スクリーン印刷用スキージ
【課題】スキージホルダに取り付けても、その先端面が変形せず、先端面の真直度とエッジ精度が高いスクリーン印刷用スキージを提供すること。
【解決手段】本発明のスクリーン印刷用スキージは、金属製の支持体と、弾性樹脂からなり板状のスキージ本体とを備え、上記支持体の一部が上記スキージ本体に埋設されるように、両者が一体成形され、先端部に切削加工が施されていることを特徴とする。
【解決手段】本発明のスクリーン印刷用スキージは、金属製の支持体と、弾性樹脂からなり板状のスキージ本体とを備え、上記支持体の一部が上記スキージ本体に埋設されるように、両者が一体成形され、先端部に切削加工が施されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷用スキージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス分野においては、製造技術として、生産性や低環境負荷の面から印刷工法が注目されており、印刷工法の一つであるスクリーン印刷の技術が製造プロセスに組み込まれている。
例えば、導体層と誘電体層とを交互に積層した積層コンデンサの製造プロセスにおいては、スクリーン印刷により、印刷膜厚数μmで数十〜数百回の積層印刷が行われており、幅方向では数十〜数百個の積層コンデンサを同時に製造している。
そして、製品の品質の安定化を図り、歩留りを向上させるためには高い印刷精度を達成すること、即ち、印刷面全体で印刷膜厚を均一化し、かつ、局所的な印刷不良を発生させないことが重要である。
【0003】
スクリーン印刷において高い印刷精度を達成するためには、一般に、スクリーン印刷用スキージの長手方向での、及び、スキージ交換ごとでの、印圧(スクリーンとの接触部の押し圧)、及び、スクリーンに対する接触角度を一定(均一)にすることが重要であるとされている。
また、具体的なスクリーン印刷用スキージとしては、例えば、ポリウレタンエラストマーからなる板状のスキージ本体の一端を金属製の支持体で挟み、ボルト締めによりスキージ本体を支持体に固定したスクリーン印刷用スキージが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなスクリーン印刷用スキージを用いてスクリーン印刷を行った場合、印刷膜厚を数μmで制御しようとすると、印刷膜厚が印刷面全体で一定にならず、印刷部位ごとに膜厚のバラツキが発生することがあった。
【0005】
また、従来のスキージでは、多数回の積層印刷に使用すると、被印刷物上に、スキージの進行方向に線状の凸部が形成されること、即ち、局所的な印刷不良を発生することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−272090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
印刷面全体での印刷膜厚が均一とならない原因として、スクリーン印刷用スキージの印圧やスクリーンに対する接触角度が均一になっていないことが予想されたが、その根本原因については定かではなかった。
そこで、本発明者が研究を重ねたところ、上記印圧や接触角度が不均一になる原因が、スキージ本体をボルト締めにより支持体に固定した際に、締め付け部とそれ以外の部分とでスキージ本体に負荷される締め付け圧力が異なるため、部位毎にスキージ本体の変形の度合いが異なり、スキージ本体の特に先端面が波打つように変形し、その結果、先端面の真直度が低下してしまうことにあることが明らかとなった。
そこで、本発明者は、この問題点を解決すべく、鋭意検討を重ね、スキージホルダに固定した際に、スキージ本体が変形せず、先端面の真直度が維持されるスクリーン印刷用スキージを完成した。
【0008】
一方、被印刷物上に線状の凸部が形成されるという問題は、スキージ先端のエッジに微小な欠落が存在することが原因であると考えられた。
そこで、本発明者は、スキージ先端の加工方法に検討を加え、欠落がなく高い先端エッジ精度を有するスクリーン印刷用スキージを完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスクリーン印刷用スキージは、支持体と、弾性樹脂からなり板状のスキージ本体とを備え、
上記支持体の一部が上記スキージ本体に埋設されるように、両者が一体成形されており、前記スキージ本体の先端面は、切削加工により形成された面であることを特徴とする。
【0010】
上記スクリーン印刷用スキージにおいて、上記切削加工は刃物を用いて行われることが望ましく、前記支持体は、金属製又は樹脂製であることが望ましい。
また、上記スクリーン印刷用スキージは、上記支持体の上記スキージ本体に埋設されていない部分に、スキージホルダに取り付ける際に位置決め基準となる貫通孔が形成されており、上記切削加工が、前記貫通孔を基準に施されていることが望ましい。
【0011】
上記スクリーン印刷用スキージにおいて、上記支持体は、その一部が屈曲していることが望ましい。
上記支持体の少なくとも屈曲した部分は、上記スキージ本体に埋設されていることが望ましく、上記支持体の屈曲した部分の折り曲げ角度は、90〜165°であることが望ましい。
上記支持体は、屈曲していない部分が上記スキージ本体の厚さ方向中央部に位置するように埋設されていることが望ましい。
【0012】
上記スクリーン印刷用スキージにおいて、上記弾性樹脂はポリウレタンエラストマーであることが望ましく、上記ポリウレタンエラストマーは、ポリエステルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンエラストマーであることが望ましい。
さらに、上記ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール10〜90重量%と、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール90〜10重量%の混合物であることが望ましい。
【0013】
なお、以下、本明細書においては、単に「スキージ」と表記した場合、特にことわりの無い限り「スクリーン印刷用スキージ」を意味することとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスキージは、支持体と、弾性樹脂からなり板状のスキージ本体とを備え、上記支持体の一部が上記スキージ本体に埋設されるように両者が一体成形されており、スキージホルダに取り付ける際に、スキージ本体には一切負荷が掛からないため、スキージホルダに固定した後も、スキージ本体が変形することがなく、スキージ本体の先端面の真直度(幅方向の真直度、及び、倒れ方向の真直度)を維持することができる。このようなスキージを用いることにより、印刷面全体において高い膜厚精度でスクリーン印刷を行うことができる。
さらに、本発明のスキージ本体の先端面は、切削加工により形成されるので微小な欠落がなく、高い先端エッジ精度が維持されている。よって、本発明のスキージを用いると、上記のように印刷面全体において高い膜厚精度が維持されるのみならず、数十〜数百回の積層印刷を行う場合であっても、被印刷物に線状の凸部が生じることを回避でき、局所的な印刷不良の問題も解消できる。
【0015】
以下、本明細書において、単に先端面の真直度と表記した場合、幅方向の真直度と倒れ方向の真直度との両者を示すこととする。
【0016】
なお、本発明において、スキージ本体の先端面の幅方向の真直度(以下、単にスキージ本体の幅方向真直度ともいう)は、スキージ本体の先端面が水平方向を向くように、スキージを静置し、先端面におけるエッジから約1mmの箇所を幅方向に全長に渡って粗さ計で走査し、測定した変位量の最大値と最小値の差を算出することにより定める。
また、スキージ本体の先端面の倒れ方向の真直度(単にスキージ本体の倒れ方向真直度ともいう)は、スキージ本体の先端面が鉛直方向を向くように、スキージを横に寝かせて静置し、先端面のエッジから水平方向に約1mmの箇所を幅方向に全長に渡って粗さ計で走査し、測定した変位の最大値と最小値の差を算出することにより定める。
なお、スキージ本体の形状が板状でない場合(例えば、剣スキージの場合等)には、幅方向真直度及び倒れ方向真直度の測定箇所を若干変更する必要がある。これについては、後述する。
【0017】
また、本発明において、スキージ本体の先端エッジ精度は、先端部が上方向を向くように立てたスキージの先端部を、スキージの幅方向にスライドするマイクロスコープにより観察する。このとき、スキージ先端のエッジを基準線とし、マイクロスコープで観察される変位(先端エッジの欠落)の最大値を算出し、先端エッジ精度とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のスクリーン印刷用スキージの一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示したスクリーン印刷用スキージのA−A線断面図であり、(b)は、図1に示したスクリーン印刷用スキージの正面図である。
【図3】本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例の側面部である。
【図4】本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例の側面部である。
【図5】(a)は、本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図である。
【図6】本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例の側面部である。
【図7】(a)〜(d)は、それぞれ本発明のスキージを構成するスキージ本体の先端面近傍の形状を模式的に示す側面図である。
【図8】スキージ先端の切削加工装置の一例の側面図である。
【図9】図4に示した本発明のスクリーン印刷用スキージの使用方法を説明するための側面図である。
【図10】(a)は、比較例5で製造したスキージを模式的に示す側面図であり、(b)は、(a)の正面図である。
【図11】(a)〜(f)は、実施例1〜8で製造したスキージを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明のスクリーン印刷用スキージの一例を模式的に示す斜視図であり、図2(a)は、図1に示したスクリーン印刷用スキージのA−A線断面図であり、(b)は、図1に示したスクリーン印刷用スキージの正面図である。
なお、本明細書においては、スキージの形状を説明するに際して、図1中、X軸方向を厚さ(又は厚さ方向)、Y軸方向を幅(又は幅方向)、Z軸方向を高さ(高さ方向)ということとする。
【0020】
図1、2に示すように、スキージ10は、金属製の支持体11と、ポリウレタンエラストマーからなり板状のスキージ本体12とを備え、支持体11の一部がスキージ本体12に埋設され、両者が一体成形されている。
支持体11のスキージ本体12に埋設されていない部分には、4つの貫通孔13a〜13cが設けられている。
支持体11のスキージ本体12に埋設されている部分にも等間隔で6つの貫通孔14が形成されており、貫通孔14内にもスキージ本体12を構成するポリウレタンエラストマーが充填されている。
【0021】
このような、スキージ10では、支持体11の一部がポリウレタンエラストマーからなるスキージ本体12に埋設され、両者が一体成形されているため、スキージ10をスキージホルダ(図9中、符号16参照)に固定しても、スキージ本体12には一切負荷が掛からず、スキージ本体12の先端面12aに変形(たわみ)が発生せず、先端面12aの真直度が維持されることとなる。
また、スキージ本体12の先端面12aは後述のように切削加工により形成されるので、先端エッジ12bは高い精度を有しており、局所的な印刷特性の点でも優れている。
なお、本発明において、スキージ本体の先端面とは、板状のスキージ本体の側面であって、使用時にスクリーンと対向することとなる面をいう。また、スキージ本体の先端面のエッジとは、スキージの先端に形成される稜線部をいう。
【0022】
貫通孔13a〜13cは、それぞれ下記の機能を果たすことができる。また、本発明においては、貫通孔13a、13b及び13cのそれぞれを位置決め円穴13a、位置決め長円穴13b、及び、固定用穴(バカ穴)13cとも称する。
【0023】
・貫通孔13a(位置決め円穴13a)
位置決め円穴13aは、スキージ10が取り付けられるスキージホルダ(図9中、符号16参照)に対する幅方向及び高さ方向の位置決め基準として機能することができる。
即ち、スキージ10は、例えば、スキージホルダにボルトで固定することとなるため、位置決め円穴13aの内径をボルト径と合わせておくことにより、ボルトを位置決め円穴13aに挿通することにより、スキージを所定の位置に取り付けることができるのである。
また、位置決め円穴13aには、ボルトを挿通しない態様でスキージをスキージホルダに取り付ける場合であっても、スキージホルダの取付面や、必要に応じて、スキージとスキージホルダとの間に介在させるアルミブロックの所定の位置に突起部を設けておけば、この突起部を位置決め円穴13aに嵌合させることにより、スキージを確実に所定の位置に取り付けることができるのである。
【0024】
・貫通孔13b(位置決め長円穴13b)
位置決め長円穴13bは、スキージ10が取り付けられるスキージホルダに対する縦方向の位置決め基準として機能することができる。
即ち、位置決め長円穴13bの高さ方向の径を、スキージを取り付ける際に使用するボルト径と合わせておき、位置決め長円穴13bにボルトを挿通することにより、スキージを高さ方向の所定の位置に取り付けることができるのである。
一方、位置決め長円穴13bでは、幅方向の径をボルト径よりも大きくしておく。
本発明のスキージは、後述するように支持体とスキージ本体とを一体成形することにより製造するが、この製造工程においては加熱処理が行われることがあり(スキージ本体材料の樹脂組成物を硬化させるため)、このような加熱処理が行われると支持体の寸法が若干ながら変化することがある。また、樹脂組成物を硬化する際には樹脂組成物が収縮し、そのときの応力によっても支持体の寸法が若干ながら変化することがある。しかしながら、支持体の幅方向の寸法が一体成形前後で変化したとしても、ボルト穴として機能する貫通孔として断面長円形(断面角丸長方形)の位置決め長円穴13bを形成しておけば、位置決め長円穴13bを介して、高さ方向の位置決めを行いつつスキージをボルトでスキージホルダに固定することができるのである。
【0025】
・貫通孔13c(固定用穴(バカ穴)13c)
固定用穴13cは開口径がスキージを取り付ける際に使用するボルト径に対して大きく、スキージをスキージホルダに取り付ける際の位置決めには関与せず、単にスキージをスキージホルダに固定する際に使用するボルトを挿通する機能のみを果たす。
