説明

スイッチ装置

【課題】 異物や外部雰囲気の影響を少なくし接点信頼性を向上できると共に、操作時のフィーリングが良好なスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 ACインレット部7cを有するハウジング1、7と、回転板5に設けられた駆動カム5cに連動してACインレット部7cの接点の切り換えを行う電源スイッチ部と、回転板5の回転に伴ってコード出力を行うエンコーダ部とを備え、電源スイッチ部は、ハウジング1、7内に配設され駆動カム5cにより傾動される導体板6と、ACインレット部7cに設けられたAC入力端子8に固着され導体板6の接点6eと接離する固定接点8aとからなり、エンコーダ部は、回転板5に設けられたコードパターン4bと、ハウジング1、7に設けられ回転板5の回転によりコードパターン4bと摺接する摺動子3からなり、電源スイッチ部とエンコーダ部をハウジング1、7に一体に収納した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に係り、特に洗濯機等の操作用スイッチとして使用される電源スイッチとコードスイッチが一体になったロータリー型のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリー型のスイッチ装置としては、回転板の両側に電源スイッチとコードスイッチの接点部を配置して、コード出力用の接点が回転板のカム山に連動して切り換わるバット接点構造となったスイッチ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来のロータリー型のスイッチ装置の構造を図4に示す。図4は従来のロータリー型のスイッチ装置の一部を破断した状態を示す要部斜視図である。
【0003】
図において、従来のロータリー型のスイッチ装置は、合成樹脂製の箱状のボディ51と、このボディ51内に回転可能に収容された合成樹脂製の操作軸55を有する円盤状の冠歯車59(回転板)と、導電性の金属板からなり冠歯車59の回転により開閉される複数の(固定側)接点52及び(可動側)マルチ電気接点53、53’、54で構成された小電流側電気回路(コードスイッチ部)と、同じく導電性の金属板からなり複数の(固定側)接点57及び(可動側)動力回路接点63、63’で構成された大電流側電源回路(電源スイッチ部)と、動力回路接点63、63’と一体に形成され冠歯車59の回転時の位置決めを行うばね機関62、62’と、ボディ51の上面側に嵌着された合成樹脂製のカバー58とから構成されている。
【0004】
冠歯車59は、操作軸55が回転操作可能なようにボディ51とカバー58とに挟持されて配設されている。また、冠歯車59の下方側に小電流側電気回路を構成する固定側接点52及び可動側マルチ電気接点53、53’、54が配置されている。冠歯車59の下面側には、それぞれ長さの異なる複数の円弧状のカム(図示せず)が設けられており、冠歯車59が回転することにより該カムとマルチ電気接点53、53’が適宜係合して固定側接点52との開閉(コード出力)を行うものとなっている。
【0005】
また、冠歯車59の上方側に大電流側電源回路を構成する固定側接点57及び可動側電力回路接点63、63’が配置されている。また、冠歯車59の上面側には、2列の円形カム60、60’が設けられており、冠歯車59が回転することにより該円形カム60、60’と電力回路接点63、63’が係合して固定側接点57との開閉(電源オン/オフ)を行うものとなっている。
【0006】
この時、動力回路接点63、63’と一体に形成されたばね機関62、62’が、冠歯車59の上面側の円形カム60、60’の外周に形成された凹凸状の位置決め用のカムと係合することにより回転時の位置決め(及び節度感)が得られるものとなっている。
【0007】
すなわち、従来のロータリー型のスイッチ装置の構成は、操作軸55と一体に回転可能に配設された冠歯車59(回転板)の両側(上下)に大電流側電源回路(電源スイッチ部)と小電流側電気回路(コードスイッチ部)とを対向させて配置した構成となっている。そして、小電流側電気回路は冠歯車59の下面側に形成された複数の円弧状のカム(図示せず)によって個々の可動側マルチ電気接点53、53’、54を適宜ピアノ式に押圧して固定側接点52とオン/オフさせるバット接点構造となっている。
