説明

スタッカークレーンの下部枠体用冶具及び同クレーンの組付け方法

【課題】スタッカークレーンを分解して搬送する場合において、倒れを抑制した状態に下部枠体を支持するための作業の簡易化を図ることができ、また、設置箇所にて分解状態のスタッカークレーンを組付ける際において、設置箇所の床面に設置した走行レールの上部に下部枠体を移動させる作業の簡易化を図ることができるスタッカークレーンの下部枠体用冶具を提供する。
【解決手段】走行レールに沿って走行自在な走行輪9を備えた下部枠体3と、その下部枠体3に対して着脱される前後の支柱と、その前後の支柱の上端部同士を接続する上部枠体と、前後の支柱にて昇降自在に案内される昇降台とが備えられ、下部枠体3を床面浮上状態に支持するための複数の冶具用輪体Rが、下部枠体3に着脱自在に、かつ、下部枠体3に装着した状態において高さ調節自在に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行レールに沿って走行自在な走行輪を前後両端部に備えた下部枠体と、その下部枠体の前後両端側部の夫々から立設される前後の支柱と、その前後の支柱の上端部同士を接続する上部枠体と、前記前後の支柱にて昇降自在に案内される昇降台とが備えられ、前記前後の支柱が、前記下部枠体に対して着脱自在に構成されているスタッカークレーンの下部枠体用冶具、及び、スタッカークレーンの組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッカークレーンは、通常一般に、物品を収納する収納部が縦横に設けられた物品収納棚に対して、物品を収納するのに使用されることになる。
すなわち、スタッカークレーンが物品収納棚の前面に沿って走行し、かつ、昇降台が昇降することにより、昇降台に装備した物品移載装置が、物品収納棚における収納部に対する物品移載位置、物品入庫部に対する物品移載位置、及び、物品出庫部に対する物品移載位置に移動されて、主として、物品入庫部に入庫される物品を収納部に収納する入庫作業や、収納部に収納された物品を物品出庫部に出庫する出庫作業を行うのに用いられることになる。
【0003】
このようなスタッカークレーンは、下部枠体、前後の支柱、上部枠体、及び、昇降台を製造箇所にて組付けて、その組付けた状態のスタッカークレーンを設置箇所に搬送して、設置する場合もあるが、前後の支柱が相当大きな長さを有する等の理由により、組付けたスタッカークレーンを設置箇所に搬送することを回避して、分解状態で搬送することが多い。
すなわち、一般には、スタッカークレーンを、下部枠体、前後の支柱、上部枠体、及び、昇降台に分解した状態で設置箇所に搬送して、下部枠体、前後の支柱、上部枠体、及び、昇降台を設置箇所にて組付けるようにする場合が多い(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ちなみに、特許文献1には記載されてはいないが、下部枠体、前後の支柱、上部枠体、及び、昇降台をトラックの荷台等に対して積み降ろしする際には、ホイスト式クレーン等の吊下げ装置にて吊下げ支持することになる。
そして、下部枠体をトラックの荷台等に積み込んだ状態においては、当て木等の支持部材にて、下部枠体の下面部を支えるようにして、下部枠体の倒れを抑制することになる。
尚、前後の支柱は、複数に分割された状態で搬送されて、設置箇所にて所定長さの支柱に組付けられることが多い。
【0005】
また、特許文献1には記載されてはいないが、設置箇所にてスタッカークレーンを組付けるには、ホイスト式クレーン等の吊下げ装置にて下部枠体を吊下げ支持して、設置箇所の床面に設置した走行レールの上部に移動させ、次に、下部枠体を下降させて、走行レールにて走行輪が受け止め支持される状態とする。その後、その下部枠体に対する前後の支柱の組付け、前後の支柱に対する上部枠体の組付け、及び、前後の支柱に対する昇降台の組付けを行い、さらに、昇降台の昇降駆動用索状体の装着を行うことになり、それらの作業においても、必要に応じて、ホイスト式クレーン等の吊下げ装置が使用されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−189309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送する場合において、従来では、当て木等の支持部材にて、下部枠体の下面部を支えるようにして、下部枠体の倒れを抑制することになるが、当て木等の支持部材を下部枠体の下方に設置する作業は、手間の掛かる面倒な作業となるものであり、改善が望まれるものであった。
【0008】
また、設置箇所にてスタッカークレーンを組付ける際に、ホイスト式クレーン等の吊下げ装置にて下部枠体を吊下げ支持して、設置箇所の床面に設置した走行レールの上方箇所に移動させる作業は、大きな重量の下部枠体を吊下げ支持することになるため、十分な注意を払いながら行う面倒な作業となるものであった。
【0009】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、スタッカークレーンを分解して搬送する場合において、倒れを抑制した状態に下部枠体を支持するための作業の簡易化を図ることができ、また、設置箇所にて分解状態のスタッカークレーンを組付ける際において、設置箇所の床面に設置した走行レールの上部に下部枠体を移動させる作業の簡易化を図ることができるスタッカークレーンの下部枠体用冶具を提供する点にある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、設置箇所にて分解状態のスタッカークレーンを組付ける際において、設置箇所の床面に設置した走行レールの上部に下部枠体を移動させることを簡易に行うことができるスタッカークレーンの組付方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具は、走行レールに沿って走行自在な走行輪を前後両端部に備えた下部枠体と、その下部枠体の前後両端側部の夫々から立設される前後の支柱と、その前後の支柱の上端部同士を接続する上部枠体と、前記前後の支柱にて昇降自在に案内される昇降台とが備えられ、
前記前後の支柱が、前記下部枠体に対して着脱自在に構成されているスタッカークレーンの下部枠体用冶具であって、その第1特徴構成は、
前記下部枠体を床面浮上状態に支持するための複数の冶具用輪体が、前記下部枠体に着脱自在に、かつ、前記下部枠体に装着した状態において高さ調節自在に設けられている点を特徴とする。
【0012】
すなわち、スタッカークレーンを分解して製造箇所から設置箇所に搬送する場合において、下部枠体を床面浮上状態に支持するための複数の冶具用輪体を、下部枠体に装着することになる。
複数の冶具用輪体が装着された下部枠体は、複数の冶具用輪体にて、床面浮上状態に支持されることになるから、下部枠体をトラックの荷台等に積み込んだ状態において、下部枠体の倒れが抑制される。
【0013】
したがって、下部枠体をトラックの荷台等に積み込んだ状態において、下部枠体の倒れを抑制するために、当て木等の支持部材を下部枠体の下方に設置する等の特別な作業を行う必要がなくなる、または、当て木等の支持部材を下部枠体の下方に設置する等の作業を行うにしても、当て木等の支持部材の設置数を減少して、その作業の簡易化を図ることができるのである。
【0014】
また、設置箇所にてスタッカークレーンを組付ける際に、下部枠体が備える走行輪が設置箇所の床面に設置した走行レールよりも高くなるように複数の冶具用輪体の高さを調節して、冶具用輪体の走行により、下部枠体を走行レールの上方箇所に移動させることができる。
ちなみに、下部枠体を走行レールの上方箇所に移動させた状態において、複数の冶具用輪体の高さを調節して、下部枠体の走行輪を走行レールに載置させることができ、そして、下部枠体の走行輪が走行レールに載置された状態において、複数の冶具輪体を下部枠体から離脱させることになる。
【0015】
したがって、下部枠体を設置箇所の床面に設置した走行レールの上方箇所に移動させることを、下部枠体を吊下げ支持することなく、冶具用輪体にて走行させながら行えるものとなり、その作業の簡易化を図ることができる。
【0016】
要するに、本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第1特徴構成によれば、スタッカークレーンを分解して搬送する場合において、倒れを抑制した状態で下部枠体を支持するための作業の簡易化を図ることができ、また、設置箇所にて分解状態のスタッカークレーンを組付ける際において、設置箇所の床面に設置した走行レールの上方箇所に下部枠体を移動させる作業の簡易化を図ることができる。
【0017】
本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記下部枠体が、前後の前記走行輪の夫々を支持する前後の車輪支持枠を、それら車輪支持枠の横一側箇所において前後方向に延びるように位置する連結枠にて接続して構成され、
前記前後の車輪支持枠の横他側箇所において前後方向に延びるように位置する前後枠部分を備える冶具用枠体が、その両端部を前記下部枠体に接続自在に設けられ、
前記冶具用枠体に、前記複数の冶具用輪体のうちの一部が装備されている点を特徴とする。
【0018】
すなわち、下部枠体が、前後の前記走行輪の夫々を支持する前後の車輪支持枠を、それら車輪支持枠の横一側箇所において前後方向に延びるように位置する連結枠にて接続して構成されるのに対応して、車輪支持枠の横他側箇所において前後方向に延びるように位置する前後枠部分を備える冶具用枠体が、その両端部を下部枠体に接続自在に設けられているから、冶具用枠体を下部枠体に装着することにより、下部枠体の連結枠と冶具用枠体の前後枠部分とを、前後の車輪支持枠の両横側箇所に振り分け位置させることができ、これによって、下部枠体の倒れを適切に抑制できるものとなる。
【0019】
つまり、前後の車輪支持枠の横一側箇所に連結枠が位置する下部枠体は、連結枠の重量のために、連結枠の存在側に倒れ易いものとなるが、冶具用枠体の前後枠部分が、連結枠に対向する部材となり、その前後枠部分の重量と連結枠との重量とが相殺されて、重量バランスが良くなることにより、下部枠体の倒れを抑制できる。
【0020】
また、冶具用枠体の両端部を下部枠体に接続させるようにして、その冶具用枠体に、複数の冶具用輪体のうちの一部を装備する、つまり、冶具用枠体を複数の冶具用輪体のうちの一部の冶具用輪体の取付け枠として兼用するものであるから、冶具用枠体を下部枠体に装着することにより、複数の冶具用輪体のうちの一部を、下部枠体に装着できることになり、冶具用輪体の装着作業の簡略化を図ることができる。
【0021】
要するに、本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、下部枠体の倒れを適切に抑制でき、しかも、冶具用輪体の装着作業の簡略化を図ることができる。
【0022】
本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記前後の走行輪のうちの一方が、駆動車輪で、且つ、他方が遊転車輪であり、
