気的に接続され、スイッチ装置SWの信号処理部6への給電や、信号処理部6の出力信号Voutを外部回路に送出することが可能となる。
【0032】
ケース1は、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であるボディ8およびカバー9により構成されている。
【0033】
ボディ8は、矩形箱状に形成されており、その厚み方向一面側(図1における上面側)および厚み方向他面側(図1における下面側)それぞれが開口されている。ボディ8の幅方向(図1において紙面に垂直な方向)における両側面それぞれには、図2に示すように、操作部2の揺動軸(ハンドル軸)となる軸部10を受ける軸受孔8aが厚み方向一面側の中央部に位置するとともに、ボディ8の内外を連通(ケース1の内外を連通)する形に形成されている。これら軸受孔8aは中心軸が一致している。また、ボディ8の外周面の厚み方向一面側には、側方に突出する鍔部8bがボディ8の外周面を一周する形に形成されている。この鍔部8bは、ケース1において後述する操作装置に埋め込まれる部位を規定するものである。つまリ、ケース1において鍔部8bよりも厚み方向他面側の部位が操作装置の把持部100に埋め込まれることになる。また、ボディ8の長さ方向両側面それぞれには、上述したような操作装置の把持部にボディ8を取り付けるために用いられる取付片8cが一体に突設されている。
【0034】
ボディ8の内部には、ボディ8の内部を厚み方向一面側(図1における上面側)と他面側(図1における下面側)とに2分する隔壁部(仕切部)8dが形成されており、ボディ8の内部における隔壁部8dより厚み方向一面側の空間部は、操作部2が配置される操作部収納室8eとして、隔壁部8dより厚み方向他面側の空間部は、主として検出部4および信号処理部6を収納する電子部品収納室8fとして用いられる。つまりケース1には、検出部4および信号処理部6を収納する電子部品収納室8fがケース1の厚み方向他面側に形成されるようにケース1内を厚み方向で仕切る隔壁部8dが形成されている。
【0035】
電子部品収納室8fの内周面には、プリント基板6aの厚み方向一面(図1における上面)に当接するリブ8gが周設されている。つまり、プリント基板6aは、厚み方向一面がリブ8gに当接された状態で、電子部品収納室8fに収納される。
【0036】
隔壁部8dにおける厚み方向一面側(図1における上面側)には、一対の円形状の凹所8hが形成されている。一対の凹所8hは、図3に示すように、隔壁部8dの長さ方向(ケース1の長さ方向)において離間するとともに、当該長さ方向に沿った方向において、それぞれの中心が一直線上に位置しない(重ならない)形にずらして配置されている。また、各凹所8hの底面部には、円筒状の第1の周壁部8iと、第1の周壁部8iの外径よりも大きい内径を有する円筒状の第2の周壁部8jとが凹所8hと中心軸を一致させた形で突設されている。第1の周壁部8iの内径は、作動子3の大径部3bの外径よりも大きく設定されている。なお、図3では、作動子3および後述する被覆部12を省略している。
【0037】
ところで、本実施形態のスイッチ装置SWでは、片方の凹所8hの底面部にのみ、作動子3用の軸孔8kを形成している。軸孔8kは、第1の周壁部8iで囲まれた底面部の中央に、その中心軸を凹所8hの中心軸と一致させる形で形成されており、その内径は、作動子3の小径部3aの外径以上、作動子3の大径部3bの外径未満の大きさに設定されている。作動子3は、小径部3aを軸孔8kに挿通した状態で、ケース1に取り付けられる。ここで、作動子3の小径部3aを軸孔8kに挿通させる際には、作動子3の小径部3aに、作動子3を操作部2側に付勢することで作動子3を復帰させる作動子ばね11が被嵌される。作動子ばね11としてはコイルスプリング(コイルばね)を用いている。この作動子ばね11は、軸方向一端部(図1における上端部)が大径部3bにおける軸方向他端面(図1における下面)に当接され、軸方向他端部(図1における下端部)が軸孔8kの周縁部における軸方向一端側(図1における上端側)に当接される。また、作動子ばね11の自然長は、操作部2の位置(回動位置)によらずに、作動子3が操作部2に当接するような長さに設定している。
【0038】
隔壁部8dにおける厚み方向一面側には、一対の支持リブ8lが突設されている。支持リブ8lは、図3に示すように、ケース1の幅方向において一方の凹所8hに隣接するとともに、ケース1の長さ方向において他方の凹所8hと重なる形に配置されている(つまり、一対の凹所8h同士を結ぶ直線と、一対の支持リブ8l同士を結ぶ直線とが交差している)。一対の支持リブ8lそれぞれには、操作部2をケース1に取り付けた際に、後述する復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれが当接される。
