説明

スイッチ

【課題】安価で復帰動作性に優れたスイッチを提供する。
【解決手段】固定接点2に所定接触圧力で接触する可動接点3Aを備えたばね材製の可動部材3と、可動部材3の上面に移動可能に配置されたねじりコイルばね4と、ねじりコイルばね4のコイル部4Aを移動させるレバー5とを備え、可動部材3は、部材自身のばね力によって可動接点を所定接触圧力で固定接点に接触させるとともに、その上に位置するねじりコイルばねの方向に張り出した凸部3Bを有し、ねじりコイルばね4は、そのコイル部の移動時に、ベース1の摺動壁部1Bと係止孔1Aとから受ける抗力で、両腕部が互いに接近する方向に弾性変形し、この時に生じる弾性回復力で、レバー5を元の位置へ復帰させる第1の機能、及び、コイル部の移動時に、そのコイル部が可動部材の凸部上に乗っかって移動することで、該凸部を下方へ押し下げ、可動部材の可動接点を固定接点2から離隔する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCDやDVD等が装填されるトレイの開閉を検知しON・OFF信号で出力するトレイ開閉センサ等、各種用途に使用できるスイッチに関し、特に、安価でスイッチON/OFF動作特性に優れたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスイッチとしては、例えば、特許文献1に開示されたスイッチが知られている。同文献1の図9ないし図11及び段落0027の記載を参照すると、同文献1のスイッチは、レバー(40)の押し込みにより該レバー(40)が軸部(16、17)を支点として回転移動する。そして、回転移動するレバー(40)の当接部(43)によりねじりコイルばね(30)のコイル部(31)外周面が押圧され、押圧されたコイル部(31)が固定接点(21b)から離れるように移動することにより、固定接点(21b)と共通固定接点(20a)との間が導通しないスイッチOFFの状態になるものである。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1のスイッチによると、ねじりコイルばね(30)のコイル部(31)を可動接点とし、可動接点としてのコイル部(31)の端面側をトップケース(50)で押圧することにより、コイル部(31)と固定接点(21a)とが所定の接触圧力で接触する構造になっている(同文献1の段落0022の記載参照)。このため、例えば、同文献1の図10(A)(B)(C)に示されているように、コイル部(31)が上方から下方に移動する時や、当該コイル部(31)が下方から上方に移動して元の位置に復帰する時に、そのコイル部(31)の端面とトップケース(50)とが擦れ合い、摺動抵抗が生じるから、下方に移動したコイル部(31)が元の位置に復帰し難い等、復帰動作性が悪く、復帰動作不良を引き起こし易い。
【0004】
また、特許文献1のスイッチにあっては、前記のような復帰動作不良を減らすため、ねじりコイルばね(30)のコイル部(31)にグリースを塗布する等、スイッチ組立工程の一部として、コイル部(31)の端面とトップケース(51)と間の摺動抵抗を減らす作業工程が別途必要になり、スイッチ組立工数が増えること、並びに、ねじりコイルばね(30)のコイル部(31)を可動接点として利用しているので、接触不良を防止する観点より、金メッキのねじりコイルばね(30)等、高価なねじりコイルばね(30)を使用する必要があること等から、スイッチ全体の製造コストが高くならざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−310228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、安価で復帰動作性に優れたスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、ベースと、前記ベースに設けた固定接点と、前記固定接点に所定接触圧力で接触する可動接点を備えたばね材製の可動部材と、前記可動部材の上面に移動可能に配置されたコイル