前記冶具用枠体が、前記前後枠部分における前記遊転車輪側の端部から連設されて、平面視において、前記下部枠体から離脱された遊転車輪側の前記車輪支持枠の装着空間の背部側を迂回して前記連結枠に接続される湾曲状枠部分を備えるように構成されている点を特徴とする。
【0023】
すなわち、冶具用枠体が、前後枠部分における遊転車輪側の端部から連設されて、平面視において、下部枠体から離脱された遊転車輪側の車輪支持枠の装着空間の背部側を迂回して連結枠に接続される湾曲状枠部分を備えるものであるから、冶具用枠体が下部枠体に装着された状態において、つまり、前後の走行車輪のうちの一つして、下部枠体が備える遊転車輪が離脱された下部枠体を、複数の冶具用車輪にて床面浮上状態に支持した状態において、湾曲状枠部分の内部空間を通して、遊転車輪側の車輪支持枠を下部枠体に組付けることできるものとなる。
【0024】
このように、遊転車輪が離脱された下部枠体を複数の冶具用車輪にて床面浮上状態に支持した状態において、遊転車輪側の車輪支持枠を下部枠体に組付けることできるから、スタッカークレーンを分解して搬送する場合において、前後の走行車輪のうちの一つして、下部枠体が備える遊転車輪の車輪支持枠を、下部枠体から外しておき、設置箇所にて、遊転車輪の車輪支持枠を下部枠体に組付けることができる。
【0025】
説明を加えると、前後の走行車輪のうちの一つして、下部枠体が備える遊転車輪の車輪支持枠が、前後の支柱のうちの、遊転車輪側の支柱を下部枠体の組付けに邪魔になるような場合においては、遊転車輪の車輪支持枠を下部枠体から外しておき、設置箇所にて、前後の支柱のうちの、遊転車輪側の支柱を下部枠体に組付けた遊転車輪の支持枠を下部枠体に組付けるようにすることができるため、前後の支柱のうちの、遊転車輪側の支柱を下部枠体に組付ける作業を良好に行えるものとなる。
【0026】
ちなみに、前後の走行車輪のうちの一つして、下部枠体が備える駆動車輪の車輪支持枠を、下部枠体から離脱させる場合には、例えば、駆動車輪を駆動する電動モータをも車輪支持枠から離脱させて、設置箇所にて、車輪支持枠とともに電動モータを下部枠体に組付けることになるが、この場合、電動モータに対する駆動用や制御用の電線を配線する作業が必要となって、駆動車輪の車輪支持枠を組付ける作業が煩雑な作業となる不都合があるが、前後の走行車輪のうちの一つして、下部枠体が備える遊転車輪の車輪支持枠を、下部枠体から離脱させる場合には、設置箇所にて、単に、遊転車輪の車輪支持枠を下部枠体に組付ければよく、遊転車輪の車輪支持枠を下部枠体に組付ける作業が煩雑な作業となることを回避できる。
【0027】
要するに、本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第3特徴構成によれば、第2特徴構成による作用効果に加えて、下部枠体が備える遊転車輪の車輪支持枠を、下部枠体から外しておくことにより、前後の支柱のうちの、遊転車輪側の支柱を下部枠体に組付ける作業を良好に行える。
【0028】
本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記下部枠体の走行作動及び前記昇降台の昇降作動を制御する制御部を収納する制御ボックスが、前記下部枠体に接続された制御ボックス用支持枠にて支持される状態で設けられ、
前記制御ボックスが、前記前後の支柱の一方に連結自在に構成され、
前記前後の支柱よりも短い冶具用支柱が、前記前後の支柱のうちの前記制御ボックスが連結自在な支柱に代えて前記下部枠体に装着自在に設けられ、
前記制御ボックスが、前記冶具用支柱に連結自在に構成されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、下部枠体の走行作動及び昇降台の昇降作動を制御する制御部を収納する制御ボックスが、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送するときにも、下部枠体に接続された制御ボックス用支持枠に支持されるものであるから、下部枠体に備えられる下部枠体走行用や昇降台昇降用の電動モータと制御部との電気的な接続状態を、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送するときにも維持できるため、設置箇所における配線作業の簡略化を図ることができる。
【0030】
そして、スタッカークレーンが組付けられた状態においては、制御ボックスが下部枠体に組付けられる前後の支柱の一方に連結されることにより、制御ボックスは、その姿勢が安定した状態で支持されることになる。
【0031】
スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送するときには、前後の支柱が下部枠体から離脱しているため、前後の支柱の一方と制御ボックスとを連結することができないものの、前後の支柱よりも短い冶具用支柱を、前後の支柱のうちの制御ボックスが連結自在な支柱に代えて下部枠体に装着して、制御ボックスを冶具用支柱に連結することにより、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送する搬送中においても、制御ボックスをその姿勢が安定した状態に支持することができる。
【0032】
要するに、本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第4特徴構成によれば、第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送する搬送中においても、制御ボックスをその姿勢が安定した状態に支持することができる。
【0033】
本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記制御ボックス用支持枠が、前記制御ボックスを起立姿勢で支持する状態と車体内方側に向けて倒れる横倒れ姿勢で支持する状態とに切換自在に構成され、
前記冶具用支柱として、起立姿勢の前記制御ボックスが連結される直軸状の主支柱と、直軸状の下部側支柱部分の上端に車体内方側に屈曲する上部側支柱部分を備えて、横倒れ姿勢の前記制御ボックスが前記上部側支柱部分に載置された状態で連結される副支柱とが、選択使用自在に設けられている点を特徴とする。
【0034】
すなわち、制御ボックスは、組付けられたスタッカークレーンに装備するときには、起立姿勢で装備されることになるが、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送するときには、起立姿勢で保持する状態と横倒れ姿勢で保持する状態とを選択できることになる。
【0035】
つまり、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送する際において、下部枠体をトラックの荷台に積載して搬送するとき等、制御ボックスを起立姿勢で保持できる場合には、冶具用支柱として、直軸状の主支柱を下部枠体に装着して、起立姿勢の制御ボックスを直軸状の主支柱に連結することになる。
【0036】
また、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送する際において、例えば、下部枠体をコンテナ内に収納して船にて海外に輸送するとき等、制御ボックスを含めた下部枠体の高さを低くする必要がある場合には、冶具用支柱として、副支柱を下部枠体に装着して、横倒れ姿勢の制御ボックスを、副支柱の上部側支柱部分に載置した状態で副支柱に連結することになる。
【0037】
したがって、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送するときに、制御ボックスを起立姿勢で保持する状態と横倒れ姿勢で保持する状態とを選択できるから、搬送形態に合わせた状態で、分解した下部枠体を良好に搬送できる。
【0038】
要するに、本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第5特徴構成によれば、第4特徴構成による作用効果に加えて、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送するときに、搬送形態に合わせて、制御ボックスを起立姿勢で保持する状態と横倒れ姿勢で保持する状態とを選択することにより、下部枠体を良好に搬送できる。
【0039】
本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第6特徴構成は、第4又は第5特徴構成に加えて、
前記冶具用支柱に、前記下部枠体の両横外側方に向けて伸びる延長枠が設けられ、その延長枠の両端部に、高さ調節自在に接地体が装備されている点を特徴とする。
【0040】
すなわち、冶具用支柱を下部枠体に装着したときに、下部枠体の両横外側方に向けて伸びる延長枠の両端部に装備した接地体の高さを調節して、接地体を床面に当て付けるようにすることにより、下部枠体の横倒れを的確に抑制できるものとなる。
【0041】
つまり、スタッカークレーンを分解した状態で製造箇所から設置箇所に搬送する場合において、下部枠体をトラックの荷台やコンテナ内に積み込んだとき等において、下部枠体の両横外側方に向けて伸びる延長枠の両端部に装備した接地体を床面に当て付けるようにすることにより、冶具用車輪による支持作用に加えて、接地体による支持作用により、下部枠体の姿勢の一層の安定化を図ることができる。
【0042】
要するに、本発明のスタッカークレーンの下部枠体用冶具の第6特徴構成によれば、第4又は第5特徴構成による作用効果に加えて、冶具用車輪による支持作用に加えて、接地体による支持作用により、下部枠体の姿勢の一層の安定化を図ることができる。
【0043】
本発明のスタッカークレーンの組付方法は、走行レールに沿って走行自在な走行輪を前後両端部に備えた下部枠体と、その下部枠体の前後両端側部の夫々から立設される前後の支柱と、その前後の支柱の上端部同士を接続する上部枠体と、前記前後の支柱にて昇降自在に案内される昇降台とが備えられ、
前記前後の支柱が、前記下部枠体に対して着脱自在に構成されているスタッカークレーンの組付方法であって、その第1特徴構成は、
前記前後の支柱が離脱された前記下部枠体を床面浮上状態に支持する複数の冶具用輪体を前記下部枠体に装着した状態で、かつ、前記走行輪が前記走行レールよりも高くなるように前記複数の冶具用輪体の高さを調節した状態で、前記下部枠体を前記冶具用輪体の走行により前記走行レールの上方箇所に移動させ、
次に、前記下部枠体に対する前記前後の支柱の組付け、前記前後支柱に対する前記上部枠体の組み付け、及び、前記前後支柱に対する前記昇降台の組付けを行い、
その後、前記昇降台を昇降駆動する昇降駆動用索状体の装着を行う点を特徴とする。
【0044】
すなわち、スタッカークレーンを分解して製造箇所から設置箇所に搬送して、設置箇所にてスタッカークレーンを組付ける際に、下部枠体を床面浮上状態に支持するための複数の冶具用輪体を、下部枠体に装着し、また、下部枠体が備える走行輪が設置箇所の床面に設置した走行レールよりも高くなるように複数の冶具用輪体の高さを調節する。
