説明

スイッチ装置

【課題】固定接点を薄くした場合でも優れたオン位置精度を確保するスイッチ装置を提供する。
【解決手段】可動接点9が第1の電気的接続状態となる固定接点5と、第2の電気的接続状態となる絶縁部材7との間を移動することで電気的接続状態が切り換えられるスイッチ装置において、固定接点5は第一接触面5aと第二接触面5bを有し、可動接点9は第一接触面5aに接触可能な第一可動接触部9b1と第二接触面5bに接触可能な第二可動接触部9b2とを有している。そして、絶縁部材7は第一可動接触部9b1と接触可能で、固定接点5の第一接触面5aと同一面となる第一絶縁部7aと、第二可動接触部9b2と接触可能で、固定接点5の第二接触面5bの一部上に配置される第二絶縁部7bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ装置に係わり、車載用のドアのロック状態などの状態を検出するのに好適なスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、図10(a)に示すように、上ケース900と、この上ケース900に回動自在に支持されたレバー902と、上ケース900内に直立して設けられた3つの固定接点904、906、908を有している。また、上ケース900に移動可能に保持され、レバー902の押圧力が与えられる操作部910aを有する操作部材910と、この操作部材910に保持された可動接点912を備えている。また、操作部材910を初期位置方向に付勢する付勢部材914を備えており、可動接点912は、図10(b)に示すように2つの弾性腕912a、912bを連結する連結部912cを有し、可動接点912の弾性腕に形成される2対の接点部912a1、912b1を、操作部材910の操作部910aに対応する位置を中心として左右に振り分けて配置している。そして、可動接点912の連結部912cの下面に付勢部材914を配置している。
【0003】
また、上述した固定接点のうち切換接点部を構成する固定接点904と固定接点906は、絶縁樹脂からなる絶縁部916を挟むように可動接点の摺動方向に沿って互いに離れて配置しており、絶縁部の表面と固定接点904及び固定接点906それぞれの表面とが同一面内に含まれるように配置してある。
【0004】
このように構成されたスイッチにおいてレバーが操作されると、第1接点の表面と絶縁部の表面、及び第2接点の表面の相互間において、接点圧を一定に保った状態で円滑に摺動させることができ、優れたオン位置精度を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−4175
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固定接点の厚みが更に薄くなった場合、言い換えると絶縁部の肉厚が薄くなった場合には、成形する際に溶融・可塑化した樹脂を金型の隅々まで完全に充填できないうちに冷却・固化してしまい、その結果、樹脂が充填不足等になり成形不良の原因となってしまう。つまり、絶縁部材と固定接点は同一面で形成し難くなり、可動接点が絶縁部材から固定接点へ移動する際に円滑に摺動することが困難となってしまう。そのため、優れたオン位置精度の確保が難しくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、固定接点の厚みに影響されずに優れたオン位置精度を確保するスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、可動接点部との接触で第1の電気的接続状態となる第1領域と前記可動接点部との接触で第2の電気的接続状態となる第2領域との間を前記可動接点部が移動することで電気的接続状態が切り換えられるスイッチ装置において、前記第1領域は、第一接触面と第二接触面とを有し、前記可動接点部は前記第一接触面に接触可能な第一可動接触部と前記第二接触面に接触可能な第二可動接触部とを有し、前記第2領域は、前記第一可動接触部と接触可能で、前記第1領域の第一接触面と同一面となる第一面と、前記第二可動接触部と接触可能で、前記第1領域の第二接触面の一部上に配置される第二面とを有していることを特徴とする。
【0009】
