説明

スイッチ装置

【課題】コストの低減を図りつつ、装置本体を小型化すること。
【解決手段】底面に複数の固定接点31を有するハウジング11と、押圧操作に応じて複数の固定接点31に離接する可動接点板22と、押圧操作に応じてクリック感触を発生させるクリック感触用板21とを備えるスイッチ装置において、ハウジング11の底面から離間した位置に形成された保持片11dで可動接点板22の腕部22bを保持し、使用者から第1の押圧操作を受けるとクリック感触用板21が押されて押圧方向に対して反転し可動接点板22が押されて可動接点板22の腕部22bと外部固定接点31bとが接し導通状態となり、更に押圧する第2の押圧操作を受けると可動接点板22の円形状部22aと中央固定接点31aとが接し導通状態となることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、特に、使用者の押圧操作により2段階で動作するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の押圧操作に応じて2段階で動作するダブルアクションタイプのスイッチ装置が知られている。一般に、ダブルアクションタイプのスイッチ装置においては、複数の固定接点を有する絶縁性のハウジング内にドーム形状の可動接点板を上下2段に配設し、上部可動接点板を押圧すると、その上部可動接点板が下部可動接点板の上端面に接触して導通し、さらに押圧すると、ハウジングの底の固定接点に接触して導通するように構成されている。例えば、下部可動接点板は、上部可動接点板との接触部分を開放した孔を有する粘着シートによって位置決め固定される。
【0003】
このような従来のダブルアクションタイプのスイッチ装置においては、上下2段に可動接点板を配置する構成であるため、部品点数が多く、コストダウンや小型化が困難である。また、電極部を成すメッキ面も多いため、メッキ処理に要するコストもかかる。そこで、コストダウン及び小型化を図るべく、ハウジングの凹部底に複数の固定接点を設け、その凹部内に1枚のドーム形状の可動接点板を配置し、この可動接点板に対する第1の押圧操作により凹部底の外側の固定接点に接し導通状態となり、更に押す第2の押圧操作により凹部底の中央の固定接点に接し導通状態となるスイッチ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、特許文献1記載のスイッチ装置において、可動接点板は、その動作特性の劣化を防止すべく、粘着シートにより回路基板上に貼り付け固定されている。
【特許文献1】特開2005−276499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のスイッチ装置においては、可動接点板における固定接点より外側の撓み部分が押圧操作により粘着シートに貼り付くのを防止すべく、可動接点の外側にスペーサを設けたり、粘着シートに非接着部分を設けたりしている。このため、部品点数や製造工程が増加することとなり、コストの低減を図ることができないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、コストの低減を図りつつ、装置本体を小型化することができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスイッチ装置は、底面に複数の固定接点を有するハウジングと、使用者の押圧操作に応じて前記複数の固定接点に離接する可動接点板と、前記可動接点板を挟んで前記複数の固定接点の反対側に配置され、使用者の押圧操作に応じてクリック感触を発生させるクリック感触発生部材とを具備するスイッチ装置であって、前記可動接点板は、第1の固定接点に対向配置される本体部と、当該本体部から延在し、前記第1の固定接点の外側に配置される第2の固定接点に対向配置される腕部とを有し、前記ハウジングは、底面から離間した位置で前記腕部の端部近傍で前記可動接点板を保持する第1の保持部と、当該第1の保持部よりも底面から離間した位置で前記クリック感触発生部材を保持する第2の保持部とを有し、使用者から第1の押圧操作を受けると前記クリック感触発生部材が押されて押圧方向に対して反転し前記可動接点板が押されて前記可動接点板の腕部と前記第2の固定接点とが接し導通状態となり、更に押圧する第2の押圧操作を受けると前記可動接点板の本体部と前記第1の固定接点とが接し導通状態となることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、単一の可動接点板により2段階の押圧操作に対応するようにしたので、複数の可動接点板を使用する場合に比べて装置本体の省スペース化を実現することができる。しかも、可動接点板は、腕部の端部近傍にて、ハウジングの底面から離間した位置で第1の保持部に保持されることから、従来のスイッチ装置のように、可動接点の外側にスペーサを設けたり、粘着シートに非接着部分を設けたりする必要がなくなるので、部品点数や製造工程が増加する事態を防止することができる。この結果、コストの低減を図りつつ、装置本体を小型化することが可能となる。また、可動接点板を挟んで固定接点の反対側にクリック感触発生部材を配置したことから、使用者によって押圧操作が行われた場合に当該押圧操作が適切に行われたことを認識させることが可能となる。
