説明

スイッチ

【課題】操作性を損なうことなく、誤動作を防止することが可能となるスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】操作部は略中央部で回動自在に結合された第1のボタン1および第2のボタン2と、第1のボタン1および第2のボタン2に夫々回動自在に結合された第1の傾動子3および第2の傾動子4と、第1のボタン1および第2のボタン2の結合部分に回動自在に結合された転換子8からなり、転換子8に形成されたガイド突起8dが操作部ケース11に形成された係合凹部11dに係合することで操作部の傾動操作が抑制され、操作部の略中央部の押圧操作により転換子8が下方に押し下げられることでガイド突起8dと係合凹部11dの係合が解除されて傾動操作が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の傾動により電路の開閉を行うスイッチに係り、誤動作防止機能を備えたスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の操作部を傾動することで電路の開閉を行うスイッチの誤動作防止として、スリープの上端に設けた切欠にレバーに被せたキャップの係合突起を係合させ、ロック状態に保持し、キャップを引き上げて切欠との係合を外し、レバーを傾動させるロックレバートグルスイッチ(下記特許文献1参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−89643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したロックレバートグルスイッチは、キャップを引き上げてスリープの切欠との係合を外してからレバーを傾動させるため、操作が煩雑で操作性が損なわれるといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、操作性を損なうことなく誤動作を防止するスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕ケースに傾動自在に配設された操作部を傾動させて電路の開閉を行うスイッチにおいて、前記操作部は略中央部で回動自在に結合された2つのボタンと、該ボタンに夫々回動自在に結合された2つの傾動子と、前記2つのボタンの結合部分に回動自在に結合された転換子からなり、該転換子には突起が形成され、該突起が前記ケースに形成された凹所に係合することで前記操作部の傾動操作が抑制され、前記転換子が下方に押し下げられることで前記突起と前記凹所の係合が解除されて傾動操作が可能となることを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のスイッチにおいて、前記操作部の略中央部を押圧することで前記転換子が連動して下方へ押し下げられて前記突起と前記凹所の係合が解除されることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載のスイッチにおいて、前記2つのボタンは底面部から操作片を立設させて略L字状に形成され、前記操作片を摘むことで前記転換子が連動して下方へ押し下げられて前記突起と前記凹所の係合が解除されることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載のスイッチにおいて、前記2つの傾動子には傾動軸が形成され、該傾動軸が前記ケースに形成された孔に回動自在に係合され、前記傾動軸が支点となって前記操作部が傾動するとともに前記傾動軸の回転によって接触機構が操作されることを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕記載のスイッチにおいて、前記操作部と前記接触機構を夫々独立したユニットで構成することを特徴とする。
〔6〕上記〔3〕記載のスイッチにおいて、前記操作片の一方にアームを回動自在に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)操作部を押圧することでロックが解除できるため、スムーズな動作でロック解除から傾動操作までを行えるので、操作性を損なうことなく誤動作を防止することができる。
(2)2つの傾動子を設けたことで傾動操作に必要な操作力が分散されるため、大きな操作力が不要となり、軽快に操作することができる。
(3)2つの傾動子に夫々接触機構を結合することができるため、1つの操作部で異なる接触機構を同時に操作することができる。
(4)操作部と接触機構を夫々独立したユニットとしたので、接触機構ユニットの基礎絶縁が破壊された場合でも操作部ユニットで感電に対する保護ができるため、二重絶縁構造が実現できる。