このように構成した本発明は、第1領域における第一接触面と第2領域における第一面とが同一面で形成されていることにより、第一可動接触部は第一接触面と第一面との間を円滑に移動することができる。このことにより、第二接触面と第二面とが同一面に形成されていない場合でも、第一接触面と第一面を電気的接続状態の切り換えに使用することにより、優れたオン位置精度を確保することができる。
【0010】
また、前記第1領域はオン領域であり、前記オン領域は導電性の金属板材から形成されているとともに、前記第2領域はオフ領域であり、前記オフ領域は絶縁性の樹脂材から形成されており、前記第1領域と前記第2領域は連続して配置され、前記第一接触面は前記金属板材の表面であり、前記第二接触面は前記金属板材の裏面であることを特徴とする。
【0011】
このように構成した本発明は、オン領域は導電性の金属板材から形成され、オフ領域は絶縁性の樹脂材から形成されていることにより、インサート成形等により形成することができるため、部品点数の削減に寄与できるとともに、効率のよい生産が期待できる。また、オン領域である第一領域とオフ領域である第二領域が連続して配置されていることにより、より優れたオン位置精度を確保することができる。
【0012】
また、前記第一可動接触部が前記第1領域と接触する接触開始位置において、前記第二可動接触部は前記第2領域と接触した位置にあり、前記第二可動接触部が前記第1領域に移動すると、前記第二可動接触部は、前記第一可動接触部と共に前記第1領域を狭持しながら接触することを特徴とする。
【0013】
このように構成した本発明は、第一可動接触部が第2領域から第1領域に移動し接触し始める接触開始位置において、第二可動接触部は第2領域に接触しているが、第一可動接触部と第1領域は連続した同一面で形成されているので、良好なオン位置精度が確保できる。また、第二可動接触部が第1領域に移動して接触し始めると、第一可動接触部と協同して第1領域を狭持しながら接触するので、振動等に強く、また接触抵抗も低減するため
信頼性の高いスイッチ装置が可能となる。
【0014】
また、前記第1領域は前記第2領域を挟んで2つ設けられており、前記第二面は2つの前記第1領域の第二接触面に跨るようななだらかな凸形状となっていることを特徴とする。
【0015】
このように構成した本発明は、2つの第1領域で挟まれた第2領域の第二面が2つの第1領域の第二接触面を跨るようなだらかな凸形状で形成されているので、可動接点部が第2領域の上を摺動する際に滑らかに移動することが可能となる。このことにより、可動接点部が第1領域上において安定した接触状態を維持することができる。
【0016】
また、前記可動接点部の第一可動接触部および第二可動接触部とが移動する範囲には潤滑剤が塗布されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成した本発明は、可動接点部が摺動する範囲に潤滑剤を塗布することにより、可動接点部が絶縁部材および金属板材上を摺動する際の摩擦を軽減でき、絶縁部材等が削れることにより発生する異物等を抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、第1領域つまりオン領域の厚みが薄くなる等によって、第2領域つまりオフ領域を形成する際に第1領域と同一面にすることが困難となり、他方の面が第1領域に重なって形成された場合でも、第2領域の一方の面を第1領域と同一面で形成することにより、この面をオン、オフの切り換えに使用することができ、オン位置精度を確保することができる。このため、第1領域を薄くした場合でも優れたオン位置精度を確保するスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態によるスイッチ装置の分解斜視図である。
【図2】本実施形態によるスイッチ装置のレバーを説明する図で、(a)はウエハとの接続箇所を説明する斜視図で、(b)はコイルバネを収容する箇所を説明する斜視図である。
【図3】本実施形態によるスイッチ装置のウエハを説明する図で、(a)は背面図で、(b)は斜視図である。
【図4】本実施形態によるスイッチ装置の可動接点を説明する斜視図である。
【図5】本実施形態によるスイッチ装置の固定接点を説明する側面図である。
