説明

スイッチ装置

【課題】薄型化を可能としたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置は、節度感発生部材を介して第1の可動接点を押圧する第1の押圧操作部と、第2の可動接点を押圧する側とは反対側を回動支点として第1の押圧操作部を連動させるとともに、節度感発生部材を介して第2の可動接点を押圧する第2の押圧操作部とを備えている。第1の押圧操作部の操作力により、第1の可動接点が必要とする荷重とストロークとの関係を示す曲線100が、第2の押圧操作部の操作力により、第2の可動接点が必要とする荷重とストロークとの関係を示す曲線200よりも、ストローク方向に伸長されるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空調、オーディオやカーナビゲーション等の各種の電子機器の入力操作部として好適なスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に適用されるスイッチ装置の一例としては、1つの操作部の押圧操作により複数の機能のオンオフ切り換え操作が可能な多方向スイッチが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1に記載された多方向スイッチは、回動基部に軸方向摺動可能に設けられたプッシュノブと、そのプッシュノブを中心とする円周上に設けられた円環板状のジョイノブとにより形成された操作部を備えており、その操作部が回動基部を中心として任意の方向に傾動可能に構成されている。その操作部を傾動操作することで、操作方向の回路基板上に配置されたタクトスイッチのオンオフ切り換えが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−319181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の従来のスイッチ装置においては、操作部を軸方向摺動可能に支持する構成部品や任意の方向に傾動可能に支持する構成部品が操作部の下方位置に必要であり、部品点数が増加する。それと相まって、奥行き寸法が大きくなるので、スイッチ装置全体が大型化する。従って、スイッチ装置全体の薄型化が求められる。
【0006】
本発明の目的は、薄型化を可能としたスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、基板に設けられた第1の固定接点、及び前記第1の固定接点に対して接離可能な第1の可動接点と、前記基板の前記第1の固定接点を中心とする外周に設けられた複数の第2の固定接点、及び前記第2の固定接点に対して接離可能な複数の第2の可動接点と、前記第1の可動接点を前記第1の固定接点の接触位置に接触させるために弾性変形して反転させるとともに、前記第2の可動接点を前記第2の固定接点の接触位置に接触させるために弾性変形して反転させることで、節度感を発生させる節度感発生部材と、前記節度感発生部材を介して前記第1の可動接点を押圧する第1の押圧操作部と、前記第2の可動接点を押圧する側とは反対側を回動支点として前記第1の押圧操作部を連動させるとともに、前記節度感発生部材を介して前記第2の可動接点を押圧する第2の押圧操作部とを備えており、前記第1の押圧操作部の操作力により、前記第1の可動接点が原点位置から反転動作開始位置を経て前記第1の固定接点に接触する接触位置に至るまでに必要とする荷重とストロークとの関係を示す曲線が、前記第2の押圧操作部の操作力により、前記第2の可動接点が原点位置から反転動作開始位置を経て前記第2の固定接点に接触する接触位置に至るまでに必要とする荷重とストロークとの関係を示す曲線よりも、ストローク方向に伸長されるように設定されたことを特徴とするスイッチ装置にある。
【0008】
ここで、ストローク方向に伸長とは、荷重とストロークとの関係を示す曲線において第1の可動接点が原点位置から反転動作開始位置(極大荷重)を経て第1の固定接点に接触する接触位置(極小荷重)に至るまでの荷重の変化を、第2の可動接点よりも長いストロークで推移させることをいう。
【0009】
[2]上記[1]記載のスイッチ装置は、前記第1の可動接点の前記荷重とストロークとの関係を示す曲線における原点位置から立ち上がるときの特性が、前記第2の可動接点の前記荷重とストロークとの関係を示す曲線における原点位置から立ち上がるときの特性よりも緩い勾配の傾斜となるように設定されたことを特徴とする。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]記載のスイッチ装置は、前記第1の可動接点の反転動作開始位置における荷重が、前記第2の可動接点の反転動作開始位置における荷重を超えないように設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構造で、第1の可動接点の荷重変化による影響を防止することが可能となり、多方向操作可能な薄型のスイッチ構造が効果的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に好適な実施の形態に係るスイッチ装置の内部構造を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図1に示すスイッチ装置の平面図である。