(5)操作部と接触機構を夫々独立したユニットとしたので、接触機構ユニットの結合数を変えるだけで、極数を容易に変更することができる。
(6)操作部と接触機構を夫々独立したユニットとしたので、接触機構が傾動軸の回転に伴って動作する構造であれば、接触機構ユニットを付け替えることで多様な接触機構に対応できる。
(7)操作片を摘むことでロックが解除できるため、スムーズに自然な動作でロック解除から傾動操作までを行えるので、操作性を損なうことなく誤動作を防止することができる。
(8)操作片の一方にアームを設けたため、ロック状態とロック解除状態の保持を容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施例を示すスイッチの操作部の分解斜視図である。
【図2】本発明の第一実施例を示すスイッチの操作部の斜視図である。
【図3】本発明の第一実施例を示すスイッチの操作部の動作を示す図である。
【図4】本発明の第一実施例を示すスイッチの接触機構の分解斜視図である。
【図5】本発明の第一実施例を示すスイッチの接触機構の斜視図である。
【図6】本発明の第一実施例を示すスイッチの斜視図である。
【図7】本発明の第一実施例を示すスイッチの接触機構の動作を示す図である。
【図8】本発明の第二実施例を示すスイッチの操作部の分解斜視図である。
【図9】本発明の第二実施例を示すスイッチの操作部の動作を示す図である。
【図10】本発明の第二実施例の応用例を示すスイッチの操作部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、操作部に配設されたロック機構を煩わしい操作を行うことなく解除することができる構成とする。よって、操作性を損なうことなく誤動作を防止することができる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の第一実施例を示すスイッチの操作部の分解斜視図、図2は本発明の第一実施例を示すスイッチの操作部の斜視図、図3は本発明の第一実施例を示すスイッチの操作部の動作を示す図であり、図3(a)は操作前、図3(b)は操作途中、図3(c)は操作後である。図4は本発明の第一実施例を示すスイッチの接触機構の分解斜視図、図5は本発明の第一実施例を示すスイッチの接触機構の斜視図、図6は本発明の第一実施例を示すスイッチの斜視図、図7は本発明の第一実施例を示すスイッチの接触機構の動作を示す図であり、図7(a)は操作前、図7(b)は操作途中、図7(c)は操作後である。
【0012】
図1および2において、1は第1のボタン、2は第2のボタン、3は第1の傾動子、4は第2の傾動子、5は連結子、6は第1のボタン1と第1の傾動子3と連結子5を回動自在に結合するピン、7は第2のボタン2と第2の傾動子4と連結子5を回動自在に結合するピン、8は転換子、9は連結子5の上面に配設されるコイルバネ、10は第1のボタン1と第2のボタン2と転換子8を回動自在に結合するピン、11は操作部ケース、12は引張バネ、13は操作部ケースカバーである。
【0013】
第1のボタン1には一対の軸受孔1aおよび1bが形成され、第2のボタン2は第1のボタン1と同一形状であって、一対の軸受孔2aおよび2bが形成されている。第1の傾動子3は平板の両短側面に切欠を設けてH字状に形成され、端部の一方に一対の軸受孔3aと他方に一対の傾動軸3bが形成され、切欠の間に引張バネ12を掛着する掛着孔3cが形成されている。第2の傾動子4は平板の一方の短側面に切欠を設け一対の軸受孔4aが形成され、他方の短側面に傾動軸4bが形成されている。連結子5は略平板状であって、両短側面の近傍に軸受孔5aおよび5bが形成され、略中央部に上下に貫通した軸受孔5cが形成されている。転換子8は略長方形の底面部の短側面に沿って一対の突設片8aが形成されるとともに略中央部には突設片8aと同方向に略円柱状の摺動軸8bが形成され、突設片8aには先端部近傍に軸受孔8cが形成されるとともに底面部近傍に外方に向ってガイド突起8dが形成されている。
【0014】
第1のボタン1の軸受孔1aの間に第1の傾動子3の軸受孔3aが配設され、傾動軸3aの間に連結子5の軸受孔5aが配設され、軸受孔1a、3aおよび5aにピン6が圧入されて第1のボタン1、第1の傾動子3および連結子5が回動自在に結合される。第2のボタン2の軸受孔2aの間に第2の傾動子4の軸受孔4aが配設され、傾動軸4aの間に連結子5の軸受孔5bが配設され、軸受孔2a、4aおよび5bにピン7が圧入されて第2のボタン2、第2の傾動子4および連結子5が回動自在に結合される。第1のボタン1の軸受孔1b、第2のボタン2の軸受孔2bおよび転換子8の軸受孔8cにピン10が圧入されて第1のボタン1、第2のボタン2および転換子8が回動自在に結合される。このとき、連結子5の軸受孔5c上にコイルバネ9が載置されるとともに転換子8の摺動軸8bが軸受孔5cおよびコイルバネ9に挿通され、操作部が構成される。