【0008】
上記スイッチ装置においては、前記可動接点板における前記クリック感触発生部材側に配置される絶縁部材を更に具備し、前記ハウジングは、前記第1の保持部よりも底面から離間する一方、前記第2の保持部よりも底面に近接した位置で前記絶縁部材を保持する第3の保持部を有することが好ましい。この場合には、第1の保持部よりも底面から離間する一方、第2の保持部よりも底面に近接した位置に設けられた第3の保持部で絶縁部材が保持されることから、絶縁部材が可動接点板の動作を規制することはない。
【0009】
特に、上記スイッチ装置において、前記絶縁部材は、前記腕部の端部近傍の一部を除く少なくとも外周縁に亘って前記可動接点板を覆うことが好ましい。この場合には、絶縁部材が、可動接点板と固定接点とから成る接点部に塵や埃等が侵入するのを防止する防塵材としての役割を果たすので、塵や埃等の侵入に起因する装置本体の故障又は誤作動等を防止することが可能となる。また、絶縁部材から腕部の端部近傍の一部を露出していることから、可動接点板の自由な動作を確保することが可能となる。
【0010】
また、上記スイッチ装置において、前記可動接点板の本体部は、前記クリック感触発生部材側に膨出形成されたドーム形状を有することが好ましい。この場合には、使用者により第1の押圧操作が行われた場合に、可動接点板の本体部を第1の固定接点から離間させることができるので、第1の押圧操作に応じた導通状態と、第2の押圧操作に応じた導通状態とを明確に識別することが可能となる。
【0011】
さらに、上記スイッチ装置において、前記可動接点板は、フープ材に対する打ち抜き加工により形成され、当該可動接点板の腕部は、当該打ち抜き加工時における繋ぎ桟により形成されることが好ましい。この場合には、フープ材を打ち抜き加工する際に必要となる繋ぎ桟により可動接点板の腕部が形成されることから、フープ材を効率的に使用することができると共に、設計や金型の構造を簡素化することができる。これにより、装置本体の製造に要するコストを低減すると共に、設計の自由度を増すことが可能となる。
【0012】
なお、上記スイッチ装置においては、前記可動接点板の本体部及び腕部を、フープ材に対する打ち抜き加工により形成するようにしても良い。この場合には、可動接点板の腕部を繋ぎ桟により形成する場合にその切断部に発生し得る不具合(切断部における屈曲や突部の発生)を防止することができるので、固定接点との高さ方向の精度を良くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、単一の可動接点板により2段階の押圧操作に対応すると共に、可動接点板を、その腕部の端部近傍でハウジングの底面から離間した位置に設けられた第1の保持部で保持するようにしたので、コストの低減を図りつつ、装置本体を小型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置10の外観を示す斜視図である。図1においては、本スイッチ装置10が搭載される装置(以下、適宜「搭載装置」という)のフレーム(以下、「装置フレーム」という)Fの一部に固定された状態について示している。
【0015】
例えば、本スイッチ装置10は、デジタルスチルカメラやカメラ機能付き携帯電話装置のシャッターボタンとして搭載されるが、これに限定されるものではない。すなわち、2段階で動作するダブルアクションタイプのスイッチ装置を必要とする装置であれば、いかなる装置にも適用することが可能である。
【0016】
なお、図1においては、本スイッチ装置10が装置フレームFの端面に固定される場合について示している。しかしながら、本スイッチ装置10を固定する場所については、これに限定されるものではなく、適宜変更して固定することが可能である。
【0017】
図1に示すように、本スイッチ装置10は、内部に空間を有し、装置フレームFに固定されるハウジング11と、使用者の押圧操作を受け付ける操作ボタン12と、操作ボタン12の一部を露出した状態でハウジング11を蓋閉するカバー13とを含んで構成されている。ハウジング11の所定位置には、その内部に設けられた後述する固定接点から導出される複数の端子14が取り付けられている。これらの複数の端子14からの信号は、装置フレームFに固定される回路基板(不図示)を介して搭載装置の制御部に出力される。