【図3】図1に示すスイッチ装置に用いた荷重・ストローク特性を説明するための図である。
【図4】図1に示すスイッチ装置に用いた他の荷重・ストローク特性を説明するための図である。
【図5】図1に示すスイッチ装置に用いた更に他の荷重・ストローク特性を説明するための図である。
【図6】図1に示すスイッチ装置に用いた更に他の荷重・ストローク特性を説明するための図である。
【図7】比較例としての荷重・ストローク特性を示す図である。
【図8】比較例としての荷重・ストローク特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0014】
(スイッチ装置の構成)
図1及び図2において、全体を示す符号1は、この実施の形態に係る典型的なスイッチ装置を模式的に示している。図示例によるスイッチ装置1は、特に限定されるものではないが、例えば自動車の運転席周辺に操作デバイスとして好適に用いられる。
【0015】
このスイッチ装置1は、図1及び図2に示すように、上方に開放した開口部2aを有するケース2の内部に配置されたスイッチ部10と、開口部2aを介してスイッチ部10の押圧方向へ移動自在に配置された押圧操作部20とにより主に構成されている。ケース2の外周面には取付プレート4が延在されている。
【0016】
(スイッチ部の構成)
このスイッチ部10は、図1及び図2に示すように、配線基板3に配置された第1の固定接点である中央固定接点11と、その中央固定接点11に対して接離可能な第1の可動接点である中央可動接点13と、配線基板3の中央固定接点11を中心とする同一円周上の4方向に配置された第2の固定接点である周辺固定接点12,…,12と、その周辺固定接点12に対して接離可能な第2の可動接点である4つの周辺可動接点14,…,14とにより主に構成されている。この配線基板3は、例えばリジッド板又はフレキシブル板等の部材からなる。
【0017】
この中央固定接点11は、図1及び図2に示すように、配線基板3の一対の配線パターンに接続された接点11a,11bを有している。中央固定接点11と中央可動接点13とにより中央スイッチ部が構成される。一方の周辺固定接点12は、配線基板3の一対の配線パターンに接続された接点12a,12bを有している。隣接する2つの周辺固定接点12,12と、それらの周辺固定接点12に対応する2つの周辺可動接点14,14との組により周辺スイッチ部が構成される。これらの接点の材質は、例えば銅又は金等の導電性を有する金属材からなる。
【0018】
このスイッチ部10は、図1に示すように、金属材、ゴム材又は軟質樹脂材等のバネ性を有する部材により十字形状に形成されたドームシート18を備えている。このドームシート18は、中央固定接点11と対応する部位の表面側が上方向に隆起するドーム部16と、周辺固定接点12と対応する部位の表面側が上方向に隆起するドーム部17とを有している。このドーム部16は、中央可動接点13を中央固定接点11の接触位置に接触させるために弾性変形して反転させるものである。一方のドーム部17は、周辺可動接点14を周辺固定接点12の接触位置に接触させるために弾性変形して反転させるものであり、節度感を発生させる節度感発生部材として構成されている。
【0019】
この節度感は、図3(a)に示すように、反転動作開始位置F1(以下、「極大荷重F1」ともいう。)と、固定接点及び可動接点の接触位置F2(以下、「極小荷重F2」ともいう。)との差に基づく(F1−F2)/F1により求められるものである。
【0020】
このドームシート18のドーム部16,17は、図1に示すように、円錐台形状の脚部16a,17aと、その脚部16a,17aの上面を形成する円形状の可動部16b,17bとからなる。この脚部16a,17aがスイッチ操作時の押圧力により弾性変形して反転するように形成されている。この可動部16bの内面には、スイッチ非操作時において中央固定接点11とは離間した非接触状態で中央可動接点13が形成されている。一方の可動部17bの内面には、スイッチ非操作時において周辺固定接点12とは離間した非接触状態で周辺可動接点14が形成されている。
【0021】
(押圧操作部の構成)
この押圧操作部20は、図1及び図2に示すように、例えば合成樹脂材からなり、ドームシート18のドーム部16,17の上面に保持されている。この押圧操作部20の表面には、互いに隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置を押圧操作するときの操作位置を示す4つの三角形のマーク21,…,21が施されている。
【0022】
この押圧操作部20は、図1及び図2に示すように、中央固定接点11と対応する部位に配置された円形状の中央操作部30と、周辺固定接点12と対応して中央操作部30の外周に配置された円環状の周辺操作部40との二部材により構成されている。この中央操作部30は、選択された操作項目に対応する処理の実行を操作者が決定するための決定スイッチ用の決定キーとして構成される。一方の周辺操作部40は、操作者が画像上の操作項目を選択するための選択スイッチ用の選択キーとして構成される。
【0023】
