説明

スイッチ

【課題】押圧により変形可能なバネ性を有する小判形のドーム状金属薄板からなる可動接点を使用しながら、偏心押しに対するクリック感触のバラつきを抑制し、安定したクリック感触を得ることができるスイッチを提供する。
【解決手段】中央固定接点パターン2とそれを包囲する周辺固定接点パターン3が絶縁基板1の上面に形成され、可動接点7が中央固定接点パターンを跨いで周辺固定接点パターン上に載置され、中央固定接点パターンには、可動接点の両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けて、両側の直線状部分のどちらか一方の下側を通過し、中央固定接点パターンから可動接点の外周側へ引き出す引出部4が設けられ、周辺固定接点パターンには、引出部を通して周辺固定接点パターンの外周側へ引き出すための切れ間3aが設けられ、引出部が、可動接点との間で電気的な絶縁を確保するための絶縁体9により被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作用スイッチとして使用されるスイッチに関し、特に押圧により変形可能なバネ性を有するドーム状金属薄板からなる可動接点を絶縁基板の一面に搭載し、該絶縁基板の一面に形成されたパターンを可動接点により短絡させるスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
先ず、押圧により変形可能なバネ性を有する円形のドーム状金属薄板からなる可動接点を使用した従来のスイッチを図3(A),図3(B)により説明する。図3(A)は同スイッチの上面図、図3(B)は同スイッチの断面図である。
【0003】
両図に示すように従来のスイッチは、導電性の材料からなる同心な2つの内外円接点を構成する内円接点である円形の中央固定接点パターン22と該中央固定接点パターン22を絶縁ギャップを介して包囲する外円接点である円形環状の周辺固定接点パターン23とが絶縁基板21の上面に形成されており、該絶縁基板21の上面において、中央固定接点パターン22の外周部の一部分が中央固定接点パターン22の中心を通る1本の直線上(中央固定接点パターン22の径方向で)で周辺固定接点パターン23の外周側へ引き出され、該引出部24がさらに任意の方向へ延長、引き回しされて中央固定接点パターン22の配線パターンとされ、また、周辺固定接点パターン23の外周部の一部分が中央固定接点パターン22の引出部24と交差等して電気的に導通接続しないように周辺固定接点パターン23の外周側へ引き出され、この引出部25がさらに任意の方向へ延長、引き回しされて周辺固定接点パターン23の配線パターンとされている。
【0004】
ここで、中央固定接点パターン22の引出部24は、周辺固定接点パターン23で包囲された中央固定接点パターン22から周辺固定接点パターン23の外周側へ引き出されるため、周辺固定接点パターン23が完全に閉じた環状に形成されていると、中央固定接点パターン22の引出部24は、周辺固定接点パターン23の一部分と交差して電気的に導通接続してしまう。そこで、周辺固定接点パターン23の一部分に切れ間23aを設け、周辺固定接点パターン23を一部分開放の環状(C字状)とし、中央固定接点パターン22の引出部24は、切れ間23aを通して周辺固定接点パターン23の外周側へ引き出すことにより、周辺固定接点パターン23との間で電気的な絶縁を確保している。
【0005】
そして、絶縁基板21の上面には、絶縁フィルム(カバーレイ)26が接着剤で固定されており、該絶縁フィルム26に設けられた円形の孔部26aから中央固定接点パターン22と周辺固定接点パターン23とが露出され、中央固定接点パターン22の引出部24の延長部である配線パターンと周辺固定接点パターン23の引出部25の延長部である配線パターンとが絶縁フィルム26により被覆され保護されている。
【0006】
また、絶縁フィルム26の孔部26a内には、押圧により変形可能なバネ性を有する円形のドーム状金属薄板からなる可動接点27が中央固定接点パターン22を跨いで下端周縁部を周辺固定接点パターン23の上に載置して収容されており、該可動接点27が粘着シート28により絶縁基板21に貼着保持されている。この際、可動接点27は、下端周縁部が周辺固定接点パターン23と当接した状態となっていると共に、中央部が中央固定接点パターン22と離間対向した状態となっている。上面視において、中央固定接点パターン22の引出部24は、可動接点27に対しても、該可動接点27の中心を通る1本の直線上で(可動接点27の径方向で)周辺固定接点パターン23の外周側へ引き出された状態となっている。
【0007】
ここで、中央固定接点パターン22の引出部24は、切れ間23aを通して周辺固定接点パターン23の外周側へ引き出すだけでは、可動接点27の搭載時、可動接点27の下端周縁部と当接して可動接点27と電気的に導通接続した状態となってしまう。そこで、絶縁フィルム26に孔部26a内に突出する突出部29を設け、中央固定接点パターン22の引出部24は、突出部29により被覆し、可動接点27の下端周縁部との間に突出部29を介在させることにより、可動接点27との間で電気的な絶縁を確保している。
【0008】
従来のスイッチの動作は、可動接点27のドーム形状の反映された粘着シート28の上にキートップを配し、粘着シート28の中央部をキートップを介して押圧操作すると、図3(B)の仮想線に示すように、可動接点27の中央部が下方凸状に反転動作して、クリック感触が生起され、可動接点27の中央部が中央固定接点パターン22に当接し、中央固定接点パターン22と周辺固定接点パターン23との間が可動接点27を介して電気的に導通接続されたスイッチオン状態となり、また、押圧を解除すると、可動接点27の下方凸状に反転している中央部がそのバネ性により自動的に元の上方凸状に復帰し、よって可動接点27の中央部が中央固定接点パターン22から離間してスイッチオフ状態となる。
【0009】