【0018】
図2は、本実施の形態に係るスイッチ装置10の断面を示す斜視図である。なお、図2においては、図1に示す一点鎖線Aに沿って本スイッチ装置10を切断した場合の断面について示している。以下、本実施の形態に係るスイッチ装置10の内部の概略構成について説明する。
【0019】
図2に示すように、本スイッチ装置10の内部においては、操作ボタン12の一部が収容されると共に、クリック感触発生部材としてのクリック感触用板21及び可動接点板22が収容される。これらのクリック感触用板21及び可動接点板22は、板ばねで形成されており、操作ボタン12に対する使用者による押圧操作に応じて形状が変化する。なお、クリック感触用板21は、押圧操作に伴うクリック感触を発生するものである。可動接点板22は、押圧操作に応じてハウジング11の底面に埋設された固定接点と接し、所定の導通状態を形成するものである。
【0020】
ここで、本実施の形態に係るスイッチ装置10の内部構造について図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係るスイッチ装置10の内部構造について説明するための拡大断面図である。図4は、本実施の形態に係るスイッチ装置10の上面図である。
【0021】
なお、図3においては、図1に示す一点鎖線Bに沿って本スイッチ装置10を切断した場合の断面について示している。また、図3においては、説明の便宜上、操作ボタン12を上側に向けた場合について示している。さらに、図4においては、説明の便宜上、可動接点板22よりも上方に配置される構成要素について省略している。以下においては、図3に示す上下方向及び左右方向を基準として、説明を行うものとする。
【0022】
図3に示すように、操作ボタン12は、ヘッド部12a、肩部12b及び脚部12cで構成される。操作ボタン12は、脚部12cの下端部でクリック感触用板21に接触しており、クリック感触用板21の付勢力により上方側に押し出さす力が働いている。使用者による押圧操作が行われていない状態(図3に示す状態)においては、肩部12b及び脚部12cがハウジング11内に収容されている。この場合において、ヘッド部12aは、カバー13に形成される開口部13aから突出した状態となっている。また、肩部12bは、カバー13の内側面に当接し、操作ボタン12の上方側への移動を規制している。
【0023】
図3及び図4に示すように、ハウジング11の下面には、円形状を有する凹部11aが形成されている。この凹部11aの底面には、複数の固定接点31が埋設されている。固定接点31は、凹部11aの中央に配置された中央固定接点31aと、この中央固定接点31aの側方側に配置された一対の外部固定接点31bとから構成される。これらの中央接点31a及び外部固定接点31bに上述した複数の端子14が接続される。これらの中央接点31a及び外部固定接点31bと、可動接点板22との接触状態に応じて、本スイッチ装置10から搭載装置への出力信号が切り替えられることとなる。
【0024】
凹部11aの周囲には、図4に示すように、凹部11aよりも高い位置に設定される平面部11bが形成されている。平面部11bには、後述する絶縁シートが貼り付け固定される。そして、平面部11bにおける本スイッチ装置10の側方側の位置には、スリット部11cが形成されている。スリット部11cは、凹部11aと同一の高さに設けられている。
【0025】
このスリット部11cの先に、後述する可動接点板22の腕部を保持する一対の保持片11dが立設されている(図3参照)。一対の保持片11dは、凹部11aよりも底面から高い高さに設定される一方、平面部11bよりも僅かに低い高さに設定されている。
【0026】
この一対の保持片11dの図4に示す上下方向の位置には、平面部11bよりも高い位置に設定される保持台11eが形成されている。保持台11eは、上述したクリック感触用板21を保持する。なお、保持片11dと、ハウジング11の側面部11fとの間には、一定の空間が設けられている。使用者により押圧操作が行われる際、可動接点板22の先端は、この空間内を揺動可能に構成されている。
【0027】
本実施の形態に係るスイッチ装置10において、一対の保持片11d及び保持台11eは、それぞれ可動接点板22及びクリック感触用板21を固定していない。これは、可動接点板22及びクリック感触用板21の自由な動作を確保するためである。しかしながら、一対の保持片11d及び保持台11eの構成については、これに限定されるものではない。これらの自由な動作を確保することができれば、可動接点板22及びクリック感触用板21を固定するように保持しても良い。ここでは、一対の保持片11dが第1の保持部を構成し、保持台11eが第2の保持部を構成し、平面部11bが第3の保持部を構成する。