この中央操作部30は、図1に示すように、下方に開放した開口を有するキャップ状に形成されており、上方に湾曲する上面部31と、その上面部31の外周縁に形成された周壁部32とを有している。一方の周辺操作部40は、下方に開放した開口を有する円環キャップ状に形成されており、平坦な上面部41と、その上面部41の内側に形成された内周壁部42、及び外側に形成された外周壁部43とを有している。
【0024】
この中央操作部30の上面部31の内面中央部には、図1に示すように、オンオフ切り替え用の筒状の押圧突部33が突出して形成されている。中央操作部30における周壁部32の開口縁部には、円環状のフランジ部34が外側に向けて形成されている。この押圧突部33により、中央操作部30がドーム部16の可動部16bの上面に保持されるとともに、このフランジ部34により、周辺操作部40の内周壁部42に保持されている。
【0025】
一方の周辺操作部40における内周壁部42の開口端部は、図1及び図2に示すように、周辺操作部40のスイッチ非操作時において中央操作部30のフランジ部34の上面に接触しており、中央操作部30が周辺操作部40の内周壁部42から抜け出るのを防止している。この内周壁部42の外面には、操作方向に延びる4つのガイド溝44,…,44が形成されている。このガイド溝44は、中央操作部30の周壁部32から外側に向けて放射状に突出形成された4つのガイドリブ35,…,35を摺動案内するスライド構造に形成されており、中央操作部30が単独に動作するように構成されている。
【0026】
この周辺操作部40における外周壁部43の開口縁部は、図1に示すように、外側に向かうフランジ部45を有している。そのフランジ部45の下面は、ドームシート18のドーム部17の上面に接触しており、接点押圧部として構成されている。このフランジ部45は更に、ケース2の開口端縁部とドームシート18のドーム部17との間に回動可能に保持されており、図1に一点鎖線で示すように、周辺操作部40全体が回動するときの回動支点として構成されている。この回動支点は、押圧する側の周辺操作部40のフランジ部45とは反対側のフランジ部45となる。
【0027】
この周辺操作部40のフランジ部45は、互いに隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置で周辺操作部40を押圧操作することで、押圧する側のフランジ部45とは反対側のフランジ部45を回動支点としてドームシート18の互いに隣接する2つのドーム部17を同時に弾性変形させ、互いに隣接する2つの周辺可動接点14と周辺固定接点12との組を接触させてオンする。
【0028】
(比較例としての荷重・ストローク特性)
図8を参照すると、図8(a)には、中央可動接点13単体の荷重・ストローク特性(曲線)100と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性200とが同程度に設定された曲線形状が示されている。
【0029】
この荷重・ストローク特性100は、中央可動接点13が原点位置から反転動作開始位置F1を経て中央固定接点11と接触する接触位置F2に達するまでに必要とする荷重(操作力)及びストロークの関係を示している。荷重・ストローク特性200は、隣接する2つの周辺可動接点14の組が原点位置から反転動作開始位置F1を経て周辺固定接点12と接触する接触位置F2に達するまでに必要とする荷重及びストロークの関係を示している。
【0030】
図8(b)には、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの中央可動接点13単体の荷重・ストローク特性101と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性200とを合成した荷重・ストローク特性300が示されている。
【0031】
隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重が付与されると、隣接する2つのドーム部17の脚部17aは、図8(b)の荷重・ストローク特性300に示すように、極大荷重F3で反転動作を開始する。そのドーム部17には反転動作による荷重の低下が発生し、周辺操作部40に対する押圧操作が軽くなる。そのドーム部17の可動部17bに形成された周辺可動接点14が極小荷重F4で周辺固定接点12に接触することでオン状態となる。この隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に対する荷重の付与が解除されると、ドーム部17は元の位置へ弾性復帰し、周辺可動接点14が周辺固定接点12から離れてオフ状態となる。
【0032】
しかしながら、この周辺操作部40を押圧操作すると、押圧する側の周辺操作部40のフランジ部45とは反対側のフランジ部45が回動支点となる構成であり、周辺操作部40の内周壁部42の開口端部により中央操作部30のフランジ部34が押し下げられる。この中央操作部30は、周辺操作部40と一緒に回動して、中央操作部30の押圧突部33によりドーム部16が半押し状態に押圧されるので、この中央操作部30には、図8(b)に示す荷重・ストローク特性101のように、周辺操作部40の押圧操作に基づく荷重が作用することとなる。
【0033】
