説明

スタッカ機構

【課題】構造が簡単で、安価な小型のスタッカ機構を実現する。
【解決手段】媒体処理装置の排出口から垂下するように設けられたガイド板7と、このガイド板に対して第1の角度で傾斜するように配置され、一端に設けた支点9を中心回動する集積板8と、この集積板8の下側に設けられ、集積板を下方に回動させて傾斜角度を第2の角度に変更したとき、その変更した第2の角度に集積板8をロックし、前記集積板8を更に押下げることでロックを解除するロック手段11を備え、排出口から排出されて集積板8上に集積する券Aの集積量に応じて集積板8の傾斜角度を変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、券発行装置等の媒体処理装置に設けられるスタッカ機構に関するもので、排出口から排出される媒体の枚数に応じて集積量を変化させることが可能なスタッカ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
媒体処理装置として、航空機の搭乗券や電車、バス等の乗車券あるいは、定期券等の各種の券を発行する券発行装置が空港や鉄道の駅あるいは旅行代理店等に設置され、運用されている。
【0003】
従来のこの種の券発行装置として、例えば特許文献1に示されるものがあり、この券発行装置は、券収納部から媒体を取出して搬送路により磁気書込部に搬送し、磁気書込部で券としての磁気情報の書込みを行った後、その媒体を印字部に搬送して券情報の印字を行い、印字終了後券として排出口から排出するものとなっている。
【0004】
このような券を発行する場合に、印字後の券を排出口に多数枚集積するスタッカ機構として、例えば特許文献2に示されるものがある。このスタッカ機構は券(単票)の搬出口に上下動可能なステージを設け、搬出口から排出されてステージ上に集積される券の枚数の増加に応じてステージを下降させるものとしている。
【0005】
一方、ステージ(シャッタ)上の券(紙幣)の存在を確実に検知する手段として、例えば特許文献3に示されるものがあり、この手段ではステージを挟んで発光素子と受光素子によるセンサを上下に対向するように配置し、発光素子からの光が遮られるか否かによりステージ上の券の有無を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−306124号公報
【特許文献2】特開2003−40509号公報
【特許文献3】特開平11−86080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題を有している。
【0008】
特許文献2のスタッカ機構では、駆動源となるモータや、このモータにより駆動される複数のプーリ、この複数のプーリに巻きかけられて回転によりステージを上下動させるタイミングベルト等を必要とするため、構造が複雑でコストも高く、大型化するという問題がある。
【0009】
また、特許文献3に示された検知手段では、上下にセンサを対向するため、上向きとなるセンサに塵埃が溜まり易く、そのためオペレータや保守員が定期的に清掃を行って塵埃を除去する必要があるため、手間がかかるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのため、本発明は、媒体処理装置の排出口に設けられ、該排出口から排出される媒体を集積するスタッカ機構において、前記排出口から垂下するように設けられたガイド板と、 このガイド板に対して第1の角度で傾斜するように配置され、一端を支点として回動する集積板と、この集積板の下側に設けられ、集積板を下方に回動させて傾斜角度を第2の角度に変更したとき、その変更した第2の角度に集積板をロックし、前記集積板を更に押下げることでロックを解除するロック手段を備え、前記集積板上に集積する媒体の集積量に応じて集積板の傾斜角度を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このようにした本発明は、集積板を回動させることにより傾斜角を変化させることで、排出口から排出される媒体の集積枚数の多寡に対応できるようにしているため、構造が簡単で、安価な小型のスタッカ機構を実現できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施例を示す側面図
【図2】実施例が適用される券発行装置の内部構成を示す概略図
【図3】第2の実施例を示す側面図
【図4】第3の実施例を示す側面図