【0008】
【特許文献1】伊国特許出願公開第MI2001A001275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来のロータリー型のスイッチ装置においては、コード出力用の小電流側電気回路はバット接点構造となっているため、接点部が塵埃や異物等の侵入で接触不良になり易く、接触信頼性に問題があった。また、小電流側電気回路がバット接点構造のため、切り換え時に操作荷重変化が発生し操作時のフィーリングが悪いという問題があった。
【0010】
従って、本発明は上記した問題点を解決し、異物や外部雰囲気の影響を少なくし接点信頼性を向上できると共に、操作時のフィーリングが良好なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、ACインレット部を有するハウジングと、このハウジング内に回転可能に配設された回転板と、この回転板に設けられた駆動カムに連動して前記ACインレット部の接点の切り換えを行う電源スイッチ部と、前記回転板の回転に伴ってコード出力を行うエンコーダ部とを備え、前記電源スイッチ部は、前記ハウジング内に配設され前記駆動カムにより傾動される導体板と、前記ACインレット部に設けられたAC入力端子に固着され前記導体板の接点と接離する固定接点とからなり、前記エンコーダ部は、前記回転板に設けられたコードパターンと、前記ハウジングに設けられ前記回転板の回転により前記コードパターンと摺接する摺動子からなり、前記電源スイッチ部と前記エンコーダ部を前記ハウジングに一体に収納した構成とした。
【0012】
また、第2の解決手段として、前記回転板の上面に前記駆動カムを設けると共に、前記回転板の下面には前記コードパターンを有するコード基板を設け、前記駆動カムに前記導体板を対向させて前記回転板の上方に前記電源スイッチ部を配置すると共に、前記コード基板に前記摺動子を有するウエハーを対向させて前記回転板の下方に前記エンコーダ部を配置した構成とした。
また、第3の解決手段として、前記回転板の上面に、前記駆動カムと並設して凹凸状のクリックカムを形成し、前記ハウジングには、前記回転板の回転に伴って前記クリックカムと摺動してクリック感を生起する駆動部材を設けた構成とした。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明のスイッチ装置は、ACインレット部を有するハウジングと、ハウジング内に回転可能に配設された回転板と、回転板に設けられた駆動カムに連動してACインレット部の接点の切り換えを行う電源スイッチ部と、回転板の回転に伴ってコード出力を行うエンコーダ部とを備え、電源スイッチ部は、ハウジング内に配設され駆動カムにより傾動される導体板と、ACインレット部に設けられたAC入力端子に固着され導体板の接点と接離する固定接点とからなり、エンコーダ部は、回転板に設けられたコードパターンと、ハウジングに設けられ回転板の回転によりコードパターンと摺接する摺動子からなり、電源スイッチ部とエンコーダ部をハウジングに一体に収納したことから、コード出力用のエンコーダ部を回転板に設けられた摺動接点であるコードパターンと、このコードパターンと摺接する摺動子で構成したので、従来のバット接点構造のものに比べて異物や外部雰囲気の影響を少なくし接点信頼性が向上する。また、摺動接点構造のため操作時のフィーリングが良好となる。
【0014】
また、回転板の上面に駆動カムを設けると共に、回転板の下面にはコードパターンを有するコード基板を設け、駆動カムに導体板を対向させて回転板の上方に電源スイッチ部を配置すると共に、コード基板に摺動子を有するウエハーを対向させて回転板の下方にエンコーダ部を配置したことから、コード基板のコードパターンを種々変更することによりエンコーダ部のコード出力のバラエティー対応が可能であると共に、バット接点構造に比べて摺動接点構造のためスイッチ装置の薄型化、小型化が図れる。