【0039】
一方、隔壁部8dにおける厚み方向他面側には、検出部4の第1の鍔部4cの取付孔4eに挿通される取付リブ8mが一対の凹所8hそれぞれに対応する形に突設されている。
【0040】
ところで、隔壁部8dには、作動子3が挿通される軸孔8kが形成されているため、操作部収納室8eと、電子部品収納室8fとは、軸孔8kにより連通している。ここで、操作部収納室8eは被水環境下に置かれるため、操作部収納室8e内に水や埃などの異物が入り込んだ場合には、これら異物が軸孔8kを通じて電子部品収納室8f内に入り込むおそれがある。そのため、ケース1には、操作部収納室8eから電子部品収納室8fへの異物の侵入を防止するための前述の被覆部12を設けている。
【0041】
被覆部12は、防水性および可撓性を有する樹脂材料(一例としてはゴム)などにより形成され、第1の円筒部12aと、第1の円筒部12aより外径が小さい第2の円筒部12bと、第1の円筒部12aにおける軸方向一端側(図1における上端側)と、第2の円筒部12bにおける軸方向他端側(図1における下端側)とを連続一体に連結する連結部12cとを備えている。第1の円筒部12aにおける軸方向他端側には、外側に突出する円環状の第1のフランジ部12dが一体に形成され、第2の円筒部12bにおける軸方向一端側には、内側に突出する円環状の第2のフランジ部12eが一体に形成されている。
【0042】
第1の円筒部12aの内径は、第1の周壁部8iの外径と同程度の大きさに設定され、第2の円筒部12bの内径は、作動子3の大径部3bの外径と同程度の大きさに設定されている。また、第1のフランジ部12dの外径は、第2の周壁部8jの内径より小さく設定され、第2のフランジ部12eの内径は、作動子3の大径部3bの溝部3cにおける外径と同程度の大きさに設定されている。
【0043】
この被覆部12は、被覆部12を構成する材料自体の伸縮に加えて、第1の円筒部12aと第2の円筒部12bとを連結する連結部12cが、第1の円筒部12aの内側と外側とを行き来することによって、作動子3の移動時に、被覆部12の弾性に起因する負荷が極力かからないようにし、被覆部12によって作動子3の移動が妨げられることがないようにしている。
【0044】
カバー9は、ボディ8の厚み方向他面側(図1における下面側)の開口を閉塞する形でボディ8に取り付けられる、所謂背面カバーである。カバー9は、ボディ8の厚み方向他面側(図1における下面側)の開口を閉塞できる大きさの矩形板状に形成されており、複数の端子部7それぞれをケース1から外方に突出させるための複数の貫挿孔(図示せず)が厚み方向に貫設されている。
【0045】
操作部2は、スイッチ装置SWを手動操作するための操作ハンドルであって、絶縁性を有する樹脂材料により箱状に形成されている。また、操作部2は、幅方向に直交する面内における外形形状が、厚み方向一面側の両側が中央より厚み方向一面側に突出するとともに、厚み方向他面側の中央が両側より厚み方向他面側に突出した形の略く字状に形成されている。操作部2の厚み方向一面(図1における上面)は人が接触する操作面として用いられ、厚み方向他面側(図1における下面側)は開口されている。なお、操作部2は、ケース1に取り付けられた状態において、操作面がケース1外に突出するように、厚み寸法が設定されている。
【0046】
この操作部2の幅方向両側面それぞれにおける長さ方向中央部には、軸部10が貫挿される貫挿孔2aが形成されている。操作部2の内底面(操作部2の厚み方向一面側の壁部における操作面とは反対側の面)の中央部には、操作部2をケース1に対する規定位置に復帰させる前述の復帰ばね13を固定するための一対の狭持片2bが、操作部2の長さ方向に離間する形に形成されている。ここで、復帰ばね13としては、コイル部13aと、コイル部13aの両端部それぞれからコイル部13aの巻き軸方向と直交する方向に突出された一対の腕部13bとを一体に備える所謂ねじりコイルばね(トーションバネともいう)を使用している。一方、操作部2の幅方向における内側面それぞれには、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれが厚み方向一面側から弾接される一対の位置決めリブ2cが一体に突設されている。
【0047】
