説明

スクリーニングアッセイ

本発明は、調節RNA−リガンド結合を調整する方法、ならびにRNA分子の二次構造要素の熱力学的確率を変化する薬剤およびオリゴヌクレオチドを同定するアッセイ法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、調節RNA−リガンド相互作用を調整するための、例えば、RNA二次構造の制御された操作のためのオープナーのおよびクローザーの核酸の同定、選択ならびに確認のための、方法を提供する。好ましい実施態様では、本発明のオープナーもしくはクローザーを使用して、RNAの二次構造依存性RNA−リガンド相互作用および遺伝子発現のような関連する下流プロセスを調節する。
【0002】
本発明は例えば、RNA生物学の分野に、特にRNA二次構造分析および予測に、ならびにRNAの二次構造依存性RNA−リガンド相互作用に関する。本発明は、遺伝子調節に、更に具体的には遺伝子発現の転写後調節、特にmRNAの安定性、例えば、タンパク質HuR(ELAVL1)のmRNA類を含有しているAU−富化要素への結合によるmRNAの安定化の制御に、関与するタンパク質とのRNAの相互作用に特に関連する。本発明は、薬物発見の分野に、更に具体的には医薬的標的の同定および確認に、高処理能力スクリーニングのためのアッセイの開発にならびに化合物のプロファイリングに例えばさらに関する。本発明は、疾患に関連するRNA−リガンド相互作用の操作に、特にRNA二次構造の特徴に依存するRNA−リガンド相互作用、例えば、疾患に関連する遺伝子のメッセンジャーRNAの安定性を制御しているRNA−リガンド相互作用、例えば、初期応答遺伝子mRNA類、例えばTNFαもしくはIL−2のmRNA類、のようにタンパク質HuRおよびAU−富化要素mRNA類の間の相互作用、の操作に例えばさらに関連する。本発明は、アンチセンス技法もしくはRNAiのような他のしかし相補的なアプローチに関連する、遺伝子発現の操作のための核酸ツールの開発を含む。
【0003】
細胞における多くのRNAに関連する調節プロセスは、特異的なRNA二次構造の形成に決定的に依存している。本発明の理解では、配列sのRNA分子の二次構造ψは、以下の条件を満足する塩基対(即ち、配列のヌクレオチドの対)のリストである:(i)それぞれのヌクレオチドsiが、多くて一つの塩基対に関与する;(ii)ψのそれぞれの塩基対(si、s)が、規定塩基対のGC、CG、AU、UA、GUおよびUGの一つである;(iii)塩基対が、非プソイドノット条件を満足する、即ち、それらは交差しない:二つの塩基が、ψの(si、s)および(sk、sl)とi<j、k<lで対にし、そしてi<kはj<kもしくはj>lのいずれかを意味する。
【0004】
他の巨大分子のように、等しい配列sのRNA分子は、セットΣ(s)により表示される、多くの異なる構造を形成し得る。Σ(s)の中でそれぞれの二次構造ψについて、積重ね塩基対、ヘアピンループ、内部ループ、隆起および多分枝ループに対するエネルギーの寄与を合計することにより自由エネルギーF(ψ)(ランダムコイル構造に比べて)を計算することができる。これらの寄与は、実験的に測定されてきている(Mathews D. H. et al., J. Mol. Biol. 1999, 288 (5): 911-40)。構造は、構造の熱力学的平衡の集合の中で均等に分布されていないが、構造の頻度はその安定性(即ちその自由エネルギー)に依存して、次の式のように計算され得る:
【数1】

(式中、
【数2】

は、RNA分子の分配関数であり、Tは温度であって、Rは一般気体定数である)。
【0005】
前述の事項の結果として、特定の生物学的プロセスについて要求される、二次構造モチーフもしくは二次構造要素は、配列の熱力学的平衡の集合の中で全ての構造により形成され得ないで、単にサブセット
【数3】

により形成され得る。特定の生物学的目的について要求される二次構造モチーフもしくは要素を形成している構造は、本発明全体を通して活性なまたはアクセス可能な構造として本明細書中で呼称される。もしも特定の二次構造モチーフを二次構造内で唯一回だけ形成することができるとすると、熱力学的集合の中でアクセス可能な構造の確率pを、A(s)の中で個別の構造の確率を総合計することにより計算することができる:
【数4】

(式中、Zは限定分配関数、即ち、アクセス可能な構造に限定された構造の集合の分配関数を意味する)。
【0006】
の計算は、もしも興味のある二次構造モチーフが一つの構造内で数回形成され得るならば、更に複雑である。この場合には、pを少なくとも一つの要求されるモチーフを形成する構造の確率に対して再規定する。モチーフが位置Bにおいて形成されるおよびモチーフが同一の構造内で位置Bにおいて形成される確率は独立していない。それ故に、個別の確率の総合計は、統合出現について補正されるべきである。モチーフを形成することができる、配列sの中でM部位B、i=1..Mについて、pを排他−包含原理を用いて計算することができる[例えば、Meisner N. C. et al., Chembiochem 2004, 5 (10): 1432-47; Hackermueller J. et al., Gene, 2005、印刷中、を参照]。
【数5】

式中、p(a)は、部位
【数6】

のサブセットにおいてモチーフを形成する構造の確率であって、それを分配関数
p(a)=Z(a)/Zのフラクションとして再び計算することができる。Z(a=φ)は、集合上で制約条件が何も無い(そしてこの故にp(φ)=1)ことを意味する一方で、a={B1, B2,..., BM}は、モチーフが全ての可能な部位で形成されることを意味する。
【0007】
RNA分子Mの熱力学は、それが短いオリゴヌクレオチドOとハイブリダイズするときに、劇的に変化し得る。その結果として、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、RNA分子が特定の二次構造モチーフを形成する傾向を変化し得る。更に正確には、興味のある少なくとも一つの構造モチーフを形成する熱力学的集合における構造の確率は、RNA分子単独の構造集合と比較して、RNA−オリゴヌクレオチドのハイブリッドの構造集合の中で異なり得る。興味のある少なくとも一つのモチーフを形成している二次構造の全体的な確率pは、RNA分子のアクセス可能な構造の確率p、RNA−オリゴハイブリッドのアクセス可能な構造の確率pMOに、ならびにハイブリダイズしたおよびハイブリダイズしていないRNAの間の平衡に、即ち、オリゴヌクレオチド[O]およびRNA[M]の平衡濃度ならびにハイブリダイゼーションの平衡定数、KMO、により表されるRNAおよびオリゴヌクレオチドの間のハイブリダイゼーションエネルギー、に依存する。(i)オリゴヌクレオチドがRNAに殆ど相補的である;(ii)オリゴヌクレオチドおよびRNAが著しく自己相補的では無い;ならびに(iii)オリゴヌクレオチドが過剰に存在する想定の下に、pをpMOにより近似し得る(Hackermueller J. et al., Gene, 2005、印刷中)。
【0008】
特異的なRNA−タンパク質相互作用は、数多くの細胞性機構の調節に決定的な重要性を持っている。前mRNAプロセッシング、核の(m)RNA輸出、RNA安定性および分解、遺伝子発現の他の調節レベル、代謝プロセスならびにウイルスのライフサイクルの調節は、タンパク質因子によるRNA分子の特異的認識に決定的に依存する。これらのプロセスの多くに対して、どちらかのRNAの二次構造モチーフが、(縮重)配列モチーフの認識を増大するかもしくは可能にすること、または配列の制約条件の無い“純粋な”RNAの二次構造モチーフが、調節タンパク質により認識されることが示されてきている。特定のRNAの二次構造モチーフを要求するRNAタンパク質相互作用の見かけの親和力が、RNA配列の熱力学的平衡集合
【数7】

