説明

スタッガード(staggered)ライゲーションを使用して核酸配列を増幅する方法

センスRNA分子を作製するための方法およびキットを提供する。センスRNA分子は、核酸マイクロアレイに関係する遺伝子発現などの種々の研究および診断適用に使用することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本願は、開示内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる、2003年5月9日提出の米国仮出願60/469,383号の利益を主張する。
【0002】
背景技術
マイクロアレイ技術は、遺伝子発現プロファイルを作製し、分析するための強力なツールとなっている。しかし、一般に、マイクロアレイ発現分析は、入手できないことが多いRNAを大量に必要とする(Wang et al.,BioTechniques 34:394−400(2000)参照)。この問題を克服するためにいくつかのRNA増幅技法が開発されている。しかし、これらの技法は、一般に、増幅バイアスとして知られている現象を受ける(例えば、米国特許第6,582,906号参照)。これらの場合には、増幅されたRNA分子集団は、元の試料に存在するRNA分子集団との比例を示さない。
【0003】
例えばEberwineら(例えば、米国特許第5,545,522号;同第5,716,785号;5,891,636号;同第5,958,688号および同第6,291,170号参照)によって開示されている方法では、T7プロモーターおよびプライマーが提供されている化合物オリゴヌクレオチドが増幅に使用されている。化合物オリゴヌクレオチドを使用して最初のmRNA転写物のcDNAコピーを作製し、続いて第2の鎖の合成が2本鎖であるcDNAを合成する。RNA増幅は化合物オリゴヌクレオチドのプロモーター部分により実施され、転写はcDNAの第2の鎖から進む。第2の鎖が転写に使用されるので、Eberwineの方法は、最初のmRNA配列のアンチセンスである増幅RNAを作製する。
【0004】
しかし、Eberwineの方法は、使用する酵素のDNA鎖伸長能の不完全さ(すなわち、酵素が核酸分子に結合し続けていられないこと)およびRNAポリメラーゼプロモーターの位置決めにより各段階において3’バイアスを導入する(例えば、米国特許第6,582,906号および米国特許広報US2003/0104432号参照)。例えば、cDNA第1鎖を作製するために使用する化合物オリゴヌクレオチドは、メッセージの3’末端に対応するcDNAの5’末端にプロモーターを配置する。これが、RNAポリメラーゼが一部の鋳型の転写を終了することができないこと(おそらく、長いポリAテイル領域または鋳型の二次および三次構造による干渉による)と相まって、増幅されるアンチセンスRNA集団の3’バイアスを生じる。また、DNAポリメラーゼによる第2の鎖cDNA合成が不完全である場合には、これらのcDNAは機能的なプロモーターを欠損し、増幅される集団に元のRNA分子が現れるのが少ない(または場合によってはまったく存在しない)。
【0005】
3’バイアス問題を克服するためにいくつかのRNA増幅技法が開発された。例えば、米国特許広報US2003/0104432号は、1本鎖または2本鎖バクテリオファージプロモータープライマーを、T4 DNAまたはRNAリガーゼを使用してcDNA第1鎖分子の3’末端にライゲーションするセンスRNA(sRNA)を増幅するための方法を開示している。第2の鎖のcDNA合成後、プロモーターのインビトロにおける転写を使用してセンスRNA分子を合成する。しかし、この方法の欠点は、平滑末端核酸分子のライゲーションは効率が悪く、低いインキュベーション温度において実施しなければならないことである(Sambrook et al.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual(第3版、2001年)参照)。したがって、一部のcDNAは機能的プロモータープライマーを欠損しており、増幅される集団に元のRNA分子が現れるのが少ない(または場合によってはまったく存在しない)。
【発明の開示】
【0006】
発明の開示
出願人らは、2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターが、スタッガード(「付着末端」としても知られている)ライゲーション反応において第1のcDNAの3’末端に結合している核酸鋳型からセンスRNA(sRNA)を作製するための方法を発明した。出願人らは、スタッガードライゲーション反応によるcDNA第1鎖の3’末端へのプロモーターの結合は、平滑末端ライゲーション反応による結合より効率がよく、従来技術の方法によって得られるものと比べて、mRNA転写物混合物中の各mRNA転写物の相対量をより良く反映するsRNA分子を作製することを発見した。
【0007】
本発明の一態様は、sRNA分子を作製するための方法であって、5’末端および3’末端を有する1本鎖cDNA分子を提供するステップと、1本鎖cDNA分子の3’末端にオリゴデオキシヌクレオチドテイルを結合するステップと、センス鎖およびアンチセンス鎖を有する2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターを提供するステップであって、センス鎖が、オリゴデオキシヌクレオチドテイルに相補的な配列を含む1本鎖3’末端オーバーハングを含むステップと、3’末端オーバーハング配列と相補的塩基対形成することによって、オリゴデオキシヌクレオチドテイルに2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターをアニーリングするステップと、オリゴデオキシヌクレオチドテイルの3’末端に2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターのアンチセンス鎖の5’末端をライゲーションするステップと、2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターを認識するRNAポリメラーゼを使用してRNA転写を開始し、sRNA分子を作製するステップを含む方法に関する。