従来のスイッチの組み立ては、絶縁基板21の上面に絶縁フィルム26を重ね合わせて絶縁フィルム26を加熱・加圧し、絶縁フィルム26の下面に設けられた接着剤によって絶縁フィルム26を絶縁基板21に接着した後、予め可動接点27が貼着された粘着シート28を絶縁フィルム26に貼り合せることにより、可動接点27を孔部26a内の周辺固定接点パターン23上に載置して保持することによって完了する。
【0010】
続いて、押圧により変形可能なバネ性を有する小判形のドーム状金属薄板からなる可動接点を使用した従来の他のスイッチを図4(A),図4(B)により説明する。図4(A)は同スイッチの上面図、図4(B)は同スイッチの断面図である。
【0011】
両図に示すように従来の他のスイッチは、導電性の材料からなる同心な2つの内外接点を構成する内側接点である円形の中央固定接点パターン32と該中央固定接点パターン32を絶縁ギャップを介して包囲する外側接点である小判形環状の周辺固定接点パターン33とが絶縁基板31の上面に形成されており、該絶縁基板31の上面において、中央固定接点パターン32の外周部の一部分が中央固定接点パターン32の中心を通り、且つ、周辺固定接点パターン33の両側の直線状部分のそれぞれの中点を通り、周辺固定接点パターン33の両側の直線状部分と直交する1本の直線上、すなわち、周辺固定接点パターン33の両側の直線状部分の垂直二等分線上で周辺固定接点パターン33の外周側へ引き出され、該引出部34がさらに任意の方向へ延長、引き回しされて中央固定接点パターン32の配線パターンとされ、また、周辺固定接点パターン33の外周部の一部分が中央固定接点パターン32の引出部34と交差等して電気的に導通接続しないように周辺固定接点パターン33の外周側へ引き出され、該引出部35がさらに任意の方向へ延長、引き回しされて周辺固定接点パターン33の配線パターンとされている。
【0012】
ここで、中央固定接点パターン32の引出部34は、周辺固定接点パターン33で包囲された中央固定接点パターン32から周辺固定接点パターン33の外周側へ引き出されるため、周辺固定接点パターン33が完全に閉じた環状に形成されていると、中央固定接点パターン32の引出部34は、周辺固定接点パターン33の一部分(周辺固定接点パターン33の両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分)と交差して電気的に導通接続してしまう。そこで、周辺固定接点パターン33の一部分(中央固定接点パターン32の引出部34と交差する部分)に切れ間33aを設け、周辺固定接点パターン33を一部分開放の環状(C字状)とし、中央固定接点パターン32の引出部34は、切れ間33aを通して周辺固定接点パターン33の外周側へ引き出すことにより、周辺固定接点パターン33との間で電気的な絶縁を確保している。
【0013】
そして、絶縁基板31の上面には、絶縁フィルム(カバーレイ)36が接着剤で固定されており、該絶縁フィルム36に設けられた小判形の孔部36aから中央固定接点パターン32と周辺固定接点パターン33とが露出され、中央固定接点パターン32の引出部34の延長部である配線パターンと周辺固定接点パターン33の引出部35の延長部である配線パターンとが絶縁フィルム36により被覆され保護されている。
【0014】
また、絶縁フィルム36の孔部36a内には、上述の従来のスイッチで可動接点27として使用した、押圧により変形可能なバネ性を有する円形のドーム状金属薄板の対向する両側部を平行な直線で切り欠いた小判形のドーム状金属薄板からなる可動接点、すなわち、押圧により変形可能なバネ性を有する金属薄板からなり、上面視円形の対向する両側部が平行な直線で切り欠かれた小判形で、上方に膨らんだ球面のドーム状に形成された可動接点37が中央固定接点パターン32と該中央固定接点パターン32の引出部34を跨いで、該可動接点37が切り欠かれた両側の直線状部分と直角の方向で対向している両端の円弧状部分で構成された下端周縁部を周辺固定接点パターン33の両側の直線状部分と直角の方向で対向している両端の円弧状部分の上に載置して収容されており、該可動接点が粘着シート38により絶縁基板31に貼着保持されている。この際、可動接点37は、両端の下端周縁部が周辺固定接点パターン33と当接した状態となっていると共に、中央部が中央固定接点パターン32と離間対向した状態となっている。上面視において、中央固定接点パターン32の引出部34は、可動接点37に対しても、該可動接点37の中心を通り、且つ、可動接点37の両側の直線状部分のそれぞれの中点を通り、可動接点37の両側の直線状部分と直交する1本の直線、すなわち、可動接点37の両側の直線状部分の垂直二等分線上で周辺固定接点パターン33の外周側へ引き出された状態となっており、よって中央固定接点パターン32の引出部34は、可動接点37の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分の直下を絶縁ギャップを持って通過して、該可動接点37の外周側へ引き出された状態となっている。
【0015】
ここで、中央固定接点パターン32の引出部34は、切れ間33aを通して周辺固定接点パターン33の外周側へ引き出すだけでも、可動接点37の搭載時、該可動接点37の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分の直下を絶縁ギャップを持って通過するものの、該絶縁ギャップだけでは可動接点37との間で電気的な絶縁が確実に確保されているとは言いにくい。そこで、絶縁フィルム36に孔部36a内に突出する突出部39を設け、中央固定接点パターン32の引出部34は、突出部39により被覆し、可動接点37の切り欠かれた両側の直線状部分の一方の中点部分との間に突出部39を介在させることにより、可動接点37との間に電気的な絶縁を確保している。
【0016】
