説明

スイッチ装置

【課題】スイッチ装置の部品点数を削減する。
【解決手段】基板33には、磁気センサ35が設置される。ホルダ22は、基板33に対して相対的に回転自在であり、サイドスタンドの回動に伴って回転する。このホルダ22には、突起部22Aおよび22Bが一体化して設けられており、突起部22Aおよび22Bは、サイドスタンドの上端部を挟み込むことによりサイドスタンドを挟持する。また、ホルダ22には、磁石が配置される磁石保持部が設置される。本発明は、例えば、二輪自動車のサイドスタンドに装着されるスイッチ装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、特に、スイッチ装置の部品点数を削減することができるようにしたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二輪自動車のサイドスタンドの回動に応じて、オン信号またはオフ信号を出力するスイッチ装置がある。このようなスイッチ装置は、例えば、サイドスタンドが起立しているとき、オフ信号を二輪自動車のECU(Engine Control Unit)に出力し、エンジンの起動を妨げる。これにより、運転者が、サイドスタンドを起立したままの状態で誤って二輪自動車を走行させ、サイドスタンドを路面等に接触させることにより転倒することを防止することができる。
【0003】
このようなスイッチ装置としては、サイドスタンドの回動とともに回転し、S極およびN極の磁気を帯びた磁石面が形成された回転部材と、その回転部材の磁石面の一部と対向して配設され、その磁石面からの磁気にて一対の金属端子を接触または離間させることにより電気的スイッチングを行うリードスイッチとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、リードスイッチを備えるスイッチ装置では、機械的な接触を用いてスイッチングが行われるので、二輪自動車の転倒等による衝撃で金属端子の接触不良が発生し、正確なスイッチングを行うことができない可能性がある。
【0005】
そこで、サイドスタンドの回動とともに回転する回転部材に磁石を設け、その磁石と対向する位置にホールIC(Integrated Circuit)を設けたスイッチ装置が考案されている(例えば、特許文献2参照)。このスイッチ装置では、機械的な接触ではなく、磁界の変化を用いてスイッチングが行われるため、スイッチングの信頼性を高めることができる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−355903号公報
【0007】
【特許文献2】特開2008−130314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のスイッチ装置では、磁石が設けられる回転部材と、スイッチ装置をサイドスタンドに取り付けるためのフランジボルトが別個に設けられており、スイッチ装置の部品点数が多くなる。その結果、スイッチ装置を製造する際の組み立て作業が複雑となり、製造コストが高くなる。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、スイッチ装置の部品点数を削減することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面のスイッチ装置は、磁気センサが設置された基板と、磁石が設置された、前記基板に対して相対的に回転自在な回転部と、他の装置に取り付けるための取り付け部とを備え、前記回転部と前記取り付け部は一体化しているスイッチ装置である。
【0011】
本発明の一側面のスイッチ装置においては、磁気センサが設置された基板と、磁石が設置された、前記基板に対して相対的に回転自在な回転部と、他の装置に取り付けるための取り付け部とが設けられ、前記回転部と前記取り付け部は一体化している。
【0012】
従って、スイッチ装置の部品点数を削減することができる。
【0013】
この磁気センサは、例えば、MRセンサ、ホールICにより構成される。
【0014】
本発明の一側面のスイッチ装置において、前記取り付け部は、少なくとも2つの突起部からなり、前記突起部は、前記他の装置を挟み込むことにより前記他の装置を挟持するようにすることができる。
【0015】
これにより、取り付け部の厚み分だけ、スイッチ装置の厚みを削減することができる。
【0016】
本発明の一側面のスイッチ装置において、前記基板は、樹脂によって封止されるようにすることができる。
【0017】