【0008】
出願人らはさらに、2本鎖RNAポリメラーゼプロモータースタッガードライゲーション反応においてcDNA第1鎖の3’末端に結合している、核酸鋳型からセンスRNA分子を作製するためのキットも発明した。
【0009】
したがって、本発明の別の態様は、1本鎖3’末端オーバーハング配列を含むセンス鎖を有する2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターと、2本鎖プロモーターを使用してsRNA分子を作製するための取扱説明物を含む、少なくとも1つのsRNA分子を作製するためのキットに関する。いくつかの実施態様において、本発明のキットは、2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターの1本鎖3’ 末端オーバーハング配列に相補的であるオリゴデオキシヌクレオチドテイルを1本鎖cDNA分子の3’末端に結合するための少なくとも1つの酵素と、2本鎖プロモーターをcDNA分子の3’末端にライゲーションするための少なくとも1つの酵素をさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、sRNA分子を作製するための方法とキットに関する。「sRNA分子」、「mRNA分子」および「cDNA分子」は、各々、一分子、単一種の複数の分子および異なる種の複数の分子を含むことが意図されている。本発明の方法は、1本鎖cDNA分子の3’末端にオリゴデオキシヌクレオチドテイルを結合するステップと、そのセンス鎖がオリゴデオキシヌクレオチドテイルに相補的な配列を含有する1本鎖3’末端オーバーハングを含有する2本鎖プロモーターにオリゴデオキシヌクレオチドテイルをライゲーションするステップとを含む。3’オリゴデオキシヌクレオチドテイルに相補的な配列を含有する3’末端オーバーハングを使用すると、効率的なスタッガードライゲーションにとって適切にプロモーターおよびcDNA分子を配向する。次いで、得られるプロモーター含有1本鎖cDNAを、RNAポリメラーゼによるインビトロにおける転写反応に使用して、sRNAを作製する。このようなsRNA分子は、1本鎖cDNAが得られる元のmRNA転写物の増幅されたコピーに相当する。
【0011】
本発明の方法は、プロモーター配列をcDNA第1鎖分子の5’末端に組み込む現在利用可能な技術とは異なる。そのような技術では、RNAの転写は、元のmRNA転写物に対してcDNA第1鎖合成と同じ方向に進行し、元のmRNA転写物の3’ポリAテイルに近位のヌクレオチドを多く含むバイアスを含むアンチセンスRNA分子が作製される。cDNA分子の3’末端にプロモーター配列を導入することによって、本発明の方法は、元のmRNA転写物の両方の末端の遺伝情報をコピーし、増幅することを可能にする。得られるsRNA分子は、完全長の各元のmRNA転写物を従来技術の方法によって得られるものより代表しており、mRNA転写物の混合物中の各mRNA転写物の相対量を従来技術の方法によって得られるものと比べてより良く反映している。
【0012】
本発明の方法はまた、プライミングバイアスを全く組み入れないで、ランダムプライミングに組み合わせることもできる。sRNA分子は、下流アッセイにおいてより効率的に使用するためのポリAテイルを含有することができる。さらに、本発明の方法は、相補的な塩基対形成を使用して、ライゲーションの前にcDNA分子の3’末端にプロモーターを適切に配向するので、それらは、低温において平滑末端ライゲーションを使用してcDNA分子にプロモーターを結合するような方法より効率的である(例えばUS2003/0104432号)。
【0013】
本発明の方法は、分子生物学分野の通常の技法を使用している。一般的な分子生物学方法を開示している基本的な教本には、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual(第3版、2001年)およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology(1994年)が挙げられる。
【0014】
cDNA第1鎖分子を合成するための数多くの方法および市販のキットが当技術分野において既知である。例として、Superscript(商標)Double Strand cDNA Synthesisキット(インビトロジェン、カールズバッド、カリフォルニア州)、Array 50(商標)、Array 350(商標)およびArray 900(商標) Detectionキット(Genisphere、ハットフィールド、ペンシルベニア州)ならびにCyScribe(商標)Post−Labellingキット(アマシャム、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)が挙げられる。一般に、関心対象の起源由来の大量のmRNA分子(すなわち、元のmRNA転写物)を逆転写反応の鋳型として使用する。RNAは、任意の生物または環境試料に見られるビリオン、原核生物および真核生物起源を含む任意の組織または細胞起源から入手することができる。好ましくは、起源は真核生物組織であり、さらに好ましくは、哺乳類組織であり、もっとも好ましくは、ヒト組織である。
【0015】
熱安定およびRNase H-逆転写酵素を含む任意の逆転写酵素を逆転写反応に使用することができる。好ましくは、RNase H-逆転写酵素を使用する。
【0016】
cDNA第1鎖合成のプライマーは市販品を購入してもまたは当技術分野において既知の技法を使用して合成して精製してもよい。cDNA第1鎖合成のプライマーは、3’ポリAテイルを有する任意の元のmRNA転写物にアニーリングするオリゴTテイルを3’末端に含む1本鎖オリゴデオキシヌクレオチドを含む(図1a参照)。テイルは、一般に、長さ約10〜約30ヌクレオチドの範囲であり、好ましくは、長さ約17〜約24ヌクレオチドの範囲である。遺伝子特異的なプライマーもcDNA第1鎖合成に使用することができる。
【0017】
