説明

スイッチ装置

【課題】故障の検知や故障の発生箇所の判別ができ、しかも、それを装置の大形化を招来することなくできるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】移動子24を移動させれば、故障がない場合、ヨーク4,5に磁気短絡体27が接触して、磁石6からヨーク4,5を介する磁気回路Mに磁界の変化が生じることに伴い、アーマチュア7を有した可動接点ばね8と共に可動接点15が固定接点16から離れ、それと共に磁気回路Mに設けたコイル18に電流が流れる。それに対して、故障がある場合、同様に移動子24を移動させても、可動接点15が固定接点16に対して動かなかったり、あるいはコイル18には電流が流れなかったりする。かくして、故障の検知や故障の発生箇所の判別ができるものであり、しかも、そのコイル18は磁気回路Mに設けるもので、装置内に設け得るので、装置の大形化を招来することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障検知機能を有するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スイッチ装置としては、一般に、固定接点と可動接点、並びにその可動接点を常時は固定接点に接触又は離間させるスプリングを収容したケースに、ロッド状の移動子を挿通して設け、その移動子が移動操作されることにより、上記可動接点を固定接点に対し動かして離間又は接触させるようにしたものが供されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−329097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のスイッチ装置は、例えば車両用のストップランプスイッチとして使用されるものであり、移動子が車両のブレーキペダルの踏込み操作に応動し、固定接点に対する可動接点の離間又は接触によって車両のストップランプが点灯され、更には車両のシステムとして、例えばオートマチックトランスミッションのシフトチェンジ(シフトダウン)が行われるようになっている。
【0005】
しかしながら、このものの場合、故障すれば、車両のブレーキペダルを踏込み操作しても、可動接点が固定接点に対して離間又は接触しない。このようなスイッチ装置の故障を検知する機能を、従来のものは有しておらず、従って、故障すれば、上述のストップランプの点灯が行われず、更には車両のシステム側の作動(オートマチックトランスミッションのシフトチェンジ)が行われない事態を惹起してしまう。
又、上述のものの場合、車両のシステム側の作動が行われない場合、それが車両のシステム側の故障か、あるいはスイッチ装置側の故障かという故障の発生箇所の判別ができなかった。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、故障の検知や故障の発生箇所の判別ができ、しかも、それを装置の大形化を招来することなくできるスイッチ装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、固定接点と、この固定接点と対応する可動接点と、この可動接点を設けると共に、磁性を有するアーマチュアを設けた、可動接点ばねと、前記アーマチュアと対応する、磁性を有するヨークと、このヨークに磁力を及ぼして該ヨークを介し前記アーマチュアを吸引する磁石と、前記ヨークに対応して移動する移動子と、この移動子により移動される磁気短絡体とを具備し、その磁気短絡体が移動により前記ヨークとの距離を変化させて、該ヨークを介しての前記磁石による前記アーマチュアの吸引力を変化させ、前記可動接点ばねと共に前記可動接点を固定接点に対して動かすようにしたものであって、前記磁石から前記ヨークを介する磁気回路にコイルを設け、このコイルに流れる電流を検知することで、前記ヨークに対する前記磁気短絡体の距離の変化を検出するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記手段によれば、移動子を移動させれば、故障がない場合、ヨークに対する磁気短絡体の距離が変化して、磁石からヨークを介する磁気回路に磁界の変化が生じることに伴い、アーマチュアを有した可動接点ばねと共に可動接点が固定接点に対して動き、それと共に上記磁気回路に設けたコイルに電流が流れる。それに対して、故障がある場合、同様に移動子を移動させても、可動接点が固定接点に対して動かなかったり、あるいはコイルに電流が流れなかったりする。かくして、故障の検知や故障の発生箇所の判別ができるものであり、しかも、そのコイルは磁石からヨークを介する磁気回路に設けるもので、装置内に設け得るので、装置の大形化を招来することがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例を示す全体の縦断面図