部及びこのコイル部から両側に延びた腕部からなるねじりコイルばねと、前記ねじりコイルばねのコイル部を移動させるレバーと、を備え、前記ベースは、前記ねじりコイルばねの一方の腕部の端を係止する係止孔と、同ねじりコイルばねの他方の腕部の端が摺動可能に当接する摺動壁部と、前記レバーの支点となる軸部と、を有し、前記可動部材は、その部材自身のばね力によって前記可動接点を所定接触圧力で前記固定接点に接触させるとともに、その上に位置する前記ねじりコイルばねの方向に張り出した凸部を有し、前記レバーは、前記ねじりコイルばねのコイル部外周面に当接する当接部と、前記ベースから突出した操作部とを備えるとともに、その操作部に作用する外力で前記ベースの軸部を支点として回転することにより、前記当接部を通じて前記ねじりコイルばねのコイル部を前記可動部材の凸部の頂点方向に移動させ、前記ねじりコイルばねは、その前記コイル部の移動時に、前記ベースの摺動壁部と係止孔とから受ける抗力で、両腕部が互いに接近する方向に弾性変形し、この時に生じる弾性回復力で、当該レバーを元の位置へ復帰させる第1の機能、及び、前記コイル部の移動時に、そのコイル部が前記可動部材の凸部上に乗っかって移動することで、該凸部を下方へ押し下げ、前記可動部材の可動接点を前記固定接点から離隔する機能を有することを特徴とする。
【0008】
前記本発明において、前記固定接点に対する前記可動接点の接触圧力を得るための構造は、前記可動部材を前記ベースに組み込む前に予め曲げておき、曲げられた当該可動部材をその曲げと反対の方向に撓ませた状態で、前記可動接点を前記固定接点の下に潜り込ませる構造を採用することができる。
【0009】
前記本発明においては、前記ベースの上から前記ねじりコイルばねを覆うトップケースと前記ねじりコイルばねのコイル部との間に隙間が設けられる構成を採用することで、ねじりコイルばねとトップケースとの間に生じる摺動抵抗を0にしてもよい。かかる隙間を0mmとすることによりトップケースとねじりコイルばねのコイル部とが軽く接触する構成を採用することもできる。この場合、その接触によってねじりコイルばねのコイル部は圧縮されないものとする。もし圧縮されるとしたら、先に述べた特許文献1のスイッチと同様に、復帰動作性が悪くなるからである。
【0010】
前記本発明においては、前記凸部の一部を山の裾のような滑らかな斜面形状とすることにより、その斜面に沿って前記ねじりコイルばねのコイル部が凸部上を移動するように構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明にあっては、スイッチの具体的な構成として、前記の通り、ねじりコイルばねとは別に、可動接点を有するばね材製の可動部材を備え、その部材自身のばね力によって前記可動接点が固定接点に所定接触圧力で接触する構造を採用した。このため、先に説明した特許文献1の従来スイッチのように、ねじりコイルばねのコイル部端面をトップケースで押圧することによって可動及び固定接点間の接触圧力を得る必要がない。従って、そのようなトップケースとねじりコイルばねのコイル部端面との間に所定の隙間を設けることで、トップケースとねじりコイルばねのコイル部端面との間に生じる摺動抵抗を0にすることができ、ねじりコイルばねのコイル部が元の位置に復帰動作し易くなる等、復帰動作に優れたスイッチを提供し得る。
【0012】
また、本発明によると、先に説明した通り、トップケースとねじりコイルばねのコイル部端面との間に生じる摺動抵抗を0にすることが可能であるため、ねじりコイルばねのコイル部にグリースを塗布する等、かかる摺動抵抗を減らすための作業工程をスイッチ組立工程から削除できること、並びに、ねじりコイルばねのコイル部を可動接点として利用しないので、金メッキ等を施していない比較的安価なねじりコイルばねを採用してもよいこと等から、スイッチ全体の製造コスト低減を図れ、安価なスイッチを提供するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明を適用したスイッチの正面外観図、(b)は同スイッチの側面外観図、(c)は同スイッチの底面外観図である。