従来の他のスイッチの動作は、可動接点37のドーム形状の反映された粘着シート38の上にキートップを配し、粘着シート38の中央部をキートップを介して押圧操作すると、可動接点37の中央部が下方凸状に反転動作して、クリック感触が生起され、可動接点37の中央部が中央固定接点パターン32に当接し、中央固定接点パターン32と周辺固定接点パターン33との間が可動接点37を介して電気的に導通接続されたスイッチオン状態となり、また、押圧を解除すると、可動接点37の下方凸状に反転している中央部がそのバネ性により自動的に元の上方凸状に復帰し、よって可動接点37の中央部が中央固定接点パターン32から離間してスイッチオフ状態となる。
【0017】
従来の他のスイッチの組み立ては、絶縁基板31の上面に絶縁フィルム36を重ね合わせて絶縁フィルム36を加熱・加圧し、絶縁フィルム36の下面に設けられた接着剤によって絶縁フィルム36を絶縁基板31に接着した後、予め可動接点37が貼着された粘着シート38を絶縁フィルム36に貼り合せることにより、可動接点37を孔部36a内の周辺固定接点パターン33上に載置して保持することによって完了する。
【0018】
上述した従来のスイッチ構造及び従来の他のスイッチ構造は、例えば、特許文献1〜7等で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2005−317478号公報
【特許文献2】特開2007−95574号公報
【特許文献3】特開2008−123945号公報
【特許文献4】特開平7−320591号公報
【特許文献5】特開2005−71783号公報
【特許文献6】特開2009−245751号公報
【特許文献7】特開2008−251178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
各種電子機器の小型化に伴って操作用スイッチの取り付けスペースが減少し、操作用スイッチの小型化が強く求められている中で、従来の他のスイッチ構造の最大の特徴は、可動接点が小判形のドーム形状となっているため、可動接点が円形のドーム形状となっている従来のスイッチ構造よりも小型化しやすいという点にあり、よって小型の操作スイッチほど、従来の他のスイッチ構造を採用するケースが多くなっている。
【0021】
しかしながら、従来の他のスイッチ構造では、周辺固定接点パターンの外周側への中央固定接点パターンの引き出しについて、可動接点が小判形のドーム形状となっており、該可動接点の中心より見て両側の切り欠かれた直線状部分のどちらか一方と直交する方向(図4の矢印に示すa方向)で行われ、中央固定接点パターンの引出部を被覆する突出部、すなわち、絶縁体が、可動接点が円形のドーム形状となっている従来のスイッチ構造のそれよりも可動接点の中心近くまで入り込んだ形となっているため、可動接点の中心とキートップの中心とがずれてセットされる等で、可動接点が偏心押しされた場合(可動接点がこの中心からずれた部分で押圧された場合)、クリック感触に大きなバラつきを生じ、安定したクリック感触を得にくいという問題があった。
【0022】
具体的には、可動接点が中心より中央固定接点パターンの引き出し方向(図4の矢印に示すa方向)で偏心押しされた場合、該可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線上のある点が最下点となることから、可動接点が中心より中央固定接点パターンの引き出し方向と反対方向(図4の矢印に示すb方向)及び中央固定接点パターンの引き出し方向と直角の方向(図4の矢印に示すc方向及びd方向)、すなわち、中央固定接点パターンの引き出し方向以外の方向で偏心押しされた場合、どの方向でも可動接点は動作時に絶縁体に干渉しにくい又は干渉しないため、略同じクリック感触が得られる。一方、可動接点が中心より中央固定接点パターンの引き出し方向で偏心押しされた場合、可動接点は動作時に絶縁体に干渉しやすい又は干渉するため、この場合のクリック感触は可動接点が中心より中央固定接点パターンの引き出し方向以外で偏心押しされた場合のそれよりも大きく劣化し大きな差を生じることになる。
【0023】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、押圧により変形可能なバネ性を有する小判形のドーム状金属薄板からなる可動接点を使用しながら、偏心押しに対するクリック感触のバラつきを抑制し、安定したクリック感触を得ることができるスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するため本発明では第1の手段として、絶縁基板と、該絶縁基板の一面に形成された中央固定接点パターンと、該中央固定接点パターンを包囲するように前記絶縁基板の一面に形成された周辺固定接点パターンと、押圧により変形可能なバネ性を有する金属薄板からなり、上面視円形の対向する両側部が平行な直線で切り欠かれた小判形で、上方に膨らんだ球面のドーム状に形成され、前記中央固定接点パターンを跨いで前記周辺固定接点パターン上に載置される可動接点とを備え、前記中央固定接点パターンには、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けて、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の下側を通過し、該中央固定接点パターンから前記可動接点の外周側へ引き出す引出部が設けられ、前記周辺固定接点パターンには、前記引出部を通して該周辺固定接点パターンの外周側へ引き出すための切れ間が設けられ、前記引出部が、該引出部と前記可動接点との間で電気的な絶縁を確保するための絶縁体により被覆されている構成とした。
また、第2の手段として、上記第1の手段において、前記引出部が、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と平行であって、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する直線上で引き出されている構成とした。