【0028】
ここで、可動接点板22の構成について説明する。可動接点板22は、図4に示すように、本体部を構成する円形状部22aと、腕部22bとから構成されている。円形状部22aは、上方側に僅かに膨出形成されたドーム形状を有している(図3参照)。腕部22bは、円形状部22aの外周の対向する位置から側方側に延在し、その先端においてT字形状を有している。ここでは、腕部22bの先端がT字形状を有する場合について示しているが、腕部22bの形状についてはこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、円形状部22aから延在するだけのストレート形状であっても良い。なお、可動接点板22の円形状部22a及び腕部22bの下面には、銀メッキ処理が施されている。
【0029】
可動接点板22は、腕部22bを一対の保持片11dに載置する位置に配置される。具体的に言うと、円形状部22aは、凹部11aに対応する位置に配置され、腕部22bは、スリット部11c及び一対の保持片11dに対応する位置に配置される。特に、図4に示すように、腕部22bにおけるT字形状の付け根部分を、一対の保持片11dに載置する位置に配置される。使用者により押圧操作が行われていない状態において、腕部22bは、円形状部22aの外周からハウジング11の凹部11aの底面と略平行に側方側に延在している(図3参照)。
【0030】
なお、このように可動接点板22が配置される場合において、中央固定接点31aは、図3及び図4に示すように、可動接点板22の円形状部22aの中央部分の下方側の位置に配置されている。また、外部固定接点31bは、円形状部22bと腕部22aとの連結部分の下方側の位置に配置されている。
【0031】
可動接点板22の上方には、図3に示すように、絶縁シート32が配設される。絶縁シート32は、腕部22bの先端の一部を除く全範囲を覆うように可動接点板22に被せられている。絶縁シート32は、可動接点板22と固定接点31とから成る接点部に塵や埃等が侵入するのを防止する防塵材としての役割を果たすものである。このように、絶縁シート32が防塵材として機能するので、塵等に起因する装置本体の故障又は誤作動等を防止することが可能となる。
【0032】
なお、絶縁シート32は、可動接点板22の全面を覆うように貼り付けられる共に、平面部11bに貼り付け固定されている(図3参照)。具体的には、図4に示す斜線部分に貼り付け固定されている。平面部11bは、凹部11aの底面からの高さが、保持片11dに腕部22bを載置した高さよりも僅かに高く設定されている。このように平面部11bに貼り付け固定されるため、絶縁シート32が可動接点板22の動作を規制することはない。
【0033】
また、絶縁シート32の上方には、図3に示すように、クリック感触用板21が配設されている。クリック感触用板21は、上方側に僅かに膨出形成されたドーム形状を有している。クリック感触用板21の裏面であって、ドーム形状の中央部には、僅かに下方側に向かって突出する突起21aが形成されている。突起21aは、使用者による押圧操作に応じて可動接点板22の中央部を効率的に中央固定接点31aの接触させるために形成されている。
【0034】
なお、クリック感触用板21は、図3に示すように、保持台11eに載置される(図4参照)。保持台11eは、凹部11aの底面からの高さが、平面部11bに絶縁シート32を貼り付け固定した高さよりも高く設定されている。一方、クリック感触用板21が上方に膨出形成されたドーム形状を有することから、使用者により押圧操作が行われていない状態において、クリック感触用板21と絶縁シート32との間には一定の空間を形成されている。
【0035】
次に、上記構成を有する本スイッチ装置10における動作について図5及び図6を用いて説明する。本スイッチ装置10は、使用者による押圧操作に応じて2段階の動作を行うものである。図5は、本実施の形態に係るスイッチ装置10において、第1段階の押圧操作を受け付けた場合の断面図を示し、図6は、第2段階の押圧操作を受け付けた場合の断面図を示している。
【0036】
図5に示すように、本スイッチ装置10において、使用者から第1段階の押圧操作を受け付けた場合、操作ボタン12が下方側に押し込まれ、その脚部12cの下端部がクリック感触用板21を押し下げる。脚部12cにより押し下げられると、クリック感触用板21の下面が絶縁シート32に接触し、その下面に密着している可動接点板22を僅かに押し下げる。
【0037】