【図5】第4の実施例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明によるスタッカ機構の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は第1の実施例を示す側面図で、同図(a)は発行枚数が少ない場合の券の集積状態を示し、同図(b)は発行枚数が多い場合の券の集積状態を示している。図2は実施例が適用される媒体処理装置としての券発行装置の内部構成の一例を示す概略図である。
【0016】
まず、図2の券発行装置について説明すると、この券発行装置1は、空港や鉄道の駅あるいは旅行代理店等に設置され、航空機の搭乗券や鉄道の乗車券あるいは、座席指定券、定期券等を発行する装置である。
【0017】
券発行装置1の内部には、新規に券を発行するための媒体を収納したホッパ2を有し、このホッパ2内に立位状態で積み重ねられている媒体を1枚ずつ分離して繰出す複数のローラ等からなる繰出し手段が備えられている。3は繰出し手段によりホッパ2から繰出された媒体を装置正面に設けられた排出口に搬送する搬送路で、この搬送路3の途中に媒体に券としての必要な情報の印字を行う印字部4が設けられている。
【0018】
尚、媒体が磁気ストライプを持つものであれば、搬送路3の途中の例えば印字部4の手前に磁気記録手段を設けておけばよい。また、媒体は予めカットされたものではなく、ロール状の媒体を用い、このロール状の媒体から繰出される自由端側の部分をカッタにより所定の長さに切断して搬送路3により搬送するものとしてもよい。
【0019】
5は装置正面で開口している排出口の近傍に配置された搬送ローラで、搬送路3の端部に設けられ、搬送路3により搬送されてきた券はこの搬送ローラ5により排出口から排出されるものとなっている。
【0020】
6は前記排出口に設けられた第1の実施例のスタッカ機構で、このスタッカ機構6は、図1(a)、(b)に示すように排出口から垂下するように設けられたガイド板7と、排出口から排出される券Aを集積するためにガイド板7に近接して配置された集積板8と、この集積板8を回動させるための支点9と、集積板8の下面に設けられたロックポスト10と、集積板8を図1(b)に示すように下方に回動させたときロックポスト10を受けてロックするロック手段11と、集積板8を上方に回動させるように付勢する付勢手段としてのコイルスプリング12を備えている。
【0021】
ここで、集積板8はガイド板7に近い側の端部を自由端として、この自由端が低く、ガイド板7より遠い側の端部が高くなるように第1の角度で傾斜する状態に設けられ、支点9は集積板8の高い側の端部を回転可能に支持するように設けられていて、集積板8を押下げて下方に回動させたとき、集積板8の自由端がガイド板7の下端以下の位置にならないようにガイド板7の高さ、ロックポスト10の長さ、ロック手段11の位置が設定されている。
【0022】
また、ロック手段11は、集積板8を押下げて下方に回動させたときロックポスト10を受けて集積板8を第2の角度にロックし、そのロック状態から更に集積板8を押下げるとロックを解除する構造となっていて、ロックポスト10が解除された状態では、コイルスプリング12の付勢力により集積板8が図示しないストッパに当たるまで上方に回動して、第1の角度の傾斜状態を保つようになっている。
【0023】
上述した構成による第1の実施例の作用について説明する。
【0024】
まず、券発行装置1による券の発行について説明すると、ホッパ2から繰出し手段により媒体を1枚ずつ取出して搬送路3により印字部4に搬送し、印字部4で航空券や乗車券等とするための券情報を印字する。この印字した媒体は券Aとして搬送路3により装置正面の排出口に搬送し、搬送ローラ5により矢印Bで示したように排出口から排出(発行)する。排出された券Aは排出口に設けられているスタッカ機構6の集積板8上に集積される。尚、媒体が磁気ストライプを持つものであれば、例えば印字部4の手前で磁気記録手段により券情報を記録し、その後印字部に搬送して前記のように印字する。
【0025】
このようにして券Aの発行が行われるが、発行枚数が少ない場合は集積板8を押下げず、図1(a)に示したように、集積板8がコイルスプリング12により押上げられて図示しないストッパに突当たることにより第1の角度を保つ姿勢で券Aを集積させるようにする。また、券Aの発行枚数が多い場合は、図1(b)に示したように集積板8を押下げて下方に回動させる。これによりロック手段11は、集積板8の下面に設けられているロックポスト10を受けてロックするので、集積板8は傾斜角度が大きくなった第2の角度に固定され、発行枚数が多い券Aの集積が可能になる。