または、逆転写反応は、元のmRNA転写物各々の長さの種々の位置にアニーリングするランダムプライマーを使用して開始することができる。プライマーは、一般に、長さ約4〜約20ヌクレオチドの範囲であり、好ましくは、長さ約6〜約9ヌクレオチドの範囲である。ランダムプライマーの使用は、最終的には、オリゴTプライマーを使用して作製されるものより、元のmRNA転写物各々の全体の長さをより代表するsRNA分子を作製することを当業者は認識している。さらに、cDNAを作製するためにランダムプライマーを使用することは、分解したRNAまたは細菌由来のRNAなどの、増幅を免除されていると思われるRNAを使用して増幅sRNA分子を作製することができることを意味する。その後のインビトロにおける転写中に作製される増幅sRNA分子がポリAテイルを有するように、一般に長さ約10〜約300ヌクレオチド、好ましくは、長さ約17ヌクレオチド〜約24ヌクレオチドの範囲のオリゴT配列を5’末端に含むようにランダムプライマーを改良することができる。
【0018】
cDNA第1鎖合成後、RNAは、一般にcDNA第1鎖分子の精製前に分解される(図1b参照)。NaOH処理などの、RNAを分解する任意の方法を使用することができる。または、RNAは無傷のままであることもあり、cDNA第1鎖分子はRNA/cDNA2本鎖から精製される。DNA分子を精製するための数多くの方法およびキットが存在する。例として、MinElute(商標)PCR精製キット(キアゲン,バレンシア,カリフォルニア州、SpinPrep(商標)PCR クリーン−アップキット(ノバジェン,マディソン,ウィスコンシン州)および同様のDNA分取原理に基づいた他の精製システムが挙げられる。
【0019】
cDNA第1鎖精製後、1本鎖オリゴデオキシヌクレオチドテイルをcDNA分子の3’末端に結合する(図1c参照)。オリゴデオキシヌクレオチドテイルは、デオキシヌクレオチドを1本鎖DNAに結合する任意の手段によって組み入れることができる。好ましくは、オリゴデオキシヌクレオチドテイルは、適当なデオキシヌクレオチドの存在下においてターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼまたは他の好適な酵素を使用して1本鎖cDNAに結合される。好ましくは、オリゴデオキシヌクレオチドテイルはホモポリマーテイル(すなわち、ポリdA、ポリdG、ポリdCまたはポリdT)である。さらに好ましくは、オリゴデオキシヌクレオチドテイルはポリdTテイルである。テイルは、一般に、長さ約3〜500ヌクレオチド超の範囲であり、好ましくは、長さ約20〜約100ヌクレオチドの範囲である。
【0020】
1本鎖オリゴデオキシヌクレオチドテイルを1本鎖cDNA分子の3’末端に結合後、2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターが、DNAライゲーションによって3’オリゴデオキシヌクレオチドテイルに結合される(図1d参照)。これは、3’オリゴデオキシヌクレオチドテイルと相補的なデオキシヌクレオチドの配列を有する2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターのセンス鎖の3’末端のオーバーハング配列との間の相補的な塩基対形成により促進される。例えば、オリゴデオキシヌクレオチドテイルがポリdTテイルである場合には、プロモーターの3’末端オーバーハングは、一般に長さ約3〜50ヌクレオチド超、好ましくは長さ約10〜約30ヌクレオチドの範囲のアデノシン塩基の配列を3’末端に有する。3’末端オーバーハング配列の特定のヌクレオチド配列は3’オリゴデオキシヌクレオチドテイルの特定のヌクレオチド配列と完璧に(すなわち、100%)相補的である必要はなく、また3’末端オーバーハングの長さは、配列が互いに相補的であることが考慮される3’オリゴデオキシヌクレオチドテイルの長さと全く同じである必要はない。必要なことは、3’末端オーバーハングが3’オリゴデオキシヌクレオチドテイルにアニーリングし、それによって2本鎖プロモーターをcDNA分子の3’末端に適切に位置づけることができるように、2つの配列間に十分な相補性が存在することだけであることを当業者は認識している。2本鎖プロモーターは、適切に位置づけられたら、オリゴデオキシヌクレオチドテイルの3’末端にプロモーターのアンチセンス鎖の5’末端をライゲーションすることによって3’オリゴデオキシヌクレオチドテイルに結合される。このような「スタッガード」ライゲーション反応は、平滑末端ライゲーション反応より効率がよく、高い温度で実施することができる。任意のDNAリガーゼをライゲーション反応に使用することができる。好ましくは、DNAリガーゼはT4DNAリガーゼである。
【0021】
2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターは、RNAポリメラーゼによって特異的に認識される配列を有する。特異的なプロモーター配列が、ポリメラーゼによって認識されることが既知である限り、任意のRNAポリメラーゼを使用することができる。好ましくは、使用されるプロモーター配列は、T7、T3またはSP6 RNAポリメラーゼなどのバクテリオファージRNAポリメラーゼによって認識される。例示的なT7ポリメラーゼプロモーターセンス配列はTAATACGACTCACTATAGGG(配列番号:1)である。例示的なT3ポリメラーゼプロモーターセンス配列はAATTAACCCTCACTAAAGG(配列番号:2)である。例示的なSP6ポリメラーゼプロモーターセンス配列はAATTTAAGGTGACACTATAGAA(配列番号:3)である。
【0022】
アニーリングおよびライゲーションによって1本鎖3’オリゴヌクレオチドテイルへの2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターの結合後に、組み込まれていない2本鎖プロモーターは、好ましくは、DNA精製によって除去されて、短い増幅産物の産生を防ぐ。次いで、適当なRNAポリメラーゼおよびリボヌクレオチドを添加することによってインビトロにおける転写を開始する(図1e参照)。このような転写により、大量の増幅sRNAを産生することができる。インビトロにおける転写を実施するための方法およびキットは当技術分野において既知であり、MEGAscript(商標)転写キット(アンビオン,オースティン,テキサス州)およびAmpliScribe(商標)高収率転写キット(Epicentre Technologies,マディソン,ウィスコンシン州)が挙げられる。
