説明

スクリーン印刷機及び印刷方法

【課題】ロール状のフィルムを繰出して印刷機上で印刷し、印刷後乾燥させて、フィルムを巻き取る印刷システムでは、印刷時のフィルム皺の発生を抑制すると共に、印刷されたフィルムが印刷機近傍に位置することになるために、印刷物が掻き取られる恐れがある。
【解決手段】フィルム搬送方向の吸着ステージの両端側を半円形状に加工すると共に、前記端部の近傍に補助ステージを設けてフィルムを吸着保持し、その状態で補助ステージを吸着ステージ面より下方に移動させてフィルムに張力を作用させながら吸着ステージに密着させ、その状態で吸着ステージに吸着保持して、マスク面と位置合わせ後印刷を行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルム面上に所定のパターンを印刷するためのスクリーン印刷機とそれを用いた印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、供給リールから繰出したフィルムにソルダーレジストを印刷塗布して巻取り回収する印刷装置が開示されている。
【0003】
この従来例では、ソルダーレジストを印刷後、仮乾燥した後に巻き取っても印刷の剥離や擦れ落ちの不具合がなく巻き取れることを知り、専用の乾燥機を設けない構成としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−356268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、印刷時のフィルムに発生する皺による印刷不良の問題、印刷後乾燥前に、次のフィルムの部位に印刷する場合に、先に印刷した部位にスクリーン等が接触して印刷部を汚したり、剥離させるという課題に関しては何ら開示がない。
【0006】
本願発明の目的は、印刷時にフィルム皺の発生を防止して、かつ、先に印刷したフィルム上の印刷物を汚すことなく印刷可能なフィルム印刷機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、フィルム上にペーストの印刷を行うスクリーン印刷機が、吸着ステージのフィルムを載置する面に設けた吸着口を、フィルム移動方向に対して直角方向を複数のブロックに分割して真空排気できる真空吸着機構として、吸着ステージのフィルム搬送方向のフィルム載置面の両端部側を半円形状に形成し、前記吸着ステージの両サイドに上下移動機構と吸着部とを備えた補助ステージを設けた構成とした。
【0008】
また、補助ステージにフィルムの幅方向の両端部を把持して引き伸ばすフィルム伸ばし機構を設けた構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、フィルムが皺を発生することなくステージ上に保持して印刷が可能となり、かつ印刷後であって、乾燥前のフィルム上の印刷パターンにマスク等が触れることなく乾燥部に送り込めることで、印刷パターンが汚れやかすれ等が発生しない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】フィルム印刷システムの全体構成を示す図である。
【図2】従来のフィルム印刷における問題点を説明する図である。
【図3】フィルム印刷部のステージ部近傍の概略構成を示す図である。
【図4】吸着ステージのフィルム幅方向断面の概略図である。
【図5】スキージヘッドの概略構成図である。
【図6】フィルム印刷の手順を示す図である。
【図7】図6の印刷手順の続きを示した図である。
【図8】補助ステージに設けたフィルム押し付け機構の動作手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1にフィルム印刷システムの全体構成の概略を示す。
【0012】
本システムは図に示すように、ロール状に巻き取られているフィルム(印刷対象物)6をフィルム印刷機2に送り出すフィルム巻き出し機構部1と、フィルムに印刷を行うスクリーン印刷機を備えた印刷部2と、印刷部2で印刷されたフィルムを送り出すフィルム送り機構部3と、巻き出されたフィルム上の印刷パターンを乾燥させるために、フィルム移動経路を挟んでヒータ7の設置された乾燥部4と、乾燥された印刷パターンの形成されたフィルムを巻き取るフィルム巻き取り機構部5とから構成されている(ロールツーロール法)。
【0013】
図2に一般的な印刷状況を示す。
【0014】