また、回転板の上面に、駆動カムと並設して凹凸状のクリックカムを形成し、ハウジングには、回転板の回転に伴ってクリックカムと摺動してクリック感を生起する駆動部材を設けたことから、簡単な構造で回転時のクリック感を得ることができる。また、摺動接点構造を採用したことにより、コード切り換え時に接点開閉のための操作荷重の変化が生じないため、必要に応じてクリック感無しのスイッチ装置の対応が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図3に示す。図1は本発明のスイッチ装置を示す分解斜視図、図2は本発明のスイッチ装置を示す組立斜視図、図3は本発明のスイッチ装置の内部構造を示す要部断面図である。
【0016】
図において、ケース1は、合成樹脂等の絶縁材からなり、上面が開口された収納部1aを有する矩形状の箱型に形成されている。このケース1の収納部1aの内底部中央には、後述する回転板5の回転軸5bが挿通されて回転可能に保持される軸受孔1bが設けられており、また、一つの内側部には、後述する導体板6の基部6aが挿入され保持される保持溝部1cが設けられている。また、ケース1の外側板部には、後述するカバー7の係止片7eと係合する複数の係合突起1dが設けられている。
【0017】
ウエハー2は、同じく合成樹脂等の絶縁材からなり、外形が略H字状に形成されており、中央には回転板5の回転軸5bが挿通される貫通孔2aが設けられている。この貫通孔2aを挟んで両側には一対の切欠部2bが設けられており、この切欠部2bには複数の摺動子3が配設されている。この摺動子3は、弾性を有する導電性の薄板金属板からなり、インサート成形等の方法でウエハー2に一体に埋設されている。この摺動子3の一端側は、切欠部2bの上面側に屈曲して配設され接点部3aを形成しており、他端側はウエハー2の一端側から導出されて下方へ延出されコード出力端子3bを形成している。
【0018】
前記ウエハー2は、前記ケース1の収納部1a内に収納され、軸受孔1bに貫通孔2aが対向されると共に、コード出力端子3bがケース1の底面部に設けられた端子穴1eに挿入されて底面側に突出されて配設されるものとなっている。また、ウエハー2の側面部にはケース1の内側部に設けられたガイド柱1f等(一部図示せず)と係合して位置決めされる複数のガイド溝2cが形成されている。
【0019】
コード基板4は、合成樹脂等の絶縁材で略円板状に形成されており、中央には回転板5の回転軸5bが挿通される貫通孔4aが設けられている。また、コード基板4の一面側には、貫通孔4aの周囲に沿って円弧状に配設された複数のコードパターン4bが設けられている。このコードパターン4bは、導電性の金属板を一部表面に表出して、インサート成形等の方法でコード基板4に一体に埋設して形成されている。尚、コードパターン4bの形成方法としては、上記に限らず、コード基板4の表面に銀やカーボン等の導電性のインクを印刷などの方法で形成するようにしても良い。このコードパターン4bとウエハー2に設けられた摺動子3の接点部3aが摺接してコード出力されるものとなっている。
【0020】
回転板5は、同じく合成樹脂等の絶縁材からなり、円板状の基盤部5aと、この基盤部5aの中央に上下に突出した円柱状の回転軸5bとを有している。また、基盤部5aの上面側には、同心円上に突出して形成された2列の円環状の駆動カム5c、5cが設けられており、これら駆動カム5c、5cの円環状の一部には回転軸5bの軸心を挟んで対向する位置にV字状に切り欠いた凹部5d、5dが形成されている。これら駆動カム5c、5cにより後述する導体板6の可動片部6bが傾動されて電源スイッチ部の接点の切り換えを行うものとなっている。
【0021】
また、基盤部5aの上面側には、前記駆動カム5c、5cの外周部に並設して円環状に凹凸状のクリックカム5eが設けられている。そして、回転板5の回転時には、このクリックカム5eが後述するカバー7に配設された駆動部材10と摺動してクリック感を生起させるものとなっている。また、回転板5の下面側には、前記コード基板4が配設されており、貫通孔4aに回転軸5b下側が挿通されてコードパターン4bが設けられた一面側が下面側となるように取り付けられている。そして、回転板5が回転する際には、この回転に伴ってコード基板4も共回りするものとなっている。
【0022】
前記回転板5は、前記ケース1の収納部1a内に収納され、基盤部5aの下面側に配設されたコード基板4のコードパターン4bと、前記ウエハー2に設けられた摺動子3の接点部3aとが対向された状態で、回転軸5bの下面側がケース1の軸受孔1bに回転可能に挿通されている。これら前記回転板5に設けられたコードパターン4bと、前記ケース1に設けられ前記回転板5の回転により前記コードパターン4bと摺接する摺動子3とから、コード出力を行うエンコーダ部が構成されている。