本発明のスキージを製造する際には、上述したように、支持体の寸法が若干ながら変化することがあるが、この寸法変化により、固定用穴13cの位置決め円穴13aに対する位置が設計から若干ずれたとしても、固定用穴13cの開口径をボルト径に対して大きくしておくことにより、寸法変化を許容することができるのである。
【0026】
なお、貫通孔13a〜13cの形成位置や個数は、スキージ10を取り付けるスキージホルダの設計に依存し、特に限定されるものではない。
【0027】
また、支持体11のスキージ本体12に埋設した部分には貫通孔14が形成され、スキージ本体12を構成するポリウレタンエラストマーがその内部にも充填されている。このような構成を備えることにより、支持体11とスキージ本体12との接着強度がより向上し、支持体11がスキージ本体12からより抜けにくくなる。支持体の幅あたりの、スキージ本体からの引き抜き強度は、0.5kg/cmより大きいことが望ましい。0.5kg/cmより小さいと、印刷時にスキージ本体がずれることによりスキージの取り付け位置精度が低下し、印刷膜厚が不均一となるからである。
なお、貫通孔14は必要に応じて形成すればよく、その形状や個数、形成位置は特に限定されない。
【0028】
本発明のスキージでは、スキージ本体の先端面の真直度は、スキージホルダへの取り付け前後で維持されることとなる。そのため、上記真直度は、スキージホルダへの取り付け前の状態で良好であることが望ましい。
上記スキージ本体の先端面の真直度は、上記方法で測定した変位量の最大値と最小値の差で、0.10mm以下であることが望ましく、0.025mm以下であることがより望ましい。
0.10mmを超えると、印刷膜厚を印刷面全体にわたり数μmで制御することが困難だからである。
【0029】
一方、本発明のスキージ本体の先端エッジ精度は、上記方法で測定した変位量の最大値と最小値の差で、0.050mm以下であることが望ましく、0.010mm以下であることがより望ましい。
0.050mmを超えると、局所的な印刷膜厚が不均一となり、多数回の積層印刷を行った場合に、スキージ進行方向に、不均一に積層したインクによる線状の凸が生じてしまうからである。
本発明のスキージでは、スキージ本体の先端エッジ精度を向上させるために、上記先端面は切削加工により形成される。切削加工は刃物を用いて行われることが望ましい。これにより、真直度に優れる先端面を確実かつ容易に形成することができるからである。
また、上記刃物は、硬刃であることが望ましい。
上記切削加工は丸刃でも行うことができるが、丸刃を用いた場合、その刃先の一部にでも欠けが生じると加工精度が低下して先端エッジ精度の低下を招くため、丸刃自体を交換しなければならず、刃先の確認作業と交換作業とが煩雑で生産性に劣り、不経済であるのに対し、硬刃を用いた場合にはこのような不都合は生じないからである。
また、刃物を用いて切削加工を行う場合、この切削加工は、刃物を超音波振動させつつ切削を行う、所謂、超音波カッターを用いて行うことが望ましい。
スキージ本体の材質や厚さによっては、切削加工が困難な場合があるが、そのような場合でも、超音波カッターを用いれば確実に切削加工を行うことができるからである。
上記切削加工は、例えば、後述の図8に示した装置によって行うこともできる。なお、図8に示した装置を用いる場合は、刃物85の切り込み角度を、スキージ本体の先端面の形状に合わせて適宜変更する必要がある。
なお、先端面を研磨加工により形成した場合、先端面に微小な凹凸が発生し、エッジ精度の低下に繋がる。よって、研磨加工によるエッジの形成は、好ましくない。
【0030】
スキージ本体の先端面の切削加工は、支持体に設けた位置決め円穴を基準として行うことが望ましい。上述のように、本発明のスキージは支持体に設けられた位置決め円穴を基準としてスキージホルダへ取り付けられるので、切削加工も同様に位置決め円穴を基準として行うことにより、スキージをスキージホルダに取り付けた際に、スキージの先端面と、スクリーンとの位置関係を確実に設計位置に制御することができるからである。
【0031】
本発明のスキージの形状は、図1、2に示した形状に限定されるわけではなく、例えば、図3〜6に示した形状であってもよい。
図3、4、6は、それぞれ本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例の側面部である。
図5(a)は、本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図である。
【0032】
図1、2に示したスキージ10を構成する支持体11は、平板状を有しているが、本発明のスキージでは、図3、4に示すスキージ20、30のように、支持体21、31は、それぞれその一部が屈曲していてもよい。
このように、支持体の一部を屈曲させることにより、支持体の一部をスキージに埋設させる前後、特に埋設させる前において、支持体がたわんだり、湾曲したりして変形することを防止することができる。そのため、スキージをスキージホルダに固定する際の取付精度(スキージの位置精度)を向上させることができる。
【0033】
また、スキージ20とスキージ30とでは支持体の屈曲位置が異なっているが、両者を比較した場合、支持体31の屈曲した部分が、スキージ本体32に埋設された構造のスキージ30のほうが望ましい。
このような形状のスキージ30では、支持体31の屈曲した部分がスキージ本体32に埋設されているため、上記効果に加えて、スキージ30では、支持体31のスキージ本体32からの引き抜き強度が向上するという効果を奏する。引き抜き強度が向上することにより、スキージ本体のずれを防ぎ、取付け位置精度を向上させることができ、印刷面全体における印刷膜厚の均一化につながる。
また、支持体の屈曲した部分がスキージ本体に埋設されたスキージでは、スキージホルダの形状が制限されない。また、スキージ本体の両面を使用することができる。その結果、スキージとしての寿命が2倍になり経済性にも優れることなる。
【0034】
また、図4に示すように、支持体31の屈曲した部分がスキージ本体32に埋設されたスキージ30では、支持体31の屈曲していない部分がスキージ本体32の厚み方向中央部に位置することが望ましい。このようなスキージでは、両面を使用する場合に、いずれの面を使用してもスクリーンに対するスキージ先端の位置が一定であり、使用面を交換する際にスキージ取付け位置の再調整が不要だからである。
なお、図3中、22は、スキージ本体である。
【0035】
本発明のスキージの形状は、図5(a)、(b)に示したスキージ40のような形状を有していてもよい。
スキージ40は、平板状の支持体の一部に複数の切込み部を設け、この切込み部が設けられた部分を互い違いに相反する方向に屈曲させた屈曲部41a、41bを有する支持体41を備え、支持体41の屈曲部41a、41bが、スキージ本体42に埋設された構造を有している。
このようなスキージ40では、図4に示したスキージ30と同様の効果を奏し、加えて、支持体41の側面視形状が左右対象であるため、よりスキージ本体の両面に使用するのに適することとなる。
【0036】
本発明のスキージにおいて、図3〜5に示すように、支持体の一部が屈曲している場合、屈曲した部分の折り曲げ角度(図3〜5中、θと示す)は、90〜165°であることが望ましく、支持体のたわみや湾曲の防止効果のためには、90〜135°であることがより望ましい。
165°を超えると、上述した支持体の一部を屈曲させることによる効果を享受することができない場合があり、90°未満では、支持体の屈曲点の強度が低下するおそれがあるからである。
【0037】
本発明のスキージの形状は、図6に示したスキージ50のような形状を有していてもよい。
スキージ50は、その一部が波状に湾曲した波状湾曲部51aを有する支持体51を備えており、支持体51の波状湾曲部51aがスキージ本体52に埋設された構造を有している。
このような形状のスキージ50もまた、図4に示したスキージ30と同様の効果を奏することができる。
【0038】
図3〜図6に示したスキージ20、30、40、50では、支持体のスキージ本体に埋設された部分に貫通孔が形成されていないが、これらの形状のスキージにおいても、図1、2に示したスキージ10と同様、支持体のスキージ本体に埋設された部分に貫通孔が形成されていてもよい。貫通孔が形成されることにより、両者がより確実に一体化されるからである。
【0039】
また、本発明のスキージでは、支持体のスキージ本体に埋設された部分の表面には、接着剤層が形成されていてもよい。これにより、両者の接着強度が向上し、支持体がスキージ本体からより外れにくくなるからである。
上記接着剤としては特に限定されず、通常金属に用いるものを使用することができる。具体例としては、例えば、ウレタン系、ポリエステル系、シラン系、ポリアミド系、フェノール系の接着剤を使用することができる。
また、接着剤層に代えてシランカップリング剤層が形成されていてもよい。
【0040】
また、本発明のスキージでは、支持体のスキージ本体に埋設された部分の表面に粗化面が形成されていてもよい。粗化面を形成することで、アンカー効果により、両者の接着強度が向上し、支持体がスキージ本体からより外れにくくなるからである。この場合、スキージ本体のずれを防止することによりスキージの取付け位置精度が向上し、印刷膜厚の均一化につながる。
上記粗化面を形成する方法としては特に限定されず、例えば、エッチング処理、メッキ処理、研磨処理、酸化処理、サンドブラストによる研削処理等が挙げられる。
【0041】
また、ここまで説明したスキージでは、スキージ本体の先端面側のエッジ(板状のスキージ本体において、主面と先端面とが成す稜線部分:図2(a)中、12bと示す部分)の角度が90°であるが、本発明のスキージにおいて、スキージ本体の先端面側のエッジの形状はこのような形状に限定されるわけではなく、例えば、図7(a)〜(d)に示すような形状であってもよい。
【0042】
図7(a)〜(d)は、それぞれ、本発明のスキージを構成するスキージ本体の先端面近傍の形状を模式的に示す側面図である。
図7(a)に示すスキージ本体102は、一体成形後の形状である。先端面102aに後述の超音波カッターによる切削加工が施され、先端エッジ102bが形成される。
なお、本形態のスキージ本体において、幅方向真直度を測定する際には先端エッジ102bから1mmの部分を測定し、倒れ方向真直度を測定する際には主面の平坦な部分のうち、先端エッジ102bから1mmの部分を測定する。
【0043】
図7(b)に示すスキージ本体103は、その先端面側が尖った形状に加工された先端エッジ103bを有する、所謂、剣スキージである。先端エッジ103bは後述する図8に示す装置により形成される。
なお、本形態のスキージ本体において、幅方向真直度を測定する際には、先端エッジ103bの部分を測定し、倒れ方向真直度を測定する際には、先端エッジ103bから1mmの部分を測定する。
【0044】
図7(c)に示すスキージ本体104は、その先端面104a側の片エッジの部分にC面取りが施され、先端エッジ104bが形成された形状を有している。先端エッジ104bは後述する図8に示す装置により形成される。
なお、本形態のスキージ本体において、幅方向真直度を測定する際には、先端面のうち平坦な部分(C面取りが施されていない部分)であってC面取りが施された側の最も外側の部分から1mmの部分を測定し、倒れ方向真直度を測定する際には、C面取りが施された側の主面の平坦な部分(C面取りが施されていない部分)のうち、最も先端面側の部分から1mmの部分を測定する。
【0045】
図7(d)に示すスキージ本体105は、その先端面105a側の両側にC面取りが施され、先端エッジ105bが形成された形状を有している。先端エッジ105bは後述する図8に示す装置により形成される。
なお、本形態のスキージ本体において、幅方向真直度を測定する際には先端面のうち平坦な部分(C面取りが施されていない部分)の最も外側の部分から1mmの部分を測定し、倒れ方向真直度を測定する際には主面の平坦な部分(C面取りが施されていない部分)のうち、最も先端面側の部分から1mmの部分を測定する。
【0046】
図7(a)〜(d)に示したスキージ本体の先端面側の形状は、切削加工により形成される。
切削加工は刃物を用いて行われることが望ましい。これにより、真直度に優れる先端面を確実かつ容易に形成することができるからである。
また、上記刃物は、硬刃であることが望ましい。
上記切削加工は丸刃でも行うことができるが、丸刃を用いた場合、その刃先の一部にでも欠けが生じると加工精度が低下して先端エッジ精度の低下を招くため、丸刃自体を交換しなければならず、刃先の確認作業と交換作業とが煩雑で生産性に劣り、不経済でもあるのに対し、硬刃を用いた場合にはこのような不都合は生じないからである。
また、刃物を用いて切削加工を行う場合、この切削加工は、刃物を超音波振動させつつ切削を行う、所謂、超音波カッターを用いて行うことが望ましい。
スキージ本体の材質や厚さによっては、切削加工が困難な場合があるが、そのような場合でも、超音波カッターを用いれば確実に切削加工を行うことができるからである。
【0047】
上記切削加工は、例えば、図8に示した装置によって行うこともできる。
図8は、装置を用いてスキージ本体の先端部81を切削する状態を示した側面模式図の一例である。切削する装置は、スキージ本体87を載置するためのセット治具82、スキージ本体87のカット位置を決めるための位置決め治具83、載置されたスキージ本体87を上部から押さえてカット中のスキージ本体の位置を固定するための押さえ治具84、スキージ本体の角81をカットするための刃物85、及び、カット中に刃物85を固定するための刃物固定治具86を有するものである。
【0048】
図8の装置においては、先ずセット治具82及び位置決め治具83によって載置位置が決められたセット治具82上に、スキージ本体87を載置する。次いで、載置されたスキージ本体87の上面から押さえ治具84によって圧力をかけて押さえることによってスキージ本体87の位置を固定する。このようにして固定されたスキージ本体87の角81を、刃物固定治具86によって固定されている刃物85を使用してカットして(短冊状長手方向に刃物を走らせる)当接エッジを作製することにより、所望の先端エッジを有するスキージ本体87を製造することができる。
【0049】
次に、本発明のスキージを構成する構成部材の材質等について説明する。
上記スキージ本体の材質は、弾性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン系ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。
これらのなかでは、機械的強度及び耐磨耗性に優れる点からポリウレタンエラストマーが望ましい。
また、ポリウレタンエラストマーとしては、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールからなるポリオール成分とイソシアネート成分との反応物であるウレタンプレポリマーを硬化剤にて硬化させたものを用いることができるが、より耐磨耗性に優れる点で、ポリオール成分として、ポリエステルポリオールを用いたものが望ましい。