可動接点板22は、上述したように、腕部22bの一部で一対の保持片11dに載置されている。このため、クリック感触用板21により僅かに押し下げられると、可動接点板22全体ではなく、その円形状部22aと腕部22bとの連結部分が下降する。このため、当該連結部分が外部固定接点31bに接触することにより、可動接点板22と、外部固定接点31bとが導通状態となり、本スイッチ装置10から搭載装置に第1段階の押圧操作に応じた出力信号が出力される。この場合において、可動接点板22の円形状部22aと、中央固定接点31aとは接触していない。
【0038】
なお、クリック感触用板21は、このように第1段階の押圧操作が行われた時点でそのドーム形状部分が上下方向に反転するように構成されている。これにより、使用者にクリック感触が付与される。このクリック感触の付与により、使用者は、第1段階の押圧操作が適切に行われたことを認識することができる。
【0039】
そして、図5に示す状態から、使用者から第2段階の押圧操作を受け付けた場合、図6に示すように、更に操作ボタン12が下方側に押し込まれ、その脚部12cの下端部が更にクリック感触用板21を押し下げる。脚部12cにより更に押し下げられると、クリック感触用板21の下面が、絶縁シート32を介して可動接点板22を更に押し下げる。
【0040】
この場合、可動接点板22は、その円形状部22aと腕部22bとの連結部分が外部固定接点31bに接触した状態で、円形状部22aが押し下げられることとなる。このため、円形状部22aの中央部分が中央固定接点31aに接触することにより、可動接点22と、中央固定接点31a及び外部固定接点31bとが導通状態となり、本スイッチ装置10から搭載装置に第2段階の押圧操作に応じた出力信号が出力される。
【0041】
なお、可動接点板22は、このように第2段階の押圧操作が行われた時点でそのドーム形状部分が上下方向に反転するように構成されている。これにより、使用者にクリック感触が付与される。このクリック感触の付与により、使用者は、第2段階の押圧操作が適切に行われたことを認識することができる。
【0042】
このように本実施の形態に係るスイッチ装置10によれば、単一の可動接点板22により2段階の押圧操作に対応するようにしたので、複数の可動接点板を使用する場合に比べて装置本体の省スペース化を実現することができる。しかも、可動接点板22は、腕部22bの端部近傍にて、ハウジング11の底面から離間した位置で保持片11dに保持されることから、従来のスイッチ装置のように、可動接点の外側にスペーサを設けたり、粘着シートに非接着部分を設けたりする必要がなくなるので、部品点数や製造工程が増加する事態を防止することができる。この結果、コストの低減を図りつつ、装置本体を小型化することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態に係るスイッチ装置10においては、可動接点板22を挟んで固定接点31の反対側にクリック感触用板21を配置したことから、使用者によって押圧操作が行われた場合に当該押圧操作が適切に行われたことを認識させることが可能となる。
【0044】
さらに、本実施の形態に係るスイッチ装置10においては、可動接点板22を、フープ材に対する打ち抜き加工により形成している。そして、この打ち抜き加工時における繋ぎ桟により可動接点板22の腕部22bを形成している。このように、フープ材を打ち抜き加工する際に必要となる繋ぎ桟により可動接点板22の腕部22bを形成するようにしたことから、フープ材を効率的に使用することができると共に、設計や金型の構造を簡素化することができる。これにより、装置本体の製造に要するコストを低減すると共に、設計の自由度を増すことが可能となる。
【0045】
なお、ここでは、可動接点板22の腕部22bを繋ぎ桟により形成する場合について示しているが、腕部22bの構成についてはこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、腕部22bを円形状部22aと共に打ち抜き加工により形成しても良い。このように打ち抜き加工により腕部22bを製造した場合には、腕部22bを繋ぎ桟により形成した場合にその切断部に発生し得る不具合(切断部における屈曲や突部の発生)を防止することができるので、固定接点31との高さ方向の精度を良くすることが可能となる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0047】
例えば、上記実施の形態においては、図3に示すように、クリック感触用板21の上方に操作ボタン12を配設した場合について示している。しかしながら、本スイッチ装置10の構成としては、必ずしも操作ボタン12は必要ではない。例えば、使用者による押圧操作をクリック感触用板21で直接受けるようにしても良い。このように変更した場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。この場合において、クリック感触用板21に何らかの保護膜を設けることが実施の形態として好ましい。