印刷テーブルと印刷フィルム6の印刷時と移動時が同一平面上とすると図に示すように、フィルム移動方向の印刷領域(印刷パターン70)をL1、隣接する印刷領域までの距離をL2マスク10の大きさをL3とする。このような状態では、隣接する印刷領域までの距離L2がマスク10の大きさL3との関係が次の状態で次に述べるような問題がある。
【0015】
1.L2<L3の場合、印刷したパターンが移動方向に1ピッチ移動したとき、マスクとパターンが接触しパターンにダメージを与える。
【0016】
2.L2>L3の場合、印刷したパターンがマスクと接触しないが歩留まりが悪くタクトタイムが長くなる。
【0017】
従って本発明では、上記の2つ問題が発生しないようにフィルムを吸着保持して印刷を行う吸着ステージに加えて、印刷しない領域又は印刷済みの領域を吸着保持して、印刷時に吸着ステージよりも下方に位置する補助ステージを設けた構成としたものである。その詳細を以下説明する。
【0018】
図3に印刷機のステージ部近傍の概要を示す。
【0019】
フィルム印刷部2には、印刷機が設けてある。この印刷機はフィルム6を負圧により吸着保持する印刷テーブル(吸着ステージ)21が設けてある。この吸着ステージ21は水平方向(XYθ方向)に移動させるために、図示はしていないがXYθテーブル上に載置されている。なお、吸着ステージ21は上下方向には移動しないように構成してある。印刷前には、フィルム6が吸着ステージ面より上方(吸着ステージ面より約10mm離れた位置)を移動するように構成してある。そして、吸着ステージ上部にフィルム6の印刷する面が位置するまで移動させる。また、この吸着ステージ21の吸着面には複数の吸着口45が設けてあり、これら複数の吸着口45への負圧の供給はフィルム移動方向(矢印方向)に対して直角方向(幅方向)に複数の群に分けられており、群単位に負圧を供給できるようにしてある。フィルム吸着時には、ステージ21の中央部から周辺に向かって吸着できるように負圧の供給を制御している。なお、図3にて説明するが、吸着ステージ21の吸着口へ負圧を供給するために、負圧源と供給配管が吸着ステージ21に接続されている。また吸着ステージ21のフィルム6の移動方向のフィルムに接触する両端部であってフィルムに接触する面側は半径R(約30mm〜100mm)で半円形状に加工してある。
【0020】
この吸着ステージ21のフィルム移動方向の両側には補助ステージ22a,22bが設けてある。この補助ステージ22a、22bは補助ステージベース38a、38b上に設けてあり、補助ステージベース38a、38b上に設けたリニアレール33a、33bに沿ってフィルム搬送方向に移動できるようになっている。補助ステージは補助ステージに設けたプッシャー34a、34bによって、フィルム搬送方向へ移動するように構成してある。又、補助ステージのフィルム幅方向でその上部にはフィルムの幅方向両端部側にそれぞれフィルムを押えるためのフィルム押さえ31a、31bが設けてある。このフィルム押さえ31a、31bは補助ステージ22a、22bに設けたフィルム押え上下シリンダ37a、37bにより上下して、フィルム端部を補助ステージ面に挟んで押さえる構成となっている。さらに、このフィルム押さえはフィルム幅方向外側に向かってフィルムを広げる方向に移動可能に構成されている。この詳細は図7にて説明する。補助ステージベース38a、38bの下方には補助ステージ22a、22bを上下するための補助ステージ上下シリンダ32a、32bからなる補助ステージ上下機構が設けてある。さらに補助ステージ22aの後方(下流側)及び補助ステージ22bの前方(上流側)には、フィルムを吸着ステージ21面から一定の距離に保つための上下ローラ39a、39bが設けて有り、この上下ローラ39a、39bはシリンダによって上下するように構成されている。この上下ローラを降下させることによりフィルム6は補助ステージ22a、22b面と吸着ステージ21面に接触する構成にしてある。
【0021】
なお、図示していないが、補助ステージ面にも複数の吸着口が設けてあり、フィルムを保持する時に吸着口に負圧を供給できるようになっている。
【0022】
