説明

スタチン及びω−3脂肪酸による治療方法、並びにそれらの複合生成物

【課題】スタチン及びω−3脂肪酸を用いた治療方法、並びにそれらの複合生成物の提供。
【解決手段】単位投与形態の医薬組成物であって、天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導剤、接合体、前駆体若しくは塩、又はそれらの混合物が含有される溶媒系中に、実質的にスタチンが溶解して実質的に均一な溶液として含有され、該溶媒系中での溶解していない該スタチンの含量が10%未満である、医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、米国特許仮出願第60/659099号(2005年3月8日出願)の優先権を主張する。上記特許仮出願における開示内容は本願明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、冠状動脈性心臓病(CHD)、心不全、心臓不整脈、虚血性痴呆、高血圧、凝固関連障害、ネフロパシ、網膜症、認識障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、メタボリックシンドローム、血管疾患、アテローム硬化型疾患及び関連症状に罹患する患者の治療、並びに、心疾患及び/又は心血管疾患及び/又は脈管疾患及び/又は徴候の治療及び/又は予防及び/又は軽減のための、スタチンとω3脂肪酸を組み合わせた単位投与の利用方法に関する。本発明はまた、スタチンとω3脂肪酸との複合生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
コレステロール及びトリグリセリドは、ヒトの血流中のリポタンパク質複合体の一部であり、超遠心分離によって、高密度リポタンパク質(HDL)、中密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)及び超低密度リポタンパク質(VLDL)画分に分離できる。コレステロール及びトリグリセリドは肝臓で合成され、VLDL内に取り込まれ、血漿中へ放出される。総コレステロール(総−C)、LDL−C、及びアポリポタンパク質B(LDL−Cに対する膜複合体)のレベルが高いとヒトにおけるアテローム性動脈硬化が促進され、HDL−C及びその輸送複合体であるアポリポタンパク質Aのレベルが低いと、アテローム性動脈硬化の発生の原因となる。更に、ヒトにおける心血管系の疾患への罹患率及びそれによる死亡率は総−C及びLDL−Cのレベルに伴って直接的に変動し、HDL−Cのレベルと逆に変動する可能性がある。更に、非−LDLコレステロールが高トリグリセリド血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症及び関連症状の重要な指標となりうるという研究結果が存在する。実際、非−LDLコレステロールの低減がNCEP ATP IIIにおける治療対象として近年特定されている。
【0004】
スタチンやω3脂肪酸のような薬剤は高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症の予後心筋梗塞(MI)及び成人の内在的高脂血症(一般に「心血管性疾患」に分類される)の治療にこれまで使用されている。
【0005】
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤であるスタチンは、高脂血症及び関節硬化症等の治療に使用されている。典型的には、スタチン単独投与は、特に患者が許容可能なLDL−Cレベルにない場合の、コレステロール濃度の調整に使用されてきた。スタチンは体内でのコレステロールの合成速度を制御する酵素HMG−CoAレダクターゼを阻害する。スタチンはコレステロール合成を遅くし、血中に既に存在するLDL−コレステロールを除去する肝臓の能力を増加させることによって、コレステロールを低減させる。すなわちスタチンの主要な効能はLDL−コレステロールレベルの低減である。スタチンはCHDの危険率を約3分の1にまで減少させることが示されている。しかし、スタチンのTG−HDL軸への効果は穏やかなものにすぎない。
【0006】
一般に魚油と称されるマリンオイルはエイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)の2種のω3脂肪酸の良好な供給源であり、脂質代謝を調節することが見出されている。ω3脂肪酸は、心血管性疾患、特に軽い高血圧、高トリグリセリド血症に対する危険因子や、凝固因子VIIリン脂質複合体活性に対して有益な効果を有することが見出されている。ω3脂肪酸は、血清中のトリグリセリドを減少させ、血清中のHDL−コレステロールを増加させ、収縮期及び拡張期の血圧並びに脈拍数を低下させ、更に血液凝固因子VII−リン脂質複合体の活性を低下させる。更に、ω3脂肪酸は深刻な副作用を何ら引き起こすことなく、良好な耐容性を示すと考えられる。
【0007】
ω3脂肪酸のかかる一形態は、DHA及びEPAを含有する魚油由来のω3長鎖多価不飽和脂肪酸の濃縮物であって、Omacor(登録商標)という商標で市販されている。ω3脂肪酸のかかる形態は例えば特許文献1から3に記載されており、各々が本願明細書に援用される。
【0008】
混合型異脂肪血症又は高コレステロール血症の被験者は、190mg/dLを超えるLDLコレステロールの血中レベル、及び200mg/dL以上のトリグリセリドレベルを示すことが多い。食事制限及び単回投与計画の使用は必ずしも、トリグリセリドの同時増加の有無を問わず、混合型異脂肪血症又は高コレステロール血症の被験者における目標値への到達を可能にする程にLDLコレステロール及びトリグリセリドを低減させるとは限らない。これらの被験者では、異常脂質血症治療薬とω3脂肪酸の相補的併用療法が望ましいと考えられる。
【0009】
魚油及びスタチン療法の効果を試験する研究がこれまで行われている。ある研究では、魚油及びロバスタチンは血漿中のLDLコレステロール及びVLDLコレステロールを増加させることを明らかにしている(非特許文献1)。
【0010】
Nakamuraらは純粋なEPA及びスタチンの高脂血症患者への効能を解析した。2.07mmol/L(約182mg/dL)のベースライントリグリセリドレベルを有し、プラバスタチン5〜20mg/日、又はシンバスタチン5mg/日で既に処置した患者を、純粋なEPAエチルエステル900又は1800mg/日(>90%)を用い、3月間更に処置した。ベースラインの単独投与に比べて、併用療法ではトリグリセリドレベルの有意な減少と、HDL−Cレベルの有意な増加が報告されている。LDL−Cレベルは報告されていない(非特許文献2)。
【0011】
Davidsonらは、複合型高脂血症の患者における魚油及びシンバスタチンの効能を解析した。274.7mg/dL〜336.8mg/dLのベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、シンバスタチン及びプラセボ、魚油(SuperEPA(登録商標)1200)及びプラセボ7.2g/日、又はシンバスタチン及びSuperEPA(登録商標)の混合物10mg/日で12週間処理した。この研究で用いた魚油7.2g中のω3脂肪酸含量は3.6gであり、EPA/DHA比は1.5である。魚油単独に比べて併用療法ではHDL−Cレベルが有意に増加することが示された。更に、トリグリセリド及び非−HDL−Cレベルは併用療法によって有意に低減した。しかし、非−HDL−Cレベルの低減はシンバスタチン単独に比べて併用療法では少ないことが報告されている(非特許文献3)。
