説明

スキャナ及びスキャンデータの転送方法

【課題】 スキャンデータをUSBメモリへ転送する場合において、メモリオーバ時に再度スキャンを行う必要がなく、USBメモリへのスキャンデータの格納を容易に行える様にする。
【解決手段】 スキャンデータをUSBメモリへ転送すると共に、複合機本体のメモリに格納しておき、メモリオーバによる転送処理中断後の再開時には、本体メモリに記憶したスキャンデータを転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はスキャナ及びそのスキャンデータの転送方法に関し、特に着脱自在な外部記憶媒体へのスキャンデータの格納に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャンデータをUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの着脱自在な外部記憶媒体に転送する場合において、スキャン処理を行いながらスキャン済みのデータをその都度転送している。スキャン途中ではスキャンデータの全体のサイズが不明で、転送中に外部記憶媒体のメモリ不足が生じることがある。外部記憶媒体のメモリオーバが生じると、ユーザは別の外部記憶媒体メモリへの付け替え等の操作を行った後に、再度原稿をスキャンする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、スキャナ及びそのスキャンデータの転送方法について、着脱自在な外部記憶媒体がメモリオーバしても、ユーザは再度スキャンする必要がなくスキャンデータを転送できるようにすることにある(請求項1〜6)。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、スキャンデータを着脱自在な外部記憶媒体に転送するための転送手段を有するスキャナにおいて、前記外部記憶媒体のメモリオーバを検出するための検出手段と、前記メモリオーバの検出の有無にかかわらず、スキャンと並行してスキャンデータを格納するための格納手段と、前記メモリオーバを検出したことを、ユーザへ通知するための通知手段と、前記通知を受けたユーザの操作で、前記格納手段で格納したスキャンデータを、前記転送手段で外部記憶媒体へ転送再開するための転送再開手段とを設けたことを特徴とする。
【0005】
好ましくは、前記転送再開手段では、前記通知手段の通知を受けたユーザの操作が外部記憶媒体の装着で、空き容量を有する外部記憶媒体の装着を検出すると前記転送再開を行う。
また好ましくは、前記スキャンデータの転送の再開では、全スキャンデータの転送、または前記メモリオーバ発生時の未転送のスキャンデータの転送をユーザが選択可能にする。
またさらに好ましくは、前記格納手段で格納したスキャンデータを消去するための消去手段を設け、前記外部記憶媒体への転送が正常に終了すると、ユーザが前記スキャンデータの消去を選択可能とする。
【0006】
またこの発明は、スキャンデータを着脱自在な外部記憶媒体に転送するための方法において、外部記憶媒体のメモリオーバを検出するためのステップと、前記メモリオーバの検出の有無にかかわらず、スキャンと並行してスキャンデータを格納するためのステップと、前記メモリオーバを検出したことを、ユーザへ通知するためのステップと、前記通知を受けたユーザの操作で、前記格納手段で格納したスキャンデータを、前記外部記憶媒体へ転送することを再開するためのステップ、とを設けたことを特徴とする。
【0007】
そして好ましくは、前記転送再開では、前記メモリオーバ検出の通知を受けたユーザの操作が外部記憶媒体の装着で、空き容量を有する外部記憶媒体の装着を検出すると前記転送再開を行う。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、ユーザがスキャンデータのサイズや外部記憶媒体の空き容量を考慮する必要がなく、原稿のスキャン及びスキャンデータの転送処理を行うことができる(請求項1〜6)。スキャンデータを格納手段でスキャナ本体へ蓄積しながら外部記憶媒体へと転送し、外部記憶媒体がメモリオーバになれば転送を中断する。そしてユーザに対し空き容量のある外部記憶媒体への付替え(請求項2)や、不要データを外部記憶媒体から削除などを要求し、必要な空き容量が確保できれば蓄積したデータの転送を再開する。そのため転送途中でメモリオーバが発生しても、スキャンのやり直しの必要がなく、転送処理を継続できる。スキャン処理と転送処理とはそれぞれ独立して行うので、転送先のメモリ容量に関わらず、スキャン処理を行うことができる。
【0009】