【図2】図2(a)は図1のスイッチからトップケースを外して同スイッチを正面から見たときのスイッチ内部構造の正面図、同図(b)はそのスイッチ内部構造の側面図である。
【図3】図1のスイッチにおいて、レバーの押し込みによりスイッチOFF動作が始まるときの当該レバー及びねじりコイルばねの位置(OFF動作開始位置)を示した動作説明図である。
【図4】図4は図1のスイッチにおいて、レバーを最大に押し込んだときのレバー及びコイルばねの位置(全移動位置)を示した動作説明図である。
【図5】図5(a)は図1のスイッチを構成するベースの正面図、(b)は同ベースの平面図、(c)は同ベースの左側面図、(d)は同ベースの右側面図、(e)は(b)に図示されたベースのAA断面図、(f)は(b)に図示されたベースのBB断面図、(g)は同ベースの裏面図である。
【図6】図6(a)は図1のスイッチを構成する可動部材、固定接点を含むプレス成形品の平面図(インサート成形によりベースに組み込まれる前)、(b)は(a)に図示されたプレス成形品のB矢視図、(c)は(a)に図示されたプレス成形品のC矢視図、(d)は(a)に図示されたプレス成形品のAA断面図、(e)は固定接点に対する可動接点の接触圧力を得るための可動部材の予備曲げの説明図である。
【図7】図7(a)は図1のスイッチを構成するねじりコイルばねの平面図、(b)は(a)に図示されたねじりコイルばねのA矢視図。
【図8】図8(a)は図1のスイッチを構成するレバーの平面図、(b)は同レバーの上面図である。
【図9】図9(a)は図1のスイッチを構成するトップケースの正面図、(b)は同トップケースの側面図、(c)は同トップケースの裏面図、(d)は同トップケースの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1(a)は本発明を適用したスイッチの正面外観図、同図(b)は同スイッチの側面外観図、同図(c)は同スイッチの底面外観図である。この図1のスイッチSは、図2に示したように、ベース1と、ベース1に設けた固定接点2と、固定接点2に所定接触圧で接触する可動接点3Aを備えたばね材製(本実施形態のスイッチSにおいては板ばね材を使用)の可動部材3と、可動部材3の上面に移動可能に配置されたコイル部4A及びこのコイル部4Aから両側に延びた腕部4B、4Cからなるねじりコイルばね4(別名:トーションスプリング)と、ねじりコイルばね4のコイル部4Aを移動させるレバー5と、ベース1の上からねじりコイルばね4を覆うトップケース6と、を備えている。
【0016】
前記ベース1は、図2に示したように、ねじりコイルばね3の一方の腕部4Bの端を係止する係止孔1Aと、ねじりコイルばね3の他方の腕部4Cの端が摺動可能に当接する摺動壁部1Bと、レバー5の支点となる軸部1Cと、を有している(図5(b)参照)。
【0017】
前記ベース1の固定接点2は、ねじりコイルばね4が移動する面より若干低い位置に配置されることにより(図2(b)参照)、ねじりコイルばね4が図4のように最大に移動したときでも、ねじりコイルばね4が固定接点2に直接接触しないように構成してある。また、この固定接点2はベース1の左側方より突出した第1の外部端子2Aに導通している(図6(a)参照)。
【0018】
前記ばね材製の可動部材3は、その部材自身のばね力によって可動接点3Aを所定接触圧力で固定接点2に接触させるとともに、その上に位置するねじりコイルばね4の方向に張り出した凸部3Bを有している(図6(a)から(d)参照)。また、この可動部材3はベース1の右側方より突出した第2の外部端子3Dに導通している。
【0019】
前記可動部材3は、図6(a)〜(c)に示すプレス成形品として、固定接点2や第1及び第2の外部端子2A、3Dと一緒に作製することができ、プレス成形品からなる可動部材3、固定接点2、第1及び第2の外部端子2A、3Dは、図5(a)〜(f)のように、インサート成形によりベース1に組み込むことができる。
【0020】