【0012】
Hongらは、冠状動脈性心臓病及び混合型異常脂質血症の患者における魚油及びシンバスタチンの効能を解析した。292.8mg/dL〜269.5mg/dLのベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、シンバスタチン10〜20mg/日で、6〜12週間処置した。その後、患者をシンバスタチン及びプラセボ、又はシンバスタチン及び3g/日魚油(Meilekang(登録商標))で処置した。併用治療では、ベースライン及びプラセボと比較し有意にトリグリセリドレベルが低減していた。更に併用治療では、ベースラインに比べてHDL−Cレベルを数的に上昇させ、LDL−Cレベルを数的に低減させた。しかしながら、HDLCレベル及びLDL−Cレベルの変化は統計学的に有意ではなかった(非特許文献4)。
【0013】
Contacosらは、混合型高脂血症の患者への魚油及びプラバスタチンの効能を解析した。4.6〜5.5mmol/L(404〜483mg/dL)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、まず6週間、プラバスタチン40mg/日、魚油(Himega(登録商標)、ω3脂肪酸3gを含有し、EPA/DHA比が2:1である)6g/日、又はプラセボで処置した。その後、全患者を更に12週間にわたりプラバスタチン及び魚油で処置した。最初のプラバスタチン処理によりLDL−Cレベルが有意に低減した。プラバスタチン及び魚油の併用治療でも、トリグリセリド及びLDL−Cレベルが有意に低減した。しかし、プラバスタチン単独投与に魚油を添加してもLDL−Cレベルが数的に増加するのみで、統計的に有意ではなかった。魚油単独による処置ではトリグリセリドレベルが有意に低減したが、LDL−Cレベルは増加した。この群への併用治療では、魚油単独に比べLDL−Cレベルが有意に低減したが、ベースラインに比べ有意ではなかった(非特許文献5)。
【0014】
Singerは、複合型高脂血症の患者への魚油及びフラバスタチンの効能を解析した。258mg/dLのベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、まず2ヶ月間フラバスタチン40mg/日で処置し、その後魚油(18%EPA及び12%DHA)3g/日で更に2ヶ月間処置した。その後、最後の2ヶ月間患者にフラバスタチンの単独療法を施した。フラバスタチン単独投与では、トリグリセリド及びLDL−Cレベルが有意に低減し、HDL−Cレベルが有意に増加することが示された。併用療法では、フラバスタチン単独と比較し、トリグリセリド及びLDL−Cレベルが有意に低減し、その結果トリグリセリド及びLDL−Cレベルが更に数的に低減した。併用療法では単独投与と比較しHDL−Cレベルが数的に増加したが、併用治療でのHDL−Cレベルの増加は統計的に有意ではなかった(非特許文献6)。
【0015】
Liuらは、高脂血症の患者への魚油及びシンバスタチンの効能を解析した。1.54〜1.75mmol/L(約136〜154mg/dL)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、シンバスタチン10mg/日、魚油(Eskimo−3)9.2g/日、又はシンバスタチンとEskimo−3の混合物で、12週間にわたって処置した。魚油は、EPA18%、DHA12%、及び総ω3脂肪酸38%を含有していた。併用治療では、ベースラインと比較しトリグリセリド及びLDL−Cレベルが有意に低減し、HDL−Cレベルが有意に増加し、シンバスタチン単独と比較しトリグリセリドレベルが有意に低減した(非特許文献7)。
【0016】
更なる研究によって、腎臓移植後の異常脂質血症時には、食事後に低用量のプラバスタチンと魚油の併用治療を行うことが、腎臓移植後の脂質プロファイルの変化により有効であることが明らかとなった(非特許文献8)。ある論文では、1日当たりスタチン及び3〜7mg魚油を組み合わせる等の、異常脂質血症に対する薬剤併用療法が要約されている。この研究では、併用療法により、トリグリセリド、総コレステロール、及びアポリポタンパク質Eレベルの低下を、スタチン単独で処理した患者と比較し更に増強できることが示唆されている(非特許文献9)。他の研究では、食事における魚油及びロバスタチンの併用が、超低密度リポタンパク質(VLDL)及び低密度リポタンパク質(LDL)レベルを減少させることを明らかにした(非特許文献10)。
【0017】
別の研究では、ω3脂肪酸と組み合わせたスタチンの効果を試験し、ω3脂肪酸に富む食事によって、シンバスタチンのコレステロール低減効果が増強し、シンバスタチンの空腹時インスリン上昇効果が阻害され、β−カロテン及びユビキノール−10の血清レベルが低減しなかった(非特許文献11)。別の研究では、EPA及びDHAを用いることにより、チオバルビツール酸−マロンジアルデヒド複合体(TBA−MDA)が増加すること、及びスタチン(例えばシンバスタチン)がこの結果に影響を与えないことが示された(非特許文献12)。
【0018】
特許文献4では、薬剤、水相、油相、及び乳化剤を有する多機能薬剤の輸送用の安定化医薬水中油エマルジョンが開示されている。スタチンは可能性のある多機能薬剤リスト中に記載され、魚油は油相の7任意成分の1つとして記載されている。更に、特許文献5では、スタチン及び多価不飽和脂肪酸(PUFAs)(EPA及びDHA)の組成物が記載される一方、特許文献6では、魚油をスタチン(例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フラバスタチン、及びセリバスタチン)と組み合わせて用いることによってER後分泌前タンパク質分解(PERPP)を刺激して、apoB及び/又はapoB含有リポタンパク質及び/又はアテロームリポタンパク質成分の血漿濃度を低減できることや、そのような治療薬の投与によって患者を治療する方法が記載されている。
【0019】
スタチン及び濃縮ω3脂肪酸、具体的にはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸の効能を解析した研究結果も存在する。例えば、Hansenらは、魚油濃縮物(6g/日Omacor(登録商標)ω3脂肪酸)をロバスタチン(40mg/日)と組み合わせたときの、高コレステロール血症の患者における効能を解析している。1.66mmol/L(約146mg/dL)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、6g/日Omacor(登録商標)で6週間処置し、続いて更に6週間にわたりロバスタチン40mg/日で処置し、最後に6週間、Omacor(登録商標)及びロバスタチンの混合物で処置した。ロバスタチン単独投与では、HDL−Cレベルの有意な増加と、トリグリセリド及びLDL−Cレベルの有意な低下がもたらされた。併用療法後、トリグリセリド及びLDL−Cレベルは更に有意に低下した(非特許文献13)。
【0020】