【0026】
尚、券Aは集積板8が傾斜しているので、発行枚数が少ない場合と発行枚数が多い場合のいずれにおいても端部がガイド板7に沿って整列され、安定して集積される。また、本実施例では集積板8を図1(a)に示した第1の角度にしたときの券Aの集積枚数を例えば100枚とし、集積板8を図1(b)に示した傾斜角度の大きい第2の角度に固定したときの券Aの集積枚数を300〜400枚とするが、これに限られるものではない。
【0027】
集積板8を図1(b)に示した第2の角度の状態から元に戻す場合は、ロックポスト10がロック手段11によりロックされた状態から更に集積板8を押下げると、ロックポスト10のロックが解除され、コイルスプリング12の付勢力により集積板8が図示しないストッパに突当たるまで上方に回動して、図1(a)に示した第1の角度の状態に戻る。
【0028】
以上説明したように、第1の実施例では、排出口に回動可能な集積板8を設けて、集積板を回動させることにより傾斜角を変化させて券Aの集積枚数の多寡に対応できるようにしているため、構造が簡単で、安価な小型のスタッカ機構を実現できるという効果が得られる。
【実施例2】
【0029】
図3は本発明の第2の実施例を示す側面図で、同図(a)は発行枚数が少ない場合の券の集積状態を示し、同図(b)は発行枚数が多い場合の券の集積状態を示している。この第2の実施例によるスタッカ機構6も、図3(a)、(b)に示すように排出口から垂下するように設けられたガイド板7と、排出口から排出される券Aを集積するためにガイド板7に近接して配置された集積板8と、この集積板8を回動させるための支点9と、集積板8の下面に設けられたロックポスト10と、集積板8を図3(b)に示すように下方に回動させたときロックポスト10を受けてロックするロック手段11と、集積板8を上方に回動させるように付勢する付勢手段としてのコイルスプリング12を備えた構造とするが、本実施例では集積板8はガイド板7より遠い側の端部を自由端とし、この自由端が高く、ガイド板7に近い側の端部が低くなる第1の角度で傾斜するように設けられている。
【0030】
また、支点9は集積板8の低い側の端部を回転可能に支持するように設けられていて、集積板8を押下げて下方に回動させたとき、集積板8の自由端がガイド板7の下端以下の位置にならないようにガイド板7の高さ、ロックポスト10の長さ、ロック手段11の位置が設定されているが、本実施例では集積板8及び支点9は第1の実施例に比べて低い位置に配置されている。
【0031】
また、ロック手段11は、集積板8を押下げて下方に回動させたときロックポスト10を受けてロックし、集積板8を第2の角度に固定する。そのロック状態から更に集積板8を押下げるとロックを解除する構造となっていて、ロックポスト10が解除された状態では、コイルスプリング12の付勢力により集積板8が図示しないストッパに当たるまで上方に回動して、第1の角度を保つようになっているが、集積板8の第1の角度に対して、ロックポスト10がロック手段11によりロックされたときの集積板8の傾斜角つまり第2の角度は小さくなるようになっている。
【0032】
上述した構成による第2の実施例の作用について説明する。この第2の実施例も図2の券発行装置等に適用されるものとし、前記と同様に券Aの発行が行われるが、発行枚数が少ない場合は集積板8を押下げず、図3(a)に示したように、集積板8がコイルスプリング12により押上げられて図示しないストッパに突当たる第1の角度で券Aを集積させるようにする。また、券Aの発行枚数が多い場合は集積板8を押下げて下方に回動させる。これによりロック手段11は、集積板8の下面に設けられているロックポスト10を受けてロックするので、集積板8は図3(b)に示したように傾斜角度が小さい第2の角度に固定されるが、集積板8及び支点9は第1の実施例に比べて低い位置に配置されているので、発行枚数が多い券Aの集積が可能になる。
【0033】
尚、この第2の実施例においても、券Aは集積板8が傾斜しているので、発行枚数が少ない場合と発行枚数が多い場合のいずれにおいても端部がガイド板7に沿って整列され、安定して集積される。また、本実施例では集積板8を図3(a)に示した第1の角度にしたときの券Aの集積枚数を例えば100枚とし、集積板8を図3(b)に示した傾斜角度の小さい第2の角度に固定したときの券Aの集積枚数を300〜400枚とするが、これに限られるものではない。