前記固定接点2に対する可動接点3Aの接触圧力を得るための構造として、本実施形態のスイッチSでは、図6(e)のように可動部材3をベース1に組み込む前に予め曲げておき(予備曲げ)、曲げられた可動部材3をその曲げと反対の方向に撓ませた状態で、図6(d)のように可動接点3Aを固定接点2の下に潜り込ませる構成を採用した。この構造の場合は、撓んだ可動部材3の弾性回復力(ばね復元力)が固定接点2に対する可動接点3Aの接触圧力になる。
【0021】
前記凸部3Bの具体的な形状として、本実施形態のスイッチSでは、図6(d)(e)のように凸部3Bの一部を山の裾のような滑らかな斜面形状とすることにより、その斜面3Cに沿ってねじりコイルばね4のコイル部4Aがスムーズに凸部3B上に乗っかって移動できるように構成してある。
【0022】
前記レバー5は、図8(a)(b)に示したように前記ねじりコイルばね3のコイル部4A外周面に当接する当接部5Aと、ベース1から突出した操作部5Bとを備えている。そして、このレバー5は、操作部5Bに作用する外力でベース1の軸部1Cを支点として回転することにより、図3、図4のように当接部5Aを通じて前記ねじりコイルばね4のコイル部4Aを可動部材3の凸部3B方向に移動させるように構成してある。
【0023】
前記ねじりコイルばね4は、先に説明したベース1の係止孔1Aと摺動壁部1Bとの間に介在するように配置してある。そして、このねじりコイルばね4の一方の腕部4Bの端は、図7(b)のように折り曲げられて、ベース1の係止孔1Aに遊嵌する形態で係止されている。また、このねじりコイルばね4の他方の腕部4Cの端は、図7(b)のように折り曲げられて、ベース1の摺動壁部1Bに摺動可能に当接する構造になっている。
【0024】
従って、前記コイルばね4の配置構造、係止構造、当接構造により、先に説明した凸部3B方向へのねじりコイルばね4のコイル部4Aの移動は、一方の腕部4Bの端を支点とした回転移動になる。
【0025】
本実施形態のスイッチSでは、前記ベース1の摺動壁部1Bをテーパ形状とすることにより、ねじりコイルばね4のコイル部4Aの移動量に応じて、ねじりコイルばね4の両腕4B、4Cが受ける抗力(ベース1の摺動壁部1Bと係止孔1Aから受ける力)を高めている。従って、ねじりコイルばね4のコイル部4Aが前記のように回転移動する時、そのねじりコイルばね4の両腕4B、4Cは、徐々に高まる前記抗力で互いに接近する方向に弾性変形して撓むようになる。
【0026】
前記ねじりコイルばね4は下記2つの機能を有している。
【0027】
《第1の機能》
先に説明した通り、ねじりコイルばね4は、コイル部4Aの移動(回転移動)時に、ベース1の摺動壁部1Bと係止孔1Aとから受ける抗力で、その両腕部4B、4Cが互いに接近する方向に弾性変形する。第1の機能は、そのような弾性変形時に生じる弾性回復力で、当該レバー5を元の位置(図2に示す自由位置)へ復帰させる機能である。
【0028】
《第2の機能》
第2の機能は、コイル部4Aの移動時に、そのコイル部4Aが可動部材3の凸部3B上に乗っかって移動することで、該凸部3Bを下方へ押し下げ、可動部材3の可動接点3Aを固定接点2から離隔する機能である。
【0029】
本実施形態のスイッチSにおいては、図2に示す位置まで復帰したレバー5が更に時計回りに回転する動作を抑制するため、そのレバー5の側面に、該レバー5の回転方向に沿って形成したストッパー溝5Cを設けるとともに(図8(a)(b)参照)、そのストッパー溝5Cにスライド可能に係合するストッパー突起1Eをベース1側に形成してある(図5(b)(f)参照)。レバー2が図2に示す自由位置まで復帰した時に、レバー5のストッパー溝5Cの一端がストッパー突起1Eに引っ掛かるので、レバー5が図2に示す自由位置より更に時計回りに回転することはない。
【0030】
前記トップケース6は、図9(a)から(d)に示したように、ベース1の表面側からねじりコイルばね3を覆うように配置されるケース表面板6Aと、当該ベース1の裏面を覆うケース裏面板6Bと、これらを連結する連結部6Cとからなり、そのケース裏面板6Bの両側から突出した一対の係止帯6Dをベース1側面の切り欠き部1D(図5(b)参照)に巻き付け係止することにより、前記トップケース6はベース1に取り付けられるように構成してある。尚、トップケース6の形状やベース1へのトップケース6の取り付け構成については、必要に応じて適宜変形することができる。