そして、下部枠体を冶具用輪体の走行により、走行レールの上方箇所に移動させる。
【0045】
次に、下部枠体に対する前後の支柱の組付け、前後支柱に対する上部枠体の組み付け、及び、前後支柱に対する前記昇降台の組付けを行い、その後、昇降台を昇降駆動する昇降駆動用索状体の装着を行うことになる。
【0046】
したがって、設置箇所においてスタッカークレーンを組付ける際に、下部枠体を設置箇所の床面に設置した走行レールの上方箇所に移動させることを、冶具用輪体の走行によって、下部枠体を移動させる形態で行うものであるから、下部枠体をホイスト式クレーン等の吊下げ装置にて吊下げ支持して、設置箇所の床面に設置した走行レールの上方箇所に移動させるようにする場合に較べて、設置箇所の床面に設置した走行レールの上方箇所に下部枠体を移動させる作業の簡易化を図ることができるのであり、その結果、スタッカークレーンの組付作業の効率化を図ることができる。
【0047】
ちなみに、冶具用輪体は、スタッカークレーンを分解して製造箇所から設置箇所に搬送する際に、下部枠体に装着しておくことにより、搬送中において、冶具用輪体にて下部枠体の倒れを抑制できるものとなる。
【0048】
要するに、本発明のスタッカークレーンの組付方法の第1特徴構成によれば、スタッカークレーンを分解して製造箇所から設置箇所に搬送して、設置箇所にて分解状態のスタッカークレーンを組付ける際において、設置箇所の床面に設置した走行レールの上部に下部枠体を移動させる作業の簡易化を図ることにより、スタッカークレーンの組付作業の効率化を図ることができる。
【0049】
本発明のスタッカークレーンの組付方法の第2特徴構成は、同方法の上記第1特徴構成に加えて、
前記下部枠体が、前後の前記走行輪の夫々を支持する前後の車輪支持枠を、それら車輪支持枠の横一側箇所において前後方向に延びるように位置する連結枠にて接続して構成され、
前記前後の走行輪のうちの一方が、駆動車輪で、且つ、他方が遊転車輪であり、
前記遊転車輪に対する前記車輪支持枠を前記下部枠体から離脱させた状態で、前記下部枠体を前記冶具輪体の走行により前記走行レールの上方箇所に移動させ、
前記前後の支柱を前記下部枠体に組付けた後において、前記遊転車輪に対する前記車輪支持枠を前記下部枠体に組付け、
その後、前記冶具用輪体の高さを調節して、前記駆動車輪及び前記遊転車輪を前記走行レールに載置させるようにする点を特徴とする。
【0050】
すなわち、前後の走行車輪のうちの一つして、下部枠体が備える遊転車輪の車輪支持枠を、下部枠体から離脱させた状態で、冶具用輪体の走行により下部枠体を走行レールの上方箇所に移動させる。
そして、前後の支柱を下部枠体に組付けた後において、遊転車輪に対する車輪支持枠を下部枠体に組付け、その後、冶具用輪体の高さを調節して、駆動車輪及び遊転車輪を走行レールに載置させるようにする。
【0051】
説明を加えると、遊転車輪の車輪支持枠を下部枠体から離脱させた状態で、遊転車輪側の支柱を組付けるものであるから、遊転車輪の車輪支持枠が、前後の支柱のうちの、遊転車輪側の支柱を下部枠体に組付けるときに邪魔になるような場合においても、その遊転車輪側の支柱の下部枠体への組付けを良好に行えるものとなる。
【0052】
ちなみに、前後の走行車輪のうちの一つとして、下部枠体が備える駆動車輪の車輪支持枠を、下部枠体から離脱させる場合には、例えば、駆動車輪を駆動する電動モータをも車輪支持枠から離脱させて、設置箇所にて、車輪支持枠とともに電動モータを下部枠体に組付けることになる。この場合、電動モータに対する駆動用や制御用の電線を配線する作業が必要となって、駆動車輪の車輪支持枠を組付ける作業が煩雑な作業となる不都合があるが、前後の走行車輪のうちの一つして、下部枠体が備える遊転車輪の車輪支持枠を、下部枠体から離脱させる場合には、設置箇所にて、単に、遊転車輪の車輪支持枠を下部枠体に組付ければよく、遊転車輪の車輪支持枠を下部枠体に組付ける作業が煩雑な作業となることはない。
【0053】
要するに、本発明のスタッカークレーンの組付方法の第2特徴構成によれば、同方法の第1特徴構成による作用効果に加えて、下部枠体が備える遊転車輪の車輪支持枠が、前後の支柱のうちの、遊転車輪側の支柱の下部枠体への組付けに邪魔になるような場合においても、その遊転車輪側の支柱の下部枠体への組付けを良好に行えるものとなる。
【0054】
本発明のスタッカークレーンの組付方法の第3特徴構成は、同方法の上記第2特徴構成に加えて、
前記遊転車輪が、その車輪支持枠に対して上下位置調節自在に支持され、
前記駆動車輪及び前記遊転車輪を前記走行レールに載置させた後において、前記前後の支柱の姿勢が適正状態となるように、前記遊転車輪の上下位置を調節する点を特徴とする。
【0055】
すなわち、駆動車輪及び遊転車輪を走行レールに載置させた後において、前後の支柱の姿勢が適正状態となるように、遊転車輪の上下位置を調節するものであるから、製作誤差や組付け誤差等により、前後の支柱の姿勢が適正状態よりも前方や後方に傾いていても、遊転車輪の上下位置調節により、前後の支柱の姿勢を適正状態にすることができる。
【0056】
要するに、本発明のスタッカークレーンの組付方法の第3特徴構成によれば、同方法の第2特徴構成による作用効果に加えて、製作誤差や組付け誤差等により、前後の支柱の姿勢が適正状態よりも前方や後方に傾いていても、前後の支柱の姿勢を適正状態にできる。
【0057】
本発明のスタッカークレーンの組付方法の第4特徴構成は、同方法の上記第2又は第3特徴構成に加えて、
前記前後の車輪支持枠の両横側箇所のうちの前記連結枠が存在する横一側箇所とは反対側の横他側箇所において前後方向に延びるように位置する前後枠部分を備え、且つ、その両端部が前記下部枠体に接続自在な冶具用枠体を、前記下部枠体に装着した状態で、前記下部枠体を前記冶具用輪体の走行により前記走行レールの上方箇所に移動させ、
前記前後の支柱のうちの前記駆動車輪側の支柱を、先に前記下部枠体に組付け、
次に、前記昇降台を、その被案内部を先に組付けた前記駆動車輪側の支柱に係合させながら、前記下部枠体及び前記冶具用枠体の上部に載置し、
その後、前記前後の支柱のうちの前記遊転車輪側の支柱を、前記昇降台の被案内部に係合させながら、前記下部枠体に組付けるようにする点を特徴とする。
【0058】
すなわち、前後の車輪支持枠の両横側箇所のうちの連結枠が存在する横一側箇所とは反対側の横他側箇所において前後方向に延びるように位置する前後枠部分を備え、且つ、その両端部が下部枠体に接続自在な冶具用枠体を、下部枠体に装着した状態で、冶具用輪体の走行により、下部枠体を走行レールの上方箇所に移動させるものであるから、下部枠体の連結枠と冶具用枠体の前後枠部分とが、前後の車輪支持枠の両横側箇所に振り分け位置されることによって、下部枠体の倒れを抑制しながら、冶具用輪体の走行により下部枠体を走行レールの上方箇所に良好に移動させることができる。
【0059】
つまり、前後の車輪支持枠の横一側箇所に連結枠が位置する下部枠体は、連結枠の重量のために、連結枠の存在側に倒れ易いものとなるが、冶具用枠体の前後枠部分が、連結枠に対向する部材となり、その前後枠部分の重量と連結枠との重量とが相殺されて、重量バランスが良くなることにより、下部枠体の倒れを抑制できる。
【0060】
そして、下部枠体を走行レールの上方箇所に移動させた後は、前後の支柱のうちの駆動車輪側の支柱を、先に前記下部枠体に組付け、次に、昇降台を、その被案内部を先に組付けた駆動車輪側の支柱に係合させながら、下部枠体及び冶具用枠体の上部に載置し、その後、前後の支柱のうちの遊転車輪側の支柱を、昇降台の被案内部に係合させながら、下部枠体に組付けるようにするものであるから、昇降台の被案内部を前後の支柱に係合させた状態に組付けることを、良好に行えるものとなる。
【0061】
すなわち、昇降台の被案内部を、昇降台に取付けた状態に維持しながら、昇降台の被案内部を前後の支柱に係合させた状態に組付けることができるものであるから、昇降台を前後の支柱に組付けることを良好に行えるのである。
つまり、前後の支柱を下部枠体に組付けた後において、昇降台の被案内部を前後の支柱に係合させることが考えられるが、この場合には、昇降台の被案内部を昇降台から離脱させた状態で、昇降台を前後の支柱の間に挿入し、その後、昇降台の被案内部を、前後の支柱に係合させながら、昇降台に取付けることになり、昇降台の組付け作業が煩雑となるのである。
【0062】
また、下部枠体が、前後の前記走行輪の夫々を支持する前後の車輪支持枠を、それら車輪支持枠の横一側箇所において前後方向に延びるように位置する連結枠にて接続した状態に構成されるため、下部枠体のみでは、昇降台を安定良く載置支持できないものとなるが、冶具用枠体に、前後の車輪支持枠の両横側箇所のうちの連結枠が存在する横一側箇所とは反対側の横他側箇所において前後方向に延びるように位置する前後枠部分が備えられているから、下部枠体及び冶具用枠体の上部に昇降台を載置できるため、下部枠体の連結枠と冶具用枠体の前後枠部分とによって、昇降台を安定的に支持しながら、遊転車輪側の支柱の組付け作業を行うことができる。
【0063】
要するに、本発明のスタッカークレーンの組付方法の第4特徴構成によれば、同方法の上記第2又は第3特徴構成による作用効果に加えて、下部枠体の倒れを抑制しながら、冶具用輪体の走行により下部枠体を走行レールの上方箇所に良好に移動させることができ、しかも、昇降台の被案内部を前後の支柱に係合させた状態に組付けることを、良好に行うことができ、さらには、昇降台を安定的に支持しながら、遊転車輪側の支柱の組付け作業を行うことができる。
【0064】
本発明のスタッカークレーンの組付方法の第5特徴構成は、同方法の上記第4特徴構成に加えて、
前記前後の支柱のうちの前記駆動車輪側の支柱に、前記上部枠体を予め組付けて、前記上部枠体が組み付けられた前記駆動車輪側の支柱を、前記下部枠体に組付け、
前記前後の支柱のうちの前記遊転車輪側の支柱を、前記上部枠体に対する位置を調節しながら前記下部枠体に組付け、
その後、前記遊転車輪側の支柱と前記上部枠体とを組付けるようにする点を特徴とする。
【0065】
すなわち、上部枠体を、前後の支柱のうちの駆動車輪側の支柱に予め組付け、上部枠体が組付けられた駆動車輪側の支柱を、下部枠体に組付けるようにする。
次に、前後の支柱のうちの遊転車輪側の支柱を、上部枠体に対する位置を調節しながら下部枠体に組付け、その後、遊転車輪側の支柱と上部枠体とを組付けるようにする。
【0066】
そして、上部枠体を、駆動車輪側の支柱に予め組付ける作業は、駆動車輪側の支柱を床面に倒れ姿勢にて置いた状態で、上部枠体を駆動車輪側の支柱に組付ける形態で行えるため、足場が安定している、及び、上部枠体を支持し易い等により、簡易な作業となる。
また、遊転車輪側の支柱と上部枠体とを組付ける作業は、駆動車輪側の支柱にて支持されている上部枠体に対して、遊転車輪側の支柱を組付けることになり、上部枠体を高所にて保持する必要がないため、遊転車輪側の支柱と上部枠体とを組付ける作業も簡易な作業となる。
したがって、前後の支柱と上部枠体とを組付ける作業の簡易化を図ることができるのである。
【0067】