したがって、復帰ばね13は、コイル部13aが巻き軸方向を操作部2の幅方向に沿わせた形で一対の狭持片2b間に配置されるとともに、一対の腕部13bそれぞれが一対の位置決めリブ2cそれぞれに弾接された状態で、操作部2に取り付けられる。また、復帰ばね13を操作部2に取り付けた状態では、復帰ばね13のコイル部13aの内側は、各貫挿孔2aと連通し、一方の貫挿孔2aから操作部2内に挿入された軸部10は、コイル部13aの内側を通って、他方の貫挿孔2aより操作部2外へ突出する。
【0048】
操作部2の内底面において、隔壁部8dの一対の凹所8hそれぞれと対応する部位には、作動子3の大径部3bに当接される一対の当接リブ2dが一体に突設されている。なお、本実施形態では、作動子3を1つだけ用いているので、片方の当接リブ2dは使用されない。
【0049】
上述した本実施形態のスイッチ装置SWは次のようにして組み立てられている。まず、ボディ8の電子部品収納室8fには、検出部4が収納される。このとき、検出部4の第1の鍔部4cの取付孔4eには、軸孔8kが設けられた凹所8hに対応する取付リブ8mが挿通される。そして、超音波などにより取付リブ8mを変形させることで、検出部4がボディ8(ケース1)に固定される。その後に、電子部品収納室8fには信号処理部6が収納される。このとき、信号処理部6は、プリント基板6aの厚み方向一面をリブ8gに当接させるとともに、プリント基板6aの嵌合孔6bに、検出部4の巻胴部4bの軸方向他端側の端部を嵌め合わされる。そして、検出部4の検出コイルLは半田付けなどにより信号処理部6に電気的に接続され、図4に示す回路が構成される。なお、信号処理部6のプリント基板6aには予め複数の端子部7が半田付けなどにより接続される。その後に、ボディ8には、カバー9が取り付けられ、複数の端子部7それぞれはカバー9の貫挿孔(図示せず)よりケース1外に突出される。
【0050】
次に作動子3が小径部3aを軸孔8kに挿通させた状態で操作部収納室8eに収納される。ここで軸孔8kはコイルボビン4aの内側に連通しているため、小径部3aはコイルボビン4aの内側(つまり被検出部5が検出コイルLの内側)に位置する。また、作動子3の小径部3aを軸孔8kに挿通させる際には、作動子3の小径部3aに作動子ばね11が被嵌される。その後に、隔壁部8dには、被覆部12が、第1の円筒部12aを第1の周壁部8iに被せるとともに、第1のフランジ部12dを凹所8hの底面に当接させた状態で取り付けられる。このように被覆部12を隔壁部8dに取り付けた後には、超音波などにより第2の周壁部8jを、凹所8hの底面との間で第1のフランジ部12dを挟む形に変形させ、これにより被覆部12を隔壁部8dに固定する。また、被覆部12の第2の円筒部12aは、隔壁部8dの軸孔8kを挿通させた作動子3の大径部3bに被嵌され、第2のフランジ部12eは、大径部3bの溝部3cに嵌め込まれる。これによって、軸孔8kの内周面と、作動子3の外周面との隙間を通って異物が電子部品収納室8fに侵入することが防止される。
【0051】
その後には、上述したように復帰ばね13が取り付けられた操作部2がケース1に取り付けられる。操作部2は、操作面をケース1の隔壁部8dとは反対側に向けるとともに、貫挿孔2aおよび軸受孔8aそれぞれの中心軸を一致させた状態で、操作部収納室8e内に収納され、貫挿孔2aおよび軸受孔8の両方に軸部10を貫挿することによって、ケース1の厚み方向一端側に取り付けられる。このようにして操作部2をケース1に取り付けた状態において、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれは、隔壁部8dに突設された一対の支持リブ8lそれぞれに当接し、操作部2の当接リブ2dが作動子3の大径部3bに当接している。
【0052】
以上によりスイッチ装置SWは構成されており、このスイッチ装置SWでは、操作部2は、軸部10の中心軸を回転軸として、ケース1に揺動自在に取り付けられている。
【0053】
ここで、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれは、隔壁部8dに突設された一対の支持リブ8lそれぞれに当接しているから、操作部2を操作していない場合(操作部2に操作荷重がかけられていない場合)には、復帰ばね13による操作部2を第1の回転方向(図1にC1で示す反時計回り方向)に回転させる操作反力と、操作部2を第2の回転方向(図1にC2で示す時計回り方向)に回転させる操作反力とが平衡する位置に操作部2が位置する。この位置が、操作部2のケース1に対する中立位置(規定位置)となる。操作部2を第1の回転方向に回転させようとした際には、復帰ばね13によって、操作部2を第2の回転方向に回転させる操作反力が強くなり、操作部2を第2の回転方向に回転させようとした際には、復帰ばね13によって、操作部2を第1の回転方向に回転させる操作反力が強くなる。