Nordoyらは、高脂血症の患者へのアトルバスタチン及びω3脂肪酸の効能を解析した。3.84mmol/L(約337mg/dL)又は4.22mmol/L(約371mg/dL)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、アトルバスタチン10mg/日で5週間にわたり処置した。その後更に5週間、アトルバスタチン処置を2g/日のOmacor(登録商標)又はプラセボで補った。アトルバスタチン単独投与では、ベースラインと比較し、HDL−Cレベルが有意に増加し、トリグリセリド及びLDL−Cレベルが有意に低減した。併用療法では、アトルバスタチン単独に比べ、HDL−Cレベルが更に増加した。併用療法によりトリグリセリド及びLDL−Cレベルが、アトルバスタチン単独投与と比較し数的に更に減少したが、この減少は有意でなく、トリグリセリド及びLDL−Cレベルの数的減少は「アトルバスタチン+プラセボ」群によって経験する減少と比較し小さかった。この研究では、ω3脂肪酸をスタチン(例えば、アトルバスタチン)処置に加えることにより、脂肪酸が更にHDL−Cを増加させ、最大血圧が低減し、複合型高脂血症治療の有効な代替療法となりうると結論づけられた(非特許文献14)。
【0021】
Salviらは、家族性高コレステロール血症の患者へのOmacor(登録商標)及びシンバスタチンの効能を解析した。1.355mmol/L(約119mg/dL)のベースライントリグリセリドレベルを有し、シンバスタチン20〜40mg/日で既に処置した患者を、Omacor(登録商標)6g/日で4週間にわたり更に処置した。併用療法では、2週間後のトリグリセリド及びLDL−Cレベルが、ベースライン単独投与と比較し有意に低減することが示された(非特許文献15)。更に別の研究では、既成のCHD及びMb型高脂血症に罹患し、既にシンバスタチンを服用した被験者の治療におけるω3脂肪酸(2日ごとに1回、Omacor(登録商標)ω3脂肪酸 2g)の効能が解析されている。この研究では、Omacor(登録商標)ω3脂肪酸がシンバスタチンを服用する患者における血清トリグリセリドレベルの低減に有効であると結論づけられている(非特許文献16)。
【0022】
Chanらは、絶食状態にある異常脂質血症に罹患した、肥満かつインスリン抵抗性の男性への、アトルバスタチン(40mg/日)及び魚油(夜にOmacor(登録商標)ω3脂肪酸のカプセルを4つ経口摂取、4g/日)の併用治療の効能を解析している。1.7〜2.0mmol/L(約150〜170mg/dL)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、アトルバスタチン及びプラセボ40mg/日、Omacor(登録商標)及びプラセボ4g/日、アトルバスタチン及びOmacorの混合物、又はプラセボ混合物で6週間にわたり処置した。併用療法では、プラセボ群に比べ、トリグリセリド、非−HDL−C及びLDL−Cレベルを有意に低減させ、HDL−Cを有意に増加させた(非特許文献17)。別の論文では、異常脂質血症及びインスリン抵抗性を有する肥満男性への、アトルバスタチン(40mg/日)及び魚油(夜にOmacor(登録商標)ω3脂肪酸を4g/日)の効用を解析している。処理群には、プラセボ、アトルバスタチン、Omacor(登録商標)ω3脂肪酸、又はそれらの混合物を夜に投与した。この論文では、スタチン及び魚油の併用療法が肥満男性における異常脂質血症を正常化する最適方法であり得ると結論づけられた(非特許文献18)。別の論文では、異常脂質血症に罹患した肥満人における血漿高感度C反応性タンパク質濃度への、アトルバスタチン(40mg/日)及び魚油(夜にOmacor(登録商標)ω3脂肪酸4g/日)の効能が解析されている。この論文では、魚油を補給しても血漿hs−CRPに影響を与えないが、魚油をスタチンに加えると、血漿トリグリセリドの低減及びHDL−Cの増加を促進することによって脂質調節効果を更に最適化し得ると結論づけられた(非特許文献19)。
【0023】
Nordoyらは、複合型高脂血症の患者への、ω3脂肪酸(Omacor(登録商標)ω3脂肪酸 4g/日にて3.6g/日)及びシンバスタチン(20mg/日)の効能を解析している。研究では、脂肪酸を有するサプルメントが止血危険因子を減らして、著しく食後の高脂血症を減らすと結論づけられている(非特許文献20)。
【0024】
Nordoyらは、高脂血症の患者におけるシンバスタチン及びω3脂肪酸処理の効能及び安全性も解析している(非特許文献21)。2.76mmol/L(約243mg/dL)又は3.03mmol/L(約266mg/dL)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、シンバスタチン又はプラセボ20mg/日で5週間処置し、次に全患者を更に5週間かけてシンバスタチン20mg/日で処置した。その後、患者をOmacor(登録商標)又はプラセボ4g/日で更に5週間処置した。ω3脂肪酸をシンバスタチンと共に投与すると、血清総コレステロールの穏やかな反応、及びトリグリセロールレベルの低減がもたらされた。Omacor(登録商標)の添加によって、ベースライン単独投与に比べ、HDL−Cレベルはわずかに低減し、LDL−Cレベルはわずかに増加した。
【0025】
Durringtonらは、既成の冠状動脈性心臓病及び持続性高トリグリセリド血症に罹患した患者における、Omacor(登録商標)ω3脂肪酸及びシンバスタチンの混合物の有効性、安全性、及び耐容性を解析している。2.3mmol/L超の平均ベースライントリグリセリドレベルを有する患者(平均的患者血清トリグリセリドレベルは4.6mmol/Lであった)を、二重盲検試験にてシンバスタチン10〜40mg/日及びOmacor(登録商標)2g/日又はプラセボで24週間にわたり処置し、その後、両群に一般試験にてOmacor(登録商標)を更に24週間投与した。併用療法では、ベースライン単独投与に比べ、12週間以内にトリグリセリドレベルを有意に低減させた。特に、シンバスタチン及びOmacor(登録商標)ω3脂肪酸を投与した患者における血清トリグリセリドレベルが20〜30%低減した。更に、これらの患者におけるVLDLコレステロールレベルが30〜40%低減した。LDL−Cレベルは、ベースライン単独投与に比べ、12及び24週間では数的(統計的に有意ではない)減少が見られたに過ぎないが、わずか48週間後には有意な低減を示した(非特許文献22)。
【0026】
多くの治療用の化学物質は環境条件に影響され、活性型のそれらの物質は、活性型の場合よりも効力の低い分解産物にしばしば変化する。低い有効性意外にも、分解産物は望ましくない副作用を引き起こしうる。したがって、投与の際、治療用の化学物質ができるだけ純粋であること、すなわち分解産物及び不純物のパーセンテージが最小限であることが重要である。
【0027】
特定のスタチンは酸性条件に影響されやすく、それらがラクトン型に変化したり、異なる異性体に分解したりすることが知られている。例えば、プラバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びフラバスタチンは、酸性条件化でラクトン型に変化する。
【0028】
また、ラクトン型(例えばロバスタチン及びシンバスタチン)であるスタチンは、アルカリ性条件に影響されやすく、酸の形に変化することが公知である。例えば、シンバスタチンのラクトン環は水溶液中で直ちに加水分解し、β−ヒドロキシ酸を形成することが公知である。アルカリ性溶液においてヒドロキシル酸への転換が急速に進行し、不可逆的である(非特許文献23)。例えばプラバスタチンの場合には異性化などの、スタチンの他の分解機構も酸性条件下で生じうる。(非特許文献24、25).