【0015】
第1の傾動子3の掛着孔3cと操作部ケース11に形成された掛着突起11aの間に引張バネ12が掛着されるとともに操作部が操作部ケース11に配設される。このとき、第1の傾動子3および第2の傾動子4の傾動軸3bおよび4bが操作部ケース11に形成された軸受孔11bに夫々係合されるとともに、転換子8のガイド突起8dが操作部ケース11に形成されたガイド溝11cの係合凹部11dに係合される。そして、操作部ケースカバー13が操作部ケース11に被され、操作部ケース11の凹部11eに形成された嵌合凸部11fと操作部ケースカバー13の突片13aに形成された嵌合孔13bが嵌合される。このとき、第1の傾動子3および第2の傾動子4の傾動軸3bおよび4bが軸受孔13cに夫々係合されるとともに、操作部ケース11の掛着突起11aが係合孔13dに係合されることにより、操作部ユニット23が完成される。
【0016】
以上のように構成された本発明のスイッチの操作部は、図3に示すように、操作部を押圧しない場合、ガイド突起8dがガイド溝11cの係合凹部11dに係合しているため傾動操作が抑制される。第1のボタン1および第2のボタン2の結合部近傍を押圧すると転換子8が押し下げられてガイド突起8dと係合凹部11dの係合が解除されて傾動操作が可能となり、第1のボタン1および第2のボタン2を右方向に操作すると、傾動軸3bおよび4bを支点として第1の傾動子3および第2の傾動子4が右方向に傾動する。そして、第2の傾動子4が操作部ケース11の内側面の傾斜に当接するとともに引張バネ12の付勢により操作部の状態が保持され、操作部の押圧を解除すると第1のボタン1と第2のボタン2の結合部がコイルバネ9によって押し上げられ、連動して転換子8が押し上げられてガイド突起8dと係合凹部11dが係合されて操作が完了する。このとき、第1のボタン1および第2のボタン2の操作に伴って傾動軸3bおよび4bが回転し、この回転により傾動軸3bおよび4bに結合された接触機構を操作することで電路の開閉を行う。
【0017】
このように、本実施例に示すスイッチの操作部は、操作部を押圧することでロックが解除できるため操作に煩わしさがなく、スムーズな操作でロック解除から傾動操作を行えるため、操作性を損なうことなく誤動作を防止することができるという特徴を有している。
そして、第1の傾動子3および第2の傾動子4を配設したため、傾動操作に必要な力が分散されるので大きな操作力が不要であるため軽快な操作感が得られるという特徴を有している。また、傾動軸3bおよび4bに夫々接触機構を結合することができるため、1つの操作で複数の接触機構を同時に操作することができる。
そして、操作部と接触機構を夫々独立したユニットとしたため、接触機構の基礎絶縁が破壊されたときでも、操作部ユニット23側で感電に対する保護ができるという特徴を有している。また、操作部と接触機構を夫々独立したユニットとしたため、接触機構が傾動軸3bおよび4bの回転に伴って動作する構造であれば、接触機構ユニットを付け替えることで様々な接触機構に対応できる。
【0018】
図4および5において、操作部ユニット23で操作される接触機構の一例を示す。ここでは、傾動軸3bにのみ接触機構が結合された構造について説明する。14は可動接片、15は第1の可動接片カバー、16は第1の可動接片カバー15と嵌合して可動接片14を挟持する第2の可動接片カバー、17は接触機構ケース、18は第1の可動接片カバー15と接触機構ケース17に掛着される引張バネ、19は接触機構ケース17に配設される端子、20は端子19を覆うように接触機構ケース17に嵌合される端子カバー、21は接触機構ケース17と嵌合される接触機構ケースカバー、22は接触機構ケース17に螺合されるネジである。可動接片14は板状の導電部材を円弧状に折り曲げて形成され、円弧の両端には円弧の外方に向って突片14aが形成され、この突片14aに端子19の固定接点19aおよび19bと夫々接触する接点14bおよび14cが設けられている。第1の可動接片カバー15には引張バネ18を掛着する掛着突起15aおよび回転軸15bが形成され、第2の可動接片カバー16には回転軸16aが形成され、この回転軸15bおよび16aを中心として回転可能となる。
【0019】