【0034】
集積板8を図3(b)に示した第2の角度から元に戻す場合は、ロックポスト10がロック手段11によりロックされた状態から更に集積板8を押下げると、ロックポスト10のロックが解除され、コイルスプリング12の付勢力により集積板8が図示しないストッパに突当たるまで上方に回動して、図3(a)に示した第1の角度の状態に戻る。
【0035】
以上説明したように、第2の実施例でも、排出口に回動可能な集積板8を設けて、集積板を回動させることにより傾斜角を変化させることで券Aの集積枚数の多寡に対応できるようにしているため、第1の実施例と同様に構造が簡単で、安価な小型のスタッカ機構を実現できるという効果が得られる。
【0036】
また、この第2の実施例では、集積板8の自由端が操作者から見て手前側になるので、集積板8の角度切替え操作が容易になるという効果も得られる。
【実施例3】
【0037】
図4は本発明の第3の実施例を示す側面図で、同図(a)は発行枚数が少ない場合の券の集積状態を示し、同図(b)は発行枚数が多い場合の券の集積状態を示している。この第3の実施例によるスタッカ機構6は、図4(a)、(b)に示すように排出口から垂下するように設けられたガイド板7と、このガイド板7の下端側に設けられた第1の集積板13と、この第1の集積板13の下側に配置された第2の集積板14と、この第2の集積板14を回動させるための支点15と、第2の集積板14の下面に設けられたロックポスト10と、第2の集積板14を図4(b)に示すように下方に回動させたときロックポスト10を受けてロックするロック手段11と、第2の集積板14を上方に回動させるように付勢する付勢手段としてのコイルスプリング12を備えた構造としている。
【0038】
ここで第1の集積板13はガイド板7の下端側を曲折することで形成され、その先端が高くなるように傾斜を持たせている。また、第2の集積板14は起立部14aを有していて、この起立部14aが第1の集積板13に設けられた図示しないスリットや切欠きまたは穴による通過部から第1の集積板13の上方に突出するように配置され、第1の集積板13の上方に突出した起立部14aの上端面が第1の集積板13と同様の傾斜を持つように形成されている。支点15は第2の集積板14の低い側の端部を回転可能に支持するように設けられている。
【0039】
また、ロック手段11は、第2の集積板14を押下げて下方に回動させたときロックポスト10を受けてロックし、そのロック状態から更に第2の集積板14を押下げるとロックを解除する構造となっていて、ロックポスト10が解除された状態ではコイルスプリング12の付勢力により第2の集積板14が図示しないストッパに当たるまで上方に回動し、起立部14aが第1の集積板13の上方に突出して所期の傾斜状態を保つようになっている。
【0040】
上述した構成による第3の実施例の作用について説明する。この第3の実施例も図2の券発行装置等に適用されるものとし、前記と同様に券Aの発行が行われるが、発行枚数が少ない場合は第2の集積板14を押下げず、図4(a)に示したように、第2の集積板14がコイルスプリング12により押上げられて図示しないストッパに突当たる位置で所期の傾斜状態を保つ姿勢で排出口から排出される券Aを起立部14a上に集積させるようにする。また、券Aの発行枚数が多い場合は第2の集積板14を第1の集積板13の下方まで押下げて回動させる。これによりロック手段11は、第2の集積板14の下面に設けられているロックポスト10を受けてロックするので、第2の集積板14の起立部14aは図4(b)に示したように、第1の集積板13の下側に退避した状態に固定され、発行枚数が多い券Aは第1の集積板13上に集積されることになる。
【0041】
尚、この第3の実施例においても、第1の集積板13及び第2の集積板14の起立部14aが傾斜しているので、券Aは発行枚数が少ない場合と発行枚数が多い場合のいずれにおいても端部がガイド板7に沿って整列され、安定して集積される。また、本実施例では図4(a)に示したように第2の集積板14の起立部14aに券Aを集積するときの集積枚数を例えば100枚とし、図4(b)に示したように第2の集積板14の起立部14aを第1の集積板13の下側に退避させて第1の集積板13上に券Aを集積するときの集積枚数を例えば300〜400枚とするが、これに限られるものではない。
【0042】