また、第3の手段として、上記第2の手段において、前記引出部が、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線を対称軸とし、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する平行な直線上で引き出されている構成とした。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、絶縁基板と、該絶縁基板の一面に形成された中央固定接点パターンと、該中央固定接点パターンを包囲するように前記絶縁基板の一面に形成された周辺固定接点パターンと、押圧により変形可能なバネ性を有する金属薄板からなり、上面視円形の対向する両側部が平行な直線で切り欠かれた小判形で、上方に膨らんだ球面のドーム状に形成され、前記中央固定接点パターンを跨いで前記周辺固定接点パターン上に載置される可動接点とを備え、前記中央固定接点パターンには、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けて、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の下側を通過し、該中央固定接点パターンから前記可動接点の外周側へ引き出す引出部が設けられ、前記周辺固定接点パターンには、前記引出部を通して該周辺固定接点パターンの外周側へ引き出すための切れ間が設けられ、前記引出部が、該引出部と前記可動接点との間で電気的な絶縁を確保するための絶縁体により被覆されていることから、前記可動接点の中心より前記引出部の引き出し方向で偏心押しされた場合でも、前記可動接点は動作時に前記絶縁体に干渉しにくく又は干渉しなくなり、押圧により変形可能なバネ性を有する小判形のドーム状金属薄板からなる可動接点を使用しながら、偏心押しに対するクリック感触のバラつきを抑制し、安定したクリック感触を得ることができるスイッチを提供することができる。
また、前記引出部が、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と平行であって、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する直線上で引き出されている場合、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と平行な1本の引出部により、従来と同等の省スペースで前記中央固定接点パターンを前記周辺固定接点パターンの外周側へ引き出しながら、前記可動接点の前記絶縁体との干渉を抑制することができる。
また、前記引出部が、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線を対称軸とし、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する平行な直線上で引き出されている場合、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線を対称軸とする平行な2本の引出部により、導電信頼性を確保しながら前記各引出部の線幅を細くし、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と前記各引出部との間の距離(この距離×2=前記各引出部の線間ギャップ)を大きく確保して、前記可動接点の前記絶縁体との干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1のスイッチを示す(A)上面図、(B)断面図である。
【図2】本発明の実施例2のスイッチを示す(A)上面図、(B)断面図である。
【図3】従来のスイッチを示す(A)上面図、(B)断面図である。
【図4】従来の他のスイッチを示す(A)上面図、(B)断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
本発明の実施例1のスイッチを図1(A),図1(B)により説明する。図1(A)は同スイッチの上面図、図1(B)は同スイッチの断面図である。
【0029】
両図に示すように実施例1のスイッチは、導電性の材料からなる同心な2つの内外接点を構成する内側接点である円形の中央固定接点パターン2と該中央固定接点パターン2を絶縁ギャップを介して包囲する外側接点である小判形環状の周辺固定接点パターン3とが絶縁基板1の上面に形成されており、該絶縁基板1の上面において、中央固定接点パターン2の外周部の一部分が中央固定接点パターン2の中心を通り、且つ、周辺固定接点パターン3の両側の直線状部分のそれぞれの中点を通り、周辺固定接点パターン3の両側の直線状部分と直交する1本の直線上、すなわち、周辺固定接点パターン3の両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けるように、該垂直二等分線と平行であって、周辺固定接点パターン3の両側の直線状部分と直交する1本の直線上で周辺固定接点パターン3の外周側へ引き出され、該引出部4がさらに任意の方向へ延長、引き回しされて中央固定接点パターン2の配線パターンとされ、また、周辺固定接点パターン3の外周部の一部分が中央固定接点パターン2の引出部4と交差等して電気的に導通接続しないように周辺固定接点パターン3の外周側へ引き出され、該引出部5がさらに任意の方向へ延長、引き回しされて周辺固定接点パターン3の配線パターンとされている。
【0030】