【0050】
上記ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸とグリコール成分とを脱水縮合させたものを用いることができる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上用いても良い。
これらのなかでは、コハク酸を用いることが望ましい。スキージ本体の諸物性、特に、耐溶剤性に優れるからである。
【0051】
上記グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
また、上記ジカルボン酸と上記グリコール成分とは、モル比1.1〜1.3にて150〜300℃で反応させればよい。
【0052】
上記ポリエステルポリオールとしては、特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール(以下、ポリエステルポリオールAともいう)10〜90重量%と、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール(以下、ポリエステルポリオールBともいう)90〜10重量%の混合物が望ましい。
【0053】
上記混合物は、ポリエステルポリオール成分A20〜80重量%と、ポリエステルポリオール成分B80〜20重量%の混合物であることがより望ましい。
このような混合物を用いることで、ポリウレタンエラストマーの耐有機溶剤性が極めて優れることとなるからである。この理由を以下に説明する。
【0054】
上記ポリエステルポリオールAは、ジカルボン酸が短鎖長のコハク酸からなり、グリコール成分が短鎖長のエチレングリコールと共にジエチレングリコールよりなるため、コハク酸の有するメチレン基とエチレングリコールの有するメチレン基によって、ポリエステルポリオールにおけるエステル基密度を高めると共に、結晶性を高め、更に、ジエチレングリコールのエーテル基もまた、ポリエステルポリオールの結晶性を高めることとなる。かくして、ポリエステルポリオールAは、極性及び結晶性が共に高く、得られるポリウレタンエラストマーに非常に高度な耐有機溶剤性を与えることとなる。
【0055】
一方、上記ポリエステルポリオールBは、上記ポリエステルポリオールAにおいて、エチレングリコール成分に代えて、分子内に対称的に側鎖メチル基を有するネオペンチルグリコール成分を有する。しかし、このネオペンチルグリコールは、比較的短鎖長であるので、ポリエステルポリオールのエステル基密度、従って、ポリエステルポリオールBにポリエステルポリオールAと実質的に同じ程度の極性を与えるが、上記メチル基によって、ポリエステルポリオールBの結晶性を低めると共に、ポリエステルポリオールBに疎水性を与えることとなる。
【0056】
このように、極性及び結晶性共に高いポリエステルポリオールAと共に、ほぼ同等の極性を有するが、結晶性のやや低いポリエステルポリオールBを用いることによって、ポリエステルポリオール成分としての極性を保持しつつ、その結晶性を低めて、得られるポリウレタンエラストマーの耐有機溶剤性を保持しながら、その製造に際しては、ポリイソシアネートとの相溶性を著しく高めることができる。
従って、上記混合物によれば、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを速やかに均一に混合することができるので、注型成形によってポリウレタンエラストマーを得ることができる。
【0057】
上記イソシアネート成分として特に限定されず、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、これらの混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性MDI、水添MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0058】
上記硬化剤としては、従来公知の硬化剤を用いることができ、具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオール、エタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、3,3’−ジクロロ4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の2官能性硬化剤や、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシエトキシメチル)プロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の3価及びこれ以上の多価アルコール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミノ多価アルコール、及びこれら多官能性化合物にてアルキレンオキサイド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又はこれらの混合物を開環重合させてなるアミノ多価アルコール等が挙げられる。
これらのなでは、2価アルコールと3価アルコールとが併用されることか望ましい。但し、3価アルコールは、過多に用いるときは、得られるエラストマーの反発弾性を低くするので、通常、2価アルコールと3価アルコールとの合計量に基づいて、40モル%以下の範囲で用いられることが望ましい。特に、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの組み合わせが好適である。
【0059】
また、これら硬化剤は、上記ポリイソシアネートに対して、通常、イソシアネート基とポリエステルポリオール及び硬化剤の水酸基又はアミノ基の有する活性水素の当量数との比が1.00〜1.50になるように配合される。
【0060】
上記支持体の材質は特に限定されないが、支持体の材質の具体例として、例えば、鋼板、亜鉛めっき鋼板等のめっき鋼板、ステンレス鋼板、銅板、りん青銅板等の金属鋼板が挙げられる。
これらの金属製の支持体は、剛直であるため変形しにくく、切削や変形等の加工が比較的容易であり、また、安価であるため経済的にも有利である。
また、金属製の支持体は他の硬質材料と比べて、ポリウレタンエラストマー等との密着性に優れるため、支持体がスキージ本体から引き抜かれにくい。
また、金属製の支持体では、使用時のスキージ本体の摺動による振動が発生しにくく、印刷膜厚の均一性に優れる。
【0061】
また、支持体の材質としては、ポリカーボネート、アクリル、ガラスエポキシ等の剛質樹脂も使用可能である。このうち、変形しにくく、切削加工が比較的容易である点において、ガラスエポキシ樹脂を使用することが望ましい。
【0062】
本発明のスキージにおいて、支持体及びスキージ本体それぞれのサイズや、自由端長さは特に限定されず、取り付けるスクリーン印刷装置の設計に応じて適宜選択すればよい。なお、一般的なサイズは、厚さが5〜20mm、高さが30〜90mm、幅が100〜300mm、自由端長が10〜30mm程度である。勿論、本発明に係るスキージ本体のサイズがこのサイズに限定されるわけではない。
【0063】
次に、本発明のスキージを製造する方法について説明する。
本発明のスキージの製造は、金型の成形空間内に支持体の一部が位置するように両者を配置し、金型内に未硬化の樹脂組成物を注入した後、樹脂組成物を硬化させ、支持体とスキージ本体とを一体成形することにより行う。
【0064】
このとき、支持体には、必要に応じて予め所定の加工、即ち、曲げ加工や貫通孔の形成等を行っておくことが望ましい。スキージ本体に埋設しない部分の加工であれば、支持体とスキージ本体とを一体成形した後でも可能ではあるが、一体成形前に加工を行うほうが容易に行うことができ、また、スキージ本体等を損傷させるおそれもないからである。
また、支持体のスキージ本体の埋設される部分にプライマー処理や粗化面形成処理を施す場合には、一体成形前に各処理を行っておく。ここで、上記プライマー処理を行う場合は、ブラシ、スポンジローラー等を使用してプライマーを均一に塗布して乾燥すればよい。
【0065】
また、スキージ本体がポリウレタンエラストマーからなる場合、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてプレポリマーとし、このプレポリマーを硬化剤により架橋硬化させるプレポリマー法や、ポリオール成分とイソシアネート成分と硬化剤とを一括して混合し、架橋硬化させるワン・ショット法を採用することができる。
ここで、ポリオール成分としてポリエステルポリオールを用いる場合、特に、ポリエステルポリオールAとポリエステルポリオールBとの混合物を用いる場合には、ワン・ショット法を採用することが望ましい。上述したポリエステルポリオールは比較的高い粘度を有するからである。
【0066】
上記一体形成時の硬化条件は、スキージ本体の材質に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記ポリエステルポリオールA及びBの混合物をポリオール成分とするポリウレタンエラストマーを成形させる場合は、100〜150℃で、20〜120分間、金型内で硬化させ、さらに金型から取り出した後、後硬化させることが望ましい。後硬化は100〜120℃で、3〜24時間の条件で行うことが望ましい。
【0067】
支持体とスキージ本体とを一体成形し、スキージ本体を金型から取り出した後、切削加工を施してスキージ本体の先端面を形成する。
なお、切削加工については既に説明した通りである。
このような方法を用いることにより、本発明のスキージを製造することができる。
【0068】
次に本発明のスキージの使用方法について説明する。
図9は、本発明のスクリーン印刷用スキージの使用方法を説明するための側面図である。
図9では、図4に示したスキージ30を例にその使用方法を説明する。
本発明のスキージは、スクリーン印刷装置(図示せず)が備えるスキージホルダに固定して使用する。
即ち、図9に示すように、スキージ30は、支持体31に形成された貫通孔33にボルト15を挿通してスキージホルダ16に固定する。このとき、スキージ30は、板状のアルミブロック17をスキージホルダ16との間に介在させて固定する。また、アルミブロック17は、貫通孔33と連通する位置にボルト15を挿通するための貫通孔を備えている。なお、アルミブロック17に形成された貫通孔は、ボルト15を挿通させるためのバカ穴である。
そして、本発明のスキージは、スキージホルダに取り付けた状態でスクリーン印刷装置を稼働させることにより使用する。
このような、本発明のスキージでは、既に説明したように、スキージホルダに取り付ける際に、スキージ本体に一切負荷が掛からないため、取り付け時のボルト締めによりスキージ本体が変形するとの不都合が生じることがない。
【0069】
また、図9に示した使用態様では、アルミブロック17を介在させてスキージ30をスキージホルダ16に固定しているが、このアルミブロック17は必要に応じて介在させればよい。
なお、アルミブロック17は、スキージ30の、厚さ方向の取り付け位置を規定する機能を有している。アルミブロック17を介在させると、スキージ本体の先端面を、図10に示されている従来のスキージを使用した場合と同じ位置に設定することが可能となる。よって、従来のスキージと換装する際にスクリーン印刷機本体の改造が不要である。
【0070】
また、本発明のスキージを用いて行う印刷条件は特に限定されないが、スキージ取付角60〜80°、ギャップ(被印刷物とスクリーンとの隙間)0.5〜2.5mm、スキージ押し込み量0.1〜0.5mm、スキージ印圧2〜6kg/cmの条件で印刷を行う場合に好適に使用することができる。
【0071】
以上説明したように、本発明のスキージは、上記支持体と上記スキージ本体とを備え、上記支持体の一部が上記スキージ本体に埋設されるように両者が一体成形されており、スキージホルダに取り付ける際に、スキージ本体には一切負荷が掛からないため、スキージホルダに固定した後も、スキージ本体が変形することがなく、スキージ本体の先端面に良好な真直度を付与することができる。
そのため、本発明のスキージを用いることにより、高い膜厚精度でスクリーン印刷を行うことができる。
【0072】
以下本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
本実施例では、図11(a)に示した形状のスキージを作製した。なお、寸法比率は図11(a)のスキージと同一ではない。
【0074】
スキージ本体用樹脂組成物の調整
(1)エチレングリコール(三菱化学株式会社製)及びジエチレングリコール(三菱化学株式会社製)の等モル混合物とコハク酸(三井化学株式会社製)とをテトラブチルチタネート触媒の存在下、200〜250℃で加熱し、減圧脱水しながら、24時間反応させて、末端水酸基を有し、水酸基価57.7のポリエステルポリオールAを得た。
【0075】
(2)上記(1)とは別に、ジエチレングリコール(三菱化学株式会社製)及びネオペンチルグリコール(三菱ガス化学株式会社製)の等モル混合物とコハク酸(三井化学株式会社製)とをテトラブチルチタネート触媒の存在下、200〜250℃で加熱し、減圧脱水しながら、24時間反応させて、末端水酸基を有し、水酸基価53.4のポリエステルポリオールBを得た。
【0076】
(3)次に、上記ポリエステルポリオールA 75モル部(53.39重量部)と上記ポリエステルポリオールB 25モル部(18.24重量部)とを混合し、100℃に加熱し、攪拌しながら減圧乾燥した。
このようにして得たポリエステルポリオール混合物に、1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)4.11重量部とトリメチロールプロパン(三菱ガス化学株式会社製)0.56重量部とを加え、3分間予備混合した後、これにカルボンジイミド変性したMDI(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソシアネート量29%、三井化学株式会社製)27.75重量部を加え、島崎製作所社製アジターSVを用い、一定の回転数(450rpm)で混合物が均一で透明になるまで混合し、スキージ本体用樹脂組成物とした。
【0077】
支持体の作製
厚さ1.6mmで脱脂処理を施した亜鉛めっき鋼板(神戸製鋼社製、コーベジンクコート SECC−J2)を出発材料として、幅200mm、高さ(図11(a)中、H1)40mmの支持体を作製した。
また、この支持体においては、正面図における下端から28mmの位置であって、左端から順に59.5mm、78.5mm、126.5mm及び145.5mmの位置のそれぞれに貫通孔a〜dを形成した。ここで、貫通孔aは断面が直径5mmの円形の貫通孔であり、貫通孔b、cは断面が直径5.5mmの円形の貫通孔であり、貫通孔dは断面が短径5mm、長径7mmの長円形の貫通孔である。
【0078】
支持体とスキージ本体との一体成形