これにより、基板への浸水を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の一側面によれば、スイッチ装置の部品点数を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1と図2は、本発明を適用したサイドスタンドの一実施の形態の外観構成例を示す斜視図である。
【0020】
なお、図1は、サイドスタンド全体の外観構成例を示す斜視図であり、図2は、サイドスタンドのうちのスイッチ装置付近の外観構成例を示す斜視図である。また、図1Aと図1Bとでは、視点が異なっている。
【0021】
図1や図2に示すように、サイドスタンド10の上端部10Aは、ボルト11によって、二輪自動車のフレーム(図示せず)にボルト等で固定されるブラケット12に取り付けられている。但し、ブラケット12とサイドスタンド10の上端部10Aは圧着されていない。従って、サイドスタンド10は、ブラケット12に対してボルト11の中心軸を中心に回動する。
【0022】
また、図1や図2に示すように、スイッチ装置13は、掛止部21Aを有するケース部21、ホルダ22などにより構成される。このスイッチ装置13の詳細な構成については後述する。スイッチ装置13のケース部21の掛止部21Aは、ブラケット12と二輪自動車のフレームに挿通する棒状のブラケット14にスイッチ装置13を掛止し、これにより、スイッチ装置13のケース部21の図中上部は、ブラケット12に固定される。また、ケース部21の図中下部は、ホルダ22を介してサイドスタンド10の上端部10Aに取り付けられている。従って、スイッチ装置13は、サイドスタンド10の回動に伴って、ブラケット12に対して回動する。
【0023】
図3と図4は、スイッチ装置13の詳細構成例を示している。
【0024】
図3は、組み立てられた状態のスイッチ装置13を示しており、図4は、スイッチ装置13の詳細な構成を分かりやすくするために、スイッチ装置13を分解して示している。
【0025】
図3や図4に示すように、スイッチ装置13において、ケース部21は、サイドスタンド10の上端部10Aに設置される側が開放された、掛止部21Aを有するケース21Bからなる。このケース21Bの開放部は、ホットメルトモールド工法などを用いて保護樹脂21Cにより封止される。これにより、ケース21Bの内部への浸水を防止することができる。
【0026】
また、図3および図4に示すように、ケース21Bには、ハーネスホルダ34、磁気センサ35などが設置された基板33が収納される。なお、磁気センサ35としては、MRセンサやホールICを採用することができるが、以下では、磁気センサ35としてホールICを採用した場合について説明する。
【0027】
ハーネスホルダ34には、磁気センサ35と二輪自動車のECUなどを接続するハーネス(図示せず)が通される。このハーネスにより、磁気センサ35から出力される電気信号が二輪自動車のECUなどに送信される。
【0028】
ホルダ22には、サイドスタンド10の上端部10Aのスイッチ装置13が取り付けられる面の幅だけ左右に離れた突起部22Aと22Bが設けられている。この突起部22Aおよび22Bが上端部10Aを挟持することにより、ホルダ22は上端部10Aに固定される。また、ケース部21は、掛止部21Aによりブラケット14に固定される。その結果、サイドスタンド10の回動に伴って、ホルダ22が、ケース21Bに収納されている基板33に対して回転する。
【0029】
また、ホルダ22には、図3や図4に示すように穴部22Cが設けられ、ケース21Bには、その穴部22Cに対向する位置に穴部21Dが設けられている。そして、この穴部22C,21Dには、カラー31が挿通している。このカラー31は、ホルダ22とケース21Bの間に設けられるワッシャ32の穴部32Aにも挿通している。これにより、ホルダ22の回転が、カラー31の中心軸を中心に安定して行われる。
【0030】
次に、図5を参照して、スイッチ装置13の部品点数について説明する。
【0031】
なお、図5Aはスイッチ装置13を取り付け面側から見た平面図を示し、図5Bは、図5Aの平面図のA−A´断面図である。
【0032】
図5Aに示すように、スイッチ装置13では、ホルダ22を上端部10Aに固定するための突起部22Aと22Bが、ホルダ22に設けられ、図5Bに示すように、このホルダ22のワッシャ32と接する面には、磁石(図示せず)を保持する磁石保持部41が配置されている。即ち、スイッチ装置13では、磁石保持部41が配置される、サイドスタンド10の回動とともに回転する回転部材と、スイッチ装置13をサイドスタンド10に取り付けるための取り付け部材がホルダ22として一体化されている。