【0023】
導体板6は、弾性を有する導電性の金属板からなり、一端側に内部基板接続用AC出力端子6cが設けられた基部6aと、この基部6aの他端側に連設され略L字状に延びる可動片部6bとを有している。また、可動片部6bの略中央部には、板面の上下方向へ突出する駆動突起6dが設けられ、さらに先端側には銀等の金属チップ等からなる接点6eが固着されている。この導体板6は、前記ケース1の収納部1aに設けられた保持溝部1cに基部6aが挿入され、内部基板接続用AC出力端子6cがケース1外方へ延出されると共に、可動片部6bの下面側に突出した駆動突起6dと前記回転板5の基盤部5aの上面側に設けられた円環状の駆動カム5c、5cとが対向した状態で保持されている。
【0024】
前記導体板6は、回転板5の非操作時の初期状態では、可動片部6bの下面側の駆動突起6dが駆動カム5cの一部に設けられた凹部5dに嵌入されて、先端側の接点6eが後述するAC入力端子8に固着された固定接点8aとは離間して回路はオフ状態となっている。そして、回転板5の回転に伴って、下面側の駆動突起6dが駆動カム5cの上面に乗り上げることにより、前記可動片部6bが傾動されて接点6eが上方に対向して配設された固定接点8aと接触して回路がオン状態になるものとなっている。これら前記ケース1内に配設され前記駆動カム5cにより傾動される導体板6と、ACインレット部に設けられたAC入力端子8に固着された固定接点8aとから、ACインレット部の接点の切り換えを行う電源スイッチ部が構成されている。
【0025】
カバー7は、合成樹脂等の絶縁材からなり、下面側が開口された矩形状の箱型に形成されている。このカバー7の上板部7aの中央には軸孔7bが設けられており、この軸孔7bを挟んで上板部7aの上面側には略矩形状の突壁部で囲まれた一対のACインレット部7cとACアウトレット部7dとがそれぞれ設けられている。また、ACインレット部7cには、導電性の金属板からなるAC入力端子8が一対対向して配設されており、これらAC入力端子8、8の他端側には銀等の金属チップ等からなる固定接点8a、8aが固着されている。これら固定接点8a、8aは、前記カバー7の上板部7aの下面側に配置されてAC入力端子8、8がACインレット部7cに取り付けられている。
【0026】
また、ACアウトレット部7dには、同じく導電性の金属板からなる外部接続用AC出力端子9が一対対向して配設されている。これら外部接続用AC出力端子9、9の他端側には、略L字状の平坦部とこの平坦部に連接して下方へ直角に折り曲げられた中継端子9a、9aが設けられている。これら中継端子9a、9aは、前記カバー7の上板部7aの下面側に配置されて外部接続用AC出力端子9、9がACアウトレット部7dに取り付けられている。
【0027】
また、前記カバー7の上板部7aの下面側には、前記回転板5の基盤部5aに設けられたクリックカム5eと摺動してクリック感を生起させる一対の駆動部材10、10が設けられており、この駆動部材10、10はコイルばね11、11によってカバー7の下方側に付勢された状態で配設されている。また、カバー7の外側板部には、下方へ延設する複数の係止片7eが設けられており、この係止片7eとケース1の複数の係合突起1dが係合されるものとなっている。
【0028】
前記カバー7は、前記ケース1の収納部1aの開口を覆うようにケース1の上面側に取り付けられるものとなっており、このケース1とカバー7とでスイッチ装置のハウジングを構成している。そして、この時、ケース1の収納部1a内に配設された導体板6の接点6eと、AC入力端子8の固定接点8aが対向された状態で配設されると共に、導体板6の基部6aと、外部接続用AC出力端子9の中継端子9aとが電気的に導通した状態で圧接されて係合されるものとなっている。また、カバー7の上板部7aの下面側に設けられた一対の駆動部材10、10の先端が、ケース1の収納部1aに配設された回転体5の基盤部5aの上面側に設けられたクリックカム5eと当接して、回転板5の回転時に互いに摺動することによりクリック感を生起させるものとなっている。
【0029】