請求項3の発明では、外部記憶媒体のメモリ容量を確保した後のスキャンデータの転送は、スキャン済みの全データを再転送し書き込んでも、あるいはメモリオーバが発生して書込みされていないデータについて転送し書き込むこととしても良く、ユーザは自己のデータ管理の便宜により選択できる。
【0010】
さらに請求項3の発明では、転送処理が正常に終了すると、ユーザはスキャナに蓄積した不要なスキャンデータを消去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0012】
図1〜図6に、実施例を示す。図において、2は複合機で、4は主制御としてのCPUで、6は公衆電話網に対して呼を確立するための網制御装置(NCU)で、8は公衆電話回線を介してG3ファクシミリデータ等を送受信するためのモデムである。また複合機2は、LANインターフェース10で、LAN12を介し管理者のパーソナルコンピュータ14やユーザのパーソナルコンピュータ16等に接続されている。18は、インターネット網である。
【0013】
20はコピー機能処理部で、22はプリンタ機能処理部で、プリンタにネットワークプリンタ機能を持たせて、LAN12内のパーソナルコンピュータ14,16などからの依頼に応じてネットワークプリンタとしてのプリント等を行う。また24はG3ファクシミリ機能処理部で、画像データなどを公衆電話回線を用いてファクシミリ送信/受信を行う。26はネットワーク通信部で、電子メールなどの送受信を行う。
【0014】
28はLCDなどの表示パネル、30は操作部で、LCD表示パネルのタッチパネルやキーボード等を用い、原稿をスキャンし外部記憶媒体であるUSBメモリやパーソナルコンピュータなどへの送信を指示したり、転送先のUSBメモリがメモリオーバであることを検出すればそのUSBメモリ内の不要データを削除する処理の指示などを行う。実施例では複合機2に備える表示パネル30からのユーザの指示を受付けるが、パーソナルコンピュータ14,16などのディスプレイを使用してスキャンデータの転送処理を指示しても良い。32はスキャンデータをUSBメモリに転送するためのプログラム等を記憶するためのROM、34はスキャンデータの転送に関する情報や、その他の各種データ等を記憶するためのRAMである。
【0015】
36はスキャナ機能処理部で、スキャナで画像を読取りパーソナルコンピュータや外部記憶媒体などに画像データを送信するなどの処理を行う。スキャナ機能処理部36には、原稿のスキャン処理を行うスキャン処理部38と、スキャンしたデータをスキャンデータ蓄積メモリ40へ蓄積しあるいはメモリ40から消去するためのスキャンデータ蓄積/消去部42とを備える。
【0016】
44はUSBインターフェースで、外部記憶媒体であるUSBメモリ46を接続する。USBメモリインターフェース44には、スキャンデータをUSBメモリ46へ転送/書込みし、USBメモリ46内のデータを消去するためのUSBメモリ書込み/消去部48と、USBメモリ46のメモリオーバを検出し、これを表示パネル28に表示させるためのUSBメモリオーバ検出部50とを備える。また検出部50は、USBメモリ46のメモリオーバ時に、USBメモリ46の内容やメモリ量、別のUSBメモリ46への付け替え要求などを表示させる。なお外部記憶媒体は、USBメモリ46の他、CF(Compact Flash)や携帯型外部HDD等の着脱自在な記憶媒体であっても良い。
【0017】
図2は、実施例のスキャンデータをUSBメモリ46へ転送するための転送プログラム52の構成を示すブロック図である。実施例のプログラム52には、原稿をスキャンするための命令54と、スキャンデータの蓄積メモリ40への蓄積や消去を行うための命令56と、スキャンデータのUSBメモリ46への書込みや消去を行うための命令58と、USBメモリ46のメモリオーバを検出し、これをユーザに表示するためのメモリオーバ検出命令60とを設ける。
【0018】
図3を用い、実施例の複合機でスキャンデータをUSBメモリ46へ転送する処理を説明する。実施例では複合機2がスキャン処理(M1)を行い、スキャンしたデータを符号化して蓄積メモリ40へ蓄積する処理(M2)と、USBメモリ46へ転送する処理とを並行して行う。原稿のスキャン処理は全ページについて行い、蓄積メモリに蓄積しながら転送スキャンデータをUSBメモリ46に書き込む(U1)。スキャン中にUSBメモリ46のメモリが不足すると(U2)書込みを中断し、複合機2のスキャン処理の終了(M3)後にメモリオーバを複合機に通知し(U3)、複合機2ではUSBメモリ46の空き容量などと共にメモリオーバを表示する(M4)。
【0019】
複合機2はメモリオーバを検出すると、転送に必要なメモリ量やUSBメモリ46内のファイル内容を表示したり、必要なメモリ量以上の空き容量を有するUSBメモリ46への付け替えをユーザに要求する。USBメモリ46の付け替え以外に、USBメモリ46内のデータの内容を知らせて不要データの削除をユーザに対して要求することもできる。