【0054】
つまり操作部2は、軸部10の中心軸を回転軸として、ケース1に対する規定位置と、当該規定位置から第1の回転方向に所定角度だけ回転した第1の押し込み位置と、上記規定位置から第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に所定角度だけ回転した第2の押し込み位置との間を移動する(操作部2は、ケース1に対する規定位置と、当該規定位置から第1の回転方向に回転した第1の押し込み位置と、規定位置から第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転した第2の押し込み位置との間を移動自在にケース1に取り付けられる)。なお、本実施形態のスイッチ装置SWでは、操作部2が規定位置に位置しているときに、被検出部5が検出コイルLの半分まで挿入され、操作部2が第1の押し込み位置に位置したときに、被検出部5が検出コイルLに完全に挿入され、操作部2が第2の押し込み位置に位置したときに、被検出部5が検出コイルLから完全に引き抜かれるように、位置関係および各部の寸法を調整している。
【0055】
次に、スイッチ装置SWの動作について図1を参照して説明する。まず、初期状態において操作部2が規定位置に位置しているとする。
【0056】
当該初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向一端側(図1における左側)を押圧して規定位置から第1の回転方向(図1にC1で示す反時計回り方向)に回転させると、その変位量に応じて、当接リブ2dが作動子3を押圧する力が強まり、作動子3は作動子ばね11のばね力に抗してケース1の厚み方向他端側(すなわち図1にM1で示す下方向)に移動し、これに伴って、被検出部5もケース1の厚み方向他端側に移動し、その結果、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が増加する。その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、復帰ばね13のばね力によって第2の回転方向(図1にC2で示す時計回り方向)に回転させられて、規定位置に復帰する。一方、作動子3は作動子ばね11によって操作部2側に付勢されているから、操作部2の当接リブ2dに当接した状態を維持しながら、ケース1の厚み方向一端側(すなわち図1にM2で示す上方向)に移動する。したがって、被検出部5もケース1の厚み方向一端側に移動して、被検出部5の検出コイルへの挿入量は、操作部2の押圧操作によって増加した分だけ減少する。
【0057】
一方、上記初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向他端側(図1における右側)を押圧して規定位置から第2の回転方向(図1にC2で示す方向)に回転させると、その変位量に応じて、当接リブ2dが作動子3を押圧する力が弱まり、作動子3は作動子ばね11のばね力によってケース1の厚み方向一端側(すなわち図1にM2で示す上方向)に移動し、これに伴って、被検出部5もケース1の厚み方向一端側に移動し、その結果、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が減少する。その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、復帰ばね13のばね力によって第1の回転方向(図1にC1で示す反時計回り方向)に回転させられて、規定位置に復帰する。この復帰動作に伴って当接リブ2dが作動子3を押圧する力が元(規定位置のときの力)に戻るから、作動子3は作動子ばね11のばね力に抗してケース1の厚み方向他端側(すなわち図1にM1で示す下方向)に移動する。したがって、被検出部5もケース1の厚み方向他端側に移動して、被検出部5の検出コイルへの挿入量は、操作部2の押圧操作によって減少した分だけ増加する。
【0058】
上述したように、操作部2を操作した場合には、その変位量に応じて、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が変化する。ここで、検出コイルLのインピーダンスは、被検出部5の検出コイルLへの挿入量(被検出部5と検出コイルLとの距離)に対してリニアに変化するから、信号処理部6の信号処理回路Bが出力する出力信号Voutは、操作部2の変位を示す。
【0059】
本実施形態のスイッチ装置SWは、油圧ショベルやクレーンなどの建設機械を操作するために用いられる前述の操作装置に使用される。