このように、前記回転板5の上面に駆動カム5cを設けると共に、前記回転板5の下面にはコードパターン4bを有する前記コード基板4が設けられており、前記駆動カム5cに前記導体板6を対向させて前記回転板5の上方に電源スイッチ部を配置すると共に、前記コード基板4に前記摺動子3を有する前記ウエハー2を対向させて前記回転板5の下方にエンコーダ部を配置するようにしたので、前記コード基板4のコードパターン4bを種々変更することにより、エンコーダ部のコード出力のバラエティー対応が可能となっている。また、バット接点構造に比べて摺動接点構造のため、スイッチ装置の薄型化、小型化が図れるものとなっている。
【0030】
また、前記回転板5の上面に、前記駆動カム5cと並設して凹凸状の前記クリックカム5eを形成して、前記カバー7には、前記回転板5の回転に伴ってクリックカム5eと摺動してクリック感を生起する前記駆動部材10を設けるようにしたので、簡単な構造で回転時のクリック感を得ることができるものとなっている。また、摺動接点構造を採用したことにより、バット接点構造に比べてコード切り換え時に接点開閉のための操作荷重の変化が生じなくなるので、操作時のフィーリングが良好となり、必要に応じてクリック感無しのスイッチ装置の対応が可能となっている。
【0031】
次に、上記構成のスイッチ装置の動作を図3に基づいて説明する。
まず、回転体5の回転軸5bが非操作時の初期状態では、回転板5の上方に配設された導体板6の可動片部6bの下面側の駆動突起6dが、回転板5の駆動カム5cの一部に設けられた凹部5dに嵌入されており、可動片部6bの先端側の接点6eは、AC入力端子8に固着された固定接点8aとは離間して電源スイッチ部の回路はオフ状態となっている(図示せず)。また、この時、回転体5の下方に配設されたコード基板4のコードパターン4bとウエハー2に設けられた摺動子3の接点部3aとは非接触となっており、コードスイッチ部のコード出力はゼロとなっている。尚、この時、必要に応じて摺動子3の接点部3aとコードパターン4bを接触させてコードスイッチ部のコード出力を得られるようにしても良い。
【0032】
この状態から、図3に示すように、回転体5の回転軸5bが、図示しないセット側シャフトの回転を受けて回転操作されると、回転板5の回転に伴って、可動片部6bの下面側の駆動突起6dが、回転体5の駆動カム5cの上面に乗り上げることにより、可動片部6bが自身の持つ弾性力に抗して上方へ傾動され、接点6eが上方に対向して配設されているAC入力端子8の固定接点8aと接触して電源スイッチ部の回路がオン状態となる。
【0033】
この場合、外部から入力されるAC電源は、ACインレット部7cに配設されたAC入力端子8から入力され、導体板6とケース1の底面側に延出された内部基板接続用AC出力端子6cを介して図示しないセット側の内部基板の電源回路部に出力されるものとなる。また、同時にAC電源は、カバー7の上面側にACインレット部7cと並設して設けられたACアウトレット部7dに配設された、外部接続用AC出力端子9に、導体板6と中継端子9aを介して出力されるものとなっている。
【0034】
そして、電源スイッチ部がオンした状態のまま、回転体5が所定の範囲で回転操作されると、今度は回転板5の下方に配設されたコード基板4のコードパターン4bと、ウエハー2に設けられた摺動子3の接点部3aとが、適宜、接触と非接触を繰り返しながら面摺動することにより、回転板5の回転頻度に則したコード出力が得られるものとなる。この場合、検出したコード出力はケース1の底面側に延出されたコード出力端子3bを介して図示しないセット側の内部基板の制御回路部に出力されるものとなる。このコード出力信号を適宜選択してコード化することにより、セット側のシャフトの回転に合わせて予め設定された操作を行うようになっている。
【0035】
上記した本発明のスイッチ装置は、ACインレット部7cを有するハウジングの一部を構成するカバー7と、ハウジングの一部を構成するケース1内に回転可能に配設された回転板5と、この回転板5に設けられた駆動カム5cに連動してACインレット部7cの接点の切り換えを行う電源スイッチ部と、前記回転板5の回転に伴ってコード出力を行うエンコーダ部とを備えている。