幅205mm、厚さ9mm、高さ40mmとなるスキージ本体を成形するための金型を用意し、この金型に上記支持体を配設し、金型内に上記スキージ本体用樹脂組成物を注型し、110℃で1時間硬化させた後、スキージ本体を金型から取り外した。
【0079】
スキージ本体の先端面の切削加工
金型から取り外したスキージ本体の先端側を、自由端長さ(図11(a)中、Lf)が19mmとなるように下記の構成からなる装置で切削加工して先端エッジを形成し、スキージを完成した。
(切削装置の構成)
超音波発信器メーカー: 日本エマソン株式会社
本体: ランソン パワーサプライ2000bdc(1100W)
発信器: ランソン コンバータCR−20(20Hz)
刃物ホルダー:ランソン用チタン製ホーン
刃物:5mm厚さの超硬刃
刃物移動速度:300mm/秒
【0080】
(実施例2)
支持体のスキージ本体に埋設される部分に、一体成形前に接着剤層を形成した以外は実施例1と同様にしてスキージを作製した。
接着剤層として、フェノール系接着剤(LORD社製、ケムロック♯218E)を乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布した後、一体成形を行った。
【0081】
(実施例3)
一体成形の前に、支持体のスキージに埋設されない部分に屈曲加工を施した以外は実施例1と同様にして、図11(b)に示した形状のスキージを作製した。
支持体の屈曲加工は、屈曲部長さ(図11(b)中、Lc)が6.6mm、折り曲げ角度(図11(b)中、θ)が90°となるように行った。
【0082】
(実施例4)
一体成形の前に、支持体のスキージに埋設される部分に屈曲加工を施した以外は実施例1と同様にして、図11(c)に示した形状のスキージを作製した。
支持体の屈曲加工は、屈曲部長さ(図11(c)中、Lc)が6.6mm、折り曲げ角度(図11(c)中、θ)が90°となるように行った。なお、この支持体では屈曲部が下側に位置する。
【0083】
(実施例5)
一体成形の前に、支持体のスキージ本体に埋設される部分に貫通加工を施した以外は実施例3と同様にして、図11(d)に示した形状のスキージを作製した。
なお、スキージ本体に埋設される部分の貫通孔は以下のように形成した。
即ち、支持体の下端から10mmの位置(図11(d)中、H3)で、かつ、幅方向に等間隔の位置に6個の貫通孔(直径3mm)を形成した。
【0084】
(実施例6)
一体成形の前に、支持体のスキージ本体に埋設される部分に貫通加工を施した以外は実施例4と同様にして、図11(e)に示した形状のスキージを作製した。
上記貫通加工は、実施例5と同様にして行った。
【0085】
(実施例7)
支持体材料としてガラスエポキシ樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして、図11(a)に示した形状のスキージを作製した。
【0086】
(実施例8)
一体成形の前に、支持体のスキージ本体に埋設される部分に貫通加工を施した以外は実施例7と同様にして、図11(f)に示した形状のスキージを作製した。
上記貫通加工は、実施例5と同様にして行った。
【0087】
(比較例1)
一体成形後に、スキージ本体の先端面を研磨加工した以外は実施例1と同様にしてスキージを作製した。
研磨加工は、MEDIA Squeegee Grinder(美濃商事株式会社製)を使用し、標準研磨砥石にて、砥石回転数1700rpm、スキージ送り速度50mm/秒の条件で行った。
【0088】
(比較例2)
支持体材料としてガラスエポキシ樹脂を使用し、一体成形前に支持体のスキージ本体に埋設される部分に粗化面を形成した以外は比較例1と同様にしてスキージを作製した。粗化面処理は、サンドブラストによる研削処理により行った。
【0089】
(比較例3)
一体成形後にスキージ本体の先端の加工を行わなかった以外は実施例1と同様にしてスキージを作製した。
【0090】
(比較例4)
一体成形後にスキージ本体の先端の加工を行わなかった以外は実施例7と同様にしてスキージを作製した。
【0091】
(比較例5)
図10(a)は、比較例5で製造したスキージを模式的に示す側面図であり、(b)は、(a)の正面図である。
図10(a)、(b)に示すスキージ70では、平板状のスキージ本体72が、支持体71を構成するアルミニウム製の2枚の支持治具71A、71Bの間に挟持され、支持治具71A、71Bを挿通するボルト75を締めつけることで、スキージ本体72が支持体71に固定されている。支持治具71Aは側面視略矩形状であり、支持治具71Bは側面視略L字状で、ボルトを挿通する貫通孔の内壁にはネジ溝が切られている。
【0092】
本比較例では、図10(a)、(b)に示す形状のスキージを製造した。なお、寸法比率はスキージ70と同一ではない。
(1)まず、幅(図10(b)中、W)200mm、厚さ(図10(a)中、t)9mm、高さ(図10(a)中、H2)40mmで、先端面側のエッジがR=0.3mmの面取り形状となるスキージ本体を成形するための金型を用意し、実施例1と同様のスキージ本体用樹脂組成物を金型内に注型し、実施例1と同様の条件で硬化させることによりスキージ本体を作製した。
(2)次に、図10(a)に示すように、支持治具71A、71Bでスキージ本体72を挟み、1Nmの締めつけトルクでボルト75を締めつけることにより、スキージ本体72を支持体71に固定し、スキージ70を完成した。
なお、支持体71は、スキージ本体72の先端面から支持体71の上面まで高さ(図10(a)中、H1)が59mm、スキージ本体72の自由端長さ(図10(a)中、Lf)が19mm、支持治具71A、71Bそれぞれのスキージ本体を把持する部分の厚さ(図10(a)中、T1、T2)がともに7mmとなるように設計している。
また、ボルトの取付位置は、支持体71の正面図(図10(b))における上端から9mmの位置であって、左端から順に59.5mm、78.5mm、126.5mm及び145.5mmの位置の4箇所である。
【0093】
(比較例6〜8)
ボルトの締めつけトルクをそれぞれ、0Nm(比較例6)、2Nm(比較例7)及び5Nm(比較例8)に変更した以外は、比較例5と同様にしてスキージを製造した。
【0094】
スキージの評価
実施例及び比較例で製造したスキージについて、下記の評価を行った。
なお、実施例1〜8及び比較例1〜4で製造したスキージについては、スキージを厚さ7mm、幅200mm、高さ25mmのアルミブロックにボルト締めで固定し(図9参照)、固定後評価用スキージとした。このとき、ボルトの締めつけトルクは、5Nmとした。
なお、本発明のスキージをスキージホルダに取り付ける際に必要に応じて介在させるアルミブロックの貫通孔は、上述したように、通常はバカ穴であるが、本評価では、ボルトに螺合するネジ溝が設けられた貫通孔(ボルト穴)を備えたアルミブロックを使用した。
【0095】
(1)スキージ本体の先端エッジ精度
スキージ本体の先端エッジ精度は、先端部が上方向を向くように立てたスキージの先端部を、スキージの幅方向にスライドするマイクロスコープにより観察した。スキージ先端のエッジを基準線とし、マイクロスコープで観察される変位(先端エッジの欠落)の最大値を算出し、先端エッジ精度とした。
結果を表1に示した。
(観察条件)
マイクロスコープ:VHX−600(キーエンス株式会社製)
レンズ:VH−2450(キーエンス株式会社製)
観察倍率:450倍
【0096】
(2)スキージ本体の先端面の幅方向の真直度
スキージ本体の先端面の幅方向の真直度を、表面粗さ計を使用して下記の方法により評価した。なお、実施例1〜8及び比較例1〜4のスキージについてはアルミブロックに固定する前後の真直度を、比較例5〜8のスキージについては、スキージ本体を支持体に固定する前後の真直度を測定した。
(表面粗さ計及び測定条件)
表面粗さ計:ミツトヨ製サーフテストSV−3100H8
接触端子(スタイラス)形状:60゜、先端R2μm
接触端子押し力:0.75mN
走査速度:10mm/s
【0097】
スキージ本体の先端面が上側を向くように、スキージ(又はスキージ本体)を静置し、上記表面粗さ計を用いて、先端面のエッジから1mmの箇所を幅方向に全長に渡って走査した。測定した変位の最大値と最小値の差を幅方向の真直度とした。なお、測定点は1mm毎とした。
結果を表1に示した。
【0098】
(3)スキージ本体の先端面の倒れ方向の真直度
スキージ本体の先端面が鉛直方向を向くように、スキージ(又はスキージ本体)を横に寝かせて静置し、上記表面粗さ計を用いて、先端面のエッジから1mmの箇所を幅方向に全長に渡って走査した。測定した変位の最大値と最小値の差を倒れ方向の真直度とした。なお、測定点は1mm毎とした。
結果を表1に示した。
なお、本評価でも、実施例1〜8及び比較例1〜4のスキージについてはアルミブロックに固定する前後の真直度を、比較例5〜8のスキージについては、スキージ本体を支持体に固定する前後の真直度を測定した。
【0099】
(4)支持体とスキージ本体との(接着性)密着性
支持体を固定した後、スキージ本体を掴んで180度方向へ引き抜く引き抜き試験を行い、単位幅あたりの引き抜き強さを測定した。
結果を表1に示した。
【0100】
(5)印刷特性
実施例及び比較例で製造したスキージを使用して、下記の条件でスクリーン印刷を行った。
(印刷条件)
スクリーン印刷装置(東海商事株式会社製、セリア SSA−PC660)
スクリーン枠:300×300mm(東海商事株式会社製)
スクリーンメッシュ:SUS#400(東海商事株式会社製)
スクリーンメッシュ開口:120×120mm
インキ:ニッケル粉分散ペースト(大研化学工業株式会社製)
被印刷物:OHPフィルム(住友スリーエム株式会社製)
スキージ取付角:75°
ギャップ(被印刷物とスクリーンとの隙間):1.3mm
スキージ押し込み:0.1mm
スキージ印圧:4kg/cm
【0101】
印刷膜厚を2〜4μmに設定してスクリーン印刷を10回反復して行った後、印刷面積全域にわたって印刷膜厚をマイクロメータ(株式会社ミツトヨ製、OMM−25)で評価し、最大印刷膜厚部位と最小印刷膜厚部位を特定した。それぞれの部位において印刷物を縦方向に切断し、切断面を顕微鏡で観察して印刷膜厚を測定した。
印刷面積全域での最大印刷膜厚と最小印刷膜厚の差(Δt)を印刷特性として、結果を表1に示した。
Δtの値が小さいほど印刷膜厚が均一である。
【0102】
(6)局所的印刷特性
上述の印刷条件により、5μmの印刷膜厚でスクリーン印刷を1回行った。被印刷物を幅方向に切断し、スキージの先端エッジの誤差が最大となる部分に対応する被印刷物断面を、マイクロスコープで観察した。
マイクロスコープ視野内(幅0.7mm)において、スキージのエッジ誤差に起因する局所的な印刷膜厚の誤差、すなわち被印刷物上の凸が観察されないものをAランク、印刷厚みの2倍以下の凸が観察されるものをBランク、印刷厚みの2倍を超える凸が観察されるものをCランクとして評価し、結果を表1に示した。
【0103】
【表1】
【0104】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜8のスキージを用いることにより、比較例1〜8のスキージを用いる場合に比べて、印刷特性及び局所的印刷特性が共に向上することが明らかとなった。
これは、スキージを製造する際に担保したスキージ本体の先端面の高い真直度が、スクリーン印刷装置に取り付けた後も維持され、また、スキージ本体の先端エッジ精度が向上したためであると考えられた。
比較例1〜4では、局所的印刷特性が低下していた。これは、スキージ本体の先端に研磨加工が施されている場合及び未処理の場合は、先端のエッジ精度が十分ではないためであると考えられた。
比較例5、6では、スクリーン印刷装置に取付けた後の先端面の真直度の低下の度合いは小さかったものの、印刷膜厚の均一性が低かった。これは、支持体がスキージ本体を確実に保持できていなかったためであると考えられた。
比較例7、8では、スクリーン印刷装置に取り付けると真直度が低下し、印刷特性も同時に低下した。これは、ボルト締めによりスキージ本体が変形したためであると考えられた。
【符号の説明】
【0105】
10、20、30、40、50 スキージ
11、21、31、41、51 支持体
12、22、32、42、52、102、103、104、105 スキージ本体
Lf 自由端長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷用スキージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス分野においては、製造技術として、生産性や低環境負荷の面から印刷工法が注目されており、印刷工法の一つであるスクリーン印刷の技術が製造プロセスに組み込まれている。
例えば、導体層と誘電体層とを交互に積層した積層コンデンサの製造プロセスにおいては、スクリーン印刷により、印刷膜厚数μmで数十〜数百回の積層印刷が行われており、幅方向では数十〜数百個の積層コンデンサを同時に製造している。
そして、製品の品質の安定化を図り、歩留りを向上させるためには高い印刷精度を達成すること、即ち、印刷面全体で印刷膜厚を均一化し、かつ、局所的な印刷不良を発生させないことが重要である。
【0003】
スクリーン印刷において高い印刷精度を達成するためには、一般に、スクリーン印刷用スキージの長手方向での、及び、スキージ交換ごとでの、印圧(スクリーンとの接触部の押し圧)、及び、スクリーンに対する接触角度を一定(均一)にすることが重要であるとされている。
また、具体的なスクリーン印刷用スキージとしては、例えば、ポリウレタンエラストマーからなる板状のスキージ本体の一端を金属製の支持体で挟み、ボルト締めによりスキージ本体を支持体に固定したスクリーン印刷用スキージが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなスクリーン印刷用スキージを用いてスクリーン印刷を行った場合、印刷膜厚を数μmで制御しようとすると、印刷膜厚が印刷面全体で一定にならず、印刷部位ごとに膜厚のバラツキが発生することがあった。
【0005】
また、従来のスキージでは、多数回の積層印刷に使用すると、被印刷物上に、スキージの進行方向に線状の凸部が形成されること、即ち、局所的な印刷不良を発生することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−272090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
印刷面全体での印刷膜厚が均一とならない原因として、スクリーン印刷用スキージの印圧やスクリーンに対する接触角度が均一になっていないことが予想されたが、その根本原因については定かではなかった。
そこで、本発明者が研究を重ねたところ、上記印圧や接触角度が不均一になる原因が、スキージ本体をボルト締めにより支持体に固定した際に、締め付け部とそれ以外の部分とでスキージ本体に負荷される締め付け圧力が異なるため、部位毎にスキージ本体の変形の度合いが異なり、スキージ本体の特に先端面が波打つように変形し、その結果、先端面の真直度が低下してしまうことにあることが明らかとなった。