【0060】
ここで、操作装置は、図5に示すような操作ノブからなる把持部100を備えている。把持部100は、人が把持できる大きさの筒状に形成されている。また、把持部100の先端側の周壁部110には、人が把持部100を持った際に人が親指で操作可能な位置にスイッチ装置SWが位置するように、スイッチ装置SW取り付け用の略矩形状の開孔部120が形成されている。したがって、本実施形態のスイッチ装置SWの操作部2は人の親指により操作される。なお、把持部100の外形形状は、人間工学を考慮して、人が握り易い形状に形成される。
【0061】
上記操作装置は、把持部100をその軸方向が例えば4方向(一例としては前後左右の4方向)に傾動可能な形で備えるとともに、把持部100の傾動方向および当該方向における変位量とを示す電気信号を生成する回路部(図示せず)を備えている。また、当該回路部は、スイッチ装置SWが出力する電圧信号Voutに基づいて種々の制御用の信号を作成する。
【0062】
そして、本実施形態のスイッチ装置SWは、図5に示すように、操作装置の把持部100に取り付けられる。スイッチ装置SWは、ケース1の厚み方向他端側が把持部100の内部に、操作部2が把持部100の外部に位置する形で取り付けられる(操作部2が把持部100の外部に突出する形で取り付けられる)。
【0063】
なお、スイッチ装置SWを把持部に取り付けるにあたっては、図2に示すような取付金具14が用いられる。取付金具14は、ケース1の幅方向に沿った方向においてケース1を狭持する一対の狭持片14aと、狭持片14aの基端部同士を連結する連結片14bとを一体に備えたコ字状に形成されている。各狭持片14aには、ケース1の外面に設けられた嵌合突起(図示せず)と凹凸嵌合する嵌合孔14cが形成されており、各嵌合孔14cにケース1の嵌合突起が凹凸嵌合することによって、スイッチ装置SWが狭持片14a間に保持される。また、各狭持片14aの先端部からは、スイッチ装置SWを把持部に取り付けるための取付片14dが延設されており、ケース1の取付片8dおよび取付金具14の取付片14dを用いて、スイッチ装置SWが把持部に取り付けられる。ところで、把持部の内部には、各種電子部品やプリント基板などが収納される。そのため、スイッチ装置SWのケース1と把持部100との間には、パッキン15が配置される。パッキン15は、ゴムなどにより矩形枠状に形成されており、スイッチ装置SWのボディ8の鍔部8bと把持部100の外面との間に介在され、これによって把持部100の内部への水などの浸入が防止される。
【0064】
したがって、本実施形態のスイッチ装置SWは、鍔部8bと各取付片8d,14dとで把持部100の壁部110を挟み込むことによって、把持部100に固定され、把持部100の開孔部120の縁部とスイッチ装置SWのケース1の鍔部8bとの間には、パッキン15が介在されることになる。なお、スイッチ装置SWの端子部7の他端部には、把持部100の内部において、外部回路である操作装置の回路部と接続するためのリード線(図示せず)が半田付けなどによって接続される。
【0065】
以上述べた本実施形態のスイッチ装置SWは、操作装置の把持部100に取り付けられ、このような操作装置は屋外で使用されるために、スイッチ装置SWのケース1には、その厚み方向一面側の開口から、水や埃などの異物が侵入するおそれがあるが、本実施形態のスイッチ装置SWでは、ケース1の内部を隔壁部8dで厚み方向に仕切ることで、ケース1の厚み方向他面側に電子部品収納室8fを形成して、この電子部品収納室8fに、電子部品である検出部4および信号処理部6を収納しているので、ケース1の厚み方向一面側の開口よりケース1の内部に侵入した異物は隔壁部8dに阻まれて電子部品収納室8fに侵入することができず、また、隔壁部8dの軸孔8kの内周面と作動子3の外周面との隙間は、被覆部12によって覆われているので、異物が軸孔8kを通って電子部品収納室8fに侵入することがないから、異物の侵入による故障を抑制でき、この場合、ケース1および操作部2を覆うカバーが必要ないから、操作性が悪化することがない。
【0066】
このように本実施形態のスイッチ装置SWによれば、操作性を悪化することなく異物の侵入による故障を抑制できる。
【0067】