(式中、
【数8】

は見かけの解離定数であり、そしてKd=[R][P]/[RP]はタンパク質およびアクセス可能なRNA分子の間の親和力を記載する微視的解離定数である)におけるアクセス可能な(即ちモチーフを形成する)二次構造の確率に直接に依存することが最近示されてきている。[R]、[R]、[P]、[RP]は、RNA、アクセス可能なRNA、タンパク質およびRNAタンパク質複合体のそれぞれの平衡濃度を意味する。
【0009】
RNAの二次構造への依存性が、タンパク質HuRおよびAU−富化要素mRNA類の間の相互作用について最近示されてきている。AU−富化要素(ARE)は、初期応答遺伝子mRNA類の3'非翻訳領域(UTR)の中に優先的に存在するシス作用要素である。これらの大ざっぱに規定される要素は、AUUUAおよびUUAUUUA(U/A)(U/A)モチーフならびにU−富化領域の組合せを本質的に特徴とする。それらの存在は、シスにおける迅速な分解に対してメッセンジャーRNAを標的にして、それらの機能は、トランス作用因子との特異的相互作用に依存する。これまでに同定された少なくとも21個のARE−結合タンパク質の中で、正の調節作用は、偏在的に発現されるHuR(ELAVL1、RefSeq受入:NP_001410)およびそのニューロンのホモログHuB、HuC、HuDにのみ寄与してきている。HuRおよびmRNAを含有するAREの間の相互作用は、結合mRNAの安定化に至って、およそ3,000個の遺伝子の発現を決定し得る[例えば、数多くの疾患関連タンパク質ならびにがん性の、炎症性の、ウイルス性の、アレルギー性の、血管性のおよび感染性の疾患における薬学的な標的を含む、Bakheet T. et al., Nucleic Acid Res. 2003, 60 (3): 499-511を参照]。
【0010】
現在知られているHuR制御遺伝子のリストはMeisner N. C. et al., Chembiochem 2004, 5 (10): 1432-47に示されて、BMP6(骨形態形成タンパク質6)、CCL11(ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11)、エオタキシン、CSF2(コロニー刺激因子2)、GMCSF(顆粒球単球コロニー刺激因子)、FSHB(濾胞刺激ホルモンベータ)、IL1b(インターロイキン1ベータ)、IL2(インターロイキン2)、IL3(インターロイキン3)、IL4(インターロイキン4)、IL6(インターロイキン6)、IL8(インターロイキン8)、MYOD1(ミオゲン因子3)、MYOG(ミオゲニン)、NF1(ニューロフィブロミン1)、PITX2(ペア様ホメオドメイン転写因子2)、TNFα(腫瘍壊死因子アルファ)、VEGF(血管内皮成長因子)、CCNA2(サイクリンA)、CCNB1(サイクリンB1)、CCND1(サイクリンD1)、CCND2(サイクリンD2)、CD83、CDKN1A(サイクリン−依存性キナーゼ阻害剤1A、即ち、p21もしくはCip1)、CDKN1B(サイクリン−依存性キナーゼ阻害剤1B、即ち、p27もしくはkip1)、DEK、FOS(v−fos FBJマウス骨肉腫ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ、c−fos)、HLF(肝白血病因子)、JUN(v−jun肉腫ウイルス17腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類の)、c−jun)、MYC(v−myc骨髄球腫症ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ、c−myc)、MYCN(v−myc骨髄球腫症ウイルス関連腫瘍遺伝子、神経芽細胞腫由来、n−myc)、TP53(腫瘍タンパク質p53)、HDAC2(ヒストンデアセチラーゼ2)、MMP9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)、NDUFB6(NADH脱水素酵素(ユビキチン)1ベータ小複合体)、NOS2A(一酸化窒素合成酵素2A)、PLAU(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子)、PTGS2(プロスタグランジン−エンドペルオキシド合成酵素2)、COX2(シクロオキシゲナーゼ2)、SERPINB2(セリン(もしくはシステイン)タンパク質分解酵素阻害剤)、PAI−2(プラスミノーゲン活性化因子阻害剤2)、UBE2N(ユビキチン結合酵素E2N)、ADRB1(ベータ−1アドレナリン性受容体)、ADRB2(ベータ−2アドレナリン性受容体)、AR(アンドロゲン受容体)、CALCR(カルシトニン受容体)、CDH2(カドヘリン2,1型)、N−カドヘリン、GAP43(成長関連タンパク質43)、SLC2A1(溶質担体ファミリー2 メンバー1)、GLUT1(グルコース輸送体1)、PLAUR(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体)、SLC5A1(溶質担体ファミリー5)、TNFSF5(腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリー、メンバー5、CD154)、ACTG1(アクチン、ガンマ1)、CTNNB1(カテニン(カドヘリン−関連タンパク質)、ベータ1)、MARCKS(ミリストイル化アラニン富化タンパク質キナーゼC基質)、MTA1(転移関連1)、PITX2(ペア様ホメオドメイン転写因子2)、SLC7A1(陽イオンアミノ酸輸送体、CAT−1)を包含している。正の調節HuRのARE mRNAへの結合は、単鎖立体配座の中でその結合部位NNUUNNUUUの存在により決定される。
【0011】
本発明は、前述の態様、即ち、短いオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションによりRNA熱力学に影響する能力およびRNAタンパク質相互作用の特定の二次構造要素の形成への依存性を組合せる。本発明は、特定の生物学的プロセスに要求される特定の二次構造要素、例えば、RNA−リガンド相互作用に要求される二次構造要素、を形成する二次構造の確率を操作する短いオリゴヌクレオチドを合理的にデザインするための方法を提供する。
【0012】
RNAの二次構造は、翻訳、mRNAプロセッシング、代謝経路もしくはRNA−リガンド相互作用に依存している他の制御機構のような多くの細胞のプロセスの節調において中心的重要性を持っている。本発明は、RNAの二次構造および関連する調節プロセスの制御された操作の方法を提供する。計算的にデザインされたオリゴヌクレオチドをそれらの標的RNA分子にハイブリダイズして、それにより興味ある分子相互作用に決定的である特定の二次構造要素の確率を最大化するかもしくは最小化する。これらのモジュレーター(オープナーもしくはクローザー)核酸は、例えば調節ヘアピンを広げることをだけでなく、任意の機能性RNA構造要素を分裂させるかもしくは支持することを許容する。そのような人工的に誘発された立体配座の再編成は、標的RNA配列内のハイブリダイゼーション部位に近接するかもしくは離れた領域において起こり得る。それは、調節因子の認識部位を隠すかもしくは提示することを許容して、それにより関連する調節プロセスを操作するために使用され得る。特に、我々は、HuR依存性mRNAの安定化のレベルにおいて疾患に関連する標的遺伝子の発現を特異的に制御するためのその適用を説明する。多くのHuR調節遺伝子の疾患関連性があるものとして、本発明の方法によるmRNA二次構造の操作によりmRNAの安定性を標的化することは、治療的介入のための新規なプラットホーム戦略として役立つ可能性がある。それ故に、方法は、(i)特異的標的関連アッセイおよび疾患に関連する標的mRNAの上でモジュレーターが誘発する構造変化を阻害するかもしくは強化する化合物を同定するためのHTスクリーニングの開発のための、(ii)細胞生物学的なもしくはインビボのアッセイにおける道具として遺伝子発現を増強するかまたは沈黙させるための、(iii)薬物標的の確認においてまたは(iv)化合物のプロファイリングにおいて、ならびに(v)多くの多重結合部位の中で個別に特異的に“開くこと”かもしくは“閉じること”により一つの特定のタンパク質結合部位の生物学的役割の機構的研究のための手段を提供する。
【0013】
一つの態様において、本発明は、
(a)リガンド、例えばタンパク質、による認識に要求されるRNA分子の二次構造要素を規定することおよび選択すること、
(b)当該RNA二次構造の集合において工程(a)の二次構造要素の熱力学的確率を計算すること、
(c)少なくとも部分的に逆相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされる当該RNA二次構造の集合において工程(a)の二次構造要素の熱力学的確率を計算すること、
(d)規定の確率閾値を超えて当該二次構造要素の熱力学的確率を変化するオリゴヌクレオチドを測定すること、
(e)工程(d)で測定されるようにオリゴヌクレオチドを提供すること、ならびに任意に、
(f)工程(a)の当該二次構造要素を含むRNAを工程(e)のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、そして該二次構造要素の熱力学的確率への当該ハイブリダイゼーションの作用を測定すること
を含む調節RNA−リガンド相互作用を調整する方法を提供する。
【0014】
本明細書中でそれ以外に規定されないならば、用語は以下のように規定される:
本発明のRNAは、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボゾームRNA(rRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、転移RNA(tRNA)、ミクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNAおよびスプライセオソームRNAからなる群からの、共有的に修飾されたRNAを含む、生物学的機能を持つ任意のRNA分子を含む。好ましくは、RNAは、例えば、BMP6(骨形態形成タンパク質6)、CCL11(ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11)、エオタキシン、CSF2(コロニー刺激因子2)、GMCSF(顆粒球単球コロニー刺激因子)、FSHB(濾胞刺激ホルモンベータ)、IL1b(インターロイキン1ベータ)、IL2(インターロイキン2)、IL3(インターロイキン3)、IL4(インターロイキン4)、IL6(インターロイキン6)、IL8(インターロイキン8)、MYOD1(ミオゲン因子3)、MYOG(ミオゲニン)、NF1(ニューロフィブロミン1)、PITX2(ペア様ホメオドメイン転写因子2)、TNFα(腫瘍壊死因子アルファ)、VEGF(血管内皮成長因子)、CCNA2(サイクリンA)、CCNB1(サイクリンB1)、CCND1(サイクリンD1)、CCND2(サイクリンD2)、CD83、CDKN1A(サイクリン−依存性キナーゼ阻害剤1A、即ち、p21もしくはCip1)、CDKN1B(サイクリン−依存性キナーゼ阻害剤1B、即ち、p27もしくはkip1)、DEK、FOS(v−fos FBJマウス骨肉腫ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ、c−fos)、HLF(肝白血病因子)、JUN(v−jun肉腫ウイルス17腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類の)、c−jun)、MYC(v−myc骨髄球腫症ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ、c−myc)、MYCN(v−myc骨髄球腫症ウイルス関連腫瘍遺伝子、神経芽細胞腫由来、n−myc)、TP53(腫瘍タンパク質p53)、HDAC2(ヒストンデアセチラーゼ2)、MMP9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)、NDUFB6(NADH脱水素酵素(ユビキチン)1ベータ小複合体)、NOS2A(一酸化窒素合成酵素2A)、PLAU(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子)、PTGS2(プロスタグランジン−エンドペルオキシド合成酵素2)、COX2(シクロオキシゲナーゼ2)、SERPINB2(セリン(もしくはシステイン)タンパク質分解酵素阻害剤)、PAI−2(プラスミノーゲン活性化因子阻害剤2)、UBE2N(ユビキチン結合酵素E2N)、ADRB1(ベータ−1アドレナリン性受容体)、ADRB2(ベータ−2アドレナリン性受容体)、AR(アンドロゲン受容体)、CALCR(カルシトニン受容体)、CDH2(カドヘリン2,1型)、N−カドヘリン、GAP43(成長関連タンパク質43)、SLC2A1(溶質担体ファミリー2 メンバー1)、GLUT1(グルコース輸送体1)、PLAUR(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体)、SLC5A1(溶質担体ファミリー5)、TNFSF5(腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリー、メンバー5、CD154)、ACTG1(アクチン、ガンマ1)、CTNNB1(カテニン(カドヘリン−関連タンパク質)、ベータ1)、MARCKS(ミリストイル化アラニン富化タンパク質キナーゼC基質)、MTA1(転移関連1)、PITX2(ペア様ホメオドメイン転写因子2)、およびSLC7A1(陽イオンアミノ酸輸送体、CAT−1)からなる群よりの、AU−富化要素mRNAのような、mRNAであって、例えば、RNAは、IL−2 mRNAもしくはTNF−α mRNAのような、mRNAである。
【0015】
本発明のリガンドは、RNA、DNA、ペプチド、タンパク質もしくは小分子、例えば、例えばELAVL1(HuR)、HuB、HuC、HuD、のようなELAVファミリー、例えばELAVL1、のARE結合タンパク質のようなタンパク質、を例えば含む、RNA分子に結合する分子を含む。
【0016】
本発明の二次構造要素もしくは、同意語的に用いて、二次構造モチーフは、対のおよび不対の位置からなるRNAの二次構造パターン、例えば、5個の塩基のループを閉じている八個の積重ね塩基のヘアピンのような、ヘアピン、を含む。これに代えて、二次構造要素もしくは二次構造モチーフは、二次構造の制約条件を持つ配列パターン、好ましくは、規定の二次構造を持つ配列パターン、例えば完全に単鎖の立体配座における配列パターンNNUUNNUUU(式中、Nは任意のRNAヌクレオチドについてのIUPACコードである)、のような、複合配列/RNAの二次構造モチーフを含む。好ましくは、二次構造要素もしくは二次構造モチーフは、特定の生物学的機能、例えば、特定のタンパク質のRNAへの結合もしくは分子の自己触媒開裂、に要求されて、好ましくは、二次構造モチーフは、HuRのmRNAへの結合に要求される。
【0017】
完全に単鎖の立体配座における配列モチーフNNUUNNUUUを含有するRNA二次構造の確率のような、生物学的プロセスに要求されている特定の二次構造要素を形成する特定の配列の熱力学的平衡集合の中のRNA二次構造の確率は、アクセス可能性として本明細書中でまた呼称される。熱力学的平衡集合は、mRNAのような、任意のRNA分子を、もしくは、下で規定されるように、オープナーもしくはクローザーとハイブリダイズされるmRNAのような、オリゴヌクレオチドとハイブリダイズされるRNA分子を、持ち得る。
【0018】
本発明のオリゴヌクレオチドは、規定の配列の全てのヌクレオチドオリゴマー、好ましくは、2'−オキシ−メチルもしくはホスホロチオエート−置換のような任意の2'−またはバックボーン修飾を持つRNA、DNA、PNA(ペプチド核酸)またはLNA(ロックド核酸)、を含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、ビオチン、コレステロール、ジゴキシゲニン、コロイド、遷移元素複合体、炭水化物、アミノ酸のような、従来のごとき標識化物質と、または蛍光の、放射性の、アルキルの、ペプチドもしくは
他のタグとまたは合成ポリマー、例えばポリリシンもしくは(ポリ)エチレングリコールと、3'もしくは5'末端においてまたは内部の位置において例えば標識される、標識形でまた存在し得る。オリゴヌクレオチドの長さは、RNAの二次構造および望ましい配列特異性に依存して、好ましくは、オリゴヌクレオチドは、10〜100個のように、10〜200個、好ましくは約20個のヌクレオチドのように、10〜50個のヌクレオチドの長さを有する。
【0019】
本発明のオリゴヌクレオチドは、オープナーとしてもしくはクローザーとして作用し得る。本発明のオープナーは、特定のRNAの特定の二次構造要素の当該オープナーとのハイブリッドのアクセス可能性を、当該二次構造要素の当該RNAのアクセス可能性と比較した規定の閾値、例えば少なくとも2倍より高い値として規定される閾値、を超えて上げるオリゴヌクレオチドを含む。オープナーは、RNAに対して部分的に逆相補的であって、好ましくは、それは正確に逆相補的である。
【0020】
本発明のクローザーは、特定のRNAの特定の二次構造要素の当該クローザーとのハイブリッドのアクセス可能性を当該二次構造要素の当該RNAのアクセス可能性と比較した規定の閾値、例えば少なくとも0.5倍より低い値として規定される閾値、を超えて下げるオリゴヌクレオチドを含む。クローザーは、RNAに対して部分的に逆相補的であって、好ましくは、それは正確に逆相補的である。
【0021】
本発明はさらに、特定のRNAおよび特定の二次構造要素のためにオープナーもしくはクローザーとして作用するオリゴヌクレオチドの同定および選択の方法を提供する。前提条件は、興味ある特定の生物学的プロセスのために、例えば、リガンド、例えばタンパク質の結合のために、要求される二次構造要素の先行知識である。二次構造要素は、例えば一般的な知識であるかもしくは文献から同定され得る。RNA−リガンド相互作用のためには、例えば親和性データから、例えば、Hackermueller J. et al., 2005, Gene(印刷中)の中に詳細に記載されている、もしくはMeisner N. C. et al. Chembiochem, 2004, 5 (10): 1432-47の中に記載されているように、HuRおよびmRNA類の間の相互作用について例示されている、方法のような、従来のごとき方法を用いて、要求される二次構造要素を同定することができる。
【0022】
アクセス可能性pを、当該RNAの二次構造要素および当該RNAについて、例えば計算プロトコルに示されるように計算方法を用いることにより、計算する。計算方法に依存して、それについてアクセス可能性が計算される温度を設定することが可能であり得る。好ましくは、それにおいてオリゴヌクレオチドを実験的にバリデートするかもしくは適用する環境温度に、例えばインビボの使用では37°に、温度を設定する。
【0023】
RNA−オリゴヌクレオチドハイブリッドのアクセス可能性pMOを、候補のオープナーもしくはクローザーについて計算する。候補のオープナーもしくはクローザーは、RNAに対して少なくとも部分的に逆相補的である任意に選ばれるオリゴヌクレオチドであり得るか、もしくは当該二次構造要素を形成することができる、位置の近くでRNAにハイブリダイズする部分的に逆相補的なオリゴヌクレオチドとして選ばれ得る。好ましくは、pMOを、当該RNAに正確に逆相補的である、規定の長さ、例えば20個のヌクレオチド(nt)、の全てのオリゴヌクレオチドについて評価する。
【0024】
もしもpおよびpMOの間の相違がある特定の閾値を超えている、例えばpMOがpより二倍高い、ならば、オリゴヌクレオチドがオープナーとして選択される。もしもpおよびpMOの間の相違がある特定の閾値を超えている、例えばpMOがpより半分高い、ならば、オリゴヌクレオチドがクローザーとして選択される。
【0025】
任意に、そのような同定されたクローザーもしくはオープナーを、それらを当該RNAとハイブリダイズすることおよび、二次構造要素のアクセス可能性へのハイブリダイゼーションの作用を、例えば、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、免疫沈澱、フィルター結合アッセイ、EMSA(=電気泳動移動度シフトアッセイ)、UV/VIS分光法、NMR(核磁気共鳴分光法)、単一の分子選択性での適用の上で特定の焦点を持つ蛍光分光法、例えば蛍光相関分光法(FCS)、蛍光強度分布分析(FIDA)、または蛍光異方性もしくは蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の測定に基づく適用のような既知の方法により、測定することにより実験的にさらにバリデ−トし得る。
【0026】
好ましい態様では、本発明は、RNAがIL−2 mRNAであり、リガンドがELAVL1であって、オリゴヌクレオチドが
配列番号1: AAGGCCTGATATGTTTTAAG、
配列番号2: AATATAAAATTTAAATATTT、
配列番号3: TAGAGCCCCTAGGGCTTACA、
配列番号4: TGAAACCATTTTAGAGCCCC、
配列番号5: AAGGCCUGAUAUGUUUUAAG、
配列番号6: AAUAUAAAAUUUAAAUAUUU、
配列番号7: UAGAGCCCCUAGGGCUUACA,
配列番号8: UGAAACCAUUUUAGAGCCCC
からなる群より選択される配列を有する、本発明の方法を提供する。
【0027】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、RNAがTNF−α mRNAであり、リガンドがELAVL1であって、オリゴヌクレオチドが
配列番号9: TCGGCCAGCTCCACGTCCCG、
配列番号10: TCTGGTAGGAGACGGCGATG、
配列番号11: ACGGCGATGCGGCTGATGGT、
配列番号12: TTCTGGAGGCCCCAGTTTGA、
配列番号13: ATTCCAGATGTCAGGGATCA,および
配列番号14: ATCACAAGTGCAAACATAAA
からなる群より選択される配列を有する、本発明の方法を提供する。
【0028】
もう一つの態様では、本発明は、対応するRNAの二次構造を変更することにより遺伝子の発現を操作するための本発明の方法の使用を提供する。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、二次構造要素の熱力学的確率を本発明の方法により同定される規定の確率閾値を超えて変化させるオリゴヌクレオチドを提供する。
【0030】
もう一つの態様では、本発明は、
配列番号1: AAGGCCTGATATGTTTTAAG、
配列番号2: AATATAAAATTTAAATATTT、