【図6】本実施形態によるスイッチ装置を説明する図で、(a)はケースと接続部の開放部の位置関係を説明する斜視図で、(b)はケースと差込孔の位置関係を説明する斜視図である。
【図7】本実施形態によるスイッチ装置のケースを取り除いた正面図である。
【図8】本実施形態によるスイッチ装置の動作を説明する図で、(a)は初期状態を説明する模式図で、(b)は一方の可動接点のみ固定接点上に接していることを説明する模式図で、(c)は(b)の位置から更に移動させて双方の可動接点が固定接点と接していることを説明する模式図である。
【図9】本実施形態によるスイッチ装置の固定端子部にグリスを塗布したことを説明する模式図である。
【図10】従来のスイッチ装置の接点構造を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は本実施形態によるスイッチ装置の分解斜視図、図2は本実施形態によるスイッチ装置のレバーを説明する図で、(a)はウエハとの接続箇所を説明する斜視図で、(b)はコイルバネを収容する箇所を説明する斜視図、図3は本実施形態によるスイッチ装置のウエハを説明する図で、(a)は背面図で、(b)は斜視図、図4は本実施形態によるスイッチ装置の可動接点を説明する斜視図、図5は本実施形態によるスイッチ装置の固定接点を説明する側面図、図6は本実施形態によるスイッチ装置を説明する図で、(a)はケースと接続部の開放部の位置関係を説明する斜視図で、(b)はケースと差込孔の位置関係を説明する斜視図、図7は本実施形態によるスイッチ装置のケースを取り除いた正面図、図8は本実施形態によるスイッチ装置の動作を説明する図で、(a)は初期状態を説明する模式図で、(b)は一方の可動接点のみ固定接点上に接していることを説明する模式図で、(c)は(b)の位置から更に移動させて双方の可動接点が固定接点と接していることを説明する模式図、図9は本実施形態によるスイッチ装置の固定端子部にグリスを塗布したことを説明する模式図、図10は従来のスイッチ装置の接点構造を説明する断面図である。
【0022】
本実施形態のスイッチ装置は、図1に示すように、ケース1と、ケース1の内部に回動自在に指示されたレバー2と、ケース1の内部に保持されレバー2を収納可能なウエハ3と、ウエハ3に配設された固定接点4(第一領域)、固定接点5(第一領域)、固定接点6(第一領域)と、固定接点4と固定接点5の間に連続して配置されている絶縁部材7(第二領域)と、固定接点5と固定接点6の間に連続して配置されている絶縁部材10(第二領域)と、レバー2を初期位置に常時付勢しているコイルバネ8と、レバー2に固定され固定接点4、固定接点5、固定接点6上を摺動し接触可能な可動接点9(可動接点部)とによって構成されている。
【0023】
まず、ケース1について説明する。ケース1は樹脂材料等からなり外形が略立方体状に形成されている。ケース1は、内部に空洞部1aが形成されており、空洞部1aは、互いに対向する第1側板1b、第2側板1cおよび第3側板1p、第4側板1qに挟まれていると共に上方が天板1dで遮蔽されて、下方が開放されている。
【0024】
また、ケース1の天板1dには、後述するレバー2が挿通可能なレバー挿通孔1eが形成されている。互いに対向する第1側板1b、第2側板1cには、下部側に所定の間隔で2箇所のスナップ孔1fがそれぞれ貫通形成されている。また、第1側板1b、第2側板1cのそれぞれには、スナップ孔1fの図示下側に、ソケット等の外部接続部材が挿通可能な3箇所の第1挿通孔1g、第2挿通孔1h、第3挿通孔1mがそれぞれ貫通形成されている。第1挿通孔1g、第2挿通孔1h、第3挿通孔1mが形成された部分の空洞部1a内には、後述する固定接点4、5、6の接続部4c、接続部5c、接続部6cが位置するようになっている。
【0025】
また、ケース1の一方のスナップ孔1fに近接して、丸穴状の第1位置決め孔1jが貫通形成され、他方のスナップ孔1fに近接して、第4側板1qには略コの字状の第2位置決め孔1kが形成されている。
【0026】