そこで、本発明者は、この問題点を解決すべく、鋭意検討を重ね、スキージホルダに固定した際に、スキージ本体が変形せず、先端面の真直度が維持されるスクリーン印刷用スキージを完成した。
【0008】
一方、被印刷物上に線状の凸部が形成されるという問題は、スキージ先端のエッジに微小な欠落が存在することが原因であると考えられた。
そこで、本発明者は、スキージ先端の加工方法に検討を加え、欠落がなく高い先端エッジ精度を有するスクリーン印刷用スキージを完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスクリーン印刷用スキージは、支持体と、弾性樹脂からなり板状のスキージ本体とを備え、
上記支持体の一部が上記スキージ本体に埋設されるように、両者が一体成形されており、前記スキージ本体の先端面は、切削加工により形成された面であることを特徴とする。
【0010】
上記スクリーン印刷用スキージにおいて、上記切削加工は刃物を用いて行われることが望ましく、前記支持体は、金属製又は樹脂製であることが望ましい。
また、上記スクリーン印刷用スキージは、上記支持体の上記スキージ本体に埋設されていない部分に、スキージホルダに取り付ける際に位置決め基準となる貫通孔が形成されており、上記切削加工が、前記貫通孔を基準に施されていることが望ましい。
【0011】
上記スクリーン印刷用スキージにおいて、上記支持体は、その一部が屈曲していることが望ましい。
上記支持体の少なくとも屈曲した部分は、上記スキージ本体に埋設されていることが望ましく、上記支持体の屈曲した部分の折り曲げ角度は、90〜165°であることが望ましい。
上記支持体は、屈曲していない部分が上記スキージ本体の厚さ方向中央部に位置するように埋設されていることが望ましい。
【0012】
上記スクリーン印刷用スキージにおいて、上記弾性樹脂はポリウレタンエラストマーであることが望ましく、上記ポリウレタンエラストマーは、ポリエステルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンエラストマーであることが望ましい。
さらに、上記ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール10〜90重量%と、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール90〜10重量%の混合物であることが望ましい。
【0013】
なお、以下、本明細書においては、単に「スキージ」と表記した場合、特にことわりの無い限り「スクリーン印刷用スキージ」を意味することとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスキージは、支持体と、弾性樹脂からなり板状のスキージ本体とを備え、上記支持体の一部が上記スキージ本体に埋設されるように両者が一体成形されており、スキージホルダに取り付ける際に、スキージ本体には一切負荷が掛からないため、スキージホルダに固定した後も、スキージ本体が変形することがなく、スキージ本体の先端面の真直度(幅方向の真直度、及び、倒れ方向の真直度)を維持することができる。このようなスキージを用いることにより、印刷面全体において高い膜厚精度でスクリーン印刷を行うことができる。
さらに、本発明のスキージ本体の先端面は、切削加工により形成されるので微小な欠落がなく、高い先端エッジ精度が維持されている。よって、本発明のスキージを用いると、上記のように印刷面全体において高い膜厚精度が維持されるのみならず、数十〜数百回の積層印刷を行う場合であっても、被印刷物に線状の凸部が生じることを回避でき、局所的な印刷不良の問題も解消できる。
【0015】
以下、本明細書において、単に先端面の真直度と表記した場合、幅方向の真直度と倒れ方向の真直度との両者を示すこととする。
【0016】
なお、本発明において、スキージ本体の先端面の幅方向の真直度(以下、単にスキージ本体の幅方向真直度ともいう)は、スキージ本体の先端面が水平方向を向くように、スキージを静置し、先端面におけるエッジから約1mmの箇所を幅方向に全長に渡って粗さ計で走査し、測定した変位量の最大値と最小値の差を算出することにより定める。
また、スキージ本体の先端面の倒れ方向の真直度(単にスキージ本体の倒れ方向真直度ともいう)は、スキージ本体の先端面が鉛直方向を向くように、スキージを横に寝かせて静置し、先端面のエッジから水平方向に約1mmの箇所を幅方向に全長に渡って粗さ計で走査し、測定した変位の最大値と最小値の差を算出することにより定める。
なお、スキージ本体の形状が板状でない場合(例えば、剣スキージの場合等)には、幅方向真直度及び倒れ方向真直度の測定箇所を若干変更する必要がある。これについては、後述する。
【0017】
また、本発明において、スキージ本体の先端エッジ精度は、先端部が上方向を向くように立てたスキージの先端部を、スキージの幅方向にスライドするマイクロスコープにより観察する。このとき、スキージ先端のエッジを基準線とし、マイクロスコープで観察される変位(先端エッジの欠落)の最大値を算出し、先端エッジ精度とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のスクリーン印刷用スキージの一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示したスクリーン印刷用スキージのA−A線断面図であり、(b)は、図1に示したスクリーン印刷用スキージの正面図である。
【図3】本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例の側面部である。
【図4】本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例の側面部である。
【図5】(a)は、本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図である。
【図6】本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例の側面部である。
【図7】(a)〜(d)は、それぞれ本発明のスキージを構成するスキージ本体の先端面近傍の形状を模式的に示す側面図である。
【図8】スキージ先端の切削加工装置の一例の側面図である。
【図9】図4に示した本発明のスクリーン印刷用スキージの使用方法を説明するための側面図である。
【図10】(a)は、比較例5で製造したスキージを模式的に示す側面図であり、(b)は、(a)の正面図である。
【図11】(a)〜(f)は、実施例1〜8で製造したスキージを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明のスクリーン印刷用スキージの一例を模式的に示す斜視図であり、図2(a)は、図1に示したスクリーン印刷用スキージのA−A線断面図であり、(b)は、図1に示したスクリーン印刷用スキージの正面図である。
なお、本明細書においては、スキージの形状を説明するに際して、図1中、X軸方向を厚さ(又は厚さ方向)、Y軸方向を幅(又は幅方向)、Z軸方向を高さ(高さ方向)ということとする。
【0020】
図1、2に示すように、スキージ10は、金属製の支持体11と、ポリウレタンエラストマーからなり板状のスキージ本体12とを備え、支持体11の一部がスキージ本体12に埋設され、両者が一体成形されている。
支持体11のスキージ本体12に埋設されていない部分には、4つの貫通孔13a〜13cが設けられている。
支持体11のスキージ本体12に埋設されている部分にも等間隔で6つの貫通孔14が形成されており、貫通孔14内にもスキージ本体12を構成するポリウレタンエラストマーが充填されている。
【0021】
このような、スキージ10では、支持体11の一部がポリウレタンエラストマーからなるスキージ本体12に埋設され、両者が一体成形されているため、スキージ10をスキージホルダ(図9中、符号16参照)に固定しても、スキージ本体12には一切負荷が掛からず、スキージ本体12の先端面12aに変形(たわみ)が発生せず、先端面12aの真直度が維持されることとなる。
また、スキージ本体12の先端面12aは後述のように切削加工により形成されるので、先端エッジ12bは高い精度を有しており、局所的な印刷特性の点でも優れている。
なお、本発明において、スキージ本体の先端面とは、板状のスキージ本体の側面であって、使用時にスクリーンと対向することとなる面をいう。また、スキージ本体の先端面のエッジとは、スキージの先端に形成される稜線部をいう。
【0022】
貫通孔13a〜13cは、それぞれ下記の機能を果たすことができる。また、本発明においては、貫通孔13a、13b及び13cのそれぞれを位置決め円穴13a、位置決め長円穴13b、及び、固定用穴(バカ穴)13cとも称する。
【0023】
・貫通孔13a(位置決め円穴13a)
位置決め円穴13aは、スキージ10が取り付けられるスキージホルダ(図9中、符号16参照)に対する幅方向及び高さ方向の位置決め基準として機能することができる。
即ち、スキージ10は、例えば、スキージホルダにボルトで固定することとなるため、位置決め円穴13aの内径をボルト径と合わせておくことにより、ボルトを位置決め円穴13aに挿通することにより、スキージを所定の位置に取り付けることができるのである。
また、位置決め円穴13aには、ボルトを挿通しない態様でスキージをスキージホルダに取り付ける場合であっても、スキージホルダの取付面や、必要に応じて、スキージとスキージホルダとの間に介在させるアルミブロックの所定の位置に突起部を設けておけば、この突起部を位置決め円穴13aに嵌合させることにより、スキージを確実に所定の位置に取り付けることができるのである。
【0024】
・貫通孔13b(位置決め長円穴13b)
位置決め長円穴13bは、スキージ10が取り付けられるスキージホルダに対する縦方向の位置決め基準として機能することができる。
即ち、位置決め長円穴13bの高さ方向の径を、スキージを取り付ける際に使用するボルト径と合わせておき、位置決め長円穴13bにボルトを挿通することにより、スキージを高さ方向の所定の位置に取り付けることができるのである。
一方、位置決め長円穴13bでは、幅方向の径をボルト径よりも大きくしておく。
本発明のスキージは、後述するように支持体とスキージ本体とを一体成形することにより製造するが、この製造工程においては加熱処理が行われることがあり(スキージ本体材料の樹脂組成物を硬化させるため)、このような加熱処理が行われると支持体の寸法が若干ながら変化することがある。また、樹脂組成物を硬化する際には樹脂組成物が収縮し、そのときの応力によっても支持体の寸法が若干ながら変化することがある。しかしながら、支持体の幅方向の寸法が一体成形前後で変化したとしても、ボルト穴として機能する貫通孔として断面長円形(断面角丸長方形)の位置決め長円穴13bを形成しておけば、位置決め長円穴13bを介して、高さ方向の位置決めを行いつつスキージをボルトでスキージホルダに固定することができるのである。
【0025】
・貫通孔13c(固定用穴(バカ穴)13c)
固定用穴13cは開口径がスキージを取り付ける際に使用するボルト径に対して大きく、スキージをスキージホルダに取り付ける際の位置決めには関与せず、単にスキージをスキージホルダに固定する際に使用するボルトを挿通する機能のみを果たす。
本発明のスキージを製造する際には、上述したように、支持体の寸法が若干ながら変化することがあるが、この寸法変化により、固定用穴13cの位置決め円穴13aに対する位置が設計から若干ずれたとしても、固定用穴13cの開口径をボルト径に対して大きくしておくことにより、寸法変化を許容することができるのである。
【0026】
なお、貫通孔13a〜13cの形成位置や個数は、スキージ10を取り付けるスキージホルダの設計に依存し、特に限定されるものではない。
【0027】
また、支持体11のスキージ本体12に埋設した部分には貫通孔14が形成され、スキージ本体12を構成するポリウレタンエラストマーがその内部にも充填されている。このような構成を備えることにより、支持体11とスキージ本体12との接着強度がより向上し、支持体11がスキージ本体12からより抜けにくくなる。支持体の幅あたりの、スキージ本体からの引き抜き強度は、0.5kg/cmより大きいことが望ましい。0.5kg/cmより小さいと、印刷時にスキージ本体がずれることによりスキージの取り付け位置精度が低下し、印刷膜厚が不均一となるからである。
なお、貫通孔14は必要に応じて形成すればよく、その形状や個数、形成位置は特に限定されない。
【0028】
本発明のスキージでは、スキージ本体の先端面の真直度は、スキージホルダへの取り付け前後で維持されることとなる。そのため、上記真直度は、スキージホルダへの取り付け前の状態で良好であることが望ましい。
上記スキージ本体の先端面の真直度は、上記方法で測定した変位量の最大値と最小値の差で、0.10mm以下であることが望ましく、0.025mm以下であることがより望ましい。
0.10mmを超えると、印刷膜厚を印刷面全体にわたり数μmで制御することが困難だからである。
【0029】
一方、本発明のスキージ本体の先端エッジ精度は、上記方法で測定した変位量の最大値と最小値の差で、0.050mm以下であることが望ましく、0.010mm以下であることがより望ましい。
0.050mmを超えると、局所的な印刷膜厚が不均一となり、多数回の積層印刷を行った場合に、スキージ進行方向に、不均一に積層したインクによる線状の凸が生じてしまうからである。
本発明のスキージでは、スキージ本体の先端エッジ精度を向上させるために、上記先端面は切削加工により形成される。切削加工は刃物を用いて行われることが望ましい。これにより、真直度に優れる先端面を確実かつ容易に形成することができるからである。
また、上記刃物は、硬刃であることが望ましい。
上記切削加工は丸刃でも行うことができるが、丸刃を用いた場合、その刃先の一部にでも欠けが生じると加工精度が低下して先端エッジ精度の低下を招くため、丸刃自体を交換しなければならず、刃先の確認作業と交換作業とが煩雑で生産性に劣り、不経済であるのに対し、硬刃を用いた場合にはこのような不都合は生じないからである。
また、刃物を用いて切削加工を行う場合、この切削加工は、刃物を超音波振動させつつ切削を行う、所謂、超音波カッターを用いて行うことが望ましい。
スキージ本体の材質や厚さによっては、切削加工が困難な場合があるが、そのような場合でも、超音波カッターを用いれば確実に切削加工を行うことができるからである。
上記切削加工は、例えば、後述の図8に示した装置によって行うこともできる。なお、図8に示した装置を用いる場合は、刃物85の切り込み角度を、スキージ本体の先端面の形状に合わせて適宜変更する必要がある。
なお、先端面を研磨加工により形成した場合、先端面に微小な凹凸が発生し、エッジ精度の低下に繋がる。よって、研磨加工によるエッジの形成は、好ましくない。