つまり、前後の支柱と上部枠体とを組付ける手順として、先ず、前後の支柱を下部枠体に組付け、その後、上部枠体を前後の支柱に組付けるようにすることが考えられるが、この場合、上部枠体を、高所にて保持しながら、前後の支柱に組付けることになるため、煩雑な作業となるのである。
【0068】
要するに、本発明のスタッカークレーンの組付方法の第5特徴構成によれば、同方法の上記第4特徴構成による作用効果に加えて、前後の支柱と上部枠体とを組付ける作業の簡易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】自動倉庫の正面図
【図2】同倉庫の概略平面図
【図3】スタッカークレーンの側面図
【図4】スタッカークレーンの横断平面図
【図5】下部枠体の斜視図
【図6】同枠体の斜視図
【図7】同枠体の斜視図
【図8】同枠体の分解斜視図
【図9】下部枠体における前側の支柱の取付け部を示す斜視図
【図10】下部枠体における後側の支柱の取付け部を示す斜視図
【図11】下部枠体の一部省略側面図
【図12】遊転車輪の装着部の一部分解斜視図
【図13】上部枠体の斜視図
【図14】上部枠体の分解斜視図
【図15】上部枠体の縦断面図
【図16】昇降台の被案内構成を示す斜視図
【図17】下部枠体用冶具の斜視図
【図18】下部枠体に下部枠体用冶具を装着した状態の平面図
【図19】同状態の側面図
【図20】同状態の斜視図
【図21】スタッカークレーンの組付工程を示す概略側面図
【図22】同工程を示す概略側面図
【図23】同工程を示す概略側面図
【図24】同工程を示す概略側面図
【図25】同工程を示す概略側面図
【図26】同工程を示す概略側面図
【図27】下部枠体用冶具の別形態を示す斜視図
【図28】同形態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、バケット状の容器等の物品Pを収納する複数の収納部1を縦横に並べて備える左右一対の物品収納棚Bが設けられ、それら一対の物品収納棚Bの間の作業通路Eを移動するスタッカークレーンAが設けられ、物品収納棚Bへ収納する物品Pを外部から搬入する物品入庫部Da、及び、物品収納棚Bから取り出された物品Pを外部に搬出するための物品出庫部Dbが、一対の物品収納棚Bの夫々の横側部に隣接する箇所に振り分け設置され、そして、スタッカークレーンAによって、収納部1に収納された物品Pを物品出庫部Dbに取り出す出庫作業及び物品入庫部Daに搬入された物品Pを収納部1に収納する入庫作業を行う自動倉庫が構成されている。
【0071】
ちなみに、物品入庫部Da及び物品出庫部Dbは、例えば、物品を載置搬送する搬送コンベヤにて構成され、そして、例示はしないが、物品入庫部Da及び物品出庫部DbにおけるスタッカークレーンAとの間での物品授受箇所には、物品を昇降させる物品昇降部が装備されて、後述する物品移載用のフォーク装置Fが物品の下方に突入する空間を形成するように構成されている。
【0072】
図3及び図4に示すように、スタッカークレーンAは、上述の作業通路Eに沿って床面上に設置された単一の走行レール2に沿って走行する下部枠体3と、その下部枠体3の走行方向の前後端部箇所に立設されて、昇降台4を昇降自在に案内する前後一対の支柱5F、5Rと、それら支柱5F、5Rの上端部同士を連結する上部枠体6とを備え、且つ、前後一対の支柱5F、5Rの上端側部分の夫々に、作業通路Eの天井側に設置されたガイドレール7の横側面に接当する左右一対のガイドローラ8f、8r(図13参照)が装備されている。
したがって、スタッカークレーンAは、走行レール2とガイドレール7にて案内される状態で作業通路E走行して、上述の入庫作業や出庫作業を行うように構成されている。
【0073】
下部枠体3は、図5〜図8にも示すように、その前後方向の一端側に、走行レール2の上面に載置される駆動車輪9と走行レール2の横側面に接当する左右一対のガイド輪10を備え、かつ、その前後方向の他端側に、走行レール2の上面に載置される遊転車輪11と走行レール2の横側面に接当する左右一対のガイド輪12を備えて、走行レール2に沿って走行するように構成されている。
【0074】
ちなみに、以下の説明においては、駆動車輪9が位置する側がスタッカークレーンAの前方側であり、遊転車輪11が位置する側がスタッカークレーンAの後方側であるとして説明する。
したがって、上述した前後一対の支柱5F、5Rは、前方側の支柱5Fが、駆動車輪9の存在側に配設され、後方側の支柱5Rが、遊転車輪11の存在側に配設されることになる。
尚、以下の記載においては、スタッカークレーンAの前後方向を、車体前後方向と簡略して記載し、また、スタッカークレーンAの横幅方向を、車体横幅方向と簡略して記載する。
【0075】
図3、図4及び図16に示すように、昇降台4は、その前後両端部の夫々に昇降用索状体としての昇降用ワイヤ13A、13Bが連結されて吊下げ支持されており、昇降台4には、上述のフォーク装置Fが、車体前後方向に並べて2台設けられている。
この2台のフォーク装置Fの設置間隔は、図2に示すように、物品収納棚Bにおける収納部1が、車体前後方向に相当する棚横幅方向に並ぶ間隔と同じであり、2台のフォーク装置Fによって、棚横幅方向に並ぶ2つの収納部1に対して同時に移載作業を行えるようになっている。
【0076】
図3及び図16に示すように、昇降台4を吊り下げ支持する1対の昇降用ワイヤ13A、13Bのうち、昇降台4の車体前方側箇所に連結される昇降用ワイヤ13Aは、昇降台4から上方に向けて伸びたのちに、上部枠体6の車体前方側部分に取付けた第1案内体14及び前方側の支柱5Fの上端部に取付けた第2案内体15にて、下方に向かうように案内されて、前方側支柱5Aの下端側部分の前方側箇所に配設される巻取りドラム16(図8参照)に巻き取られるようになっている。
【0077】
また、昇降台4を吊り下げ支持する1対の昇降用ワイヤ13A、13Bのうち、昇降台4の車体後方側箇所に連結される昇降用ワイヤ13Bは、昇降台4から上方に向けて伸びたのちに、先ず、上部枠体6の車体後方側部分に取付けた第3案内体17にて車体前方側に向かうように案内され、次に、前方側の支柱5Fの上端部に取付けた第4案内体18にて、下方に向かうように案内されて、上述した巻取りドラム16に巻き取られるようになっている。
【0078】
したがって、巻取りドラム16が昇降用電動モータ16Aにて正逆に駆動回転されて、昇降用ワイヤ13A、13Bの巻取りドラム16からの繰り出しや巻取りドラム16への巻き取りが行われることにより、昇降台4が昇降されるように構成されている。
【0079】
図3、図4及び図16に示すように、昇降台4の車体前方側の端部には、前方側の支柱5Fの両横側面に接当する横位置規制用輪体19、及び、前方側の支柱5Fの車体後方側に相当する面に接当する前後位置規制用輪体20が、前方側の支柱5Fに係合する被案内部として設けられている。
また、昇降台4の車体後方側の端部には、後方側の支柱5Rの両横側面に接当する横位置規制用輪体21、及び、後方側の支柱5Aの車体前方側に相当する面に接当する前後位置規制用輪体22が、後方側の支柱5Rに係合する被案内部として設けられている。
したがって、昇降台4は、車体横幅方向や車体前後方向での位置が規制されるように、前後の支柱5F、5Rにて案内される状態で、前後の支柱5F、5Rに沿って昇降されるように構成されている。
【0080】
ちなみに、前方側や後方側の支柱5F、5Rは、図4及び図14に示すように、角軸状、具体的には角筒状に形成され、そして、側面部には、入口部より奥側部が幅広となる凹入溝Uが支柱長手方向に沿って形成され、この凹入溝Uを用いて、後述の如く、他部材との連結が行われるように構成されている。
つまり、ネジ孔が形成された連結用プレート(タッププレート)が、凹入溝Uに挿入され、この連結用プレートに螺合するボルトにより、支柱5F、5Rと他部材とを連結するように構成されている。
【0081】
図5〜図8に示すように、下部枠体3は、駆動車輪9及びその駆動車輪9を正逆に駆動する車輪駆動モータ9Aを支持する駆動車輪支持枠23と、遊転車輪11を支持する遊転車輪支持枠24と、それら駆動車輪支持枠23と遊転車輪支持枠24とに亘って架設される連結枠25とを備える状態に構成されている。
尚、駆動車輪支持枠23には、上述したガイド輪10が支持され、また、遊転車輪支持枠24には、上述したガイド輪12が支持されている。
ちなみに、本実施形態においては、駆動車輪支持枠23と遊転車輪支持枠24とが、前後の車輪支持枠に相当することになる。
【0082】
図8に示すように、駆動車輪支持枠23は、平面視コの字状に形成されて、その車体前方側の左右一対の端面に、駆動車輪9を回転自在に支持する左右一対の軸受ユニット26がボルト固定されている。
尚、駆動車輪9が、駆動車輪支持枠23の左右の枠部分の間に、その車体後方側部分が入り込む状態で配設されている。
【0083】
図7及び図9に示すように、駆動車輪支持枠23の車体後方側の側面部の下端部には、前方側の支柱5Fの下端を載置する鍔状の載置部23aが形成され、その載置部23aに載置された前方側の支柱5Fが、駆動車輪支持枠23の上端部に形成したボルト挿通孔23bを通して装着されるボルトによって、駆動車輪支持枠23に連結されている。
ちなみに、駆動車輪支持枠23に前方側の支柱5Fをボルト連結する際には、上述した連結プレートを前方側の支柱5Fの凹入溝Uに挿入して、ボルトを連結プレートに螺合させることになる。
【0084】
図6に示すように、遊転車輪支持枠24は、平面視コの字状に形成されて、その車体後方側の左右一対の端面に、遊転車輪11を回転自在に支持する左右一対の軸受ユニット27がボルト固定されている。
尚、遊転車輪11が、遊転車輪支持枠24の左右の枠部分の間に、その車体前方側部分が入り込む状態で配設されている。
【0085】
図10に示すように、遊転車輪支持枠24の車体前方側の側面部の下端部には、後方側の支柱5Rの下端を載置する鍔状の載置部24aが形成され、その載置部24aに載置された後方側の支柱5Rが、遊転車輪支持枠24の上端部に形成したボルト挿通孔24bを通して装着されるボルトによって、遊転車輪支持枠24にボルト固定されている。
ちなみに、遊転車輪支持枠24に後方側の支柱5Rをボルト固定する際には、上述した連結プレートを後方側の支柱5Rの凹入溝Uに挿入して、ボルトを連結プレートに螺合させることになる。
【0086】
図12に示すように、遊転車輪11の左右一対の軸受ユニット27の夫々を遊転車輪支持枠24に固定するボルト28を挿通させるために遊転車輪支持枠24に形成された挿通孔29が、上下方向に沿う長孔状に形成され、遊転車輪11の軸受ユニット27の遊転車輪支持枠24に対する上方移動を受け止めする位置規制用ボルト30が、遊転車輪支持枠24に螺合される状態で設けられている。
したがって、位置規制用ボルト30の正逆調整によって、遊転車輪11の軸受ユニット27の遊転車輪支持枠24に対する上下位置を調整できることになり、この調整により、前後の支柱5F、5Rの姿勢を適正状態に調整すること、つまりスタッカークレーンAの車体前後方向での傾きを適正状態に調整することができるようになっている。
【0087】