次に、レバー2について説明する。レバー2は、樹脂材料等からなり、図1および図2に示すように上方に延びる操作部2aを有する略長方形状の本体部2bが形成されている。この本体部2bの中央部付近の一方の面には円柱の一部を切り取った形のバネ支持部2cが設けられ、他方の面には円筒形で端部の一部に凸部が設けられた回動支持部2dを有している。また、バネ支持部2cの下方には円弧状の面を有するバネ受け部2eが設けられ、このバネ受け部2eと対向し操作部2aが二股に分かれるように形成された端部にはそれぞれ第1ストッパ壁2gと第2ストッパ壁2hが設けられている。さらに、このレバー2の下部には後述する可動接点9を収納する可動接点収納部2fが設けられている。
【0027】
次に、ウエハ3について説明する。ウエハ3は、樹脂材料等からなり、ケース1の空洞部1a内の下部側に配設されている。図3に示すように、上方には筒状の連結部3bが設けられており、回転支持部2dの形状に沿って略鍵穴状の貫通穴3hがあいている。この連結部3bにレバー2の回動支持部2dが挿入されることにより、レバー2は回動可能な状態となる。また、ウエハ3の互いに対向する側面には、ケース1の4箇所のスナップ孔1fにそれぞれスナップ係合可能な4箇所の突起部3eが突出形成されている。そして、ウエハ3をケース1の空洞部1aに挿入してスナップ孔1fに突起部3eをスナップ係合すると、ケース1側の第1位置決め孔1jとウエハ3の貫通孔3fとが重なり、ケース1側の第2位置決め孔1kとウエハ3の切り欠き溝3gとが重なるようになっている。
【0028】
次に、固定接点4、5、6について説明する。固定接点4、5、6は導電性の金属板材からなり、プレス加工等により形成されている。固定接点4は、図1および図3に示すように埋設部分から上方に延出した第一接触面4aおよび第二接触面4bと埋設部分から下方に延出した接続部4cが設けられている。固定接点5、固定接点6についても固定接点4と同様に形成されており、詳細な説明は省略するが、固定接点5は第一接触面5aおよび第二接触面5bと接続部5cから形成されており、固定接点6は第一接触面6aおよび第二接触面6bと接続部6cから形成されている。
【0029】
第一接触面4aは後述する絶縁部材7と同一の高さの面(同一面)となるものであり、第二接触面4bは第一接触面4aと対向して金属板材の表面に設けられている。また、固定接点5および固定接点6は固定接点4と同じ構成なので、詳細な説明は省略する。
【0030】
また、固定接点4の接続部4cは、図3、図5および図8に示すようにウエハ3の下面から延出する延出部分を略V字状に折り返して形成された第1接続部端子4c1と、第1接続部端子4c1に対向して形成された第2接続部端子4c3とにより開放部4c2を形成している。さらに、開放部4c2の位置に対応するように折り返し基部4c4の中央部分が所定寸法で切り欠きされ、差込孔4c5が形成されている。このことで、図7に示すように、開放部4c2と差込孔4c5とがひと繋がりの挿入空間となって、外部接続部材が開放部4c2側、あるいは差込孔4c5側のどちらから挿入されたとしても、第1接続部端子4c1と第2接続部端子4c3がスムーズに弾性変形して、外部接続部材に弾接することができる。そのために、固定接点4と外部接続部材との電気的な接続を確実に行うことができる。固定接点5、固定接点6も同様の構造となっているので、詳細な説明は省略するが、固定接点5の接続部5cは、第1接続部端子5c1、第2接続部端子5c3、開放部5c2、折り返し基部5c4、差込孔5c5からなり、固定接点6の接続部6cは、第1接続部端子6c1、第2接続部端子6c3、開放部6c2、折り返し基部6c4、差込孔6c5からなっている。
【0031】
また、固定接点4、5、6の各接触面は、所定の間隔を有して配設され、回動支持部2dを支点として回動するレバー2に保持した後述する可動接点9の回動軌跡に沿って円弧状に形成されている。
【0032】
このような固定接点4、5、6は、ウエハ3をケース1にスナップ係止すると、図6に示すように、ケース1の第1側板1bの第1挿通孔1gと接続部4cの開放部4c2とが対峙すると共に、第2挿通孔1hと接続部5cの開放部5c2とが対峙し、第3挿通孔1mと接続部6cの開放部6c2とが対峙する。更に、ケース1の第2側板1cの第1挿通孔1gと接続部4cの差込孔4c5とが対峙すると共に、第2挿通孔1hと接続部5cの差込孔5c5とが対峙し、第3挿通孔1mと接続部6cの差込孔6c5とが対峙する。固定接点4、5、6は、ウエハ3に埋設した部分を挟んでそれぞれの第一接触面4a、5a、6aと第二接触面4b、5b、6bが接続部4c、5c、6cと離れて形成されている。そのために、接続部4c、5c、6cにプラグ等の外部接続部材を接続したときに発生する火花等の異物が、固定接点4、5、6に飛散するのを防止することができる。