【0033】
従って、これらが一体化されていない場合に比べて、スイッチ装置13の部品点数が少なくなる。その結果、スイッチ装置13を製造する際の組み立て作業が簡単になり、製造コストが抑制される。
【0034】
また、突起部22Aと22Bは、サイドスタンド10の上端部10Aのスイッチ装置13が取り付けられる面の幅だけ左右に離れており、突起部22Aと22Bは上端部10Aを挟み込むことにより挟持する。従って、スイッチ装置13の実際の厚みTは、図5Bに示すように突起部22Aや22Bの厚みを含まないものとなる。よって、取り付け部材が、サイドスタンド10とスイッチ装置13を接続させるボルトなどの部材である場合に比べて、スイッチ装置13の厚みTは小さくなる。
【0035】
その結果、スイッチ装置13が目立たず、スイッチ装置13を装着する二輪自動車のデザイン性を高めることができる。また、二輪自動車のレイアウトが優位になる。
【0036】
次に、図6および図7を参照して、スイッチ装置13によるサイドスタンド10の状態の検出方法について説明する。
【0037】
なお、ここでは、ホルダ22の磁石保持部41は、サイドスタンド10が起立状態にあるときに、磁気センサ35に対向する位置から離れた位置に存在し、サイドスタンド10が格納状態にあるときに、磁気センサ35に対向する位置に存在するように、配置されているものとする。
【0038】
まず、図6に示すように、サイドスタンド10が起立状態になっており、磁石保持部41が磁気センサ35と対向する位置から離れた位置に存在する場合について説明する。
【0039】
なお、図6Aは、スイッチ装置13を取り付け面側から見た図を示している。このことは、後述する図7Aにおいても同様である。但し、図6Aおよび図7Aにおいては、説明を分かりやすくするため、掛止部21A、突起部22Aおよび22B、並びに保護樹脂21Cは図示していない。また、図6Bは、図6Aの矢印P方向から見たときの基板33と磁石保持部41に保持される磁石の位置関係を示している。このことは、後述する図7Bにおいても同様である。
【0040】
図6Aに示すように、磁石保持部41が磁気センサ35と対向する位置から離れた位置(図6の例では、穴部22Cの中心軸を中心として、磁気センサ35に対向する位置から図中反時計回り方向に約100度離れた位置)に存在する場合、図6Bに示すように、磁石保持部41に保持されている磁石51と磁気センサ35の、磁気センサ35の設置面に平行な方向の距離が長いため、磁石51により形成される磁場は磁気センサ35によって検出されず、磁気センサ35はオフ信号を出力する。
【0041】
このオフ信号は、ハーネスを介して二輪自動車のECUに供給され、ECUは、そのオフ信号に応じて二輪自動車のエンジンの起動を許可しないように制御する。その結果、サイドスタンド10が起立状態にある場合、二輪自動車のエンジンが起動されず、走行時にサイドスタンド10が路面等に接触することによる転倒を防止することができる。
【0042】
なお、ここでは、磁気センサ35として、設置面に対して垂直な方向の磁場を検出するホールICが採用されているので、図6Bに示すように、磁気センサ35の設置面に垂直な方向にN極とS極が隣接するように、磁石保持部41に設置される磁石51は着磁されている。
【0043】
次に、図7に示すように、サイドスタンド10が格納状態になっており、磁石保持部41が磁気センサ35と対向する位置に存在する場合について説明する。
【0044】
この場合、図7Bに示すように、磁石51と磁気センサ35の、磁気センサ35の設置面に平行な方向の距離が略ゼロであるため、磁石51により形成される磁場は磁気センサ35によって検出され、磁気センサ35はオン信号を出力する。
【0045】
このオン信号は、ハーネスを介して二輪自動車のECUに供給され、ECUは、そのオン信号に応じて二輪自動車のエンジンの起動を許可するように制御する。その結果、サイドスタンド10が格納状態にある場合、二輪自動車のエンジンを起動することができる。
【0046】
但し、磁気センサ35がオン信号を出力するときの磁石51の回転角度の範囲(以下、検出角度範囲という)は、磁石51の材質、磁石51のサイズ、磁気センサ35の検出特性、磁石51と磁気センサ35の位置関係、磁石51の回転半径、温度、磁気センサ35の種類などによって異なる。
【0047】
例えば、図8に示すように、ホルダ22の中心Qと磁石51の中心Q側の面との距離が7mm、磁石51のサイズが縦8mm×横3mm×高さ2mm(但し、高さ方向が磁化方向)で、材質がフェライトである場合、検出角度範囲の実験結果は、図9に示すようになる。