第1の可動接片カバー15に可動接片14が係合され、第2の可動接片カバー16が第1の可動接片カバー15に嵌合されることで可動接片14が挟持される。このとき、第1の可動接片カバー15の掛着突起15aには引張バネ18の一方が掛着される。固定接点19aおよび19bが端子挿入孔17aから接触機構ケース17の内側に突出するとともに固定接片19cおよび19dが接触機構ケース17の底面に配設されるように端子19が接触機構ケース17の側面に配設され、端子カバー20が接触機構ケース17の端子19を配設した側から被され、凹部17bに形成された嵌合凸部17cと突片20aに形成された嵌合孔20bが嵌合される。端子19が配設された接触機構ケース17に第1の可動接片カバー15および第2の可動接片カバー16に挟持された可動接片14が配設され、このとき、第1の可動接片カバー15の回転軸15bが軸受孔17eおよび20cに係合されるとともに引張バネ18の他方が掛着突起17dに掛着される。接触機構ケースカバー21が接触機構ケース17に被され、凹部17fに形成された嵌合凸部17gと突片21aに形成された嵌合孔21bが嵌合される。このとき、第2の可動接片カバー16の回転軸16aが軸受孔21cに係合される。そして、接触機構ケース17の下方からネジ22が固定接片19cおよび19dに形成された貫通孔19eおよび19fを介して接触機構ケース17に螺合されることにより、接触機構ユニット24が完成される。
【0020】
そして、図6に示すように、各部品の結合孔11g、13e、17h、20dおよび21dを結合ピン25で結合することで、操作部ユニット23と接触機構ユニット24が結合される。このとき、第1の傾動子3の傾動軸3bと第1の可動接片カバー15の回転軸15bが嵌合されることにより、スイッチ26が完成される。
【0021】
以上のように構成された本発明のスイッチは、図7に示すように、第1のボタン1および第2のボタン2の結合部近傍を押圧し、転換子8を下方へ押し下げてガイド突起8dと係合凹部11dの係合を解除し、第1のボタン1および第2のボタン2を右方向に操作すると、傾動軸3bが右に回転する。この回転により傾動軸3bに嵌合された第1の可動接片カバー15の回転軸15bが回転する。この回転に伴って可動接片14が回転し、可動接片14の接点14bおよび14cが夫々端子19の固定接点19aおよび19bに接触し、端子19間を導通させる。このとき、可動接片14は引張バネ18の付勢により、接点間の十分な接触力が確保される。また、第1のボタン1および第2のボタン2を左方向に操作すると、傾動軸3bが左に回転し、この回転により回転軸15bが回転する。この回転に伴って可動接片14が回転し、各接点が開離され、端子19間が開放される。このとき、第1のボタン1および第2のボタン2の操作変位が一定量を超えると引張バネ18により、第1の可動接片カバー15が開離方向に付勢されることで可動接片14も付勢され、瞬時に接点間隙が確保される。また、スイッチ26をパネル(図示せず)に取り付ける場合、操作部ケース11に設けられた固定孔11hがパネルに設けられたネジ孔とネジ(図示せず)によって螺合される。
【0022】
このように、本実施例に示すスイッチは、操作部を押圧しない場合にはガイド突起8dがガイド溝11cの係合凹部11dに係合しているため傾動操作が抑制され、第1のボタン1および第2のボタン2の結合部近傍を押圧すると転換子8が下方へ押し下げられてガイド突起8dと係合凹部11dの係合が解除されることで傾動操作が可能となり、第1のボタン1および第2のボタン2の操作に伴って傾動軸3bが回転することで可動接片14を回転させて電路の開閉を行うので、操作に煩わしさがなくスムーズにロック解除から傾動操作を行えるため、操作性を損なうことなく誤動作を防止することができるという特徴を有している。
また、操作部と接触機構を夫々独立したユニットとしたため、二重絶縁構造の実現や、多様な接触機構への対応が容易にできるという特徴を有している。
【0023】
本実施例では、可動接片が円弧状の接触機構としたが、接触機構がボタンの操作に伴って回転する傾動軸に結合するとともに、その回転に伴って動作する構造であれば可動接片の形状は多様に変更可能であって、板状やディスク状などの可動接片による接触機構としてもよい。また、可動接片を一方の傾動軸にのみ結合しているが、2つの傾動軸に夫々結合してもよく、パネルへの取付方法も樹脂バネによるワンタッチ取付などとしてもよく、種々の方法が考えられる。
【0024】
図8は本発明の第二実施例を示すスイッチの操作部の分解斜視図、図9は本発明の第二実施例を示すスイッチの操作部の動作を示す図であり、図9(a)は操作前、図9(b)は操作途中、図9(c)は操作後である。図10は本発明の第二実施例の応用例を示す図であり、図10(a)は操作部をロック状態またはロック解除状態に保持するアーム、図10(b)はアームによってロック状態で保持された操作部、図10(c)はアームによってロック解除状態で保持された操作部、図10(d)はアーム収納時である。
【0025】