【図2】主要部分の拡大縦断面図
【図3】主要部分の電気回路図
【図4】図1とは状態の異なる全体の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を車両用ストップランプスイッチに適用して、その一実施例(一実施形態)につき、図面を参照して説明する。
まず、図1には、車両用ストップランプスイッチの全体構成を示しており、密閉ケース1を主体としている。この密閉ケース1は、ケース主体部1aと、ケース基体部1bとから成っており、そのうちのケース主体部1aは、上面部が中央部に隆起部2を有して閉塞され、底部が開放したキャップ状を成し、ケース基体部1bは、図で右側の部分の上面に凸部3を有する以外、平板状を成している。
【0011】
上記ケース主体部1aの隆起部2には、一対のヨーク4,5を貫通させた状態で設けている。このヨーク4,5は、ともに鉄等の磁性材から成るもので、要するに磁性を有しており、それらを例えばケース主体部1aの成形時にインサートして設けることにより、該ケース主体部1aと一体化している。その一体化した形態は、ヨーク4,5の各中間部がケース主体部1aの隆起部2に密着して保持され、それによって、ケース主体部1aで隔てられた上下2つの空間の間に浸透性を有しないようにしているものであり、そこからヨーク4,5の各上部が、ケース主体部1aの隆起部2より上方の空間であるケース主体部1a外に突出し、各下部が、ケース主体部1aの隆起部2より下方の空間であるケース主体部1a内に突出するものである。
【0012】
ケース主体部1aの隆起部2内には、ヨーク4,5の間に位置して磁石6を設けている。この磁石6は、図で右側がN極、左側がS極の永久磁石であり、それを上記ヨーク4,5同様に例えばケース主体部1aの成形時にインサートして設けることにより、該ケース主体部1aと一体化しており、その一体化した形態は、磁石6の上部がケース主体部1aの隆起部2内に位置して、上面が隆起部2の内上面に密着すると共に、両側面がヨーク4,5に接触し、下面がケース主体部1a内に露出するものである。
【0013】
ヨーク4,5は図で左右に並んでおり、その直下位置にはアーマチュア7を有する可動接点ばね8を配置している。アーマチュア7は鉄等の磁性材から成るもので、平板状を成し、磁性を有している。これに対して、可動接点ばね8は、非磁性材であるりん青銅等の導電性板ばね材から成るもので、これの上面にアーマチュア7を固着している。
【0014】
可動接点ばね8は又、図で右側の一端部8aをリベット9により接続端子10の上端部10aを介して前記ケース基体部1bの凸部3に固着しており、接続端子10は今ひとつ(図で左側)の接続端子11と共にケース基体部1bに貫通させた状態で設けている。詳細には、それら接続端子10,11も、例えばケース基体部1bの成形時にインサートして設けることにより、該ケース基体部1bと一体化しており、その一体化した形態は、接続端子10,11の各中間部がケース基体部1bに密着して保持され、それによって、ケース基体部1bで隔てられた上下2つの空間の間に浸透性を有しないようにしているものであり、そこから接続端子10,11の各上部がケース基体部1b上に突出し、各下部がケース基体部1b下に突出するものである。
【0015】
ここで、接続端子10の上端部10aは、L字状に折曲されていて、ケース基体部1bの前記凸部3の上面に位置しており、従って、可動接点ばね8の一端部8aも、その凸部3の上面に接続端子10の上端部10aを介して位置している。
【0016】
そして、可動接点ばね8は、上記一端部8aから凸部3の内側の側面に沿うほゞL字状の折曲をしており(第1の折曲部12)、次いで、ケース基体部1bの近傍でヨーク4,5間(特にはそのほゞ中央部)に向かうほゞV字状の折曲をし(第2の折曲部13)、更に、常態では、図4に示すように、第2の折曲部13とは反対でケース基体部1b方向へのほゞへ字状の折曲をしており(第3の折曲部14)、その第3の折曲部14から他端部8b側の中間部8cで、前記アーマチュア7の一端部(図で左側)からほゞ中央部までの固着をしている。又、可動接点ばね8の他端部8bの上面には、可動接点15を設けている。
【0017】
ケース基体部1bは、ケース主体部1aの底部に結合されて、該底部の開放部を密に閉塞しており、その状態で、可動接点ばね8は、アーマチュア7の図で右側の端部を右側のヨーク5の下端部に当接させ、図で左側の端部を、常態(図4)では、左側のヨーク4の下方に離間させている。
【0018】