【0029】
従って、時間経過とともに分解しない、スタチン及びω3脂肪酸を含む単位投与形態の調製は有用である。
【0030】
特許文献7では、少なくとも1つのω3脂肪酸(任意にエステル化又は加塩されている)、少なくとも1つのスタチン、コエンザイムQ10、レスベラトロル、少なくとも1つのポリコサノール、パンテトイン、セレニウム及び亜鉛を、混合形態で、又は、調整された経時的な投与形態で投与するための組み合わせに関して開示している。
【0031】
特許文献8では、ω3油脂及び1つ以上のスタチンの塩を含んでなる医薬組成物であって、スタチンの少なくとも約80重量%が固体粒子の不均一な懸濁液の状態で存在する医薬組成物を開示する。上記刊行物は他の実施形態として、ω3油脂及び1つ以上のスタチンの塩を含んでなる医薬組成物であって、スタチンの最高15重量%が溶液状態であり、その他のスタチンが不均一な懸濁液の状態として存在する医薬組成物を開示する。
【特許文献1】米国特許第5502077号公報
【特許文献2】米国特許第5656667号公報
【特許文献3】米国特許第5698594号公報
【特許文献4】米国特許第6720001号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0077317号公報
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0170643号公報
【特許文献7】国際公開第2006/013602号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0034815号公報
【非特許文献1】Saifyら、Pakistan J.ofPharm.Sci.(2003)16(2):1−8
【非特許文献2】Nakamuraら、Int.J.Clin.Lab Res.29:22−25(1999)
【非特許文献3】Davidsonら、Am J Cardiol(1997)80:797−798
【非特許文献4】Hongら、Chin.Med.Sci.J.19:145−49(2004)
【非特許文献5】Contacosら、Arterioscl.Thromb.13:1755−62(1993)
【非特許文献6】Singer,Prost.Leukotr.Ess.Fatty Acids 72:379−80(2005)
【非特許文献7】Liuら、Nutrition Research 23(2003)1027−1034
【非特許文献8】Grekasら、Nephron(2001)88:329−333
【非特許文献9】Alaswadら、Curr.Atheroscler.Rep.(1999)1:44−49
【非特許文献10】Huffら、Arterosclerosis and Thrombosis,12(8):901−910(August 1992)
【非特許文献11】JuIaら、JAMA 287(5)598−605(February6,2002)
【非特許文献12】Grundtら、Eur.J of Clin.Nutr.(2003)57:793−800
【非特許文献13】Hansenら、Arteriosclerosis and Thrombosis 14(2):223−229(February 1994)
【非特許文献14】Nordoyら、Nutr.Metah.Cardiovasc.Dis.(2001)11:7−16
【非特許文献15】SalviらCurr.Ther.Res.53:717−21(1993)
【非特許文献16】Bhatnagarら、Eur.Heart J Supplements(2001)4(Suppl.D):D53−D58
【非特許文献17】Chanら、Diabetes,51:2377−2386(Aug.2002)
【非特許文献18】Chanら、Eur.J of Clin.Invest.(2002)32:429−436
【非特許文献19】Chanら、Clinical Chemistry(2002)48(6):877−883
【非特許文献20】Nordoyら、Arterioscler.Thromb.Vase.Biol.(2000)20:259−265
【非特許文献21】Nordoyら、J.of Internal Medicine,243:163−170(1998)
【非特許文献22】Durringtonら、Heart,85:544−548(2001)
【非特許文献23】Ellisonら、Analytical Profiles of Drug Substances and Excipients,22:359−388(1993)
【非特許文献24】Serrajuddinら、Biopharm.Sci.80:830−834(1991)
【非特許文献25】Kearneyら、Pharm.Res.10:1461−1465(1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
従来の研究において、冠状動脈性心臓病及び他の脈管疾患に関して、ω3脂肪酸と特定のスタチン間の相関が示されているが、当該技術分野では、例えば、スタチン及びω3脂肪酸の組み合わせを含有する均一な単位投与形態の製品に対する、未だ満足されないニーズが存在する。また、単独投与又は単位投与用の生成物の投与方法に対する、未だ満足されないニーズが存在する。更に、スタチン及びω3脂肪酸を含有する均一な単位投与形態であって、時間経過に伴う顕著な分解を回避できる単位投与形態に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、スタチン及びω3脂肪酸を含んでなる医薬組成物(例えば単位投与)であって、スタチンがω3脂肪酸を含んでなる均一な溶液中に含まれる医薬組成物を提供することによって、当該技術分野並びに他の技術分野における、上記のニーズに応えるものである。一実施態様では、上記の複合生成物は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、冠状動脈性心臓病(CHD)、心不全、心臓不整脈、虚血性痴呆、高血圧、凝固関連障害、ネフロパシ、網膜症、認識障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、メタボリックシンドローム、血管疾患、アテローム硬化型疾患及び関連症状に罹患する患者の治療、並びに、心疾患及び/又は心血管疾患及び/又は脈管疾患及び/又は徴候の治療及び/又は予防及び/又は軽減のために用いられる。
【0034】
本発明の他の実施態様は、スタチン及びω3脂肪酸を含む単位投与形態であって、最初の測定時間(t)において製剤中に含まれるスタチンの初期量の少なくとも90%が、室温及び60%の相対湿度条件下での1ヵ月の保存後においても維持される単位投与形態に関する。
【0035】
本発明の更なる実施態様では、スタチンとω3脂肪酸を含む単位投与形態は、ω3脂肪酸中のスタチンの予想外の高い可溶性を有利な特徴とする。スタチン及びω3脂肪酸の共投与はすなわち、成分を均一にするために少量の可溶化剤を必要とする。
【0036】
好ましい実施態様では、前記医薬組成物は、米国特許第5502077号、第5656667号、及び第5698594号に記載されるように、Omacor(登録商標)ω3脂肪酸を含有する。他の好ましい実施態様では、医薬組成物は、その組成物の総脂肪酸含有量に対して40重量%以上の濃度で存在するω3脂肪酸を含む。
【0037】
更に別の好ましい実施態様では、ω3脂肪酸は、その組成物の総脂肪酸含有量に対して50重量%以上のEPA及びDHAを含み、EPA及びDHAは、EPA:DHAの質量比が99:1〜1:99、好ましくは1:2〜2:1である。
【0038】
本発明の変形例では、前記スタチンとしては、特に限定されないがシンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン及びフラバスタチンが挙げられる。好ましい実施態様では、ω3脂肪酸と組み合わせて用いる前記スタチンはシンバスタチンである。
【0039】
本発明の更に好ましい実施態様では、患者への本発明の医薬組成物の第1の投与前における、患者血清中のトリグリセリドレベルは、約150〜約199mg/dL、又は約200〜約499mg/dL、又は499mg/dL超である。
【0040】
本発明にはまた、有効量のスタチン及びω3脂肪酸を含有する、本明細書で示唆するあらゆる治療方法に有用な医薬品製造のための使用も包含される。
【0041】
本発明の他の特徴及び利点は、当業者であれば以下の試験及び本発明の実施による教示から自明であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明はスタチン及びω3脂肪酸の、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、冠状動脈性心臓病(CHD)、心不全、心臓不整脈、虚血性痴呆、高血圧、凝固関連障害、ネフロパシ、網膜症、認識障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、メタボリックシンドローム、血管疾患、アテローム硬化型疾患及び関連症状に罹患する患者の治療、並びに、心疾患及び/又は心血管疾患及び/又は脈管疾患及び/又は徴候の治療及び/又は予防及び/又は軽減のための利用、並びに1つ以上のスタチン及び1つ以上のω3脂肪酸を含有する複合生成物又は単位投与用薬剤に関する。好ましくは、1つ以上のスタチン及び1つ以上のω3脂肪酸のみが、複合生成物における活性成分である。
【0043】