ところで、図5に示す操作装置では、スイッチ装置SWは、人の親指で操作されるため、スイッチ装置SWは、操作部2が鉛直上方向側(ケース1の厚み方向一面側が鉛直上方向側)を向くようにして把持部100に取り付けられている。このような場合、スイッチ装置SWのケース1の操作部収納室8e内には、ケース1の内部に侵入した異物が溜まってしまう。このようにスイッチ装置sWの操作部収納室8e内に異物が溜まると、やがて、ケース1の軸受孔8aと軸部10との隙間からケース1の外部に侵出する場合がある。このとき、図5に示す操作装置では、ケース1の軸受孔8aは鍔部8bよりもケース1の厚み方向他面側に位置しているから、異物が軸受孔8aからケース1の外部に侵出することは、異物が把持部100の内部に侵入することを意味する。
【0068】
そこで、本実施形態のスイッチ装置SWを備える操作装置としては、図6に示すようなものが考えられる。
【0069】
図6に示す操作装置は、図5に示す操作装置と同様に、人が手で持つ把持部100を有し、把持部100の操作内容に応じた電気信号を出力する操作装置であるが、把持部100の構成が図5に示す例と異なっている。図6に示す把持部100の先端側の周壁部110には、スイッチ装置SW取り付け用の略矩形状の開孔部120が形成されているが、この開孔部120は、把持部100を持った人の人差し指に対応する位置に設けられている。つまり、図6に示す把持部100にスイッチ装置SWを取り付けた際には、スイッチ装置SWは、人差し指で操作可能な位置に位置することになる。また、ケース1の厚み方向一面側を鉛直下方向側に向けた状態(すなわち、ケース1の厚み方向一面側が水平方向より下側を向いている状態)でスイッチ装置SWを把持部100に取り付けることができるように、開孔部120は、把持部100が中立位置に位置しているときに、鉛直下方向側を向く形に形成されている。また、スイッチ装置SWは、把持部100が中立位置に位置している状態において、ケース1の幅方向、すなわち操作部2の揺動軸方向が水平方向に沿った方向となるように把持部100に取り付けられ、これによって、人差し指で操作部2を操作し易いようにしている。
【0070】
以上述べた図6に示す操作装置は、人が手で持つ把持部100を有し、把持部100の操作内容に応じた電気信号を出力するものであって、把持部100には、上記スイッチ装置SWが、ケース1の厚み方向一面側を鉛直下方向側に向けた状態で取り付けられている。
【0071】
したがって、図6に示す操作装置によれば、ケース1の厚み方向一面側が鉛直下方向側を向いているから、ケース1の開口から内部に異物が侵入し難くなり、また、ケース1の内部に異物が侵入しても、ケース1の開口から外部に排出されるから、ケース1の内部に異物が溜まってしまうことを抑制できる。
【0072】
なお、本実施形態のスイッチ装置SWは、操作部2が揺動自在にケース1に取り付けられた所謂ロッカースイッチであるが、本発明をロッカースイッチに限定する趣旨ではなく、プッシュスイッチなど種々のスイッチに適用することができる。これらの点は、後述する実施形態2,3においても同様である。
【0073】
(実施形態2)
本実施形態のスイッチ装置SWは、図7(a),(b)に示すように、主にケース1の構成が実施形態1と異なっており、その他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符合を付して説明を省略する。
【0074】
本実施形態にけるケース1には、ケース1の内部に侵入した異物を排出するための配管部16が設けられている。配管部16は、絶縁性を有する樹脂材料などにより形成され、内側に異物を排出する排出路が形成された円筒状の筒部16aと、筒部16aの一端側の外周面に突設された円環状の取付鍔部16bとを一体に備えている。取付鍔部16bには、ケース1の取付リブ8mが挿通される取付孔16cが貫設されている。
【0075】
本実施形態におけるボディ8の隔壁部8dには、ケース1の内部(操作部収納室8e)に侵入した異物を排出する排出孔8nが形成されている。この排出孔8nは、一対の凹所8hのうち、軸孔8kが形成されていないほうの凹所(図7(a)における右側の凹所)8hの底面部(第1の周壁部8iで囲まれた底面部)の中央に、その中心軸を凹所8hの中心軸と一致させる形で形成されており、その内径は、配管部16の筒部16aの内径と同程度の大きさに設定されている。
【0076】
本実施形態におけるカバー9においてケース1の厚み方向で排出孔8nと重なる部位には、配管部16の筒部16aを貫挿する貫挿孔9aが貫設され、本実施形態における信号処理部6のプリント基板6aにおいてケース1の厚み方向で排出孔8nと重なる部位には、配管部16の筒部16aを貫挿する貫挿孔6cが貫設されている。
【0077】