ここで、中央固定接点パターン2の引出部4は、周辺固定接点パターン3で包囲された中央固定接点パターン2から周辺固定接点パターン3の外周側へ引き出されるため、周辺固定接点パターン3が完全に閉じた環状に形成されていると、中央固定接点パターン2の引出部4は、周辺固定接点パターン3の一部分(周辺固定接点パターン3の両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分を避けるように、該中点部分から一端側へずれた部分)と交差して電気的に導通接続してしまう。そこで、周辺固定接点パターン3の一部分(中央固定接点パターン2の引出部4と交差する部分)に切れ間3aを設け、周辺固定接点パターン3を一部分開放の環状(C字状)とし、中央固定接点パターン2の引出部4は、切れ間3aを通して周辺固定接点パターン3の外周側へ引き出すことにより、周辺固定接点パターン3との間で電気的な絶縁を確保している。
【0031】
そして、絶縁基板1の上面には、絶縁フィルム(カバーレイ)6が接着剤で固定されており、該絶縁フィルム6に設けられた小判形の孔部6aから中央固定接点パターン2と周辺固定接点パターン3とが露出され、中央固定接点パターン2の引出部4の延長部である配線パターンと周辺固定接点パターン3の引出部5の延長部である配線パターンとが絶縁フィルム6により被覆され保護されている。
【0032】
また、絶縁フィルム6の孔部6a内には、上述の従来のスイッチで可動接点27として使用した、押圧により変形可能なバネ性を有する円形のドーム状金属薄板の対向する両側部を平行な直線で切り欠いた小判形のドーム状金属薄板からなる可動接点、すなわち、押圧により変形可能なバネ性を有する金属薄板からなり、上面視円形の対向する両側部が平行な直線で切り欠かれた小判形で、上方に膨らんだ球面のドーム状に形成された可動接点7(従来の他のスイッチの可動接点37と同一)が中央固定接点パターン2と該中央固定接点パターン2の引出部4を跨いで、可動接点7が切り欠かれた両側の直線状部分と直角の方向で対向している両端の円弧状部分で構成された下端周縁部を周辺固定接点パターン3の両側の直線状部分と直角の方向で対向している両端の円弧状部分の上に載置して収容され、該可動接点7が粘着シート8により絶縁基板1に貼着保持されている。この際、可動接点7は、両端の下端周縁部が周辺固定接点パターン3と当接した状態となっていると共に、中央部が中央固定接点パターン2と離間対向した状態となっている。上面視において、中央固定接点パターン2の引出部4は、可動接点7に対しても、該可動接点7の中心を通り、且つ、可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分のそれぞれの中点を通り、可動接点7の両側の直線状部分と直交する1本の直線上、すなわち、可動接点7の両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けるように、該垂直二等分線と平行であって、可動接点7の両側の直線状部分と直交する1本の直線上で周辺固定接点パターン3の外周側へ引き出された状態となっており、よって中央固定接点パターン2の引出部4は、可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分の直下を避けるように、該中点部分から一端側へずれた部分の直下を絶縁ギャップを持って通過して、該可動接点7の外周側へ引き出された状態となっている。
【0033】
ここで、中央固定接点パターン2の引出部4は、切れ間3aを通して周辺固定接点パターン3の外周側へ引き出すだけでも、可動接点7の搭載時、該可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分の直下を避けるように、該中点部分から一端側へずれた部分の直下を絶縁ギャップを持って通過するものの、該絶縁ギャップだけでは可動接点7との間で電気的な絶縁が確実に確保されているとは言いくい。そこで、絶縁フィルム6に孔部6a内に突出する突出部9を設け、中央固定接点パターン2の引出部4は、突出部9により被覆し、可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分を避けるように、該中点部分から一端側へずれた部分との間に突出部9を介在させることにより、可動接点7との間で電気的な絶縁を確保している。
【0034】
実施例1のスイッチの動作は、可動接点7のドーム形状の反映された粘着シート8の上にキートップ等を配し、粘着シート8の中央部をキートップを介して押圧操作すると、可動接点7の中央部が下方凸状に反転動作して、クリック感触が生起され、可動接点7の中央部が中央固定接点パターン2に当接し、中央固定接点パターン2と周辺固定接点パターン3との間が可動接点7を介して電気的に導通接続されたスイッチオン状態となり、また、押圧を解除すると、可動接点7の下方凸状に反転している中央部がそのバネ性により元の上方凸状に復帰し、よって可動接点7の中央部が中央固定接点パターン2から離間してスイッチオフ状態となる。
【0035】
実施例1のスイッチの組み立ては、絶縁基板1の上面に絶縁フィルム6を重ね合わせて絶縁フィルム6を加熱・加圧し、絶縁フィルム6の下面に設けられた接着剤によって絶縁フィルム6を絶縁基板1に接着した後、予め可動接点7が貼着された粘着シート8を絶縁フィルム6に貼り合せることにより、可動接点7を孔部6a内の周辺固定接点パターン3上に載置して保持することによって完了する。
【0036】
以上説明したような実施例1のスイッチは、以下のような効果を奏する。
【0037】