下部枠体3を構成する連結枠25は、図5及び図6に示すように、駆動車輪支持枠23及び遊転車輪支持枠24における車体横幅方向の一方側箇所、つまり右側箇所に配設されるものであり、駆動車輪支持枠23の側面部への取付け部25a及び遊転車輪支持枠24の側面部への取付け部25bを、前後方向に延びる主体部分25Aの前後両端部に備えている。
【0088】
すなわち、主体枠部分25Aの前後両端の夫々に、平面視形状L字状の副枠部分25F、25Rが、主体枠部分25Aから上方に立設する状態で溶接により取付けられ、上述の取付け部25a、25bを形成するL字状に屈曲された舌片が、副枠部分25F、25Rに溶接されている。
主体枠部分25Aは、断面形状がC字状の型鋼を用いて構成され、その内部には、電線類を収納できるようになっている。尚、例示図においては、主体枠部分25Aの側部の開口を閉じるカバー体が装着されている。
【0089】
ちなみに、前方側の副枠部分25Fには、後述する下部枠体用冶具Qにおける副冶具体Q2をボルト連結する前方側の冶具取付け部Tfが、一体的に形成され、また、後方側の副枠部分25Rには、後述する下部枠体用冶具Qにおける主冶具体Q1をボルト連結する後方側の冶具取付け部Trが、一体的に形成されている。
つまり、スタッカークレーンAは、下部枠体3、前後の支柱5F、5R、上部枠体6、及び、昇降台4に分解された状態で、製造箇所から設置箇所に搬送さて、設置箇所にて組み付けられることになるが、下部枠体3を床面から浮上させた状態で支持する下部枠体用冶具Qが、下部枠体3に装着できるように構成されている。
【0090】
図7及び図9に示すように、前方側の副枠部分25Fにおける主体枠部分25Aよりも車体内方側に位置する部分の下端部に、前方側の支柱5Fの下端面のうちの前方側の車輪支持枠23の載置部23aにて受け止められる前端縁部分とは異なる右横端縁部分を受け止め載置する前方支柱用載置体31Fが、載置体形成用の角軸材を副枠部分25Fに溶接して形成する状態で設けられている。
また、図7及び図10に示すように、後方側の副枠部分25Rにおける主体枠部分25Aよりも車体内方側に位置する部分の下端部に、後方側の支柱5Rの下端面のうちの後方側の車輪支持枠24の載置部24aにて受け止められる後端縁部分とは異なる右横端縁部分を受け止め載置する後方支柱用載置体31Rが、載置体形成用の角軸材を副枠部分25Rに溶接して形成する状態で設けられている。
【0091】
図9に示すように、前方側の副枠部分25Fの主体枠部分25Aよりも車体内方側に位置する部分に、ボルト挿通孔Fbが形成されて、この部分が、前方側の支柱5Fの側面部のうちの車体内面側の側面部にボルト連結されている。
つまり、本実施形態においては、前方側の副枠部分25Fが、前方側の支柱5Fの側面部のうちの前方側の車輪支持枠23に連結支持される前側面部分とは異なる右側面部分に連結される前方支柱用支持体として機能するようになっている。
【0092】
図10に示すように、後方側の副枠部分25Rの主体枠部分25Aよりも車体内方側に位置する部分に、ボルト挿通孔Rbが形成されて、この部分が、後方側の支柱5Rの側面部のうちの車体内面側の側面部にボルト連結されている。
つまり、本実施形態においては、後方側の副枠部分25Rが、後方側の支柱5Rの側面部のうちの後方側の車輪支持枠24に連結支持される後側面部分とは異なる右側面部分に連結される後方支柱用支持体として機能するようになっている。
【0093】
図9に示すように、駆動車輪支持枠23の左端部には、前方側の支柱5Fの左側面部にボルト連結するL字状の連結片23Aが、ボルト連結されている。
また、図10に示すように、遊転車輪支持枠24の左端部には、後方側の支柱5Rの左側面部にボルト連結するL字状の連結片24Aが、ボルト連結されている。
【0094】
したがって、前方側の支柱5Fは、図11にも示すように、駆動車輪支持枠23の載置部23a及び前方支柱用載置体31Fにて下端部が受け止め支持された状態で、駆動車輪支持枠23、前方側の副枠部分25F、及び、連結片23Aに対してボルト連結されることにより、下部枠体3に支持されるようになっている。
【0095】
また、後方側の支柱5Rは、図11にも示すように、遊転車輪支持枠24の載置部24a及び後方支柱用載置体31Rにて下端部が受け止め支持された状態で、遊転車輪支持枠24、後方側の副枠部分25R、及び、連結片24Aに対してボルト連結されることにより、下部枠体3に支持されるようになっている。
【0096】
図6及び図8に示すように、前方側の副枠部分25Fにおける上端側部分に、巻取りドラム16及び昇降用電動モータ16Aを備える昇降台昇降駆動用の昇降駆動装置Gを取付ける取付け枠32が、副枠部分25Fに溶接される状態で設けられている。尚、取付け枠32と副枠部分25Fとの間には、上下の補強体32aが設けられている。
そして、昇降駆動装置Gが、前方側の車輪支持枠23の上方箇所に、取付け枠32にボルト連結される状態で取付けられている。
【0097】
図6〜図8に示すように、昇降駆動装置Gの上方に、制御ボックス用支持枠33に載置支持された状態で制御ボックスHが設けられている。この制御ボックスHの内部には、下部枠体3の走行作動及び昇降台4の昇降作動を制御する制御部、つまり、駆動車輪9を駆動する車輪駆動モータ9Aの作動や、巻取りドラム16を駆動する昇降用電動モータ16Aの作動等を制御する制御部(図示せず)が収納されている。
【0098】
制御ボックス用支持枠33は、図6〜図9に示すように、上下方向に伸びる板状の下枠部分33aと、その下枠部分33aの上端から後方に二股状に延びる上枠部分33bと、下枠部分33aの上端部に車体横幅方向に沿う回動軸心Mで回動自在な左右一対のボックス支持部分33cとからなる。
そして、下枠部分33aの下端部が、前方側の車輪支持枠23の上端部にボルト連結され、かつ、下枠部分33aの上下中間部や上端部が、前方側の支柱5Fにボルト連結され、さらに、下枠部分33aの車体横幅方向右側の端縁部が、前方側の副枠部分25Fにボルト連結されている。
【0099】
制御ボックスHが、左右一対のボックス支持部分33cにボルト連結されることによって、上述の車体横幅方向に沿う回動軸心M周りで回動自在に枢支されて、上下方向に起立する起立姿勢(図6参照)と、車体後方側に倒れる横倒れ姿勢(図28参照)とに切換自在に構成されている。
そして、制御ボックスHは、起立姿勢においては、上枠部分33bの端部に設けた受け具33f(図8参照)にて、その下端部が受け止め支持され、かつ、その上端部に設けた連結体Ha(図6参照)が、前方側の支柱5Fにボルト連結されるようになっている(図3参照)。
【0100】
ちなみに、制御ボックスHは、図19に示すように、起立姿勢において、下部枠体3に装着された直軸状の冶具ポストQ3に対して、連結体Haがボルト連結されることによっても、支持されるように構成されている。
つまり、スタッカークレーンAは、上述の如く、下部枠体3、前後の支柱5F、5R、上部枠体6、及び、昇降台4に分解された状態で、製造箇所から設置箇所に搬送されて、設置箇所にて組み付けられることになるが、下部枠体3に装着された直軸状の冶具ポストQ3にて、制御ボックスHを支持できるように構成されており、その詳細は後述する。
【0101】
また、制御ボックスHは、横倒れ姿勢においては、図27及び図28に示すように、下部枠体3に装着された屈曲状の副冶具ポストQ4にて、連結体Haが受け止め支持され、かつ、連結体Haと副冶具ポストQ4とがボルト連結されることによって支持されるように構成されている。
つまり、スタッカークレーンAは、上述の如く、下部枠体3、前後の支柱5F、5R、上部枠体6、及び、昇降台4に分解された状態で、製造箇所から設置箇所に搬送されて、設置箇所にて組み付けられることになるが、コンテナに収納して海外に出荷する際等においては、下部枠体3に装着された屈曲状の副冶具ポストQ4にて、制御ボックスHを支持できるように構成されており、その詳細は後述する。
【0102】
図13〜図15に示すように、スタッカークレーンAにおける上部枠体6が、前後の支柱5F、5Rに各別に接続される左右の枠部分6L、6Rにて構成されている。
左右の枠部分6L、6Rは、同様に構成されるものであって、側面視形状が逆U字状の主体部分6aの内面に、長尺状の補強部分6bを溶接接続して構成されたものであり、主体部分の6aの前後両端部が、前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rに対するボルト連結部Fj、Rjに形成されている。
【0103】
つまり、左右の枠部分6L、6Rが、その主体部分の6aの前後両端部のボルト連結部Fj、Rjを前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rの横外側面に当て付けた状態で、前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rにボルト連結されている。
尚、主体部分の6aの両端部のボルト連結部Fj、Rjを前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rにボルト連結する際には、上述の凹入溝Uに連結プレートを挿入して、ボルトを連結プレートに螺合させることになる。
【0104】
左右の枠部分6L、6Rにおける補強部分6bは、図15に示すように、車体前後方向視にて、主体部分6aの内面に当て付けられる上下方向に沿う板部分、その板部分の下端から内方側に向けて水平方向に沿って延びる水平板部分、及び、その水平板部分の端部から下方に向けて延びる延長板部分を備える2段屈曲状に形成されている。
また、補強部分6bの前後両端部における横幅方向内方側部分が、図13及び図14に示すように、切欠き形成されている。つまり、補強部分6bにおける延長板部分の前後両端の端縁部Kが、補強部分6bにおける水平部分の前後両端よりも内方側に位置するようになっている。
【0105】
そして、主体部分の6aの両端部のボルト連結部Fj、Rjを前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rにボルト連結する際に、補強部分6bの水平板部分が、前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rの上端面に接当することにより、左右の枠部分6L、6Rの前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rに対する上下位置を規制するようになっている。
また、主体部分の6aの両端部のボルト連結部Fj、Rjを前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rにボルト連結する際に、補強部分6bにおける延長板部分の前後両端の端縁部Kが、前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rの外周面に接当することにより、左右の枠部分6L、6Rの前方側の支柱5Fや後方側の支柱5Rに対する車体前後方向での位置を規制するようになっている。
【0106】