配列番号3: TAGAGCCCCTAGGGCTTACA、
配列番号4: TGAAACCATTTTAGAGCCCC、
配列番号5: AAGGCCUGAUAUGUUUUAAG、
配列番号6: AAUAUAAAAUUUAAAUAUUU、
配列番号7: UAGAGCCCCUAGGGCUUACA、
配列番号8: UGAAACCAUUUUAGAGCCCC、
配列番号9: TCGGCCAGCTCCACGTCCCG、
配列番号10: TCTGGTAGGAGACGGCGATG、
配列番号11: ACGGCGATGCGGCTGATGGT、
配列番号12: TTCTGGAGGCCCCAGTTTGA、
配列番号13: ATTCCAGATGTCAGGGATCA、および
配列番号14: ATCACAAGTGCAAACATAAA
からなる群より選択される配列を有するオリゴヌクレオチドを提供する:
【0031】
好ましい態様では、本発明の方法により同定されるオリゴヌクレオチドは、RNAもしくはDNA分子または、任意の化学修飾;
例えば、2'−O−メチル−ホスホロチオエート−、コレステロール−、ビオチン−および蛍光色素からなる群より選択される修飾を持つ、配列番号1〜配列番号14のオリゴヌクレオチドである。
もう一つの好ましい態様では、本発明の方法により同定されるオリゴヌクレオチドもしくは配列番号1〜配列番号14のオリゴヌクレオチドは、PNAまたはLNA分子である。
【0032】
本発明の方法により同定されるオリゴヌクレオチドもしくは配列番号1〜配列番号14のオリゴヌクレオチドを、“本発明のオリゴヌクレオチド”と以下に呼称する。
【0033】
もう一つの態様では、本発明は、本発明の方法により同定されるオリゴヌクレオチドもしくは配列番号1〜14からなる群より選択されるオリゴヌクレオチドの、例えば、RNAタンパク質相互作用、好ましくはmRNAタンパク質相互作用、のようなRNA−リガンド相互作用、およびこの相互作用に関連する調節作用を調整するために、例えば、RNA二次構造の操作における道具として、調節RNA−リガンド相互作用を操作するための使用を提供する。特に、本発明の方法により同定されるオリゴヌクレオチドを、好ましくは、図1に図示されるように、HuR制御mRNAの安定性の操作により、遺伝子発現、例えばAU富化要素制御遺伝子の発現、の操作のために使用し得る。
【0034】
本発明により提供されるオープナーもしくはクローザーのオリゴヌクレオチドの機能は、その標的RNAと特異的にハイブリダイズする能力に単に依存している。この故に、それらは、化学修飾に関して大きい適応性を提供する。これは、オープナーもしくはクローザーのオリゴヌクレオチドの物理的および生物学的性質を調整することを許容する。例えば、2'−オキシ−メチルもしくはホスホロチオエート−置換のような任意の2'−または骨格修飾を持つ単鎖のRNA、DNA、PNA(ペプチド核酸)またはLNA(ロックド核酸)を使用し得る。また、オープナーもしくはクローザーのオリゴヌクレオチドを、ビオチン、コレステロール、ジゴキシゲニン、コロイド、遷移元素複合体、炭水化物、アミノ酸と、または蛍光の、放射性の、アルキルの、ペプチドもしくは他のタグとまたは合成ポリマー、例えばポリリシンもしくは(ポリ)エチレングリコールと、3'もしくは5'末端においてまたは内部の位置において標識し得る。オープナーもしくはクローザーのオリゴヌクレオチドを、インビトロの、細胞のもしくはインビボの適用に使用し得る。例えば、本発明のオープナーもしくはクローザーのオリゴヌクレオチドを、アジュバント仲介転移、例えば、リポソーム、DEAEデキストラン、リン酸カルシウムもしくは他のアジュバントによる転移、のようなトランスフェクション方法により、ウイルス性ベクター、例えばレトロウイルスのベクター、により、または物理的方法、例えばエレクトロポレーション、マイクロインジェクションもしくはオプトインジェクション(optoinjection)、により細胞に送達し得る。インビボアッセイのためには、例えば経口で、注射により、例えば皮下、筋肉内もしくは静脈内に、吸入により、直腸的に、局所的にまたは微粒子アプローチ(“遺伝子銃”)により、オープナーもしくはクローザーを送達し得る。
【0035】
例えば、本発明のオープナーもしくはクローザーのオリゴヌクレオチドによる遺伝子発現の操作を、薬物標的の確認のために、例えば、疾患関連遺伝子のオープナーで増加した発現に対して本発明のクローザーにより仲介される、同一の遺伝子の正常な発現もしくは減少した発現についての表現型読み出しを比較することにより、または従来の方法、例えば、RNAi、アンチセンスもしくは他のノックダウン方法により、適用し得る。もう一つの例では、本発明のオープナーもしくはクローザーのオリゴヌクレオチドによる遺伝子発現の操作を、インビボの、細胞の生物学的もしくは生化学的アッセイにおける機構的研究のために、例えば、興味のある遺伝子のオープナーで増加した発現に対して本発明のクローザーにより仲介される、同一の遺伝子の正常な発現もしくは減少した発現についての表現型読み出しを比較することにより、または従来の方法、例えば、RNAi、アンチセンスもしくは他のノックダウン方法により、使用し得る。当該表現型読み出しは、RNAの二次構造、RNAの三次構造、RNA−リガンド複合体レベル、RNA−リガンド親和性、RNAのオリゴマー化もしくは多量体化、リガンドのオリゴマー化もしくは多量体化、自己触媒的RNA開裂、リガンドの立体配座、RNAのスプライシング、共有RNA修飾、RNAの局在化、RNAの安定性、RNAの発現レベル、タンパク質の発現レベル、RNAのもしくはタンパク質の局在化、細胞増殖、細胞分化、細胞遊走、炎症、組織血管新生、腫瘍進行、血管新生または本発明のオリゴヌクレオチドにより操作されるRNA二次構造の任意の他の下流作用における変化からなる群より例えば選択される。
【0036】
もう一つの例では、本発明のオープナーもしくはクローザーのオリゴヌクレオチドによる遺伝子発現の操作を、薬剤、例えば化学物質、のプロファイリングのために、例えば、興味のある遺伝子のオープナーで増加した発現に対して本発明のクローザーにより仲介される、同一の遺伝子の正常な発現もしくは減少した発現を比較することにより、または従来の方法、例えば、RNAi、アンチセンスもしくは他のノックダウン方法により、適用し得る。
【0037】
もう一つの態様では、本発明は、本発明の方法により同定されるオリゴヌクレオチドもしくは配列番号1〜配列番号14からなる群より選択されるオリゴヌクレオチドのRNA分子の安定性に影響するための使用を提供する。
【0038】
さらなる態様では、本発明は以下のアッセイ法を提供する:
(I)RNA分子のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションの作用を調整する薬剤を同定するアッセイであって、
(a)リガンドによる認識に必要な二次構造要素を含むRNAを候補化合物の存在下においておよび不在下において規定の確率閾値を超えて当該二次構造要素の熱力学的確率を変化オリゴヌクレオチドへハイブリダイズすること、
(b)当該候補化合物の存在下においておよび不在下において当該RNAの当該オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションの作用を測定すること、ならびに
(c)ハイブリダイゼーションの作用を調整する薬剤を同定すること
を含む、アッセイ法。
(II)RNA分子のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションの作用を模倣する薬剤を同定するアッセイ法であって、
(a)リガンドによる認識に必要な二次構造要素を含むRNAを規定の確率閾値を超えて当該二次構造要素の熱力学的確率を変化するオリゴヌクレオチドへハイブリダイズすること、
(b)リガンドによる認識に必要な二次構造要素を含むRNAをオリゴヌクレオチドのように同様な作用を有すると期待される候補化合物へハイブリダイズすること、
(c)ハイブリダイゼーションの作用を工程(a)および(b)について測定すること、ならびに
(d)工程(a)のハイブリダイゼーションの作用を模倣する薬剤を同定すること
を含む、アッセイ法。
【0039】
候補化合物は、それから本発明にしたがうハイブリダイゼーションが期待され得る化合物(ライブラリー)を含んで、例えば、RNAフラグメント、DNAフラグメント、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、模倣体、小分子、例えば低分子量化合物類(LMW類)、好ましくはLMWを含む。
【0040】
薬剤は、それについてハイブリダイズする作用が上記に説明されるように証明された、選ばれた候補化合物である。
小分子もしくは他の化学物質のように薬剤を、例えば、転位の間にmRNAの構造の中で特異的立体配座に結合することにより、この作用を阻害すること、強化することもしくは刺激することのいずれかについて試験し得る。
【0041】
好ましい態様では、本発明のアッセイでのハイブリダイゼーションの作用を、ハイブリダイゼーションの作用に関連するシグナルを測定することにより測定して、その作用は、二次のRNA構造、三次のRNA構造、RNA−リガンド親和性、RNAのオリゴマー化もしくは多量体化、リガンドのオリゴマー化もしくは多量体化、リガンドの立体配座変化、RNA−リガンド認識の下流作用の効率、RNAのスプライシング、共有RNA修飾、RNAの局在化、RNAの安定性、RNAの翻訳およびタンパク質の発現プロフィルにおける変化からなる群より選択される。
【0042】
そのようなアッセイは、本発明のオリゴヌクレオチドを候補化合物の存在下もしくは不在下において興味のあるRNAにハイブリダイズすることおよび当該作用を調整するかもしくは模倣する薬剤を同定するために当該ハイブリダイゼーションの作用に関連する表現型読み出しを測定することにより実現され得る。当該ハイブリダイゼーションの作用は、上記に説明されるように表現型読み出しに関連するシグナルを測定することにより例えば測定される。例えば、mRNA調節のレベルにおいてARE制御遺伝子を薬物可能にするために、当該アッセイを使用することができる。本発明のオープナーもしくはクローザーに強く関連するかもしくは似ているmRNA構造の変化を誘発するために、細胞が小分子のRNA類またはタンパク質のようなモジュレーターを使用することを想定して、本発明のオープナーもしくはクローザーを使用して、標的特異性mRNAの安定性アッセイをデザインし得る。本発明のオープナーを用いる例示的アッセイ原理を図11および12に図示している。オープナーは、蛍光強度、寿命もしくは蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の測定のような、標準的な蛍光分光方法により例えば検出される、構造の転位に至る。
【0043】
図13に概略されるように、細胞のアッセイフォーマットへの拡張がまた可能である。しかしながら、前提条件は、プローブのおよび/もしくはオープナーのオリゴヌクレオチドの生細胞の中への効率的な導入である。表現型アッセイを確立してきているとすると、3,000個以下のARE遺伝子の標的プラットフォーム内の事実上任意の標的mRNAは、一般的なアッセイフォーマットを用いてスクリーニング可能になる。
好ましい態様では、当該アッセイの中のRNAはmRNAである。
もう一つの好ましい態様では、RNA、リガンドおよびオリゴヌクレオチドは、上記で規定されているようである。
もう一つの態様では、本発明は、高処理能力スクリーニングのために本発明のアッセイの使用を提供する。
【0044】
さらなる態様では、本発明は、医薬品としての使用のために、本発明の方法により同定されるオリゴヌクレオチドもしくは薬剤または配列番号1〜配列番号14からなる群より選択されるオリゴヌクレオチドを提供する。
【0045】
もう一つの態様では、本発明は、少なくとも一つの薬学的添加物、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、流れ改良剤、潤滑剤、砂糖および甘味剤、芳香剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤および/もしくは乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩ならびに/または緩衝剤を例えば含む、適切な担体ならびに/または賦形剤の上に、本発明のアッセイにより同定される薬剤または本発明のオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を提供する。
もう一つの態様では、本発明は、もう一つの医薬的に活性な薬剤をさらに含む、本発明の医薬組成物を提供する。
【0046】
そのような組成物を、従来のごとき方法にしたがって、例えば類似して、例えば、混合の、顆粒化の、コーティングの、溶解のもしくは凍結乾燥の方法により、製造し得る。単位投与剤型は、例えば、1mg〜約500mgのように、約0.5mg〜約1000mgを含有し得る。
【0047】
医薬品としての使用のためには、本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドは、一つもしくはそれ以上の薬剤またはオリゴヌクレオチド、例えば薬剤またはオリゴヌクレオチドの組合せ、を含む。
【0048】
本発明の医薬組成物を、当該オリゴヌクレオチドもしくは薬剤により操作されるRNA二次構造の下流作用と関連する病因を有している障害の処置に使用し得る。例えば、当該下流効果は、好ましくは、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、がん原遺伝子、ウイルス性タンパク質、受容体、ホルモンもしくは酵素からなる群より選択される、AU富化要素で制御される遺伝子により例えばコード化される、物質、例えば、タンパク質の生産であり得て、好ましくは、そのような物質は、BMP6(骨形態形成タンパク質6)、CCL11(ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11)、エオタキシン、CSF2(コロニー刺激因子2)、GMCSF(顆粒球単球コロニー刺激因子)、FSHB(濾胞刺激ホルモンベータ)、IL1b(インターロイキン1ベータ)、IL2(インターロイキン2)、IL3(インターロイキン3)、IL4(インターロイキン4)、IL6(インターロイキン6)、IL8(インターロイキン8)、MYOD1(ミオゲン因子3)、MYOG(ミオゲニン)、NF1(ニューロフィブロミン1)、PITX2(ペア様ホメオドメイン転写因子2)、TNFα(腫瘍壊死因子アルファ)、VEGF(血管内皮成長因子)、CCNA2(サイクリンA)、CCNB1(サイクリンB1)、CCND1(サイクリンD1)、CCND2(サイクリンD2)、CD83、CDKN1A(サイクリン−依存性キナーゼ阻害剤1A、即ち、p21もしくはCip1)、CDKN1B(サイクリン−依存性キナーゼ阻害剤1B、即ち、p27もしくはkip1)、DEK、FOS(v−fos FBJマウス骨肉腫ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ、c−fos)、HLF(肝白血病因子)、JUN(v−jun肉腫ウイルス17腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類の)、c−jun)、MYC(v−myc骨髄球腫症ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ、c−myc)、MYCN(v−myc骨髄球腫症ウイルス関連腫瘍遺伝子、神経芽細胞腫由来、n−myc)、TP53(腫瘍タンパク質p53)、HDAC2(ヒストンデアセチラーゼ2)、MMP9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)、NDUFB6(NADH脱水素酵素(ユビキノン)1ベータ小複合体)、NOS2A(一酸化窒素合成酵素2A)、PLAU(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子)、PTGS2(プロスタグランジン−エンドペルオキシド合成酵素2)、COX2(シクロオキシゲナーゼ2)、SERPINB2(セリン(もしくはシステイン)タンパク質分解酵素阻害剤)、PAI−2(プラスミノーゲン活性化因子阻害剤2)、UBE2N(ユビキチン結合酵素E2N)、ADRB1(ベータ−1アドレナリン性受容体)、ADRB2(ベータ−2アドレナリン性受容体)、AR(アンドロゲン受容体)、CALCR(カルシトニン受容体)、CDH2(カドヘリン2,1型)、N−カドヘリン、GAP43(成長関連タンパク質43)、SLC2A1(溶質担体ファミリー2 メンバー1)、GLUT1(グルコース輸送体1)、PLAUR(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体)、SLC5A1(溶質担体ファミリー5)、TNFSF5(腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリー、メンバー5、CD154)、ACTG1(アクチン、ガンマ1)、CTNNB1(カテニン(カドヘリン−関連タンパク質)、ベータ1)、MARCKS(ミリストイル化アラニン富化タンパク質キナーゼC基質)、MTA1(転移関連1)、PITX2(ペア様ホメオドメイン転写因子2)およびSLC7A1(陽イオンアミノ酸輸送体、CAT−1)からなる群より選択される。
処置は、処置および予防を含む。
【0049】
そのような処置のためには、適切な投与量は、例えば、使用される本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドの化学的性質および薬物動態学的データ、個別な宿主、投与様式ならびに処置されている異常の性質および重篤度、に依存して、勿論、変動するであろう。しかしながら、一般に、大型哺乳類、例えばヒト、における満足的な結果のためには、指示一日投与量は、本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドの約0.01g〜約1.0gの範囲にある;例えば、一日に四回までの分割服用量で、便利に投与される。
【0050】
本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドは、任意の従来の経路により、例えば経腸的に、例えば経鼻、頬側、直腸、経口投与を含んで;非経腸的に、例えば静脈内、筋肉内、皮下投与を含んで;または局所的に、例えば皮膚上、鼻腔内、気管内投与を含んで;例えば、コーティングもしくは非コーティング錠、カプセル、注射液剤もしくは懸濁剤の形で、例えばアンプル、バイアルの形で、クリーム、ゲル剤、ペースト、吸入粉剤、泡剤、チンキ剤、口紅、滴剤、噴霧剤の形で、または坐薬の形で、投与され得る。本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩、例えば酸付加塩もしくは金属塩、の形で;または遊離形で;任意に溶媒和物の形で投与され得る。塩の形の本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドは、遊離形で;任意に溶媒和物の形で本発明の化合物と同一の程度の活性を呈示する。
【0051】
本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドは、本発明にしたがう医薬的処置のために単独でまたは一つもしくはそれ以上の他の医薬的に活性な薬剤との併用で使用され得る。併用剤には、二つもしくはそれ以上の本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドが同一の製剤にある固定併用剤;別々の製剤の中の二つもしくはそれ以上の本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドが同一の包装の中で、例えば共投与のための使用説明書と共に、販売されているキット;および本発明の薬剤もしくはオリゴヌクレオチドが別々に包装されているが、同時のもしくは連続した投与のための使用説明書が与えられている自由併用剤が含まれる。
【0052】
(図の説明)
図1:オープナーの作用の図式的説明図
オープナーの作用無しでは、HuRの結合は、結合部位(1でマーク)のアクセス不可能性により減退されている。標的mRNA(mRNAα)へのオープナー(2でマーク)のハイブリダイゼーション時には、αmRNA内で局所二次構造の特異的モジュレーションが、アクセス可能な立体配座にあるHuRの結合部位の提示に至って、他のいずれのHuR標的mRNA(例えば、mRNAβ)に影響を及ぼすこと無しにmRNAαの安定化をもたらしている。
【0053】
図2:IL−2オープナーオリゴヌクレオチドのデザイン
37°におけるHuR結合部位のアクセス可能性pMO(即ち、アクセス可能なRNAのフラクション)が、3'UTR内で与えられたハイブリダイゼーション部位(開始位置、x軸)において逆相補性の20マーオリゴヌクレオチドへのIL−2 3'UTRのハイブリダイゼーションの依存性を示している。IL−2 AREは白い四角として指し示され、NNUUNNUUUのHuR結合部位はオープナー開始位置の約50および約150において連続した黒線でブロックとして示されている。アクセス可能性の著しい増加は、HuR結合部位の近くにおいて孤立の“ホットスポット”に限定されている。実験的に試験されたオープナー分子のOp、Op、OpおよびOpの位置が指し示されて、負の対照(N、N)がまたマークされている(表1で特定される配列)。オープナーのOpおよびOpは、ARE内でHuR結合部位を主として標的にし、OpおよびOpは、第二のNNUUNNUUUモチーフに指向されている。
【0054】
図3:IL−2 3'UTRへのオープナーのハイブリダイゼーションの説明図
IL−2 3'UTR(左のパネル)のおよびオープナーのOpにハイブリダイズされたIL−2 3'UTR(右のパネル、Opは黒い実線として表されている)の最小自由エネルギー(MFE)二次構造。NNUUNNUUU要素は、右のパネルの中で小斑点としてマークされている。複合体のMFE立体配座の中で図示されるように、オープナーは、図1にスケッチされているモデルに従って―アクセス可能な(即ち、単鎖の)NNUUNNUUU要素を持つ立体配座に向かって平衡をシフトしている。重要なことに、オープナーの作用は、構造の集合がオープナーの予測に適切であるので、MFEの構造に必ずしも反映される必要は無い。3'UTR−オープナー複合体についてのMFE二次構造は、Cofold(ViennaのRNAパッケージで入手可能)を用いて計算される。
【0055】
図4:IL−2オープナーはIL−2 3'UTRへのインビトロのHuR親和性を増加する