【0023】
本発明の方法は、好ましくは、cDNA第2鎖合成を行わないで実施されるが、cDNA第2鎖は、dNTPの存在下においてDNAポリメラーゼを使用するRNAポリメラーゼプロモーターのセンス鎖の3’末端オーバーハングの伸長によって選択的に合成することができることを当業者は認識している。好ましくは、DNAポリメラーゼはクレノー酵素である。または、cDNA第2鎖合成はランダムプライマーを使用して合成することができる。ランダムプライマーはcDNA第1鎖の種々の位置にアニーリングし、dNTPの存在下においてDNAポリメラーゼによって伸長されうる。これらのランダム−プライミングされたcDNA第2鎖断片は、選択的に、ライゲーションして、第2の1本鎖cDNA分子を作製することができる。このようなcDNA第2鎖分子は、インビトロにおける転写中にcDNA第1鎖を安定化し(例えば二次および三次構造を除去し)、高収率のsRNA分子を生ずることができる。
【0024】
得られたsRNA分子は、記載されているものと同じ方法を使用して、追加のラウンドの増幅を実施することができる。例えば、オリゴdT−媒介性cDNA第1鎖(すなわち、第1ラウンドのsRNA分子)から作製されるsRNA分子は、オリゴdT−媒介性cDNA第1鎖合成の第2ラウンドのプライミング部位として働くことができるポリAテイルを3’末端に示す。または、ランダムプライマーを使用して、第1ラウンドのsRNA分子からcDNA第1鎖を逆転写することができる。オリゴdTおよびランダムプライマーの組み合わせおよび混合物も第2ラウンドのcDNA合成に使用することができる。次いで、2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターを上記のように第2ラウンドの1本鎖cDNA分子に結合し、次に適当なRNAポリメラーゼで第2ラウンドのインビトロ転写を実施する。追加のラウンドの増幅を実施することにより、最初のラウンドの増幅に少量のmRNAを使用することができる。
【0025】
市販のポリAテイル付加キットを使用して、(従来のランダムプライミングしたcDNA第1鎖から作製されるものなどの)ポリAテイルを欠損する増幅されたsRNA分子の3’末端にポリAテイルを付加することができる。このようなキットの一例はポリ(A)テイル付加キット(Ambion)である。または、ポリAポリメラーゼ(Amersham、インビトロジェンおよびAmbion社製)を適当な緩衝液中でATPおよび増幅sRNA分子と組み合わせて使用して、sRNA分子の3’末端にポリAテイルを合成することができる。ポリAテイルの付加は、増幅sRNA分子を使用することができる下流アッセイの数および種類を増加するだけでなく、そのようなアッセイにおけるさらに費用のかからないRNAラベリング別法の使用を可能にする。
【0026】
本発明の方法によって作製されるsRNA分子は、遺伝子発現研究、遺伝子クローニングおよびサブトラクティブハイブリダイゼーションを含む、mRNAを典型的に使用する任意の目的に使用することができる。例えば、ランダムプライマー、オリゴdTプライマーまたはそれらの組み合わせを使用して、最初にRNA分子を1本鎖cDNA分子に逆転写することができる。蛍光標識ヌクレオチドなどの検出可能であるように標識したヌクレオチドの存在下において逆転写反応を実施することができる。このようなヌクレオチドには、Cy3およびCy5で標識したヌクレオチドが挙げられる。または、cDNA分子に少なくとも1つの検出可能な標識を結合することによって、cDNA分子を合成後に標識する。好ましくは、3DNA(商標)技術(Genisphere)を使用してcDNA分子を標識する。これらの樹状(dendritic)試薬は、ニルソンら,J. Theor. Biol., 187: 273−284(1997);Stears et al., Physiol. Genomics, 3: 93−99(2000);および米国特許第5,175,270号;同第5,484,904号;5,487,973号;同第6,072,043号;同第6,110,687号および同第6,117,631号にさらに記載されている。
【0027】
本発明のsRNA分子から作製した標識1本鎖cDNA分子は遺伝子発現研究のプローブとして有用である。cDNA分子を、相補的なポリヌクレオチドを含む核酸アレイに接触させることができる。好ましくは、マイクロアレイはGeneChip(登録商標)マイクロアレイ(Affymetrix、サンタクララ、カリフォルニア州)である。本発明の方法によって作製されるsRNA分子は、従来の核酸増幅技法を使用して得られるものと比べて元のmRNA転写物の全体の長さをより良く示しており、元のmRNA転写物各々の相対量をより反映するので、遺伝子発現研究について得られる結果は、従来の核酸増幅技法を使用して得られるものより有意義(例えば、正確)となりうる。
【0028】
本発明はまた、本明細書に記載する方法の実施を容易にするためのキットも提供する。このようなキットは、種々の研究および診断適用に使用することができる。例えば、本発明の方法およびキットを使用して、異なる細胞もしくは組織、同じ細胞もしくは組織の異なる亜集団、同じ細胞もしくは組織の異なる生理状態、同じ細胞もしくは組織の異なる発生段階または同じ組織の異なる細胞集団における1つ以上の遺伝子の発現の比較分析を容易にすることができる。このような分析は、遺伝子の発現レベルの統計学的に有意な差を明らかにすることができ、分析対象の細胞または組織に応じて、種々の疾患状態の診断を容易にするために使用することができる。
【0029】