吸着ステージ21にフィルムを吸着させる場合には、まず、フィルム6が補助ステージ22a、22b面及び吸着ステージ21面に接触するように上下ローラ39a、39bを降下させる。次に、補助ステージ22a、22b面及び吸着ステージ21面にフィルム6を吸着する。その後、補助ステージ22a、22bを降下させて吸着ステージ21面より補助ステージ22a、22b面が下方に位置するようにして、フィルム6を吸着ステージ面に押し付ける構成としてある。このようにフィルム6を吸着した状態で吸着ステージ21面を補助ステージ22a、22b面より上方に位置させた場合、フィルム6の水平方向に対するフィルム移動方向の角度θは約5〜30度になる。先に述べたように吸着ステージの端部がR形状に加工されているために、補助ステージ22a,22bでフィルムを押し下げてもフィルムに傷が付かずに滑らかに皺を発生することなく支持することができる。
【0023】
また、フィルム6の幅方向の両端部側を保持するフィルム押さえ31a,31bによってフィルム端部を把持することによって、フィルムの幅方向に皺が発生しないようにしている。なお、フィルムの搬送方向に発生する皺は、フィルムを負圧によって補助ステージに吸着保持して、補助ステージ22a、22bを吸着ステージ21面より下方に降下させることで、フィルム6に張力を加えながら吸着ステージ面に密着させることによって、発生を抑制している。補助ステージの外側に配置した上下ローラ39a、39bは補助ステージを降下させた時にはフィルムに接触しない位置まで降下させておく。
【0024】
図4に吸着ステージのフィルム幅方向の断面を示す。
【0025】
図4に示すように吸着ステージ21のステージ面には複数の吸着口45が設けてあり、その下部には複数に区分されたチャンバ41が設けてある。吸着口45は多孔質材を用いてもよい。本図では吸着ステージ21の幅方向にチャンバを3つのブロックに区分した場合の構成を示してある。それぞれのチャンバには負圧を供給する配管が設けてある。本図に示すように中央部のチャンバの配管及び左右2つチャンバへの配管にはそれぞれ真空弁42が設けてあり、負圧の供給をこの真空弁の開閉を制御することでそれぞれのチャンバへの供給を制御している。又各配管は真空ポンプ44に接続されている。フィルム6を吸着するとき先ず真空弁42を開にし少し時間を遅らせ真空弁43を開にすることで、中央から吸着が行なわれるためフィルム6の皺の発生を抑えて吸着することが可能である。
【0026】
次に、スキージヘッドの構成に関して説明する。図5にスキージヘッドの概略構成の正面図を示す。図5(a)には正面断面図を(b)には側面断面図を示してある。スキージヘッドには、スキージ60aやスクレーパ60bをマスク面に降下させてマスク面に所定の押付力を作用させるための上下駆動機構が2種類設けてある。第1の駆動機構はボールネジ29bと、サーボモータ28から構成されており、スキージ駆動機構やスクレーパ機構を設けたヘッドフレーム25を上下する構成となっている。また、第2の駆動機構はエアシリンダ26a、26bにより構成され、ヘッドフレーム25に設けてある。この第2の駆動機構はスキージ用とスクレーパ用で別々に設けられている。ヘッドフレーム25はスキージヘッド取り付けフレーム29に設けてあり、このフレーム29は、第3の駆動機構により、マスク10面上を水平方向に移動できるように構成されている。フレーム29の両端下部には、装置の架台に設けたビーム27上を移動するようにリニアレール24が設けてある。
【0027】
又、先に述べたように、ヘッドフレーム25にはスキージ60aや、スクレーパ60bが設けてある。この駆動機構の動作には次の2種類がある。(1)スキージヘッドを第1のスキージ駆動機構(サーボモータ28とボールネジ29b)を動作させてマスク面近傍に降下させる。その後、第2のスキージ駆動機構26aを動作させてスキージ60aをマスク10に押し付ける押付力が作用するようにスキージを降下させる方式と、(2)第2のスキージ駆動機構26aを動作させスキージ60aを降下させスキージ駆動機構26aを高圧力にすることにより降下側でロックさせ、次に第1のスキージ駆動機構でトルク制御を行ない所定の押付力でスキージ60aをマスク10面に押し付ける方式である。スキージ60aを高圧力にする替わりにスキージ駆動機構にブレーキを設けてもよい。
【0028】
本装置では前記2方式のうち、どちらの方式を使用するかを選択できるようにしてある。すなち、図示していない制御部には前記2種類の方式が設定されており、使用者が初期設定時に制御部に設けてある表示装置を見ながらどちらの方式を使用するかを選択できるようにしてある。スキージ60aを動作させて、マスク10面に供給されたペーストをマスク10に設けてある開口部からフィルム面に供給して、印刷を行うものである。本図には図示していないスクレーパ60bは、スキージによる印刷後スキージをマスク面から離間させ、スクレーパ60bをマスク10面と一定の隙間を保ちながら水平移動することで、スキージにより移動したペーストを元の位置に回収すると同時にマスク面をコーティングすることで、マスク開口部の乾燥を抑えペーストの目詰まりを防ぐものである。