これに対して、前記磁石6の磁力が図1に磁気回路Mで示すようにヨーク4,5を通じてアーマチュア7にのみ及ぶ示す状況では、アーマチュア7がヨーク4,5を介して磁石6に同図に矢印Aで示すように吸引され、可動接点ばね8は、中間部8cがほゞ水平となる状態に弾性変形される。
【0019】
しかして、前記可動接点15の上方には、固定接点16を配置している。この固定接点16は、詳細には、前記接続端子11のL字状に折曲した上端部11aの下面に設けていて、前記可動接点15と対向しており、上述のようにアーマチュア7が磁石6に吸引されて可動接点ばね8が弾性変形された状態では、該固定接点16に可動接点15が接触している。
【0020】
ケース基体部1bは、既述のようにケース主体部1aの底部に結合しており、それによって、前記密閉ケース1を構成すると共に、その密閉ケース1の内部に、固定接点16と、可動接点15、アーマチュア7、可動接点ばね8、磁石6、ヨーク4,5の下部、及び接続端子10,11の各上端部10a,11aを収納する構造となしている。
なお、ケース基体部1bから下方へ突出した接続端子10,11の各下部は、密閉ケース1を囲繞したスリーブ17の下部に囲繞されており、その内部に挿入される図示しないコネクタを介して図示しない導電線が接続されるようになっている。
【0021】
前記磁石6から前記ヨーク4,5を介する磁気回路M、中でもそのうちのヨーク5の下部(前記ケース主体部1aの隆起部2より下方のケース主体部1a内に突出した部分)には、図2にも示すように、コイル18を巻回して設けており、このコイル18の両端部は、ケース基体部1bに貫通させた状態で設けた検知用の端子19,20に接続している。
【0022】
なお、検知用の端子19,20も、ケース基体部1bの成形時にインサートして設けることにより、該ケース基体部1bと一体化しており、その一体化した形態は、図1に示すように、検知用の端子19,20の各中間部がケース基体部1bに密着して保持され、それによって、ケース基体部1bで隔てられた上下2つの空間の間に浸透性を有しないようにしているものであり、そこから検知用の端子19,20の各上部がケース基体部1b上に突出し、各下部がケース基体部1b下に突出するもので、各上端部に上記コイル18の両端部を接続している。
【0023】
図3には、上記検知用の端子19(ひいてはコイル18の一端部)に一端部を接続した抵抗値の小さい抵抗21を示しており、この抵抗21の両端部間に、該抵抗21と並列に電圧検知手段である電圧検知回路22を接続している。又、検知用の端子20(ひいてはコイル18の他端部)は、抵抗21の他端部に接続している。
【0024】
しかして、図1に示すように、スリーブ17の上側の外部には、カバー23を装着しており、このカバー23はキャップ状のもので、上部の中央部にガイド筒23aを有し、このガイド筒23aにロッド状の移動子24を図で上下に移動可能に挿通している。移動子24は、下部寄りの中間部に径大部24aを有しており、この径大部24aを、ガイド筒23aの下部に形成した径大穴部25に挿入している。
【0025】
移動子24の径大部24aより下方の部分には、第1のスプリング26を巻装しており、この第1のスプリング26は移動子24の径大部24aより下方の下部を囲繞する圧縮コイルスプリングであって、これも上記ガイド筒23aの径大穴部25に収納している。そして又、移動子24の下端部には、磁気短絡体27を組み付けている。この磁気短絡体27は、鉄等の磁性材から成るもので、この場合、移動子24の下部を囲繞するリング状を成しており、その外径はガイド筒23aの下端部よりも大きい。
【0026】
磁気短絡体27及び移動子24の直下には、ホルダ28を配置している。このホルダ28は、外径が磁気短絡体27よりも更に大きく、その外周部には上下の両方に突出するリム28aを有している。又、このホルダ28の外周部より中心寄りの部分には、前記ヨーク4,5に対応して孔29,30を形成している。
【0027】
ホルダ28の下面と前記密閉ケース1のケース主体部1aとの間には、第2のスプリング31を介在させている。この第2のスプリング31は、ケース主体部1aの隆起部2を囲繞する圧縮コイルスプリングであり、前記第1のスプリング26よりも強い付勢力でホルダ28から磁気短絡体27及び移動子24を押し上げ、すなわち、それらを前記ヨーク4,5側とは反対の側に付勢している。又、その結果、ホルダ28は、磁気短絡体27をヨーク4,5の上端部より上方に離間させてカバー23の内上面に押し付けると共に、前記リム28aのうちの上方に突出した部分により該磁気短絡体27を囲っている。
【0028】
更に、移動子24は、径大部24aが前記ガイド筒23aの径大穴部25の上端に制止されるまで上方に押し上げられており、上部がガイド筒23aより上方に突出し、図示しない車両のブレーキペダルに対応している。