ちなみに、本実施形態においては、昇降台4を吊り下げ支持する1対の昇降用ワイヤ13A、13Bのうちの、昇降台4の車体前方側箇所に連結される昇降用ワイヤ13Aを案内する上述した第1案内体14を回転自在に支持する第1支持体34が、上部枠体6における右側の枠部分6Rの前方側のボルト連結部Fjの外面に当て付ける状態で、前方側の支柱5Fにボルト連結されている。
【0107】
また、昇降台4を吊り下げ支持する1対の昇降用ワイヤ13A、13Bのうちの、昇降台4の車体後方側箇所に連結される昇降用ワイヤ13Bを案内する上述した第3案内体17を回転自在に支持する第2支持体35が、上部枠体6における左側の枠部分6Rの後方側のボルト連結部Rjの外面に当て付ける状態で、後方側の支柱5Rにボルト連結されている。
【0108】
また、第1案内体14にて案内される昇降用ワイヤ13Aを下方に向かうように案内する第2案内体15、及び、第3案内体17にて案内される昇降用ワイヤ13Bを下方に向かうように案内する第4案内体18が、共用の第3支持体36に支持され、この第3支持体36が、前方側の支柱5Fの前面側にボルト連結されるようになっている。
【0109】
さらに、第3支持体36には、天井側のガイドレール7に接当する前後のガイドローラ8f、8rのうちの、前方側の左右のガイドローラ8fが支持されるようになっている。
ちなみに、天井側のガイドレール7に接当する前後のガイドローラ8f、8rのうちの、後方側の左右のガイドローラ8rは、後方側の支柱5Rにボルト連結される第4支持体37に支持されている。
【0110】
上記の如く、スタッカークレーンAは、下部枠体3、前後の支柱5F、5R、上部枠体6に分解して状態で製造箇所から設置箇所に搬送されて、設置箇所にて組み付けられるものであり、先ず、その搬送及び組付に使用する下部枠体用冶具Qについて説明し、次に、その下部枠体用冶具Qを用いた組付方法について説明する。
【0111】
ちなみに、本実施形態においては、下部枠体3に、駆動車輪9、その駆動モータ9A、昇降駆動装置G、及び、制御ボックスHが組み付けられ、そして、上述した下部枠体用冶具Qが下部枠体3に装着された状態で設置箇所に搬送されるものであるが、遊転車輪11を支持する遊転車輪支持枠24は、搬送中は下部枠体3からは外されて、設置箇所にて、下部枠体3に組み付けられることになる。
【0112】
また、本実施形態のスタッカークレーンAは、例えば、20メートル等、数十メートルの高さを有している。このため、前後の支柱5F、5Rは、複数の支柱部分に分割された状態で搬送されて、設置箇所において必要長さの支柱に組みつけられることになる。
【0113】
図17〜図20及び図28に示すように、下部枠体用冶具Qは、冶具用枠体としての主冶具体Q1と、副冶具体Q2と、冶具用支柱としての冶具ポストQ3及び副冶具ポストQ4を備えていている。
ちなみに、冶具ポストQ3が、冶具用支柱における主支柱を構成し、そして、副冶具ポストQ4が、冶具用支柱における副支柱を構成することになる。
【0114】
主冶具体Q1は、駆動車輪支持枠23及び遊転車輪支持枠24に対して、下部枠体3における連結枠25が位置する右側箇所とは反対側の左横側箇所に前後方向に延びる姿勢で位置する前後枠部分としての主枠部分40と、その主枠部分40の後端部から連設される後枠部分41とを備えている。
そして、後枠部分41が、平面視において、遊転車輪支持枠24の装着空間の背部側を迂回して連結枠25に接続される湾曲状枠部分として形成されている。
【0115】
副冶具体Q2は、下部枠体3における駆動車輪支持枠23の右横側箇所に配置されるようになっている。
【0116】
冶具ポストQ3及び副冶具ポストQ4は、前方側の支柱5Fに代えて、下部枠体3に装着できるように構成されている。
また、冶具ポストQ3及び副冶具ポストQ4には、図17及び図27に示すように、下部枠体3の両横外側に向けて伸びる延長枠としての横枠部分42が、冶具ポストQ3及び副冶具ポストQ4を下部枠体3に装着した状態において、連結枠25及び主枠部分40の上方に位置する高さとなるように溶接により取付けられている。
【0117】
主冶具体Q1は、図17に示すように、主枠部分40の前端側部分に、駆動車輪支持枠23に対してボルト連結する前側連結部43aを備え、後枠部分41の端部に、下部枠体3における連結枠25の後端側部分、つまり上述した後方側の冶具取付け部Trにボルト連結する後側連結部43bを備える状態に形成されている。
したがって、主冶具体Q1は、前側連結部43aを駆動車輪支持枠23にボルト連結し、且つ、後側連結部43bを連結枠25の後方側の冶具取付け部Trにボルト連結することによって、つまり、その両端部を下部枠体3に接続することによって、下部枠体3に装着されるようになっている。
【0118】
主冶具体Q1には、冶具用輪体としての複数のキャスター式車輪Rが高さ調節自在に装備されている。つまり、主枠部分40の前端側箇所と後枠部分41の左右両端側箇所との3箇所に、キャスター式車輪Rが、一つずつ装備されている。
尚、キャスター式車輪Rの高さ調節は、詳述はしないが、ネジ式の調整機構を用いて行うようになっている。
【0119】
横枠部分42の両端部には、接地体44が高さ調節自在に装備されている。
尚、接地体44の高さ調節は、キャスター式車輪Rと同様に、ネジ式の調整機構を用いて行うようになっている。
【0120】
副冶具体Q2は、下部枠体3における連結枠25の前端部、つまり上述した前方側の冶具取付け部Tfにボルト連結される枠体45に、組付冶具用輪体としての前後一対のキャスター式車輪Rを高さ調節自在に装備する形態に構成されるものであって、前方側の冶具取付け部Tfに連結した状態においては、上述の如く、駆動車輪支持枠23の右横側箇所に位置することになる。
【0121】
冶具ポストQ3は、断面形状が前後の支柱5F、5Rと同じ大きさとなる形状に形成されて、前方側の支柱5Fに代えて、下部枠体3に装着できるように構成されている。ちなみに、冶具ポストQ3を下部枠体3に装着する際には、前方側の支柱5Fと同様に、駆動車輪支持枠23の載置部23a及び前方支柱用載置体31Fにて下端部が受け止め支持された状態で、駆動車輪支持枠23、前方側の副枠部分25F、及び、連結片23Aに対してボルト連結されることにより、下部枠体3に支持されるようになっている。
【0122】
また、この冶具ポストQ3は、その長さが前後の支柱5F、5Rよりも短く形成されている。具体的には、下部枠体3に装着した状態において、起立姿勢の制御ボックスHの連結体Haをボルト連結することができる長さに形成されている。
つまり、この冶具ポストQ3は、下部枠体3に装着した状態において、制御ボックスHを支持するように構成されている。
【0123】
さらに、冶具ポストQ3は、断面形状がコの字状の左右一対の長尺状の枠体を、それらの内部の上下方向複数箇所に配置される角形の環状部材にて接続して構成されるものであって、上部に吊下げワイヤを挿通できるように構成されている。
つまり、下部枠体3をトラック等に対して積み降ろしする際や、床面に設置した走行レール2の上方箇所に移動させる際に、冶具ポストQ3に挿通したワイヤを用いて、クレーンやホイスト等により、下部枠体3を吊下げることができるように構成されている。
ちなみに、図17に示すように、主冶具体Q1の両端部には、アイボルト46が装備されており、これらのアイボルト46に挿通させたワイヤを用いて、下部枠体3を吊下げることも行えるように構成されている。
【0124】
副冶具ポストQ4は、図27及び図28に示すように、直軸状の下部側支柱部分としての、上下方向に伸びる支柱部分47Aと、その支柱部分47Aの上端から車体内方側に屈曲する上部側支柱部分としての、水平方向に伸びる横枠部分47Bとを備える状態に構成されている。
支柱部分47Aは、冶具ポストQ3と同様に、断面形状が前後の支柱5F、5Rと同じ大きさとなる形状に形成されて、前方側の支柱5Fに代えて、下部枠体3に装着できるように構成されている。
また、横枠部分47Bは、横倒れ姿勢の制御ボックスHの連結体Haを受け止め支持できる長さに形成され、かつ、制御ボックスHの連結体Haとボルト連結できるように構成されている。
ちなみに、副冶具ポストQ4の支柱部分47Aが、冶具ポストQ3と同様に、吊下げ用のワイヤを挿通できるように構成されており、この副冶具ポストQ4を用いて、クレーンやホイスト等により、下部枠体3を吊下げることができるように構成されている。
【0125】
したがって、下部枠体用冶具Qを下部枠体3に装着した状態、つまり、主冶具体Q1、副冶具体Q2、及び、冶具ポストQ3又は副冶具ポストQ4を下部枠体3に装着した状態においては、5個のキャスター式車輪Rの上下位置を、駆動車輪9を浮上させることができる位置に調節し、かつ、接地体44の上下位置を床面に接触しない位置に調節することにより、5個のキャスター式車輪Rの走行によって、下部枠体3を床面浮上状態で移動させることができ、かつ、冶具ポストQ3又は副冶具ポストQ4によって制御ボックスHの姿勢を安定的に保持できることになる。
【0126】
また、5個のキャスター式車輪Rによって、下部枠体3を床面浮上状態に支持させた状態において、接地体44の上下位置を床面に接触する位置に調節することにより、下部枠体3が車体横幅方向に倒れることを抑制できるようになっている。
つまり、トラックの荷台に積み込む際や、コンテナに積み込む際において、5個のキャスター式車輪Rによって、下部枠体3を床面浮上状態で支持することに加えて、左右の接地体44にて、下部枠体3の横倒れを抑制できるようになっている。
【0127】
つまり、下部枠体用冶具Qの下部枠体3に対する装着、つまり、主冶具体Q1、副冶具体Q2、及び、冶具ポストQ3又は副冶具ポストQ4の下部枠体3に対する装着は、スタッカークレーンAの製造箇所にて行われることになり、そして、下部枠体用冶具Qは、製造箇所からスタッカークレーンAの設置箇所に下部枠体3が搬送される間において、下部枠体3を移動させる機能や下部枠体3の倒れを抑制する機能等を発揮することになる。
【0128】
また、下部枠体用冶具Qを構成する主冶具体Q1には、吊下げ支持用のアイボルト46が装備されているため、下部枠体用冶具Qを装着した下部枠体3をトラックの荷台に積み込むときや、その荷台から降ろすとき、並びに、設置箇所に設置された走行レール2の上方箇所に下部枠体3を移動させるとき等において、そのアイボルト46に吊下げ用のワイヤを挿通させて、クレーン等により下部枠体3を吊下げ支持することができる。
また、冶具ポストQ3や副冶具ポストQ4が装備されている場合には、この冶具ポストQ3や副冶具ポストQ4に吊下げ用のワイヤを挿通させて、クレーン等により下部枠体3を吊下げ支持することもできるようになっている。
【0129】
また、5個のキャスター式車輪Rによって、下部枠体3を床面浮上状態に支持させた状態において、駆動車輪9が床面に設置された走行レール2よりも高くなるように、5個のキャスター式車輪Rの高さを調節することにより、設置箇所に設置された走行レール2の上方箇所に下部枠体3を移動させる際に、5個のキャスター式車輪Rによって、下部枠体3を床面浮上状態に支持しながら、5個のキャスター式車輪Rの走行によって、下部枠体3を走行レール2の上方箇所に移動させることができるようになっている。