【0030】
スキージ本体の先端面の切削加工は、支持体に設けた位置決め円穴を基準として行うことが望ましい。上述のように、本発明のスキージは支持体に設けられた位置決め円穴を基準としてスキージホルダへ取り付けられるので、切削加工も同様に位置決め円穴を基準として行うことにより、スキージをスキージホルダに取り付けた際に、スキージの先端面と、スクリーンとの位置関係を確実に設計位置に制御することができるからである。
【0031】
本発明のスキージの形状は、図1、2に示した形状に限定されるわけではなく、例えば、図3〜6に示した形状であってもよい。
図3、4、6は、それぞれ本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例の側面部である。
図5(a)は、本発明のスクリーン印刷用スキージの別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図である。
【0032】
図1、2に示したスキージ10を構成する支持体11は、平板状を有しているが、本発明のスキージでは、図3、4に示すスキージ20、30のように、支持体21、31は、それぞれその一部が屈曲していてもよい。
このように、支持体の一部を屈曲させることにより、支持体の一部をスキージに埋設させる前後、特に埋設させる前において、支持体がたわんだり、湾曲したりして変形することを防止することができる。そのため、スキージをスキージホルダに固定する際の取付精度(スキージの位置精度)を向上させることができる。
【0033】
また、スキージ20とスキージ30とでは支持体の屈曲位置が異なっているが、両者を比較した場合、支持体31の屈曲した部分が、スキージ本体32に埋設された構造のスキージ30のほうが望ましい。
このような形状のスキージ30では、支持体31の屈曲した部分がスキージ本体32に埋設されているため、上記効果に加えて、スキージ30では、支持体31のスキージ本体32からの引き抜き強度が向上するという効果を奏する。引き抜き強度が向上することにより、スキージ本体のずれを防ぎ、取付け位置精度を向上させることができ、印刷面全体における印刷膜厚の均一化につながる。
また、支持体の屈曲した部分がスキージ本体に埋設されたスキージでは、スキージホルダの形状が制限されない。また、スキージ本体の両面を使用することができる。その結果、スキージとしての寿命が2倍になり経済性にも優れることなる。
【0034】
また、図4に示すように、支持体31の屈曲した部分がスキージ本体32に埋設されたスキージ30では、支持体31の屈曲していない部分がスキージ本体32の厚み方向中央部に位置することが望ましい。このようなスキージでは、両面を使用する場合に、いずれの面を使用してもスクリーンに対するスキージ先端の位置が一定であり、使用面を交換する際にスキージ取付け位置の再調整が不要だからである。
なお、図3中、22は、スキージ本体である。
【0035】
本発明のスキージの形状は、図5(a)、(b)に示したスキージ40のような形状を有していてもよい。
スキージ40は、平板状の支持体の一部に複数の切込み部を設け、この切込み部が設けられた部分を互い違いに相反する方向に屈曲させた屈曲部41a、41bを有する支持体41を備え、支持体41の屈曲部41a、41bが、スキージ本体42に埋設された構造を有している。
このようなスキージ40では、図4に示したスキージ30と同様の効果を奏し、加えて、支持体41の側面視形状が左右対象であるため、よりスキージ本体の両面に使用するのに適することとなる。
【0036】
本発明のスキージにおいて、図3〜5に示すように、支持体の一部が屈曲している場合、屈曲した部分の折り曲げ角度(図3〜5中、θと示す)は、90〜165°であることが望ましく、支持体のたわみや湾曲の防止効果のためには、90〜135°であることがより望ましい。
165°を超えると、上述した支持体の一部を屈曲させることによる効果を享受することができない場合があり、90°未満では、支持体の屈曲点の強度が低下するおそれがあるからである。
【0037】
本発明のスキージの形状は、図6に示したスキージ50のような形状を有していてもよい。
スキージ50は、その一部が波状に湾曲した波状湾曲部51aを有する支持体51を備えており、支持体51の波状湾曲部51aがスキージ本体52に埋設された構造を有している。
このような形状のスキージ50もまた、図4に示したスキージ30と同様の効果を奏することができる。
【0038】
図3〜図6に示したスキージ20、30、40、50では、支持体のスキージ本体に埋設された部分に貫通孔が形成されていないが、これらの形状のスキージにおいても、図1、2に示したスキージ10と同様、支持体のスキージ本体に埋設された部分に貫通孔が形成されていてもよい。貫通孔が形成されることにより、両者がより確実に一体化されるからである。
【0039】
また、本発明のスキージでは、支持体のスキージ本体に埋設された部分の表面には、接着剤層が形成されていてもよい。これにより、両者の接着強度が向上し、支持体がスキージ本体からより外れにくくなるからである。
上記接着剤としては特に限定されず、通常金属に用いるものを使用することができる。具体例としては、例えば、ウレタン系、ポリエステル系、シラン系、ポリアミド系、フェノール系の接着剤を使用することができる。
また、接着剤層に代えてシランカップリング剤層が形成されていてもよい。
【0040】
また、本発明のスキージでは、支持体のスキージ本体に埋設された部分の表面に粗化面が形成されていてもよい。粗化面を形成することで、アンカー効果により、両者の接着強度が向上し、支持体がスキージ本体からより外れにくくなるからである。この場合、スキージ本体のずれを防止することによりスキージの取付け位置精度が向上し、印刷膜厚の均一化につながる。
上記粗化面を形成する方法としては特に限定されず、例えば、エッチング処理、メッキ処理、研磨処理、酸化処理、サンドブラストによる研削処理等が挙げられる。
【0041】
また、ここまで説明したスキージでは、スキージ本体の先端面側のエッジ(板状のスキージ本体において、主面と先端面とが成す稜線部分:図2(a)中、12bと示す部分)の角度が90°であるが、本発明のスキージにおいて、スキージ本体の先端面側のエッジの形状はこのような形状に限定されるわけではなく、例えば、図7(a)〜(d)に示すような形状であってもよい。
【0042】
図7(a)〜(d)は、それぞれ、本発明のスキージを構成するスキージ本体の先端面近傍の形状を模式的に示す側面図である。
図7(a)に示すスキージ本体102は、一体成形後の形状である。先端面102aに後述の超音波カッターによる切削加工が施され、先端エッジ102bが形成される。
なお、本形態のスキージ本体において、幅方向真直度を測定する際には先端エッジ102bから1mmの部分を測定し、倒れ方向真直度を測定する際には主面の平坦な部分のうち、先端エッジ102bから1mmの部分を測定する。
【0043】
図7(b)に示すスキージ本体103は、その先端面側が尖った形状に加工された先端エッジ103bを有する、所謂、剣スキージである。先端エッジ103bは後述する図8に示す装置により形成される。
なお、本形態のスキージ本体において、幅方向真直度を測定する際には、先端エッジ103bの部分を測定し、倒れ方向真直度を測定する際には、先端エッジ103bから1mmの部分を測定する。
【0044】
図7(c)に示すスキージ本体104は、その先端面104a側の片エッジの部分にC面取りが施され、先端エッジ104bが形成された形状を有している。先端エッジ104bは後述する図8に示す装置により形成される。
なお、本形態のスキージ本体において、幅方向真直度を測定する際には、先端面のうち平坦な部分(C面取りが施されていない部分)であってC面取りが施された側の最も外側の部分から1mmの部分を測定し、倒れ方向真直度を測定する際には、C面取りが施された側の主面の平坦な部分(C面取りが施されていない部分)のうち、最も先端面側の部分から1mmの部分を測定する。
【0045】
図7(d)に示すスキージ本体105は、その先端面105a側の両側にC面取りが施され、先端エッジ105bが形成された形状を有している。先端エッジ105bは後述する図8に示す装置により形成される。
なお、本形態のスキージ本体において、幅方向真直度を測定する際には先端面のうち平坦な部分(C面取りが施されていない部分)の最も外側の部分から1mmの部分を測定し、倒れ方向真直度を測定する際には主面の平坦な部分(C面取りが施されていない部分)のうち、最も先端面側の部分から1mmの部分を測定する。
【0046】
図7(a)〜(d)に示したスキージ本体の先端面側の形状は、切削加工により形成される。
切削加工は刃物を用いて行われることが望ましい。これにより、真直度に優れる先端面を確実かつ容易に形成することができるからである。
また、上記刃物は、硬刃であることが望ましい。
上記切削加工は丸刃でも行うことができるが、丸刃を用いた場合、その刃先の一部にでも欠けが生じると加工精度が低下して先端エッジ精度の低下を招くため、丸刃自体を交換しなければならず、刃先の確認作業と交換作業とが煩雑で生産性に劣り、不経済でもあるのに対し、硬刃を用いた場合にはこのような不都合は生じないからである。
また、刃物を用いて切削加工を行う場合、この切削加工は、刃物を超音波振動させつつ切削を行う、所謂、超音波カッターを用いて行うことが望ましい。
スキージ本体の材質や厚さによっては、切削加工が困難な場合があるが、そのような場合でも、超音波カッターを用いれば確実に切削加工を行うことができるからである。
【0047】
上記切削加工は、例えば、図8に示した装置によって行うこともできる。
図8は、装置を用いてスキージ本体の先端部81を切削する状態を示した側面模式図の一例である。切削する装置は、スキージ本体87を載置するためのセット治具82、スキージ本体87のカット位置を決めるための位置決め治具83、載置されたスキージ本体87を上部から押さえてカット中のスキージ本体の位置を固定するための押さえ治具84、スキージ本体の角81をカットするための刃物85、及び、カット中に刃物85を固定するための刃物固定治具86を有するものである。
【0048】
図8の装置においては、先ずセット治具82及び位置決め治具83によって載置位置が決められたセット治具82上に、スキージ本体87を載置する。次いで、載置されたスキージ本体87の上面から押さえ治具84によって圧力をかけて押さえることによってスキージ本体87の位置を固定する。このようにして固定されたスキージ本体87の角81を、刃物固定治具86によって固定されている刃物85を使用してカットして(短冊状長手方向に刃物を走らせる)当接エッジを作製することにより、所望の先端エッジを有するスキージ本体87を製造することができる。
【0049】
次に、本発明のスキージを構成する構成部材の材質等について説明する。
上記スキージ本体の材質は、弾性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン系ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。
これらのなかでは、機械的強度及び耐磨耗性に優れる点からポリウレタンエラストマーが望ましい。
また、ポリウレタンエラストマーとしては、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールからなるポリオール成分とイソシアネート成分との反応物であるウレタンプレポリマーを硬化剤にて硬化させたものを用いることができるが、より耐磨耗性に優れる点で、ポリオール成分として、ポリエステルポリオールを用いたものが望ましい。
【0050】
上記ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸とグリコール成分とを脱水縮合させたものを用いることができる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上用いても良い。
これらのなかでは、コハク酸を用いることが望ましい。スキージ本体の諸物性、特に、耐溶剤性に優れるからである。
【0051】
上記グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
また、上記ジカルボン酸と上記グリコール成分とは、モル比1.1〜1.3にて150〜300℃で反応させればよい。
【0052】
上記ポリエステルポリオールとしては、特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール(以下、ポリエステルポリオールAともいう)10〜90重量%と、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール(以下、ポリエステルポリオールBともいう)90〜10重量%の混合物が望ましい。
【0053】
上記混合物は、ポリエステルポリオール成分A20〜80重量%と、ポリエステルポリオール成分B80〜20重量%の混合物であることがより望ましい。
このような混合物を用いることで、ポリウレタンエラストマーの耐有機溶剤性が極めて優れることとなるからである。この理由を以下に説明する。
【0054】
上記ポリエステルポリオールAは、ジカルボン酸が短鎖長のコハク酸からなり、グリコール成分が短鎖長のエチレングリコールと共にジエチレングリコールよりなるため、コハク酸の有するメチレン基とエチレングリコールの有するメチレン基によって、ポリエステルポリオールにおけるエステル基密度を高めると共に、結晶性を高め、更に、ジエチレングリコールのエーテル基もまた、ポリエステルポリオールの結晶性を高めることとなる。かくして、ポリエステルポリオールAは、極性及び結晶性が共に高く、得られるポリウレタンエラストマーに非常に高度な耐有機溶剤性を与えることとなる。
【0055】
一方、上記ポリエステルポリオールBは、上記ポリエステルポリオールAにおいて、エチレングリコール成分に代えて、分子内に対称的に側鎖メチル基を有するネオペンチルグリコール成分を有する。しかし、このネオペンチルグリコールは、比較的短鎖長であるので、ポリエステルポリオールのエステル基密度、従って、ポリエステルポリオールBにポリエステルポリオールAと実質的に同じ程度の極性を与えるが、上記メチル基によって、ポリエステルポリオールBの結晶性を低めると共に、ポリエステルポリオールBに疎水性を与えることとなる。
【0056】
このように、極性及び結晶性共に高いポリエステルポリオールAと共に、ほぼ同等の極性を有するが、結晶性のやや低いポリエステルポリオールBを用いることによって、ポリエステルポリオール成分としての極性を保持しつつ、その結晶性を低めて、得られるポリウレタンエラストマーの耐有機溶剤性を保持しながら、その製造に際しては、ポリイソシアネートとの相溶性を著しく高めることができる。
従って、上記混合物によれば、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを速やかに均一に混合することができるので、注型成形によってポリウレタンエラストマーを得ることができる。