上述した本実施形態のスイッチ装置SWは次のようにして組み立てられている。まず、ボディ8の電子部品収納室8fには、検出部4が収納される。このとき、検出部4の第1の鍔部4cの取付孔4eには、軸孔8kが設けられた凹所8hに対応する取付リブ8mが挿通される。そして、超音波などにより取付リブ8mを変形させることで、検出部4がボディ8(ケース1)に固定される。その後に、電子部品収納室8fには、配管部16が収納される。このとき、配管部16の取付鍔部16bの取付孔16cには、排出孔8nが設けられた凹所8hに対応する取付リブ8mが挿通される。そして、超音波などにより取付リブ8mを変形させることで、配管部16がボディ8(ケース1)に固定され、これによって、配管部16の排出路と隔壁部8dの排出孔8nとが連通する。
【0078】
検出部4および配管部16を収納した後に、電子部品収納室8fには信号処理部6が収納される。このとき、信号処理部6は、プリント基板6aの厚み方向一面をリブ8gに当接させるとともに、プリント基板6aの嵌合孔6bに、検出部4の巻胴部4bの軸方向他端側の端部が嵌め合わされ、かつ、配管部16の筒部16aが貫挿孔6cに貫挿される。そして、検出部4の検出コイルLは半田付けなどにより信号処理部6に電気的に接続され、図4に示す回路が構成される。なお、信号処理部6のプリント基板6aには予め複数の端子部7が半田付けなどにより接続される。その後に、ボディ8には、カバー9が取り付けられ、複数の端子部7それぞれはカバー9の貫挿孔(図示せず)よりケース1外に突出される。また、配管部16の筒部16aは、カバー9の貫挿孔9aよりケース1外に突出される。この後の組立方法については、上記実施形態1と同様であるから説明を省略する。
【0079】
以上述べたように、本実施形態のスイッチ装置SWにおいては、ケース1の隔壁部8dにケース1の内部に侵入した異物を排出する排出孔8nが形成されており、ケース1には、排出孔8nをケース1外部に連通させる配管部16が設けられている。
【0080】
したがって、本実施形態のスイッチ装置SWによれば、ケース1の内部に侵入した異物を排出孔8nから配管部16の内側(排出路)を通じてケース1の外部に排出できるから、ケース1の内部に異物が溜まってしまうことを抑制できる。また、本実施形態のスイッチ装置SWでは、軸孔8kを設けるための凹所8hの底面部を利用して、排出孔8nを形成しているから、このような排出孔8nを設けないケース1と部品を共通化することができて、低コスト化が図れる。
【0081】
なお、本実施形態のスイッチ装置SWは、配管部16よりケース1の内部の異物を排出できるようになっているから、配管部16より異物が把持部100の内部に排出されないように、図7(b)に示すように、把持部100の周壁部100に、配管部16を外部に臨ませる排出用孔部130を設けておく必要がある。
【0082】
(実施形態3)
本実施形態のスイッチ装置SWは、図8に示すように、ケース1および操作部2の構成が実施形態1と異なっており、その他の構成は実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施形態のスイッチ装置SWの動作は実施形態1と同様であるから説明を省略する。
【0083】
本実施形態におけるケース1は、主として鍔部8bを設ける位置が、実施形態1と異なっている。つまり、実施形態1のケース1では、鍔部8bが、軸受孔8aよりもケース1の厚み方向一面側に位置しているが、本実施形態のケース1では、鍔部8bが軸受孔8aよりもケース1の厚み方向他面側に位置している。この鍔部8bは、ケース1において操作装置に埋め込まれる部位を規定するものであるから、本実施形態のスイッチ装置SWは、軸受孔8aが把持部100の内部に位置する実施形態1とは異なり、軸受孔8aが把持部100の外部に位置する形で把持部100に取り付けられることになる。
【0084】
本実施形態における操作部2は、実施形態1のように、ケース1の厚み方向一面側の開口内、すなわちボディ8の操作部収納室8e内に位置する形でケース1に取り付けられるものではなく、図8に示すように、ケース1の厚み方向一端側を操作部2の内部に位置させる形で、ケース1に取り付けられている。
【0085】
このように、本実施形態のスイッチ装置SWでは、ケース1は厚み方向他端側が操作装置に埋め込まれた形で操作装置に取り付けられるものであって、操作部2は、ケース1の幅方向に沿った方向を揺動軸方向としてケース1に揺動自在に取り付けられ、ケース1の幅方向両側面それぞれには、操作部2の揺動軸となる軸部10を受ける軸受孔8aがケース1の内外を連通する形に形成され、ケース1の外側面における軸受孔8aよりも厚み方向他端側に、ケース1において操作装置に埋め込まれる部位を規定する鍔部8bが突設されている。
【0086】