本発明により種々のキットを調製することができる。例えば、キットは、2本鎖プロモーターのセンス鎖が1本鎖3’末端オーバーハング配列を含む2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターと、2本鎖プロモーターを使用してsRNA分子を作製するための取扱説明書含んでもよい。取扱説明書は、典型的には、書面または印刷物を含むが、これに限定されない。このような取扱説明書を保存し、エンドユーザーにそれらを伝達することができる任意の媒体が本発明によって考慮されている。このような媒体には、電子記憶媒体(例えば磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)等が挙げられるが、これらに限定されない。このような媒体は、このような取扱説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含んでもよい。
【0030】
本発明のキットは以下の要素または試薬の1つ以上をさらに含んでもよい。逆転写酵素、RNase阻害剤、2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターの1本鎖3’末端オーバーハング配列に相補的であるオリゴデオキシヌクレオチドテイルを1本鎖cDNA分子の3’末端に結合するための酵素(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ)、1本鎖cDNA分子の3’末端に2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターをライゲーションするための酵素(例えばT4 DNAリガーゼ)、2本鎖cDNAを選択的に合成するために酵素(例えば、クレノー酵素)、およびプロモーターを認識するRNAポリメラーゼ(例えば、T7 RNAポリメラーゼ)。キットは、さらに、本発明の方法によるsRNA分子の作製に適合している緩衝液、プライマー(例えばオリゴdTプライマー、ランダムプライマー)、ヌクレオチド、標識ヌクレオチド、RNaseフリー水、容器、バイアル、反応チューブ等を含んでもよい。要素および試薬は、個別に提供されてもまたは好適な保存媒体と組み合わせて容器内に入れて提供されてもよい。
【0031】
本発明の方法による具体的な実施態様は以下の実施例に記載されている。実施例は例示的なものにすぎず、本発明の範囲をいかなる意味においても限定することは意図されていない。
【0032】
実施例
【実施例1】
【0033】
cDNA第1鎖合成
cDNA第1鎖を合成するためには、RNAquous(登録商標)キット(アンビオン)を使用して精製した1〜10μlのラット脳総RNA(最高1μg)を2μlのオリゴdT24プライマー(50ng/μl)(5’−TTT TTT TTT TTT TTT TTT TTT TTT−3’;配列番号:4)と混合し、RNaseフリー水で11μlにした。RNA/プライマー混合物を80℃において10分間加熱し、速やかに氷上で1〜2分冷却した。次いで、混合物を9μlのマスター混合物溶液と混合して、最終容量を、50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl2、10mMジチオスレイトール(DTT)、0.5mMの各dNTP、10U Superase−In(商標)(アンビオン)および200U Superscript(商標)II逆転写酵素(インビトロジェン)を含む20μlにした。混合物を短時間遠心分離し、42℃において2時間インキュベーションした。0.5M NaOH/50mM EDTAの3.5μlを添加して、65℃で15分間加熱することによって反応を停止した。短時間の遠心分離後、反応を1M Tris−HCl、pH7.5で中和して、1×TE、pH8.0で50μlに調整した。製造業者のプロトコールによりMinElute(商標)PCR精製キット(キアゲン)を使用して反応液を精製した。cDNA第1鎖分子は、製造業者により提供された10μlのEB緩衝液で溶出した。
【0034】
cDNA第1鎖のテイル付加
cDNA第1鎖分子を80℃において10分間加熱し、速やかに氷上で1〜2分冷却した。次いで、cDNA分子の10μlを15μlのマスター混合物溶液と混合し、最終容量を、6.5μl RNaseフリー水、1× テイル付加緩衝液(10mM Tris−HCl、pH7.0、10mM MgCl2)、1.5mM dTTPおよび30U ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(インビトロジェン)を含む25μlにした。混合物を短時間遠心分離し、37℃において30分間インキュベーションした。65℃で15分間加熱し、室温において1〜2分間冷却することによって反応を停止した(以下のライゲーション反応の加熱段階に直接進む場合には、この段階を省略してもよい)。
【0035】
T7プロモーターのライゲーション
オリゴdT−テイル付加cDNA分子を95〜100℃において10分間加熱して、速やかに氷上で1〜2分冷却した。4部のライゲーションミックス希釈干渉液(395mM Tris−HCl、pH7.5、30mM MgCl2、30mM ATP)を1部の6×ライゲーションミックスと合わせることによって6×ライゲーションミックスの1:5希釈液を調製した。希釈した6×ライゲーションミックスは、5’リン酸化T7ライゲーションオリゴ(7ng/μl)(5−CCC TAT AGT GAG TCG TAT TA−3’;配列番号:5)およびT7 dA ブリッジオリゴ(13.1ng/μl)(5’−TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA AAA AAA AAA−3’;配列番号:6)を、395mM Tris−HCl、pH7.5、30mM MgCl2、30mM ATP中に含有する。2つのオリゴは、一緒にアニーリングすると、3’ポリdAセンス鎖オーバーハングを有する2本鎖T7プロモーターを作製する。次いで、テイル付加したcDNA分子の25μlを5μlの希釈した6×ライゲーションミックスおよび2μl(2U)T4 DNAリガーゼ(インビトロジェン)と混合した。混合物を短時間遠心分離し、23℃において30分間インキュベーションした。0.5M EDTAの3.5μlを添加し、65℃までの温度で10分間加熱することによって反応を停止した。1×TE、pH8.0で反応液を50μlに調整した。製造業者のプロトコールにより、MinElute(商標)PCR精製キットを使用して反応液を精製した。T7プロモーターとライゲーションしたcDNA分子は10μlのEB緩衝液で溶出した。
【0036】
インビトロにおける転写