本発明は、一般的に安全と認識されている量で、既知の、又は今後周知になるスタチンを組み込んでよい。現在、アトルバスタチン、ロスバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン及びシンバスタチンの6種のスタチンが利用できる。7番目のスタチンであるセリバスタチンは、現在米国市場から除外されている。しかし、当業者であれば、もしセリバスタチンが最終的に安全且つ有効であると確定した場合、セリバスタチンを本発明の幾つかの実施形態と組み合わせて用いてもよいことを想到できる。
【0044】
一般に、スタチンの効果は用量依存性であり、すなわち用量が多いほど治療効果が高くなる。しかし、各スタチンの効果は異なるため、スタチンの治療効果のレベルは必ずしも、他のスタチンの治療効果のレベルと直接的に相関するとは限らない。例えば、生物学的利用能はスタチンの中でも大きく異なる。具体的には、シンバスタチンの生物学的利用能は5%未満であることが示され、一方フラバスタチンはほぼ24%の生物学的利用能であることが示されている。スタチンの吸収率は、例えばロバスタチンの場合の約30%から、フラバスタチンの場合の98%にまでわたる。プラバスタチンを除く全てのスタチンで、第一の経路における代謝が行われる。プラバスタチンはまた、他のスタチン(90%以上がタンパク質と結合している)と比較して、タンパク質との結合が最も少ないスタチン(約50%)である。したがって、スタチン類は互いに異なる特性を有する。各スタチン又は複数のスタチンを含めた本発明の複合生成物もまた明瞭特有の特性を有する。この種の組み合わせは従来技術に示されていない。
【0045】
本明細書で用いる「ω3脂肪酸」という用語には、天然若しくは合成のω3脂肪酸、又はその薬学的に許容できるエステル、誘導体、コンジュゲート(例えば、Zalogaら、米国特許出願公開第2004/0254357号、及びHorrobinら、米国特許第6245811号を参照されたい(各々引用により本願に援用する))、前駆体若しくは塩及びそれらの混合物が包含される。ω3脂肪酸油の例としては、特に限定されないが、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びα−リノレン酸等のω3多価不飽和、長鎖脂肪酸、モノ−、ジ−及びトリグリセリド等のω3脂肪酸のグリセロールエステル、並びに脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸エチルエステル等のω3脂肪酸の第1級、第2級又は第3級アルコールエステルが挙げられる。好ましいω3脂肪酸油は、EPA又はDHAなどの長鎖脂肪酸、それらのトリグリセリド、それらのエチルエステル、及びそれらの混合物である。ω3脂肪酸又はそれらのエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体、塩及びそれらの混合物は、それらの純品を用いてもよく、又は魚油などの油の成分として用いてもよいが、好ましくは精製した魚油濃縮物を用いることである。本発明での使用に適したω3脂肪酸の市販品の例としては、lncrωF2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525、及びE5015(Croda International PLC、Yorkshire、England)、PAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、K85TG、K85EE、K80EE、及びEPAX7010EE(Pronova Biocare a.s.、1327 Lysaker、Norway)が挙げられる。
【0046】
好適な組成物は、米国特許第5502077号、第5656667号、及び第5698694号に列挙されるω3脂肪酸を含み、これらの文献は援用によって本明細書の一部をなす。
【0047】
別の好適な組成物は、40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更により好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上、更には90重量%以上の濃度でω3脂肪酸を含有する。好ましくは、上記ω3脂肪酸は50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更により好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80%以上、例えば約84重量%がEPA及びDHAである。好ましくは、上記ω3脂肪酸は約5〜約100重量%、より好ましくは約25〜約75重量%、更により好ましくは約40〜約55重量%、最も好ましくは約46重量%のEPAを含有する。好ましくは、上記ω3脂肪酸は約5〜約100重量%、より好ましくは約25〜約75重量%、更により好ましくは約30〜約60重量%、最も好ましくは約38重量%のDHAを含有する。以上示した百分率は全て、特に明記しない限り組成物の総質量に対する脂肪酸含有質量で表す。重量パーセンテージを決定する方法は、例えば、米国特許番号5502077号、第5656667号及び第5698694号に教示される。重量%の測定は、例えばω3脂肪酸のエチルエステル型に基づいてもよく、またその他の型に基づいてもよい。
【0048】
EPA:DHA比は99:1〜1:99であってもよく、好ましくは4:1〜1:4、より好ましくは3:1〜1:3、最も好ましくは2:1〜1:2である。ω3脂肪酸は、純粋なEPA又は純粋なDHAを含有してもよい。
【0049】
ω3脂肪酸組成物は、αトコフェロールなどの化学的酸化防止剤、大豆油及び部分的に水素添加した植物油などの油類、並びに精留ヤシ油、レシチン及びその混合物などの滑沢剤を適宜含む。
【0050】
ω3脂肪酸の最も好ましい形態は、Omacor(登録商標)ω3脂肪酸(K85EE,Pronova Biocare A.S.,Lysaker,Norway)であり、好ましくは以下の特性を有する(投与形態当たり)。
【0051】
【表1】

【0052】
スタチンと濃縮ω3脂肪酸の複合生成物は、当分野で周知の、カプセル剤、錠剤、飲料に分散できる散剤、若しくは別の固体経口投与形態、液剤、軟質ゲルカプセル剤、又はカプセル剤中の経口液剤などのその他好都合な投与形態で投与してもよい。幾つかの実施態様では、カプセル剤は硬質ゼラチンを含有する。複合生成物は、注射又は注入用の液体に添加してもよい。
【0053】
本発明の有効成分は、1種以上の非活性医薬成分(通常「賦形剤」として公知)と組み合わせて投与してもよい。非活性成分は、例えば有効成分を可溶化、懸濁、濃化、希釈、懸濁、安定化、保存、保護、着色、着香、及び成形して、安全、至便あるいは使用が容認できる、適用可能且つ有効な製剤として調製するのに有用である。非活性成分としては、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン、ラクトース一水和物、レシチン、微結晶性セルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、ドデシル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、二酸化チタン及びキサンタムゴムが挙げられる。
【0054】
使用できる界面活性剤としては、酢酸グリセロール及びアセチル化グリセロール脂肪酸エステルが挙げられる。好適な酢酸グリセロールとしては、アセチン、ジアセチン、トリアセチン及びそれらの混合物を含む。好適なアセチル化グリセロール脂肪酸エステルには、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド及びそれらの混合物が包含される。
【0055】
更に、界面活性剤はグリセロール脂肪酸エステルであってもよい。脂肪酸成分の炭素原子数は約6〜22である。グリセロール脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド又はそれらの混合物であってもよい。好適なグリセロール脂肪酸エステルには、炭素数約6〜12の脂肪酸を有するモノグリセリド、ジグリセリド、中鎖トリグリセリド及びそれらの混合物が包含される。例えばCapmul(登録商標)MCM(中鎖モノ及びジグリセリド)である。
【0056】
界面活性剤はプロピレングリコールエステルであってもよい。好適なプロピレングリコールエステルには、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アセチル化プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそれらの混合物が包含される。あるいは、プロピレングリコール脂肪酸エステルは、プロピレングリコール脂肪酸モノエステル、プロピレングリコール脂肪酸ジエステル又はその混合物であってもよい。脂肪酸成分の炭素原子数は約6〜22である。好適なプロピレングリコールエステルは、プロピレングリコールモノカプロン酸(Capryol(登録商標))、プロピレングリコールジカプロン酸、プロピレングリコールジカプリン酸、プロピレングリコールジカプロン酸/ジカプリン酸及びそれらの混合物である。
【0057】