組換えHuRのIL−2 3'UTRへの見かけの親和性をオープナーの存在下および不在下において1D−FIDA検出で測定する。全ての4個の試験されたIL−2特異的オープナーは、見かけの解離定数Kapp(Op有りで:Kapp=11.80±1.48nM;Op有りで:Kapp=18.91±1.91nM;Op有りで:Kapp=8.38±1.18nM;Op有りで:Kapp=19.52+/−2.20nM;オープナー無しで:Kapp=32.77±4.48nM;0.5nMでのIL−2 3'UTR;それぞれ、25、25、5および1nMでのオープナー)の減少により反映された、IL−2 3'UTRとのHuRの会合を強化する。負の対照オリゴヌクレオチドのIL−2 3'UTRへのハイブリダイゼーションは、HuRとの相互作用を影響を受けないままにする(N有りで:Kapp=32.91±6.34nM;N有りで:Kapp=32.77±3.72nM、25nM濃度でのNおよびN)(A)。オープナーのハイブリダイゼーションにより誘発される親和性の増加は、0.38nMのオープナー濃度で最大半減飽和を持つ飽和カーブを示している(Opハイブリダイゼーションの見かけの親和性=134(±54)pM)。開かれたIL−2 3'UTRへのHuR結合の見かけの親和性は、両方が1.56nMで、8.57±1.33nMのKappにおいて最大値に近づいている(全ての実験において0.5nMでのIL−2 3'UTR)(B)。Opの存在下においては、解離定数は、オープナーの濃度が増加するにつれて1.56nMのOp濃度において、Kapp=11.80±1.48nMの最小値に減少している(全ての実験において2.5nMでのIL−2 3'UTR)。Opについては、この最適値を超えて濃度を増加させることは、作用を逆戻りさせて、解離定数が再び増加する。
【0056】
図5:IL−2 mRNAオープナーは内因性のHuR−IL−2 mRNAの会合を増加する
オープナーもしくは負の対照オリゴヌクレオチドのOp、Op、NおよびOpとの処置無しでまたは後でヒトPBMCの溶菌液から、HuR mRNA複合体を共−免疫沈澱する。HuRが結合したIL−2 mRNAを実時間RT−PCRにより定量化する。IL−2 mRNAの量を、未処理の細胞の中のレベル(白色棒)に正規化する。オープナーを2.5μM(斜線の棒)にもしくは10μM(黒色棒)、負対照のNおよびOpに10μM濃度を加える。両方のオープナーは、HuR mRNA複合体化を6.5倍(Op)のもしくは3.1倍(Op)の更に高いレベルにまで増強する。
【0057】
図6:IL−2 mRNAオープナーはIL−2 mRNAの分解を阻害する
内因性のIL−2 mRNAの分解をヒトPBMCの溶菌液の中でモニターする。Mg2+の添加時に(t=0分)、(A)10μM、(B)25μMおよび(C)40μMの濃度でオープナーのOp、OpもしくはNの存在下においておよび不在下において、残存するIL−2 mRNAの量を定量的実時間RT−PCRにより経時的に定量化する。全てのデータは、少なくとも3個の独立した試料からの平均を表して、時点t=0分でのレベルに正規化されている。データは、単一の指数関数型減衰(実線:オープナーなし;破線:N)に当てはめられている。オープナーは何も無しで(白丸)、t1/2=8.34±0.96分(A)、t1/2=8.44±1.98分(B)、およびt1/2=8.84±2.19分(C)、ならびに10μMの負の対照Nの存在下において(×印)、(A)、t1/2=6.82±1.96分、の半減期で、IL−2 mRNAは急速に分解されている。オープナーのOp(黒丸)もしくはOp(黒三角)の添加は、濃度依存様式で((A)の中で10μM、(B)の中で25μMおよび(C)の中で40μMでのオープナー)一過性のIL−2 mRNAの安定化を促進している。40μMの濃度(C)で、Opは、70分のインキュベーション時間全体に亘って分解をブロックしている。Opは同様な安定化作用を、それはもう一つのHuRの結合部位を標的にするけれども、示している(黒三角、(B)および(C))。EF−1α、非ARE mRNA、は、70分の観察時間全体に亘って安定のままである(B)。
【0058】
図7:IL−2オープナーのオリゴヌクレオチドはIL−2 mRNAの安定化を特異的に促進する
オープナーが誘発するmRNAの安定化の特異性を、サイトカインのmRNA類(TNF−α(A)およびIL−1β(B))を含む他のAREの減衰へのそれらの作用をモニターすることにより試験する。TNF−αのおよびIL−1βのmRNAの分解は、それぞれ、t1/2=36.0±2.2分(白丸(A))およびt1/2=37.6±5.6分(白丸(B))の半減期を特徴としている。IL−2特異的オープナーのOp(黒丸)もしくはOp(黒三角、両方とも25μMで)のいずれかの存在下において、TNF−αまたはIL−1β mRNAの減衰のいずれも変化しない。
【0059】
図8:TNF−αのオープナーおよびクローザーのデザイン
37°におけるHuR結合部位のアクセス可能性pMO(即ち、アクセス可能なRNAのフラクション)が、mRNA(RefSec NM_000594)内で与えられたハイブリダイゼーション部位(開始位置、x軸)において逆相補性の20マーオリゴヌクレオチドへのTNF−α mRNAのハイブリダイゼーションの依存性を示している。TNF−α 3'UTRは、黒い線により図示され、AREは白い四角として指し示され、NNUUNNUUU HuR結合部位は、黒い小さな四角として示されている。アクセス可能性の著しい変化を持つハイブリダイゼーション部位は、HuR結合部位の主に近くにだがまた遠くにおいて、“ホットスポット”の中に集中している。注目すべきことには、また推定上の“クローザー”の位置が同定されて、NNUUNNUUUのアクセス可能性を著しく減少すると予測されている。興味あることには、これらの位置は、オープナーのホットスポット領域内に位置している。推定上のオープナー、クローザー及び負の対照オリゴの位置は、それぞれ、小さな四角としてまた示されている。実験的に試験されたOp、ClおよびNを含む同定されたTNF−αのオープナー/クローザー(Op、Op、Cl、Op、Op)の配列は、表1の中で指定されている。
【0060】
図9:TNF−αオープナーはTNF−α 3'UTRへのインビトロのHuR親和性を増加する
組換えHuRのTNF−α 3'UTRへの見かけの親和性をオープナー、クローザーもしくは負の対照オリゴヌクレオチドの存在下においておよび不在下において1D−FIDAアッセイで測定する。TNF−αのクローザーClは、見かけの解離定数Kappの増加により反映された、TNF−α 3'UTRとのHuRの会合を明らかに低減する。作用は、クローザーの濃度と相関している。作用は、最高のクローザーの濃度で2.5倍までのKdの増加(Cl有りで:Kapp=13.80±2.41nM、クローザー無しで:Kapp=5.63±0.87nM)をもって最高値に近づいている(A)。オープナーのOpは、TNF−α 3'UTRへのHuRの親和性を2倍まで増加して(B)、それは計算で予測された作用と良好な整合性にある(図8)。しかしながら、0.5nM以上のオープナーの濃度では、作用は、増加した解離定数に向かって再び逆戻りする。負の対照オリゴヌクレオチドNとのハイブリダイゼーションは、実験の全体の濃度範囲に亘ってHuR−TNF−α 3'UTRの親和性に影響を及ぼさない(C)。TNF−α 3'UTRの濃度は、全ての実験において1nMである。
【0061】
図10:TNF−αオープナーはTNF−α mRNAの安定化を特異的に促進する
TNF−αについてデザインされたオープナー(Op、図8および表1を参照)は、IL−1β mRNAのレベルに影響を及ぼすこと無しに(B)、TNF−α mRNAを特異的に安定化する(A)。(丸印:オープナーなし;星印:25μMでのオープナーOp)。
【0062】
図11:オープナーをベースにするインビトロアッセイのデザインI:立体配座スイッチ
ARE mRNAの立体配座に作用する化合物の同定のための例示的なアッセイ原理が図式化されている。オープナーにより誘発される立体配座の転位は、FRET対を構成している、適切に位置する蛍光体により例えば検出される。mRNA内に戦略的に置かれるとすると、それらの距離および、それ故に、FRETの効率は、開かれたもしくは閉鎖されたHuR結合部位(×によりマークされた)に特徴的になる。(A)にスケッチされているように、計算的にデザインされたオープナーにより誘発されるHuR結合部位の開口は、FRETの効率の減少により検出される。(B)低分子量の化合物は、異なる作用機序によりこの転位と干渉するであろう。mRNAに結合することにより、それらは、オープナーのハイブリダイゼーションと直接に競争するかもしくは閉鎖された立体配座の中でmRNAを局所に凍結するかのいずれかであり得る。オープナーの存在下において持続的なエネルギー転移を特徴とする、そのような化合物は、HuRがmRNAに結合することを防止して、それにより対応する標的遺伝子を下方調節するであろう。他方において、オープナーの作用は、開かれた立体配座を安定化する化合物により強化され得る。これらの化合物ならびにオープナーに誘発される立体配座のスイッチを模倣するそのような化合物は、それぞれ、オープナーの存在下もしくは不在下において低減されたエネルギー転移により同定される。HTSフォーマットへの適応のための主な問題点は、十分な量で部位特異的に二重に標識されたmRNAの作製であろう。それ故に、別の戦略が図12に概略されている。
【0063】
図12:オープナーをベースにするインビトロアッセイのデザインII:HuR結合
これに代えて、アッセイ戦略をmRNA上でおよびHuR上で二つの蛍光体の間のエネルギー転移を測定することによりHuR結合事象の検出へシフトし得る。mRNAのラベルは、(A)3'末端に共役的に付着させる(例えば、Qin P. Z. et al., Methods, 1999, 18 (1): 60-70の中に記載されているように)もしくは(B)オープナーのオリゴヌクレオチドを介して導入されるかのいずれかであり得る。この設定では、オープナーにより誘発される立体配座の転位を、引き続く工程である、HuR mRNA会合の測定により間接的に測定する。それ故に、HuR阻害剤は、mRNAの立体配座に作用する化合物と同一のシグナルを生成して、適切な対向スクリーニングにおいて選別される必要があるであろう。
【0064】
図13:mRNAのオープナーをベースにする細胞のアッセイのための戦略
ARE mRNAの立体配座スイッチへの細胞のアッセイデザインのための例示的な戦略が概略されている(A)。標的mRNAを、適切にデザインされた蛍光プローブ(例えばCy5)により特異的に視覚化する。プローブを計算的にデザインして、熱力学的mRNAの集合への最小の影響を保証して、オープナーが誘発する構造の転位と適合性にする。内因性のHuRを、蛍光性タンパク質(例えばCFP)への融合により標識する。閉鎖されたmRNAの立体配座では、二つの蛍光体(HuR、mRNA)は、空間的に孤立しているであろう。オープナーにより誘発される、HuRの結合時に、二つの蛍光性分子は、mRNA上に共局所化するであろうが、それは高分解共焦点映像法により例えば検出され得る(B)。これに代えて、mRNAに特異的な標識を、オープナーのオリゴヌクレオチドの上に直接に置く。この設定では、開かれたmRNA分子のみが検出されて、mRNAの構造集合は(さらに別の)プローブにより影響を及ぼされない。プローブがHuR結合部位(×によりマークされた)に十分近くにハイブリダイズするという条件で、エネルギーの転移(即ち、供与体の失活/受容体の感作)が、開かれた(即ちHuRが結合した)から閉鎖された立体配座を区別するための好ましい検出モードである。図11の図示に類似して、オープナーが誘発する作用を阻害するかもしくは強化する化合物を、開かれた対閉鎖されたmRNAの立体配座の区別に基づいて同定することができる。構成的に“開かれた”mRNAを用いる対向スクリーニングは、HuRの阻害剤を選別するために適切であり得る。
【0065】
表の説明文
表1:同定されたオープナー/クローザーのオリゴヌクレオチド
IL−2もしくはTNF−αについて同定された推定上のオープナーまたは負の対照オリゴリボヌクレオチドの配列が指定されている。実験的確認のために選択されているオープナー/クローザー、ならびに負の対照オリゴが下線で示されている。配列は、標的mRNAの中で指定された領域に逆相補性であって、5'から3'への方向で示されている。
【0066】
表2:RT PCRに用いられるプライマー
IL−2、TNF−αおよびIL−1βの標的mRNAのRT PCRの定量化にならびに内部対照のmRNAとしてのEF−1−αに用いられるプライマーの配列が、5'から3'への方向で指定されている。
【0067】
以下の実施例では、全ての温度は摂氏温度(°)で示されて、未補正である。
以下の略語が使用されている:
ACN アセトニトリル
BSA ウシ血清アルブミン
dsDNA 二重鎖DNA
EDTA N,N,N',N'−エチレンジアミン四酢酸
EF−1α 伸長因子−1α
FCS ウシ胎仔血清
FIDA 蛍光強度分布分析
(1D−FIDA=一次元のもしくは2D−FIDA=2次元のFIDA)
FCS 蛍光相関分光法
hPBMC ヒト末梢血単核細胞
IPTG イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド
LC/EI−MS 液体クロマトグラフィー/電気スプレーイオン化−質量分光法
OD 光学濃度
ORN オリゴリボヌクレオチド
PBS リン酸塩緩衝食塩水
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PMA ホルボール−12−ミリステート−13−アセテ−ト
RRM RNA認識モチーフ
rt 室温
RP−HPLC 逆相高速液体クロマトマトグラフィー
RT−PCR 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
SDS−PAGE ドデシル硫酸ナトリウム ポリアクリルアミドゲル電気泳動
ss 単鎖
TEAAc 酢酸トリエチルアンモニウム
TMR カルボキシテトラメチルローダミン
UTR 未翻訳領域。
【0068】
(実施例)
実施例A―実験プロトコル
a)蛍光的に標識したRNAの作製。公表された手順[例えば、Chaix C. et al., Nucleic Acids Symp. Ser. 1989, (21): 45-6; Scaringe S. A. et al., Nucleic Acids Res. 1990, 18 (18): 5433-41、を参照]および製造業者のプロトコルを採用して、5'−O−ジメトキシトリチル−2'−O−トリイソプロピルオキシメチルで保護されたβ'−シアノエチル−(N,N−ジイソプロピル−)ヌクレオチド ホスホラミダイト(Glen Research)を用いる394A合成機(Applied Biosystems)の上で、5'−アミノ−C6で修飾されたRNAを合成する。ORNを支持体から開裂し、塩基で、ホスフェートでおよび2'で脱保護して、標準的プロトコルに従って変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製する。参考文献(Gray D. M. et al., Methods in Enzymology 1995, 246: 19-34)にしたがって測定するように、260nmにおける正確な分子吸光係数を用いて、ブーゲ−ランベルト−ベーアの法則にしたがって260nmにおけるUV吸収から、RNAの濃度を計算する。解析RP−HPLC分析(VYDAC C18カラム、5μm、300Å、4.6mm×250mm、45分で0〜50%CHCNの勾配溶出でもってTEAAc(0.1M、pH7.0)の中で、260nmにおけるUV検出)にしたがって、全てのORN類は>99%純粋である。第一級アミンのサクシニミジルエステルで活性化した蛍光体との標準的反応で、TMR(Molecular Probes)を5'アミノリンカーに付着して、安定なカルボキサミドを形成する。未反応の染料を、ヒドロキシルアミン塩酸塩の添加により加水分解する。標識RNAをゲルろ過により遊離の染料から分離し、RP−HPLCにより未標識RNAから精製して、上で説明されるように、UV吸収分光法によるが、260nmにおける染料の吸収を補正して、濃度を測定する。
【0069】
T7 RNAポリメラーゼ(T7 MEGASCRIPTインビトロ転写キット、Ambion)を持つdsDNAテンプレートからの流出転写により、3'UTR類を作製する。IL−2およびTNF−α(IL−2:nt 707−1035、TNF−α:nt 872−1568、それぞれ、GenBank受け入れ番号NM_000589およびNM_000594)の3'UTR類を包含しているプライマーを用いて、PCR増幅の間に転写テンプレートの中に、T7プロモーターを組み込む。本質的に参考文献(Qin P. Z. et al., Methods 1999, 18 (1): 60-70)に記載されているように、転写物をNa(m−)IOで3'末端で酸化して、ヒドラジドで活性化されたCy3(AP Biotech)に結合する。生成物を合成ORN類について説明したように、RP−HPLCにより引き続いて精製し、脱塩して、ゲルろ過により水溶液の中に移す。260nmにおける染料の吸収を補正するUV/VIS吸収分光法によるCy3のおよびRNAの濃度の測定により、1:1の標識付け化学量論を制御する。
【0070】
組換えヒトHuRの作製。全長HuR(アミノ酸1〜326、RefSeq受け入れ:NP_001410)のためのコード化配列を、活性化ヒトリンパ球から作製されるcDNAから増幅する。ベクターpTXB1(IMPACT[登録商標]−CNシステム、New England Biolabs)のNdelおよびSapl部位の中に、生成物を指向性にクローン化して、さらに別のアミノ酸の挿入無しでインテイン−キチン結合ドメインタグとのC末端融合を許容する。IPTG(1mM、28°で6時間)との誘導時に大腸菌のER2566(New England Biolabs)の中で融合タンパク質を発現する。Tris/Clの緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、20mM、pH8.0)、NaCl(800mM)、EDTA(1mM)およびPluronic F−127(0.2%w/v、Molecular Probes)の中の連続的凍結/解凍により、細菌の細胞を溶菌する。DNA消化の後で、溶菌液を超遠心分離により透明にして、融合タンパク質をキチンアガロースビーズ(New England Biolabs)の上に捕獲する。溶菌緩衝液での大量の洗浄の後で、12時間4°で2−メルカプトエタンスルホン酸でのインテインタグのチオールで誘発するカラム上の自己スプライシング[例えば、Cantor E. J. et al., Protein Expr. Purif. 2001, 22 (1): 135-40、を参照]により、組換えタンパク質を回収する。いかなる共溶出されたインテインタグおよび未開裂の融合タンパク質を、第二の減法親和性工程で溶出液から除去する。タンパク質を、ゲルろ過(DG−10カラム、Bio−Rad)により保存緩衝液(NaHPO/NaHPO(25mM)pH7.2、NaCl(800mM)、Pluronic F−127(0.2%w/v))の中に移し、液体窒素の中で小アリコートにショック凍結をして、−80°で保存する。これらの条件下では、全長HuRは、更に高度の凝集状態の存在無しで可溶性であって(分析用サイズ排除クロマトマトグラフィー)、RRMドメインについての特徴的なCDスペクトル(Manival X. et al., Nucleic Acids Res. 2001, 29 (11): 2223-30)を示している。タンパク質は、LC/EI−MSの、RP−HPLCのおよびSDS−PAGEの分析にしたがって>99%純粋である。N末端シークエンシングは、定量的にMetが欠落している正確なN末端を明らかにしている。濃度の正確な測定のために、精製されたHuRを凍結乾燥し、塩酸グアニジニウム(6M)中に溶解して、濃度を参考文献(Gill S. C. et al., Anal. Biochem. 1989, 182 (2): 319-26を参照)にしたがってUV分光法により測定する。この溶液を、RP−HPLCの定量化によるHuR濃度の測定のための外部標準として使用する。
【0071】
2D−FIDA−異方性HuR−RNA結合アッセイ。蛍光的に標識されたRNAを、アッセイ緩衝液(PBS、Pluronic F−127(0.1%w/v)、MgCl(5mM))の中で2分間80°で変性し、室温に冷却することにより(−1.13℃/秒)再折りたたみ、0.5nMに希釈すると、それは、記述された設定(Ecotec BA, 2001, 2D-FIDA Quick Guide, Hamburg)において共焦点容積の中で<1の蛍光粒子の平均を保証する。それぞれの試料の中の正確な濃度を、点広がり関数(EVOTEC BioSystems, 2001)に対する調整パラメーターにより与えられるように、平行のFCS評価から誘導される粒子数および共焦点容積のサイズに基づいて測定する。蛍光的に標識されたRNAを、増加する濃度の組換えHuRに対して滴定する(少なくとも11個の滴定点)。それぞれの測定に先立って、少なくとも15分間室温で、HuR−RNAの試料をインキュベートする。
【0072】
2D−FIDAでの蛍光異方性の測定により真の平衡条件下に、HuR−RNAの複合体形成をモニターする。EvotecOAI PickoScreen機器の上で96穴のガラス底マイクロタイタープレート(Whatman)の中で環境温度(23.5°で一定)で、測定を実施する。Olympusの倒立顕微鏡IX70をベースにする機器は、二つの蛍光検出器、蛍光発光経路の中で偏光ビームスプリッターおよび励起経路の中でさらに別の直線偏光フィルターを備えている。HeNEレーザー(λ=543nm、レーザー出力=495μW)を蛍光励起に使用する。励起レーザー光を、OD=5を持つ干渉バリヤーフィルターにより光学検出経路からブロックする。アッセイ緩衝液中のTMRの0.5nM溶液を、共焦点ピンホール(70μm)の調整のためにおよび機器のG因子の測定(Lakowitcz J. R. 「蛍光分光法の原理、第2版」(Principles of Fluorescence Spectroscopy, 2 ed.)、New York, 1999, Plenum Pubisihers)のために使用する。10回のFIDA測定を、それぞれの穴について10秒の測定時間および40μ秒の滞留時間で実施する。分子輝度qを、FIDAアリゴリズム(Kask P. et al., Biophys.J. 2002, 78 (4): 1703-13)を用いて、それぞれの偏光チャネルについての2D−FIDAの粗データから抽出する。適切なパラメーター:緩衝液の別々の測定で測定されるように、両方のチャネルの中でのバックグランド強度(普通は約0.5kHz)、TMRでの調整測定で測定されるように、共焦点容積パラメーターA0およびA1(普通はA0約−0.4およびA1約0.08)、単一の成分適合。異方性γを、平行のおよび垂直の偏光についての分子輝度から方程式[V](Lakowicz, 1999、上を参照)により計算して、10回の連続の測定から平均する。
【数9】