図8において、31は第1のボタン、32は第2のボタン、33は第1の傾動子、34は第2の傾動子、35は連結子、36は第1のボタン31と第1の傾動子33と連結子35を回動自在に結合するピン、37は第2のボタン32と第2の傾動子34と連結子35を回動自在に結合するピン、38は転換子、39は連結子5の上面に配設されるコイルバネ、40は第1のボタン31と第2のボタン32と転換子38を回動自在に結合するピン、41は操作部ケース、42は引張バネ、43は操作部ケースカバーである。
【0026】
第1のボタン31は底面部から操作片31aを立設させて略L字状に形成され、底面部に一対の軸受孔31bが形成され、略L字の屈折部近傍に軸受孔31cが形成されている。第2のボタン32は第1のボタン31と同一形状であって、底面部から操作片32aを立設させて略L字状に形成され、底面部に一対の軸受孔32bが形成され、略L字の屈折部近傍に軸受孔32cが形成されている。第1の傾動子33は平板の両短側面に切欠を設けてH字状に形成され、端部一方に一対の軸受孔33aと他方に一対の傾動軸33bが形成され、切欠の間に引張バネ42を掛着する掛着孔33cが形成されている。第2の傾動子34は平板の一方の短側面に切欠を設け一対の軸受孔34aが形成され、他方の短側面に傾動軸34bが形成されている。連結子35は略平板状であって、両短側面の近傍に軸受孔35aおよび35bが形成され、略中央部に上下に貫通した軸受孔35cが形成されている。転換子38は略長方形の底面部の短側面に沿って一対の突設片38aが形成されるとともに略中央部には突設片38aと同方向に略円柱状の摺動軸38bが形成され、突設片38aの先端部近傍に軸受孔38cが形成されるとともに底面部近傍に外方に向ってガイド突起38dが形成されている。
【0027】
第1のボタン31の軸受孔31bの間に第1の傾動子33の軸受孔33aが配設され、傾動軸33aの間に連結子35の軸受孔35aが配設され、軸受孔31b、33aおよび35aにピン36が挿通されて第1のボタン31、第1の傾動子33および連結子35が回動自在に結合される。第2のボタン32の軸受孔32bの間に第2の傾動子34の軸受孔34aが配設され、傾動軸34aの間に連結子35の軸受孔35bが配設され、軸受孔32b、34aおよび35bにピン37が挿通されて第2のボタン32、第2の傾動子34および連結子35が回動自在に結合される。第1のボタン31の軸受孔31c、第2のボタン32の軸受孔32cおよび転換子38の軸受孔38cにピン40が挿通されて第1のボタン31、第2のボタン32および転換子38が回動自在に結合される。このとき、連結子35の軸受孔35c上にコイルバネ39が載置されるとともに転換子38の摺動軸38bが軸受孔35cおよびコイルバネ39に挿通され、操作部が構成される。
【0028】
第1の傾動子33の掛着孔33cと操作部ケース41に形成された掛着突起41aの間に引張バネ42が掛着されるとともに操作部が操作部ケース41に配設される。このとき、第1の傾動子33および第2の傾動子34の傾動軸33bおよび34bが操作部ケース41に形成された軸受孔41bに夫々係合されるとともに、転換子38のガイド突起38dが操作部ケース41に形成されたガイド溝41cの係合凹部41dに係合される。そして、操作部ケースカバー43が操作部ケース41に被され、操作部ケース41の凹部41eに形成された嵌合凸部41fと操作部ケースカバー43の突片43aに形成された嵌合孔43bが嵌合される。このとき、第1の傾動子33および第2の傾動子34の傾動軸33bおよび34bが軸受孔43cに係合されるとともに、操作部ケース41の掛着突起41aが係合孔43dに係合されることにより、操作部ユニットが完成される。そして、第一実施例と同様に、接触機構ユニットと結合されることにより、スイッチが完成される。
【0029】
以上のように構成された本発明のスイッチの操作部は、図9に示すように、通常の状態では、操作片31aと32aは間隔を開けて保持されており、ガイド突起38dがガイド溝41cの係合凹部41dに係合しているため傾動操作が抑制される。操作片31aおよび操作片32aを摘むと転換子38が押し下げられてガイド突起38dと係合凹部41dの係合が解除されて傾動操作が可能となり、操作片31aおよび操作片32aを右方向に操作すると、傾動軸33bおよび34bを支点として第1の傾動子33および第2の傾動子34が右方向に傾動する。そして、第2の傾動子34が操作部ケース41の内側面の傾斜に当接するとともに引張バネ42の付勢により操作部の状態が保持され、操作片31aおよび操作片32aを放すと第1のボタン31と第2のボタン32の結合部がコイルバネ39によって押し上げられ、連動して転換子8が押し上げられてガイド突起38dと係合凹部41dが係合されて操作が完了する。このとき、操作片31aおよび操作片32aの操作に伴って傾動軸33bおよび34bが回転し、この回転により傾動軸33bおよび34bに結合された接触機構を操作することで電路の開閉を行う。
【0030】