他の界面活性剤のグループとしてはエチレングリコールエステルが挙げられる。エチレングリコールエステルには、モノエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエステル及びそれらの混合物が包含される。更なる例としては、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコール脂肪酸モノエステル、エチレングリコール脂肪酸ジエステル及びそれらの混合物が包含される。あるいは、エチレングリコールエステルは、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル又はそれらの混合物であってもよい。また、脂肪酸成分の炭素原子数は約6〜22である。特に好適なエチレングリコールエステルは、ポリエチレングリコールのトリグリセリド、植物油又はその混合物によるトランスエステル化により得られたものであって、例えばLabrafil(登録商標)及びLabrasol(登録商標)として市販されているものが挙げられる。
【0058】
例えば4〜25のアルキレン部分を有するポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル(またポリソルベートとも呼ばれる)(例えばモノ及びトリラウリル、パルミチル、ステアリール及びオレイルエステル型、商品名「Tween」(登録商標)として公知の市販品)も、界面活性剤として好適である。
【0059】
賦形剤としては、プロピレングリコールモノカプリレート、グリセロール及び長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステルの混合物、ポリエトキシ化ヒマシ油、グリセロールエステル、オレオイルマクロゴールグリセライド、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプラート、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール共重合体、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤、エタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールといった助溶剤、並びにココナツ、オリーブ又は紅花油といった油脂が挙げられる。
【0060】
使用できる親水性溶媒にはアルコール(例えば水と混合できるアルコール、例えば無水エタノール又はグリセロール)が包含される。他のアルコールとしては、例えばエチレンオキシドのようなオキシドから調製できるいかなるグリコール(例えば1,2−プロピレングリコール)も包含される。他の例としてはポリアルキレングリコールなどのポリオール(例えばポリ(C2−3)アルキレングリコール)が包含される。典型例はポリエチレングリコールである。あるいは、親水性成分はN−アルキルピロリドン(例えばN−(C1−14アルキル)ピロリドン(例えばN−メチルピロリドン))、トリ(C1−4アルキル)クエン酸(例えばトリエチルクエン酸)、ジメチルイソソルビド、(C−C13)アルカン酸(例えばカプリル酸又はプロピレンカーボネート)を含有するのが好ましい。
【0061】
親水性溶媒には、主要な又は唯一の成分として、例えばアルコール(例えばC1−4−アルコール(エタノールなど))を、又は共存成分として例えば低級エーテル若しくは低級アルカノールから選択される成分を含めてもよい。好適な部分的なエーテルは、例えばTranscutol(登録商標)(一般式C−[O−(CH−OHを有する)、Glycofurol(登録商標)(別名テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)であり、又は低級アルカノール(例えばエタノール)であってもよい。
【0062】
スタチンと濃縮ω3脂肪酸の複合生成物では、ω3脂肪酸油中のスタチンの溶解性が役立つ。複合生成物において、スタチンは実質的にω3脂肪酸油に溶解している。よって、複合生成物ではスタチンを溶解するための、界面活性剤などの可溶化剤、共溶媒、油類又はそれらの組み合わせが多量に必要ではない。好ましくは、スタチンは多量な可溶化剤(ω3脂肪酸油以外)を伴わずに含まれ、実質的に溶解している(すなわち溶解しなかった残存物が10%未満、好ましくは5%未満しか溶媒系中に存在しない)。好ましい実施態様では、スタチンは完全に溶解している。好ましい実施態様では、ω3脂肪酸油以外の可溶化剤は、仮に使用する場合であっても投与形態中の溶媒系の総質量に対して50重量%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、より一層好ましくは20%未満、更により好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の量で存在する。幾つかの実施態様では、溶媒系はω3脂肪酸油以外の可溶化剤を全く含有しない。本明細書で用いる場合、「溶媒系」にはω3脂肪酸油が含まれる。他の好ましい実施態様では、他の可溶化剤に対するω3脂肪酸油の質量比は0.5対1以上、より好ましくは1対1以上、より一層好ましくは5対1以上、最も好ましくは10対1以上である。
【0063】
他の好ましい実施態様では、仮に存在するとしても、溶媒系で使用する親水性溶媒の量は、投与形態中の溶媒系の総質量に対して20重量%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である。特定の実施態様では、溶媒系に用いられる親水性溶媒の量は、1〜10重量%の間である。界面活性剤、親水性溶媒又はそれらの組み合わせのうちの2つ以上(すなわち1つ以上の界面活性剤及び1つ以上の親水性溶媒)を用いることが好ましい。
【0064】
好ましい実施態様では、ω3脂肪酸油は、投与形態中の溶媒系の総質量に対して30重量%以上、より好ましくは40%以上、より一層好ましくは50%以上、最も好ましくは60%以上の量で存在する。具体的な実施態様では、70%以上、80%以上又は90%以上の量としてもよい。
【0065】
上記の投与形態は1カ月以上、好ましくは6カ月以上、より好ましくは1年以上、最も好ましくは2年間以上、室温(約23℃〜27℃)で安定である。出願人が意図する「安定」という用語は、可溶化スタチンが顕著な量で溶液から沈殿しない(例えば10%未満、好ましくは5%未満の量の沈殿)ことを意味する。
【0066】
更に、製剤はスタチンを分解から保護する。本発明の一実施態様では、スタチン及びω3脂肪酸を含む単位投与形態であって、最初の測定時間(t)において製剤中に含まれるスタチンの初期量の少なくとも90%が、室温及び60%の相対湿度条件下での1ヵ月の保存後においても維持される単位投与形態が包含される。
【0067】
濃縮ω3脂肪酸は約0.1g〜約10g、より好ましくは約0.5g〜約8g、最も好ましくは約0.75g〜約4g/日の量で投与してもよい。好ましくは、単位投与形態の場合、ω3脂肪酸は約0.1g〜約2g、好ましくは約0.5g〜約1.5g、より好ましくは約1gの量を存在させる。
【0068】
本発明の一実施態様では、スタチンはω3脂肪酸1g当たり約0.5mg〜80mg、より好ましくは約1mg〜約40mg、最も好ましくは約5mg〜約20mgで存在させる。
【0069】
Bristol−Myers Squibb(Princeton,NJ)社によって製造され、Pravachol(登録商標)として市販されているプラバスタチンは親水性である。プラバスタチンは、食物を摂取しない、つまり空腹時に最も良く吸収される。プラバスタチンの用量は、濃縮ω3脂肪酸との共投与の場合、好ましくは2.5〜80mg、好ましくは5〜60mg、より好ましくは10〜40mgである。一変形例では、プラバスタチンを用いた複合生成物を就寝時付近(例えば午後10時)に摂取する。
【0070】
Merck(Whitehouse Station,NJ)社からMevacor(登録商標)として販売されているロバスタチンは疎水性である。プラバスタチンとは異なり、ロバスタチンは食事と共に摂取されるべきであるため、幾つかの実施形態では、濃縮ω3脂肪酸とロバスタチンの複合生成物は食物とともに摂取されるべきである。ロバスタチンの用量は、濃縮ω3脂肪酸と共投与される場合、好ましくは2.5〜100mg、好ましくは5〜80mg、より好ましくは10〜40mgである。
【0071】
Merck(Whitehouse Station,NJ)社からZocor(登録商標)として販売されているシンバスタチンは疎水性である。シンバスタチンの用量は、濃縮ω3脂肪酸と共投与される場合、1〜80mg/日、好ましくは2〜60mg、より好ましくは5〜40mgである。
【0072】
Pfizer(New York,NY)社からLipitor(登録商標)として販売されているアトルバスタチンは疎水性であり、合成スタチンとして知られている。アトルバスタチンの用量は、濃縮ω3脂肪酸と共投与される場合、2.5〜100mg、好ましくは5〜80mg、より好ましくは10〜40mgである。
【0073】
Novartis(New York,NY)社からLescol(登録商標)として販売されているフラバスタチンは親水性であり、合成スタチンとして知られている。フラバスタチンの用量は、濃縮ω3脂肪酸と共投与される場合、5〜160mg、好ましくは10〜120mg、より好ましくは20〜80mgである。
【0074】
ロスバスタチンは、Astra Zeneca(Wilmington,DE)社からCrestor(登録商標)として販売されている。ロスバスタチンの用量は、濃縮ω3脂肪酸と共投与される場合、1〜80mg、好ましくは2〜60mg、より好ましくは5〜40mgである。
【0075】