2μlのT7 dAブリッジオリゴ(50ng/μl)(配列番号:6)をT7プロモーター−ライゲーションしたcDNA分子に添加し、RNase−水で容量を16μlに調整した。混合物を95℃において10分間加熱し、速やかに2分間氷冷した。次いで、混合物を37℃において10〜15分間加熱し、次いで24μlのマスター混合物溶液と混合し、最終容量を、1×反応緩衝液、5mM各rNTPおよび2μlのT7 RNAポリメラーゼ(MEGAscript(商標)転写キット、アンビオン)を含む40μlにした。混合物を短時間遠心分離し、37℃のヒートブロックで5分間インキュベーションし、次に37℃のハイブリダイゼーション用エアーオーブンにおいて6〜14時間インキュベーションした。製造業者のプロトコールによりRneasy(登録商標)キットを使用して、増幅したsRNA分子を精製した。sRNA分子は50μlのRNaseフリー水に溶出し、同じ溶出液で再溶出し、波長比260/280でUV−分光測定法で定量した。
【実施例2】
【0037】
実施例1の方法を実施したが、cDNA第1鎖合成はオリゴT24プライマーの代わりにランダムプライマーを使用して実施した。簡単に説明すると、1〜10μlの総RNA(最高1μg)を2μlランダム9merプライマー(250ng/μl)(5’−NNN NNN NNN−3’;配列番号:7)と混合し、RNaseフリー水で11μlにした。RNA/プライマー混合物を80℃において10分間加熱し、速やかに氷上で1〜2分間冷却した。次いで、混合物を9μlのマスター混合物溶液と混合し、最終容量を、50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl,3mM MgCl2、10mMジチオスレイトール、0.5mM各dNTP、10U Superase−In(商標)および200U Superscript(商標)II逆転写酵素を含む20μlにした。混合物を短時間遠心分離し、42℃において2時間インキュベーションした。0.5M NaOH/50mM EDTAの3.5μlを添加し、65℃で15分間加熱することによって反応を停止した。短時間の遠心分離後、反応液を1M Tris−HCl、pH7.5の5μlで中和し、1×TE、pH8.0で50μlに調整した。製造業者のプロトコールによりMinElute(商標)PCR精製キットを使用して反応液を精製した。cDNA第1鎖分子は、製造業者によって提供された10μlのEB緩衝液で溶出し、6×T7ライゲーションミックスをライゲーション反応において未希釈で使用した以外は、実施例1に記載するようにさらに処理した。
【実施例3】
【0038】
実施例1および2の方法のどちらかを実施したが、cDNA第1鎖合成後に、RNAは、cDNAをMinElute(商標)精製カラムに適用する前は無傷のままとした(すなわち、塩基性加水分解しない)。cDNA第1鎖分子は製造業者によって提供された10μlのEB緩衝液で溶出し、実施例1に記載するようにさらに処理した。
【実施例4】
【0039】
ポリ(A)テイル付加キット(アンビオン)を使用して実施例2および3のランダムプライマー方法によって作製した増幅sRNA分子にポリAテイルを付加した。Array350(商標)検出キット(Genisphere)を使用してポリA−テイル付加sRNAを標識cDNAに変換し、検出キットの製品マニュアルに公表されている標準的な技法によってマイクロアレイにハイブリダイゼーションする。
【実施例5】
【0040】
上記の方法で作製した種々の量のsRNAを、臭化エチジウムで染色した1%アガロース変性ゲル上で可視化した。図2に示すように、本発明の方法(SenseAmpとして同定されている、レーンE〜G)は、市販のEberwineによる方法(MessageAmp(商標)として同定されている、アンビオン、レーンB〜D)と比較して、大型の増幅RNA分子を作製した。本発明の方法を使用すると、出発RNA試料の最高〜1000倍の増幅収率が得られた。MessageAmp(商標)を使用して作製される増幅アンチセンスRNA(aRNA)と本発明の方法を使用して作製される増幅sRNAの比較によって作製される実験データは、本発明の方法は、元の未増幅RNA試料に見られるmRNA転写物の相対量を維持する上で、Eberwineによる方法より正確であることを示した。ピアソンの対数相関係数は、それぞれ、0.91および0.86であった。未増幅試料と増幅試料の完璧な相関は、ピアソンの対数相関が1.00であることによって反映されると思われる。
【実施例6】
【0041】
実施例1および3のオリゴdT方法のどちらかを実施したが、精製sRNA分子に第2ラウンドのRNA増幅を実施した。簡単に説明すると、第1ラウンドの増幅sRNA分子を含有するインビトロ転写反応を30μlのRNase−フリー水でRneasy(登録商標)カラムから溶出し、同じ溶出液で再溶出した。溶出液を1μlのオリゴdT24プライマー(50ng/μl)(配列番号:4)および2μlのランダム9merプライマー(25ng/μl)(配列番号:6)と混合し、RNaseフリー水で37μlにした。RNA/プライマー混合物を80℃において10分間加熱し、速やかに氷上で1〜2分間冷却した。次いで、混合物を23μlのマスター混合物溶液と混合し、最終容量を、50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl2、10mM ジチオスレイトール(DTT)、0.33mMの各dNTP、10U Superase−In(商標)および200U Superscript(商標)II逆転写酵素を含む60μlにした。混合物を短時間遠心分離し、42℃において2時間インキュベーションした。1×TE、pH8.0で反応液を100μlに調整した。製造業者のプロトコールによりMinElute(商標)PCR精製キットを使用して反応液を精製した。cDNA第1鎖分子は、製造業者によって提供された10μlのEB緩衝液で溶出し、実施例1に記載するようにさらに処理した。
【実施例7】
【0042】
sRNA分子を作製するためのキットは、以下の要素が集成されている:
オリゴdT24プライマー(50ng/μl)、
ランダム9merプライマー(250ng/μl)
dNTPミックス(各10 mM)、