そして、電源スイッチ部は、前記ケース1内に配設され前記駆動カム5cにより可動片部6bが傾動される導体板6と、ACインレット部7cに設けられたAC入力端子8に固着され前記導体板6の接点6eと接離する固定接点8aとから構成されており、エンコーダ部は、前記回転板5に設けられたコードパターン4bと、ケース1に収納されたウエハー2に設けられ、前記回転板5の回転により前記コードパターン4bと摺接する摺動子3から構成されている。
【0036】
そして、上記構成のように、電源スイッチ部とエンコーダ部をハウジングに一体に収納したので、コード出力用のエンコーダ部を回転板5に設けられた摺動接点であるコードパターン4bと、このコードパターン4bと摺接する摺動子3で構成することにより、従来のバット接点構造のものに比べて異物や外部雰囲気の影響を少なくし接点信頼性が向上するものとなっている。また、摺動接点構造のため、操作時のフィーリングが良好となっている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のスイッチ装置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明のスイッチ装置を示す組立斜視図である。
【図3】本発明のスイッチ装置の内部構造を示す要部断面図である。
【図4】従来のロータリー型のスイッチ装置の一部を破断した状態を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1:ケース(ハウジング)
1a:収納部
1b:軸受孔
1c:保持溝部
1d:係合突起
1e:端子穴
1f:ガイド柱
2:ウエハー
2a:貫通孔
2b:切欠部
3:摺動子
3a:接点部
3b:コード出力端子
4:コード基板
4a:貫通孔
4b:コードパターン
5:回転板
5a:基盤部
5b:回転軸
5c:駆動カム
5d:凹部
5e:クリックカム
6:導体板
6a:基部
6b:可動片部
6c:AC出力端子(内部基板接続用)
6d:駆動突起
6e:接点
7:カバー(ハウジング)
7a:上板部
7b:軸孔
7c:ACインレット部
7d:ACアウトレット部
7e:係止片
8:AC入力端子
8a:固定接点
9:AC出力端子(外部接続用)
9a:中継端子
10:駆動部材
11:コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ACインレット部を有するハウジングと、このハウジング内に回転可能に配設された回転板と、この回転板に設けられた駆動カムに連動して前記ACインレット部の接点の切り換えを行う電源スイッチ部と、前記回転板の回転に伴ってコード出力を行うエンコーダ部とを備え、前記電源スイッチ部は、前記ハウジング内に配設され前記駆動カムにより傾動される導体板と、前記ACインレット部に設けられたAC入力端子に固着され前記導体板の接点と接離する固定接点とからなり、前記エンコーダ部は、前記回転板に設けられたコードパターンと、前記ハウジングに設けられ前記回転板の回転により前記コードパターンと摺接する摺動子からなり、前記電源スイッチ部と前記エンコーダ部を前記ハウジングに一体に収納したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記回転板の上面に前記駆動カムを設けると共に、前記回転板の下面には前記コードパターンを有するコード基板を設け、前記駆動カムに前記導体板を対向させて前記回転板の上方に前記電源スイッチ部を配置すると共に、前記コード基板に前記摺動子を有するウエハーを対向させて前記回転板の下方に前記エンコーダ部を配置したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記回転板の上面に、前記駆動カムと並設して凹凸状のクリックカムを形成し、前記ハウジングには、前記回転板の回転に伴って前記クリックカムと摺動してクリック感を生起する駆動部材を設けたことを特徴とする請求項1、又は2記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−260840(P2006−260840A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73688(P2005−73688)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】