それに対して、第1のスプリング26は、磁気短絡体27をホルダ28上に押し付け、すなわち、磁気短絡体27を前記ヨーク4,5側への移動方向に付勢しており、かくして、磁気短絡体27が図1に示す位置に留められて保持されている。
【0029】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
車両のブレーキペダルを踏み込み操作する前、車両用ストップランプスイッチは図1に示した状態にあり、すなわち、前述のように、ホルダ28から磁気短絡体27及び移動子24が第2のスプリング31により押し上げられて、磁気短絡体27はヨーク4,5の上端部より上方に離間する位置に保持されており、移動子24は上部をガイド筒23aより上方に突出させている。
【0030】
この結果、アーマチュア7は、磁石6の磁力が図1に磁気回路Mで示したようにヨーク4,5を通じてアーマチュア7にのみ及ぶことにより、ヨーク4,5を介して磁石6に同図に矢印Aで示したように吸引され、それに伴い、可動接点ばね8は、中間部8cがほゞ水平となる状態に弾性変形され、可動接点15を固定接点16に接触させている。従って、このとき、可動接点15及び固定接点16は、接続端子10,11間を、可動接点ばね8を介する電路で導通させている。
【0031】
この状態から、車両のブレーキペダルが図4に矢印Bで示すように踏み込み操作されると、それに応じて移動子24がホルダ28を介し第2のスプリング31を圧縮して密閉ケース1側に移動する。従って、ホルダ28及び磁気短絡体27も密閉ケース1側(ヨーク4,5側)に移動し、ホルダ28は孔29,30にヨーク4,5を挿通させる。この結果、磁気短絡体27がヨーク4,5の上端に接触する。なお、このヨーク4,5の上端部に対する磁気短絡体27の接触は、第1のスプリング26を圧縮しつつ行われることにより、弾性的に行われる。
【0032】
そして、そのようにヨーク4,5の上端部に磁気短絡体27が接触すれば、磁石6の磁力は、図4に磁気回路mで示すようにヨーク4,5を介して前記アーマチュア7に及ぶのみならず、同図に磁気回路mで示すようにヨーク4,5を介して磁気短絡体27にも及ぶようになるから、その分、アーマチュア7に及んだ磁力が変化し(この場合、弱まり)、アーマチュア7に対する吸引力が変化する(この場合、弱まる)。よって、アーマチュア7に対する磁石6の吸引力よりも、可動接点ばね8の前記弾性変形状態からの復元力が勝るようになって、可動接点ばね8は同図に矢印Cで示すように復元し、可動接点15を固定接点16から離間させるので、前記接続端子10,11間の電路が遮断される。かくして、車両用ストップランプスイッチが車両のブレーキペダルの踏み込み操作に応動するものであり、もって、車両の図示しないストップランプを点灯させるに至る。
【0033】
又、このとき、アーマチュア7と共にヨーク5のコイル18を設けた部分に及ぶ磁力も変化し(この場合、同様に弱まり)、その変化による誘導起電力の発生によって、コイル18には抵抗21を通じて例えば図3に矢印Dで示すように電流が流れ、それが、抵抗21の両端部間に発生する電圧でもって電圧検知回路22により検知される。そして、その電圧検知回路22からは検知信号が上記車両の制御装置に入力され、それに基づいて制御装置はヨーク4,5に対する磁気短絡体27の接触を検出する。従って、このとき、それらのコイル18と抵抗21及び電圧検知回路22は、ヨーク4,5に対する磁気短絡体27の変化を検出する検出手段として機能する。
【0034】
この後、車両のブレーキペダルの踏み込み操作が解除されれば、すべては原状態に復帰し、アーマチュア7が磁石6に吸引されて可動接点ばね8が弾性変形され、可動接点15を固定接点16に接触させることにより、車両のストップランプが消灯されるに至る。
【0035】
又、このとき、アーマチュア7と共にヨーク5のコイル18を設けた部分に及ぶ磁力が前述の車両のブレーキペダルを踏み込み操作したときとは反対に変化し(この場合、強まり)、その変化による誘導起電力の発生によって、ヨーク5に設けたコイル18には抵抗21を通じて例えば図3に矢印Eで示すように上述とは反対の電流が流れ、それが、抵抗21の両端部間に発生する電圧でもって電圧検知回路22により検知される。そして、その電圧検知回路22からは検知信号が上記車両の制御装置に入力され、それに基づいて制御装置はヨーク4,5に対する磁気短絡体27の離間を検出する。
【0036】
このように本構成のものでは、可動接点ばね8が有したアーマチュア7にヨーク4,5を介して及ぶ磁石6の磁気吸引力が、移動子24の移動による磁気短絡体27の移動で変化することにより、可動接点15を可動接点ばね8と共に固定接点16に対して動かすことができるもので、更に、上記磁石6からヨーク4,5を介する磁気回路M,m(ヨーク5)にコイル18を設け、このコイル18に流れる電流を検知することで、ヨーク4,5に対する上記磁気短絡体27の変化を検出することができる。