その結果、ドーム部16に作用する荷重の影響により、図8(b)に示す荷重・ストローク特性300のように、周辺操作部40の操作荷重が増大するとともに、極大荷重F3と極小荷重F4との荷重の変化が小さくなり、周辺操作部40を押し下げた際の操作フィーリングが低下してしまうこととなる。
【0034】
(実施の形態としての荷重・ストローク特性)
ここで、図3(a)を参照すると、図3(a)には、中央操作部30の押圧操作により、中央可動接点13が原点位置から反転動作開始位置F1を経て中央固定接点11に接触する接触位置F2までに必要とする荷重とストロークとの関係を示す荷重・ストローク特性100と、周辺操作部40の押圧操作により、周辺可動接点14が原点位置から反転動作開始位置F1を経て周辺固定接点12に接触する接触位置F2に達するまでに必要とする荷重とストロークとの関係を示す荷重・ストローク特性200とが示されている。
【0035】
図3(a)に示す荷重・ストローク特性100は、中央可動接点13単体に荷重を加えたときの曲線形状であり、荷重・ストローク特性200は、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの曲線形状である。
【0036】
図3(b)には、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの中央可動接点13単体の荷重・ストローク特性101と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性200とを合成した荷重・ストローク特性300が示されている。
【0037】
この実施の形態に係るスイッチ装置1の一つの基本の構成は、図3(a)に示すように、中央可動接点13の荷重・ストローク特性100を、周辺可動接点14の荷重・ストローク特性200よりも、ストローク方向に伸長するように設定することにある。
【0038】
この実施の形態に係るスイッチ装置1のもう一つの基本の構成は、図4(a)に示すように、中央可動接点13の荷重・ストローク特性100における原点位置の荷重の立ち上がりを周辺可動接点14の荷重・ストローク特性200における原点位置の荷重の立ち上がりよりも、上方に向けて凹状をなす緩い勾配の傾斜となるように設定することにある。
【0039】
この実施の形態に係るスイッチ装置1の更にもう一つの基本の構成は、図4(a)に示すように、中央可動接点13の極大荷重F1を周辺可動接点14の極大荷重F1とは同程度の荷重に設定するか、あるいは図5(a)に示すように、周辺可動接点14の極大荷重F5よりも、低い荷重に設定することにある。
【0040】
ここで、ストローク方向に伸長するとは、例えば可動接点と固定接点との間の距離を長く設定することで長ストローク化を図り、周辺操作部40を押圧操作した際の良好な操作フィーリングを得ることではない。この実施の形態においてストローク方向に伸長するとは、図3(a)に示す中央可動接点13単体の荷重・ストローク特性100のように、中央可動接点13が原点位置から極大荷重F1を経て中央固定接点11に接触する接触位置F2に至るストロークS2までの荷重の変化を、周辺可動接点14が原点位置から反転動作開始位置F1を経て周辺固定接点12に接触する接触位置F2に至るストロークS1までに必要とする荷重よりも、長いストロークで推移させることをいう。
【0041】
ドームシート18におけるドーム部16,17の脚部16a,17aの形状、肉厚、材質、バネ特性などを適切に選定することで、中央可動接点13の荷重の推移をストローク方向に適度に伸長させることができる。これにより、周辺操作部40を押圧操作した際に中央操作部30の荷重変化に影響を受けることなく、良好な操作フィーリングが得られる。
【0042】
この構成を採用することで、図3(a)に示す中央可動接点13の荷重・ストローク特性100のように、周辺可動接点14の原点位置から反転動作開始位置F1に至るまでのストローク領域においては、中央可動接点13の原点位置から反転動作開始位置F1に至る曲線が緩い勾配の傾斜となり、周辺可動接点14の極大荷重F1よりも低い荷重が作用するだけである。これにより、周辺操作部40には、図3(b)に示す荷重・ストローク特性300が得られることから、図8(b)に示す荷重・ストローク特性300と比べると、周辺操作部40に対する操作荷重の増加を抑えるとともに、周辺操作部40に対する節度感の低下を抑えることができるようになる。
【0043】
(実施の形態の効果)
上記のように構成されたスイッチ装置1によれば、周辺操作部40の回動軸部を従来のように押圧操作部20の中心部に設定したり、あるいは新たな部品や新たな機構を付加したりする構造を排除することで、多方向操作可能なスイッチ構造の薄型化が図れるとともに、押圧操作ストロークと押圧操作の節度感などの良好な操作フィーリングが効果的に得られる。
【0044】
[変形例]
以下に、図4〜図7を参照しながら、本発明の更に具体的な実施の形態として、変形例1〜3及び比較例を挙げて説明する。なお、この変形例では、上記実施の形態の典型的な他の一例を挙げており、本発明は、これらの変形例及び比較例に限定されるものではないことは勿論である。
【0045】
[変形例1]