実施例1のスイッチは、絶縁基板1と、該絶縁基板1の一面に形成された中央固定接点パターン2と、該中央固定接点パターン2を包囲するように前記絶縁基板1の一面に形成された周辺固定接点パターン3と、押圧により変形可能なバネ性を有する金属薄板からなり、上面視円形の対向する両側部が平行な直線で切り欠かれた小判形で、上方に膨らんだ球面のドーム状に形成され、前記中央固定接点パターン2を跨いで前記周辺固定接点パターン3上に載置される可動接点7とを備え、前記中央固定接点パターン2には、前記可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けて、前記可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の下側を通過し、該中央固定接点パターン2から前記可動接点7の外周側へ引き出す引出部4が設けられ、前記周辺固定接点パターン3には、前記引出部4を通して該周辺固定接点パターン3の外周側へ引き出すための切れ間3aが設けられ、前記引出部4が、該引出部4と前記可動接点7との間で電気的な絶縁を確保するための絶縁体(突出部)9により被覆されていることから、前記可動接点7の中心より前記引出部4の引き出し方向で偏心押しされた場合でも、前記可動接点7は動作時に前記絶縁体9に干渉しにくく又は干渉しなくなり、押圧により変形可能なバネ性を有する小判形のドーム状金属薄板からなる可動接点7を使用しながら、偏心押しに対するクリック感触のバラつきを抑制し、安定したクリック感触を得ることができるスイッチを提供することができる。
【0038】
また、前記引出部4が、前記可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と平行であって、前記可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する直線上で1本引き出されていることから、前記可動接点7の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と平行な1本の引出部4により、従来と同等の省スペースで前記中央固定接点パターン2を前記周辺固定接点パターン3の外周側へ引き出しながら、前記可動接点7の前記絶縁体9との干渉を抑制することができる。
【実施例2】
【0039】
続いて、本発明の実施例2のスイッチを図2(A),図2(B)により説明する。図2(A)は同スイッチの上面図、図2(B)は同スイッチの断面図である。
【0040】
両図に示すように実施例2のスイッチは、導電性の材料からなる同心な2つの内外接点を構成する内側接点である円形の中央固定接点パターン12と該中央固定接点パターン12を絶縁ギャップを介して包囲する外側接点である小判形環状の周辺固定接点パターン13とが絶縁基板11の上面に形成されており、該絶縁基板11の上面において、中央固定接点パターン12の外周部の一部分と該一部分と位置の異なる一部分が中央固定接点パターン12の中心を通り、且つ、周辺固定接点パターン13の両側の直線状部分のそれぞれの中点を通り、周辺固定接点パターン13の両側の直線状部分と直交する1本の直線上、すなわち、周辺固定接点パターン13の両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けるように、該垂直二等分線を対称軸とし、可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する平行な2本の直線上で周辺固定接点パターン13の外周側へ引き出され、該2本の引出部14a,14bが少なくとも後述する可動接点17の外周側、望ましくは図例のように周辺固定接点パターン13の外周側で1本化された後にさらに任意の方向へ延長、引き回しされて中央固定接点パターン12の配線パターンとされ、また、周辺固定接点パターン13の外周部の一部分が中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bと交差等して電気的に導通接続しないように周辺固定接点パターン13の外周側へ引き出され、該引出部15がさらに任意の方向へ延長、引き回しされて周辺固定接点パターン13の配線パターンとされている。
【0041】
ここで、中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bは、周辺固定接点パターン13で包囲された中央固定接点パターン12から周辺固定接点パターン13の外周側へ引き出されるため、周辺固定接点パターン13が完全に閉じた環状に形成されていると、中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bは、周辺固定接点パターン13の一部分と該一部分と位置の異なる一部分(周辺固定接点パターン13の両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分を避けるように、該中点部分から等距離に一端側へずれた部分と他端側へずれた部分)と交差して電気的に導通接続してしまう。そこで、周辺固定接点パターン13の一部分から該一部分と位置の異なる一部分に亘る部分(中央固定接点パターン12の一方の引出部14aと交差する部分から他方の引出部14bと交差する部分に亘る部分)に切れ間13aを設け、周辺固定接点パターン13を一部分開放の環状(C字状)とし、中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bは、一つの切れ間13aを通して周辺固定接点パターン13の外周側へ引き出すことにより、周辺固定接点パターン13との間で電気的な絶縁を確保している。
【0042】
そして、絶縁基板11の上面には、絶縁フィルム(カバーレイ)16が接着剤で固定されており、該絶縁フィルム16に設けられた小判形の孔部16aから中央固定接点パターン12と周辺固定接点パターン13とが露出され、中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bの連結部14c及び該連結部を介して1本化された後の延長部である配線パターンと周辺固定接点パターン13の引出部15の延長部である配線パターンとが絶縁フィルム16により被覆され保護されている。
【0043】