【0020】
ユーザがUSBメモリ46内のデータ削除を指示すれば(M5)、対象のデータを消去して(U4)空き領域を設ける(U5)。ユーザがUSBメモリ46の付け替えを選択すれば(M6)、新しいUSBメモリ46の装着を検出して空き領域を認識させる(U5)。USBメモリ46に必要な空き領域があれば、複合機2はデータ転送処理を再開し(M7)、USBメモリ46にデータを書き込む(U6)。転送の再開では、蓄積メモリ40のスキャナデータをすべて転送するか、あるいはメモリオーバ発生後の未転送のスキャナデータを転送することを、ユーザは選択することができる。そして書込み処理が正常に終了すれば、ユーザは蓄積メモリ40のデータを消去できる(M8)。
【0021】
図4,図5に、実施例の複合機でスキャンデータをUSBメモリへ転送する処理を、図6に、USBメモリへのデータの書込み処理を示す。図4の実施例では、原稿のスキャンページカウンタと符号化データ量カウンタとを用いる。まずスキャンページカウンタと符号化データ量カウンタとを初期化し(S1)、スキャナの駆動モータを起動する(S2)。そしてスキャン処理を行ってスキャンデータを読込み(S3)、次にデータの符号化・圧縮処理を行い(S4)、符号化データをUSBメモリへ転送すると共に、蓄積(本体)メモリに記憶させる(S5)。そして符号化データ量のカウンタを更新する(S6)。原稿の読み取り、符号化データの転送、本体メモリへの記憶は全ページについて行う(S7〜S9)。
【0022】
原稿を全ページについてスキャンし、USBメモリへの書込み処理中でなければ(S10)、USBメモリからのメモリオーバフラグがONである場合にこれを検出する(S11)。メモリオーバフラグがONでなければ、転送データの書込みが正常に行われたので複合機本体の蓄積メモリを消去して処理を終了する(S12)。
【0023】
図5に移り、USBメモリがメモリーオーバであれば、その旨を表示してユーザに知らせる(S13)。メモリーオーバ表示と共に、蓄積メモリのデータ量やUSBメモリの空き容量などから算出した必要なメモリ量を表示させて、ユーザにそのメモリ量以上の容量のUSBメモリを装着するように促すことができる。実施例では、ユーザがUSBメモリを装着してこれを検知し、その空き容量が転送可能なメモリ容量であれば(S15)、蓄積メモリの全スキャンデータを転送するか、あるいはメモリオーバ発生時に未転送のデータを転送するかを、ユーザに選択させ(S16)、データの転送を再開する(S17)。USBメモリへの書込み処理は、図4,図5に示す。なおユーザは新しいUSBメモリを装着する代わりにUSBメモリ内の不要なデータを消去して、メモリ容量を確保しても良い。そして転送が正常に終了すれば、蓄積メモリ内のデータを消去するか否かをユーザに選択させて処理を終了する(S18、S19)。
【0024】
スキャンデータの転送を行わない、すなわちユーザが処理を処理を中止する場合や、メモリオーバを検出して所定時間が経過した時間切れの場合などには、転送を再開せずに処理を終了させる。処理の中止時には蓄積メモリの消去を選択させ(S20,S18)、時間切れやユーザがUSBメモリのデータの削除を指示したときなどには、USBメモリ内のデータを消去して(S21)、蓄積メモリの消去を選択させる(S18,S19)。
【0025】
図6のUSBメモリへの書込み処理では、まず転送ページカウンタを初期化し(S30)、転送ページをカウントすると共に、符号化データ量カウンタの値が規定値以上になれば(S31)USBメモリへの書込み処理を行う(S32)。この書込み処理をページ単位で行い(S34)、また転送ページカウンタで書込み済みのページ数をカウントする(S35,S36)。書込み処理においてメモリオーバが生じれば、メモリオーバフラグをONにして(S37)、図4のメモリオーバの表示を行う(S11,S13)。
【0026】
実施例によれば、スキャンデータの転送時にUSBメモリのメモリ不足が生じても、スキャン処理をやり直す必要がない。そのため、スキャンデータのサイズやUSBメモリの空き容量を気にする必要がなく、原稿をスキャンしUSBメモリに転送してユーザはこれを持ち歩くことができる。USBメモリがメモリオーバになればその旨をユーザに表示するので、ユーザはUSBメモリを付け替えて対応できる。また必要なメモリ容量も表示するので、ユーザはそれに応じて新しいUSBメモリを用意したり、古いUSBメモリから不要なファイルを削除して必要なメモリ容量を確保することができる。さらにユーザは新しいUSBメモリの装着後にすべてのデータを再度転送するか、あるいは未転送のデータのみを転送して書き込むか、を選択できる。
【0027】