【0037】
それにより、スイッチ装置の故障を検知することができる。その一つは、磁気短絡体27が移動子24の移動に応じ移動してヨーク4,5に接触している(コイル18に流れる電流が検知された)にもかかわらず、固定接点16に対する可動接点15の接触が見られない、接点部分の故障であり、この場合には、車両のストップランプは点灯しないものの、コイル18に電流が流れることで検知した信号が車両の制御装置に入力されることにより、車両のシステムの作動(例えばオートマチックトランスミッションのシフトチェンジ)を行わしめることができる。
【0038】
スイッチ装置の故障の他の一つは、移動子24が移動したにもかかわらず磁気短絡体27が移動せず、従って、磁気短絡体27がヨーク4,5に接触せず(コイル18に流れる電流が検知されず)して、固定接点16に対する可動接点15の接触も見られない、磁気短絡体27部分の故障である。
【0039】
又、上述のコイル18による検出は、上記車両のシステム側の故障の検知にも活用することができる。すなわち、磁気短絡体27がヨーク4,5に接触し(コイル18に流れる電流が検知され)、且つ、固定接点16に対する可動接点15の接触も見られるにもかかわらず、上記車両のシステムが作動していなければ、それは車両のシステム側の故障と判断できるのである。
【0040】
そして、それらの検出に効果のあるコイル18は、上述のように、磁石6からヨーク4,5を介する磁気回路M,m(ヨーク5)に設けるもので、スイッチ装置内に設け得るので、スイッチ装置の大形化を招来することなく実現することができる。
【0041】
なお、コイル18は、磁石6からヨーク4,5を介する磁気回路M,m中の、ヨーク5に限られず、ヨーク4、もしくはアーマチュア7や可動接点ばね8など、他の部品に設けるようにしても良いし、更には、磁気回路m中のヨーク4又はヨーク5もしくは磁気短絡体27に設けるようにしても良い。
【0042】
又、固定接点16と可動接点15については、可動接点15が車両のブレーキペダルの踏み込み操作前は固定接点16から離間し、車両のブレーキペダルの踏み込み操作に応じて固定接点16に接触するように変えても良い。
更に、移動子24の移動に伴って移動した磁気短絡体27はヨーク4,5に接触せず、充分に接近するだけでも良いもので、要するにヨーク4,5との距離が変化しさえするものであれば良い。
【0043】
加えて、可動接点ばね8とアーマチュア7は、導電性ばね材(非磁性材)と磁性材の二部材からでなく、磁性を有する導電性ばね材の一部材で一体に形成されていても良く、特にそのようにした場合には、使用部品点数を少なく済ませ得る効果がある。
加えて、本発明は、車両用のストップランプスイッチ以外の、それと同様の事情を有するスイッチ装置一般に適用できるものであり、そのほか、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0044】
図面中、4,5はヨーク、6は磁石、7はアーマチュア、8は可動接点ばね、15は可動接点、16は固定接点、18はコイル、24は移動子、27は磁気短絡体、M,m,mは磁気回路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と、
この固定接点と対応する可動接点と、
この可動接点を設けると共に、磁性を有するアーマチュアを設けた、可動接点ばねと、
前記アーマチュアと対応する、磁性を有するヨークと、
このヨークに磁力を及ぼして該ヨークを介し前記アーマチュアを吸引する磁石と、
前記ヨークに対応して移動する移動子と、
この移動子により移動される磁気短絡体とを具備し、
その磁気短絡体が移動により前記ヨークとの距離を変化させて、該ヨークを介しての前記磁石による前記アーマチュアの吸引力を変化させ、前記可動接点ばねと共に前記可動接点を固定接点に対して動かすようにしたものであって、
前記磁石から前記ヨークを介する磁気回路にコイルを設け、このコイルに流れる電流を検知することで、前記ヨークに対する前記磁気短絡体の距離の変化を検出するようにしたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−34771(P2011−34771A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179076(P2009−179076)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】