式中、qII、qは:平行のおよび垂直の偏光チャネルの中の分子輝度で、Gは機器のG因子を意味する。
【0073】
質量作用の法則(Daly T. J. et al., J. Mol. Biol. 1995, 253 (2): 243-58)から誘導される1:1複合体形成の程度に依存して平均定常状態異方性シグナルγを記載している結合方程式の正確な代数解に基づいて、異方性データを適合して、平衡解離定数Kapp(非線形最小二乗回帰、GraFit 5.0.3, Erithacus software, London)を抽出する:
【数10】

式中、[RNA]:RNAの全濃度、[HuR]:HuRの全濃度、γmin:遊離RNAの異方性、γmax:RNA−HuR複合体の異方性、γ:与えられるHuRのおよびRNAの濃度での定常状態平衡についての平均異方性;Q:クエンチング,2D−FIDA異方性測定について、qtot=qII+2q;qIIにおいてQ=qtot(max)/qtot(min)。全ての提示されたデータは、少なくとも三回の独立した実験からの平均である。
【0074】
1D−FIDA HuR mRNA結合アッセイ。標識されたmRNAもしくは3'UTRを、アッセイ緩衝液(PBS、Pluronic F−127(0.1%w/v)、MgCl(5mM))の中で2分間80°で熱的に変性して、室温に冷却することにより(−1.13℃/秒)再折りたたみする。オープナー、クローザーもしくは負の対照のORN類(MWG Biotech、配列は表1を参照)を、0.5および100nMの間の最終濃度に加える。Cy3で標識されたmRNAの最終濃度は0.5nMであって、正確な粒子数を、2D−FIDA異方性測定について説明されているように、測定する。
【0075】
標識されたmRNAを、オープナーもしくは負の対照のORN類の存在下および不在下において増加する濃度のHuRに対して滴定する。RNAへのHuR結合により誘発されるCy3の分子輝度の変化の測定によるID−FIDAで、HuR−mRNAの複合体形成をモニターする。HeNeレーザー(λ=543nm、レーザー出力=495μW)を蛍光励起に使用して、光学的な設定は、光学的経路の中で、一つの検出チャネルのみを使用して、偏光ビームスプリッターを何も使用しない、2D−FIDA異方性測定についての設定と類似している。FIDAアリゴリズムを用いて、1D−FIDAの粗データから、分子輝度qを抽出して、20回の連続の測定(それぞれ10秒)から平均する。蛍光強度測定に適応される、方程式[VI]に類似の方程式に基づいて、分子輝度データを適合する。
【数11】