【0029】
またスキージ駆動機構26a、スクレーパ駆動機構26bはここでは説明を省略しているが、ダウンストップ機構を用いてスキージ60a、スクレーパ60bの下降ストローク量を調整できるものとする。またスクレーパ60bの替わりにスキージ60aを取り付け、往復動作による印刷ができるようにしてもよい。
【0030】
次に印刷動作に関して説明する。図6及び図7に印刷の状態の変遷を示す。
【0031】
まず、図1におけるフィルム巻き出し機構部1からフィルム6をフィルム印刷部2に巻き出す。次に、図6(1)に示すように、フィルムの印刷面の位置が吸着ステージ21上に至ると、フィルム6の移動を停止する。次に、(2)に示すように、補充ステージ外側に配置されている上下ローラ39a、39bを下降させることによって、フィルムを補助ステージ22a,22b及び吸着ステージ21面まで降下させる。次に(3)示すように、補助ステージ22a、22b及び吸着ステージ21に負圧を供給して、それぞれの面に吸引吸着させる。その後(4)に示すように、補充ステージに設けてあるフィルム押さえ31a、31bをフィルム面まで降下させて、フィルム押さえ31a、31bと補助ステージ22a、22bとの間にフィルムの幅方向端部を挟みこむ。なお本図では補助ステージ22a、22bのみにフィルム6の幅方向端部を押えるフィルム押さえ31a、31bを設けているが、吸着ステージ21にも補助ステージ22a、22b同様のフィルム押さえを設けてフィルムを挟み込み、幅方向にフィルムを引っ張って皺の発生を防止してもよい。
【0032】
次に、(5)に示すようにプッシャー34a、34bにより補助ステージ22a、22bを吸着ステージ21側に水平に移動させる。これにより、フィルム6にたるみを持たせる。次に、(6)に示すように、補助ステージ上下シリンダ32a、32bを動作させて補助ステージ面が吸着ステージ面より下方位置になるように補助ステージ22a、22bを降下させる。(7)吸着ステージ面とマスク面間にマーク認識用の上下両方向を撮像できるカメラ35を移動して、それぞれに設けてある位置認識マークを撮像する。撮像した画像データは、図示していない制御部に送られ、制御部に設けてある位置認識部で位置ズレを求める。制御部では求められた位置ズレ量に基づいてXYθテーブルの駆動機構に駆動指令を出し、吸着ステージ21を水平方向(XYθ方向)にズレ分だけ移動して、マスクとフィルムとの位置合わせを行う。位置合わせが終了するとマーク認識用カメラをマスク下方から退避させる。カメラの退避が終了すると、マスクを吸着ステージ上のフィルム面まで降下させる。
【0033】
次に、図7(9)に示すように、スキージヘッドをマスク面上まで降下させる。この時まず、スキージヘッドに設けてあるスクレーパ60bをマスク面に対し所定の隙間となるよう降下し、水平方向に移動させる。その後、スクレーパ60bをマスク面から離間させ、スキージ60aをマスク面に所定の押し付け圧で押し付ける。次に、スキージ60aを、マスク面上を水平方向に移動させて、マスク面上に供給されているペーストをマスク開口部に押し込み、フィルム面上に印刷を行う。
【0034】
印刷が終了すると、(10)に示すように、スキージ60aをマスク面から離間させてスキージヘッドを上昇させ、次に、マスク10を上昇させてフィルム面から離間させる。マスク10の上昇が終了すると、(11)に示すように、吸着ステージ21を水平方向に移動して原点復帰させる。次に、(12)に示すように補助ステージ22a、22bを上昇させ、補助ステージ22a、22b及び吸着ステージ21への負圧の供給を停止する。
その後、補助ステージ22a,22bを吸着ステージ21から離れる方向に移動する。次に(13)に示すように、上下ローラ39a、39bを上昇させて補助ステージ面及び吸着ステージ面からフィルムを離間させる。その後、フィルム巻取りローラ51を回転駆動してフィルム6を次の印刷面まで移動させる。以上で大きな動作の説明を終了する。
【0035】
次に、補助ステージ22aを例として、フィルム幅方向端部を押えて皺取りを行う工程(先の(4)の工程)について説明する。
【0036】