【0048】
また、上記実施の形態においては、図4に示すように、可動接点板22の全面を絶縁シート32で覆う場合について示しているが、絶縁シート32の形状についてはこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、図7に示すように、可動接点板22の中央部に対応する位置に開口部32aを形成するようにしても良い。なお、図7においては、説明の便宜上、絶縁シート32を斜線部で示している。この場合には、使用者が押圧操作を行った場合にクリック感触用板21と可動接点板22とが直接的に接触するので、押圧操作に応じて使用者に付与される感触が悪くなるのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るスイッチ装置の断面を示す斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係るスイッチ装置の内部構造について説明するための拡大断面図である。
【図4】上記実施の形態に係るスイッチ装置の上面図である。
【図5】上記実施の形態に係るスイッチ装置において、第1段階の押圧操作を受け付けた場合の断面図である。
【図6】上記実施の形態に係るスイッチ装置において、第2段階の押圧操作を受け付けた場合の断面図である。
【図7】上記実施の形態に係るスイッチ装置の変形例の上面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 スイッチ装置
11 ハウジング
11a 凹部
11b 平面部
11c スリット部
11d 保持片
11e 保持台
12 操作ボタン
13 カバー
21 クリック感触用板
22 可動接点板
22a 円形状部
22b 腕部
31 固定接点
31a 中央固定接点
31b 外部固定接点
32 絶縁シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に複数の固定接点を有するハウジングと、使用者の押圧操作に応じて前記複数の固定接点に離接する可動接点板と、前記可動接点板を挟んで前記複数の固定接点の反対側に配置され、使用者の押圧操作に応じてクリック感触を発生させるクリック感触発生部材とを具備するスイッチ装置であって、
前記可動接点板は、第1の固定接点に対向配置される本体部と、当該本体部から延在し、前記第1の固定接点の外側に配置される第2の固定接点に対向配置される腕部とを有し、前記ハウジングは、底面から離間した位置で前記腕部の端部近傍で前記可動接点板を保持する第1の保持部と、当該第1の保持部よりも底面から離間した位置で前記クリック感触発生部材を保持する第2の保持部とを有し、
使用者から第1の押圧操作を受けると前記クリック感触発生部材が押されて押圧方向に対して反転し前記可動接点板が押されて前記可動接点板の腕部と前記第2の固定接点とが接し導通状態となり、更に押圧する第2の押圧操作を受けると前記可動接点板の本体部と前記第1の固定接点とが接し導通状態となることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記可動接点板における前記クリック感触発生部材側に配置される絶縁部材を更に具備し、前記ハウジングは、前記第1の保持部よりも底面から離間する一方、前記第2の保持部よりも底面に近接した位置で前記絶縁部材を保持する第3の保持部を有することを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記絶縁部材は、前記腕部の端部近傍の一部を除く少なくとも外周縁に亘って前記可動接点板を覆うことを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記可動接点板の本体部は、前記クリック感触発生部材側に膨出形成されたドーム形状を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記可動接点板は、フープ材に対する打ち抜き加工により形成され、当該可動接点板の腕部は、当該打ち抜き加工時における繋ぎ桟により形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記可動接点板の本体部及び腕部を、フープ材に対する打ち抜き加工により形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−192550(P2008−192550A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28049(P2007−28049)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】