本発明において、最も好ましい形態のスタチンはシンバスタチンであり、1〜30mgの複合生成物による単位投与で投与される。好適な1日の投与量は5〜80mgである。
【0076】
スタチンと濃縮ω3脂肪酸による連日投与は、1〜10回の投与としてもよく、好ましい投与回数は1日に1〜4回、最も好ましい投与回数は1日に1〜2回である。投与方法は好ましくは経口投与であるが、スタチンと濃縮ω3脂肪酸の単位投与量を提供しうる他の投与形態を用いてもよい。
【0077】
本発明におけるスタチンと濃縮ω3脂肪酸の組み合わせにより、2種の薬物それぞれ単独の場合よりも強い複合的若しくは相乗的効果が得られると考えられる。更に、その2種の薬物の複合的若しくは相乗的効果は、被験者の血中の脂質パラメータの初期レベルに依存すると考えられる。例えば、被験者のトリグリセリドレベルは通常150mg/dL未満であれば正常とされ、約150〜199mg/dL内であれば高値側のボーダーライン、約200〜499mg/dL内であれば高値、500mg/dL以上であれば非常に高値とされる。いかなる所定の脂質パラメータの場合であっても、48週未満、好ましくは24週以内、より好ましくは12週以内、最も好ましくは6週、4週又は2週以内で、「非常に高値」のレベルを「高値」又は「高値側のボーダーライン」に低減させるために本発明を使用できる。48週未満、好ましくは24週以内、より好ましくは12週以内、最も好ましくは6週、4週又は2週以内で、「高値」のレベルを「高値側のボーダーライン」又は「正常」に低減させるために本発明を使用することもできる。
【0078】
一実施態様では、本発明の医薬組成物を、従来のフルストレングスでその一方又は双方を投与した場合、従来技術の製剤と比較して有効成分の効力の向上が可能になる。別の実施態様では、本発明の医薬組成物によって、従来技術の製剤に比較して、スタチン及び/又はω3脂肪酸の投与量を低減させ、各有効成分の効力を依然維持若しくは更に改善することが可能になる。
【0079】
低い投与量及び賦形剤(例えば界面活性剤)の低減の結果、何らかの望ましくない副作用も低減されると考えられる。
【0080】
スタチン及び濃縮ω3脂肪酸の複合生成物を利用することにより、スタチン及び濃縮ω3脂肪酸の効能を向上させ、それにより従来技術の制限が克服され、ω3脂肪酸及びスタチンの複数回投与よりも、より有効で、かつ賦形剤の併用の少ない治療が可能となる。
【0081】
1つ以上のスタチンと1つ以上のω3脂肪酸、及び任意に1つ以上の親水性溶媒及び/又は1つ以上の界面活性剤及び/又はその他の可溶化剤及び/又はその他の賦形剤の組み合わせにより、当該複合生成物は、当業者に公知のいかなる方法によっても製造できる。好適な方法は、製剤の溶媒系の総重量に対して好ましくは約1〜5重量%の親水性溶媒(例えばエタノール)を調製し、そこに、1つ以上のスタチン、製剤の溶媒系の総重量に対して好ましくは約1〜5重量%の界面活性剤、及び製剤の溶媒系の総重量に対して好ましくは約10〜50重量%の1つ以上のω3脂肪酸を添加することを含んでなり、それにより第1の混合液が形成される。1つ以上のスタチン、界面活性剤及び脂肪酸を、連続的に、好ましくは混合しながら親水性溶媒中に添加する。その後、好ましくはスタチンが第1混合液に溶解するまで第1混合液を混合する。その後、残りの1つ以上のω3脂肪酸を第1混合液と混合し、第2混合液を調製する。
【実施例】
【0082】
<実施例1>:ω3脂肪酸中へのシンバスタチンの溶解性試験
【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
【表7】

【0089】
<実施例2>:シンバスタチン及びω−3脂肪酸を含有する医薬組成物
製剤1:
1000mg K85EE
25mg シンバスタチン
【0090】
2%のCremophorを添加し、シンバスタチンを溶解させた。30分間混合した。30分間混合しながら、Cremophorの濃度を2%から5%、更に最高7%まで増加させた。2時間後に沈殿が観察された。
【0091】
製剤2:
1000mg K85EE
25mg シンバスタチン
【0092】
2%のLabrasolを添加し、シンバスタチンを溶解させた。10分間混合した。20分間混合しながら、Labrasolの濃度を2%から5%に増加させた。2時間後に沈殿が観察された。
【0093】
製剤3:
1000mg K85EE
25mg シンバスタチン
【0094】
5%のターギトールNP−9を添加し、シンバスタチンを溶解させた。10分間混合した。30分間混合しながら、ターギトールの濃度を5%から10%に増加させた。2時間後に沈殿が観察された。
【0095】
製剤4:
1000mg K85EE
25mg シンバスタチン
【0096】
ターギトールNP−9及びLabrasolの組み合わせを添加し、10%ターギトール及び5%Labrasolの最終濃度とした。20分間混合した。透明溶液が観察された。
【0097】
製剤5:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
Cremophor+ポリソルベート80=2:1濃度
10% Labrasol
【0098】
10%のCremophor及び5%のポリソルベート80をビーカーに添加し、更にシンバスタチンを添加した。全ての薬剤が湿潤するまで十分混合し、10%のLabrasolを添加した。十分混合した。油をビーカーに注入し、15分間混合した。混濁溶液が観察された。
【0099】
製剤6:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
10% Capmul PG−8
【0100】
10%のCapmul PG−8をシンバスタチンに添加した。全ての薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を添加した。15分間十分に混合した。透明溶液が観察された。
【0101】
製剤7:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
5% Transcutol P
【0102】
5%のTranscutol Pをシンバスタチンに添加した。全ての薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を添加した。15分間十分に混合した。透明溶液が観察された。
【0103】
製剤8:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
4% Capmul PG−8
2% Transcutol P
【0104】
Capmul PG−8をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合した。更にTranscutol Pを添加し、十分混合した。最後に油を添加し、15分間混合した。透明溶液が観察された。
【0105】
製剤9:
1000mg K85EE
20mg シンバスタチン
12% Capmul PG−8
【0106】
12%のCapmul PG−8をシンバスタチンに添加した。全ての薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を添加した。15分間十分に混合した。透明溶液が観察された。
【0107】
製剤10:
1000mg K85EE
20mg シンバスタチン
8% Transcutol P
【0108】
8%のTranscutol Pをシンバスタチンに添加した。全ての薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を添加した。15分間十分に混合した。透明溶液が観察された。
【0109】
製剤11:
1000mg K85EE
20mg シンバスタチン
4% Transcutol P
6% Capmul PG−8
【0110】
Transcutol Pをシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合した。更にCapmul PG−8を添加し、十分混合した。最後に油を添加し、15分間混合した。透明溶液が観察された。
【0111】
製剤12:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
2% Capryol 90
【0112】
2%のCapryol 90をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。混濁溶液が観察された。
【0113】
製剤13:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
8% Capryol 90
【0114】
2%のCapryol 90をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。更に6%のCapryol 90を添加し、十分混合した。透明溶液が観察された。
【0115】
製剤14:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
5% Lauro Glycol 90
【0116】
5%のLauro Glycol 90をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。混濁溶液が観察された。
【0117】
製剤15:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