第2の集積板14を図3(b)に示した状態から元に戻す場合は、ロックポスト10がロック手段11によりロックされた状態から更に第2の集積板14を押下げると、ロックポスト10のロックが解除され、コイルスプリング12の付勢力により第2の集積板14が図示しないストッパに突当たるまで上方に回動して、図4(a)に示したように起立部14aが第1の集積板13上に突出し、所期の傾斜状態に戻る。
【0043】
以上説明したように、第3の実施例でも、排出口に第1の集積板13と起立部14aを有する回動可能な第2の集積板14を設けて、第2の集積板14を回動させることにより傾斜角を変化させて起立部14aを第1の集積板13の下方に退避させることで券Aの集積枚数の多寡に対応できるようにしているため、構造が簡単で、安価な小型のスタッカ機構を実現できるという効果が得られる。
【0044】
また、この第3の実施例でも、第2の集積板14の自由端が操作者から見て手前側になるので、第2の実施例と同様に第2の集積板14の角度切替え操作が容易になるという効果も得られる。
【実施例4】
【0045】
図5は第4の実施例を示す側面図で、同図(a)は集積板をロックした状態を示し、同図(b)は集積板のロックを解除する際の状態を示している。この第4の実施例は、図1に示した第1の実施例のスタッカ機構6に、集積板8上の券の有無を光学的に検知する一対のセンサ16、17を上下に対向させて設けた場合、下側のセンサ17の対向面を清掃するための柔軟な材料によるクリーナ18を集積板8の自由端側の下面に設けたものとなっている。
【0046】
ここで、センサ16と17の一方は発光素子、他方は受光素子で、例えばセンサ16を発光素子、センサ17を受光素子とした場合、センサ16の発光面からの出射光をセンサ17の受光面で受光するため、集積板8にスリットまたは透孔による光透過部19が設けられている。つまり、センサ16と17は光透過部19を挟んで上下に対向するように配置されている。この光透過部19は、券Aの発行枚数が少ないときに集積板8が所期の傾斜状態にある場合でも、また券Aの発行枚数が多い場合に集積板8を押下げて回動させることによりロック手段11で集積板8の下面に設けられているロックポスト10をロックした状態つまり集積板8の傾斜が大きくなった場合でも、センサ16からの光が透過する範囲に設けられている。これにより集積板8上に券Aが集積されていない場合は、センサ16からの光はセンサ17の受光面で受光されるため、センサ17はオフとなって券Aが存在しないことが検知されるが、図1に示したように集積板8上に券Aが集積されている場合、センサ16からの光は券Aで遮光されるため、センサ17はオンとなって券Aが存在することが検知されるものとなっている。
【0047】
上述した構成による第4の実施例の作用について説明する。図5(a)に示したように集積板8が所期の傾斜状態から押下げて回動させることによりロック手段11で集積板8の下面に設けられているロックポスト10をロックした状態つまり集積板8の傾斜を大きくした状態のとき、集積板8の自由端側の下面に設けたクリーナ18はセンサ17のセンサ16に対する対向面の近傍に位置している。
【0048】
そこで、集積板8を傾斜角度の大きい状態から元に戻す場合は、ロックポスト10がロック手段11によりロックされた状態から更に集積板8を押下げると、その際クリーナ18が図5(b)に示した用に円弧状に移動してセンサ17のセンサ16に対する対向面を摺刷し、清掃する。
【0049】
ロックポスト10のロックが解除され、コイルスプリング12の付勢力により集積板8が図示しないストッパに突当たるまで上方に回動して、図3(a)に示した所期の傾斜状態に戻るが、その際もクリーナ18はセンサ17のセンサ16に対する対向面を摺刷して清掃する。
【0050】
以上説明したように、第4の実施例は、集積板8を回動させることにより傾斜角を変化させる際、集積板8に設けたクリーナ18によりセンサ17のセンサ16に対する対向面を摺刷して清掃するようにしているため、オペレータや保守員が定期的に清掃を行って塵埃を除去する必要がなくなり、オペレータや保守員が手間を省くことができるという効果が得られる。
【0051】
尚、第2、第3の実施例において集積板8、あるいは第2の集積板14や第1の集積板13上の券Aの有無を検知するためにセンサ16,17を光透過部を挟んで上下に対向させて設けた場合にも、集積板8あるいは第2の集積板14の下面にクリーナ18を設けることでセンサ17のセンサ16に対する対向面を摺刷して清掃することが可能である。
【0052】
また、本発明が適用される媒体処理装置は券発行装置に限られず、媒体に印刷等を行って排出する装置であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 券発行装置