また、絶縁フィルム16の孔部16a内には、上述の実施例1のスイッチで使用した可動接点7と同一の可動接点17が中央固定接点パターン12と該中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bを跨いで、該可動接点17が切り欠かれた両側の直線状部分と直角の方向で対向している両端の円弧状部分で構成された下端周縁部を周辺固定接点パターン13の両側の直線状部分と直角の方向で対向している両端の円弧状部分の上に載置して収容され、該可動接点17が粘着シート18により絶縁基板11に貼着保持されている。この際、可動接点17は、可動接点17の両端の下端周縁部が周辺固定接点パターン13と当接した状態となっていると共に、可動接点17の中央部が中央固定接点パターン12と離間対向した状態となっている。上面視において、中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bは、可動接点17に対しても、該可動接点17の中心を通り、且つ、可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分のそれぞれの中点を通り、可動接点17の両側の直線状部分と直交する1本の直線上、すなわち、可動接点17の両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けるように、該垂直二等分線を対称軸とし、可動接点17の両側の直線状部分と直交する平行な2本の直線上で周辺固定接点パターン13の外周側へ引き出された状態となっており、よって中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bは、可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分の直下を避けるように、該中点部分から等距離に一端側へずれた部分の直下と他端側へずれた部分の直下とをそれぞれ絶縁ギャップを持って通過して、該可動接点17の外周側へ引き出された状態となっている。
【0044】
ここで、中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bは、一つの切れ間13aを通して周辺固定接点パターン13の外周側へ引き出すだけでも、可動接点17の搭載時、該可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分の直下を避けるように、該中点部分から等距離に一端側へずれた部分の直下と他端側へずれた部分の直下とをそれぞれ絶縁ギャップを持って通過するものの、該絶縁ギャップだけでは可動接点17との間で電気的な絶縁が確実に確保されているとは言いくい。そこで、絶縁フィルム16に孔部16a内に突出する突出部19を設け、中央固定接点パターン12の2本の引出部14a,14bは、突出部19により一体的に被覆し、突出部19の上面における、一方の引出部14aの断面形状の反映された一方の突条部19aと他方の引出部14bの断面形状の反映された他方の突条部19bとの間に形成される溝部19cを可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の中点部分に対向させて、該可動接点17の中点部分から等距離に一端側へずれた部分と他端側へずれた部分に亘る部分に突出部19を介在させることにより、可動接点17との間で電気的な絶縁を確保している。
【0045】
実施例2のスイッチの動作は、可動接点17のドーム形状の反映された粘着シート18の上にキートップ等を配し、粘着シート18の中央部をキートップを介して押圧操作すると、可動接点17の中央部が下方凸状に反転動作して、クリック感触が生起され、可動接点17の中央部が中央固定接点パターン12に当接し、中央固定接点パターン12と周辺固定接点パターン13との間が可動接点17を介して電気的に導通接続されたスイッチオン状態となり、また、押圧を解除すると、可動接点17の下方凸状に反転している中央部がそのバネ性により元の上方凸状に復帰し、よって可動接点17の中央部が中央固定接点パターン12から離間してスイッチオフ状態となる。
【0046】
実施例2のスイッチの組み立ては、絶縁基板11の上面に絶縁フィルム16を重ね合わせて絶縁フィルム16を加熱・加圧し、絶縁フィルム16の下面に設けられた接着剤によって絶縁フィルム16を絶縁基板11に接着した後、予め可動接点17が貼着された粘着シート18を絶縁フィルム16に貼り合せることにより、可動接点17を孔部16a内の周辺固定接点パターン13上に載置して保持することによって完了する。
【0047】
以上説明したような実施例2のスイッチは、以下のような効果を奏する。
【0048】
実施例2のスイッチは、実施例1のスイッチと同様に、絶縁基板11と、該絶縁基板11の一面に形成された中央固定接点パターン12と、該中央固定接点パターン12を包囲するように前記絶縁基板11の一面に形成された周辺固定接点パターン13と、押圧により変形可能なバネ性を有する金属薄板からなり、上面視円形の対向する両側部が平行な直線で切り欠かれた小判形で、上方に膨らんだ球面のドーム状に形成され、前記中央固定接点パターン12を跨いで前記周辺固定接点パターン13上に載置される可動接点17とを備え、前記中央固定接点パターン12には、前記可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けて、前記可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の下側を通過し、該中央固定接点パターン12から前記可動接点17の外周側へ引き出す引出部14a,14bが設けられ、前記周辺固定接点パターン13には、前記引出部14a,14bを通して該周辺固定接点パターン13の外周側へ引き出すための切れ間13aが設けられ、前記引出部14a,14bが、該引出部14a,14bと前記可動接点17との間で電気的な絶縁を確保するための絶縁体(突出部)19により被覆されていることから、前記可動接点17の中心より前記引出部14a,14bの引き出し方向で偏心押しされた場合でも、前記可動接点17は動作時に前記絶縁体19に干渉しにくく又は干渉しなくなり、押圧により変形可能なバネ性を有する小判形のドーム状金属薄板からなる可動接点17を使用しながら、偏心押しに対するクリック感触のバラつきを抑制し、安定したクリック感触を得ることができるスイッチを提供することができる。