【0057】
上記イソシアネート成分として特に限定されず、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、これらの混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性MDI、水添MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0058】
上記硬化剤としては、従来公知の硬化剤を用いることができ、具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオール、エタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、3,3’−ジクロロ4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の2官能性硬化剤や、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシエトキシメチル)プロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の3価及びこれ以上の多価アルコール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミノ多価アルコール、及びこれら多官能性化合物にてアルキレンオキサイド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又はこれらの混合物を開環重合させてなるアミノ多価アルコール等が挙げられる。
これらのなでは、2価アルコールと3価アルコールとが併用されることか望ましい。但し、3価アルコールは、過多に用いるときは、得られるエラストマーの反発弾性を低くするので、通常、2価アルコールと3価アルコールとの合計量に基づいて、40モル%以下の範囲で用いられることが望ましい。特に、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの組み合わせが好適である。
【0059】
また、これら硬化剤は、上記ポリイソシアネートに対して、通常、イソシアネート基とポリエステルポリオール及び硬化剤の水酸基又はアミノ基の有する活性水素の当量数との比が1.00〜1.50になるように配合される。
【0060】
上記支持体の材質は特に限定されないが、支持体の材質の具体例として、例えば、鋼板、亜鉛めっき鋼板等のめっき鋼板、ステンレス鋼板、銅板、りん青銅板等の金属鋼板が挙げられる。
これらの金属製の支持体は、剛直であるため変形しにくく、切削や変形等の加工が比較的容易であり、また、安価であるため経済的にも有利である。
また、金属製の支持体は他の硬質材料と比べて、ポリウレタンエラストマー等との密着性に優れるため、支持体がスキージ本体から引き抜かれにくい。
また、金属製の支持体では、使用時のスキージ本体の摺動による振動が発生しにくく、印刷膜厚の均一性に優れる。
【0061】
また、支持体の材質としては、ポリカーボネート、アクリル、ガラスエポキシ等の剛質樹脂も使用可能である。このうち、変形しにくく、切削加工が比較的容易である点において、ガラスエポキシ樹脂を使用することが望ましい。
【0062】
本発明のスキージにおいて、支持体及びスキージ本体それぞれのサイズや、自由端長さは特に限定されず、取り付けるスクリーン印刷装置の設計に応じて適宜選択すればよい。なお、一般的なサイズは、厚さが5〜20mm、高さが30〜90mm、幅が100〜300mm、自由端長が10〜30mm程度である。勿論、本発明に係るスキージ本体のサイズがこのサイズに限定されるわけではない。
【0063】
次に、本発明のスキージを製造する方法について説明する。
本発明のスキージの製造は、金型の成形空間内に支持体の一部が位置するように両者を配置し、金型内に未硬化の樹脂組成物を注入した後、樹脂組成物を硬化させ、支持体とスキージ本体とを一体成形することにより行う。
【0064】
このとき、支持体には、必要に応じて予め所定の加工、即ち、曲げ加工や貫通孔の形成等を行っておくことが望ましい。スキージ本体に埋設しない部分の加工であれば、支持体とスキージ本体とを一体成形した後でも可能ではあるが、一体成形前に加工を行うほうが容易に行うことができ、また、スキージ本体等を損傷させるおそれもないからである。
また、支持体のスキージ本体の埋設される部分にプライマー処理や粗化面形成処理を施す場合には、一体成形前に各処理を行っておく。ここで、上記プライマー処理を行う場合は、ブラシ、スポンジローラー等を使用してプライマーを均一に塗布して乾燥すればよい。
【0065】
また、スキージ本体がポリウレタンエラストマーからなる場合、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてプレポリマーとし、このプレポリマーを硬化剤により架橋硬化させるプレポリマー法や、ポリオール成分とイソシアネート成分と硬化剤とを一括して混合し、架橋硬化させるワン・ショット法を採用することができる。
ここで、ポリオール成分としてポリエステルポリオールを用いる場合、特に、ポリエステルポリオールAとポリエステルポリオールBとの混合物を用いる場合には、ワン・ショット法を採用することが望ましい。上述したポリエステルポリオールは比較的高い粘度を有するからである。
【0066】
上記一体形成時の硬化条件は、スキージ本体の材質に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記ポリエステルポリオールA及びBの混合物をポリオール成分とするポリウレタンエラストマーを成形させる場合は、100〜150℃で、20〜120分間、金型内で硬化させ、さらに金型から取り出した後、後硬化させることが望ましい。後硬化は100〜120℃で、3〜24時間の条件で行うことが望ましい。
【0067】
支持体とスキージ本体とを一体成形し、スキージ本体を金型から取り出した後、切削加工を施してスキージ本体の先端面を形成する。
なお、切削加工については既に説明した通りである。
このような方法を用いることにより、本発明のスキージを製造することができる。
【0068】
次に本発明のスキージの使用方法について説明する。
図9は、本発明のスクリーン印刷用スキージの使用方法を説明するための側面図である。
図9では、図4に示したスキージ30を例にその使用方法を説明する。
本発明のスキージは、スクリーン印刷装置(図示せず)が備えるスキージホルダに固定して使用する。
即ち、図9に示すように、スキージ30は、支持体31に形成された貫通孔33にボルト15を挿通してスキージホルダ16に固定する。このとき、スキージ30は、板状のアルミブロック17をスキージホルダ16との間に介在させて固定する。また、アルミブロック17は、貫通孔33と連通する位置にボルト15を挿通するための貫通孔を備えている。なお、アルミブロック17に形成された貫通孔は、ボルト15を挿通させるためのバカ穴である。
そして、本発明のスキージは、スキージホルダに取り付けた状態でスクリーン印刷装置を稼働させることにより使用する。
このような、本発明のスキージでは、既に説明したように、スキージホルダに取り付ける際に、スキージ本体に一切負荷が掛からないため、取り付け時のボルト締めによりスキージ本体が変形するとの不都合が生じることがない。
【0069】
また、図9に示した使用態様では、アルミブロック17を介在させてスキージ30をスキージホルダ16に固定しているが、このアルミブロック17は必要に応じて介在させればよい。
なお、アルミブロック17は、スキージ30の、厚さ方向の取り付け位置を規定する機能を有している。アルミブロック17を介在させると、スキージ本体の先端面を、図10に示されている従来のスキージを使用した場合と同じ位置に設定することが可能となる。よって、従来のスキージと換装する際にスクリーン印刷機本体の改造が不要である。
【0070】
また、本発明のスキージを用いて行う印刷条件は特に限定されないが、スキージ取付角60〜80°、ギャップ(被印刷物とスクリーンとの隙間)0.5〜2.5mm、スキージ押し込み量0.1〜0.5mm、スキージ印圧2〜6kg/cmの条件で印刷を行う場合に好適に使用することができる。
【0071】
以上説明したように、本発明のスキージは、上記支持体と上記スキージ本体とを備え、上記支持体の一部が上記スキージ本体に埋設されるように両者が一体成形されており、スキージホルダに取り付ける際に、スキージ本体には一切負荷が掛からないため、スキージホルダに固定した後も、スキージ本体が変形することがなく、スキージ本体の先端面に良好な真直度を付与することができる。
そのため、本発明のスキージを用いることにより、高い膜厚精度でスクリーン印刷を行うことができる。
【0072】
以下本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
本実施例では、図11(a)に示した形状のスキージを作製した。なお、寸法比率は図11(a)のスキージと同一ではない。
【0074】
スキージ本体用樹脂組成物の調整
(1)エチレングリコール(三菱化学株式会社製)及びジエチレングリコール(三菱化学株式会社製)の等モル混合物とコハク酸(三井化学株式会社製)とをテトラブチルチタネート触媒の存在下、200〜250℃で加熱し、減圧脱水しながら、24時間反応させて、末端水酸基を有し、水酸基価57.7のポリエステルポリオールAを得た。
【0075】
(2)上記(1)とは別に、ジエチレングリコール(三菱化学株式会社製)及びネオペンチルグリコール(三菱ガス化学株式会社製)の等モル混合物とコハク酸(三井化学株式会社製)とをテトラブチルチタネート触媒の存在下、200〜250℃で加熱し、減圧脱水しながら、24時間反応させて、末端水酸基を有し、水酸基価53.4のポリエステルポリオールBを得た。
【0076】
(3)次に、上記ポリエステルポリオールA 75モル部(53.39重量部)と上記ポリエステルポリオールB 25モル部(18.24重量部)とを混合し、100℃に加熱し、攪拌しながら減圧乾燥した。
このようにして得たポリエステルポリオール混合物に、1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)4.11重量部とトリメチロールプロパン(三菱ガス化学株式会社製)0.56重量部とを加え、3分間予備混合した後、これにカルボンジイミド変性したMDI(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソシアネート量29%、三井化学株式会社製)27.75重量部を加え、島崎製作所社製アジターSVを用い、一定の回転数(450rpm)で混合物が均一で透明になるまで混合し、スキージ本体用樹脂組成物とした。
【0077】
支持体の作製
厚さ1.6mmで脱脂処理を施した亜鉛めっき鋼板(神戸製鋼社製、コーベジンクコート SECC−J2)を出発材料として、幅200mm、高さ(図11(a)中、H1)40mmの支持体を作製した。
また、この支持体においては、正面図における下端から28mmの位置であって、左端から順に59.5mm、78.5mm、126.5mm及び145.5mmの位置のそれぞれに貫通孔a〜dを形成した。ここで、貫通孔aは断面が直径5mmの円形の貫通孔であり、貫通孔b、cは断面が直径5.5mmの円形の貫通孔であり、貫通孔dは断面が短径5mm、長径7mmの長円形の貫通孔である。
【0078】
支持体とスキージ本体との一体成形
幅205mm、厚さ9mm、高さ40mmとなるスキージ本体を成形するための金型を用意し、この金型に上記支持体を配設し、金型内に上記スキージ本体用樹脂組成物を注型し、110℃で1時間硬化させた後、スキージ本体を金型から取り外した。
【0079】
スキージ本体の先端面の切削加工
金型から取り外したスキージ本体の先端側を、自由端長さ(図11(a)中、Lf)が19mmとなるように下記の構成からなる装置で切削加工して先端エッジを形成し、スキージを完成した。
(切削装置の構成)
超音波発信器メーカー: 日本エマソン株式会社
本体: ランソン パワーサプライ2000bdc(1100W)
発信器: ランソン コンバータCR−20(20Hz)
刃物ホルダー:ランソン用チタン製ホーン
刃物:5mm厚さの超硬刃
刃物移動速度:300mm/秒
【0080】
(実施例2)
支持体のスキージ本体に埋設される部分に、一体成形前に接着剤層を形成した以外は実施例1と同様にしてスキージを作製した。
接着剤層として、フェノール系接着剤(LORD社製、ケムロック♯218E)を乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布した後、一体成形を行った。
【0081】
(実施例3)
一体成形の前に、支持体のスキージに埋設されない部分に屈曲加工を施した以外は実施例1と同様にして、図11(b)に示した形状のスキージを作製した。
支持体の屈曲加工は、屈曲部長さ(図11(b)中、Lc)が6.6mm、折り曲げ角度(図11(b)中、θ)が90°となるように行った。
【0082】
(実施例4)
一体成形の前に、支持体のスキージに埋設される部分に屈曲加工を施した以外は実施例1と同様にして、図11(c)に示した形状のスキージを作製した。
支持体の屈曲加工は、屈曲部長さ(図11(c)中、Lc)が6.6mm、折り曲げ角度(図11(c)中、θ)が90°となるように行った。なお、この支持体では屈曲部が下側に位置する。
【0083】
(実施例5)
一体成形の前に、支持体のスキージ本体に埋設される部分に貫通加工を施した以外は実施例3と同様にして、図11(d)に示した形状のスキージを作製した。
なお、スキージ本体に埋設される部分の貫通孔は以下のように形成した。
即ち、支持体の下端から10mmの位置(図11(d)中、H3)で、かつ、幅方向に等間隔の位置に6個の貫通孔(直径3mm)を形成した。
【0084】
(実施例6)
一体成形の前に、支持体のスキージ本体に埋設される部分に貫通加工を施した以外は実施例4と同様にして、図11(e)に示した形状のスキージを作製した。
上記貫通加工は、実施例5と同様にして行った。
【0085】
(実施例7)
支持体材料としてガラスエポキシ樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして、図11(a)に示した形状のスキージを作製した。
【0086】
(実施例8)
一体成形の前に、支持体のスキージ本体に埋設される部分に貫通加工を施した以外は実施例7と同様にして、図11(f)に示した形状のスキージを作製した。
上記貫通加工は、実施例5と同様にして行った。
【0087】
(比較例1)
一体成形後に、スキージ本体の先端面を研磨加工した以外は実施例1と同様にしてスキージを作製した。
研磨加工は、MEDIA Squeegee Grinder(美濃商事株式会社製)を使用し、標準研磨砥石にて、砥石回転数1700rpm、スキージ送り速度50mm/秒の条件で行った。