min:遊離RNAの分子輝度、qmax:RNA HuR複合体の分子輝度、q:与えられるHuRのおよびRNAの濃度での定常状態平衡についての平均分子輝度。全ての提示されたデータは、少なくとも三回の独立した実験からの平均である。
【0076】
細胞の作製および刺激。hpBMCをFicoll-Hypaque遠心分離によりヘパリン化血液から単離し、BSA(15%w/v)を含有しているPBSで洗浄し、熱不活性化FCS(10%v/v)、L−グルタミン(2mM)、ストレプトマイシン(100μg/ml)およびペニシリン(100μg/ml)で補足されたRPMl 1640(Gibco/BRL)の中に2×10/mlで再懸濁して、37°のCOインキュベーターの中でインキュベートする。hpBMCを、PMA(25ng/ml、Sigma-Aldrich)および抗CD3 mAb(1μg/ml、Pharmingen)で4時間刺激する。
【0077】
HuR−mRNA複合体の共−免疫沈澱。それぞれの免疫沈澱について、5×10の非刺激細胞をPBS/BSAで洗浄して、低張緩衝液(100μl、Tris/Cl(10mM)pH7.5、NaCl(10mM)、EDTA(10mM)、プロテアーゼ阻害剤(完全ミニEDTA無しのプロテアーゼ阻害剤カクテル、Roche;溶菌緩衝液50ml当り3錠))の中で4℃で溶菌し、そしてNonidet-P-40(0.5%v/v)、RNAsin(0.4u/ml、Promega)およびSuperasin(0.2u/ml、Ambion)を加えて、非特異的なRNAの分解を阻害する。溶菌液を、15,000×gおよび4℃で4分間ペレット核に遠心分離する。透明にされた溶菌液を、オープナーもしくは負の対照のORN類(2.5もしくは10μM)の存在下および不在下において抗HuR mAb(5μg/ml、19F12、Molecular Probes)と共に4°で5分間インキュベートする。ビオチン化抗(マウス)IgG mAb(10μg/ml、Amersham Pharmacia)の添加後に、免疫複合体をストレプタビジンセファロースビーズ(Amersham Pharmacia)の上で捕獲する。ビーズを溶菌緩衝液で十分に洗浄する。HuRおよび複合体化mRNAを、酸性条件下(グリシン/HCl(50mM、pH2.5)、NaCl(50mM)、95℃に予熱)に溶離する。溶出液を、HOで予め平衡されたBioSpinゲルろ過カラム(BioRad)を通して遠心分離により通過する。共−沈殿RNAを実時間RT−PCRにより定量化する。
【0078】
mRNA崩壊。10、25もしくは40μMでオープナー、クローザーもしくは負の対照のORN類の存在下および不在下において、上で説明されるように、溶菌緩衝液(250μl)の中で、5×10の刺激hPBMCを溶菌する。MgCl(5mMの遊離Mg2+の正味濃度)の添加により透明にされた溶菌液の中で、mRNAの分解を開始する。分解反応を室温で進行して、2から70分のインキュベーションの間の種々の時点の後で(それぞれの時点についてアリコート50μl)、EDTAおよびイソチアン酸グアニジニウムを含有する緩衝液(Qiagen)の添加により、停止する。残存DNAの除去のためのデオキシリボヌクレアーゼ1の処理と共に、製造業者のプロトコルにしたがって、RNeasy Miniprep RNA単離キット(Qiagen)を用いて、RNAを単離する。
【0079】
定量的実時間RT PCR。標準的プロトコルに従い、TaqManのRT PCR試薬(Applied Biosystems)およびプライミングのためのランダムへキサマーを用いて、RNAをcDNAに逆転写する。ゲノムDNA汚染のための対照反応を、逆転写酵素の添加無しで実施する。AB17700機器(Applied Biosystems)上のSYBR Green検出でもって、定量的RT PCRを実施する。EF−1αを内因性の対照として使用する。RT PCRに使用されるプライマーは、表2の中で指定されている。ΔΔCt方法を、検量線作成のためにインビトロで転写したIL−2 mRNA用いて、mRNAレベルの相対的定量化に(例えばApplied Biosystems 2000の中で、記載されているように)使用する。全ての提示されたデータは、少なくとも5回の同一の独立した試料からの平均であって、独立した供与体からの細胞を用いる少なくとも二回の独立した実験を代表する。
【0080】
実施例B:計算のプロトコル
限定分配関数を用いてRNAのアクセス可能性pを計算すること。我々は、二次構造の制約条件を持つ配列パターン、例えば完全に単鎖の立体配座でのNNUUNNUUU、により規定される二次構造要素のためのpの計算をここで説明する。方程式[III]の中でpについて述べているように、pを直接に計算することができる。数値の誤差を避けるために、p(a)を分配関数のフラクションとして計算しないが、集合自由エネルギー、
【数12】

(式中、WはRNA配列の集合自由エネルギーであって、Wは、aの中の全ての部位が特定の二次構造要素を形成する、構造に限定される熱力学的二次構造の集合自由エネルギーである)、の差としては計算する。標準的なRNA二次構造の予測ソフトウエアー(Zuker M. Curr. Opin. Struct. Biol. 2000, 10 (3): 303-10)を用いて、集合自由エネルギーを計算し得る。Mathews D.H. et al., J. Mol. Biol. 1999, 288 (5): 911-40の中で記載されている自由エネルギーパラメーターに基づく、ViennaのRNAパッケージ(Hofacker I. L. et al. Monatshefte Chemie 1994, 25: 167-88)と共に配布されているRNAライブラリーを、我々は使用してきている。
【0081】
二次構造の試料を用いてRNAのアクセス可能性pを計算すること。これに代えて、熱力学的平衡分布を持つ、サイズnの(次善の)RNA二次構造のセットの中でアクセス可能な構造の発生nを数えることにより、pを概算することができる。RNA二次構造のそのようなセットを、RNAsubopt、ViennaのRNAパッケージ(Hofacker I. L. 1994、上を参照)と共に配布されているプログラム、の中に組み込まれている、確率的後戻り法(Tacker M. et al., Eur. Biophys. J. 1996, 25: 115-30; Ding Y. et al. Nucelic Acids Res. 2003, 31 (24): 7280-301)を用いて作製することができる。次いで、アクセス可能性をp≒n/nとして概算する。概算のn/nを、nが増加すると真のpに収束する。
【0082】
分配関数を用いてオリゴヌクレオチド−RNAのハイブリッドについてのアクセス可能性pMOを計算すること。RNA−RNAハイブリダイゼーションの熱力学は良く理解されている(Dimitrov R. A. et al. Biophys. J. 2004, 87 (1): 215-26)。しかしながら、ハイブリッドの全ての可能な構造を考慮して、アクセス可能性へのハイブリダイゼーションの影響を直接研究するのに適しているRNA二次構造の予測の履行は現在何も無い。それ故に、我々は、RNA−オリゴヌクレオチド二重らせんの全ての二次構造を、オリゴヌクレオチドの標的部位は内部塩基対を形成できない、即ち、ハイブリダイゼーションに関与するRNAヌクレオチドは単鎖であると限定される、RNAのそれらの二次構造により概算することができることを仮定する。その結果として、方程式[III]を用いてpのように、しかしハイブリダイゼーションによる単鎖ヌクレオチドのためのさらに別の制約条件tをもって、pMOを計算することができる:
【数13】