以上述べた本実施形態のスイッチ装置SWによれば、ケース1を操作装置の把持部100に取り付けた際に、軸受孔8aが操作装置の把持部100の内部に位置しないから、ケース1の内部に侵入した異物が軸受孔8aを通って把持部100の内部に侵入してしまうことを抑制でき、しかも軸受孔8aを異物排出用の排出孔として利用できるから、ケース1の内部に異物が溜まってしまうことを抑制できる。
【0087】
また、軸受孔8aを把持部100の外部に位置させたことによって、操作部2をケース1の操作収納室8e内に収まる大きさとする必要がなくなり、操作部2の大きさを、操作部2がケース1の厚み方向一端側を内側に配置できるような大きさとすることができるから、スイッチ装置SWの操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施形態1のスイッチ装置の断面図である。
【図2】同上のスイッチ装置の分解斜視図である。
【図3】同上のスイッチ装置の他の断面図である。
【図4】同上のスイッチ装置の回路ブロック図である。
【図5】同上のスイッチ装置を備えた操作装置の把持部の概略断面図である
【図6】同上のスイッチ装置を備えた他例の操作装置の把持部の概略断面図である
【図7】(a)は実施形態2のスイッチ装置の断面図、(b)は実施形態2のスイッチ装置を備えた操作装置の把持部の概略断面図である。
【図8】実施形態3のスイッチ装置を備えた操作装置の把持部の概略断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 ケース
2 操作部
3 作動子
4 検出部
5 被検出部
6 信号処理部
8a 軸受孔
8b 鍔部
8d 隔壁部
8f 電子部品収納室
8k 軸孔
8n 排出孔
12 被覆部
16 配管部
100 把持部
SW スイッチ装置
BK 検出ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向一面側が開口したケースと、当該ケースの厚み方向一面側においてケースに対して移動自在に取り付けられた操作部と、ケースに収納され操作部のケースに対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックとを備え、
検出ブロックは、操作部の変位に応じて移動する作動子と、検出コイルを有した検出部と、作動子に取り付けられ作動子の移動に伴って検出コイルとの距離が変化する被検出部と、検出コイルに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部の変位を示す電気信号に変換する信号処理部とを有し、
ケースには、少なくとも検出部および信号処理部を収納する電子部品収納室がケースの厚み方向他面側に形成されるようにケース内を厚み方向で仕切る隔壁部が形成され、
隔壁部には、作動子が移動自在に挿通される軸孔が形成されるとともに、作動子の外周面と軸孔の内周面との隙間を覆い異物の侵入を防止する被覆部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
上記ケースの隔壁部には、上記ケースの内部に侵入した異物を排出する排出孔が形成され、
上記ケースは、排出孔をケース外部に連通させる配管部を有していることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
上記ケースは厚み方向他端側が操作装置に埋め込まれた形で取り付けられるものであって、
上記操作部は、上記ケースの幅方向に沿った方向を揺動軸方向として上記ケースに揺動自在に取り付けられ、
上記ケースの幅方向両側面それぞれには、上記操作部の揺動軸を受ける軸受孔が上記ケースの内外を連通する形に形成され、
上記ケースの外側面における上記軸受孔よりも厚み方向他端側に、上記ケースにおいて操作装置に埋め込まれる部位を規定する鍔部が突設されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項4】
人が手で持つ把持部を有し、把持部の操作内容に応じた電気信号を出力する操作装置であって、
把持部には、請求項1記載のスイッチ装置が、上記ケースの厚み方向一面側を鉛直下方向側に向けた状態で取り付けられていることを特徴とする操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−104797(P2009−104797A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272892(P2007−272892)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】