【0088】
(比較例2)
支持体材料としてガラスエポキシ樹脂を使用し、一体成形前に支持体のスキージ本体に埋設される部分に粗化面を形成した以外は比較例1と同様にしてスキージを作製した。粗化面処理は、サンドブラストによる研削処理により行った。
【0089】
(比較例3)
一体成形後にスキージ本体の先端の加工を行わなかった以外は実施例1と同様にしてスキージを作製した。
【0090】
(比較例4)
一体成形後にスキージ本体の先端の加工を行わなかった以外は実施例7と同様にしてスキージを作製した。
【0091】
(比較例5)
図10(a)は、比較例5で製造したスキージを模式的に示す側面図であり、(b)は、(a)の正面図である。
図10(a)、(b)に示すスキージ70では、平板状のスキージ本体72が、支持体71を構成するアルミニウム製の2枚の支持治具71A、71Bの間に挟持され、支持治具71A、71Bを挿通するボルト75を締めつけることで、スキージ本体72が支持体71に固定されている。支持治具71Aは側面視略矩形状であり、支持治具71Bは側面視略L字状で、ボルトを挿通する貫通孔の内壁にはネジ溝が切られている。
【0092】
本比較例では、図10(a)、(b)に示す形状のスキージを製造した。なお、寸法比率はスキージ70と同一ではない。
(1)まず、幅(図10(b)中、W)200mm、厚さ(図10(a)中、t)9mm、高さ(図10(a)中、H2)40mmで、先端面側のエッジがR=0.3mmの面取り形状となるスキージ本体を成形するための金型を用意し、実施例1と同様のスキージ本体用樹脂組成物を金型内に注型し、実施例1と同様の条件で硬化させることによりスキージ本体を作製した。
(2)次に、図10(a)に示すように、支持治具71A、71Bでスキージ本体72を挟み、1Nmの締めつけトルクでボルト75を締めつけることにより、スキージ本体72を支持体71に固定し、スキージ70を完成した。
なお、支持体71は、スキージ本体72の先端面から支持体71の上面まで高さ(図10(a)中、H1)が59mm、スキージ本体72の自由端長さ(図10(a)中、Lf)が19mm、支持治具71A、71Bそれぞれのスキージ本体を把持する部分の厚さ(図10(a)中、T1、T2)がともに7mmとなるように設計している。
また、ボルトの取付位置は、支持体71の正面図(図10(b))における上端から9mmの位置であって、左端から順に59.5mm、78.5mm、126.5mm及び145.5mmの位置の4箇所である。
【0093】
(比較例6〜8)
ボルトの締めつけトルクをそれぞれ、0Nm(比較例6)、2Nm(比較例7)及び5Nm(比較例8)に変更した以外は、比較例5と同様にしてスキージを製造した。
【0094】
スキージの評価
実施例及び比較例で製造したスキージについて、下記の評価を行った。
なお、実施例1〜8及び比較例1〜4で製造したスキージについては、スキージを厚さ7mm、幅200mm、高さ25mmのアルミブロックにボルト締めで固定し(図9参照)、固定後評価用スキージとした。このとき、ボルトの締めつけトルクは、5Nmとした。
なお、本発明のスキージをスキージホルダに取り付ける際に必要に応じて介在させるアルミブロックの貫通孔は、上述したように、通常はバカ穴であるが、本評価では、ボルトに螺合するネジ溝が設けられた貫通孔(ボルト穴)を備えたアルミブロックを使用した。
【0095】
(1)スキージ本体の先端エッジ精度
スキージ本体の先端エッジ精度は、先端部が上方向を向くように立てたスキージの先端部を、スキージの幅方向にスライドするマイクロスコープにより観察した。スキージ先端のエッジを基準線とし、マイクロスコープで観察される変位(先端エッジの欠落)の最大値を算出し、先端エッジ精度とした。
結果を表1に示した。
(観察条件)
マイクロスコープ:VHX−600(キーエンス株式会社製)
レンズ:VH−2450(キーエンス株式会社製)
観察倍率:450倍
【0096】
(2)スキージ本体の先端面の幅方向の真直度
スキージ本体の先端面の幅方向の真直度を、表面粗さ計を使用して下記の方法により評価した。なお、実施例1〜8及び比較例1〜4のスキージについてはアルミブロックに固定する前後の真直度を、比較例5〜8のスキージについては、スキージ本体を支持体に固定する前後の真直度を測定した。
(表面粗さ計及び測定条件)
表面粗さ計:ミツトヨ製サーフテストSV−3100H8
接触端子(スタイラス)形状:60゜、先端R2μm
接触端子押し力:0.75mN
走査速度:10mm/s
【0097】
スキージ本体の先端面が上側を向くように、スキージ(又はスキージ本体)を静置し、上記表面粗さ計を用いて、先端面のエッジから1mmの箇所を幅方向に全長に渡って走査した。測定した変位の最大値と最小値の差を幅方向の真直度とした。なお、測定点は1mm毎とした。
結果を表1に示した。
【0098】
(3)スキージ本体の先端面の倒れ方向の真直度
スキージ本体の先端面が鉛直方向を向くように、スキージ(又はスキージ本体)を横に寝かせて静置し、上記表面粗さ計を用いて、先端面のエッジから1mmの箇所を幅方向に全長に渡って走査した。測定した変位の最大値と最小値の差を倒れ方向の真直度とした。なお、測定点は1mm毎とした。
結果を表1に示した。
なお、本評価でも、実施例1〜8及び比較例1〜4のスキージについてはアルミブロックに固定する前後の真直度を、比較例5〜8のスキージについては、スキージ本体を支持体に固定する前後の真直度を測定した。
【0099】
(4)支持体とスキージ本体との(接着性)密着性
支持体を固定した後、スキージ本体を掴んで180度方向へ引き抜く引き抜き試験を行い、単位幅あたりの引き抜き強さを測定した。
結果を表1に示した。
【0100】
(5)印刷特性
実施例及び比較例で製造したスキージを使用して、下記の条件でスクリーン印刷を行った。
(印刷条件)
スクリーン印刷装置(東海商事株式会社製、セリア SSA−PC660)
スクリーン枠:300×300mm(東海商事株式会社製)
スクリーンメッシュ:SUS#400(東海商事株式会社製)
スクリーンメッシュ開口:120×120mm
インキ:ニッケル粉分散ペースト(大研化学工業株式会社製)
被印刷物:OHPフィルム(住友スリーエム株式会社製)
スキージ取付角:75°
ギャップ(被印刷物とスクリーンとの隙間):1.3mm
スキージ押し込み:0.1mm
スキージ印圧:4kg/cm
【0101】
印刷膜厚を2〜4μmに設定してスクリーン印刷を10回反復して行った後、印刷面積全域にわたって印刷膜厚をマイクロメータ(株式会社ミツトヨ製、OMM−25)で評価し、最大印刷膜厚部位と最小印刷膜厚部位を特定した。それぞれの部位において印刷物を縦方向に切断し、切断面を顕微鏡で観察して印刷膜厚を測定した。
印刷面積全域での最大印刷膜厚と最小印刷膜厚の差(Δt)を印刷特性として、結果を表1に示した。
Δtの値が小さいほど印刷膜厚が均一である。
【0102】
(6)局所的印刷特性
上述の印刷条件により、5μmの印刷膜厚でスクリーン印刷を1回行った。被印刷物を幅方向に切断し、スキージの先端エッジの誤差が最大となる部分に対応する被印刷物断面を、マイクロスコープで観察した。
マイクロスコープ視野内(幅0.7mm)において、スキージのエッジ誤差に起因する局所的な印刷膜厚の誤差、すなわち被印刷物上の凸が観察されないものをAランク、印刷厚みの2倍以下の凸が観察されるものをBランク、印刷厚みの2倍を超える凸が観察されるものをCランクとして評価し、結果を表1に示した。
【0103】
【表1】
【0104】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜8のスキージを用いることにより、比較例1〜8のスキージを用いる場合に比べて、印刷特性及び局所的印刷特性が共に向上することが明らかとなった。
これは、スキージを製造する際に担保したスキージ本体の先端面の高い真直度が、スクリーン印刷装置に取り付けた後も維持され、また、スキージ本体の先端エッジ精度が向上したためであると考えられた。
比較例1〜4では、局所的印刷特性が低下していた。これは、スキージ本体の先端に研磨加工が施されている場合及び未処理の場合は、先端のエッジ精度が十分ではないためであると考えられた。
比較例5、6では、スクリーン印刷装置に取付けた後の先端面の真直度の低下の度合いは小さかったものの、印刷膜厚の均一性が低かった。これは、支持体がスキージ本体を確実に保持できていなかったためであると考えられた。
比較例7、8では、スクリーン印刷装置に取り付けると真直度が低下し、印刷特性も同時に低下した。これは、ボルト締めによりスキージ本体が変形したためであると考えられた。
【符号の説明】
【0105】
10、20、30、40、50 スキージ
11、21、31、41、51 支持体
12、22、32、42、52、102、103、104、105 スキージ本体
Lf 自由端長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、弾性樹脂からなり板状のスキージ本体とを備え、
前記支持体の一部が前記スキージ本体に埋設されるように、両者が一体成形されており、
前記スキージ本体の先端面は、切削加工により形成された面である
ことを特徴とするスクリーン印刷用スキージ。
【請求項2】
前記切削加工は、刃物を用いて行われる請求項2に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項3】
前記支持体は、金属製又は樹脂製である請求項1又は2に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項4】
前記支持体の前記スキージ本体に埋設されていない部分に、スキージホルダに取り付ける際に位置決め基準となる貫通孔を備え、
前記切削加工が、前記貫通孔を基準に施された請求項2又は3に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項5】
前記支持体は、その一部が屈曲している請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項6】
前記支持体の少なくとも屈曲した部分が、前記スキージ本体に埋設されている請求項5に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項7】
前記支持体の屈曲した部分の折り曲げ角度は、90〜165°である請求項5又は6に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項8】
前記支持体は、屈曲していない部分が前記スキージ本体の厚さ方向中央部に位置する請求項6又は7に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項9】
前記弾性樹脂は、ポリウレタンエラストマーである請求項1〜8のいずれか1項に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項10】
前記ポリウレタンエラストマーは、ポリエステルポリオールをポリオール成分とする請求項9に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項11】
前記ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール10〜90重量%と、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール90〜10重量%の混合物である請求項10に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項1】
支持体と、弾性樹脂からなり板状のスキージ本体とを備え、
前記支持体の一部が前記スキージ本体に埋設されるように、両者が一体成形されており、
前記スキージ本体の先端面は、切削加工により形成された面である
ことを特徴とするスクリーン印刷用スキージ。
【請求項2】
前記切削加工は、刃物を用いて行われる請求項2に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項3】
前記支持体は、金属製又は樹脂製である請求項1又は2に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項4】
前記支持体の前記スキージ本体に埋設されていない部分に、スキージホルダに取り付ける際に位置決め基準となる貫通孔を備え、
前記切削加工が、前記貫通孔を基準に施された請求項2又は3に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項5】
前記支持体は、その一部が屈曲している請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項6】
前記支持体の少なくとも屈曲した部分が、前記スキージ本体に埋設されている請求項5に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項7】
前記支持体の屈曲した部分の折り曲げ角度は、90〜165°である請求項5又は6に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項8】
前記支持体は、屈曲していない部分が前記スキージ本体の厚さ方向中央部に位置する請求項6又は7に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項9】
前記弾性樹脂は、ポリウレタンエラストマーである請求項1〜8のいずれか1項に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項10】
前記ポリウレタンエラストマーは、ポリエステルポリオールをポリオール成分とする請求項9に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【請求項11】
前記ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール10〜90重量%と、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール及びコハク酸からなるポリエステルポリオール90〜10重量%の混合物である請求項10に記載のスクリーン印刷用スキージ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−156760(P2011−156760A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20533(P2010−20533)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
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