【0049】
また、前記引出部14a,14bが、前記可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線を対称軸とし、前記可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する平行な2本の直線上で2本引き出されていることから、前記可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線を対称軸とする平行な2本の引出部14a,14bにより、導電信頼性を確保しながら前記各引出部14a,14bの線幅を細くし、前記可動接点17の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と前記各引出部14a,14bとの間の距離(この距離×2=前記各引出部14a,14bの線間ギャップ)を大きく確保して、前記可動接点17の前記絶縁体19との干渉を抑制することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はそれに限定されず本発明の要旨を変更しない範囲内で種々変更実施することができる。
【0051】
例えば、中央固定接点パターンの引出部については、少なくとも可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の一方の下側を通過するまで、該可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けて引き出されていればよいので、本数は、1本、2本に限らずそれ以上であってもよく、また、可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と平行な直線状に限らず、引き出し方向に沿って可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線との間の距離が変化(増減)するような傾きを持った直線状のもの、湾曲したもの、屈曲したものでもよい。但し、可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と交差するようなものの場合は、少なくとも可動接点の外周側、望ましくは周辺固定接点パターンの外周側で交差するものに限る。
【0052】
また、引出部を被覆する絶縁体については、少なくとも引出部を絶縁性の材料で被覆し可動接点との間で絶縁を確保できればよいので、絶縁基板のカバーレイを形成する絶縁フィルム(例えば、ポリイミドフィルムやポリエチレンテレフタラート等の樹脂フィルム)の一部からなるものの他、該絶縁フィルムとは別体の絶縁フィルム、引出部の表面に塗布されるレジストであってもよい。
【0053】
また、引出部が複数本の場合、一つの絶縁体で一括に被覆するものの他、各引出部を個別に被覆するものであってもよい。この場合、可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線上から引出部は勿論、絶縁体もなくすことができる。
【符号の説明】
【0054】
1,11 絶縁基板
2,12 中央固定接点パターン
3,13 周辺固定接点パターン
3a,13a 切れ間
4,14a,14b 引出部
7,17 可動接点
9,19 突出部(絶縁体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
該絶縁基板の一面に形成された中央固定接点パターンと、
該中央固定接点パターンを包囲するように前記絶縁基板の一面に形成された周辺固定接点パターンと、
押圧により変形可能なバネ性を有する金属薄板からなり、上面視円形の対向する両側部が平行な直線で切り欠かれた小判形で、上方に膨らんだ球面のドーム状に形成され、前記中央固定接点パターンを跨いで前記周辺固定接点パターン上に載置される可動接点とを備え、
前記中央固定接点パターンには、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線上を避けて、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分のどちらか一方の下側を通過し、該中央固定接点パターンから前記可動接点の外周側へ引き出す引出部が設けられ、
前記周辺固定接点パターンには、前記引出部を通して該周辺固定接点パターンの外周側へ引き出すための切れ間が設けられ、
前記引出部が、該引出部と前記可動接点との間で電気的な絶縁を確保するための絶縁体により被覆されていることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記引出部が、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線と平行であって、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する直線上で引き出されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記引出部が、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分の垂直二等分線を対称軸とし、前記可動接点の切り欠かれた両側の直線状部分と直交する平行な直線上で引き出されていることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−20765(P2013−20765A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152090(P2011−152090)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】