【0033】
次に絶縁部材7、10について説明する。絶縁部材7(第二領域)および絶縁部材10(第二領域)は、絶縁性の樹脂材料等で形成されており、図3に示すように、固定接点4と固定接点5の間には絶縁部材7が連続して配置されており、同様に固定接点5と固定接点6の間には絶縁部材10が設けられている。この絶縁部材7は、一方の面には第一接触面4a、5aと同一の高さ面(同一面)となるように形成された第1絶縁部7a(第一面)が設けられており、他方の面はなだらかな凸形状に隆起し、後述する可動接点9の移動方向での両端部がなだらかに傾斜しながら第二接触面4b、5bの一部を跨いで形成されている第2絶縁部7b(第二面)からなっている。また、絶縁部材10は第一接触面5a、6aと同一の高さ面(同一面)となるように形成された第1絶縁部10a(第一面)と、なだらかな凸形状に隆起し、後述する可動接点9の移動方向での両端部がなだらかに傾斜しながら第二接触面5b、6bの一部を跨いで配置されている第2絶縁部10b(第二面)からなっている。
【0034】
次にコイルバネ8について説明する。コイルバネ8は、図1に示すように一端部8aと他端部8bとが外側に導出形成されている。そして、バネ受け部2eにコイルバネ8を載置すると、一端部8aがレバー2の第1ストッパ壁2gに弾接すると共に、他端部8bがレバー2の第2ストッパ壁2hに弾接して、レバー2をそれぞれ上方に弾性付勢するようになっている。
【0035】
次に可動接点9について説明する。可動接点9(可動接点部)は、りん青銅等の弾性を有する金属板を略コ字状に折り曲げて形成されており、レバー2の下部に設けられた可動接点収納部2fに保持される。可動接点9は、図4に示すように両端部が連結部9aで連結され、この連結部9aに可動接点部9bと可動接点部9cが形成されている。可動接点部9bは第一可動接触部9b1と第二可動接触部9b2とでクリップ状に形成されている。また、可動接点部9cは可動接点部9bと同じ構成であり、第一可動接触部9c1と第二可動接触部9c2とでクリップ状に形成されている。そして、レバー2の可動接点収納部2fに収納して保持した可動接点9は、動きが規制されて抜け止めされるようになっている。レバー2の可動接点収納部2fに保持された可動接点部9bは、レバー2の回動操作で、固定接点4と固定接点5を狭持しながら接触し摺動可能になっている。また、同様に可動接点部9cは固定接点5と固定接点6を狭持しながら接触し摺動可能になっている。
さらに、狭持可能に対向して配置された第一可動接触部9b1および9c1と第二可動接触部9b2および9c1はそれぞれ対向する側にお椀状に突出しており、固定接点4または固定接点5または固定接点6を狭持した際にほぼ中央で1点接触するような接点構造に構成されている。
【0036】
次に、本発明のスイッチ装置の動作を説明する。図7は本実施形態によるスイッチ装置のケースを取り除いた初期状態の正面図である。また、図8は本実施形態によるスイッチ装置の動作を説明する図で、(a)は初期状態を説明する模式図で、(b)は一方の可動接点のみ固定接点上に接していることを説明する模式図で、(c)は(b)の位置から更に移動させて双方の可動接点が固定接点と接していることを説明する模式図である。レバー2を操作する前の初期状態においては、図7に示すように、コイルバネ8の一端部8aと他端部8bの付勢力が均等になりレバー2が垂直に保たれている。この初期状態における可動接点部9bの第一可動接触部9b1は絶縁部材7の第1絶縁部7aに接触しており、第二可動接触部9b2は絶縁部材7の第2絶縁部7bに接触している。また、可動接点部9cの第一可動接触部9c1は絶縁部材10の第1絶縁部10aに接触しており、第二可動接触部9c2は第2絶縁部10bに接触している。そのために、固定接点4と固定接点5、および固定接点5と固定接点6は電気的に不導通状態となっている。これは図8(a)の状態を示している。
【0037】