図4を参照すると、同図には、中央可動接点13単体に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性100と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの中央可動接点13単体の荷重・ストローク特性101と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性200と、荷重・ストローク特性101と荷重・ストローク特性200とを合成した荷重・ストローク特性300との他の一例が例示されている。
【0046】
図3(a)に示す荷重・ストローク特性と異なるころは、中央可動接点13の荷重・ストローク特性100における原点位置の荷重の立ち上がりを、周辺可動接点14の荷重・ストローク特性200における原点位置の荷重の立ち上がりよりも、上方に向けて凹状をなす緩い勾配の傾斜となるように設定した点にある。
【0047】
この構成を採用することで、周辺操作部40には、図4(b)に示す荷重・ストローク特性300が得られることから、図3(b)に示す荷重・ストローク特性300と比べると、周辺可動接点14が原点位置から反転動作開始位置F3を経て周辺固定接点12に接触する接触位置F4に至るまでのストローク領域においては、周辺操作部40に対する操作荷重が低下するとともに、周辺操作部40に対する良好な節度感が得られる。
【0048】
[変形例2]
図5を参照すると、同図には、中央可動接点13単体に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性100と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの中央可動接点13単体の荷重・ストローク特性101と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性200と、荷重・ストローク特性101と荷重・ストローク特性200とを合成した荷重・ストローク特性300との更に他の一例が例示されている。
【0049】
図3(a)及び図4(a)に示す荷重・ストローク特性と異なるころは、これらの図に示す荷重・ストローク特性では中央可動接点13の極大荷重F1及び周辺可動接点14の極大荷重F1とを同程度の荷重に設定していたものを、図5(a)に示す荷重・ストローク特性にあっては、中央可動接点13の極大荷重F1を周辺可動接点14の極大荷重F5よりも低い荷重に設定した点にある。
【0050】
この構成を採用することで、周辺操作部40には、図5(b)に示す荷重・ストローク特性300が得られることから、図3(b)及び図4(b)に示す荷重・ストローク特性300と比べて、周辺操作部40に対する良好な節度感が得られる。
【0051】
[変形例3]
図6を参照すると、同図には、中央可動接点13単体に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性100と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの中央可動接点13単体の荷重・ストローク特性101と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性200と、荷重・ストローク特性101と荷重・ストローク特性200とを合成した荷重・ストローク特性300との更に他の一例が例示されている。
【0052】
図5(a)に示す荷重・ストローク特性と異なるころは、図5(a)に示す荷重・ストローク特性では、中央可動接点13の極小荷重F2と周辺可動接点14の極小荷重F2とを同程度の荷重に設定していたものを、図6(a)に示す荷重・ストローク特性では、周辺可動接点14の極小荷重F6を中央可動接点13の極小荷重F2よりも低い荷重に設定した点にある。
【0053】
この構成を採用することで、周辺操作部40には、図6(b)に示す荷重・ストローク特性300が得られることから、図5(b)に示す荷重・ストローク特性300と比べると、周辺操作部40に対する良好な節度感が得られる。
【0054】
[比較例]
【0055】
図7を参照すると、同図には、中央可動接点13単体に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性100と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの中央可動接点13単体の荷重・ストローク特性101と、隣接する2つの周辺可動接点14の中間位置に荷重を加えたときの荷重・ストローク特性200と、荷重・ストローク特性101と荷重・ストローク特性200とを合成した荷重・ストローク特性300との比較例が示されている。
【0056】
図5(a)に示す荷重・ストローク特性にあっては、周辺可動接点14の極大荷重F5を中央可動接点13の極大荷重F1よりも高い荷重に設定していたものを、これとは反対に、比較例による荷重・ストローク特性は、図7(a)に示すように、周辺操作部40の極大荷重F5を中央可動接点13の極大荷重F1よりも低い荷重に設定した点で、図5(a)に示す荷重・ストローク特性とは異なっている。
【0057】