【0130】
したがって、本実施形態においては、設置箇所に設置された走行レール2の上方箇所に下部枠体3を移動させることを、吊下げワイヤにて吊下げた状態で移動させる形態と、5個のキャスター式車輪Rの走行によって移動させる形態とを選択できるように構成されている。
つまり、設置箇所が、5個のキャスター式車輪Rの走行によって、下部枠体3を走行レール2の上方箇所に移動させることができるスペースを備えている場合には、キャスター式車輪Rの走行によって、下部枠体3を走行レール2の上方箇所に移動させることになるが、そのようなスペースがない場合には、アイボルト46、又は、冶具ポストQ3や副冶具ポストQ4を用いて吊下げた状態で、下部枠体3を走行レール2の上方箇所に移動させることになる。
【0131】
また、5個のキャスター式車輪Rによって、下部枠体3を走行レール2の上方箇所に支持した状態において、前後の支柱5F、5R、上部枠体6、及び、遊転車輪11を支持する遊転車輪支持枠24を、下部枠体3に対して組み付けることができ、さらに、このような組み付けを行った後において、5個のキャスター式車輪Rを上方側に高さ調節することにより、駆動車輪9及び遊転車輪11を走行レール2に載置する状態、つまり、スタッカークレーンAが走行レール2に沿って走行する状態に切換えことができる。
【0132】
次に、スタッカークレーンAの組付方法について、図面に基づいて説明する。
ちなみに、以下に述べる組付方法は、前後の支柱5F、5Rが取り外された下部枠体3に、下部枠体用冶具Qを組み付けた状態で行われ場合を説明するものであり、また、前後の支柱5F、5Rが取り外された下部枠体3に、前方側の支柱5Fに代えて、冶具用支柱として、冶具ポストQ3が装着される場合について説明する。
【0133】
図21に示すように、駆動車輪9が走行レール2よりも高くなるように、5個のキャスター式車輪Rの高さを調節し、かつ、接地体44の上下位置を床面に接触しない位置に調節した状態で、キャスター式車輪Rの走行により、下部枠体3を走行レール2の上方箇所に移動させる。
ちなみに、このときに下部枠体3を移動させる位置は、後述の如く、前方側の支柱5Fが吊下げ支持される位置から、少し離れた位置とする。
【0134】
尚、スタッカークレーンAの設置箇所が狭くて、走行レール2の端部と建物の壁との間の間隔が狭い等により、キャスター式車輪Rの走行により、下部枠体3を走行レール2の上部に移動させることができないときには、上述のアイボルト46や冶具ポストQ3を用いて、クレーン等により吊下げ支持して、下部枠体3を走行レール2の上部に移動させてもよいことは勿論である。
【0135】
次に、図22に示すように、冶具ポストQ3を取り外し、その後、前方側の支柱5F及び上部枠体6を装着する。
すなわち、前方側の支柱5Fの上端部に上部枠体6をボルト連結により予め組付け、上部枠体6が組み付けられた前方側の支柱5Fを、クレーン等の昇降装置によりワイヤーローブを用いて吊下げ支持し、その状態において、下部枠体3を前方側の支柱5Fの装着箇所に移動させる。
【0136】
ちなみに、前方側の支柱5Fの上端部と上部枠体6とをボルト連結する際には、上部枠体6の左右の枠部分6L、6Rにおける上述した端縁部Kに対して、前方側の支柱5Fの後面が接当することにより、前方側の支柱5Fに対する上部枠体6の車体前後方向での位置が位置決めされ、また、左右の枠部分6L、6Rにおける補強部分6bが前方側の支柱5Fの上端面に接当することにより、前方側の支柱5Rに対する上部枠体6の上下方向での位置が位置決めされることになる。
【0137】
そして、上部枠体6が連結された前方側の支柱5Fの装着箇所に下部枠体3を移動させた後は、下部枠体3を車体前後方向や車体横幅方向に位置変更させながら、かつ、前方側の支柱5Fを昇降させながら、前方側の支柱5Fの下端部が、駆動車輪支持枠23の載置部23a及び前方支柱用載置体31Fにて受け止め支持される状態に調整し、次に、駆動車輪支持枠23、前方側の副枠部分25F、及び、連結片23Aに対して前方側の支柱5Fをボルト連結することになる。
その後、下部枠体3をその箇所から少し離れた位置に後退させておく。
【0138】
尚、上部枠体6が連結された前方側の支柱5Fを下部枠体3に装着する際には、上部枠体6及び前方側の支柱5Fに、第1〜第4案内体14、15、17、18、及び、車体前方側の左右のガイドローラ8fを予め組み付けておくようする。
但し、左右のガイドローラ8fの組付け位置は、上部枠体6が連結された前方側の支柱5Fを下部枠体3の装着箇所に移動させたときに、左右のガイドローラ8fがガイドレール7よりも下方に位置する位置としておき、後述の如く、後方側の支柱5Rと上部枠体6とを組付けた後に、左右のガイドローラ8fの組付け位置を上方側に移動させて、左右のガイドローラ8fの間に、ガイドレール7をはめ込むようにする。
【0139】
次に、図23に示すように、昇降台4を下部枠体3及び下部枠体用冶具Qにおける主冶具体Q1の上部に仮置し、その後、後方側の支柱5Rを組付けることになる。
昇降台4を下部枠体3及び下部枠体用冶具Qにおける主冶具体Q1の上部に仮置する際には、昇降台4の前端部に装備した横位置規制用輪体19や前後位置規制用輪体20が、前方側の支柱5Fに係合して案内される状態となるように、昇降台4の位置を定めるようにする。
尚、例示はしないが、下部枠体3及び下部枠体用冶具Qの主冶具体Q1には、昇降台4を載置するゴム製等の受け具が装備されている。
【0140】
後方側の支柱5Rの組付は、先ず、後方側の支柱5Rを、クレーン等の昇降装置によりワイヤーロープを用いて吊下げ支持し、その状態において、下部枠体3を後方側の支柱5Rの装着箇所に移動させる。そして、下部枠体3を車体前後方向や車体横幅方向に位置変更させながら、かつ、後方側の支柱5Rを昇降させながら、後方側の支柱5Rの下端部が、連結枠25の後方支柱用載置体31Rにて受け止め支持される状態に調整することになる。
この調整を行うときには、昇降台4の後端部に装備した横位置規制用輪体21や前後位置規制用輪体22に、後方側の支柱5Fを係合させるように、昇降台4に対する後方側の支柱5Fの位置を調節し、必要に応じて、後方側の支柱5Fに対する昇降台4の位置を調節することになる。
【0141】
そして、本実施形態においては、下部枠体3に対する後方側の支柱5Rの組付けを行うときに、遊転車輪11の車輪支持枠24が存在しないため、後方側の支柱5Rの下端部が、連結枠25の後方支柱用載置体31Rにて受け止め支持される状態や、昇降台4の後端部に装備した横位置規制用輪体21や前後位置規制用輪体22に、後方側の支柱5Fを係合させる状態にすることを、後方側の支柱5Rに対して下部枠体3を後進させながら、良好に行えるものとなる。
【0142】
ちなみに、後方側の支柱5Rを大きく上方に持ち上げることができる場合には、遊転車輪11の車輪支持枠24を組付けた状態において、後方側の支柱5Rを上方箇所から下降させる形態にて組付けることができるが、一般には、後方側の支柱5Rを大きく上方に持ち上げる空間がないため、遊転車輪11の車輪支持枠24を外した状態で、後方側の支柱5Rの組付けを行うことになる。
【0143】
また、上述の如く、後方側の支柱5Rの下端部が、連結枠25の後方支柱用載置体31Rにて受け止め支持される状態に調整する際には、後方側の支柱5Rの上端部が、上部枠体6の左右の枠部分6L、6Rの間に挿入されるように、後方側の支柱5Rの位置を調節することも行われる。
【0144】
後方側の支柱5Rの下端部が、連結枠25の後方支柱用載置体31Rにて受け止め支持される状態に調整する作業が終了すると、次に、後方側の副枠部分25R、及び、連結片24Aに対して後方側の支柱5Fをボルト連結することになる。このボルト連結は、仮止めである。
そして、後方側の副枠部分25R、及び、連結片24Aに対して後方側の支柱5Fをボルト連結することが終了した後は、後方側の支柱5Rの上端部と上部枠体6とをボルト連結することになる。このボルト連結は、仮止めである。
【0145】
ちなみに、後方側の支柱5Rの上端部と上部枠体6とをボルト連結する際には、上部枠体6の左右の枠部分6L、6Rにおける上述した端縁部Kに対して、後方側の支柱5Rの前面が接当することにより、後方側の支柱5Rに対する上部枠体6の車体前後方向での位置が位置決めされることになり、また、左右の枠部分6L、6Rにおける補強部分6bが後方側の支柱5Rの上端面に接当することにより、後方側の支柱5Rに対する上部枠体6の上下方向での位置が位置決めされることになる
【0146】
また、後方側の支柱5Rを下部枠体3における後方側の支柱5Rの装着箇所に移動させる際には、車体後方側の左右のガイドローラ8rを後方側の支柱5Rに予め組み付けておくことになる。
但し、左右のガイドローラ8rの組付け位置は、後方側の支柱5Rを下部枠体3の装着箇所に移動させたときに、左右のガイドローラ8rがガイドレール7よりも下方に位置する位置としておき、後述の如く、後方側の支柱5Rと上部枠体6とを組付けた後に、左右のガイドローラ8rの組付け位置を上方側に移動させて、左右のガイドローラ8rの間に、ガイドレール7をはめ込むようにする。
【0147】
次に、図24に示すように、遊転車輪11を支持した遊転車輪支持枠24を、下部枠体3に組付けることになる。
具体的には、遊転車輪支持枠24の載置部24aが後方側の支柱5Rの下端部を受止める状態となるようにし、その状態において、後方側の支柱5R、連結枠25の後方側の取付け部25b、及び、連結片24Aに対して、遊転車輪支持枠24をボルト連結するようにする。
【0148】
そして、遊転車輪支持枠24を、後方側の支柱5R、連結枠25の後方側の取付け部25b、及び、連結片24Aに対してボルト連結する作業が終了すると、仮止めしていた後方側の副枠部分25R、及び、連結片24Aに対して、後方側の支柱5Fを締め付け固定するようにする。
その後、仮止めしていた上部枠体6に対して、後方側の支柱5Rの上端部を締め付け固定することにより、後方側の支柱5Rと上部枠体6との組付けが完了する。
【0149】
後方側の支柱5Rと上部枠体6との組付けが完了すると、前方側の左右のガイドローラ8fの組付け位置を上方側に移動させて、左右のガイドローラ8fの間に、ガイドレール7をはめ込むようにすることや、後方側の左右のガイドローラ8rの組付け位置を上方側に移動させて、左右のガイドローラ8rの間に、ガイドレール7をはめ込むようにすることを行う。
【0150】
次に、図25に示すように、下部枠体用冶具Qを取外して、駆動車輪9及び遊転車輪11が走行レール2に載置される状態となるようにする。
下部枠体用冶具Qの取外しは、5個のキャスター式車輪R上方側に向けて高さ調節することにより、駆動車輪9及び遊転車輪11が走行レール2に載置される状態にした後、下部枠体3から離脱させることになる。
【0151】
下部枠体用冶具Qを取外して、駆動車輪9及び遊転車輪11が走行レール2に載置される状態となると、遊転車輪支持枠24に対する遊転車輪11の上下位置を位置規制用ボルト30の回動操作により調整して、前後の支柱5F、5Rの姿勢が適正状態になるように、つまり、スタッカークレーンAが前後方向に傾斜しない適正状態となるように調節することになる。