Superase−In(商標)(アンビオン)、
dTTPテイル付加ミックス(10mM);
10×テイル付加緩衝液(100mM Tris−HCl、pH7.0、100mM MgCl2);
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(15〜30U/μl)、
5’リン酸化T7ライゲーションオリゴ(35ng/μl)およびT7dAブリッジオリゴ(65.6ng/μl)を395mM Tris−HCl、pH7.5の溶液、30mM MgCl2、30mM ATPを含有する6×ライゲーションミックス、
ライゲーションミックス希釈緩衝液(395mM Tris−HCl、pH7.5、30mM MgCl2、30mM ATP)、
T7dAブリッジオリゴ(50ng/μl)、
T4DNAリガーゼ(1U/μl)、および
ヌクレアーゼフリー水。
【0043】
要素は番号付きのバイアルに入れられ、キット要素を使用して増幅sRNA分子を作製するための書面の取扱説明書と共に容器に入れられている。cDNA第2鎖合成が望ましい場合には、キットは、選択的に、クレノー酵素(7.5U/μl)を含有してもよい。
【0044】
明細書に引用されているすべての刊行物、特許公報および特許以外の刊行物は、本発明が属する当技術分野の当業者のレベルを示す。これらの刊行物は全て、個々の刊行物各々が具体的および個別に参照により組み入れているように示されるのと同じ程度で全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0045】
本発明は、本明細書において特定の実施態様を参照して記載されているが、これらの実施態様は本発明の原理および適用を例示するにすぎないことが理解されるべきである。従って、以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱しないで、数多くの改良を例示的な実施態様に加えることができることおよび他のアレンジを考案することができることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の方法の一実施態様を図示するフローチャートである。
【図2】臭化エチジウムで染色した1%アガロース変性ゲル上で可視化した本発明の方法によって作製した種々の量のsRNAを図示する写真である。
【図1a−1c】

【図1d−1e】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
センスRNA分子を作製するための方法であって、
5’末端および3’末端を有する1本鎖cDNA分子を提供するステップと、
前記1本鎖cDNA分子の3’末端にオリゴデオキシヌクレオチドテイルを結合するステップと、
センス鎖およびアンチセンス鎖を有する2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターを提供するステップであって、前記センス鎖が、前記オリゴデオキシヌクレオチドテイルに相補的な配列を含む1本鎖3’末端オーバーハングを含むステップと、
前記3’末端オーバーハング配列と相補的塩基対形成することによって、前記オリゴデオキシヌクレオチドテイルに前記2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターをアニーリングするステップと、
前記オリゴデオキシヌクレオチドテイルの3’末端に前記2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターのアンチセンス鎖の5’末端をライゲーションするステップと、
前記2本鎖プロモーターを認識するRNAポリメラーゼを使用してRNA転写を開始し、センスRNA分子を作製するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
a)が、5’末端および3’末端を有するmRNA転写物を提供するステップと、前記mRNA転写物から1本鎖cDNA分子を合成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1本鎖cDNA分子の合成が、mRNA分子とRNaseH-逆転写酵素を反応させるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1本鎖cDNA分子の合成が、mRNA分子とオリゴdTプライマーを反応させるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記1本鎖cDNA分子の合成が、mRNA分子とランダムプライマーを反応させるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記オリゴデオキシヌクレオチドテイルに結合するステップの前に、1本鎖cDNA分子を精製するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記1本鎖cDNA分子を精製するステップの前に、前記mRNA転写物を分解するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1本鎖cDNA分子を精製するステップの前に、前記mRNA転写物が分解されない、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴデオキシヌクレオチドテイルがホモポリマーテイルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ホモポリマーテイルがポリdTテイルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記オリゴデオキシヌクレオチドテイルが、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用して、前記1本鎖cDNA分子の3’末端に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターがT7、T3またはSP6プロモーターである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターがT7プロモーターである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1本鎖3’末端オーバーハングがアデノシン塩基の配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ライゲーションが、T4DNAリガーゼを使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記RNA転写が、T7RNAポリメラーゼを使用して開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