周辺操作部40には、図7(b)に示す荷重・ストローク特性300が得られることから、図5(b)に示す荷重・ストローク特性300と比べると、周辺操作部40に対する操作荷重が低下するものの、周辺操作部40に対する良好なクリック感が得られないということが分かる。
【0058】
以上の説明からも明らかなように、本発明のスイッチ装置1を上記実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態、変形例及び図示例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。本発明にあっては、例えば次に示すような更に他の変形例も可能である。
(1)上記実施の形態では、中央固定接点11を中心とする4方向に配置された複数の周辺固定接点12を例示したが、これに限定されるものではなく、中央固定接点11を中心とする2方向に配置された複数の周辺固定接点12にも適用可能である。更には、互いに隣接する2つの周辺可動接点14が同時にオンすることを信号入力条件としてもよく、周辺可動接点14のそれぞれが単独にオンすることを信号入力条件としてもよいことは勿論である。
(2)押圧操作部20は、周辺操作部40のガイド溝44に中央操作部30のガイドリブ35を摺動案内するスライド構造でもよく、周辺操作部40に形成したガイドリブに対して、中央操作部30に形成したガイド溝を摺動案内するスライド構造であってもよい。
(3)スイッチ装置1の適用対象としては、例えば自動車の運転席周辺に装備される各種の入力操作部に好適に用いられるとともに、ノートパソコン、携帯電話機やビデオ機器等の各種の電子機器の入力操作部として好適に用いることができる。
【0059】
以上の説明からも明らかなように、上記実施の形態、変形例及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0060】
1…スイッチ装置、2…ケース、2a…開口部、3…配線基板、4…取付プレート、10…スイッチ部、11…中央固定接点、11a,11b,12a,12b…接点、12…周辺固定接点、13…中央可動接点、14…周辺可動接点、16,17…ドーム部、16a,17a…脚部、16b,17b…可動部、18…ドームシート、20…押圧操作部、21…マーク、30…中央操作部、31,41…上面部、32…周壁部、33…押圧突部、34,45…フランジ部、35…ガイドリブ、40…周辺操作部、42…内周壁部、43…外周壁部、44…ガイド溝、100…中央可動接点単体の荷重曲線、101…隣接する2つの周辺可動接点の中間位置に荷重を加えたときに中央可動接点単体に加わる荷重曲線、200…隣接する2つの周辺可動接点の中間位置に荷重を加えたときの荷重曲線、300…荷重曲線101と荷重曲線200とを合成した荷重曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた第1の固定接点、及び前記第1の固定接点に対して接離可能な第1の可動接点と、
前記基板の前記第1の固定接点を中心とする外周に設けられた複数の第2の固定接点、及び前記第2の固定接点に対して接離可能な複数の第2の可動接点と、
前記第1の可動接点を前記第1の固定接点の接触位置に接触させるために弾性変形して反転させるとともに、前記第2の可動接点を前記第2の固定接点の接触位置に接触させるために弾性変形して反転させることで、節度感を発生させる節度感発生部材と、
前記節度感発生部材を介して前記第1の可動接点を押圧する第1の押圧操作部と、
前記第2の可動接点を押圧する側とは反対側を回動支点として前記第1の押圧操作部を連動させるとともに、前記節度感発生部材を介して前記第2の可動接点を押圧する第2の押圧操作部とを備えており、
前記第1の押圧操作部の操作力により、前記第1の可動接点が原点位置から反転動作開始位置を経て前記第1の固定接点に接触する接触位置に至るまでに必要とする荷重とストロークとの関係を示す曲線が、前記第2の押圧操作部の操作力により、前記第2の可動接点が原点位置から反転動作開始位置を経て前記第2の固定接点に接触する接触位置に至るまでに必要とする荷重とストロークとの関係を示す曲線よりも、ストローク方向に伸長されるように設定されたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1の可動接点の前記荷重とストロークとの関係を示す曲線における原点位置から立ち上がるときの特性が、前記第2の可動接点の前記荷重とストロークとの関係を示す曲線における原点位置から立ち上がるときの特性よりも緩い勾配の傾斜となるように設定されたことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1の可動接点の反転動作開始位置における荷重が、前記第2の可動接点の反転動作開始位置における荷重を超えないように設定されたことを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−89520(P2013−89520A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230349(P2011−230349)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】