図8を用いて、補助ステージに設けたフィルムの幅方向端部を押えるフィルム押えの動作を説明する。ここではフィルム押さえ31a側を例に説明するが、フィルム押え31b側も同様の動作を行う。フィルム押え31aは、フィルム6の幅方向端部を補助ステージ面との間に挟んで、幅方向に引き延ばすことで幅方向の皺の発生を抑制するものである。図に示すようにフィルム押えやその駆動機構は上下シリンダ37aを除き左右一対設けてある。このフィルム押え31aは、補助ステージ22a側に設けたフィルム押さえ上下シリンダ37aとフィルム伸ばし第1シリンダ35aとフィルム伸ばし第2シリンダ36aとによって上下及び幅方向(左右方向)に移動する構成となっている。
【0037】
図8(1)のように、フィルム6が補助ステージ22a上に吸着保持されると、(2)のようにフィルム伸ばし第1シリンダ35aとフィルム伸ばし第2シリンダ36aとを動作させてフィルム押さえ31aを補助ステージの中部側に向かって移動させる。次に(3)に示すようにフィルム押え上下シリンダ37aを動作させて、フィルム面までフィルム押さえ31aを降下させて、フィルム6を補助ステージ22a面に挟み込んで押える。フィルム6の挟み込みが終了すると(4)に示すように、フィルム伸ばしシリンダ35aを動作させて、フィルム押え31aがフィルムを伸ばす方向(フィルム幅方向)に移動させる。これによって、フィルム幅方向の皺の発生を抑制する。(5)に示すように、その状態でマスク10を降下させて、印刷を実行する。この工程の詳細は先に説明しているのでここでの説明は省略する。印刷が終了すると(6)に示すようにフィルム伸ばしシリンダ36aを動作させてフィルム押えによるフィルムの保持を解除する。フィルム押えによるフィルム保持が解除されると(7)に示すようにマスクやスキージヘッド等が上昇されフィルム面から離間される。その後、(8)に示すように、マスク10が補助ステージ22aから離れると、フィルム押さえ上下シリンダ37aを駆動してフィルム押さえ31aを補助ステージ面より上昇する。この動作は先に説明した図7の(12)の工程に相当する。
【0038】
その後、図1におけるフィルム送り機構部3を駆動して、フィルム6を所定長さ(次の印刷部が吸着ステージ上に至るまで)送り出し、かつ巻取り機構部5も同時に駆動して印刷パターンの乾燥されたフィルムを巻取る。巻取り部の駆動に伴い、印刷の完了した部分のフィルム6はフィルム送り機構部3を経由して乾燥部4に送られる。乾燥部4はフィルム通過経路を挟んでヒータ7が設置されており、ここで、乾燥される。なお、フィルム6は印刷領域毎に、印刷のために移動・停止を繰り返すためにこの間に十分乾燥可能な距離に設定されている。印刷面が乾燥されたフィルム6は巻取り部に送られて巻き取られる。
【0039】
なお、フィルム巻き出し部及びフィルム巻取り部はフィルムに皺等が発生しないように、所望の張力が作用するように送りローラやダンシングローラ等が設けてある。
【0040】
以上の構成、動作により、ロール状のフィルム6を繰出して、フィルム6を印刷部に送り出し、印刷部に設けてある吸着ステージに皺の発生しないようにフィルムの送り方向及び幅方向に張力を作用させた状態で真空吸着に保持して、印刷するように構成すると共に、フィルム送り方向は、吸着ステージ面よりフィルムが下方に位置するように保持することで、印刷の終了したフィルム面がマスク等に接触して印刷画像を乱すことを防止している。これにより、高精細の印刷を可能にしたものである。
【符号の説明】
【0041】
1…フィルム巻き出し機構部、2…フィルム印刷機、3…フィーダ機構部、4…乾燥部、5…フィルム巻取り機構部、6…フィルム、7…ヒータ、10…マスク、21…吸着ステージ、22a,22b…補助ステージ、31a,31b…フィルム押さえ、60a…スキージ、60b…スクレーパ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム上にペーストの印刷を行うスクリーン印刷機において、
吸着ステージのフィルム載置面に複数のブロックに分割した吸着機構を設けられ、前記吸着ステージはフィルム送り方向のフィルム載置面の両端部側が半円形状に形成され、
前記吸着ステージのフィルム送り方向の上流側と下流側とにそれぞれ吸着部を備えた補助ステージを設けた構成としたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーン印刷機において、