【0031】
本実施形態のスイッチSでは、先に説明したトップケース6のケース表面板6Aとねじりコイルばね3との間に図1(b)のように所定の隙間Gを設けることで、ねじりコイルばね3のコイル部3Aが、トップケース6からの摺動抵抗を受けることなく、ベース1内でスムーズに移動できるように構成してある。なお、かかる隙間Gを0mmとすることによりトップケース6のケース表面板6Aとねじりコイルばね3のコイル部3Aとが軽く接触する構成を採用することもできる。この場合、その接触によってねじりコイルばね3のコイル部3Aは圧縮されないものとする。この構成でも、トップケース6とねじり3のコイル部3Aとの間に生じる摺動抵抗は小さく、ねじりコイルばね3のコイル部3Aは、ベース1内でスムーズに移動することができる。
【0032】
次に、前記のように構成された本実施形態のスイッチSの動作について図2ないし図4を基に説明する。
【0033】
図2は、レバー5の操作部5Bに外力が作用していない時のレバー5及びねじりコイルばね4の位置(以下、この位置を「自由位置」という。)を示している。また、図3は、レバー5の押し込みによりスイッチOFF動作が始まるときのレバー5及びねじりコイルばね4の位置を示し、図4は、レバー5を最大に押し込んだときの当該レバー5及びねじりコイルばね4の位置を示している。
【0034】
図2の自由位置では、レバー5の操作部5Bはベース1から外方へ大きく突出し、ねじりコイルばね4のコイル部4Aは可動部材3の凸部3Aより少し離れて位置している。さらに、この図2の自由位置では、可動部材3のばね力により可動接点3Aが固定接点2に押し付けられ、可動接点3Aと固定接点2とが所定の接触圧力で互いに接触することにより、第1の外部端子2Aと第2の外部端子3Dとが導通するスイッチONの状態になっている。
【0035】
図2において、レバー5の操作部5Bに外力(具体的には操作部5Bをベース1内へ押し込む力)が作用すると、レバー5全体がベース1の軸部1Cを支点として所定の方向(図1の例では反時計周り)に回転移動するとともに、レバー5の当接部5Aがねじりコイルばね4のコイル部4A外周面を押圧する。
【0036】
前記のように押圧されたコイル部4Aは、その押圧力により、可動部材3の凸部3Bの頂点方向に移動し、図3のように凸部3Bの斜面3C上に乗っかって移動する。そうすると、コイル部4Aで凸部4Aが下方へ押し下げられることにより、可動部材3の可動接点3Aが固定接点2から離隔し、第1の外部端子2Aと第2の外部端子3Dとが導通しないスイッチOFFの状態になる。
【0037】
以上説明した本実施形態のスイッチSによると、その具体的な構成として、ねじりコイルばね4とは別に、可動接点3Aを有するばね材製の可動部材3を備え、その部材自身のばね力によって可動接点3Aが固定接点2に所定接触圧力で接触する構造を採用した。このため、ねじりコイルばね4のコイル部4A端面をトップケース6で押圧することによって可動及び固定接点3A、2間の接触圧力を得る必要がない。従って、トップケース6とねじりコイルばね4のコイル部4A端面との間に所定の隙間Gを設けることで、トップケース6とねじりコイルばね4のコイル部4A端面との間に生じる摺動抵抗を0にすることができ、ねじりコイルばね4のコイル部4Aが元の位置に復帰動作し易い等、良好な復帰動作が得られる。
【0038】
また、本実施形態のスイッチSによると、先に説明した通り、トップケース6とねじりコイルばね4のコイル部4A端面との間に生じる摺動抵抗を0にすることが可能であるため、ねじりコイルばね4のコイル部4Aにグリースを塗布する等、かかる摺動抵抗を減らすための作業工程をスイッチ組立工程から削除できること、並びに、ねじりコイルばね4のコイル部4Aを可動接点として利用しないので、金メッキ等を施していない比較的安価なねじりコイルばね4を採用してもよいこと等から、スイッチ全体の製造コスト低減も図れる。