2 ホッパ
3 搬送路
4 印字部
5 搬送ローラ
6 スタッカ機構
7 ガイド板
8 集積板
9、15 支点
10 ロックポスト
11 ロック手段
12 コイルスプリング
13 第1の集積板
14 第2の集積板
16、17 センサ
18 クリーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体処理装置の排出口に設けられ、該排出口から排出される媒体を集積するスタッカ機構において、
前記排出口から垂下するように設けられたガイド板と、
このガイド板に対して第1の角度で傾斜するように配置され、一端を支点として回動する集積板と、
この集積板の下側に設けられ、集積板を下方に回動させて傾斜角度を第2の角度に変更したとき、その変更した第2の角度に集積板をロックし、前記集積板を更に押下げることでロックを解除するロック手段を備え、
前記集積板上に集積する媒体の集積量に応じて集積板の傾斜角度を変更することを特徴とするスタッカ機構。
【請求項2】
請求項1記載のスタッカ機構において、
前記集積板は前記ガイド板から遠いほうの端部に前記支点が設けられ、前記第1の角度より第2の角度のほうが大きい傾斜となるようにしたことを特徴とするスタッカ機構。
【請求項3】
請求項1記載のスタッカ機構において、
前記集積板は前記ガイド板から近いほうの端部に前記支点が設けられ、前記第1の角度より第2の角度のほうが小さい傾斜となるようにしたことを特徴とするスタッカ機構。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のスタッカ機構において、
前記集積板を押上げるように付勢する付勢手段と、この付勢により押上げられた集積板を前記第1の角度に停止させるストッパを備えたことを特徴とするスタッカ機構。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のスタッカ機構において、
前記集積板に光を透過させる光透過部を設けると共に、前記集積板上の媒体の有無を検知するセンサを前記光透過部を挟んで上下に対向させて配置し、
前記集積板の下面にクリーナを設けて、前記集積板を押下げることでロックを解除する際、前記クリーナが下方のセンサの対向面を摺刷して清掃することを特徴とするスタッカ機構。
【請求項6】
媒体処理装置の排出口に設けられ、該排出口から排出される媒体を集積するスタッカ機構において、
前記排出口から垂下するように設けられたガイド板と、
このガイド板の下端に設けられた第1の集積板と、
一端を支点に前記第1の集積板の下側に回動可能に配置され、前記第1の集積板に設けた通過部から第1の集積板上に突出する起立部を有する第2の集積板と、
この第2の集積板の下面に設けられ、第2の集積板を下方に回動させて前記起立部を前記第1の集積板の下側に退避させたとき、その状態に前記第2の集積板をロックし、前記集積板を更に押下げることでロックを解除するロック手段を備え、
前記媒体の集積量が少ないときは、前記第1の集積板上に突出させた起立部上に媒体を集積し、前記媒体の集積量が多いときは、前記起立部を前記第1の集積板の下側に退避させて前記第1の集積板上に媒体を集積することを特徴とするスタッカ機構。
【請求項7】
請求項6記載のスタッカ機構において、
前記第2の集積板を押上げるように付勢する付勢手段と、この付勢により押上げられた第2の集積板を前記起立部が前記第1の集積板上に突出した状態に停止させるストッパを備えたことを特徴とするスタッカ機構。
【請求項8】
請求項6または請求項7のスタッカ機構において、
前記第1の集積板と第2の集積板に光を透過させる光透過部を設けると共に、前記集積板上の媒体の有無を検知するセンサを前記光透過部を挟んで上下に対向させて配置し、
前記第2の集積板の下面にクリーナを設けて、前記第2の集積板を押下げることでロックを解除する際、前記クリーナが下方のセンサの対向面を摺刷して清掃することを特徴とするスタッカ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−138249(P2011−138249A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296740(P2009−296740)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】