RNA転写を開始する前に、第2の鎖cDNAを合成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の鎖cDNAがDNAポリメラーゼを使用して合成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の鎖cDNAが、前記RNAポリメラーゼプロモーターのセンス鎖の3’末端オーバーハングの伸長によって合成される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の鎖cDNAがランダムプライマーを使用して合成され、ランダム−プライミングされた第2の鎖cDNA断片を作製する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
RNA転写を開始する前に、ランダム−プライミングされた前記第2の鎖cDNA断片をライゲーションする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
得られるsRNA分子を増幅するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記sRNA分子の増幅が、オリゴdTとランダムプライマーの組み合わせを使用して開始される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記得られるsRNA分子がポリAテイルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリAテイルが、ポリAテイルポリメラーゼを使用して結合される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記得られるsRNA分子を逆転写し、それによって1本鎖cDNA分子を作製するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記逆転写が、検出可能であるように標識されたヌクレオチドを1本鎖cDNA分子に組み入れることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記検出可能であるように標識されたヌクレオチドが蛍光色素を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記蛍光色素がcy3またはcy5である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記得られるcDNA分子に少なくとも1つの検出可能な標識を結合するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
核酸マイクロアレイに、請求項27、28、29または30に記載の検出可能であるように標識されたcDNAを接触させるステップを含む、核酸マイクロアレイをプロービングするための方法。
【請求項32】
前記mRNA転写物が哺乳類起源である、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
前記mRNA転写物がヒト起源である、請求項2に記載の方法。
【請求項34】
前記mRNA転写物が、分解したRNAを含む生物起源から単離される、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターのセンス鎖が1本鎖3’末端オーバーハング配列を含む、センス鎖およびアンチセンス鎖を有する2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターと、前記2本鎖プロモーターを使用してsRNA分子を作製するための取扱説明物を含む、少なくとも1つのsRNA分子を作製するためのキット。
【請求項36】
前記2本鎖RNAポリメラーゼプロモーターの1本鎖3’末端オーバーハング配列に相補的なオリゴデオキシヌクレオチドテイルを1本鎖cDNA分子の3’末端に結合するための少なくとも1つの酵素と、前記2本鎖プロモーターを前記cDNA分子の3’末端にライゲーションするための少なくとも1つの酵素をさらに含む、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼとT4DNAリガーゼをさらに含む、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
オリゴdTプライマー、ランダムプライマー、dNTP、およびRNase阻害剤をさらに含む、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項38に記載のキット。

【図2】
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【公表番号】特表2007−515938(P2007−515938A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532858(P2006−532858)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/014325
【国際公開番号】WO2004/101749
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505414757)ジェニスフィア,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】