【符号の説明】
【0039】
1 ベース
1A 係止孔
1B 摺動壁部
1C 軸部
1D 切り欠き部
1E ストッパー突起
2 固定接点
2A 第1の外部端子
3 可動部材
3A 可動接点
3B 凸部
3C 斜面
3D 第2の外部端子
4 ねじりコイルばね
4A コイル部
4B、4C 腕部
5 レバー
5A 当接部
5B 操作部
5C ストッパー溝
6 トップケース
6A ケース表面板
6B ケース裏面板
6C 連結部
6D 係止帯
S スイッチ
G ケース表面板とねじりコイルばねとの間の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに設けた固定接点と、
前記固定接点に所定接触圧力で接触する可動接点を備えたばね材製の可動部材と、
前記可動部材の上面に移動可能に配置されたコイル部及びこのコイル部から両側に延びた腕部からなるねじりコイルばねと、
前記ねじりコイルばねのコイル部を移動させるレバーと、を備え、
前記ベースは、前記ねじりコイルばねの一方の腕部の端を係止する係止孔と、同ねじりコイルばねの他方の腕部の端が摺動可能に当接する摺動壁部と、前記レバーの支点となる軸部と、を有し、
前記可動部材は、その部材自身のばね力によって前記可動接点を所定接触圧力で前記固定接点に接触させるとともに、その上に位置する前記ねじりコイルばねの方向に張り出した凸部を有し、
前記レバーは、前記ねじりコイルばねのコイル部外周面に当接する当接部と、前記ベースから突出した操作部とを備えるとともに、その操作部に作用する外力で前記ベースの軸部を支点として回転することにより、前記当接部を通じて前記ねじりコイルばねのコイル部を前記可動部材の凸部の頂点方向に移動させ、
前記ねじりコイルばねは、その前記コイル部の移動時に、前記ベースの摺動壁部と係止孔とから受ける抗力で、両腕部が互いに接近する方向に弾性変形し、この時に生じる弾性回復力で、当該レバーを元の位置へ復帰させる第1の機能、及び、前記コイル部の移動時に、そのコイル部が前記可動部材の凸部上に乗っかって移動することで、該凸部を下方へ押し下げ、前記可動部材の可動接点を前記固定接点から離隔する機能を有すること
を特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記ベースの上から前記ねじりコイルばねを覆うトップケースと前記ねじりコイルばねのコイル部との間に隙間が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記固定接点に対する前記可動接点の接触圧力を得るための構造は、前記可動部材を前記ベースに組み込む前に予め曲げておき、曲げられた当該可動部材をその曲げと反対の方向に撓ませた状態で、前記可動接点を前記固定接点の下に潜り込ませる構造であること
を特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記凸部の一部を山の裾のような滑らかな斜面形状とすることにより、その斜面に沿って前記ねじりコイルばねのコイル部が凸部上を移動すること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記ベースの上から前記ねじりコイルばねを覆うトップケースと前記ねじりコイルばねのコイル部との間の隙間を0mmとすることにより、トップケースとねじりコイルばねのコイル部とが軽く接触する構成になっていること
を特徴とする請求項1に記載のスイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−94428(P2012−94428A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242140(P2010−242140)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000114145)ミック電子工業株式会社 (40)
【Fターム(参考)】