【0048】
なお、図8の上部は、スイッチ装置13を取り付け面側から見たときのホルダ22(但し、突起部22Aおよび22Bは省略)と基板33を示しており、図8の下部は、図8の上部のA−A´断面図を示している。
【0049】
また、図9のグラフでは、横軸がホルダ22の中心Qと磁気センサ35の中心の間の距離rmmを表し、縦軸が、磁石51が磁気センサ35と対向する位置を基準としたときの検出角度範囲θdegを表している。図9のグラフでは、ホルダ22の磁気センサ35側の面と磁気センサ35のホルダ22側の面の間の距離zをそれぞれ2.5mm、3.0mm,3.5mmとした場合の検出角度範囲θdegが示されている。
【0050】
図9に示すように、距離zおよびrが短いほど検出角度範囲は広くなる。従って、格納状態として検出されるサイドスタンド10の状態にある程度の幅を持たせたい場合、距離zや距離rを比較的短くし、サイドスタンド10の格納状態をより正確に検出し、転倒の可能性を可能な限り防止したい場合には、距離zや距離rを比較的長くすればよい。
【0051】
なお、上述した説明では、サイドスタンド10が格納状態にあるときに、磁気センサ35と磁石保持部41が対向する位置になるように、磁石保持部41が配置されたが、サイドスタンド10が起立状態であるときに、磁気センサ35と磁石保持部41が対向する位置になるように、磁石保持部41が配置されるようにしてもよい。この場合、二輪自動車のECUは、磁気センサ35からオン信号が供給された場合、エンジンの起動を許可せず、オフ信号が供給された場合、エンジンの起動を許可する。
【0052】
また、磁石51の形状はどのような形状であってもよいが、立方体、直方体などの簡単な形状とすれば、磁石51の製造およびスイッチ装置13への磁石51の組み込みが容易になり、製造コストを抑制することができる。また、磁石51の材質はどのようなものであってもよいが、軽量な材質とすれば、スイッチ装置13の軽量化を図ることができ、スイッチ装置13を装着する二輪自動車の燃費向上に貢献することができる。さらに、磁石51の材質がフェライドである場合、スイッチ装置13の浸水などによる錆の発生を防止することができる。また、磁石51の材質がフェライドである場合、磁石51のコストを抑えることができる。
【0053】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用したサイドスタンドの一実施の形態の全体の外観構成例を示す斜視図である。
【図2】サイドスタンドのうちのスイッチ装置付近の外観構成例を示す斜視図である。
【図3】組み立てられた状態のスイッチ装置の詳細構成例を示す図である。
【図4】分解された状態のスイッチ装置の詳細構成例を示す図である。
【図5】スイッチ装置の部品点数について説明する図である。
【図6】サイドスタンドが起立状態になっている場合の磁石の位置と磁場を示す図である。
【図7】サイドスタンドが格納状態になっている場合の磁石の位置と磁場を示す図である。
【図8】実験に用いられたスイッチ装置について説明する図である。
【図9】検出角度範囲の実験結果を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
13 スイッチ装置
22 ホルダ
33 基板
35 磁気センサ
51 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気センサが設置された基板と、
磁石が設置された、前記基板に対して相対的に回転自在な回転部と、
他の装置に取り付けるための取り付け部と
を備え、
前記回転部と前記取り付け部は一体化している
スイッチ装置。
【請求項2】
前記取り付け部は、少なくとも2つの突起部からなり、
前記突起部は、前記他の装置を挟み込むことにより前記他の装置を挟持する
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記基板は、樹脂によって封止される
請求項1に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−123334(P2010−123334A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294532(P2008−294532)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】