説明

スクリーン印刷版の製造方法

【課題】金属製スクリーン1によってスクリーン印刷版を製造するスクリーン印刷版の製造方法において、製版および印刷のとき、接着性、ハレーション防止性およびインキ透過性が向上し、しかも、素材特性がそこなわれず、金属製スクリーン1が破損しないようにする。
【解決手段】金属製スクリーン1に空気の減圧が作用し、空気の減圧によって粒子4が送られ、これがスクリーン1の表面に衝突し、粒子4によってスクリーン1の表面が研削される。そして、そのスクリーン1によってスクリーン印刷版が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属製スクリーンによってスクリーン印刷版を製造するスクリーン印刷版の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷版の製造方法が特許第3516882号公報(特許文献1)に記載されている。同公報の製造方法では、金属製スクリーンによってスクリーン印刷版が製造される。さらに、同公報の製造方法では、空気の加圧によって粒子が推進し、これがスクリーンの表面に衝突し、粒子によってスクリーンの表面が研削される。これはサンドブラスト処理と呼ばれているところのものである。そして、スクリーンの表面の研削後、そのスクリーンによってスクリーン印刷版が製造される。この結果、製版および印刷のとき、接着性、ハレーション防止性およびインキ透過性が向上する。
【0003】
ところで、金属製スクリーンはじん性、強度などの素材特性をもつが、空気の加圧によって粒子を推進させると、その速度が相当高く、それがスクリーン表面に衝突したとき、その衝撃は相当大きい。このため、スクリーンの表面が深く研削され、これによって素材特性がそこなわれることはさけられず、金属製スクリーンが破損しやすいという問題がある。
【0004】
したがって、この発明は、金属製スクリーンによってスクリーン印刷版を製造するスクリーン印刷版の製造方法において、製版および印刷のとき、接着性、ハレーション防止性およびインキ透過性が向上し、しかも、素材特性がそこなわれず、金属製スクリーンが破損しないようにすることを目的としてなされたものである。
【特許文献1】特許第3516882号公報
【発明の開示】
【0005】
この発明によれば、金属製スクリーンに空気の減圧が作用し、空気の減圧によって粒子が推進し、これがスクリーンの表面に衝突し、粒子によってスクリーンの表面が研削される。そして、そのスクリーンによってスクリーン印刷版が製造される。
【0006】
さらに、好ましい実施例では、粒子に角のあるものが使用され、これがスクリーンの表面に衝突し、粒子によってスクリーンの表面が研削される。その後、粒子に丸いものが使用され、これがスクリーンの表面に衝突し、粒子によってスクリーンの表面がならされ、均一化される。
【0007】
丸い粒子は角のある粒子よりも小さいことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0009】
図1はこの発明にかかるスクリーン印刷版の製造方法を示す。この実施例では、金属製スクリーン1がダクト2内に収容され、ダクト2は垂直に配置され、金属製スクリーン1は水平に配置される。さらに、ファン3がダクト2の下端に設けられ、ダクト2内において、ファン3によって空気が吸引される。したがって、金属製スクリーン1に空気の減圧が作用する。
【0010】
さらに、ダクト2の上端において、適宜の手段によって粒子4が散布される。したがって、空気の減圧によって粒子4が推進し、これがスクリーン1の表面に衝突し、粒子4によってスクリーン1の表面が研削され、サンドブラスト処理される。
【0011】
粒子4の材質および大きさは特に限定されない。アルミナ、プラスチック、ガラス、カーボンなどの材質のものを粒子4として使用することができ、その大きさは100〜2,000メッシュであればよいことは特許第3516882号公報のものと同様である。
【0012】
さらに、この実施例では、粒子4に角のあるものが使用され、これがスクリーン1の表面に衝突し、粒子4によってスクリーン1の表面が研削される。その後、粒子4に丸いものが使用され、これがスクリーン1の表面に衝突し、粒子4によってスクリーン1の表面がならされ、均一化される。
【0013】
丸い粒子は角のある粒子よりも小さい。この実施例では、丸い粒子は角のある粒子のおよそ1/3の大きさである。
【0014】
さらに、その後、そのスクリーン1がダクト2から取り出され、型枠に張られる。その後、特許第3516882号公報のものと同様、感光性乳剤が型枠のスクリーン1に塗布され、感光性乳剤によって感光性樹脂層が形成され、露光によって潜像画像が形成され、現像によって画像層が形成され、これによってスクリーン印刷版が製造される。
【0015】
したがって、この製造方法の場合、スクリーン1の表面の研削後、そのスクリーン1によってスクリーン印刷版が製造される。この結果、製版および印刷のとき、接着性、ハレーション防止性およびインキ透過性が向上する。
【0016】
さらに、金属製スクリーン1はじん性、強度などの素材特性をもつが、特許第3516882号公報のものと異なり、空気の加圧ではなく、空気の減圧によって粒子4が推進する関係上、その速度が比較的低く、それがスクリーン1の表面に衝突したとき、その衝撃は比較的小さい。したがって、スクリーン1の表面が浅く研削される。この結果、素材特性がそこなわれることはなく、金属製スクリーン1が破損することはない。
【0017】
さらに、スクリーン1の表面が研削されるとき、粒子4に角のあるものが使用され、これがスクリーン1の表面に衝突する。したがって、粒子4がスクリーン1の表面にかみ込み、その研削効果は高い。
【0018】
その後、丸い粒子4が使用され、スクリーン1の表面がならされ、均一化されることも前述したとおりである。この結果、製版および印刷のとき、りけい性、すべり性および濡れ性が向上し、好ましい。
【0019】
丸い粒子は角のある粒子よりも小さいことも前述したとおりである。この結果、研削するとき、その研削効果を保ち、均一化するとき、研削された部分において、それを精密に均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 スクリーン
2 ダクト
3 ファン
4 粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製スクリーンに空気の減圧を作用させ、前記空気の減圧によって粒子を推進させ、これをスクリーンの表面に衝突させ、前記粒子によって前記スクリーンの表面を研削し、そのスクリーンによってスクリーン印刷版を製造することを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項2】
前記粒子に角のあるものを使用し、これを前記スクリーンの表面に衝突させ、前記粒子によって前記スクリーンの表面を研削し、その後、前記粒子に丸いものを使用し、これを前記スクリーンの表面に衝突させ、前記粒子によって前記スクリーンの表面をならし、均一化することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
丸い粒子は角のある粒子よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−44902(P2007−44902A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229273(P2005−229273)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(591097850)京都繊維機器株式会社 (4)
【Fターム(参考)】