式中、
【数14】

は、両方の制約条件が同時に満たされる必要があることを意味する。再び、計算を集合自由エネルギーを用いて実施して、pの計算について詳述されているように、数値の誤差を最少にする。
【0083】
二次構造の試料を用いてRNAのアクセス可能性pMOを計算すること。pの計算に類似して、二次構造の試料を用いてpMOを概算することができる。ハイブリダイゼーションの作用を、RNAの中のハイブリダイズされたヌクレオチドを内部塩基の対形成から抑止することに限定することが再び仮定されている。ハイブリダイゼーションの領域で単鎖として限定されるRNA二次構造のセットの中で、アクセス可能な構造の発生n(t)を数える。分離関数アプローチに使用される表示に類似して、アクセス可能性をpMO≒n(t)/n(t)(式中、n(t)は限定されたセットの中の二次構造の総数である)として概算する。
【0084】
実施例1:HuRのIL−2 mRNAへの会合およびそれによりIL−2 mRNAの安定性を操作すること
オープナー、クローザーおよび負の対照のORN類をIL−2およびTNF−α mRNAから構築され、インビトロでおよびヒトの一次細胞溶菌液の中で実験的にバリデートする。IL−2のためにオープナーおよび負の対照のORN類のデザインについて計算されたアクセス可能なRNA構造のフラクションへの20マーORN類のハイブリダイゼーションの作用を示しているプロットが図2に示されている。注目すべきことには、著しいアクセス可能性の増加が、HuR結合部位の外側であるが近くに主として位置している、mRNA内で“ホットスポット”の限定数に限定されている。大抵の他の位置では、ハイブリダイゼーションは、局部的なARE立体配座を大抵は影響を及ぼされないままにする。これらのホットスポットから、4個の顕在的なオープナーORNならびに2個の負の対照のORN類が、実験的特性化のために選択されている(表1)。最初の工程では、我々はssORN類を使用する。
【0085】
オープナーの作用をインビトロで始にバリデートする。1D−FIDAアッセイで測定されるように、HuRを、オープナーのいずれかの存在下において著しく更に高い親和性を持つIL−2 3'UTR(281nt)に結合する(図4A)。オープナーにより誘発された親和性の増加は、オープナーの濃度と相関している(図4BおよびC)。これに加えて、Opについては、作用は、ある特定の閾値(2.5nMのIL−2 3'UTRで1.6nM)を超える濃度で逆戻りして、HuR IL−2 3'UTRの親和性は、再び低減されている(図4C)。一つの可能な説明は、ある特定の濃度の上では、この特異的な配列がIL−2 3'UTR内で二次部位にまたハイブリダイズして、それにより逆の立体配座転位を誘発することであろう。アクセス可能性p(ssNNUUNNUUU)に影響を及ぼさない二つのIL−2 3'UTRに特異的な20マーで、負の対照を実施する。図4に立証されているように、両方のORN類は、HuR−IL−2 3'UTRの会合に影響しない。
【0086】
オープナーのORN類が更に複雑な細胞の環境においてまた機能することを立証するために、我々は、細胞のシステムにおいて内因性のHuR−IL−2 mRNAの会合を定量化する。hpBMCの細胞質溶菌液をオープナーのORN類で処理する。この実験的アプローチは、オープナーの転写作用を除外することを許容する。規定のオープナー濃度が達成されて、オープナーのトランスフェクションにより誘発された細胞のストレス応答が実験から除外される。IL−2 3mRNA−HuR複合体を、オープナーの存在下もしくは不在下において共−免疫沈澱して、HuRが結合したIL−2 mRNAを実時間RT−PCRにより定量化する。非特異的な免疫沈澱を、対照抗体(ヤギIgG、データは示されていない)を用いて除外する。両方のオープナーは、HuR−IL−2 mRNAの会合のレベルを6.5倍まで濃度依存様式で増加する(図5)。HuRが結合したIL−2 mRNAの増加は、同一の条件での負の対照のORN NでもしくTNF−α特異的オープナーOpでは何も観察されていない。オープナーがmRNAのレベルを調整する潜在性をバリデートするために、我々は、HuRの複合体形成の誘発された増加が、迅速なARE依存性のmRNAの分解にまた拮抗するだろうかどうかを試験する。いずれかのオープナーのOp、OpならびにNの存在下および不在下においてhpBMCの溶菌液の中で−我々がMg2+依存性であると観察した−IL−2 mRNAの崩壊を我々はモニターする。Mg2+の添加時に、残存するIL−2 mRNAの量を実時間RT−PCRにより経時的に定量化する。如何なるオープナーの不在下において、内因性のIL−2 mRNAは迅速に分解される(t1/2=8.34±0.96分)が、一方で非ARE遺伝子(EF−1α)のmRNAは、70分の観測時間全体を通して安定である(図6)。観測された半減期は、以前に説明された値(例えば、Raghavan et al., Nucleic Acids Res. 2002, 30 (24): 5529-38;ヒト一次T細胞においてt1/2(IL−2 mRNA)=17±10分)に匹敵していて、そのような分解システムがインビボの状況の有効な近似であることを指し示している。オープナーのOp(c=10μM)の存在下において、この分解は、15分の期間に亘り完全に阻止されている(図6A)。その時間には、未処理のIL−2 mRNAは、79.9%だけ既に分解されている。延長されたインキュベーションにおいてまた、崩壊が著しく減速されている。40μMの濃度においては(図6C)、Opは、70分の全インキュベーション時間に亘り分解をブロックしている。もう一つのHuRの結合部位を標的にする、Opは、同様な安定化作用を示している(図6、25μMの濃度(B)および40μMの濃度(C)におけるOpならびにOp)。IL−2 mRNAの分解速度は、負の対照のORNのNとのハイブリダイゼーションにより影響を及ぼされないままに残っている(10μMでのN;t1/2=6.82±1.96分)。オープナーが誘発するIL−2 mRNAの安定化が実に特異的な作用であることを保証するために、我々は、我々のIL−2に特異的なオープナーの存在下もしくは不在下において、HuRの標的を含有している他のAREのmRNAの安定性をモニターする。TNF−αのもしくはIL−2いずれのmRNAの崩壊も、IL−2に特異的なオープナーにより影響されていない(図7AおよびB)。
【0087】
実施例2:HuRのTNF−α mRNAへの会合およびそれによりTNF−α mRNAの安定性を操作すること
TNF−αのためにオープナーおよび負の対照のORN類のデザインについて計算されたアクセス可能なRNAの構造のフラクションへの20マーORN類のハイブリダイゼーションの作用を示しているプロットが、図8に示されている。再び、著しいアクセス可能性の変化は、HuR結合部位の近くにだがまた遠くに位置する、mRNAの中の“ホットスポット”の中に集中している。これらのホットスポットから、一つの潜在的なオープナーのORNならびに推定上のクローザーおよび負の対照のORNが実験的特性化のために選択されている(表1)。最初の工程では、我々はssORN類を使用する。オープナーの作用をインビトロで確認する。1D−FIDAアッセイで測定されるように、クローザーのClは、TNF−α 3'UTR(697nt)へのHuRの親和性を著しく減少した。作用は、クローザーの濃度と相関していて、最高のクローザーの濃度(5nM)において、2.5倍までの親和性の減少をもって、最大の作用に近づいている(図9A)。反対に、親和性は、2倍までオープナーのOpにより増加されている(0.25nMでのOpについて、図9B)。両方の作用は、予測のアクセス可能性変化と定量的に一致している(図8)。Opの更に高い濃度においては、しかしながら、作用は逆戻りして、HuR−TNF−α 3'UTRの親和性は、再び低減されている。一つの可能な説明は、ある特定の濃度の上では、この特異的な配列がTNF−α 3'UTR内で二次部位にまたハイブリダイズして、それにより逆の立体配座転位を誘発することであろう。重要なことには、負の対照オリゴのNとのハイブリダイゼーションは、HuR−TNF−α 3'UTRの親和性を変化していない(図9C)。
【0088】
最後に、我々は、HuRの複合体形成で誘発された増加が迅速なARE依存性のmRNAの分解にまた拮抗するだろうかどうかを試験する。Opの存在下および不在下においてhpBMCの溶菌液の中でTNF−α mRNAの崩壊を、我々はモニターする。Mg2+の添加時に、残存するTNF−α mRNAの量を実時間RT−PCRにより経時的に定量化する。対照として、我々は、もう一つのAREが制御するサイトカインのmRNAとしてのIL−1βの崩壊へのOpの作用を測定する。Opの不在下において、内因性のTNF−α mRNAは迅速に分解される(t1/2=36.0±2.0分、図10)。観測された半減期は、以前に説明された値(例えば、Raghavan A. et al., Nucleic Acids Res. 2002, 30 (24): 5529-38、ヒト一次T細胞においてt1/2(TNF−α mRNA)=25±11分)に匹敵していて、そのような分解システムがインビボの状況の有効な近似であることを指し示している。25μMでのOpの存在下において、この分解は、40分のインキュベーション時間に亘り阻止されている。その時間には、未処理のTNF−α mRNAの分解は、53.1%に既に進行している。延長されたインキュベーションにおいてまた、崩壊が著しく減速されている。重要なことには、HuRの標的を含有するもう一つのAREとしてのIL−1β mRNAのmRNAの崩壊はOpにより影響されないで、これは、オープナーが誘発するTNF−α mRNAの安定化が実に特異的な作用であることを立証している。
【0089】
表1
【表1】