前記補助ステージには、フィルムの幅方向端面を前記補助ステージ上に押さえるフィルム上下押さえ機構と、幅方向にフィルムを引き伸ばすためのフィルム伸ばし機構を設けたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項3】
請求項2に記載のスクリーン印刷機において、前記上流側補助ステージの上流側及び下流側補助ステージの下流側に上下に移動する上下ローラを設け、フィルムを移動する時は上下ローラを上昇させ、フィルムを吸着ステージ及び補助ステージ面に接触させず移動できるようにしたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項4】
請求項3に記載のスクリーン印刷機において、
前記補助ステージは上下移動機構を備え、フィルム印刷を行う場合に前記上下移動機構を駆動して、前記補助ステージのフィルム吸着面を吸着ステージのフィルム吸着面より下方に位置するようにすることを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項5】
請求項1または2に記載のスクリーン印刷機において、
ボールネジとサーボモータによりスキージを上下移動可能とする第1のスキージ上下駆動機構と、エアシリンダにより前記スキージを上下移動可能とする第2のスキージ上下駆動機構とを備え、
前記第1の上下駆動機構でスキージをマスク面から任意の距離にまで移動させ、前記第2のスキージ上下駆動機構でスキージを任意の力でマスク面に押付ける押付力を作用させるか、又は、前記第2の駆動機構にはブレーキを作用させて第2の上下駆動機構ではスキージの上下を降下側でロックして前記第1の上下駆動機構でスキージをマスク面に接触させて、前記第1の上下駆動機構でスキージをマスク面に所定の押付力を作用させることを可能にしたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項6】
請求項5に記載のスクリーン印刷機において、
スクリーンを取付けた版枠を上下移動するための版枠上下移動機構と、前記吸着ステージ上のフィルムを前記スクリーンに位置合わせするために、前記吸着ステージをXYθ方向に移動させるXYθステージ機構とスクリーンとフィルムの位置合わせマークを上下2視野カメラと、前記2視野カメラを水平方向に移動させるためのカメラ駆動機構を備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項7】
請求項6に記載のスクリーン印刷機において、
前記フィルムを巻き出すフィルム巻き出し機構と、フィルムを任意の長さで引き出すフィルム送り機構と、印刷後のフィルムを巻き取るフィルム巻取り機構を備えた構成としたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項8】
フィルム巻き出し部から巻き出されたフィルムを吸着ステージまで送り出し、フィルム上にマスク上に形成された印刷パターンを印刷した後、乾燥部に送り出し、印刷パターンを乾燥させたのちに巻取り部に巻き取るスクリーン印刷方法において、
吸着ステージ上に送り出されたフィルムを吸着ステージのフィルム搬送方向の両端側に設けた補助ステージで吸引吸着保持し、かつ前記補充ステージに設けたフィルム端部把持部材でフィルム端部を保持してフィルムを幅方向に引き延ばし、前記補助ステージを前記ステージ面より降下させて前記フィルムをステージ面に密着保持し、前記ステージ面に設けた吸引吸着手段で吸着保持し、ステージとマスクに設けた位置合わせマークを両方向撮像カメラにより撮像し、吸着ステージを水平方向に移動して位置合わせ後、マスクをフィルム面まで降下させ、スキージを2段階で降下させ印刷を行うことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項9】
請求項7記載のスクリーン印刷方法において、
前記スキージにより印刷を行なった後、前記スキージをマスク面より離間させスクレーパを降下させて、マスク面上と一定の隙間を保ちながらマスク面上を水平方に移動させてペーストを回収すると同時にマスク開口部内の目詰まりを防止することを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−161661(P2011−161661A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23855(P2010−23855)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】