スキャンデータは複合機本体のメモリに蓄積するので、USBメモリのメモリオーバで転送処理が中断し、別のUSBメモリが装着されると転送処理を再開して蓄積したスキャンデータを転送することができる。そのためメモリオーバで転送処理を中断しても、スキャン処理を再度行う必要がない。そして転送処理が正常に終了すれば本体のメモリのスキャンデータを消去することができる。

【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例の複合機の構成を示すブロック図
【図2】実施例での、スキャンデータをUSBメモリへ転送するためのプログラムの構成を示すブロック図
【図3】実施例での、複合機とUSBメモリとの、それぞれの処理の流れを説明するための図
【図4】実施例での、原稿をスキャンしてUSBメモリへ転送するための処理の前半部分の処理アルゴリズムを示すフローチャート
【図5】実施例での、原稿をスキャンしてUSBメモリへ転送するための処理の後半部分の処理アルゴリズムを示すフローチャート
【図6】実施例での、USBメモリが転送されてきたデータを書き込むための処理アルゴリズムを示すフローチャート
【符号の説明】
【0029】
2 複合機
4 CPU
6 NCU(Network Control Unit)
8 モデム
10 LANインターフェース
12 LAN
14 管理者のパーソナルコンピュータ
16 ユーザのパーソナルコンピュータ
18 インターネット網
20 コピー機能処理
22 プリンタ機能処理部
24 G3ファクシミリ機能処理部
26 ネットワーク通信部
28 LCD
30 操作部
32 ROM
34 RAM
36 スキャナ機能処理部
38 スキャン処理部
40 スキャンデータ蓄積メモリ
42 スキャンデータ蓄積/処理部
44 USBインターフェース
46 USBメモリ
48 USBメモリ書込み/消去部
50 USBメモリオーバ検出部
52 スキャンデータ転送プログラム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャンデータを着脱自在な外部記憶媒体に転送するための転送手段を有するスキャナにおいて、
前記外部記憶媒体のメモリオーバを検出するための検出手段と、
前記メモリオーバの検出の有無にかかわらず、スキャンと並行してスキャンデータを格納するための格納手段と、
前記メモリオーバを検出したことを、ユーザへ通知するための通知手段と、
前記通知を受けたユーザの操作で、前記格納手段で格納したスキャンデータを、前記転送手段で外部記憶媒体へ転送再開するための転送再開手段とを設けたことを特徴とする、スキャナ。
【請求項2】
前記転送再開手段では、前記通知手段の通知を受けたユーザの操作が外部記憶媒体の装着で、空き容量を有する外部記憶媒体の装着を検出すると前記転送再開を行うことを特徴とする、請求項1のスキャナ。
【請求項3】
前記スキャンデータの転送再開手段では、全スキャンデータの転送、または前記メモリオーバ発生時の未転送のスキャンデータの転送をユーザが選択可能にしたことを特徴とする、請求項1または2のスキャナ。
【請求項4】
前記格納手段で格納したスキャンデータを消去するための消去手段を設け、前記外部記憶媒体への転送が正常に終了すると、ユーザが前記スキャンデータの消去を選択可能とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかのスキャナ。
【請求項5】
スキャンデータを着脱自在な外部記憶媒体に転送するための方法において、
外部記憶媒体のメモリオーバを検出するためのステップと、
前記メモリオーバの検出の有無にかかわらず、スキャンと並行してスキャンデータを格納するためのステップと、
前記メモリオーバを検出したことを、ユーザへ通知するためのステップと、
前記通知を受けたユーザの操作で、前記格納手段で格納したスキャンデータを、前記外部記憶媒体へ転送することを再開するためのステップ、とを設けたことを特徴とする、スキャナのスキャンデータの転送方法。
【請求項6】
前記転送再開では、前記メモリオーバ検出の通知を受けたユーザの操作が外部記憶媒体の装着で、空き容量を有する外部記憶媒体の装着を検出すると前記転送再開を行うためのステップを設けたことを特徴とする、請求項5のスキャンデータの転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−118333(P2008−118333A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298656(P2006−298656)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】