【0090】
表2
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】オープナーの作用の図式的説明図;オープナーの作用無しでは、HuRの結合は、結合部位(1でマーク)のアクセス不可能性により減退されている。標的mRNA(mRNAα)へのオープナー(2でマーク)のハイブリダイゼーション時には、αmRNA内で局所二次構造の特異的モジュレーションが、アクセス可能な立体配座にあるHuRの結合部位の提示に至って、他のいずれのHuR標的mRNA(例えば、mRNAβ)に影響を及ぼすこと無しにmRNAαの安定化をもたらしている。
【0092】
【図2】IL−2オープナーオリゴヌクレオチドのデザイン;37°におけるHuR結合部位のアクセス可能性pMO(即ち、アクセス可能なRNAのフラクション)が、3'UTR内で与えられたハイブリダイゼーション部位(開始位置、x軸)において逆相補性の20マーオリゴヌクレオチドへのIL−2 3'UTRのハイブリダイゼーションの依存性を示している。IL−2 AREは白い四角として指し示され、NNUUNNUUUのHuR結合部位はオープナー開始位置の約50および約150において連続した黒線でブロックとして示されている。アクセス可能性の著しい増加は、HuR結合部位の近くにおいて孤立の“ホットスポット”に限定されている。実験的に試験されたオープナー分子のOp、Op、OpおよびOpの位置が指し示されて、負の対照(N、N)がまたマークされている(表1で特定される配列)。オープナーのOpおよびOpは、ARE内でHuR結合部位を主として標的にし、OpおよびOpは、第二のNNUUNNUUUモチーフに指向されている。
【0093】
【図3】IL−2 3'UTRへのオープナーのハイブリダイゼーションの説明図;IL−2 3'UTR(左のパネル)のおよびオープナーのOpにハイブリダイズされたIL−2 3'UTR(右のパネル、Opは黒い実線として表されている)の最小自由エネルギー(MFE)二次構造。NNUUNNUUU要素は、右のパネルの中で小斑点としてマークされている。複合体のMFE立体配座の中で図示されるように、オープナーは、図1にスケッチされているモデルに従って―アクセス可能な(即ち、単鎖の)NNUUNNUUU要素を持つ立体配座に向かって平衡をシフトしている。重要なことに、オープナーの作用は、構造の集合がオープナーの予測に適切であるので、MFEの構造に必ずしも反映される必要は無い。3'UTR−オープナー複合体についてのMFE二次構造は、Cofold(ViennaのRNAパッケージで入手可能)を用いて計算される。
【0094】
【図4】IL−2オープナーはIL−2 3'UTRへのインビトロのHuR親和性を増加する;組換えHuRのIL−2 3'UTRへの見かけの親和性をオープナーの存在下および不在下において1D−FIDA検出で測定する。全ての4個の試験されたIL−2特異的オープナーは、見かけの解離定数Kapp(Op有りで:Kapp=11.80±1.48nM;Op有りで:Kapp=18.91±1.91nM;Op有りで:Kapp=8.38±1.18nM;Op有りで:Kapp=19.52+/−2.20nM;オープナー無しで:Kapp=32.77±4.48nM;0.5nMでのIL−2 3'UTR;それぞれ、25、25、5および1nMでのオープナー)の減少により反映された、IL−2 3'UTRとのHuRの会合を強化する。負の対照オリゴヌクレオチドのIL−2 3'UTRへのハイブリダイゼーションは、HuRとの相互作用を影響を受けないままにする(N有りで:Kapp=32.91±6.34nM;N有りで:Kapp=32.77±3.72nM、25nM濃度でのNおよびN)(A)。オープナーのハイブリダイゼーションにより誘発される親和性の増加は、0.38nMのオープナー濃度で最大半減飽和を持つ飽和カーブを示している(Opハイブリダイゼーションの見かけの親和性=134(±54)pM)。開かれたIL−2 3'UTRへのHuR結合の見かけの親和性は、両方が1.56nMで、8.57±1.33nMのKappにおいて最大値に近づいている(全ての実験において0.5nMでのIL−2 3'UTR)(B)。Opの存在下においては、解離定数は、オープナーの濃度が増加するにつれて1.56nMのOp濃度において、Kapp=11.80±1.48nMの最小値に減少している(全ての実験において2.5nMでのIL−2 3'UTR)。Opについては、この最適値を超えて濃度を増加させることは、作用を逆戻りさせて、解離定数が再び増加する。
【0095】
【図5】IL−2 mRNAオープナーは内因性のHuR−IL−2 mRNAの会合を増加する;オープナーもしくは負の対照オリゴヌクレオチドのOp、Op、NおよびOpとの処置無しでまたは後でヒトPBMCの溶菌液から、HuR mRNA複合体を共−免疫沈澱する。HuRが結合したIL−2 mRNAを実時間RT−PCRにより定量化する。IL−2 mRNAの量を、未処理の細胞の中のレベル(白色棒)に正規化する。オープナーを2.5μM(斜線の棒)にもしくは10μM(黒色棒)、負対照のNおよびOpに10μM濃度を加える。両方のオープナーは、HuR mRNA複合体化を6.5倍(Op)のもしくは3.1倍(Op)の更に高いレベルにまで増強する。
【0096】
【図6】IL−2 mRNAオープナーはIL−2 mRNAの分解を阻害する;内因性のIL−2 mRNAの分解をヒトPBMCの溶菌液の中でモニターする。Mg2+の添加時に(t=0分)、(A)10μM、(B)25μMおよび(C)40μMの濃度でオープナーのOp、OpもしくはNの存在下においておよび不在下において、残存するIL−2 mRNAの量を定量的実時間RT−PCRにより経時的に定量化する。全てのデータは、少なくとも3個の独立した試料からの平均を表して、時点t=0分でのレベルに正規化されている。データは、単一の指数関数型減衰(実線:オープナーなし;破線:N)に当てはめられている。オープナーは何も無しで(白丸)、t1/2=8.34±0.96分(A)、t1/2=8.44±1.98分(B)、およびt1/2=8.84±2.19分(C)、ならびに10μMの負の対照Nの存在下において(×印)、(A)、t1/2=6.82±1.96分、の半減期で、IL−2 mRNAは急速に分解されている。オープナーのOp(黒丸)もしくはOp(黒三角)の添加は、濃度依存様式で((A)の中で10μM、(B)の中で25μMおよび(C)の中で40μMでのオープナー)一過性のIL−2 mRNAの安定化を促進している。40μMの濃度(C)で、Opは、70分のインキュベーション時間全体に亘って分解をブロックしている。Opは同様な安定化作用を、それはもう一つのHuRの結合部位を標的にするけれども、示している(黒三角、(B)および(C))。EF−1α、非ARE mRNA、は、70分の観察時間全体に亘って安定のままである(B)。
【0097】
【図7】IL−2オープナーのオリゴヌクレオチドはIL−2 mRNAの安定化を特異的に促進する;オープナーが誘発するmRNAの安定化の特異性を、サイトカインのmRNA類(TNF−α(A)およびIL−1β(B))を含む他のAREの減衰へのそれらの作用をモニターすることにより試験する。TNF−αのおよびIL−1βのmRNAの分解は、それぞれ、t1/2=36.0±2.2分(白丸(A))およびt1/2=37.6±5.6分(白丸(B))の半減期を特徴としている。IL−2特異的オープナーのOp(黒丸)もしくはOp(黒三角、両方とも25μMで)のいずれかの存在下において、TNF−αまたはIL−1β mRNAの減衰のいずれも変化しない。
【0098】
【図8】TNF−αのオープナーおよびクローザーのデザイン;37°におけるHuR結合部位のアクセス可能性pMO(即ち、アクセス可能なRNAのフラクション)が、mRNA(RefSec NM_000594)内で与えられたハイブリダイゼーション部位(開始位置、x軸)において逆相補性の20マーオリゴヌクレオチドへのTNF−α mRNAのハイブリダイゼーションの依存性を示している。TNF−α 3'UTRは、黒い線により図示され、AREは白い四角として指し示され、NNUUNNUUU HuR結合部位は、黒い小さな四角として示されている。アクセス可能性の著しい変化を持つハイブリダイゼーション部位は、HuR結合部位の主に近くにだがまた遠くにおいて、“ホットスポット”の中に集中している。注目すべきことには、また推定上の“クローザー”の位置が同定されて、NNUUNNUUUのアクセス可能性を著しく減少すると予測されている。興味あることには、これらの位置は、オープナーのホットスポット領域内に位置している。推定上のオープナー、クローザー及び負の対照オリゴの位置は、それぞれ、小さな四角としてまた示されている。実験的に試験されたOp、ClおよびNを含む同定されたTNF−αのオープナー/クローザー(Op、Op、Cl、Op、Op)の配列は、表1の中で指定されている。
【0099】
【図9】TNF−αオープナーはTNF−α 3'UTRへのインビトロのHuR親和性を増加する;組換えHuRのTNF−α 3'UTRへの見かけの親和性をオープナー、クローザーもしくは負の対照オリゴヌクレオチドの存在下においておよび不在下において1D−FIDAアッセイで測定する。TNF−αのクローザーClは、見かけの解離定数Kappの増加により反映された、TNF−α 3'UTRとのHuRの会合を明らかに低減する。作用は、クローザーの濃度と相関している。作用は、最高のクローザーの濃度で2.5倍までのKdの増加(Cl有りで:Kapp=13.80±2.41nM、クローザー無しで:Kapp=5.63±0.87nM)をもって最高値に近づいている(A)。オープナーのOpは、TNF−α 3'UTRへのHuRの親和性を2倍まで増加して(B)、それは計算で予測された作用と良好な整合性にある(図8)。しかしながら、0.5nM以上のオープナーの濃度では、作用は、増加した解離定数に向かって再び逆戻りする。負の対照オリゴヌクレオチドNとのハイブリダイゼーションは、実験の全体の濃度範囲に亘ってHuR−TNF−α 3'UTRの親和性に影響を及ぼさない(C)。TNF−α 3'UTRの濃度は、全ての実験において1nMである。
【0100】
【図10】TNF−αオープナーはTNF−α mRNAの安定化を特異的に促進する;TNF−αについてデザインされたオープナー(Op、図8および表1を参照)は、IL−1β mRNAのレベルに影響を及ぼすこと無しに(B)、TNF−α mRNAを特異的に安定化する(A)。(丸印:オープナーなし;星印:25μMでのオープナーOp)。
【0101】
【図11】オープナーをベースにするインビトロアッセイのデザインI:立体配座スイッチ;ARE mRNAの立体配座に作用する化合物の同定のための例示的なアッセイ原理が図式化されている。オープナーに誘発される立体配座の転位は、FRET対を構成している、適切に位置する蛍光体により例えば検出される。mRNA内に戦略的に置かれるとすると、それらの距離および、それ故に、FRETの効率は、開かれたもしくは閉鎖されたHuR結合部位(×によりマークされた)に特徴的になる。(A)にスケッチされているように、計算的にデザインされたオープナーにより誘発されるHuR結合部位の開口は、FRETの効率の減少により検出される。(B)低分子量の化合物は、異なる作用機序によりこの転位と干渉するであろう。mRNAに結合することにより、それらは、オープナーのハイブリダイゼーションと直接に競争するかもしくは閉鎖された立体配座の中でmRNAを局所に凍結するかのいずれかであり得る。オープナーの存在下において持続的なエネルギー転移を特徴とする、そのような化合物は、HuRがmRNAに結合することを防止して、それにより対応する標的遺伝子を下方調節するであろう。他方において、オープナーの作用は、開かれた立体配座を安定化する化合物により強化され得る。これらの化合物ならびにオープナーに誘発される立体配座のスイッチを模倣するそのような化合物は、それぞれ、オープナーの存在下もしくは不在下において低減されたエネルギー転移により同定される。HTSフォーマットへの適応のための主な問題点は、十分な量で部位特異的に二重に標識されたmRNAの作製であろう。それ故に、別の戦略が図12に概略されている。
【0102】
【図12】オープナーをベースにするインビトロアッセイのデザインII:HuR結合;これに代えて、アッセイ戦略をmRNA上でおよびHuR上で二つの蛍光体の間のエネルギー転移を測定することによりHuR結合事象の検出へシフトし得る。mRNAのラベルは、(A)3'末端に共役的に付着させる(例えば、Qin P. Z. et al., Methods, 1999, 18 (1): 60-70の中に記載されているように)もしくは(B)オープナーのオリゴヌクレオチドを介して導入されるかのいずれかであり得る。この設定では、オープナーにより誘発される立体配座の転位を、引き続く工程である、HuR mRNA会合の測定により間接的に測定する。それ故に、HuR阻害剤は、mRNAの立体配座に作用する化合物と同一のシグナルを生成して、適切な対向スクリーニングにおいて選別される必要があるであろう。
【0103】
【図13】mRNAのオープナーをベースにする細胞のアッセイのための戦略;ARE mRNAの立体配座スイッチへの細胞のアッセイデザインのための例示的な戦略が概略されている(A)。標的mRNAを、適切にデザインされた蛍光プローブ(例えばCy5)により特異的に視覚化する。プローブを計算的にデザインして、熱力学的mRNAの集合への最小の影響を保証して、オープナーが誘発する構造の転位と適合性にする。内因性のHuRを、蛍光性タンパク質(例えばCFP)への融合により標識する。閉鎖されたmRNAの立体配座では、二つの蛍光体(HuR、mRNA)は、空間的に孤立しているであろう。オープナーにより誘発される、HuRの結合時に、二つの蛍光性分子は、mRNA上に共局所化するであろうが、それは高分解共焦点映像法により例えば検出され得る(B)。これに代えて、mRNAに特異的な標識を、オープナーのオリゴヌクレオチドの上に直接に置く。この設定では、開かれたmRNA分子のみが検出されて、mRNAの構造集合は(さらに別の)プローブにより影響を及ぼされない。プローブがHuR結合部位(×によりマークされた)に十分近くにハイブリダイズするという条件で、エネルギーの転移(即ち、供与体の失活/受容体の感作)が、開かれた(即ちHuRが結合した)から閉鎖された立体配座を区別するための好ましい検出モードである。図11の図示に類似して、オープナーが誘発する作用を阻害するかもしくは強化する化合物を、開かれた対閉鎖されたmRNAの立体配座の区別に基づいて同定することができる。構成的に“開かれた”mRNAを用いる対向スクリーニングは、HuRの阻害剤を選別するために適切であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節RNA−リガンド相互作用を調整する方法であって、
(a)リガンド、例えばタンパク質による認識に必要なRNA分子の二次構造要素を規定することおよび選択すること、
(b)当該RNAの二次構造の集合において工程(a)の二次構造要素の熱力学的確率を計算すること、
(c)少なくとも部分的に逆相補的なオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされる当該RNAの二次構造の集合において工程(a)の二次構造要素の熱力学的確率を計算すること、
(d)規定の確率閾値を超えて当該二次構造要素の熱力学的確率を変化させるオリゴヌクレオチドを測定すること、
(e)工程(d)で測定されるようにオリゴヌクレオチドを提供すること、ならびに任意に、
(f)工程(a)の当該二次構造要素を含むRNAを工程(e)のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすること、そして
(g)当該二次構造要素の熱力学的確率への当該ハイブリダイゼーションの作用を測定すること
を含む、方法。
【請求項2】
RNAがIL−2 mRNAであり、リガンドがELAVL1であって、オリゴヌクレオチドが
配列番号1: AAGGCCTGATATGTTTTAAG、
配列番号2: AATATAAAATTTAAATATTT、
配列番号3: TAGAGCCCCTAGGGCTTACA、
配列番号4: TGAAACCATTTTAGAGCCCC、
配列番号5: AAGGCCUGAUAUGUUUUAAG、
配列番号6: AAUAUAAAAUUUAAAUAUUU、
配列番号7: UAGAGCCCCUAGGGCUUACA、
配列番号8: UGAAACCAUUUUAGAGCCCC
からなる群より選択される配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
RNAがTNF−α mRNAであり、リガンドがELAVL1であって、オリゴヌクレオチドが
配列番号9: TCGGCCAGCTCCACGTCCCG、
配列番号10: TCTGGTAGGAGACGGCGATG、
配列番号11: ACGGCGATGCGGCTGATGGT、
配列番号12: TTCTGGAGGCCCCAGTTTGA、
配列番号13: ATTCCAGATGTCAGGGATCA、および
配列番号14: ATCACAAGTGCAAACATAAA
からなる群より選択される配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対応するRNAの二次構造を変更することにより遺伝子の発現を操作するための請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項5】
RNA分子のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションの作用を調整する薬剤を同定するアッセイ法であって、
(a)リガンドによる認識に必要な二次構造要素を含むRNAを候補化合物の存在下および不在下に規定の確率閾値を超えて当該二次構造要素の熱力学的確率を変化させるオリゴヌクレオチドへハイブリダイズすること、
(b)当該候補化合物の存在下および不在下に当該RNAの当該オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションの作用を測定すること
(c)ハイブリダイゼーションの作用を調整する薬剤を同定すること
を含む、アッセイ法。
【請求項6】
RNA分子のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションの作用を模倣する薬剤を同定するアッセイ法であって、
(a)リガンドによる認識に必要な二次構造要素を含むRNAを規定の確率閾値を超えて当該二次構造要素の熱力学的確率を変化させるオリゴヌクレオチドへハイブリダイズすること、
(b)リガンドによる認識に必要な二次構造要素を含むRNAをオリゴヌクレオチドと同様な作用を有すると期待される候補化合物へハイブリダイズすること、
(c)ハイブリダイゼーションの作用を工程(a)および(b)について測定すること、そして
(d)工程(a)のハイブリダイゼーションの作用を模倣する薬剤を同定すること
を含む、アッセイ法。
【請求項7】
ハイブリダイゼーションの作用をハイブリダイゼーションの作用に関連するシグナルを測定することにより決定して、その作用はRNA二次構造、RNA三次構造、RNA−リガンドの親和性、RNAのオリゴマー化もしくは多量体化、リガンドのオリゴマー化もしくは多量体化、リガンドの立体配座変化、RNA−リガンド認識の下流作用の効率、RNAのスプライシング、共有RNA修飾、RNAの局在化、RNAの安定性、RNAの翻訳およびタンパク質の発現プロフィルにおける変化からなる群より選択される、請求項5または6に記載のアッセイ法。
【請求項8】
RNAがmRNAである、請求項5〜7のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項9】
RNA、リガンドおよびオリゴヌクレオチドが請求項2もしくは3に記載されているものである、請求項5〜8のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項10】
高処理能力スクリーニングのための請求項5〜9のいずれか1項に記載のアッセイ法の使用。
【請求項11】
医薬品としての使用のための請求項5〜9のいずれか1項に記載のアッセイ法により同定される薬剤。
【請求項12】
請求項1に記載の方法により同定される規定の確率閾値を超えて二次構造要素の熱力学的確率を変化させる、オリゴヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号1: AAGGCCTGATATGTTTTAAG、
配列番号2: AATATAAAATTTAAATATTT、
配列番号3: TAGAGCCCCTAGGGCTTACA、
配列番号4: TGAAACCATTTTAGAGCCCC、
配列番号5: AAGGCCUGAUAUGUUUUAAG、
配列番号6: AAUAUAAAAUUUAAAUAUUU、
配列番号7: UAGAGCCCCUAGGGCUUACA、
配列番号8: UGAAACCAUUUUAGAGCCCC、
配列番号9: TCGGCCAGCTCCACGTCCCG、
配列番号10: TCTGGTAGGAGACGGCGATG、
配列番号11: ACGGCGATGCGGCTGATGGT、
配列番号12: TTCTGGAGGCCCCAGTTTGA、
配列番号13: ATTCCAGATGTCAGGGATCA、および
配列番号14: ATCACAAGTGCAAACATAAA
からなる群より選択される配列を有する、請求項12に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
任意の化学修飾を持つRNAのもしくはDNA分子である、請求項1に記載の方法により同定されるオリゴヌクレオチドまたは請求項13に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
ペプチド核酸もしくはロックド核酸分子である、請求項1に記載の方法により同定されるオリゴヌクレオチドまたは請求項13に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
調節RNA−リガンド相互作用を操作するための請求項12〜15のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項17】
RNA分子の安定性に影響するための請求項12〜15のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項18】
少なくとも一つの薬学的賦形剤に加えて、請求項5に記載のアッセイにより同定される薬剤もしくは請求項12〜15のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含む、医薬組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−521813(P2007−521813A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551815(P2006−551815)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001168
【国際公開番号】WO2005/075637
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】