その調節が終了した後に、遊転車輪11の軸受ユニット27を遊転車輪支持枠24に締結するように、ボルト28を締め付けるようにする。
ちなみに、図25では、スタッカークレーンAが、前方側に傾いた状態を例示し、そして、図26では、スタッカークレーンAが、前後方向に傾いていない適正状態を例示している。
【0152】
次に、図26に示すように、昇降駆動装置Gの巻取りドラム16から繰り出される昇降ワイヤ13A、13Bを、第1〜第4案内体14、15、17、18に巻回させながら、昇降台4に接続することになり、スタッカークレーンAの組付が完了する。
【0153】
上記の組付け方法は、冶具用支柱として冶具ポストQ3が下部枠体3に装備される場合を例示したが、冶具用支柱として副冶具ポストQ4が下部枠体3に装備される場合にも、同様に行えるものとなる。但し、副冶具ポストQ4を用いている場合には、副冶具ポストQ4を外したのちにおいて、制御ボックスHを倒れ姿勢から起立姿勢に切換えることになる。
【0154】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、遊転車輪を支持する遊転車輪支持枠を、下部枠体から外しておき、スタッカークレーンの設置箇所にて、下部枠体に組付ける場合を例示したが、遊転車輪支持枠を、駆動車輪支持枠と同様に、下部枠体に予め組付けておく形態で実施してもよい。
【0155】
(2)上記実施形態では、前後の支柱及び上部枠体を下部枠体に組付ける手順として、前方側の支柱に上部枠体を取付け、上部枠体が取付けられた前方側の支柱を下部枠体に取付け、その後、後方側の支柱を下部枠体に組付ける場合を例示したが、前後の支柱及び上部枠体を下部枠体に組付ける手順は、種々変更できる。
例えば、先ず、前方側や後方側の支柱を下部枠体に組付け、その後、上部枠体を、前方側や後方側の支柱に組付けるようにしてもよい。
【0156】
(3)上記実施形態では、下部枠体用冶具として、冶具用支柱を備えさせる場合を例示したが、制御ボックスを支持する支持枠を十分な強度を備えるように構成する場合には、冶具用支柱を省略することができる。
【0157】
(4)上記実施形態では、下部枠体用冶具として、主冶具体Q1と副冶具体Q2とを備えさせる場合を例示したが、それら主冶具体Q1と副冶具体Q2とを、一つの枠体状に形成するようにしてもよい。
【0158】
(5)上記実施形態では、下部枠体が、駆動車輪支持枠及び遊転車輪支持枠における車体横幅方向の片側に位置する連結枠を備えるものであるため、主冶具体Q1として、駆動車輪支持枠及び遊転車輪支持枠に対して、その連結枠とは反対側の箇所に車体前後方向に延びる姿勢で位置する前後枠部分を備えさせる場合を例示したが、下部枠体が、駆動車輪支持枠及び遊転車輪支持枠における車体横幅方向の両側に連結枠を備える場合には、その枠部分を省略することができる。
この場合には、下部枠体用冶具としては、下部枠体の各所に連結自在な複数の枠体を設けて、それら枠体に冶具用輪体を備えさせるようにすればよい。
【0159】
(6)上記実施形態では、前後の支柱の下端部が、車輪支持枠としての駆動車輪支持枠や遊転車輪支持枠の載置部に加えて、下部枠体に設けた支柱載置体にも載置される場合を例示したが、載置部又は支柱載置体のいずれかを省略する形態で実施してもよい。
【0160】
(7)上記実施形態では、走行輪として、駆動車輪と遊転車輪とが備えられる場合を例示したが、下部枠体の前後に、駆動車輪を装備する形態で実施してもよい。
【0161】
(8)上記実施形態では、前後支柱の長さが数十メートル等、前後支柱の長さが長く形成されるスタッカークレーンを例示したが、前後支柱の長さを数メートル等、前後支柱の長さが短く形成されるスタッカークレーンに対しても、本発明は適用できるものである。
【符号の説明】
【0162】
2 走行レール
3 下部枠体
4 昇降台
5F、5R 支柱
6 上部枠体
9 走行輪(駆動車輪)
11 走行輪(遊転車輪)
19、20 被案内部
21、22 被案内部
23、24 車輪支持枠
25 連結枠
33 制御ボックス用支持枠
40 前後枠部分
41 湾曲状枠部分
42 延長枠
44 接地体
A スタッカークレーン
H 制御ボックス
Q1 冶具用枠体
Q3 冶具用支柱(主支柱)
Q4 冶具用支柱(副支柱)
R 冶具用輪体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レールに沿って走行自在な走行輪を前後両端部に備えた下部枠体と、その下部枠体の前後両端側部の夫々から立設される前後の支柱と、その前後の支柱の上端部同士を接続する上部枠体と、前記前後の支柱にて昇降自在に案内される昇降台とが備えられ、
前記前後の支柱が、前記下部枠体に対して着脱自在に構成されているスタッカークレーンの下部枠体用冶具であって、
前記下部枠体を床面浮上状態に支持するための複数の冶具用輪体が、前記下部枠体に着脱自在に、かつ、前記下部枠体に装着した状態において高さ調節自在に設けられているスタッカークレーンの下部枠体用冶具。
【請求項2】
前記下部枠体が、前後の前記走行輪の夫々を支持する前後の車輪支持枠を、それら車輪支持枠の横一側箇所において前後方向に延びるように位置する連結枠にて接続して構成され、
前記前後の車輪支持枠の横他側箇所において前後方向に延びるように位置する前後枠部分を備える冶具用枠体が、その両端部を前記下部枠体に接続自在に設けられ、
前記冶具用枠体に、前記複数の冶具用輪体のうちの一部が装備されている請求項1記載のスタッカークレーンの下部枠体用冶具。
【請求項3】
前記前後の走行輪のうちの一方が、駆動車輪で、且つ、他方が遊転車輪であり、
前記冶具用枠体が、前記前後枠部分における前記遊転車輪側の端部から連設されて、平面視において、前記下部枠体から離脱された遊転車輪側の前記車輪支持枠の装着空間の背部側を迂回して前記連結枠に接続される湾曲状枠部分を備えるように構成されている請求項2記載の下部枠体用冶具。
【請求項4】
前記下部枠体の走行作動及び前記昇降台の昇降作動を制御する制御部を収納する制御ボックスが、前記下部枠体に接続された制御ボックス用支持枠にて支持される状態で設けられ、
前記制御ボックスが、前記前後の支柱の一方に連結自在に構成され、
前記前後の支柱よりも短い冶具用支柱が、前記前後の支柱のうちの前記制御ボックスが連結自在な支柱に代えて前記下部枠体に装着自在に設けられ、
前記制御ボックスが、前記冶具用支柱に連結自在に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタッカークレーンの下部枠体用冶具。
【請求項5】
前記制御ボックス用支持枠が、前記制御ボックスを起立姿勢で支持する状態と車体内方側に向けて倒れる横倒れ姿勢で支持する状態とに切換自在に構成され、
前記冶具用支柱として、起立姿勢の前記制御ボックスが連結される直軸状の主支柱と、直軸状の下部側支柱部分の上端に車体内方側に屈曲する上部側支柱部分を備えて、横倒れ姿勢の前記制御ボックスが前記上部側支柱部分に載置された状態で連結される副支柱とが、選択使用自在に設けられている請求項4記載のスタッカークレーンの下部枠体用冶具。
【請求項6】
前記冶具用支柱に、前記下部枠体の両横外側方に向けて伸びる延長枠が設けられ、その延長枠の両端部に、高さ調節自在に接地体が装備されている請求項4又は5記載のスタッカークレーンの下部枠体用冶具。
【請求項7】
走行レールに沿って走行自在な走行輪を前後両端部に備えた下部枠体と、その下部枠体の前後両端側部の夫々から立設される前後の支柱と、その前後の支柱の上端部同士を接続する上部枠体と、前記前後の支柱にて昇降自在に案内される昇降台とが備えられ、
前記前後の支柱が、前記下部枠体に対して着脱自在に構成されているスタッカークレーンの組付方法であって、
前記前後の支柱が離脱された前記下部枠体を床面浮上状態に支持する複数の冶具用輪体を前記下部枠体に装着した状態で、かつ、前記走行輪が前記走行レールよりも高くなるように前記複数の冶具用輪体の高さを調節した状態で、前記下部枠体を前記冶具用輪体の走行により前記走行レールの上方箇所に移動させ、
次に、前記下部枠体に対する前記前後の支柱の組付け、前記前後支柱に対する前記上部枠体の組み付け、及び、前記前後支柱に対する前記昇降台の組付けを行い、
その後、前記昇降台を昇降駆動する昇降駆動用索状体の装着を行うスタッカークレーンの組付方法。
【請求項8】
前記下部枠体が、前後の前記走行輪の夫々を支持する前後の車輪支持枠を、それら車輪支持枠の横一側箇所において前後方向に延びるように位置する連結枠にて接続して構成され、
前記前後の走行輪のうちの一方が、駆動車輪で、且つ、他方が遊転車輪であり、
前記遊転車輪に対する前記車輪支持枠を前記下部枠体から離脱させた状態で、前記下部枠体を前記冶具輪体の走行により前記走行レールの上方箇所に移動させ、
前記前後の支柱を前記下部枠体に組付けた後において、前記遊転車輪に対する前記車輪支持枠を前記下部枠体に組付け、
その後、前記冶具用輪体の高さを調節して、前記駆動車輪及び前記遊転車輪を前記走行レールに載置させるようにする請求項7記載のスタッカークレーンの組付方法。
【請求項9】
前記遊転車輪が、その車輪支持枠に対して上下位置調節自在に支持され、
前記駆動車輪及び前記遊転車輪を前記走行レールに載置させた後において、前記前後の支柱の姿勢が適正状態となるように、前記遊転車輪の上下位置を調節する請求項8記載のスタッカークレーンの組付方法。
【請求項10】
前記前後の車輪支持枠の両横側箇所のうちの前記連結枠が存在する横一側箇所とは反対側の横他側箇所において前後方向に延びるように位置する前後枠部分を備え、且つ、その両端部が前記下部枠体に接続自在な冶具用枠体を、前記下部枠体に装着した状態で、前記下部枠体を前記冶具用輪体の走行により前記走行レールの上方箇所に移動させ、
前記前後の支柱のうちの前記駆動車輪側の支柱を、先に前記下部枠体に組付け、
次に、前記昇降台を、その被案内部を先に組付けた前記駆動車輪側の支柱に係合させながら、前記下部枠体及び前記冶具用枠体の上部に載置し、
その後、前記前後の支柱のうちの前記遊転車輪側の支柱を、前記昇降台の被案内部に係合させながら、前記下部枠体に組付けるようにする請求項8又は9記載のスタッカークレーンの組付方法。
【請求項11】
前記前後の支柱のうちの前記駆動車輪側の支柱に、前記上部枠体を予め組付けて、前記上部枠体が組み付けられた前記駆動車輪側の支柱を、前記下部枠体に組付け、
前記前後の支柱のうちの前記遊転車輪側の支柱を、前記上部枠体に対する位置を調節しながら前記下部枠体に組付け、
その後、前記遊転車輪側の支柱と前記上部枠体とを組付けるようにする請求項10記載のスタッカークレーンの組付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−136309(P2012−136309A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288591(P2010−288591)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】