次に、初期状態からレバー2を図7に示す矢印C方向に所定量回動操作を行い、電気的に接続が開始される位置までレバー2を移動させる。この状態において可動接点と固定接点および絶縁部材の位置関係は、図8の(b)に示すように、第1絶縁部7a上に位置していた第一可動接触部9b1が第一接触面5aに接触し、第1絶縁部10a上に位置していた第一可動接触部9c1が第一接触面6aに接触する。また、可動接点部9bの第二可動接触部9b2は第2絶縁部7b上にあり、可動接点部9cの第二可動接触部9c2は第2絶縁部10b上にある。
【0038】
なお、絶縁部材7の第1絶縁部7aは第一接触面5aと同一面でかつ連続して形成され、絶縁部材10の第1絶縁部10aは第一接触面6aと同一面でかつ連続して形成されているので、電気的に接続される開始位置(接触開始位置)は固定接点と絶縁部材の境界部となる。さらに、第2絶縁部7bは第二接触面4bおよび5bの一端に跨って連続して配置され、第2絶縁部10bは第2接触面51bの他端及び61bに跨って連続して配置されており、その形状はなだらかな凸部を有していることから、可動接点9は円滑に移動が可能である。よって、電気的接続状態は第一可動接触部と第一接触面の接触によって確保され、優れたオン位置精度を確保することができる。このことより、優れたオン位置精度を確保するためには、絶縁部材7の第1絶縁部7aおよび第2絶縁部7bのどちらかが固定接触面と同一面であればよい。
【0039】
さらに、レバー2に押圧力を加えて矢印C方向に回動操作を行うと、図8の(c)に示すように、可動接点部9bの第二可動接触部9b2は第二接触面5bに接触し、第二可動接触部9c2は第二接触面6bに接触する。よって、固定接点5と固定接点6は可動接点9によって狭持され導通している。つまり、各固定接点と可動接点との接点部が2箇所で挟み込んでいることにより、接点部外部からの振動等に強く、また導通抵抗も低減するので、安定した電気的導通状態を維持することができる。さらに、片方の接点が異物等を挟み込んでも電気的導通状態を維持することが可能となる。
【0040】
また、矢印C方向に加えていたレバー2の操作荷重を解除すると、レバー2はコイルバネ8の付勢力で図8(a)に示す初期状態に自動復帰する。このことにより、第一可動接触部9b1は第一接触面5aから離間し、第二可動接触部9b2は第二接触面5bから離間する。また、第一可動接触部9c1は第一接触面6aから離間し、第二可動接触部9c2は第二接触面6bから離間する。このことにより、スイッチ回路が初期状態に復帰する。
【0041】
なお、矢印C方向とは逆方向にレバー2を回動操作した場合には、図には示していないが、固定接点4及び固定接点5と可動接点9の状態は、先に述べた固定接点5及び固定接点6と可動接点9の動作と同じ状態となる。つまり、レバー2を図7に示す矢印C方向と逆方向に所定量回動操作を行うと、第1絶縁部7a上に位置していた第一可動接触部9b1が第一接触面4aに接触し、第1絶縁部10a上に位置していた第一可動接触部9c1が第一接触面5aに接触する。なお、この状態では、可動接点部9bの第二可動接触部9b2は第2絶縁部7b上にあり、可動接点部9cの第二可動接触部9c2は第2絶縁部10b上にある。絶縁部材7の第1絶縁部7aは第一接触面4aと同一面であり、絶縁部材10の第1絶縁部10aは第一接触面5aと同一面である。よって、可動接点9は円滑に移動が可能である。よって、電気的な導通状態は第一可動接触部と第1固定接触面の接触によって確保され、逆方向においても優れたオン位置精度を確保することができる
【0042】
さらに、レバー2に押圧力を加えて矢印Cとは逆方向に回動操作を行うと、可動接点部9bの第二可動接触部9b2は第二接触面4bに接触し、第二可動接触部9c2は第二接触面5bに接触する。よって、固定接点4と固定接点5は可動接点9によって狭持され導通している。
【0043】
また、矢印C方向とは逆方向に加えていたレバー2の操作荷重を解除すると、レバー2はコイルバネ8の付勢力で初期状態に自動復帰する。このことにより、第一可動接触部9b1は第一接触面4aから離間し、第二可動接触部9b2は第二接触面4bから離間する。また、第一可動接触部9c1は第一接触面5aから離間し、第二可動接触部9c2は第二接触面5bから離間する。このことにより、スイッチ回路が初期状態に復帰する。
【0044】