12% Lauro Glycol 90
【0118】
5%のLauro Glycol 90をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。更に7%のLauro Glycol 90を添加し、十分混合した。透明溶液が観察された。
【0119】
製剤16:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
15% Labrafil M 1944CS
【0120】
15%のLabrafilをシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。混濁溶液が観察された。
【0121】
製剤17:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
12% Plural Oleique CC497
−1000mg油成分
【0122】
12%のPlural Oleiqueをシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。混濁溶液が観察された。
【0123】
製剤18:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
5% Capryol 90
5% Lauro Glycol 90
【0124】
5%のCapryol 90をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。透明溶液が観察された。
【0125】
製剤19:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
5% Capryol 90
【0126】
5% Capmul PG−85%のCapryol 90をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、Capmul PG−8を添加し、十分混合した。油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。透明溶液が観察された。
【0127】
製剤20:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
5% Capryol 90
5% Cremophor
【0128】
5%のCapryol 90をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、Cremophorを添加し、十分混合した。油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。わずかに混濁した溶液が観察された。
【0129】
製剤21:
1000mg K85EE
15mg シンバスタチン
5% Capryol 90
2% Capmul PG−8
【0130】
5%のCapryol 90をシンバスタチンに添加した。薬剤が湿潤するまで十分混合し、2% Capmul PG−8を添加し、十分混合した。油を徐々にビーカーに注入し、10分間混合した。わずかに混濁した溶液が観察された。
【0131】
<実施例3>:スタチン及びω3脂肪酸を含有する単位投与用製剤
製剤1:
20mg K85EE
1000mg シンバスタチン
20mg 無水アルコール
39.5mg Capmul MCM
【0132】
製剤2:
10mg EPAX7010EE
750mg アトルバスタチン
10mg ポリエチレングリコール
17.5mg ターギトールNP−9
【0133】
製剤3:
15mg TG2162
850mg フルバスタチン
30mg プロピレングリコール
15mg Capryol 90
【0134】
全ての参照文献は援用によって本明細書の一部をなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位投与形態の医薬組成物であって、天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導剤、接合体、前駆体若しくは塩、又はそれらの混合物が含有される溶媒系中に、実質的にスタチンが溶解して実質的に均一な溶液として含有され、該溶媒系中での溶解していない該スタチンの含量が10%未満である、医薬組成物。
【請求項2】
スタチン及びω3脂肪酸のみが医薬組成物の活性成分である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記溶媒系中に、その溶媒系の総重量に対して50%重量以下で、少なくとも1つの可溶化剤が更に含有される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの可溶化剤に親水性溶媒が含有される、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記親水性溶媒が、溶媒系の総重量に対して20重量%以下の量で存在する、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの可溶化剤に界面活性剤が含有される、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が溶媒系の総重量に対して20重量%以下の量で存在する、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの可溶化剤に親水性溶媒及び界面活性剤が含有される、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記親水性溶媒及び前記界面活性剤が、溶媒系の総重量に対して20重量%以下の量で存在する、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
医薬組成物を少なくとも1ヶ月の期間、室温、60%の相対湿度の条件下で保存したとき、溶解したスタチンのうち沈殿するものが10%以下である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記スタチンがシンバスタチンである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導剤、接合体、前駆体若しくは塩、又はそれらの混合物が含有される単位投与形態の医薬組成物であって、最初の測定時間(t)において製剤中に含有されるスタチンの初期量の少なくとも90%が、室温及び60%の相対湿度条件下での1ヵ月の保存後においても維持される医薬組成物。
【請求項13】
高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、冠状動脈性心臓病(CHD)、心不全、心臓不整脈、虚血性痴呆、高血圧、凝固関連障害、ネフロパシ、網膜症、認識障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、メタボリックシンドローム、血管疾患、アテローム硬化型疾患及び関連症状からなる群から選択される1つ以上の症状に罹患する患者の治療方法であって、患者に請求項1記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項14】
前記医薬組成物を患者に初めて投与する前の患者のトリグリセリド濃度が約200〜約499mg/dLである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物を患者に初めて投与する前の患者のトリグリセリド濃度が499mg/dL超である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記医薬組成物を患者に初めて投与する前の患者のトリグリセリド濃度が約150〜約199mg/dLである、請求項13記載の方法。
【請求項17】
患者の心疾患及び/又は心血管疾患及び/又は脈管疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防及び/又は軽減方法であって、該患者に請求項1記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項18】
前記医薬組成物を患者に初めて投与する前の患者のトリグリセリド濃度が約200〜約499mg/dLである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物を患者に初めて投与する前の患者のトリグリセリド濃度が499mg/dL超である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記医薬組成物を患者に初めて投与する前の患者のトリグリセリド濃度が約150〜約199mg/dLである、請求項17記載の方法。

【公表番号】特表2008−533029(P2008−533029A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500914(P2008−500914)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/008404
【国際公開番号】WO2006/096806
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507185428)レリアント ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】