図10は、本実施例の応用例を示しており、アーム44が第2のボタン52の操作片52aに回動自在に配設されている。アーム44を操作片51aに形成された係合突起51bに係合することで、操作片51aと52aを閉じることができなくなるためロック状態が保持され、アーム44を係合突起51cに係合することで、操作片51aと52aが閉じたままになるためロック解除状態が保持される。また、状態保持が不要である場合にはアーム44を第2のボタン52に形成された係合突起52bに係合することでアーム44を収納することができる。
【0031】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のスイッチは、操作性を損なうことなく誤動作を防止するスイッチとして利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1,31,51 第1のボタン
2,32,52 第2のボタン
1a,1b,2a,2b,3a,4a,5a,5b,5c,8c,11b,13c,17e,20c,21c,31b,31c,32b,32c,33a,34a,35a,35b,35c,38c,41b,43c 軸受孔
3,33 第1の傾動子
3b,4b,33b,34b 傾動軸
3c,33c 掛着孔
4,34 第2の傾動子
5,35 連結子
6,7,10,36,37,40 ピン
8,38 転換子
8a,38a 突設片
8b,38b 摺動軸
8d,38d ガイド突起
9,39 コイルバネ
11,41 操作部ケース
11a,15a,17d,41a 掛着突起
11c,41c ガイド溝
11d,41d 係合凹部
11e,17b,17f,41e 凹部
11f,17c,17g,41f 嵌合凸部
11g,13e,17h,20d,21d,41g 結合孔
11h,41h 固定孔
12,18,42 引張バネ
13,43 操作部ケースカバー
13a,14a,20a,21a,43a 突片
13b,20b,21b,43b 嵌合孔
13d,43d 係合孔
14 可動接片
14b,14c 接点
15 第1の可動接片カバー
15b,16a 回転軸
16 第2の可動接片カバー
17 接触機構ケース
17a 端子挿入孔
19 端子
19a,19b 固定接点
19c,19d 固定接片
19e,19f 貫通孔
20 端子カバー
21 接触機構ケースカバー
22 ネジ
23 操作部ユニット
24 接触機構ユニット
25 結合ピン
26 スイッチ
31a,32a,51a,52a 操作片
44 アーム
51b,51c,52b 係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに傾動自在に配設された操作部を傾動させて電路の開閉を行うスイッチにおいて、前記操作部は略中央部で回動自在に結合された2つのボタンと、該ボタンに夫々回動自在に結合された2つの傾動子と、前記2つのボタンの結合部分に回動自在に結合された転換子からなり、該転換子には突起が形成され、該突起が前記ケースに形成された凹所に係合することで前記操作部の傾動操作が抑制され、前記転換子が下方に押し下げられることで前記突起と前記凹所の係合が解除されて傾動操作が可能となることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載のスイッチにおいて、前記操作部の略中央部を押圧することで前記転換子が連動して下方へ押し下げられて前記突起と前記凹所の係合が解除されることを特徴とするスイッチ。
【請求項3】
請求項1記載のスイッチにおいて、前記2つのボタンは底面部から操作片を立設させて略L字状に形成され、前記操作片を摘むことで前記転換子が連動して下方へ押し下げられて前記突起と前記凹所の係合が解除されることを特徴とするスイッチ。
【請求項4】
請求項1記載のスイッチにおいて、前記2つの傾動子には傾動軸が形成され、該傾動軸が前記ケースに形成された孔に回動自在に係合され、前記傾動軸が支点となって前記操作部が傾動するとともに前記傾動軸の回転によって接触機構が操作されることを特徴とするスイッチ。
【請求項5】
請求項1記載のスイッチにおいて、前記操作部と前記接触機構を夫々独立したユニットで構成することを特徴とするスイッチ。
【請求項6】
請求項3記載のスイッチにおいて、前記操作片の一方にアームを回動自在に配設したことを特徴とするスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−76884(P2011−76884A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227492(P2009−227492)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】