なお、本実施例においては固定接点が薄くなった場合に絶縁部材が固定接点と同一面に形成し難くなるための構造例を示したが、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば固定接点が薄くなくても同様の構成を用いることができる。また例えば、初期状態で可動接点9の第一可動接触部9b1及び第二可動接触部9b2とがともに固定接点5に接触するようにしても良い。
【0045】
また、図9に示すように可動接点9が摺動する部位に導電性のグリス11(潤滑剤)が塗布されることにより、可動接点9と固定接点4および固定接点5、固定接点6との摩擦が軽減され、さらに円滑に可動接点と固定接点間および絶縁部材間を摺動することが可能となる。この導電性グリスは、たとえば第一接触面5aおよび第二接触面5b上に塗布すると、レバー2の回動操作により可動接点が固定接点上および絶縁部材上を摺動しながらグリス11を接触箇所全体に拡げ、摺動箇所を覆うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ケース
2 レバー
2a 操作部
2b 本体部
2d 回動支持部
3 ウエハ
4、5、6 固定接点(第一領域)
7 絶縁部材(第二領域)
7a 第1絶縁部
7b 第2絶縁部
8 コイルバネ
9 可動接点(可動接点部)
10 絶縁部材
10a 第1絶縁部
10b 第2絶縁部
11 グリス(潤滑剤)
4a、5a、6a 第一接触面
4b、5b、6b 第二接触面
9b、9c 可動接点部
9b1、9c1 第一可動接触部
9b2、9c2 第二可動接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動接点部との接触で第1の電気的接続状態となる第1領域と前記可動接点部との接触で第2の電気的接続状態となる第2領域との間を前記可動接点部が移動することで電気的接続状態が切り換えられるスイッチ装置において、前記第1領域は、第一接触面と第二接触面とを有し、前記可動接点部は前記第一接触面に接触可能な第一可動接触部と前記第二接触面に接触可能な第二可動接触部とを有し、前記第2領域は、前記第一可動接触部と接触可能で、前記第1領域の前記第一接触面と同一面となる第一面と、前記第二可動接触部と接触可能で、前記第1領域の第二接触面の一部上に配置される第二面とを有していることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1領域はオン領域であり、前記オン領域は導電性の金属板材から形成されているとともに、前記第2領域はオフ領域であり、前記オフ領域は絶縁性の樹脂材から形成されており、前記第1領域と前記第2領域は連続して配置され、前記第一接触面は前記金属板材の表面であり、前記第二接触面は前記金属板材の裏面であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第一可動接触部が前記第1領域と接触する接触開始位置において、前記第二可動接触部は前記第2領域と接触した位置にあり、前記第二可動接触部が前記第1領域に移動すると、前記第二可動接触部は、前記第一可動接触部と共に前記第1領域を狭持しながら接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記第1領域は前記第2領域を挟んで2つ設けられており、前記第二面は2つの前記第1領域の第二接触面に跨るようななだらかな凸形状となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記可動接点部の第一可動接触部および第二可動接触部とが移動する範囲には潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスイッチ装置。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138221(P2012−138221A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289010(P2010−289010)
【出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】